(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、以下の経営理念のもと、長年培ってきた開発力・技術力を基盤として、優れた品質の製品を安定供給することにより、顧客満足度の向上を図るとともに、取引先・協力会社・地域社会・投資家の皆様方及び従業員からの信頼と期待に応えられる企業を目指しております。
〔経営理念〕
Safety & Medical Healthcareを通して科学技術の向上を図り人類に貢献する。
当社グループでは、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等を、売上高及び営業利益としております。将来的には、運転資本の圧縮と合わせ営業キャッシュ・フローの拡大を図り、その範囲内で成長のための投資を実現することで、資本効率を着実に向上させていく所存です。常に付加価値の高い製品・サービスを提供できるよう努めるとともに、営業利益の絶対額を高めるべく事業規模を拡大していくことで、企業価値の最大化を図ってまいります。
当社グループは、縫製工程の自動化に取り組む縫製自動機を開発・製造し、これらを導入した製造ラインを用いて主にメディカルヘルスケア事業、セイフティシステム事業、その他事業として、各分野毎の縫製品製造を展開しております。中長期的には、あらゆる縫製自動化のニーズに応えるべく、高機能な縫製自動機の開発により、顧客の縫製工程の自動化に貢献していくこと、縫製品事業においては、血圧計腕帯のほか、カーシート及びエアバッグの事業拡大を重点課題とし、将来の成長に向けて取り組んでまいります。当社グループの今後の更なる成長と発展のため、「(4)経営環境並びに事業上及び財務上の対処すべき課題」に記載した事項の対応が経営戦略上、重要であると認識しております。
我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響緩和により社会経済活動の正常化が進み、インバウンド需要にも支えられ堅調に推移しました。一方、日米金利差に起因する円安の進行やウクライナ・中東情勢の不安により資源・エネルギー価格の高止まりや急激な物価上昇の影響が顕在化しており、先行き不透明な状況が続いております。
このような状況の中、当社グループにおいては既存事業の拡大のほか、新規事業への進出にも積極的に取り組むことで、持続的な成長を目指してまいります。そのためにも財務面においては、手元の資金を充実させ、厚めの資金量を確保してまいります。
また、縫製にまつわる業界においては、人手不足を背景に縫製機器の自動化への需要が高まっております。工程の自動化技術が日々進化していく中で、裁断から縫製までの工程を揃える技術と特許を活かした当社グループ製品は顧客の生産力向上に貢献できるものと考えております。
当社グループは事業環境の変化に柔軟に対応し、事業基盤を一層拡大していくため、以下の課題に取り組んでまいります。
当社グループ各事業の持続的発展のためには、技術競争力に裏打ちされた様々な研究開発が必須であります。当社グループが縫製品の自動化に携わること30年以上、様々な顧客(メーカー等)のニーズに対応するべく、3D縫製用の双腕ロボットによる縫製自動機、エアバッグ用2ヘッド自動縫製ステーション及びエアバッグ用新型リニア式レーザー裁断機等の高い水準の技術及び知識の蓄積を行ってきました。これまで培った技術競争力を活かすとともに、ベトナムに設置したMATSUYA INNOVATION CENTER(以下、MIC)が中心となって自動化、省力化のための縫製技術を備えた製品開発を推し進め、更には次世代技術(AI搭載の縫製自動機等)の研究開発を進めると同時に技術者の育成にも努めてまいります。
当社グループの属する市場は日々変化しております。こうした市場環境の変化に柔軟に対応した製品を常に供給できるよう、開発パートナーの開拓や業務提携等による協力関係の強化、更には積極的な採用活動や社内教育体制の強化などを行い、生産体制の構築・強化を進めてまいります。また、製造工程における新たな縫製自動機などの導入も順次検討し、更なる生産能力の強化を図ってまいります。
当社グループが掲げている経営理念「Safety & Medical Healthcareを通して科学技術の向上を図り人類に貢献する。」のもと、当社グループによって生産された製品は最終ユーザーである個人の人命に係わる製品が多くあります。
現在ISO9001及びIATF16949を取得し、品質の管理・徹底を継続的に図っておりますが、今後は更なる製品品質の向上と顧客満足度の向上を保証する品質管理体制の強化を継続するとともに、当社グループ各部門の連携をより強化することで、当社グループ全体の品質レベルを向上してまいります。
当社グループは、これまで特定の取引先との取引の依存度が高い状態にありましたが、当該状況を解消すべく取引先の増加に取り組んでまいりました。その結果、食品業界など異業種からも依頼が増加しており、一定の成果を得るに至りましたが、更なる基盤の構築に向けて新規案件・新規顧客を獲得していくことが課題と認識しております。そのため、当社グループでは、既存取引先との取引拡大に加え、人材採用・育成体制の整備等により営業体制の強化を進め、新しい販路の開拓等、様々な取引先増加に向けた施策を実行してまいります。
