(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、『発展と永続』の企業理念のもと、『世界最高レベルで安心感のある製品』を世の中に供給することにより、ステークホルダーからの期待に応えるとともに、社員の幸せ・成長を実現することを目指しています。
(2)中長期的な会社の経営戦略と対処すべき課題
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、各国の経済活動が大幅に制限され、今後の日本経済及び世界経済の先行きは極めて不透明であります。当社グループ主力の車載市場においても自動車の生産・販売が急激に落ち込むなど、かつて経験をしたことがない厳しい経営環境となっております。
一方、車載向けプリント配線板市場においては、「コネクティッド化」「自動運転化」「電動化」等「CASE」の新しい潮流による構造的な変化を背景に、電装化進展による需要は拡大すると見込まれます。
このような状況のもと、当社グループでは中長期ビジョンを『やりがいと顧客満足度を上げるための事業体制に変身する』とし、当社が強みとする、特に高い品質と信頼性が要求されるエンジンやブレーキ、予防安全装置等が含まれる自動車のパワートレイン・走行安全系の分野に注力し、「世界最高レベルで安心感のある製品」を世の中に供給することにより、ステークホルダーからの期待に応えるとともに、社員の幸せ・成長の実現に向けて取り組んでまいります。
中期経営計画に掲げた「構造改革」と「企業品質向上」を重点的に推進し、新型コロナウイルスが沈静化し、世界的に経済活動が回復した後に、持続的な成長を実現するために、以下の経営方針を掲げ取り組んでまいります。
1.公明正大なものづくり
2018年12月に公表いたしました未承認工程変更問題を二度と起こさず、コンプライアンスを経営の重要事項と位置づけたものづくりを実践いたします。
2.活力ある職場づくり
2020年4月に人事制度改革を実施し、年齢、性別、国籍、宗教を問わず、全ての従業員が活躍可能な制度を整えました。環境の変化に柔軟に対応できるよう、組織、立場を問わずコミュニケーションの活性化を図り、活力ある職場づくりを実践いたします。
3.品質向上
お客様の信頼を得て持続的な成長を実現するには、製品品質・業務品質の向上が重要と位置づけ、品質改善を推進いたします。
4.稼働率向上
この厳しい経営環境を乗り越え、持続的に成長するためには、生産設備の稼働率向上による生産効率化を迅速に進める必要があり、設備の自動化、適正な生産計画の立案と実行、従業員の多能工化を推進いたします。
5.環境保全と社会への貢献
地球環境保全を経営の重要事項と位置づけ、資源を無駄なく有効に使うとともに、安心、安全な製品をお客様及び社会に提供することで、将来にわたり社会の役に立つ企業を目指します。
6.内部統制システムの充実
持続的な成長の実現には、法令順守はもちろんのこと、業務の適正を確保するための内部統制システムの継続的な強化が必須であると考え、更なる充実を目指します。
以上の経営方針を実践し、厳しい経営環境下、さらなる企業価値の向上に向けて全力で取り組んでまいります。
【未承認工程変更問題に関する報告】
2019年度は、2018年12月に公表いたしました未承認工程変更問題の再発防止及びその要因となった企業風土の改革を最重要課題として認識し、2019年3月29日発表の未承認工程変更の再発防止策を推進してまいりました。また、企業文化の変革を目指した3ヵ年スローガン「Restart」を2019年4月から掲げ、コンプライアンス重視、コミュニケーションの活性化等を重点テーマに、変革への取り組みを進めてまいりました。
2020年度も引き続き「企業風土改革」を最重要課題として、未承認工程変更の再発防止を含むコンプライアンス全般にまで活動範囲を広げることで、より一層の改革を推進してまいります。
弊社が目指すべきは、「お客様・株主・社会・従業員の各ステークホルダーから信頼される会社」の実現であり、その信頼に基づき、期待される会社となることを弊社の目標と設定しています。そのためにも、経営層自らが意識・行動を改め、社内外へメッセージを配信するとともに、すべての事業活動においてコミュニケーションを強化することで、風通しの良い会社づくりを進めてまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況に関する事項のうち、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあり、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項と考えております。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2020年6月25日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1)マーケット及び有力顧客への依存と産業界・消費者の需要動向による影響
