第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書の提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

当社グループは、わが国税理士・公認会計士事務所とその顧問先企業のために最適な経営システム及び経営ノウハウを開発し、これを普及(コンサルティング・セールス)するとともに経営情報サービスを行います。これにより、わが国税理士・公認会計士事務所とその顧問先企業の経営革新を推進し、もって職業会計人の社会的地位の向上と顧問先企業を中心とする中堅・中小企業の繁栄に寄与し、ひいては日本経済の発展に貢献することを経営の基本方針としております。

 

(2)中期的な経営戦略

当社グループは、デジタル化の急速な進展の下、ビジネスモデル変革と新たな価値創造へのチャレンジを実現するための戦略として、2024年度から2028年度の5カ年を対象期間とする「中期経営計画Vision2028」を策定し、2024年5月13日に公表しました。

当社グループの継続的な企業価値向上を実現するために、次の項目を2028年度のありたい姿として掲げて事業活動を推進してまいります。

 

① 2028年度におけるありたい姿

 

MJSグループは、日本経済を支える中小企業の成長・発展のために、

会計事務所とともに中小企業に寄り添い、継続的に伴走支援します。

新たなDXコンサルティング・サービスやSaaS型ERPソリューションの創出、

さらに、統合型DXプラットフォームビジネスの推進など、

お客様に喜んで頂ける新しい価値を提供し、その成長・発展を支援します。

そして、ビジネスモデル変革を実現し、継続的な企業価値向上を目指します。

ビジネスモデル変革と

新たな価値創造へのチャレンジ

 

※DX:デジタルトランスフォーメーションの略

※SaaS:ソフトウェア・アズ・ア・サービスの略

 

② 経営目標

 

2028年度目標

売上高

600億円

経常利益

120億円

ROE

18%超

 

③ 基本戦略

1.会計事務所ネットワークNo.1への戦略

ERP製品の機能強化や新たなSaaSビジネスにより、会計事務所における徹底した業務効率化と経営支援サービス力の向上を実現します。また、会計事務所と共に顧問先企業に寄り添う新たなDXコンサルティングサービスを展開し、顧問先企業のDX化による経営改善、競争力強化を支援します。

 

2.中堅・中小企業向け総合ソリューション・ビジネス戦略

中堅・中小企業の経営改善、事業成長を支えるSaaS型ERPシステムを開発・提供すると共に、総合的なSIサービス体制を強化し事業を拡大します。また、MJSグループでシナジーを発揮し、お客様のより広範な経営課題を解決するDXコンサルティングサービスを展開します。

※SI:システムインテグレーションの略

 

3.統合型DXプラットフォーム戦略

グループ会社であるトライベック株式会社が運営する統合型DXプラットフォーム「Hirameki 7(ヒラメキセブン)」を進化させ、中小企業・小規模事業者における営業・マーケティング力の強化に加え、DXによる生産性の向上とビジネス成果の創出を実現します。また、MJSとの製品・販売連携を図り、グループシナジーを発揮します。

 

4.クラウド・サブスク型ビジネスモデルへの転換

主力ERP製品のクラウド化・サブスク化を進め、顧客メリットを最大化して継続的な関係構築を図り、顧客生涯価値を向上させます。そのために、全国拠点を活かしたカスタマーサクセス体制を構築し、個々のお客様ニーズに合った最適なサービス提供を実現します。

 

5.グループ連携強化によるグループ会社の独自成長促進

当社グループの成長戦略に即した各社の位置づけを明確にし、グループシナジーの発揮と収益性向上を最優先に、グループ再編・強化を実行します。また、MJSグループのさらなる成長を目指し、M&Aグロースを視野に入れた戦略実行を図ります。

 

6.戦略実現を加速する人材力・経営基盤強化

人材力・組織力を最大化すると同時に、多様性と柔軟な働き方を促進する人材投資により、事業成長を加速します。社内情報システムの刷新により、経営の見える化と業務効率化を推進し、また、コーポレート・ガバナンスにおける意思決定の透明性向上を図ると共に、全社リスクマネジメント体制を強化します。

 

(3)経営環境

当社グループは、「会計事務所とともに中小企業の発展に貢献する」ことを使命として、会計事務所における事務所経営の最適化やその顧問先である中小企業の業務改善を多彩な経営システムの提供を通して支援しております。

また、中堅・中小企業に対しては、財務・会計システムを中心とするERP(統合業務)システムを活用したソリューション・ビジネスを展開し、企業における経営資源の全体最適化や経営情報の可視化による迅速な意思決定、全社的な業務改革等を支援しております。

会計事務所業界においては、大型税理士法人の台頭やインターネット等を利用した積極的な広告宣伝活動、顧問料の低価格化をはじめ、事務所間の競争が激化しており、また、開業税理士の高齢化による事業承継も事務所経営における課題の一つになっております。一方、中堅・中小企業においては、少子高齢化、採用難による人手不足や経営者の高齢化による事業承継問題、デジタル化の遅れ等による労働生産性の伸び悩み、グローバル経済への対応など、経済・社会構造の変化への柔軟な対応が大きな経営課題となっております。また、ITの進展に伴い、経営の全体最適化やBPR(業務プロセス改革)による生産性の向上、テレワークをはじめとする従業員の働き方改革、内部統制・ガバナンスの強化、BCP(事業継続計画)対策等に加え、DX領域の技術を活用したイノベーションの創出やビジネスモデルの転換など、持続的な成長を遂げるための企業戦略とITの融合が求められております。

今後の国内経済の見通しにつきましては、不安定な国際情勢や世界的な金融引締め、物価上昇などにより先行き不透明なものの、雇用・所得環境に改善の動きがみられる中で、各種政策の効果により穏やかな回復が続くことが期待されております。また、前述の通り、中堅・中小企業においては、IT化・DX推進による業務プロセスの改善やビジネスモデル変革への取り組みが拡大し、IT投資への需要が一層高まると期待されるため、当社グループにおけるビジネス環境は改善傾向にあります。