日々変化する市場環境に対応するために、適切な判断と迅速な行動を兼ね備えた営業力の強化が必要であると考えております。今後、海外市場で大きな需要が見込まれることから、外国人の採用など人材の多様化を進め、優秀な人材を継続的に採用するとともに、社内教育・育成も進めてまいります。あわせて、海外での営業所設置など営業拠点強化にも努めてまいります。
収益力の強化のためには、各種コストの低減が重要課題の一つであると認識しており、最適な調達体制・生産体制を構築する必要があります。そのために、生産技術力の向上による生産効率の良い生産体制を構築し、各種コストの低減に取り組んでまいります。
現在、当社グループの保有する生産技術を次の世代に確実に継承するだけでなく、今後の当社グループの事業の中核を担う人材の確保と育成が急務であると考えております。それに合わせて、従業員の実績を適切に評価できる人事評価体制を整備し、経営環境の変化に対応できる人材育成体制の構築に取り組んでまいります。
当社グループは、企業価値向上のためにはコンプライアンスの徹底が必要不可欠であると考えております。
このため、会社法、金融商品取引法及びその他法令を遵守するコンプライアンス体制を継続して強化していくとともに、内部牽制が機能する管理体制を構築することで、株主や取引先など、全てのステークホルダーの信頼に応える組織を目指してまいります。
また、これらの管理体制を継続的に維持するため、毎年全役職員を対象にコンプライアンス研修を実施してまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末時点において当社グループが合理的と判断する一定の前提に基づいて判断したものであり、実際の結果とは様々な要因により異なる可能性があります。
(1)サステナビリティに関する基本的考え方
当社グループにとってのサステナビリティとは、「Safety & Medical Healthcareを通して科学技術の向上を図り人類に貢献する」の経営理念のもと、ESG(環境・社会・ガバナンス)の視点を重視した、持続的な成長が可能な経営を目指すことであると考えております。
当社グループでは、地球環境や社会課題への対応など、持続可能な社会へ貢献することが、企業の持続可能性の向上や企業価値向上につながるものとの認識しております。
サステナビリティついては、リスク管理担当役員より当社グループを取巻くサステナビリティを巡る課題について定期的に監視・管理されており、子会社を含む各部門の課題について共通認識を得たうえで、原則四半期に1回開催される「コンプライアンス委員会」にて、これらの対応策について協議・検討し、必要に応じて取締役会に報告及び提案しております。
イ.気候変動
現在、当社グループにおいては自社の事業活動が環境に与える影響が大きいと考えられる「CO2排出」削減が重要課題の一つとして挙げられております。その中で、当社グループにおけるCO2排出量のうち、「電力」が95%以上を占めており、事業拠点別にみるとグループにおける電力使用量の90%以上をベトナムで使用しております。
当該状況を踏まえ、当社グループではベトナムでの電力使用量を中心にCO2排出削減を図ってまいります。
ロ.人材の育成及び社内環境整備
当社グループの人材育成方針としては、自らが主体性をもって取組めるように社員の自主性を尊重し、積極的に活躍の機会を提供し、昇進・昇格の拡大と早期化を図り、将来の管理職、経営層の育成を行う方針です。また、当社グループは海外での事業展開が主となっていることから、中途採用も活用しながら、海外でも活躍できる人材を集め、事業拡大につなげていく予定です。
また、年功序列ではなく、個人の能力に応じた評価を行い、成果に応じて報酬等の処遇に反映できるような人事制度を構築しているほか、業務に関連する研修受講や資格取得に対する費用面のサポートを実施しております。
当社グループを取り巻くサステナビリティリスクについて、顧客行動・政策・法規制の強化、投資家からの要請などの影響範囲を定義し、特定されたリスク・機会は、「コンプライアンス委員会」において全社的なリスク管理体制のもと定期的に報告協議し取締役会に報告・提言しております。
イ.気候変動
当社グループにおいてはエネルギー効率の削減、再生可能エネルギーの使用によりScope1及びScope2の削減に向けた取組を行っております。その中で、CO2排出削減についての指標及び目標としてはCO2排出削減率を中心に検討してまいります。なお、現時点でのScope1、Scope2におけるCO2排出量の実績は下記の通りです。なお、下記CO2排出量は弊社の国内拠点及び海外拠点を対象に算定を行っております。
ロ.人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績、指標及び目標
当社グループにおいては、中途採用を積極的に活用しており、特に事業拡大にあたって重要な役割を担う即戦力を前提とした中途採用に注力しております。
前連結会計年度及び当連結会計年度における中途採用実績は以下のとおりであります。
今後の人材育成及び社内整備に関する指標並びに目標については検討中であり、今後拡充を図ってまいります。
なお、人材育成のための具体策については外部研修機関の積極的な活用や法改正に対する社内での説明会の開催を行うほか、資格取得に対しては費用面のサポートに取り組んでおります。