当社グループの属するプリント配線板業界は、ここ近年の各種デジタル機器の高性能化や、自動車関連機器などの電子化により、そのニーズは着実に進展しております。当社グループにおきましても、それらの市場を戦略市場と位置付け、積極的な研究開発と販売促進を行っております。しかしながら、想定外の世界の経済情勢の悪化や、それらの市場環境に悪化が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2)ドル、ユーロ、人民元、タイバーツ等の対円為替相場の大幅な変動による影響
当社グループの海外事業は、中国及び東南アジアを中心に事業を展開しております。外貨建の取引については、為替予約によるヘッジを行い為替変動リスクを最小限に止める努力をしておりますが、急激な通貨変動は当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3)原材料等の価格変動及び供給体制の影響
世界的な原油価格や素材価格の変動により、当社グループが供給を受ける材料価格に重大な影響を与える可能性があります。また、材料等を供給する仕入先の生産能力による納期逼迫により当社グループの生産面へ影響を与える可能性があります。それらの影響により当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(4)テクノロジー及び市場ニーズの急激な変化による当社グループ製品の陳腐化
当社グループの属するプリント配線板業界は、非常に厳しい競争環境下にあるため、市場競争力の維持、強化を図るために、継続的な研究開発活動による新製品・新技術の開発を行っております。
当社グループの研究開発活動については、将来の市場、製品及び技術動向の予測に基づいてテーマ選定を行い、研究開発活動の各段階において研究開発成果を評価し、その実効性と効率性の向上に努めております。しかしながら、市場や顧客ニーズの急激な変化が、当社グループの予測を超えて起こり、新製品をタイムリーに開発・供給できない場合には、競争力が低下し、シェアを失うことにより、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(5)保有する有価証券及びその他資産の時価や固定資産の評価の変動、その他会計方針変更の影響
保有する有価証券及びその他資産の時価や固定資産の評価の変動、その他会計方針変更により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(6)海外事業展開先の政治経済情勢の変化、法令制度の変更、社会インフラの機能不全による影響
当社グループの生産及び販売は、中国及び東南アジアを中心とした海外での活動の割合が高まっております。海外市場での事業展開については、以下に挙げるようなリスクが内在しております。
① 政治、経済の混乱及び紛争
② 電力停止などの社会インフラの機能不全による混乱
③ 予期しない法令・税制・規制の変更
これらのリスクが顕在化した場合には、安定的な製品供給ができなくなるなどの可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(7)当社グループの将来の製品又は技術が他社の知的財産権を侵害しているとされる場合のリスク
当社グループは、技術革新の著しいプリント配線板業界に属していることから、知的財産権は重要な経営資源のひとつであり、知的財産権の保護、それに絡む紛争の回避は重要な経営課題であると認識しております。
しかし、当社グループの知的財産権が第三者により無効とされる可能性、特定地域での十分な保護が得られない可能性や知的財産権の対象が模倣される可能性によって、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
また、結果として当社グループが第三者の知的財産権を侵害するに至った場合や、それにより訴訟を提起された場合には、これらの訴訟に関する費用や損害賠償金等の支払いが発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(8)情報漏洩などにより信用力の低下、賠償責任が生じるリスク
当社グループは、情報資産を経営資源の重要なひとつと定め、情報セキュリティの強化に努めておりますが、想定を超えた技術レベルによるコンピューターへの不正アクセスや、予期せぬ不正使用、機密文書の社外流出等があった場合には、当社グループの社会的信用力の低下や、損害賠償責任が生じる可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(9)地震等自然災害による偶発事象の影響
地震等の自然災害の発生により、当社グループの生産拠点が損害を受ける可能性があります。当社グループは、日本、中国及びタイに工場を有しており、大規模な地震、水害等の自然災害が発生した場合、工場施設の損害、操業の停止、復旧費用などにより、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(10)大規模な感染症拡大による影響
