第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)会社の経営の基本方針

(当社グループの目指す姿)

『グローバルに変化する食品物流を担う低温を核とする総合物流情報企業の実現』

a.自らが保有する施設・車両による自社オペレーションに裏付けされた物流品質と、低温食品物流のパイオニアとして培ってきた経験を活かし、「新しい」物流システムを創造することで事業規模の拡大や新たな事業領域へ進出し、低温食品物流業界におけるリーディングカンパニーたる地位を確保する。

b. 物流に関連する付加価値の実現と物流品質の更なる強化により、企業価値の向上を図り飛躍し続ける物流企業となる。

c.従業員が将来に希望を持ち、生き生きと仕事に取り組める物流企業となる。

d. 企業の社会的責任を果たし、あらゆるステークホルダーに支持される物流企業となる。

 

(2)中長期的な会社の経営戦略

当社グループは上記の目指すべき姿を達成するため、第三次中期経営計画(2022年4月1日から2025年3月31日まで)を策定いたしました。

 

(基本方針)

『新たなコールドチェーンのニーズをつなぐ、持続可能な低温物流の実現』

 新型コロナウイルス感染拡大や急激な気候変動をはじめすべての地域社会・企業・人が様々な困難に直面する時代の中、『安心・安全な食のロジスティクス』を担う当社にとって、従来のチャネルと異なる食品をはじめとした低温管理商品の新たな供給ニーズと消費ニーズをつなげるコールドチェーンを展開・拡充することで収益体質の強化につなげていく。新たな事業領域への挑戦も踏まえた利益体質の強靭化と、変化が加速する自然環境への対策を含めたあらゆるステークホルダーにとっての課題に向き合い真摯に寄り添うことで、未来に責任を果たす持続可能な低温物流事業を構築し企業価値を向上させていく。

 

(基本戦略)

① 持続可能な物流事業の構築

・ 食のライフラインを守り、豊かな社会づくりに貢献する物流業務を推進する。

脱炭素社会の実現に向けた地球環境にやさしい物流基盤を構築する。

多様性を重視し、すべての従業員にとって働きやすい・働きがいのある職場環境をつくる。

 

② 戦略的な財務構成による企業価値の向上

・ 資本と負債のバランス最適化などを能動的に実行し、ROE8%以上を維持・継続させる経営を行う。

・ 資本効率を向上させるため、適切な資金配分を行うと同時に資本コストを意識した投資を行う。

株主還元や株主との対話をより充実させることで株式価値の向上を図る。

 

③ 共同配送事業を軸とした既存事業の機能強化と収益基盤強化

・ ネットワークの再編や新たな機能の開発によって共同配送事業の利益体質の強靭化を推進する。

・ 「荷主・顧客」または「温度帯」といった従来の事業会社別のビジネスモデルの枠組みを超えた、新たな共同配送事業を構築し、事業機会を獲得する。

顧客・市場のニーズに対応した既存事業モデルの再編・強化を遂行する。

 

④ 成長分野への投資促進

・ EC(電子商取引)関連物流への進出をはじめとした、成長する市場への経営資源の投入を推進する。

・ 温度管理技術を活用した新たな事業領域の拡大を図る。

海外事業は、カントリーリスクへの感度を高めながら安定的な成長が期待できる案件への投資を行う。

 

 

(中期経営計画の見直しについて)

当社グループは、2023年6月16日に『中期経営計画の見直しについて』として開示しましたとおり、第三次中期経営計画(2022年度~2024年度)につきまして、2025年度を最終年度とする3カ年計画として見直しを実施いたしました。

基本方針及び基本戦略に大きな変更はありませんが、低温商材の流通チャネルの多様化や社会・経済環境の変化を踏まえ、以下の項目を重要施策として追加しております。

 サステナビリティ関連として、環境対策に資する新技術の開発とその導入及び省力化・省人化による生産性の向上にかかる投資

② 成長分野(海外・EC・医薬品等)における投資の促進や他社との協業・提携なども視野に入れた成長スピードの加速

③ 既存事業の強靭化に資するM&Aなどを活用した更なる収益力の強化と事業の拡大

 

また、資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応として、今後の中長期的な取り組み方針や一部財務目標数値を策定し、開示しております。

 (資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応)

① 投資の更なる促進による収益基盤の強靭化及び持続可能な成長の実現。

・ 選択と集中を基本とした、“低温物流事業”の強靭化

・ 新技術開発・環境対策に資する投資の拡充。

・ 人材への投資拡大による人的資本経営の実現。

② 財務的アプローチからの効率的な経営の実行。

・ 最適な資本構成による株主価値・企業価値の向上。

・ 株主還元政策の強化。

③ ステークホルダーとのコミュニケーション活性化による、株主との建設的な対話の促進。

・ IR体制の充実に伴う自社の取組みや成長戦略の正確かつ客観的な発信及びステークホルダー
 エンゲージメントの取組み。

④ 社内体制の充実によるガバナンス強化及び企業価値の向上。

・ グループ横断の委員会の運営を通じた企業価値の向上。

 

(3)目標とする経営指標

当社グループは、業容の拡大を前提に安定した収益基盤の実現と経営効率の向上を推進するため、第三次中期経営計画において、ROE(自己資本当期純利益率)・自己資本比率・配当性向の数値を経営指標の目標として設定しておりますが、2023年6月に実施した中期経営計画の見直しに伴い、各数値は以下のとおりといたしました。

 

 

2023年度

2024年度

2025年度

連結営業収益

115,300百万円

118,700百万円

122,400百万円

連結営業利益

3,400百万円

4,700百万円

5,700百万円

ROE(自己資本当期純利益率)