また、健康経営を目的とした全従業員の定期健康診断実施を行っており、従業員個々の要望に応じて診断項目を追加選択できるほか、オンライン診療サービスを開始しました。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、当社グループはこれらのリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存でありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本書内の本項以外の記載内容も併せて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループ製品の売上は、主な得意先であるヘルスケア業界及び自動車業界の景況による影響を大きく受けるため、当該業界を取り巻く事業環境等が、当社企業グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。ヘルスケア部品及び自動車部品の生産はグローバル化が進んでおり、海外生産品の品質、価格、納期などの変化、産業の生産方針の変更及び技術革新等により、当社グループ製品・技術がそのニーズを満たさない、あるいは市場から認められない場合には、当社グループの販売戦略及び事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループにおいて、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ 生産、受注及び販売の実績 ハ.販売実績」に記載のとおり、特定顧客への取引依存度が高い状況にあります。
特に当社グループはオムロングループに対して、当連結会計年度において3,666,823千円(連結売上高の43.5%)の売上高があります。また、当社グループは高力科技発展(大連)有限公司へオムロングループ向けの半製品を供給しており(当連結会計年度で売上高1,714,488千円)、当該取引を含めた合計の売上高は当連結会計年度において5,381,312千円(連結売上高の63.8%)となります。
当社グループとしては、特定顧客への取引依存度を引き下げるべく顧客基盤の拡大に努めておりますが、売上比率が高い顧客の事業環境が大幅に悪化した場合や、当該顧客が事業から撤退した場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは縫製品事業の生産の大半を子会社であるMatsuya R&D(Vietnam)Co.,Ltd.が行っており、生産拠点が集中しております。
政治的要因による法的規制や商慣習等の違いから予測不能な事態が生じた場合や、感染症、地震等の自然災害などにより工場の操業の中断を余儀なくされた場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
現在、当社グループは、販売の大半を海外市場に依存しておりますが、工業用ミシンを使用する縫製産業は、労働集約型産業の典型であることから、賃金水準の低い国・地域がその主要な生産地となっており、各国の縫製産業に対する政策の違いや物流面の条件などにより、生産拠点が特定の国・地域に集中する傾向も見られます。当社グループの販売先であるこのような国々の中には政治的、地政学的、経済的に不安定な国もあり、労働争議、テロ、戦争、内戦、通貨危機、感染症等の疫病の流行、地震等の自然災害などによっては、為替取引の凍結、債務不履行、投資資産の接収などにより、事業継続や海外拠点経営が困難になる可能性があります。
さらに、各国の繊維製品の輸出入に関する規制の強化、あるいは急激な規制緩和が実施されることにより、工業用ミシン市場の需給関係が崩れ、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、移転価格税制等をはじめとする規制・税制等の変更のような、予測できない事態の発生により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの主な得意先はヘルスケア業界及び自動車業界に属しており、品質については国際標準化機構(ISO)などの品質管理手法を活用するなど管理を徹底し、品質管理に万全を期しておりますが、万が一、提供した製品が顧客の要求する水準に満たない場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、下記の認証等については当社グループの主要な事業活動となる血圧計腕帯を納品しているオムロングループとの取引開始及び継続にあたっての前提となります。今後、当該認証等について、各認証機関の定める取消事由に該当する場合は当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。本書提出日現在、当該認証の継続に支障を来す要因は発生しておりませんが、当該認証の継続に支障を来す要因が発生した場合には、事業活動に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(6)顧客からの受託生産について
