第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは、社是『発展と永続』のもと、『新たな社会・価値観に適応した「世界最高レベルの安全安心なプリント配線板」を供給し続けることにより、安全で快適な社会を実現する』ことを中長期ビジョンに掲げ、社会への貢献、幸福の追求、安全安心な製品の供給をすることで、ステークホルダーからの期待に応えるとともに、社員の幸せ・成長を実現することを目指しています。

 

(2)中長期的な会社の経営戦略と対処すべき課題

 今後の世界経済は、ウクライナ情勢の悪化や、新型コロナウイルス感染拡大によるロックダウンなどが、サプライチェーンの混乱や、原材料費、エネルギー価格の高騰を招くことが考えられ、先行きは不透明な状況が続くものと予想されます。当社グループ主力の車載市場においては、世界的な半導体をはじめとした部品不足の影響が未だに不透明であるものの、中長期的には「コネクティッド化」「自動運転化」「電動化」等「CASE」の新しい潮流による構造的な変化を背景とした電装化進展により、需要は拡大すると見込まれます。

 このような状況のもと、当社グループでは中期経営計画2019の施策およびコロナ禍における経営合理化策の取り組みで収益構造は改善しつつありますが、持続的な成長を目指せる収益構造には更なる事業構造改革が必要との認識であり、アフターコロナに向けて『持続的な成長に向けて、安定的な収益構造の構築と成長サイクルの確立』を目指す姿として2021年11月に新中期経営計画(2023年3月期~2027年3月期)を策定いたしました。

 新中期経営計画での中長期ビジョンを『新たな社会・価値観に適応した「世界最高レベルの安全安心なプリント配線板」を供給し続けることにより、安全で快適な社会を実現する』として、社会への貢献、幸福の追求、安全安心な製品の供給を経営方針に掲げ、中期5ヵ年計画を、前半3ヵ年の第1次中期経営計画と後半2ヵ年の第2次中期経営計画に分け、活動をスタートいたしました。

 第1次中期経営計画(2023年3月期~2025年3月期)においては、『事業構造改革による収益基盤の確立と次なる成長への仕込み』を骨子として、事業構造改革による生産効率化、車載製品ポートフォリオの高付加価値シフト、新規事業領域への仕込みと事業化加速に取り組んでまいります。

 生産効率化においては、国内生産拠点の再編を行うとともに、自動化投資や更新投資による生産性向上や品質改善を推進してまいります。また、競争優位性のあるパワートレイン・走行安全系の分野に注力することにより、車載製品ポートフォリオの高付加価値シフトによる収益性を向上させるとともに、5G関連市場への参入を図り、事業化を加速し新たな事業領域の確立を目指します。

 第2次中期経営計画(2026年3月期~2027年3月期)においては、『CASE需要と新規事業領域の取込みによる成長加速』を骨子として、CASE需要の取込みによる成長サイクルの確立、新規事業領域の取込みによる成長加速を目指してまいります。

 また、2021年12月にサステナビリティ基本方針を策定し、全てのステークホルダーのみなさまより信頼される会社に向けて、持続可能な社会に向けた取り組みを積極的に推進してまいります。

 

 

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況に関する事項のうち、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあり、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項と考えております。

 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2022年6月28日)現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)マーケット及び有力顧客への依存と産業界・消費者の需要動向による影響

 当社グループの属するプリント配線板業界は、ここ近年の各種デジタル機器の高性能化や、自動車関連機器などの電子化により、そのニーズは着実に進展しております。当社グループにおきましても、それらの市場を戦略市場と位置付け、積極的な研究開発と販売促進を行っております。しかしながら、想定外の世界の経済情勢の悪化や、それらの市場環境に悪化が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)ドル、ユーロ、人民元、タイバーツ等の対円為替相場の大幅な変動による影響

 当社グループの海外事業は、中国及び東南アジアを中心に事業を展開しております。外貨建の取引については、為替予約によるヘッジを行い為替変動リスクを最小限に止める努力をしておりますが、急激な通貨変動は当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)原材料等の価格変動及び供給体制の影響

 世界的な原油価格や素材価格の変動により、当社グループが供給を受ける材料価格に重大な影響を与える可能性があります。また、材料等を供給する特定サプライヤーの生産能力による納期逼迫により当社グループの生産面へ影響を与える可能性があります。それらの影響により当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)テクノロジー及び市場ニーズの急激な変化による当社グループ製品の陳腐化