最終年度までに8.0%以上

自己資本比率

45%程度

配当性向

20%以上(段階的に30%以上へ引き上げ)

 

 

また、2024年3月15日に開示いたしました「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」において、長期的な視点に立ち、以下の目標数値を設定しております。

 

 

2034年度

連結営業収益

2,000億円

 

 

 

(4)会社の対処すべき課題

人流の活性化に伴い社会活動が本格的に再開する一方で、不安定な国際情勢等を背景とした原材料・エネルギー価格の高止まりや、円安の更なる進展、人件費の高騰等に伴う継続的な物価上昇を受け、個人消費は伸び悩み、日本の経済環境は依然として不透明な状況が続いております。加えて世界的に気候変動への対策が求められ、企業活動の持続可能性の重要性もますます高まるなか、特にプライム市場上場企業については、サステナビリティの観点を踏まえた持続可能な成長について、社会・市場から強く要請されております。

また、当社グループが主軸をおく低温食品物流業界におきましては、食品メーカーを中心にコスト増加に対応した価格改定が進捗する中、消費者においては節約志向や選別消費の傾向が根強く、市販用冷凍冷蔵食品の取扱物量は伸び悩みの状況が続いている一方で、業務用食品の取扱物量は回復傾向にあることや、Eコマースをはじめとした流通チャネルの多様化が進行するなど、市場環境が急速に変化しております。一方で、いわゆる物流の2024年問題と称される人員などの輸送リソースの減少が懸念されており、物流事業者の事業継続性リスクはこれまで以上に高くなっております。

このような社会・経済環境の変化を踏まえ、当社グループは、2022年4月より第三次中期経営計画(2022年度~2024年度)を推進しております。基本方針として「新たなコールドチェーンのニーズをつなぐ持続可能な低温物流の実現」を掲げ、成長著しいEC関連物流や医薬品物流といった新規事業の拡大、新規拠点の設立をはじめとした既存物流事業の強靭化に取り組んでまいりました。

さらに、低温商材の流通チャネルの多様化などの環境変化を踏まえ、2023年6月16日に開示しましたとおり、第三次中期経営計画につきまして、2025年度を最終年度とする3カ年計画として見直しを実施いたしました。当社グループが誇るチルド・フローズンの物流機能を通じ、食のライフラインの維持と豊かな社会の実現を達成するための各種施策の展開は当初計画通り継続しつつ、重要施策を追加し、これらを実現するために、約100億円の追加投資を実施してまいります。

加えて、当社は2024年3月15日に「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」について開示いたしました。2022年4月よりスタートしました第三次中期経営計画を踏まえつつ、低温物流の知見・ノウハウを最大限活用し、既存事業の枠組みにとらわれない成長領域の拡大をこれまで以上に推進すること、ならびに堅調な需要が見込まれる既存の低温食品物流事業の能力増強投資による持続可能な物流基盤の構築などにより長期的な目標として売上高2,000億円の達成を目指してまいります。その一方でCO2排出量削減の取組みや、機械化・DXによる省力化・省人化への取組みも加速させ、持続可能性を担保した企業成長を実現し、社会・市場からの要請に応えてまいります。

 

なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日時点において、当社グループが判断したものであります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において、当社グループが判断したものであります。

 

[サステナビリティに関する考え方について]

 当社グループは、経営の基本方針として『グローバルに変化する食品物流を担う低温を核とする総合物流情報企業の実現』を掲げており、その中で「企業の社会的責任を果たし、あらゆるステークホルダーに支持される物流企業となる」と謳っております。

 サステナビリティに対し取り組むことは、持続可能な社会の実現に貢献することであり、社会的責任を果たすことに繋がるものと考えております。

 そのため当社グループでは、「サステナビリティ方針」を定め、「マテリアリティ(重要課題)の特定」を行い、サステナブル経営の推進体制を構築しております。

 

「サステナビリティ方針

C&Fロジホールディングスグループは、持続可能な物流事業の実現に向け事業を通じた社会課題解決に取り組み、国際社会で合意された持続可能な開発目標(SDGs)の達成に貢献することを宣言し、ステークホルダーとともに次世代物流を創造するサステナブル経営を実践する。」

 

「マテリアリティ(重要課題)の特定

当社グループは、SDGsをはじめとした社会課題の重要度を確認・整理したうえで、事業およびステークホルダーの双方の観点から社会・環境への影響度が大きく、かつ当社グループの企業価値向上や事業継続における重要度の高いテーマを抽出し、サステナブル経営を行ううえで、重点的に取り組むべき課題として5つのマテリアリティを特定しております。」

 

 


 

 

 

[サステナビリティに関する取組について]

(1) ガバナンス

当社はサステナブル経営の推進のため、取締役会の諮問機関としてサステナビリティ委員会を設置しております。サステナビリティ委員会では、気候変動や人的資本をはじめとするサステナビリティに関する課題の抽出や対応策の検討、また取組状況の把握・分析を行い、定期的に取締役会へ報告を行います。

サステナビリティ委員会は社長執行役員を委員長として、各執行役員及び事業会社社長で構成し、事業会社と機能部門が幅広く連携できる体制を組んでおります。また必要に応じて外部有識者の助言を仰ぎ、公正で的確な検討が行えるよう努めております。

当事業年度はサステナビリティ委員会を9回実施し、取締役会へは4回報告を行いました。

 

 <サステナビリティ経営体制>

 


 

<2023年度取締役会報告内容>

開催日

主な議題内容

4月14日

サステナビリティに関する現状と課題について

5月25日

サステナビリティに関する開示について

7月14日

GHG排出量目標・実績について

9月29日

再生可能エネルギー取組施策について

 

 

 

 