当社グループは、長年に亘る経済社会の構造的な問題や業界内での競争環境、ITの進展に伴う大きな時代の変化に対して、地域経済を支える会計事務所や中堅・中小企業が柔軟に対応し、また積極的な変革を遂げることを支援してまいります。当社グループの経営方針を全うし、社会的な使命を果たすとともに、これら時代の変化を大きな事業機会と捉え、お客様の持続的な成長を支援してまいります。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループのお客様である会計事務所や中堅・中小企業は、「(3)経営環境」に記載のとおり、経済・社会構造の変化や業界内での競争環境、ITの進展に伴う大きな時代の変化の中で柔軟な対応を迫られており、当社グループの製品・サービスへのニーズも高度化・多様化しております。このような中、お客様に対して、最適な経営システム及び経営ノウハウ、経営情報サービスを開発・提供し続けること、そのための強固な経営基盤を構築することが経営の最重要課題と捉えています。

具体的には、「(2)中期的な経営戦略」に記載しております「中期経営計画Vision2028」における基本戦略として掲げている6項目について、継続的に実行してまいります。このような取り組みを通して、2028年度の経営目標の達成に向けて邁進してまいります。

また、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載しております「サステナビリティ経営」を推進する上において、サステナビリティ基本方針に基づく、9つのマテリアリティに取り組んでまいります。すべてのステークホルダーの皆様のご期待にお応えできるよう、今後も企業価値向上に向けて一層努力してまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書の提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティ経営についての考え方

当社グループの事業は、日本の経済・社会を支える中小企業の経営課題を解決し、その成長・発展に寄与することを目的としています。そして、中小企業の発展が、多くの雇用を創出して地域経済を活性化します。まさに当社グループは日本社会の持続的な成長に貢献する企業を目指して経営活動を行っています。

今後も、最新テクノロジーを活用したイノベーションの創出に挑戦し続け、社会の課題解決に繋がる事業活動を推進するとともに、新たな価値創造を重ねることで継続的な企業価値の向上を目指してまいります。

また、本格的なサステナビリティ経営の推進に向け、2030年を見据えた中長期ビジョン「サステナビリティ2030」を策定し、「中期経営計画Vision2028」と併せて、2024年5月13日に公表しました。新たに、「(6)気候変動に関する考え方及び取組」及び「(7)人的資本経営について」を加え、其々の「指標と目標」を記載しています。

 

<サステナビリティ2030のビジョン>

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<サステナビリティ基本方針>

私たちは、企業理念のもと、税理士・公認会計士事務所と共に、中小企業の成長・発展を支援し、また、中小企業のサステナビリティ経営を推進することで、持続可能な社会の実現と企業価値の向上を目指します。

1.DX推進による地球環境への貢献

2.会計事務所と中小企業の経営革新、成長・発展を支援

3.多様なプロフェッショナル人材が活躍する働きがいのある職場づくり

4.健全成長のためのガバナンスの強化

 

(2)マテリアリティ(重要課題)とSDGsについて

当社グループは、持続可能な社会の実現に貢献する企業であり続けるために、ステークホルダーにとっての重要度と当社グループ事業にとっての重要度の2軸で取り組むべき課題を分類し、特に優先して取り組むべき9つのマテリアリティを特定しています。また、特定したマテリアリティとSDGs(持続可能な開発目標)との関連付けをしています。

 

 

マテリアリティ(重要課題)

貢献するSDGs

 1.DX推進による地球環境への貢献
1-1 事業活動を通じたDX推進による環境負荷の軽減

 

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 2.会計事務所と中小企業の経営革新、成長・発展を支援
2-1 高品質で安定したERP製品・経営情報サービスの提供
2-2 DXを促進させるイノベーティブな新規事業への取り組み
2-3 会計事務所との協業・共創の推進
2-4 知的資本の蓄積

 

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 3.多様なプロフェッショナル人材が活躍する働きがいのある職場づくり
3-1 人材の確保と育成、成長機会の創出
3-2 ダイバーシティと働き方改革の推進

 

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 4.健全成長のためのガバナンスの強化
4-1 コーポレート・ガバナンスの徹底
4-2 情報セキュリティの徹底

 

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(3)サステナビリティ経営のマテリアリティにおける取り組み

各マテリアリティにおける取り組みの詳細につきましては、当社ホームページをご覧ください。

 

1.DX推進による地球環境への貢献

1-1 事業活動を通じたDX推進による環境負荷の軽減

・事業活動を通じた環境負荷の軽減

・社内の取り組みによる環境負荷の軽減

(https://www.mjs.co.jp/outline/sustainability/materiality1/)

 

2.会計事務所と中小企業の経営革新、成長・発展を支援

2-1 高品質で安定したERP製品・経営情報サービスの提供

・顧問先企業への経営指導・経営支援ソリューションを会計事務所に提供

・中堅・中小企業向け総合ソリューション・ビジネスを展開

2-2 DXを促進させるイノベーティブな新規事業への取り組み

・統合型DXプラットフォーム事業の展開

2-3 会計事務所との協業・共創の推進

・ミロク会計人会の活動

・税経システム研究所の活動

・多彩な研修・セミナー

2-4 知的資本の蓄積

・研究開発活動について

・知的財産について

(https://www.mjs.co.jp/outline/sustainability/materiality2/)

 

 

3.多様なプロフェッショナル人材が活躍する働きがいのある職場づくり

3-1 人材の確保と育成、成長機会の創出

・多様な人材の採用

・プロフェッショナル人材の育成・教育

・自己啓発の支援

3-2 ダイバーシティと働き方改革の推進

・ダイバーシティの推進

・働き方改革とワーク・ライフ・バランスの推進

(https://www.mjs.co.jp/outline/sustainability/materiality3/)