世界的な感染症の拡大による各国の経済活動が制限されることなどにより、当社グループの事業活動の停止、世界規模のサプライチェーン停滞などが、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
a.財政状態
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末の1,051億89百万円に対して91億45百万円減少し、960億44百万円となりました。これは主に現金及び預金が87億41百万円減少したことなどによるものであります。
負債は、前連結会計年度末の493億40百万円に対して82億28百万円減少し、411億11百万円となりました。これは主に支払手形及び買掛金が33億43百万円、未払金が18億47百万円、借入金が32億9百万円減少したことなどによるものであります。
純資産は、前連結会計年度末の558億49百万円に対して9億17百万円減少し、549億32百万円となりました。これは主に利益剰余金が17億79百万円、その他有価証券評価差額金が2億92百万円減少し、為替換算調整勘定が10億27百万円増加したことなどによるものであります。
b.経営成績
当連結会計年度における我が国経済は、雇用環境の改善などを背景として個人消費の緩やかな回復がみられたものの、輸出が低迷するなど、景気の減速傾向が見受けられました。世界経済においては、米国経済及び中国経済は米中貿易摩擦の影響などにより景気の減速がみられ、中東における地政学的リスクの高まりなどもあり、不透明感が増しました。
さらに、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、各国の経済活動が停滞し、世界経済の減速懸念が強まる状況となりました。
このような環境のもと、当社グループ主力の車載分野においては、自動車の電装化は進展しているものの、世界的な自動車販売台数は減少し厳しい状況となりました。
当社グループは、車載向けの販売の減少に加え、通信関連機器やアミューズメント等の販売が減少し、連結売上高は826億19百万円(前年同期比8.4%の減収)となりました。
利益面につきましては、売上高の減少及び国内生産工場の稼働率低下の影響などにより、営業利益は16億1百万円(前年同期比57.5%の減益)となりました。また、経常利益は営業利益の減少などにより7億92百万円(前年同期比79.0%の減益)、繰延税金資産の取り崩しに伴う法人税等調整額を計上したことなどから、親会社株主に帰属する当期純損失は11億28百万円(前年同期は20億15百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
(日本)
自動車の電装化の進展を受けて車載向けの販売は横這いだったものの、通信関連機器やアミューズメントの販売が減少したことに加え、台風19号によるサプライチェーンの乱れに伴う材料供給の遅れとそれによる生産減少などの影響もあり、売上高は472億16百万円(前年同期比8.4%の減収)となりました。
利益面では、売上高の減少及び生産工場の稼働率低下などにより、セグメント損失は21百万円(前年同期は19億61百万円のセグメント利益)となりました。
(中国)
中国の自動車販売が減少した影響を受けて車載向けの販売が減少したほか、アミューズメント向けの販売も減少し、売上高は148億91百万円(前年同期比11.3%の減収)となりました。
利益面では、生産性の改善及び人民元が対米ドルで通貨安に推移したことなどにより、セグメント利益は19億4百万円(前年同期比17.5%の増益)となりました。
(東南アジア)
タイにおける自動車販売が輸出向けも含めて低調に推移したことなどから、当社においては車載向けの販売が減少し、売上高は146億76百万円(前年同期比1.2%の減収)となりました。
利益面では、タイの増産投資に伴う費用負担が重く、セグメント損失は15百万円(前年同期は2億73百万円のセグメント利益)となりました。
(欧米)
米国の自動車販売台数が低調に推移したことなどから、当社においては車載向けでの販売が減少し、売上高は58億35百万円(前年同期比17.4%の減収)となりました。利益面では、売上高の減少に伴い、セグメント利益は3億13百万円(前年同期比23.4%の減益)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末の254億36百万円に対して87億41百万円減少し、166億94百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況と内訳は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の増加は、55億76百万円(前連結会計年度は70億13百万円の増加)となりました。これは主に減価償却費47億21百万円、売上債権の減少額38億32百万円などによる資金の増加、仕入債務の減少額33億73百万円による資金の減少などによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は、85億23百万円(前連結会計年度は72億78百万円の減少)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出82億61百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の減少は、59億22百万円(前連結会計年度は94億30百万円の増加)となりました。これは主に借入れによる収入65億13百万円、借入金の返済による支出97億8百万円、債権売却の減少額11億42百万円による資金の減少などによるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