(2) 戦略

① 気候変動に関する戦略

a)方針

当社グループは、気候変動に対する基本的な考え方として「C&Fロジホールディングスグループ環境方針」を定め、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の枠組みに沿って管理しております。

 

「C&Fロジホールディングスグループ環境方針

C&Fロジホールディングスグループは、低温物流企業として地球環境の恩恵のもと、事業活動を行っており、事業活動を持続していくために地球環境を保全することは当社グループの重要な経営課題であると認識しています。」

 

b)シナリオ分析の概要

当社グループでは、気候変動に関するリスク・機会を識別し、それが事業に及ぼす影響に対して、個々に対応策を検討いたしました。その対応策が各シナリオで発生しうる事態に現実的に対応できるかを評価するためにシナリオ分析を実施しております。

使用した主なシナリオは、移行リスクにおいては、IEA(国際エネルギー機関)によるWEO(世界エネルギー見通し)のうち、平均気温上昇をパリ協定で定めた2.0℃より十分低く保ち1.5℃に抑える努力をするSDS(持続可能な開発シナリオ)と、2050年に排出量ネットゼロを達成するNZE2050を用いました。また物理リスクにおいては、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)による更なる温暖化対策を施さずに平均気温が4.0℃上昇するとされるRCP(代表的濃度経路)8.5シナリオを使用いたしました。

 

c)気候関連のリスク・機会と影響及び対応策

シナリオ分析の結果1.5℃シナリオにおいて炭素税の導入により、燃料費や動力費など各種コストに転嫁され、利益を圧迫することが想定されるものの、再生可能エネルギーへの転換や次期低炭素車両などの新しい技術を導入することで、対応が可能であると考えます。

各シナリオによるリスク・機会は、次の表のとおりであります。それぞれの発現可能性と影響度を考慮し、対応策を実行いたします。

 

 

<移行リスク(1.5℃シナリオ)>

気候変動リスク

の分類

シナリオ

気候変動により

想定される影響

 

影響度

 

発現可能性

対応策

 

移行リスク・機会

 

政策規制

GHG排出に関する規制強化

1.5℃

 

リスク

・炭素税が導入され、価格に転嫁

・その結果、軽油など燃料費や、電力など動力費、車両調達費、協力会社への委託料など各コストが増加し、利益を圧迫する

 

 

・太陽光パネルの設置

・再生可能エネルギー電力へ切り替え

・従来に引き続き省エネ活動に取り組む

・ハイブリッド車など即運用可能な低炭素車両の導入

・低燃費タイヤへの切り替えなど、従来に引き続き省燃費活動に取り組む

 

市場

エネルギー需要の変化

 

機会

・再生可能エネルギーが普及し、調達が容易になる

 

技術

次世代技術の進展

・普及

 

リスク

・EVやFCVトラックなど次期低炭素車両の導入や、充電設備の設置など、投資が増大する

・バイオディーゼルやリニューアブルディーゼルなどを使用し、燃料コストが増加する

・AIやロボットなどを活用したマテハン(マテリアルハンドリング)設備等のDX化に伴う投資が増大する

・次世代技術の導入遅れや見誤りにより、生産性が低下し、事業競争力が弱まった結果、事業機会を逸失する

 

 

・次世代技術に対する情報収集力の向上

・テスト導入やスモールスタートによって、将来主流となる技術の見定め/見極め

・外部の企業/機関との協業や協力による知見の向上

・上記を踏まえた的確かつ適正な投資

 

機会

・次世代技術を的確に導入し、その効果を発揮して、事業競争力が強化された結果、新たな事業機会を獲得する

・マテハン設備等のDX化により、事務所・倉庫内業務における生産性が向上する

 

評判

ステークホルダーの評判変化

 

リスク

・環境負荷の低い持続可能な物流網を構築できず、事業競争力が弱まった結果、事業機会を逸失する

・環境問題に取り組めていない企業と評価され、労働力の確保が難しくなる

 

 

・環境負荷の低い持続可能な物流網の構築

・サステナビリティを巡る課題に対して、目標の設定、対応策の実施/検証、開示などを適切に対応

 

機会

・環境負荷の低い持続可能な物流網を構築し、事業競争力が強化された結果、新たな事業機会を獲得する

 

 

<物理リスク(4.0℃シナリオ)>

気候変動リスク

の分類

シナリオ

気候変動により

想定される影響

 

影響度

 

発現可能性

対応策

 

物理リスク・機会

 

慢性

地球温暖化による環境変化

4.0℃

 

リスク

・温暖化により外気温度が上昇し、電力など動力費がさらに増加する

 

 

 

・温暖化により外気温度が上昇し、熱中症など従業員の健康リスクが増大する

 

 

・太陽光パネルの設置

・再生可能エネルギー電力へ切り替え

・従来に引き続き省エネ活動に取り組む

 

・空調機器などによる職場環境の整備

 

 

機会

・温暖化により外気温度が上昇し、サプライチェーン全般において、より高い低温品質管理が求められる

 

 

・当社の強みである低温品質管理をより一層強化する

 

急性

自然災害の激甚化

 

リスク

・異常気象の多発や自然災害の激甚化により、事業継続対応策のコストが増加する

・異常気象の多発や自然災害の激甚化により、従業員の安全が脅かされる

 

 

・防災マネジメントシステムを整備し、自然災害に強く、安全でレジリエンスな物流体制を構築

 

機会

・自然災害に強い物流体制を構築することで、社会基盤としてのサプライチェーンを安全に継続させ、ステークホルダーの信頼が向上する

 

 

 