 当社グループの属するプリント配線板業界は、非常に厳しい競争環境下にあるため、市場競争力の維持、強化を図るために、継続的な研究開発活動による新製品・新技術の開発を行っております。

 当社グループの研究開発活動については、将来の市場、製品及び技術動向の予測に基づいてテーマ選定を行い、研究開発活動の各段階において研究開発成果を評価し、その実効性と効率性の向上に努めております。しかしながら、市場や顧客ニーズの急激な変化が、当社グループの予測を超えて起こり、新製品をタイムリーに開発・供給できない場合には、競争力が低下し、シェアを失うことにより、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)保有する有価証券及びその他資産の時価や固定資産の評価の変動、その他会計方針変更の影響

 保有する有価証券及びその他資産の時価や固定資産の評価の変動、その他会計方針変更により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)海外事業展開先の政治経済情勢の変化、法令制度の変更、社会インフラの機能不全による影響

 当社グループの生産及び販売は、中国及び東南アジアを中心とした海外での活動の割合が高まっております。海外市場での事業展開については、以下に挙げるようなリスクが内在しております。

① 政治、経済の混乱及び紛争

② 電力停止などの社会インフラの機能不全による混乱

③ 予期しない法令・税制・規制の変更

 これらのリスクが顕在化した場合には、安定的な製品供給ができなくなるなどの可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(7)当社グループの将来の製品又は技術が他社の知的財産権を侵害しているとされる場合のリスク

 当社グループは、技術革新の著しいプリント配線板業界に属していることから、知的財産権は重要な経営資源の一つであり、知的財産権の保護、それに絡む紛争の回避は重要な経営課題であると認識しております。

 しかし、当社グループの知的財産権が第三者により無効とされる可能性、特定地域での十分な保護が得られない可能性や知的財産権の対象が模倣される可能性によって、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 また、結果として当社グループが第三者の知的財産権を侵害するに至った場合や、それにより訴訟を提起された場合には、これらの訴訟に関する費用や損害賠償金等の支払いが発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)人材確保に関するリスク

 当社グループの継続的な成長には、優秀な人材を確保し、育成することが重要な経営課題の一つでありますが、人材採用環境の著しい悪化や人材流出の増加が継続した場合は、当社の人材確保が予定通りに進まず、将来の成長に影響が及び、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)情報漏洩などにより信用力の低下、賠償責任が生じるリスク

 当社グループは、情報資産を重要な経営資源の一つと定め、情報セキュリティの強化に努めておりますが、想定を超えた技術レベルによるコンピューターへの不正アクセスや、予期せぬ不正使用、機密文書の社外流出等があった場合には、当社グループの社会的信用力の低下や、損害賠償責任が生じる可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)地震等自然災害による偶発事象の影響

 地震等の自然災害の発生により、当社グループの生産拠点が損害を受ける可能性があります。当社グループは、日本、中国及びタイに工場を有しており、大規模な地震、水害等の自然災害が発生した場合、工場施設の損害、操業の停止、復旧費用などにより、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)大規模な感染症拡大による影響

 世界的な感染症の拡大による各国の経済活動が制限されることなどにより、当社グループの事業活動の停止、世界規模のサプライチェーン停滞などが、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

a.財政状態

 当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末の965億1百万円に対して83億64百万円増加し、1,048億65百万円となりました。これは主に商品及び製品が53億1百万円、有形固定資産が26億35百万円それぞれ増加したことなどによるものであります。

 負債は、前連結会計年度末の449億81百万円に対して54億16百万円増加し、503億98百万円となりました。これは主に短期借入金が104億16百万円、社債が24億7百万円それぞれ増加し、1年内償還予定の社債が45億30百万円、長期借入金が44億42百万円それぞれ減少したことなどによるものであります。

 純資産は、前連結会計年度末の515億19百万円に対して29億47百万円増加し、544億66百万円となりました。これは主に利益剰余金が29億63百万円増加したことなどによるものであります。

 

b.経営成績

 当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルスのワクチン接種が進み、感染者数が減少したことにより、経済活動再開の兆しが見られたものの、新たな変異株の出現や感染再拡大もあり、依然として先行き不透明な状況が続いております。世界経済においても、経済活動の拡大を背景に回復基調が継続しましたが、ウクライナ情勢の悪化や、新型コロナウイルス感染拡大による一部地域でのロックダウンなどが、サプライチェーンの混乱や、原材料費、エネルギー価格の高騰を招き、再び先行き不透明感が増してきております。