生産高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
日本 |
30,884 |
△17.9 |
|
中国 |
28,198 |
△8.2 |
|
東南アジア |
23,840 |
7.9 |
|
欧米 |
- |
- |
|
合計 |
82,923 |
△8.3 |
(注) 上記金額は販売価格によっており、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前年同期比(%) |
受注残高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
日本 |
47,248 |
△8.1 |
10,510 |
0.3 |
|
中国 |
14,141 |
△12.8 |
3,182 |
△19.1 |
|
東南アジア |
13,331 |
△14.9 |
2,626 |
△33.9 |
|
欧米 |
5,649 |
△21.9 |
2,073 |
△8.2 |
|
合計 |
80,371 |
△11.2 |
18,392 |
△10.9 |
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記金額は販売価格によっており、消費税等は含まれておりません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
販売高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
日本 |
47,216 |
△8.4 |
|
中国 |
14,891 |
△11.3 |
|
東南アジア |
14,676 |
△1.2 |
|
欧米 |
5,835 |
△17.4 |
|
合計 |
82,619 |
△8.4 |
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
|
相手先 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
||
|
販売高(百万円) |
割合(%) |
販売高(百万円) |
割合(%) |
|
|
株式会社デンソー |
15,712 |
17.4 |
17,809 |
21.6 |
|
株式会社ネクスティエレクトロニクス |
9,244 |
10.3 |
9,068 |
11.0 |
3.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の売上高は自動車の電装化は進展しているものの、世界的な自動車市場の減速により、前期比76億11百万円減少し、826億19百万円(前年同期比8.4%の減収)となりました。
特に日本において台風19号によるサプライチェーンの乱れに伴う材料供給の遅れとそれによる生産減少の影響もあり、前期比43億4百万円減少し、472億16百万円(前年同期比8.4%の減収)、中国は年後半の車載市場の減速の影響が大きく前期比19億4百万円減少し、148億91百万円(前年同期比11.3%の減収)と大幅な減収となりました。
営業利益は売上高の減少及び国内生産工場の稼働率低下の影響などにより前期比21億65百万円減少し、16億1百万円(前年同期比57.5%の減益)となりました。中国においては売上高は減少したものの、生産性改善及び人民元が対米ドルで通貨安に推移したことなどにより前期比2億84百万円増加し、19億4百万円(前年同期比17.5%の増益)となりましたが、日本において売上高の減少及び生産工場の稼働率低下などにより前期比19億83百万円と大幅に減少し、21百万円の営業損失となりました。
経常利益は、営業利益の減少に加え、営業外費用に為替差損2億78百万円計上したことなどに伴い、前期比29億77百万円減少し、7億92百万円(前年同期比79.0%の減益)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は繰延税金資産約626百万円を取り崩し、法人税等調整額を計上したことなどから、前期比31億43百万円減少し、11億28百万円の当期純損失となりました。
1株当たりの当期純損失は19円06銭となりました。