 

4.健全成長のためのガバナンスの強化

4-1 コーポレート・ガバナンスの徹底

・コーポレート・ガバナンスの徹底

4-2 情報セキュリティの徹底

・製品・サービスのセキュリティについて

・情報セキュリティの管理体制について

(https://www.mjs.co.jp/outline/sustainability/materiality4/)

 

(4)サステナビリティ経営におけるガバナンスについて

①ガバナンス

当社グループは、持続可能な社会の実現と企業価値の向上に向けて、サステナビリティ基本方針を制定し、また、9つのマテリアリティを特定して2022年5月に公表しました。そして、サステナビリティ経営の推進を目的に、サステナビリティ委員会を設置し、当委員会で検討・協議した方針や課題等を、経営会議及び取締役会へ付議または報告し、取締役会はこのプロセスを定期的に監督し、必要に応じて対応の指示を行っています。

 

②サステナビリティ委員会の役割及び構成

サステナビリティ経営における重要事項の協議、及び各種取り組みを推進する組織として、代表取締役社長を委員長、取締役副会長を副委員長とし、関係部門の担当執行役員・部門長をメンバーとするサステナビリティ委員会を取締役会の下に設置しています。本委員会は原則、年2回開催され、サステナビリティに関する方針・マテリアリティの設定・見直し及びKPIの設定・進捗管理、活動結果の評価と評価に基づく次年度の目標・取り組み等について協議しています。

 

③取締役会による監督体制

取締役会は、年1回以上、サステナビリティ経営に関する方針・マテリアリティの見直し等について審議します。また、年2回、サステナビリティ委員会より活動報告を受け、モニタリングし、新たに設定した施策や目標・進捗等を監督し、必要に応じて対応の指示を行います。

 

(5)リスク管理

サステナビリティ経営における9つのマテリアリティは、当社グループの事業への影響(事業性)とステークホルダーへの影響(社会性)の2軸から評価を行い選定しています。さらに、各マテリアリティにおいて、機会・リスク分析を行い、それに基づく中長期的なありたい姿を設定し、その実現のための具体的な対応方針や取り組み施策を協議し決定しています。

これらの決定及び定期的な見直しを行うプロセスは、上記のガバナンスに記載のとおりです。

 

(6)気候変動に関する考え方及び取組

近年の台風・豪雨とそれに付随して起こる洪水の頻発や被害の激甚化という急性リスク及び平均気温の上昇という慢性的リスクの高まりに見られるように、気候変動は、今日において解決が急務とされる社会問題の一つとなっています。当社グループは、サステナビリティ基本方針を掲げ、中小企業のサステナビリティ経営の推進を目指し、その実現のために「DX推進による地球環境への貢献」を基本方針の一つとし、事業を通じて気候変動対策に対応することを重要課題として位置づけています。

 

 

当社グループは、サステナビリティ基本方針である「私たちは、企業理念のもと、税理士・公認会計士事務所と共に、中小企業の成長・発展を支援し、また、中小企業のサステナビリティ経営を推進することで、持続可能な社会の実現と企業価値の向上を目指す」という使命を果たしながら、パリ協定で掲げられた国際的な目標達成を目指すべく、TCFD提言に沿った情報開示に取り組んでいきます。

 

①ガバナンス

当社グループではサステナビリティ委員会と、その配下に環境対策分科会を設置しています。代表取締役社長が気候関連課題に関する最高責任者となり、自らを委員長とするサステナビリティ委員会での議論を踏まえ、環境目標の設定や対策等を検討の上、取締役会で決定し進捗を管理しています。

また、環境対策分科会を定期的に開催し、気候変動に対するリスクと機会を評価し取り組みを推進しています。

 

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②戦略

■リスク・機会の特定プロセス

当社グループの事業におけるバリューチェーンを想定した上で、仕入先・パートナー・顧客等のバリューチェーン上の各ステークホルダーへの気候変動関連のリスク・機会を踏まえ、当社としてのリスク・機会の抽出及び特定を実施しています。ステークホルダー別及び自社のリスク・機会の抽出にあたっては、次の観点を設定し検討しました。

 

移行リスク

-政策規制 :温室効果ガス(GHG)排出に関する規制強化

-市場   :エネルギー需給の変化/低炭素製品の需要変化

-技術   :次世代技術の進展・普及

-評判   :ステークホルダーの評判変化

物理リスク

-慢性   :地球温暖化による環境変化

-急性   :自然災害の激甚化

 

■気候変動関連のリスク・機会の評価方法

当社グループでは、リスク・機会の特定プロセスに記載した移行リスクと物理リスクのそれぞれの観点に対し、「自社事業及びステークホルダーへの影響度」と「リスク・機会の発現可能性」の2つの視点で評価し、重要なリスク・機会を選定しています。

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③リスク管理

■特定した事業へのリスク・機会

自然環境問題の動向に対するシナリオ分析を実施し、事業別のリスク・機会の抽出結果に基づいて特定した当社グループへの気候変動によるリスク・機会は下表の通りです。移行リスクに対しては、主要事業では、温室効果ガス排出規制に関する規制強化による炭素税や燃料コストの増加の影響を主なリスクとして捉えました。また、物理リスクに対しては、気候変動関連災害による事業所への影響を主なリスクとして捉えました。

一方では、低炭素製品の需要変化や自然災害の激甚化による、クラウド製品の需要の高まりによる影響を主な機会として捉えました。

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■気候変動関連のリスク・機会への対応方法

当社グループでは、評価・特定した気候変動関連のリスク・機会に対して、下表の取り組みを推進しています。取り組み内容については、その「実現可能性」と「効果度合」を評価し、現実的かつ効果的な取り組みを優先した推進に努めています。