当社グループの縫製品事業の取引では、血圧計腕帯、カーシート及びエアバッグ等の縫製を顧客から受託しております。当社グループとしては顧客とのコミュニケーションを密にし、先方からの内示に基づき生産数を管理しておりますが、予期せぬ仕様変更や顧客動向の変化により想定どおりの生産数を確保できなかった場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの縫製自動機事業の取引では、受注案件毎の利益率は一定ではありません。したがいまして、個別受注案件の積み上がり状況によって当社グループの四半期毎の利益率が変動する可能性があります。
また、戦略的に不採算案件を受注する場合や、案件によっては顧客への納期変更や大幅な仕様変更などにより当初の見積り以上にコストが増加する場合があります。
当社グループにおきましては案件ごとに採算性を管理しており、低採算及び採算割れが継続する場合は受注額の交渉等を行ってまいりますが、想定以上に不採算案件が積み重なった場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、受注契約案件のうち、期末時点で将来の損失が見込まれ、かつ、その損失を合理的に見積もることが可能なものについては、当該損失見積額を受注損失引当金として計上しておりますが、当連結会計年度においては計上はございませんでした。
(8)研究開発について
当社グループとしては縫製自動機事業において、研究開発部門への重点的な資源配分を実施することで、付加価値と特長ある製品を開発し、市場投入してまいります。しかしながら、研究開発への資源配分及び研究開発のための人材確保の努力を継続する一方、技術革新に追い付き顧客や市場の需要を満たす魅力的な新製品を開発できなかった場合又は研究開発の成果である新製品の市場投入もしくは市場浸透が遅れた場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(9)為替リスクについて
当社グループは数多くの海外顧客と取引をしております。海外顧客との取引は外貨建て取引を採用しておりますが、現時点では為替リスク対策をとっていないことから急激な為替変動による為替リスクが生じる可能性があり、為替損失等が発生した場合には当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。そのため、為替予約を行うことについては、引き続き検討してまいります。
当社グループは、重要ポストへの人材登用、業務内容に応じた適切な人員配置を行っており、現時点の規模においては、適切かつ組織的な対応に十分な人員であると考えております。また、今後は事業の拡大に併せて、人材の育成、人員の増強及び内部管理体制の一層の充実を図る予定であります。
しかしながら、何らかの事情により相当数の従業員が短期間のうちに退職する場合や、人材の確保・育成が予定どおり進まない場合には、業務運営の効率性が低下するおそれがあり、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、顧客に対して与信限度額を定めるとともに、回収方法として前受金の取得を取り入れることなどでリスク対策を実施しております。
しかしながら、このような管理により取引先の信用リスクを十分に回避できる保証はありません。
また、一定の前提、見積り及び評価が正しいとは限らず、経済状況が悪化する場合やその他の予期せぬ要因により悪影響を被る場合等においては、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの固定資産の時価が著しく下落した場合や事業の収益性が悪化した場合には、減損会計の適用により固定資産について減損損失が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、他社と差別化できる技術とノウハウの蓄積に努めており、自社が保有する技術等については特許権の取得により保護を図るとともに、他社の知的財産権を侵害することのないようリスク管理に取り組んでおります。
しかしながら、当社グループが販売している製品や、今後販売する製品が第三者の知的財産権に抵触する可能性を完全に排除することができず、訴訟を起こされる可能性もあります。
これらの要因が当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、法令及び契約等の遵守に努めておりますが、事業活動を進めていく上で顧客等から訴訟を受ける可能性や、訴訟に至らないまでも紛争に発展して請求等を受ける可能性があります。また、それらの訴訟等で当社グループが勝訴するという保証はなく、それらの訴訟等が当社グループの将来的な事業活動に悪影響を与える可能性があることは否定できません。
そのような場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、顧客、個人情報及び受託業務に係る情報を厳格に管理しておりますが、万一このような情報が外部に流出した場合、当社グループの信用が失墜し、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(16)法的規制等について