当連結会計年度末の総資産は、主に東南アジア及び中国において生産能力拡大に向けた設備投資を実施したことにより有形固定資産が前期末比35億48百万円増加しましたが、設備投資に伴い現金及び預金が前期末比87億41百万円減少、売上高の減少により受取手形及び売掛金が前期末比36億71百万円減少したことなどから、前期末比91億45百万円減少し、960億44百万円となりました。
負債は、売上高の減少に伴い支払手形及び買掛金が前期末比33億43百万円の減少、社債及び長期借入金の返済により前期末比38億11百万円減少したことなどから、前期末比82億28百万円減少し、411億11百万円となりました。
純資産は、親会社株主に帰属する当期純損失を11億28百万円計上したことなどにより、前期末比9億17百万円減少し549億32百万円となりました。この結果、自己資本比率は前期末に比べて3.7ポイント上がり53.6%となりました。
セグメントごとの経営成績等の詳細は「(1)経営成績等の状況の概要①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況については、「(1)経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
(資本の財源及び資金の流動性について)
a.資金調達の基本方針
当社グループは、金融情勢の変化に機動的に対応しつつ、調達手段の多様化等を図ることで、資金コストの低減及び調達の安定性を高めることにより、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
b.資金調達
当社グループの資金調達は、短期運転資金については、営業活動により得られたキャッシュ・フロー及び金融機関からの短期借入を基本としております。長期的な資金については、設備投資計画や既存借入金の償還時期等を総合的に勘案し、金融機関からの長期借入及び社債によって流動性を維持しております。また、設備投資の一部はリース取引によっております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は前期末比39億32百万円減少し、244億52百万円となりました。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は前期末比87億41百万円減少し、166億94百万円となりました。
c.流動性の確保
当社グループは、流動性を確保するために取引金融機関と総額50億円のコミットメントライン契約を締結しております。
なお、当連結会計年度末の借入未実行残高は50億円となっており、資金の流動性は十分に確保されております。
当連結会計年度末の有利子負債の内訳は次のとおりであります。
(単位:百万円)
|
|
合計 |
返済・償還 1年以内 |
返済・償還 1年超 |
|
短期借入金 |
1,632 |
1,632 |
- |
|
長期借入金 |
16,029 |
2,823 |
13,206 |
|
社債 |
6,376 |
1,352 |
5,023 |
|
リース債務 |
414 |
230 |
183 |
|
その他有利子負債 |
- |
- |
- |
|
合計 |
24,452 |
6,039 |
18,413 |
③ 重要な会計上の見積り及び該当見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表はわが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
新型コロナウイルス感染症の影響に関する会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1(1)連結財
務諸表 注記事項(追加情報)に記載しております。
④ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況
当連結会計年度においては、2019年5月に公表した中期経営計画2019(2019年度~2021年度)に基づき、当社グループが主力とする車載向けプリント配線板市場において、環境規制強化によるPHVやEVの普及など、自動車の電子化進展による需要が堅調に推移することを前提として、2019年5月に売上高940億円、営業利益40億円、営業利益率4.3%、ROE5.1%の目標数値を掲げましたが、米中貿易摩擦の影響を受けた不透明な経済情勢を端緒とした自動車市場の減速を受けて、車載向けの販売が当初予想を下回ることが見込まれたことなどにより、2019年8月に売上高870億円、営業利益20億円、営業利益率2.3%、ROE2.3%へ目標数値を修正いたしました。しかしながら、2019年10月に発生した台風19号による災害により材料供給のサプライチェーンが混乱したことや期を通して自動車市場が減速したことなどにより、売上高826億円、営業利益16億円、営業利益率1.9%、ROE△2.2%となり予想を下回る結果となりました。
また、2020年度においては、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、各国の経済活動が大幅に制限され、今後の日本経済及び世界経済の先行きは極めて不透明であり、当社グループ主力の車載市場においても自動車の生産・販売が急激に落ち込むなど、かつて経験したことがない厳しい経営環境となっております。