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④指標と目標

■目標:カーボンニュートラルへの取り組みを推進

当社グループは、SBTiの1.5℃目標(※)を踏まえScope1(自社施設の燃料の消費に伴う直接排出量)及びScope2(自社施設における電気・熱の使用に伴う間接排出量)の温室効果ガス排出量を2030年までに2023年度比50%削減、2050年までに100%削減することを目指します。

 

※SBTiは、「Science Based Targetsイニシアティブ」のことで、同イニシアティブは、産業革命前の水準に比べて地球の気温上昇を1.5℃以内に抑えるために、企業に対し、パリ協定に整合し、科学的知見に基づいた温室効果ガス排出削減目標を設定するように求めています。

 

分類

2023年度

温室効果ガス排出量

割合

Scope1

812t-CO2

70.4%

Scope2

341t-CO2

29.6%

※Scope1:自社施設の燃料の消費に伴う直接排出量

※Scope2:自社施設における電気・熱の使用に伴う間接排出量

※集計対象:MJS単体

※Scope2の対象:MJS本社及び千葉研修センター

 

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(7)人的資本経営について

当社グループは、企業理念やサステナビリティ基本方針のもと、一体感のある組織風土を醸成し、新しい価値を創造して事業を継続的に成長させるため、人材力と組織力を最大化する人的資本経営を推進しております。

 

①戦略

当社グループは、サステナビリティ基本方針の一つに「多様なプロフェッショナル人材が活躍する働きがいのある職場づくり」を掲げ、「人材の確保と育成、成長機会の創出」と「ダイバーシティと働き方改革の推進」をサステナビリティ経営の重要課題として認識しております。

また、「中期経営計画Vision2028」において、新たなDXコンサルティング・サービスやSaaS型ERPソリューションの創出、さらに統合型DXプラットフォームビジネスの推進など、お客様に喜んでいただける新しい価値を提供し、お客様の成長・発展を支援します。そして、ビジネスモデルの変革を実現し、継続的な企業価値向上を目指しております。

こうした経営戦略の担い手となる人材には、全国の会計事務所とともに中小企業に寄り添い伴走支援できる優れたコンサルティングスキルや、高い専門性と新たな価値観を掛け合わせたシナジーを創出することができるスキルが必要となります。そのため、当社グループでは多様な人材を採用し継続的な教育・育成を行って長期的な活躍を支援する、人的資本経営が重要と考えています。

重要課題に対する考え方と戦略は以下となります。

 

1.「人材の確保と育成、成長機会の創出」

当社グループの企業理念の一つに、「社会的人格の錬成」があります。当社グループでの活動を通して、社員一人ひとりが相互互恵・相互扶助の精神、社会道徳、コンプライアンス、コモンセンスなどを学び、主体性、コミュニケーション能力などを高めながら、人間力を磨くことにより、社会に通用する立派な人格を錬成して欲しいという思いが込められています。

当社グループは、この企業理念に基づき、積極的な人材採用と社員教育、自己啓発支援に力を入れています。

具体的な取り組みとしては、職種別や階層別に多様な専門能力の向上を目的とした体系的な研修制度を整備しており、また、リーダー層の社員を対象にマネジメントの基礎を養うための選抜式研修を行うなど、次世代の幹部候補育成を図っております。また、2023年には社外のオンライン研修サービスを導入するなど、自己啓発の支援制度も拡充することで、プロフェッショナル人材の育成・教育を推進しております。

 

2.「ダイバーシティと働き方改革の推進」

少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少や、育児や介護との両立など、働く人のニーズの多様化に伴い、近年、多様な働き方を実現する職場環境づくりが課題となっています。

当社グループは、多様なスキル・経験・価値観を持った意欲と能力のある社員が公正に評価され、社員一人ひとりがお互いを認め合い、個々の能力を最大限発揮できるような人事制度の充実等に努めています。また、多様な人材の活躍を価値創造につなげるために、個々のワーク・ライフ・バランスの実現や、すべての社員がパフォーマンスを存分に発揮できるような職場環境を整備し、仕事の生産性向上と生活の質の向上の両立を目指します。

具体的な取り組みとしては、2021年より職場環境の改善を目的にエンゲージメントサーベイを実施し、現状把握と今後の改善施策の立案などに活用しており、2022年には育児と仕事の両立支援の一環として、小学校第3学年修了前までとしていた育児短時間勤務の可能期間を小学校第6学年修了前までに延長しました。

現在行っている取り組みに加えて、経営戦略の実現と人材確保による企業価値向上を加速させるため、今後以下のような取り組みを実施することで、より多様な働き方を実現してまいります。

(人事戦略と連動した主要制度の見直し)

従業員のチャレンジを後押しする報酬・評価制度、適正・能力を踏まえた人事制度設計への見直しを進め、競争優位性のある報酬制度への改定、ベースアップの実施、専門職任用者の拡大、キャリアパスを拡充する等の施策を検討してまいります。

(マネジメント力の強化・社員のキャリア支援)

従業員の成長機会を提供し、DXコンサルティングスキル等の高い専門性の習得を支援するため、性別に関わらず管理職志向の高い社員への選抜研修の実施を検討します。

(魅力ある職場環境に向けた挑戦的な取り組み)

当社では、企業価値向上の観点から、多様性・専門性を高めていきます。中でも、多様性については女性活躍推進が重要となるため、大きく3つの要素にわけて取り組んでいきます。

1)女性の採用/活躍できるキャリアの拡充

女性の採用比率、管理職比率を向上させ、男女の平均賃金の差異も是正していきます。公正な人事制度やキャリア支援、多様性に関する研修を実施し、風土改革に取り組んでまいります。