 このような環境のもと、当社グループ主力の車載分野においては、半導体をはじめとした部品不足の影響が未だ不透明であるものの、世界全体で自動車販売台数が回復し、受注が好調に推移しました。

 当社グループは、車載向けの販売が増加し、連結売上高は814億86百万円(前年同期比16.5%の増収)となりました。

 利益面につきましては、原材料費上昇の影響があったものの、売上高の増加の影響に加え、生産効率の改善等により、営業利益は30億21百万円(前年同期は16億76百万円の営業損失)となりました。また、営業利益の増加などにより、経常利益は33億5百万円(前年同期は15億11百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純利益は27億85百万円(前年同期は18億68百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。

 

 セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

 (日本)

 国内の自動車販売台数は横這いだったものの、車載向けの販売が部品不足に対する挽回生産に向けて増加し、売上高は484億10百万円(前年同期比11.6%の増収)となりました。

 利益面では、売上高の増加の影響に加え、経営合理化による固定費削減の影響などにより、セグメント利益は22億64百万円(前年同期は10億69百万円のセグメント損失)となりました。

 (中国)

 中国の自動車販売台数が増加した影響などにより、車載向けの販売が増加し、売上高は160億67百万円(前年同期比28.5%の増収)となりました。

 利益面では、人民元が対米ドルで通貨高に推移した影響があったものの、売上高の増加の影響に加え、生産効率の改善等の影響などにより、セグメント利益は7億6百万円(前年同期比32.7%の増益)となりました。

 (東南アジア)

 タイの自動車販売台数は減少したものの、他の地域に対する車載向けの販売が増加し、売上高は132億80百万円(前年同期比31.1%の増収)となりました。

 利益面では、売上高の増加の影響に加え、生産効率の改善等の影響などにより、セグメント利益は10億76百万円(前年同期は7億82百万円のセグメント損失)となりました。

 (欧米)

 欧米の自動車販売台数が増加したものの、部品不足の影響を受けて車載向けの販売が減少し、売上高は37億28百万円(前年同期比5.4%の減収)となりました。利益面では、売上高の減少の影響に加え、輸送費上昇等の影響などによりセグメント利益は1億43百万円(前年同期比24.0%の減益)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末の174億66百万円に対して15億86百万円減少し、158億79百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況と内訳は次のとおりであります。

 (営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における営業活動による資金の増加は、24億76百万円(前連結会計年度は34億20百万円の増加)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益35億77百万円、減価償却費42億18百万円による資金の増加、棚卸資産の増加額53億78百万円による資金の減少などによるものであります。

 (投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における投資活動による資金の減少は、61億7百万円(前連結会計年度は31億85百万円の減少)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出61億21百万円による資金の減少などによるものであります。

 (財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における財務活動による資金の増加は、15億74百万円(前連結会計年度は11億62百万円の増加)となりました。これは主に短期借入れによる収入249億13百万円による資金の増加、短期借入金の返済による支出189億13百万円、社債の償還による支出45億72百万円による資金の減少などによるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

日本

30,070

11.0

中国

30,850

28.4

東南アジア

25,877

39.1

欧米

合計

86,798

24.5

 

b.受注実績

 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

日本

50,917

17.3

13,029

23.8

中国

15,903

21.9

3,559

△4.4

東南アジア

13,811

32.8

3,421

18.4

欧米

4,152

20.8

1,996

27.0

合計

84,785

20.6

22,007

17.6

 (注) セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

日本

48,410

11.6

中国

16,067

28.5

東南アジア

13,280

31.1

欧米

3,728

△5.4

合計

81,486

16.5

 (注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

株式会社デンソー

18,755

26.8

22,485

27.6

株式会社ネクスティエレクトロニクス

8,258

11.8

8,608

10.6

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態

 (資産の部)

 当連結会計年度末における総資産は1,048億65百万円(前年同期比8.7%の増加)となりました。流動資産は556億23百万円(前年同期比10.5%の増加)、固定資産は492億6百万円(前年同期比6.6%の増加)、繰延資産は35百万円(前年同期比0.6%の減少)となりました。