一方、車載向けプリント配線板市場においては、「CASE」の新しい潮流による構造的な変化を背景に、中期的には電装化進展による需要は拡大すると見込まれます。
中期経営計画2019における当社の強みを活かせる車載市場を主軸とした高付加価値分野に注力し、収益性と資本効率を高める基本方針は継続するものの、新型コロナウイルスの影響を現段階において合理的に算定することが困難なことから、2021年3月期及び2022年3月期の定量目標を取り下げることといたしました。新しい定量目標については、今後、新型コロナウイルスの影響を慎重に見極め、新型コロナウイルスの感染が収束した後の市場環境を合理的に見積り、業績予想の開示が可能となった段階で速やかに開示いたします。
<経営上の目標達成状況>
|
指標 |
2020年3月期 |
||||
|
計画 |
修正計画 |
実績 |
計画比 |
修正計画比 |
|
|
売上高(億円) |
940 |
870 |
826 |
△114 |
△44 |
|
営業利益(億円) |
40 |
20 |
16 |
△24 |
△4 |
|
営業利益率(%) |
4.3 |
2.3 |
1.9 |
△2.4 |
△0.4 |
|
ROE(%) |
5.1 |
2.3 |
△2.2 |
△7.3 |
△4.5 |
(合弁事業契約)
|
契約会社名 |
相手方の名称 |
国名 |
契約品目 |
契約締結日 |
契約の内容 |
契約期間 |
|
提出会社 |
丸紅株式会社 |
日本 |
プリント配線板 |
2001年 8月24日 |
3社による希門凱電子(無錫)有限公司の設立 |
2001年 5月15日から 20年間 |
|
パナソニックデバイスマテリアル蘇州有限公司 |
中国 |
当連結会計年度における当社グループが支出した研究開発費の総額は
(1)日本
当連結会計年度の研究開発活動は、市場のニーズにあった高機能で高信頼性及び地球環境に配慮した「プリント配線板」に加え、新プロセス・新構造の検討など、長期を見据えた研究開発に取組んでおります。
当社グループの主力製品である自動車市場は、安全意識の高まりによる自動運転化やADAS(先進運転支援システム)及び、環境規制強化による、HEV及びEVの普及により、電動化に伴う車載電子機器向けプリント配線板と、車載通信機器やセンサ部品向けのプリント配線板へのニーズが高まっております。
車載通信関連では、さまざまな物との高速データ通信(5G通信)を実現するためのインフラ整備が進み、自動運転の実現にも必要不可欠な通信システムとして普及することが期待されております。次世代車載通信システムやECU機器の高機能化に対応するプリント配線板の高密度化も必要不可欠となります。
当社では、このような車載市場のニーズに適合した次世代のプリント配線板として、自動運転やADASシステムの基幹となるミリ波モジュール・センシングカメラ・カメラモジュールなどのセンサ機器向けや、車載通信機器向けに高密度化した多層ビルドアップ配線板の開発を進めております。
また、車載電動化に伴う用途においても、多層ビルドアップ配線板の他に、高信頼性・高放熱(銅ベース、銅コア、厚銅、高熱伝導構造)・高耐熱・高電圧・大電流といった個別要求に対応できるプリント配線板の開発も進めております。
市場への新製品の提案としては、JPCAショー、ネプコンジャパン名古屋、ネプコンジャパン東京の3展示会で、航空宇宙・車載インバーター向け「1KA対応大電流基板」、JAXA(宇宙航空研究機構)向け「高速伝送測定技術」、群馬大学と連携した「ブラシレスモーター用配線板」を出展しました。
また、開発スピードを向上するための新たな取組みとして、日本のプリント配線板製造メーカーとして初めてとなる「プリント配線板製造用3Dプリンター」を導入し、設計・シミュレーション技術と連携し、新たな配線板構造(3D構造)を提案しております。
第60期の具体的な研究開発活動は次のとおりであります。
① ADASのキーとなるセンサ関連では、新モデルの小型センシングカメラ向けに、多層ビルドアップ配線板を適用し、量産を開始しました。
② 車載通信機器向けの多層ビルドアップ配線板の量産を開始しました。次世代通信システム及び通信モジュールに向けた対応の為に更なる高密度化を進めています。
③ JAXA(宇宙航空研究機構)、トヨタ自動車㈱、三菱重工業㈱主催の「有人与圧ローバが拓く"月面社会"勉強会~有人与圧ローバ チームジャパン~」に参画しました。
④ 地域の大学である群馬大学と共同開発したブラシレスモーター用プリント配線板について、論文を2件発表しました。
⑤ プリント配線板の新構造検討のスピードを向上させることを目的とし、日本初となるプリント配線板製造用3Dプリンタ装置を導入し、新構造の提案を開始しました。
なお、当連結会計年度中に支出した研究開発費の金額は
(2)中国、東南アジア、欧米
当社グループは研究開発部門を日本に集約しているため、該当事項はありません。