当社グループの事業に関する許認可等の直接的な法的規制はありませんが、当社グループは、製造分野における特許関連法規、工場運営における環境関連法規、人事労務における労務関連法規、その他の法的規制を受けております。当社グループが各種の法的規制を遵守できなかった場合、又は、各種の法的規制等の変更や新たな法的規制の制定が想定を超える範囲で実施された場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループのうち、当社は、ISOが定める品質管理基準に基づいて縫製自動機の製造を行っており、当該設備を使用する作業者の安全面についても、配慮に努めております。しかし、機械の誤操作や誤作動等により、作業者の安全を完全には確保しきれない恐れがあり、契約不適合を追及される可能性を排除しきれません。
なお、当社は生産物賠償責任保険に加入しておりますが、事故の内容等によっては賠償額を十分に支払えない可能性があります。その結果として、製造物責任訴訟等の訴訟発生の可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、福井県大野市、ベトナム社会主義共和国ドンナイ省、ミャンマー連邦共和国ヤンゴン市、宮城県栗原市に工場を有しておりますが、同地域で想定を超える地震等の自然災害が発生し、工場の生産能力が減少もしくは無くなった場合には、当社グループの事業の推進及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、新型コロナウイルス感染症拡大の波はようやく落ち着きを取り戻しましたが、感染の再拡大や新たな感染症が発生し、当社グループの生産体制、営業活動等の事業活動の継続に支障が生じた場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。
当連結会計年度末における流動資産は、前連結会計年度末に比べて730,381千円増加し、6,973,029千円となりました。これは主として現金及び預金が93,430千円減少したことに対して、売掛金が332,442千円、契約資産が56,027千円、商品及び製品が124,627千円、仕掛品が65,379千円、原材料及び貯蔵品が198,910千円、その他流動資産が51,917千円それぞれ増加したことなどによるものであります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べて448,724千円増加し、2,949,615千円となりました。これは主として連結子会社Matsuya R&D (Vietnam)Co.,Ltd.の新工場が完成し旧工場から移転したことにより建設仮勘定が1,599,627千円、使用権資産が130,568千円それぞれ減少したことに対して、建物及び構築物が1,318,933千円、土地使用権が937,132千円それぞれ増加したことなどによるものであります。
この結果、当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べて1,179,106千円増加し、9,922,644千円となりました。
当連結会計年度末における流動負債は、前連結会計年度末に比べて1,619,035千円減少し、2,801,257千円となりました。これは主として支払手形及び買掛金が64,751千円、1年内返済予定の長期借入金が99,998千円それぞれ増加したことに対して、電子記録債務が41,426千円、短期借入金が1,510,000千円、未払金が50,246千円、リース債務が149,280千円、未払法人税等が48,382千円それぞれ減少したことなどによるものであります。
固定負債は、前連結会計年度末に比べて1,379,647千円増加し、1,927,746千円となりました。これは主としてリース債務が130,420千円減少したことに対して、長期借入金が1,445,840千円、繰延税金負債が48,065千円がそれぞれ増加したことによるものであります。
この結果、当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末に比べて239,387千円減少し、4,729,003千円となりました。、
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べて1,418,493千円増加し、5,193,641千円となりました。これは利益剰余金の配当により26,408千円減少したものの、譲渡制限付株式報酬による新株発行及び新株予約権の行使により資本金及び資本剰余金がそれぞれ11,488千円、為替換算調整勘定が468,695千円増加したこと、並びに親会社株主に帰属する当期純利益を953,230千円計上したことによるものであります。また、減資により資本金298,772千円をその他資本剰余金に振替えております。
この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の43.2%から52.3%となりました。
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響緩和により社会経済活動の正常化が進み、インバウンド需要にも支えられ堅調に推移しました。一方、日米金利差に起因する円安の進行やウクライナ・中東情勢の不安により資源・エネルギー価格の高止まりや急激な物価上昇の影響が顕在化しており、先行き不透明な状況が続いております。