 

d)2023年度の具体的な取組事項

・系統電力を再生可能エネルギー由来電力へ切り替え(13拠点)、自社設備への太陽光パネルの新規設置(㈱ヒューテックノオリン東北支店カーポート、同中部支店倉庫屋上、同関西支店近畿圏共配センター倉庫屋上)、オフサイトPPAによる太陽光発電由来電力導入(12拠点)

・主要冷蔵庫の冷媒を今後すべて自然冷媒化

・グリーンローンによる資金調達(110億円調達)

・持続可能な物流網の構築のため、トラック予約受付システム導入(㈱ヒューテックノオリン主要拠点すべて)、中継拠点施設の計画、冷凍食品パレット輸送実装実験、他

・プラスチック削減のため、エコタイプの梱包資材を使用

 

 

② 人的資本に関する戦略

a)方針

当社グループは『グローバルに変化する食品物流を担う低温を核とする総合物流情報企業の実現』を会社の経営の基本方針とし、その中で「従業員が将来に希望を持ち、生き生きと仕事に取り組める物流企業となる。」と謳っております。その実現のためには社員一人ひとりが自ら考えチャレンジできる人物に成長すること、また、個々の適性・能力を最大限発揮できる社内環境であることが重要であると考え、以下の「人材育成方針」と「社内環境整備方針」を策定しております。

 

「人材育成方針

C&Fロジホールディングスグループは、個人の成長を企業の成長と認識し、社員一人ひとりが自ら考え、環境変化を踏まえ新たな改革にチャレンジし、それぞれが担当する分野で最高のサービスを提供できるプロフェッショナルを育成します。」

 

「社内環境整備方針

C&Fロジホールディングスグループは、社員一人ひとりが物流で社会を支える誇りと使命感を持ち、個人の適性・能力を最大限発揮できる社内環境を提供します。

また、それぞれの多様性を尊重し、皆が快適で働き甲斐のある社内環境を整備します。」

 

b)2023年度の具体的な取組事項

・研修制度の充実(階層別研修プログラム増加他)

・職場環境の整備(トラックのオートマチック車両化、多言語での動画マニュアル作成他)

・従業員満足度の把握と向上(エンゲージメントサーベイの実施と対応他)

・女性活躍推進チームの組成と提言(女性のキャリア形成研修への参画、女性制服改善提案、女性に関する制度の周知・活用推進他)

・採用競争力の強化(給与・福利厚生の向上、正社員雇用の促進、グループ一括の採用計画他)

・ビジネスと人権への取組(救済措置の周知・活用推進、人権デュー・ディリジェンスの着手他)

 

 

 

(3) リスク管理

a)気候変動に関するリスク・機会の抽出

当社グループでは、気候変動に関するリスク・機会の抽出に際して、バリューチェーン上のステークホルダー(サプライヤー、自社、顧客)ごとに移行リスクと物理リスクの各観点において検討いたしました。

 

<移行リスク(1.5℃シナリオ)>

    政策規制:GHG排出に関する規制強化

    市場  :エネルギー需給の変化/低炭素製品の需要変化

    技術  :次世代技術の進展・普及

    評判  :ステークホルダーの評判変化

 

<物理リスク(4.0℃シナリオ)>

    慢性  :地球温暖化による環境変化

    急性  :自然災害の激甚化

 

b)気候変動に関するリスク・機会の評価

当社グループでは、抽出したリスク・機会について、想定される事業への影響度の大きさと、その発現の可能性の2つの視点で評価・識別いたしました。

 

想定される影響度の大きさ

評価

影響の大きさ

評価視点

重大な影響

・売上高

・損失額

・事業の将来性

・企業のリソース(人材、技術、拠点など)

・コンプライアンス対応(法令/規制上の影響)

・ステークホルダーからの信頼

・顧客/企業ブランド/市場への影響

大きな影響

軽微な影響

 

 

想定される発現可能性

評価

発現時期

1~2年以内

2~5年程度先

5年以上先

 

 

(4) 指標及び目標

① 気候変動に関する指標及び目標

 当社グループは気候変動に関するリスク・機会を管理していくため、次のようにCО2排出量の削減目標を定め、実績を把握しております。

 

 

a)目標値

 削減目標の対象は、まずは自ら管理可能であるScope1・2とし、その達成目標年度は日本の排出削減目標に合わせて2030年度といたしました。また削減目標値はNear-term SBTに基づき1.5℃水準で毎期基準年度排出量の4.2%削減を満たす値を設定いたしました。(注) 1・2

 

対象

年度

目標

Scope1(事業者自らによる温室効果ガスの直接排出)・Scope2(他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出)の合計

2030年度

CO2排出量 2021年度比 38%削減

2050年度

カーボンニュートラルを目指す

 

 

b)実績及び見込値 (注) 3・4                            (単位:t-CO2e、%)

 

2021年度

(基準年)

2022年度(注)5

2023年度(注)6

実績

実績

基準年比

見込

基準年比

 

Scope1

87,408

90,364

+ 3.4

92,963

+ 6.4

Scope2

50,534

52,190

+ 3.3

30,931

△ 38.8

Scope1+2

137,942

142,554

+ 3.3

123,894

△ 10.2

 

 

c)参考値 (注) 3・4                                 (単位:t-CO2e、%)

 

2021年度

2022年度(注)5

2023年度(注)6

実績

実績

前年比

見込

前年比

Scope3

214,145

190,272

△ 11.1

175,434

△ 7.8

 

 

(注) 1.SBT(Science Based Targets)パリ協定が求める水準と合致した、企業が設定する温室効果ガス排出削減目標

2.基準年はSBTが推奨する直近年度にあたる2021年度としております。

3.査定対象は各年度(4~3月)の当社及び国内関係会社13社の合計。

4.Scope1・2・3の査定方法は「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量の査定に関する基本ガイドライン(Ver.2.6)」「サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位データベース(Ver.3.4)」及び当社算定手順書に準拠。