フレックス勤務や在宅勤務の制度を拡充することで次世代の働き方改革を推進します。

2)育児・介護など両立支援の拡充

出産・育児に関する休暇・休業について、制度を見直し、一部有給化による賃金面での支援を行うなど積極的な取得を促進します。また、多様なニーズに応えるため、カフェテリアプランを導入し、福利厚生面からも育児・介護などの両立支援を強化します。

3)少子化への取り組み

子育て支援に関する各種制度を充実させるだけでなく、少子化・不妊治療といった社会問題にも取り組みます。不妊治療等にも使用できるライフサポート休暇の導入、出産や入学時等の学費補助として祝い金の拡充、育児等を理由とした離職者を再雇用するカムバック制度など、少子化対策を講じてまいります。

将来的には、女性活躍、育児に関する経営認証取得を目指すことで、企業ブランディングを進めます。

 

②指標と目標

当社グループにおける人的資本に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績は以下のとおりです。

 

 

2023年度実績

2025年度目標

2030年度目標

女性管理職比率

12

14

21%

女性採用比率

42

45

50%

男性育児休業取得率

36

55

85%

エンゲージメントスコア

3.5

3.7

4.5P

男女の賃金差異

81

82

87%

※女性管理職比率については、人事施策を継続することで、2031年度以降も30%を目指してまいります。

※女性管理職比率と男性育児休業取得率と男女の賃金差異については、「中期経営計画Vision2028」と「サステナビリティ2030」において目標の見直し・設定を行っております。

※当社グループでは、上記の指標に関する目標と実績について、連結グループの主要な事業を営む会社において、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取り組みが行われているものの、必ずしも連結グループに属するすべての会社では行われていないため、連結グループにおける記載が困難です。このため、上記の指標に関する目標と実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 市場環境等のリスク

当社グループは、全国の会計事務所に対し、財務・会計システムの開発、販売及び経営情報サービス等を提供しております。会計事務所マーケットに関しましては、税理士法人・大型事務所の台頭や所長の高齢化に伴う事業承継問題などにより会計事務所の統廃合が進み、マーケット自体が縮小する可能性があります。また、業務用ソフトウェア業界において、コンピュータ技術の革新やビジネスモデルの変革などにより予想を超える価格競争等が激化する可能性があります。いずれの場合も当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

当社グループは、会計事務所とともに中小企業の発展、繁栄に寄与することを経営方針に掲げ、会計事務所における顧問先企業への付加価値拡大や適切な事業承継支援により、会計事務所の事務所経営を支援しております。また、最新テクノロジーやDXを含むビジネスモデルの変革等の調査研究を継続し、さらにBPRによる生産性向上やコスト競争力の強化に引き続き取り組んでまいります。

 

(2) 開発ソフトウェアの品質や知的財産権に関するリスク

当社グループが提供する製品・サービスにおいて、システム不具合が発生した場合や急速な技術革新への対応が遅れた場合、または各種法制度改正への対応の遅延や不備があった場合、さらに第三者の知的財産権を侵害した場合、その状況に応じて、お客様や第三者からの損害賠償請求やIT企業としての信用失墜等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

これらに対応するために、当社におきましては、「ISO 9001(品質マネジメントシステム)」に基づく徹底した品質管理体制の下でソフトウェア開発を行っており、また、最新テクノロジーの動向調査や各種法制度改正、知的財産権の侵害等に関しては、専門組織や外部機関を通して細心の注意を払い情報収集、調査を継続的に行っております。

 

(3) 開発ソフトウェアの収益性に関するリスク

当社グループは、市場競争力を強化・維持するためのソフトウェア開発を継続的に行っており、その開発原価の一部を固定資産として計上しておりますが、市場環境の変化や急速な技術革新等により、開発方針や要件定義の変更等の必要性が生じ、当初の計画通りの収益獲得が見込めなくなった場合には、追加の減価償却等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、このリスクに対応するために、市場調査・分析によるお客様ニーズに即した製品開発、緻密な原価管理による開発コストの抑制等を実施しております。

 

(4) 人材に関するリスク

当社グループが属するソフトウェア業界及び情報サービス業界における最大の財産は「人材」であり、優秀な人材の確保・育成は今後の経営基盤を維持・拡大するうえで不可欠であります。同業界においては、若手を中心に人材の流動化が進んでおり、計画通りに人材を確保できない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

当社においては、優秀な人材の獲得・育成のため、中期的な視点で新卒採用や即戦力となるキャリア採用を実施し、社員がより高度なスキルを習得できるよう、社内研修制度の充実や社外研修受講の積極推奨、資格取得者への報奨金制度を実施しております。また社員の働く環境の継続的な改善や働き方改革にも積極的に取り組み、社員満足度の向上に努めてまいります。

 

(5) 情報セキュリティにおけるリスク

当社グループは、お客様の情報システムを構築するにあたり、お客様の情報資産をお預かりすることがありますので、情報管理やセキュリティ管理は、企業の信頼に直結する重要な事項であります。万が一、コンピュータウイルスによる感染やサイバー攻撃等の外部からの不正アクセス、自然災害の発生等により、これらの情報が漏洩した場合には、お客様からの損害賠償請求やIT企業としての信用の失墜等が当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。このため、「情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)」の認証を取得し、社員等を対象とした定期的な教育等の情報管理の強化・徹底を行っており、また情報・ネットワーク機器のセキュリティ対策を講じています。

 