 流動資産の増加の主な要因は、商品及び製品が53億1百万円増加したことなどによるものであります。

 固定資産の増加の主な要因は、有形固定資産が26億35百万円増加したことなどによるものであります。

 (負債の部)

 当連結会計年度末の負債合計は503億98百万円(前年同期比12.0%の増加)となりました。流動負債は336億37百万円(前年同期比28.1%の増加)、固定負債は167億61百万円(前年同期比10.5%の減少)となりました。

 流動負債の増加の主な要因は、短期借入金が104億16百万円増加し、1年内償還予定の社債が45億30百万円減少したことなどによるものであります。

 固定負債の減少の主な要因は、長期借入金が44億42百万円減少し、社債が24億7百万円増加したことなどによるものであります。

 (純資産の部)

 当連結会計年度末の純資産合計は544億66百万円(前年同期比5.7%の増加)となりました。

 純資産合計の増加の主な要因は、利益剰余金が29億63百万円増加したことなどによるものであります。

 この結果、1株当たりの純資産額は890円55銭(前年同期は811円53銭)となりました。また、自己資本比率は前連結会計年度末に比べて0.49ポイント上がり、50.27%となりました。

 

b.経営成績

 (売上高)

 当連結会計年度の売上高は、814億86百万円(前年同期比16.5%の増収)となりました。半導体をはじめとした部品不足の影響があったものの、世界全体で自動車販売台数が回復し、受注が好調に推移したことを受けて車載向け売上高が増収となりました。

 (売上原価、販売費及び一般管理費、営業利益)

 売上原価は、691億99百万円(前年同期比9.8%の増加)となりました。

 売上総利益は、122億86百万円(前年同期比76.6%の増加)となり、売上総利益率は5.2ポイント改善し、15.1%となりました。

 販売費及び一般管理費は、92億65百万円(前年同期比7.3%の増加)となりました。

 この結果、営業利益は30億21百万円(前年同期は16億76百万円の営業損失)となり、営業利益率は3.7%となりました。

 (経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益)

 経常利益は、33億5百万円(前年同期は15億11百万円の経常損失)となりました。経常利益率は4.1%となりました。

 親会社株主に帰属する当期純利益は、27億85百万円(前年同期は18億68百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。

 1株当たりの当期純利益は47円5銭となりました。

 

 セグメントごとの経営成績等の詳細は (1) 経営成績等の状況の概要①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況については、「 (1) 経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

 

 (資本の財源及び資金の流動性について)

a.資金調達の基本方針

 当社グループは、金融情勢の変化に機動的に対応しつつ、調達手段の多様化等を図ることで、資金コストの低減及び調達の安定性を高めることにより、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

b.資金調達

 当社グループの資金調達は、短期運転資金については、営業活動により得られたキャッシュ・フロー及び金融機関からの短期借入を基本としております。長期的な資金については、設備投資計画や既存借入金の償還時期等を総合的に勘案し、金融機関からの長期借入及び社債によって流動性を維持しております。また、設備投資の一部はリース取引によっております。

 なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は前期末比37億67百万円増加し、299億3百万円となりました。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は前期末比15億86百万円減少し、158億79百万円となりました。

 

c.流動性の確保

 当社グループは、流動性を確保するために取引金融機関と総額50億円のコミットメントライン契約を締結しております。

 なお、当連結会計年度末の借入未実行残高は50億円となっており、資金の流動性は十分に確保されております。

 

当連結会計年度末の有利子負債の内訳は次のとおりであります。

(単位:百万円)

 

合計

返済・償還

1年以内

返済・償還

1年超

短期借入金

7,836

7,836

長期借入金

18,317

6,492

11,824

社債

3,650

42

3,608

リース債務

98

32

66

その他有利子負債

合計

29,903

14,403

15,499

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表はわが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 新型コロナウイルス感染症の影響に関する会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しております。

 

 

④ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況

 当社は、中期経営計画2019(2020年3月期~2022年3月期)に取り組んでおりましたが、主力の車載市場において米中貿易摩擦の影響などによる市場の減速に加え、新型コロナウイルスによる自動車の生産・販売の急減の影響をうけ2020年6月に定量目標を取り下げました。中期経営計画2019の施策及びコロナ禍における経営合理化策の取り組みで収益構造は改善しつつありますが、持続的な成長を目指せる収益構造には更なる事業構造改革が必要との認識であり、アフターコロナに向けて『持続的な成長に向けて、安定的な収益構造の構築と成長サイクルの確立』を目指す姿として新中期経営計画を策定いたしました。