5.2021年度及び2022年度の排出量実績については、一般社団法人日本能率協会地球温暖化対策センターの検証を受け、限定的保証を受けております。

6.2023年度の見込値は前年度の算定方法に基づき当社が独自に判断した値であり、前年度同様に第三者機関の検証を受ける予定です。検証の結果、値に変更が生じた場合は、速やかに当社ホームページにて開示を行います。

 

② 人的資本に関する指標及び目標

指標

目標

実績

社員一人あたりの
年間教育研修時間(注)1

2030年度まで5
(2021年度比)

2023年度 1.11
 (2021年度比)

女性管理職比率(注)2

2030年度まで10

2023年度 3.07

 

(注) 1.対象は提出会社及び連結国内子会社であります。

2.対象は提出会社及び連結子会社であります。

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュフローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下の通りであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

[リスク管理の方針]

当社は企業価値の向上、資産の保全、事業の継続、ステークホルダーの信頼維持を目的として、事業活動を展開しております。それに対して予見することの難しい影響を、事業上のリスクととらえ、それが生じた際にもたらす脅威を低減し、また機会を獲得するため、取締役会自らが組織を指揮統制するリスクマネジメントを行っております。

 

[リスク管理の体制]

有効なリスクマネジメントを行うため、当社は取締役会の諮問機関として「リスク管理委員会」を設置し、「リスク管理委員会規程」を定め、当社グループ全体または横断的に潜在するリスクの識別、評価、対応策の検討、実施した対応策のモニタリングを行い、取締役会へ定期的に報告いたします。

取締役会では、リスク管理委員会の報告を受け、リスク対応を協議・承認し、各事業・各部門へその実行を指示いたします。その際、リスク対応策の実行性を高めるため、必要性に応じて、実行責任者や管轄部門を選定し、規程やマニュアルなど統制システムの整備を指示いたします。

監査等委員会では、当社のリスクマネジメント活動全体が有効に機能しているかを監査いたします。また監査室では、各事業・各部門への内部監査の一環として、リスク対応策の実行性を監査いたします。

 

 


 

 

[リスクの特定]

当社グループが展開する事業領域と地域において、また当社グループが重点的に取り組むべき課題として特定した5つのマテリアリティ(重要課題)において、想定されうる潜在的リスク及び過去に顕在化したリスクを考慮し、リスクの洗い出しを行いました。

それらを類似性や関連性により6つのカテゴリーに分類し、30のリスクとして特定いたしました。

 

分類

リスク

分類

リスク

・労務リスク

1. 人材流出、確保難による人材不足

コンプライアンスリスク

16.事業に関わる法令、規制変更・違反

2. 人材の育成不足

17.会計・税務関連法規制違反

3. 労務課題対応

18.情報漏洩・紛失

4. 労使問題

19.役職員の不正・贈収賄等

オペレーションリスク

5. サプライチェーンの寸断

20.訴訟被害

6. 製品/サービスの品質不備

政治

・経済

・社会

・技術リスク

21.進出国におけるカントリーリスク

7. 事故、火災等

22.国際間紛争・戦争、貿易摩擦影響

8. 特定事業への偏重

23.為替、株式、金利の変動

9. 事業の変動による事業用資産への影響

24.資金調達、資産・債務への影響

10.業務運用ミスによる損失

25.市場における競争

11.システムダウンによる業務障害

26.原油、原材料価格の変動

環境

・自然災害リスク

12.異常気象、大規模自然災害

27.テクノロジー、技術の変革

13.気候変動への対応・移行

ガバナンスリスク

28.経営の機能不全

14.生物多様性の喪失と生態系の崩壊

29.グループガバナンス不全

15.疫病の蔓延等の発生

30.M&A、事業提携

 

 

[リスクの分析]

特定したリスクに対し、当社グループにおける具体的な影響度と対応策を分析し、その重要度を図るため、当社グループの上級管理職を対象にアンケートを実施いたしました。

アンケートでは具体的なリスクごとに対し、「発生可能性」「影響度」「想定される具体的な影響」「有効な対応策」を挙げてもらい、582件の回答を得ました。

発生可能性と影響度はそれぞれ4段階で評価し採点。その際、影響度は傾斜配点といたしました。

 

発生可能性

 

影響度

10年に一度あるかないか

ほとんど事業に影響はない

数年に一度生じる程度

事業が潤滑に進まない程度の影響

年に1回生じる程度

事業の一部が稼働できないほどの影響

いつ発生してもおかしくない

事業を停止せざるを得ないほどの影響

 

 

 

[リスクの評価]

アンケートで挙げられたリスクごとにその「発生可能性」と「影響度」の平均点を算出し、それらを乗じた得点から、各リスクの重要性を一次評価といたしました。

一次評価の結果において、重要性が軽微なリスクを除き、内容が重複するリスクについては他のリスクと併合するなどし、結果22のリスクとして評価を行いました。

 

 


 

 

リスク評価の結果、当社グループにとって、甚大なリスク(発生可能性が高く、かつ事業継続が不可能)の発現は想定されないものの、重要なリスクや中程度のリスクが多数潜在していることが分かりました。

具体的には重要なリスクは5つ「人員・人材不足」「異常気象・大規模自然災害」「事故・火災等」「システム障害」「事業用資産・回収可能性」、中程度なリスクのうち、発生可能性の高いリスクは4つ「人材の育成不足」「労務課題」「業務サービスの品質低下」「役職員の不正」、また影響度の高いリスクは2つ「カントリーリスク」「M&A・事業提携」が挙げられました。