(6) 災害等によるリスク

当社グループは、全国に営業・サポート拠点を配置しております。地震等の自然災害やテロにより社会インフラや当社グループの主要な事業所等が壊滅的な損害を被った場合、その対応に相応の費用を要することになります。また、新型コロナウイルス感染症のようなパンデミックの発生等により、従業員やお客様、取引先の多くが安全確保・健康維持のために行動が制限され、或いはお客様の経営状況の悪化によりIT投資計画を変更されること等が想定されますが、その場合には当社グループの製品・サービス提供等の事業活動に大きな影響が生じるため、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、これらのリスクに対応するため、お客様や従業員の安否確認・安全確保、社内業務復旧、顧客対応等の観点から災害対策マニュアルの策定や継続的な見直しを行っており、災害発生時のシミュレーション訓練なども実施しております。また、感染症対策として、従業員によるテレワーク環境の整備、支援をはじめ、働き方改革を段階的に実行してまいります。

 

(7)M&Aに関するリスク

当社グループは、成長戦略の柱の一つとして、シナジー発揮が期待される企業に対するM&Aの実施による事業拡大を積極的に進める方針でおります。企業買収時に発生するのれんについては、その超過収益力の効果が発現すると見積られる期間にわたり償却を行い、各連結会計年度末におけるのれんの金額は、将来の収益力を適切に反映しているものと判断していますが、事業環境の変化等により、対象となる事業において将来の収益力が低下した場合、減損損失の計上により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、M&A実施の際には、対象企業の財務内容や契約関係等に関して十分なデューデリジェンスを行い、本リスクの低減を図っております。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

a.経営成績

当連結会計年度における国内経済は、新型コロナウイルス感染症が5類感染症に変更されたことで社会経済活動の正常化が進み、景気は緩やかに回復しました。しかし、世界情勢の緊迫化、原材料や物価の高騰、さらに金融資本市場の変動等による経済活動への影響が懸念され、先行き不透明な状況で推移しました。

ソフトウェア業界及び情報サービス業界においては、企業における人手不足やテレワークをはじめとする働き方改革への対応、2023年10月より開始されたインボイス制度への対応、さらに業務プロセスのデジタル化の環境整備が進むなど、IT投資需要は高まっております。

 

当社グループは、このような経営環境の下、販売力や製品・サービス力の向上により既存顧客との関係維持、満足度向上を図るとともに、新規顧客の開拓による顧客基盤の拡大とこれらに伴うサービス収入の増大、収益基盤の強化に努めました。また、クラウドサービスの拡販に加え、オンプレミス製品の提供形態を、一括で売上が計上される売切り型から利用期間に応じて売上計上されるサブスクリプション型への移行を加速しており、クラウド・サブスク型ビジネスモデルへの転換に伴う更なる収益性の改善を目指しております。

販売面では、「デジタル時代のビジネス戦略」をテーマとした『MJSオンラインセミナーフェア2023』の開催や、管理部門の業務効率化・DX推進のための展示会「第2回 バックオフィスDXPO 大阪'24」等の全国の展示会・イベントへの出展を行い、インボイス制度や改正電子帳簿保存法への対応等、お客様の関心の高い分野の情報発信を積極的に行いました。そして、インボイス制度に対応した各種ERP製品、デジタルインボイス送受信クラウドサービス『Edge Tracker 電子請求書』、改正電子帳簿保存法対応のクラウドサービス『MJS e-ドキュメントCloud』の販売拡大に注力しました。また、デジタルマーケティングやオンライン商談ツールを活用しつつ、全国主要都市にある直接販売網の強みを活かし、地域に根差した営業・サポート活動を展開しました。併せて、2023年4月よりソリューション支社を1支社新設するとともに、お客様のDX化を適切かつ強力に支援するために、従業員に対する人材育成、資格取得支援にも注力し、中堅・中小企業向けソリューションビジネス体制の更なる強化を図りつつ、積極的な営業活動を展開しております。

開発面では、全ERP製品において、インボイス制度に対応する機能改良を行いました。また、会計事務所向けERPシステム「ACELINK NX-Pro 会計大将」において「AI-OCR」機能を大幅に強化し、インボイス制度の開始に伴い記帳代行業務が煩雑化する傾向にある会計事務所の負荷を軽減し、一層の業務効率化と生産性向上を支援しました。さらに、当社ERP製品において多様な他社製品とのAPI連携数を増やすなど、お客様ニーズに即した機能改良を継続して行いました。一方、統合型DXプラットフォーム事業の推進に向けた開発にも注力し、子会社のトライベック株式会社が2022年7月にサービス提供を開始した「Hirameki 7」は、導入社数が26,000社を突破しております。

 

このような事業活動により、当連結会計年度におきましては、会計事務所向け及び中小企業向け各種ERP製品の販売が好調に推移しました。各種ERP製品の販売は、サブスクリプション型での提供に徐々に移行しているためソフトウェア使用料収入が大きく伸長し、ストック型の安定的なサービス収入が増加しました。

この結果、当連結会計年度における売上高は、43,971百万円(前年同期比6.1%増)となりました。利益面においては、人的資本経営戦略に基づき、先行投資となる新卒入社社員の積極採用やベースアップ、昇給による人件費の大幅な増加及び広告宣伝・販売促進費の増加、さらに新規事業である統合型DXプラットフォーム事業の推進に向けた開発投資、顧客獲得のための販売促進費の増加などにより、売上原価・販売費及び一般管理費が2,483百万円増加した結果、営業利益6,110百万円(前年同期比0.4%増)、経常利益6,306百万円(前年同期比8.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益4,238百万円(前年同期比12.5%増)となりました。

なお、業務効率化のため構築中の新基幹システムの開発計画の見直しに伴い、ソフトウェア仮勘定に含まれる開発資産のうち、今後、使用不能と認められる部分等について、減損損失として688百万円を特別損失に計上しております。

 

当連結会計年度の品目別の売上高は以下のとおりであります。

(システム導入契約売上高)

 ハードウェア売上高は、前年同期比12.1%増の4,414百万円、ソフトウェア売上高は、前年同期比7.1%減の12,817百万円となりました。ユースウェア売上高は、前年同期比15.2%増の6,802百万円となりました。

