当社は、前事業年度に続き、当事業年度においても重要な営業損失、経常損失及び当期純損失を計上いたしました。また、当事業年度末において、手元資金と比べて短期借入金及び1年内返済予定の長期借入金の残高の水準が高いことから、当該借入金の返済が困難な状況にあります。
これらの状況により、当社は継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。
このような状況に対し、当社では、当該事象又は状況の解消に向けて、今後の事業方針として(A)高付加価値分野へのシフト、(B)技術力の更なる強化及び(C)価格改定による利幅の改善・製造コスト低減を掲げ、収益性の向上に取り組んでまいります。
(A)の高付加価値分野へのシフトについては、当社の技術優位性と品質・信頼性が活かせる高性能車載電池用銅箔や高速通信分野をターゲットにした高周波基板用銅箔に注力し、収益性の高い製品の販売比率向上を目指します。
(B)の技術力の更なる強化については、プロセス技術開発の推進を通じ、製品の更なる品質向上や生産効率改善によるコスト競争力確保に努めてまいります。また、並行して、今後の市場ニーズに適合する製品の開発も推進します。車載電池用銅箔においては、先進LIBや全固体電池等の次世代LIBの要求特性に適合した機械特性や表面処理に特徴を有する製品の開発及び市場投入、回路基板用銅箔においては、高速通信や高密度実装領域をターゲットとした製品の開発及び市場投入を継続的に進めます。
(C)の価格改定による利幅の改善・製造コスト低減については、適切なマージンを確保するべく、電力価格変動を販売価格に反映する範囲の拡大に継続して取り組むとともに、費用削減に加え、生産現場におけるDX・IoT化の効果刈り取りなどにより製造コスト低減を図ります。
更に、資金面では、当事業年度末において財務制限条項に抵触しておりますが、取引先金融機関から期限の利益等の喪失の権利行使をしないことに合意を得ていることから、引き続き金融機関の支援を得られる見通しです。加えて、保有資産の売却や設備投資案件の厳選及び抑制等により、事業及び運転資金の安定的な確保と維持に努めるとともに、財務体質の改善及び強化を図り、運転資本の充実のため、あらゆる資本政策の可能性についても検討しており、その取り組みとして、2024年6月24日付でテックス・テクノロジー株式会社との間で資本業務提携契約を締結しております。なお、詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」をご参照ください。
しかしながら、現時点において、当社の対応策は実施途上にあり、今後の事業進捗や追加的な資金調達の状況等によっては、当社の資金繰りに重要な影響を及ぼす可能性があるため、継続企業の前提に関する重要な不確実性が存在するものと認識しております。
なお、財務諸表は継続企業を前提として作成しており、上記のような継続企業の前提に関する重要な不確実性の影響を財務諸表に反映しておりません。
1. 資産の評価基準及び評価方法
(1) 有価証券の評価基準及び評価方法
移動平均法による原価法
(2) デリバティブの評価基準及び評価方法
時価法
(3) 棚卸資産の評価基準及び評価方法
製品、仕掛品
総平均法による原価法(貸借対照表価額については収益性の低下に基づく簿価切下げの方法)
原材料、貯蔵品
移動平均法による原価法(貸借対照表価額については収益性の低下に基づく簿価切下げの方法)
2. 固定資産の減価償却の方法
定額法を採用しております。
なお、主な耐用年数は次のとおりであります。
建物 3~38年
機械及び装置 2~7年
定額法を採用しております。
なお、自社利用のソフトウエアについては、社内における利用可能期間(5年)に基づいております。
所有権移転外ファイナンス・リース取引に係るリース資産
リース期間を耐用年数とし、残存価額を零(残価保証の取決めがある場合は残価保証額)とする定額法を採用しております。
3. 繰延資産の処理方法
株式交付費は、支出時に全額費用処理しております。
債権の貸倒損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。
従業員に対して支給する賞与の支出に備えるため、支給見込額に基づき当事業年度の負担額を計上しております。
役員に対して支給する賞与の支出に備えるため、当事業年度における支給見込額を計上しております。
当社は電解銅箔の製造販売を事業としており、主な履行義務は、顧客に製品を引き渡す義務であります。
国内取引について製品の納品時に製品の支配が顧客に移転すると判断していますが、出荷時から納品時までの期間が通常の期間であるため、重要性等に関する代替的な取扱いを適用し、出荷時に収益を認識しております。
また、収益は顧客との契約において約束された対価から返品、値引き及び割戻し等を控除した金額で測定しております。
なお、取引の対価は履行義務を充足してから1年以内に受領しており、重要な金融要素は含まれておりません。
繰延ヘッジ処理によっております。
(重要な会計上の見積り)
固定資産の減損
(1)当事業年度の財務諸表に計上した額
(2)識別した項目に係る重要な会計上の見積りの内容に関する情報
連結財務諸表「注記事項(重要な会計上の見積り)固定資産の減損 (2)識別した項目に係る重要な会計上の見積りの内容に関する情報」に同一の内容を記載しているため、注記を省略しております。