 

リスク評価結果を分布図で表示

 


 

 

 

[リスクの影響度と対応策]

リスク評価の結果、重要なリスクと、中程度のリスクのうち発生可能性もしくは影響度の高いリスクの具体的な影響と対応策を下表にまとめました。

 

区分

リスク

内容

影響度

影響

対応策

人材

・労務リスク

①人員

・人材不足

〔脅威〕

・慢性的な人員不足

・高齢化による退職者増

・労働条件による人材流出

重要リスク

〔可能性4〕

〔影響度4〕

・新規業務の見送りや既存業務の継続不能

・外注コスト増や、車両など資産回転の悪化

・人手不足を補うための長時間労働や休日出勤増と、従業員のストレスや離職者の増

・職場の人間環境の悪化

・業務品質低下による取引先信頼関係の喪失

・管理機能低下による、事故・不正の惹起や、品質クレーム対応コスト増

・非正規社員の正社員への登用

・従業員の所得・労働時間・福利厚生など処遇改善

・適正な料金収受

・人材育成のための人的資本投資増

・多様な人材や多様な働き方の推進

・システム化・機械化による省力/省人化

・ハラスメント研修の充実

・従業員とのコミュニケーション充実

②人材の育成不足

〔脅威〕

・管理者の育成不足

・新人教育の負担増

中程度リスク

〔可能性4〕

〔影響度2〕

③労務課題

〔脅威〕

・長時間労働の発生

・ハラスメントの惹起

中程度リスク

〔可能性4〕

〔影響度2〕

・ドライバーの時間外労働上限規制や、労使協定違反による行政処分

・ハラスメントによる人権侵害

 

オペレーションリスク

④事故

・火災等

〔脅威〕

・重大な事故の惹起

・倉庫・事務所の火災

・倉庫の設備事故

重要リスク

〔可能性2〕

〔影響度4〕

・人命・人身への影響

・倉庫・事務所、設備、車両の損壊、受託品損失

・社会的責任に加え、刑事処分や行政処分

・取引先信頼関係の喪失、取引停止

・損害賠償責任と、保険コスト増加

(事故防止)

・安全最優先の運行管理

・安全と技術の教育と、安全意識の浸透

・システムによる安全性向上とドライバー負担軽減

(火災・設備事故防止)

・定期点検や設備メンテナンスの徹底

・避難訓練、巡回・監視、注意喚起の徹底

(共通)

・必要充分な保険加入

 

⑤システム障害

〔脅威〕

・業務系システム障害

重要リスク

〔可能性2〕

〔影響度4〕

・業務サービスの不能、業務停止

・取引先信頼関係の喪失

・業務煩雑化による長時間労働や休日出勤の増と、従業員のストレス増や離職者増

・損害賠償や労務コスト、外注委託コスト増

 

・データバックアップ、冗長性確保、システム監視の強化、十分な保守サービス、セキュリティ対策強化

・クラウド型の業務サービスやクラウドサーバーの更なる活用

・従業員の情報リテラシー向上

・システムBCPの整備

 

 

区分

リスク

内容

影響度

影響

対応策

オペレーションリスク

⑥事業用資産への影響

・回収可能性

〔脅威〕

・取扱品目の動静

・大口取引先の変動

重要リスク

〔可能性3〕

〔影響度4〕

・市況・嗜好変化や、農作物の豊凶、畜・酪農品の事故(伝染病等)影響による、収入減、事業用資産の減損など

・大口取引先の契約終了や信用悪化による収益への影響

 

・リスクを考慮した投資計画の作成

・本社本部機能の現場バックアップ

・計画と乖離した場合の迅速な対応策

〔機会〕

・新規の取扱品目や取引先の開拓

 

・初期投資やイニシャルコストを十分に勘案したうえで、事業ポートフォリオを堅牢にし、成長戦略を推進する。

 

⑦業務サービスの品質低下

〔脅威〕

オペレーションミスによる過失(誤出荷・誤納品、温度管理不備、汚破損、騒音、など)

中程度リスク

〔可能性4〕

〔影響度2〕

・社会的責任

・営業継続不可

・受託品損失、業務サービス不履行

・取引先信頼関係の喪失、取引停止

・損害賠償責任と、保険コスト増

 

・従業員教育の徹底

・品質管理と内部統制の強化

・各ステークホルダーとの良好なコミュニケーション維持

・システム化による現場教育の効率化・標準化

・近隣や地域社会への配慮と共存

 

環境

・自然災害

⑧異常気象

・大規模自然災害

〔脅威〕

・地震、津波、台風、火山噴火、集中豪雨、大雪などと、それに伴う道路損傷、大規模停電、通信障害など

重要リスク

〔可能性3〕

〔影響度6〕

・従業員やその家族の人命・人身への影響、安全な暮らしの脅威

・出社・勤務不能

・倉庫・事務所、施設、車両の損壊、受託品の損失

・事業継続の不能(入出庫など情報流の停滞、安全な配送ルートの確保困難、燃料確保困難、電源喪失による温度管理不能など)

・運輸防災マネジメントの整備

・避難訓練、ハザードマップの確認

・燃料インタンクなどの施設、防災用品・水・食料等の備蓄

・必要十分な保険加入

・BCPの整備

・従業員安否確認網整備

・自家発電や蓄電池の活用

・ドライバー向け防災品、簡易トイレなどの配備

 

コンプライアンス

⑨役職員の不正

〔脅威〕

・横領、着服、改ざん、隠蔽、贈賄など

中程度リスク

〔可能性3〕

〔影響度2〕

・行政処分や許認可取り消しによる事業停止

・上場廃止など企業価値毀損

・取引先信頼関係の喪失、取引停止

・風評による取引影響

・従業員のエンゲージメント減退、離職者増加

 