 この結果、システム導入契約売上高の合計は、前年同期比1.6%増の24,035百万円となりました。

 ※「システム導入契約売上高」は、システム導入契約時の売上高の合計として、ハードウェア、ソフトウェア、ユースウェア(システム導入支援サービス等)の売上高から構成されております。

(サービス収入)

 会計事務所向けの総合保守サービスであるTVS(トータル・バリューサービス)収入は、前年同期比1.2%増の2,564百万円となりました。ソフト使用料収入は、各種ERP製品のサブスクリプションモデルでの提供が伸長し、前年同期比44.0%増の5,665百万円となりました。企業向けのソフトウェア運用支援サービス収入は、前年同期比4.6%増の5,945百万円となりました。ハードウェア・ネットワーク保守サービス収入は、前年同期比4.3%増の1,583百万円、サプライ・オフィス用品は、前年同期比14.2%減の499百万円となりました。

 この結果、サービス収入の合計は、前年同期比14.1%増の16,259百万円となりました。

 ※「サービス収入」は、主に継続的な役務の対価となる安定的な収入として、ソフトウェア運用支援サービスやハードウェア・ネットワーク保守サービス、ソフト使用料収入、サプライ・オフィス用品等の売上高から構成されています。

 

 売上高前年同期比較

(単位:百万円、%)

 

 

前連結会計年度

当連結会計年度

前年同期比較

 

 

(自  2022年4月1日

(自  2023年4月1日

 

 

   至  2023年3月31日)

   至  2024年3月31日)

 

 

売上高

構成比

売上高

構成比

増減額

前期比

 

ハードウェア

3,939

9.5

4,414

10.0

475

12.1

 

ソフトウェア

13,802

33.3

12,817

29.2

△985

△7.1

 

ユースウェア

5,904

14.2

6,802

15.5

898

15.2

システム導入契約売上高

23,646

57.0

24,035

54.7

389

1.6

 

TVS

2,534

6.1

2,564

5.8

30

1.2

 

ソフト使用料

3,934

9.5

5,665

12.9

1,730

44.0

 

ソフトウェア運用支援サービス

5,684

13.7

5,945

13.6

261

4.6

 

ハードウェア・ネットワーク保守サービス

1,518

3.7

1,583

3.6

64

4.3

 

サプライ・オフィス用品

582

1.4

499

1.1

△82

△14.2

サービス収入

14,255

34.4

16,259

37.0

2,003

14.1

その他

3,559

8.6

3,677

8.3

117

3.3

合計

41,461

100.0

43,971

100.0

2,510

6.1

 

b.財政状態

(資産)

 当連結会計年度末における流動資産は26,668百万円となり、前連結会計年度末に比べ742百万円減少しました。これは主に現金及び預金が958百万円減少したことによるものであります。

 固定資産は19,350百万円となり、前連結会計年度末に比べ972百万円増加しました。これは主に無形固定資産が1,487百万円増加したことによるものであります。

 この結果、総資産は、46,018百万円となり、前連結会計年度末に比べ224百万円増加しました。

(負債)

 当連結会計年度末における流動負債は15,490百万円となり、前連結会計年度末に比べ5,378百万円減少しました。これは主に短期借入金が4,480百万円増加したこと及び1年内償還予定の転換社債型新株予約権付社債が11,007百万円減少したことによるものであります。

 固定負債は3,340百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,191百万円増加しました。これは主に長期借入金が3,200百万円増加したことによるものであります。

 この結果、負債合計は、18,831百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,186百万円減少しました。

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産合計は27,186百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,411百万円増加しました。これは主に当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益4,238百万円の計上や配当1,343百万円の実施により、利益剰余金が2,840百万円増加したことによるものであります。

 この結果、自己資本比率は58.0%(前連結会計年度末は53.0%)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ1,194百万円減少し、17,977百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは、6,538百万円の収入(前年同期は7,157百万円の収入)となりました。これは主として、税金等調整前当期純利益6,071百万円、減価償却費2,543百万円がそれぞれキャッシュ・フローの増加要因となり、売上債権の増減額605百万円、法人税等の支払額2,026百万円がそれぞれキャッシュ・フローの減少要因となったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、3,614百万円の支出(前年同期は2,856百万円の支出)となりました。これは主として、投資有価証券の売却による収入578百万円がキャッシュ・フローの収入となり、無形固定資産の取得による支出3,951百万円、有形固定資産の取得による支出394百万円がそれぞれキャッシュ・フローの支出となったことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、4,117百万円の支出(前年同期は1,778百万円の支出)となりました。これは主として、長期借入れによる収入4,000百万円がキャッシュ・フローの収入となり、転換社債型新株予約権付社債の償還による支出11,000百万円、配当金の支払額1,344百万円がそれぞれキャッシュ・フローの支出となったことによるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当社グループは、単一セグメントであるため品目別に記載しております。

名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

前年同期比(%)

 

ソフトウェア(百万円)

12,817

92.9

(注) 上記の金額は販売価額で表示しております。

 

b.受注実績

当社グループは、一部受託開発を行っておりますが、金額が軽微のため、記載を省略しております。

c.仕入実績

名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

前年同期比(%)

 

ハードウェア(百万円)

3,093

98.8

 

ソフトウェア(百万円)

849

88.4

システム導入契約仕入高(百万円)

3,943

96.3

 

サプライ・オフィス用品(百万円)

299

100.5

サービス仕入高(百万円)

299

100.5

その他(百万円)

0

92.4

 

合計(百万円)

4,243

96.6

(注) 上記の金額は仕入価額で表示しております。

 

d.販売実績

名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

前年同期比(%)

 

ハードウェア(百万円)

4,414

112.1

 

ソフトウェア(百万円)

12,817

92.9

 

ユースウェア(百万円)