このような状況の中、当社グループにおいては、9月にMatsuya R&D(Vietnam)Co.,Ltd.の新工場が稼働を開始し、順調に生産を続けております。メディカルヘルスケア事業の血圧計腕帯については円安の影響のほか、省人化・業務効率化の推進により増収増益となりました。セイフティシステム事業については、カーシートにおいて新規顧客の出荷が本格化したこと、エアバッグにおいても既存顧客の数量増加や新規顧客の量産が本格化したことから増収増益となりました。また、縫製自動機では、継続してインド向け大型エアバッグ製造ラインに注力しました。
そのほか、リハビリロボット関連では理学療法学会等での企業出展ブースに、リハビリ用ロボット「LunaEMG」の製品紹介やデモンストレーションを実施したほか、関西圏の病院において当該ロボットのトライアル貸出しを行うとともに、患者様にも試用いただくなど積極的な販促活動を進めてまいりました。
この結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高8,433,569千円(前年同期比17.7%増)、営業利益1,283,163千円(前年同期比109.7%増)、経常利益1,307,490千円(前年同期比93.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は953,230千円(前年同期比123.9%増)となりました。
なお、当連結会計年度における各セグメントの概況は、次のとおりであります。
メディカルヘルスケア事業につきましては、円安の影響及び省人化・業務効率化の推進により、売上高・利益ともに増加しました。
以上の結果、売上高は5,374,984千円(前年同期比4.7%増)、セグメント利益は1,392,689千円(前年同期比14.1%増)となりました。
セイフティシステム事業につきましては、縫製自動機においてエアバッグメーカーのインド工場向けの設備をはじめベトナム工場向け設備でも売上が増加しました。カーシート及びエアバッグでは、新規取引先の増加などいずれも生産量が増加したこと及び円安の影響により売上高・利益ともに増加しました。
以上の結果、売上高は3,014,375千円(前年同期比50.3%増)、セグメント利益は166,982千円(前年同期はセグメント損失349,495千円)となりました。
(その他事業)
その他事業につきましては、売上高は44,210千円(前年同期比87.2%増)、セグメント利益は18,880千円(前年同期比772.0%増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は2,171,278千円と、前連結会計年度末に比べ147,631千円の減少となりました。
営業活動の結果、獲得した資金は528,055千円(前連結会計年度は914,795千円の獲得)となりました。
これは主として、売上債権の増加額282,824千円、棚卸資産の増加額250,141千円、仕入債務の減少額48,743千円、未払金の減少額69,127千円、未収消費税の増加額45,748千円、法人税等の支払額347,769千円があったことに対して、税金等調整前当期純利益が1,307,490千円、減価償却費が275,132千円あったことなどによるものであります。
投資活動の結果、支出した資金は616,129千円(前連結会計年度は1,279,647千円の支出)となりました。
これは主として有形固定資産の取得による支出607,051千円によるものであります。
財務活動の結果、支出した資金は182,945千円(前連結会計年度は1,220,017千円の獲得)となりました。
これは主として長期借入れによる収入が1,620,000千円あったことに対して、短期借入金の減少が1,510,000千円、リース債務の返済による支出が205,123千円、長期借入金の返済による支出が74,162千円あったことなどによるものであります。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は製造原価によっております。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
当連結会計年度の経営成績等の分析・検討内容は以下のとおりであります。
当連結会計年度における売上高は8,433,569千円(前年同期比17.7%増)となり、前連結会計年度に比べて1,269,344千円増加しました。これはセイフティシステム事業におけるエアバッグ売上が前連結会計年度に比べ455,974千円、カーシート売上が366,323千円、縫製自動機売上が183,406千円増加したことや、メディカルヘルスケア事業における血圧計腕帯売上が265,105千円増加したことなどによるものであります。
当連結会計年度における売上原価は6,138,206千円(前年同期比7.6%増)となり、前連結会計年度に比べて432,417千円増加しました。これは主にセイフティシステム事業におけるエアバッグ及びカーシートの売上増加に伴うものであります。以上の結果、売上総利益は2,295,363千円(前年同期比57.4%増)となり、前連結会計年度に比べて836,926千円増加しました。
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、1,012,199千円(前年同期比19.6%増)となり、前連結会計年度に比べて165,532千円増加しました。これは主に人材採用に伴う人件費の増加や、連結子会社であるMatsuya R&D(Vietnam)Co.,Ltd.における新工場稼働に伴う備品等の購入や減価償却費の増加などによるものであります。