・コンプライアンス遵守の教育

・規則に則った賞罰

・内部通報など救済手段の周知

・内部統制機能と社内監査体制の強化

・定期的な人事異動

 

 

区分

リスク

内容

影響度

影響

対応策

政治

・経済

・社会

・技術

⑩カントリーリスク

〔脅威〕

・進出国におけるカントリーリスク

中程度リスク

〔可能性1〕

〔影響度4〕

・進出国における経済成長の変化、為替レートの変動、政治・経済情勢の混乱、法律や政策の変更、不適切な商慣習の存在、テロ活動、伝染病等による事業運営への支障

・駐在員やその家族と、現地従業員の人命・人身への影響

 

・国際動向の適時適切な把握と、本社に

 よるバックアップ体制

・変動余地を勘案した事業計画・運営

ガバナンス

⑩M&A

・事業提携

〔脅威〕

・被買収リスク

中程度リスク

〔可能性1〕

〔影響度6〕

・公開企業としての被買収リスク

・中長期の企業価値向上

・株主価値の向上

・株主との建設的な対話

 

 

また事業活動とは別に、当社グループが保有する資産の価値変動に対するリスクは、その発生可能性などの評価に関わらず、当社グループに影響を及ぼす可能性がある。

 

リスク

内容

影響

投資有価証券の価値変動

〔脅威〕

・将来の株式市場の変化

・投資先の財務状況の悪化

・時価のあるものは時価が30%以上下落した場合に減損処理

・時価のないものは当該会社の純資産価値が50%以上下落し、
かつ回復可能性が見込めない場合に減損処理

 

 

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における日本経済は、新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴い社会活動が本格的に再開する一方で、不安定な国際情勢等を背景とした原材料・エネルギー価格の高止まりや、円安の更なる進展、人件費の高騰等に伴う継続的な物価上昇の中、個人消費は伸び悩み、景気は依然として不透明な状況が続いております。

当社グループが主軸をおく低温食品物流業界におきましては、食品メーカーを中心にコスト増加に対応した価格改定が進捗する中、消費者においては節約志向や選別消費の傾向が根強く、市販用冷凍冷蔵食品の取扱物量は伸び悩みの状況が続いている一方で、人流の活性化に伴い、業務用食品の取扱物量は回復傾向にあります。

このような社会・経済環境の変化を踏まえ、当社グループは、2022年4月より第三次中期経営計画(2022年度~2024年度)を推進しております。基本方針として「新たなコールドチェーンのニーズをつなぐ持続可能な低温物流の実現」を掲げ、成長著しいEC関連物流や医薬品物流といった新規事業の拡大、新規拠点の設立をはじめとした既存物流事業の強靭化に取り組んでまいりました。

また、低温商材の流通チャネルの多様化などの環境変化を踏まえ、2023年6月16日に開示しましたとおり、第三次中期経営計画(2022年度~2024年度)につきまして、2025年度を最終年度とする3カ年計画として見直しを実施いたしました。当社グループが誇るチルド・フローズンの物流機能を通じ、食のライフラインの維持と豊かな社会の実現を達成するための各種施策の展開は当初計画通り継続しつつ、以下の項目を重要施策として追加し、これらを実現するために、約100億円の追加投資を実施してまいります。

 

 サステナビリティ関連として、環境対策に資する新技術の開発とその導入及び省力化・省人化による生産性の向上にかかる投資

② 成長分野(海外・EC・医薬品等)における投資の促進や他社との協業・提携なども視野に入れた成長スピードの加速

③ 既存事業の強靭化に資するM&Aなどを活用した更なる収益力の強化と事業の拡大

 

以上の結果、当連結会計年度の業績につきましては、営業収益は1,160億28百万円(前年同期比2.4%増)営業利益は47億77百万円(前年同期比8.5%増)経常利益は51億94百万円(前年同期比5.3%増)となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、32億83百万円(前年同期比7.4%増)となりました。

 

セグメント別の経営成績を示すと、次のとおりであります。

 

a.TC事業(通過型センター事業)

コンビニエンスストアや量販店におけるチルド食品の取扱物量の回復は緩やかではあったものの、コストアップに応じた適正料金の収受に加え、新規業務の獲得やEC関連物流業務の拡大により、営業収益は743億53百万円(前年同期比2.7%増)となりました。
 セグメント利益につきましては、従業員の処遇改善や正社員化促進ならびに人員確保を背景とした労務費の増加や、燃油単価の高騰による燃料費の増加があったものの、車両メーカーの供給体制に起因する買い替えの遅延などが営業原価の上昇を抑制したこと、また成長分野を含めた収益性の高い業務の取込・拡大が利益を押し上げたことで、42億16百万円(前年同期比23.3%増)となりました。

 

b.DC事業(保管在庫型物流事業)

市販用冷凍食品の出庫物量が低調に推移したこと、ならびに一部取引先の物流再編の影響による減収要因はあったものの、業務用冷凍食品の物量回復や、コストアップに応じた適正料金の収受、前期中に稼働開始した物流施設における物量増加により、営業収益は396億99百万円(前年同期比1.3%増)となりました。
 セグメント利益につきましては、電力契約変更などによる動力費の減少はあったものの、人員確保に伴う労務費の増加や新規物流施設稼働に伴う償却負担増加等により、46億70百万円(前年同期比7.7%減)となりました。

 

c.その他

警備輸送業・病院等関連物流業・人材派遣業・保険代理店業等により営業収益は19億75百万円(前年同期比9.5%増)、セグメント利益は2億9百万円(前年同期比24.1%増)となりました。