 新中期経営計画では数値目標を以下の通り定め、この実現に向けた活動を通し、更なる企業価値向上を目指してまいります。なお、本中期経営計画に関しては、「1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 中長期的な会社の経営戦略と対処すべき課題」にも記載しております。

 

 

2023年3月期

(計画)

2024年3月期

(目標)

2025年3月期

(目標)

2026年3月期

(目標)

2027年3月期

(目標)

売上高(億円)

820

810

840

900

1,000

営業利益(億円)

30

45

55

65

80

営業利益率(%)

3.7

5.6

6.5

7.2

8.0

ROE(%)

3.8

6.0

7.0

7.7

9.0

 

4【経営上の重要な契約等】

当連結会計年度において契約期間満了に伴い終了した契約は次のとおりであります

契約会社名

相手方の名称

国名

契約品目

契約締結日

契約の内容

契約期間

提出会社

丸紅株式会社

日本

プリント配線板

2001年

8月24日

3社による希門凱電子(無錫)有限公司の設立

2001年

5月15日から

20年間

パナソニックデバイスマテリアル蘇州有限公司

中国

(注)契約の満了に伴い、以下の契約を再締結しております。

契約会社名

相手方の名称

国名

契約品目

契約締結日

契約の内容

契約期間

提出会社

パナソニックデバイスマテリアル蘇州有限公司

中国

プリント配線板

2021年

5月14日

2社による希門凱電子(無錫)有限公司の合弁事業契約

2021年

5月15日から

30年間

 

5【研究開発活動】

 当連結会計年度における当社グループが支出した研究開発費の総額は751百万円であり、セグメントごとの研究開発活動を示すと次のとおりであります。

 

(1) 日本

 当連結会計年度の研究開発活動は、市場のニーズにあった高機能で高信頼性及び地球環境を配慮した「プリント配線板」など、将来を見据えた研究開発を推進しております。

 当社グループの主力製品である自動車市場は、「CASE」(Connected・Autonomous・Shared・ Electric)といった新領域での技術革新が進み、モビリティ業界の概念が大きく変わりつつあります。また、環境規制に配慮した電動車(HV/PHV/EV/FCV)の進展や、安全意識の高まりによる自動運転化に対応した電装製品及び車載通信機器やセンサー部品向けにプリント配線板の高機能化が進んでおります。更に、今後の完全自動運転化の実現には、次世代車載通信システムとそれらを制御するECU機器の高機能化が必要不可欠となっております。

 当社では、このような車載ニーズに適合した次世代のプリント配線板として、「ミリ波モジュール」、「センシングカメラ」、「車載通信機器」、「統合型電子制御ECU」など、用途別の高密度多層ビルドアップ配線板の開発を推進しております。また、電動化に伴う車載電装部品用途においては、高信頼性・高放熱・高耐熱・高電圧・大電流といった個別要求に対応したプリント配線板の開発も強化しております。

 車載以外の成長分野(次世代高速通信インフラ分野や航空宇宙分野など)への参入を見据えた活動としては、ネプコンジャパン名古屋・東京の2展示会に多数の研究開発製品を出展いたしました。高速通信インフラ分野向けには「次世代の通信アンテナモジュールや電源モジュール」、JAXA(宇宙航空研究機構)向けには「基板設計~信号伝送測定までのトータルソリューション提案」、有人ドローン向けには「1kA対応大電流基板」、産学連携の共同研究では「小型ブラシレスモータ用配線板」、次世代の環境配慮プロセスとしては「環境負荷を10分の1に抑制した3Dプリンタによる配線板形成」など、成長分野へ新製品を提案し、事業拡大を推進してまいります。

 

 第62期の具体的な研究開発活動は次のとおりであります。

① ADAS用途向けに次世代モデルのミリ波モジュール配線板の試作開始。

② 成長分野向けに新潟工場内CMKイノベーションセンターで試作開始。

③ 環境配慮対応として、プリント配線板製造用3Dプリンタ装置を駆使した3D配線板を提案。

 なお、当連結会計年度中に支出した研究開発費の金額は751百万円であります。

 

(2) 中国、東南アジア、欧米

 当社グループは研究開発部門を日本に集約しているため、該当事項はありません。