以上の結果、当連結会計年度における営業利益は1,283,163千円(前年同期比109.7%増)となり、前連結会計年度に比べて671,394千円増加しました。
当連結会計年度における営業外収益は82,216千円(前年同期比25.0%減)となり、前連結会計年度に比べ27,449千円減少しました。これは主に受取利息及び補助金収入の減少によるものであります。また、営業外費用は57,889千円(前年同期比25.3%増)となり、前連結会計年度に比べ11,676千円増加しました。これは、主に連結子会社であるMatsuya R&D(Vietnam)Co.,Ltd.における新工場への移転関連費用の増加によるものであります。
以上の結果、経常利益は1,307,490千円(前年同期比93.6%増)となり、前連結会計年度に比べ632,269千円増加しました。
当連結会計年度における法人税等合計は354,259千円(前年同期比44.2%増)となり、前連結会計年度より108,602千円増加しました。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は953,230千円(前年同期比123.9%増)となり、前連結会計年度に比べ527,527千円増加しました。
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況分析(1)経営成績等の状況の概況 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しています。
当社グループの通常の運転資金については、主に自己資金及び借入金により賄うことを基本方針としております。なお、銀行との当座貸越契約を締結しており、大型の縫製自動機の受注や国内・海外の工場における生産量の増加による資金需要への対応を図っております。これにより一定の資金水準を保つことができ、十分な資金の流動性を保持しているものと考えております。
設備投資の詳細については、「第3 設備状況 3 設備の新設、除却等の計画」をご参照ください。
株主配当については経営における重要課題の一つと考えており、株主総会を決定機関として年1回の期末配当を基本方針としております。当社の配当政策については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」をご確認ください。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当連結会計年度の研究開発活動は、主に連結子会社であるMatsuya R&D(Vietnam)Co.,Ltd.のMICが中心となり、縫製の自動化・省人化・省熱化を推進することを目的としてAIソーイングロボット、画像AI検査システム、ドライバー席用エアバッグ縫製自動機、ドローン用エアバッグ等の開発を進めております。
研究開発体制としては、当社とMICが密接な連携・協力関係を保ち、効果的かつ迅速的に活動を推進していきます。当連結会計年度における当社グループが支出した研究開発費の総額は
なお、セグメント別の主な研究開発活動の状況は、次のとおりであります。
(1)セイフティシステム事業
・AIソーイングロボット
双腕ロボットと画像処理システムを導入した縫製装置を開発しております。
関連特許を日本及びアメリカでは取得済みであります。
特許名:Sewing device and sewing method(縫製装置及び縫製方法)
米国特許番号:US 10,815,594 B2
・画像AI検査装置
エアバッグやカーシートの品質検査に使用することを目的として開発中であります。
・ドライバー席用エアバッグ縫製自動機
独自開発した画像認識カメラを搭載したものを開発しており販売開始を目指すため展示会への出展など行っております。
・ドローン用エアバッグ
配達用ドローンなど市場の拡大に伴い、安全装置としてドローン用エアバッグの需要が見込まれている状況の中で実用化に向けて引き続き開発を行ってまいります。なお、以下のとおり関連特許を取得済みであります。(2023年11月15日適時開示)
関連特許として
特許名 :Drone with airbag(エアバッグ付きドローン)
特許番号:11772597
指定国 :アメリカ
・生産管理システムをはじめとした各種システムの開発
生産現場における不良対応によるコストを削減できるようデータ化できるシステムを開発し現在は全セグメントの生産ラインで運用中であります。また、IOTデバイスの初号機についても開発をはじめ試運転を開始しました。
そのほか、オンライン上で文章を回覧承認していく文書管理システム、溶着機稼働状況及びヒーター使用状況を可視化する遠隔監視システム及び在庫管理システムなどを開発しております。
・その他
ラベルチェッカーについて2次元バーコードに対応する仕様に改良開発中であるほか、アパレル用生地のエアピッカーなども開発しております。特にエアピッカーはドイツで開催された展示会にも出展いたしました。
(2)メディカルヘルスケア事業
当セグメントに係る研究開発費はありません。
(3)その他事業
当セグメントに係る研究開発費はありません。