6,802

115.2

システム導入契約売上高(百万円)

24,035

101.6

 

TVS(百万円)

2,564

101.2

 

ソフト使用料(百万円)

5,665

144.0

 

ソフトウェア運用支援サービス(百万円)

5,945

104.6

 

ハードウェア・ネットワーク保守サービス(百万円)

1,583

104.3

 

サプライ・オフィス用品(百万円)

499

85.8

サービス収入(百万円)

16,259

114.1

その他(百万円)

3,677

103.3

合計(百万円)

43,971

106.1

(注) 上記の金額は販売価額で表示しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

なお、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

1)キャッシュ・フローの分析

「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

2)当社グループの資本の財源及び資金の流動性

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、仕入商品の購入費用及びソフトウェア製品の保守費用のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、先端技術を活用した独創的な次世代製品・サービスの開発等によるものであります。

当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

短期運転資金は、自己資金及び金融機関からの短期借入による調達を基本としております。また、設備投資、開発資金及び長期運転資金は、金融機関からの長期借入による調達を基本としております。

また、2023年12月には転換社債型新株予約権付社債の償還期限を迎えましたが、金融機関から短期借入金4,500百万円及び長期借入金4,000百万円の合計8,500百万円の資金調達を実施して、償還資金に充当いたしました。

当連結会計年度末における借入金、リース債務を含む有利子負債の残高は9,332百万円となり、前連結会計年度末より、2,765百万円減少いたしました。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は17,977百万円となりました。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

また、国内経済に関しては、不安定な国際情勢や世界的な金融引締め、物価上昇などにより、景気の先行きは依然として不透明な状況が続くという仮定のもと、会計上の見積りを行っております。

 

④経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループが継続的な企業価値の向上を実現するうえで、事業の成長性及び資本の効率性を経営上の重要な判断指標として位置付けており、2024年5月13日に2028年度の経営目標(売上高600億円、経常利益120億円、ROE18%超)を公表しました。

「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 中期的な経営戦略」に記載している「中期経営計画Vision2028」に沿って事業を推進してまいります。

 

当社グループの2028年度の経営目標に対する2023年度実績及び2024年度の計画は、以下のとおりです。

 

 

2023年度実績

2024年度計画

2028年度経営目標

売上高

439億円

455億円

600億円

経常利益

63億円

67億円

120億円

経常利益率

14.3%

14.8%

20.0%超

ROE

16.6%

15.8%

18.0%超

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 当社グループは、ITの急速な発展を背景とした経済・社会の変革やITを活用した経営・業務改革のニーズに対応すべく、高度なIT人材の育成に取り組んでいます。また、多様かつ質の高いサービスの実現のため、継続的に研究開発を行っております。具体的には、当社ユーザーであります会計事務所とその顧問先企業を中心とする中堅・中小企業の経理・財務・総務業務に特化した財務・給与・人事等の業務専用システムの開発と、関連するデータベース・開発言語等の調査及び強固なセキュリティ構築を目的とした研究開発に取り組んでおります。

 また、統合型DXプラットフォーム事業などの新たなサービス開発や金融機関との連携強化に対しても積極的に研究開発を行っております。

 研究開発活動は、主に当社の製品開発・サポート本部にて行い、Fintech分野やDXプラットフォームなど一部の研究開発については、連結子会社と共同で研究開発を行っております。

 当連結会計年度における主な研究開発活動は次のとおりであります。

ソフトウェア関連事業

<ハードウェア>

 ①先端ハードウェア技術及び通信技術等の当社製品への応用技術研究

 ②仮想環境(IaaS)パッケージクラウドサービス「MJS DX Cloud」の企画・開発

 ③情報漏洩対策・IT資産管理アプライアンス「PCパトロールBOX」の企画・開発

 

<ソフトウェア>

 ①会計事務所向け統合業務システム「ACELINK NX-Pro」シリーズの機能強化

 ②顧問先向け統合業務システム「ACELINK NX-CE」シリーズの機能強化

 ③企業向け統合業務システム「Galileopt DX」シリーズの機能強化

 ④企業向け統合業務システム「MJSLINK DX」シリーズの機能強化

 ⑤企業向け税務システム「MJS税務DX」の企画・開発

 ⑥税制改正及び法改正に伴う、当社全製品のシステム改良

 ⑦中小・零細企業向け流通パッケージ「ミロクのかんたん!シリーズ」の機能強化

 ⑧社会保障・税番号制度(マイナンバー制度)に対応した「MJSマイナンバー」「MJSマイナンバーCloud」の機能強化

 ⑨先端ソフトウェア技術の調査及び当社製品の対応

<サービス開発・連携>

 ①小規模事業者向けクラウドサービス「かんたんクラウド」シリーズの企画・開発

 ②企業向けフロントシステム「Edge Tracker」シリーズの企画・開発

 ③顧問先向け記帳ツール「MJSお金の管理」の企画・開発

 ④振込代行クラウドサービス「楽たす」シリーズの企画・開発

 ⑤監査業務支援サービス「MJS AI監査支援」の企画・開発

 ⑥証憑書類保管・電子契約クラウドサービス「MJS e-ドキュメントCloud」の企画・開発

 ⑦電子インボイス送受信・インボイス電子化対応サービス「Edge Tracker 電子請求書」の企画・開発

 ⑧遠隔地バックアップサービス「MJSセキュアストレージサービス」の企画・開発

 ⑨中小企業支援プラットフォーム「Hirameki 7」の企画・開発

 ⑩次世代ERPシステムの企画・開発

 ⑪AIの利活用の調査・研究

 ⑫仮想通貨等FinTechの調査・研究

 ⑬新たな開発運用手法、開発運用体制等の調査・研究

 ⑭仮想化環境の調査・研究

 当連結会計年度における研究開発費の金額は、1,275百万円であります。