 

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物の期末残高(以下、「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ42億46百万円増加し124億14百万円となりました。
 当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた「資金」は、81億23百万円(前年同期 90億51百万円の資金の獲得)となりました。

これは主に、「税金等調整前当期純利益」及び「減価償却費」等、資金の増加によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動に使用された「資金」は、80億67百万円(前年同期 58億32百万円の資金の使用)となりました。

これは主に、「有形固定資産の取得による支出」等、資金の減少によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果得られた「資金」は、41億89百万円(前年同期 8億78百万円の資金の使用)となりました。

これは主に、「自己株式の取得による支出」等、資金の減少はあるものの、「長期借入れによる収入」等、資金の増加によるものであります。

 

(参考) キャッシュ・フロー関連指標の推移

 

2021年3月

2022年3月

2023年3月

2024年3月

自己資本比率             (%)

50.0

50.7

51.3

43.5

時価ベースの自己資本比率       (%)

53.2

33.6

34.0

62.9

キャッシュ・フロー対有利子負債比率  (年)

2.1

2.3

2.3

4.1

インタレスト・カバレッジ・レシオ   (倍)

39.2

37.3

37.2

27.1

 

自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

(注)1.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

2.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。

3.営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を払っているすべての負債を対象としております。また利払いについては連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

 

③生産、受注及び販売の状況

a.営業収益実績

当連結会計年度の営業収益実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

なお、当社グループの事業内容は、輸配送、保管、荷役等の物流サービスであり、生産、受注及び販売に該当する金額あるいは数量は開示しておりません。

セグメントの名称

営業収益(百万円)

前年同期比(%)

TC事業

74,353

102.7

DC事業

39,699

101.3

その他 

1,975

109.5

合計

116,028

102.4

 

(注) 1.金額はセグメント間の内部振替前の数値によっております。

2.主要受託先別の営業収益実績及び当該営業収益実績の総営業収益実績に対する割合は次のとおりであります。

受託先

前連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

三菱食品株式会社

14,461

12.8

15,130

13.0

 

 

b.外注実績

当社グループは、保管・荷役及び輸配送等の一部を外注に依存しております。

当連結会計年度における外注実績をセグメントに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

外注比率(%)

前年同期比(%)

TC事業

20,012

26.9

100.4

DC事業

10,552

26.6

101.3

その他

205

10.4

130.3

合計

30,770

26.5

100.8

 

(注) 1.外注比率は事業の種類別セグメントの営業収益実績に対する外注実績の割合であります。

2.外注内容は主に外注配送、外注倉庫、外注荷役、外注委託作業であります。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
 
① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって採用した重要な会計方針等につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表(注記事項)(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載し、会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表(注記事項)(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

なお、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り

 及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、以下のとおりであります。
 
経営成績の分析
(連結営業収益)

当連結会計年度における営業収益は、食品メーカーを中心にコスト増加に対応した価格改定が進捗する中、消費者においては節約志向や選別消費の傾向が根強く、市販用冷凍冷蔵食品の取扱物量は伸び悩みの状況が続いている一方で、人流の活性化に伴う業務用食品の取扱物量の回復傾向により、1,160億28百万円(前年同期比2.4%増)となりました。各報告セグメントの外部顧客に対する営業収益に占める割合は、TC事業64.1%、DC事業34.2%、その他1.7%となりました。

(連結経常利益)
 当連結会計年度における経常利益は、人員確保を背景とした労務費の増加や、燃油単価の高騰による燃料費の増加があったものの、車両メーカーの供給体制に起因する買い替えの遅延などが営業原価の上昇を抑制したこと、また成長分野を含めた収益性の高い業務の取込・拡大が利益を押し上げたことなどにより、51億94百万円(前年同期比5.3%増)となりました。
 

財政状態の分析

(資産)

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ141億55百万円増加1,055億6百万円となりました。このうち流動資産につきましては、前連結会計年度末に比べ63億70百万円増加275億59百万円となりました。これは主に現金及び預金が42億46百万円増加したことなどによるものであります。また、固定資産につきましては、前連結会計年度末に比べ77億84百万円増加779億47百万円となりました。これは主に建物及び構築物(純額)が61億2百万円、リース資産(純額)が17億円増加したことなどによるものであります。

(負債)

負債は、前連結会計年度末に比べ150億1百万円増加587億5百万円となりました。このうち流動負債につきましては、前連結会計年度末に比べ41億63百万円増加211億57百万円となりました。これは主に短期借入金が5億87百万円、1年内返済予定長期借入金が9億83百万円、その他で19億17百万円増加したことなどによるものであります。また、固定負債につきましては、前連結会計年度末に比べ108億38百万円増加375億47百万円となりました。これは主に長期借入金が89億89百万円、リース債務が19億52百万円増加したことなどによるものであります。

 

 (純資産)

純資産は、前連結会計年度末に比べ8億46百万円減少468億1百万円となり、自己資本比率は43.5%となりました。

 

キャッシュ・フローの分析

当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、労務費、外注費であります。投資を目的とした資金需要は、設備等によるものであります。

短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入金を基本としており、設備投資につきましては、自己資金及び金融機関からの長期借入金を基本としております。

資金需要を満たすための資金は、原則として、営業活動によるキャッシュ・フローを財源としますが、巨額の資金需要に対応する場合等は、円滑な事業活動に必要なレベルの流動性の確保及び財務の健全性・安定性を維持するため、金融機関等から借入等を行う方針であります。資金調達を行う際は、期間や国内の市場金利動向等、また自己資本比率、DEレシオ(負債資本倍率)やROEといった財務指標への影響度等を総合的に勘案しながら、最適な調達を実施しております。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。