(損益計算書関係)
前事業年度において、独立掲記しておりました「営業外費用」の「株式交付費」は、金額的重要性が乏しくなったため、当事業年度より「営業外費用」の「その他」に含めて表示しております。 この表示方法の変更を反映させるため、前事業年度の財務諸表の組み替えを行っております。
この結果、前事業年度の損益計算書において、「営業外費用」に表示しておりました「株式交付費」34,790千円、「その他」57,188千円は、「その他」91,978千円として組み替えております。
(財務制限条項)
当社が2018年2月26日に締結したシンジケートローン契約には、以下の財務制限条項が付されております。
① 2018年3月期以降(2018年3月期を含む。)の各決算期末における連結ベースでのレバレッジ・レシオを、3.50以下に維持すること。(2019年3月期は4.50、2020年3月期は3.20、2021年3月期は2.80、2022年3月期以降は2.40)
② 2018年3月期以降(2018年3月期を含む。)の各決算期末の連結貸借対照表上の純資産の部の合計金額を、直前の各決算期末における連結ベースでの純資産の部の合計金額の85%以上かつ21億円以上に維持すること。
③ 2018年3月期以降(2018年3月期を含む。)の各決算期末における連結ベースの営業利益が赤字となる状態を生じさせないこと。
当社が2020年3月13日に締結したシンジケートローン契約には、以下の財務制限条項が付されております。
① 2020年3月期以降(2020年3月期を含む。)の各決算期末における連結ベースでのレバレッジ・レシオを、2.80以下に維持すること。(2022年3月期以降は2.40)
② 2020年3月期以降(2020年3月期を含む。)の各決算期末の連結貸借対照表上の純資産の部の合計金額を、直前の各決算期末における連結ベースでの純資産の部の合計金額の85%以上かつ21億円以上に維持すること。
③ 2020年3月期以降(2020年3月期を含む。)の各決算期末における連結ベースの営業利益が赤字となる状態を生じさせないこと。
当社が2021年1月27日に締結したシンジケートローン契約には、以下の財務制限条項が付されております。
① 2021年3月期及びそれ以降の各決算期末における連結ベースでのレバレッジ・レシオを、3.20以下に維持すること。(2022年3月期以降は2.40)
② 2021年3月期及びそれ以降の各決算期末の連結貸借対照表上の純資産の部の合計金額を、直前の各決算期末における連結ベースでの純資産の部の合計金額の85%以上かつ21億円以上に維持すること。
③ 2021年3月期及びそれ以降の各決算期末における連結ベースの営業利益が赤字となる状態を生じさせないこと。
当社が2022年1月25日に締結したシンジケートローン契約には、以下の財務制限条項が付されております。
① 2022年3月期及びそれ以降の各決算期末における連結ベースでのレバレッジ・レシオを、2.40以下に維持すること。
② 2022年3月期及びそれ以降の各決算期末の連結貸借対照表上の純資産の部の合計金額を、直前の各決算期末における連結ベースでの純資産の部の合計金額の85%以上に維持すること。
③ 2022年3月期及びそれ以降の各決算期末における連結ベースの営業利益が2期連続して赤字となる状態を生じさせないこと。
なお、当事業年度末において財務制限条項に抵触しておりますが、取引先金融機関から期限の利益等の喪失の権利行使をしないことについて合意を得ております。
※1 関係会社に対する金銭債権及び金銭債務(区分表示したものを除く)
※1 関係会社との取引高
※2 販売費及び一般管理費のうち主要な費目及び金額並びにおおよその割合は、次のとおりであります。
(表示方法の変更)
前事業年度において、主要な費目として表示しておりませんでした「業務委託費」は、金額的重要性が増したため、当事業年度より主要な費目としております。なお、この表示方法の変更を反映させるため、前事業年度におきましても主要な費目としております。
おおよその割合
販売費 21.2% 20.7%
一般管理費 78.8% 79.3%
※3 固定資産売却益の内容は、次のとおりであります。
※4 固定資産除売却損の内容は、次のとおりであります。
前事業年度(2023年3月31日)
子会社株式(貸借対照表計上額 1,219,894千円)は、市場価格のない株式等のため、子会社株式の時価を記載しておりません。
当事業年度(2024年3月31日)
子会社株式(貸借対照表計上額 1,219,894千円)は、市場価格のない株式等のため、子会社株式の時価を記載しておりません。
1.繰延税金資産及び繰延税金負債の発生の主な原因別の内訳
2.法定実効税率と税効果会計適用後の法人税等の負担率との間に重要な差異があるときの、当該差異の原因となった主要な項目別の内訳
前事業年度及び当事業年度において、税引前当期純損失を計上しているため、記載を省略しております。
(収益認識関係)
顧客との契約から生じる収益を理解するための基礎となる情報は、連結財務諸表「注記事項(収益認識関係)」に同一の内容を記載しているため、注記を省略しております。
(資本業務提携及び第三者割当による新株式の発行)
連結財務諸表「注記事項(重要な後発事象)」に同一の内容を記載しているため、注記を省略しております。