【連結財務諸表注記】
1.報告企業
株式会社インターネットイニシアティブ(以下、当社)は日本に所在する株式会社であります。その登記されている本社及び主要な事業所の住所は当社のホームページ(URL https://www.iij.ad.jp/)で開示しております。当社の2024年3月31日を期末日とする連結財務諸表は、当社及びその子会社(以下、当社グループ)、並びに当社の関連会社及び共同支配企業に対する持分により構成されております。
当社グループの事業内容及び主要な活動は、注記「5.セグメント」に記載しております。
2.作成の基礎
(1) IFRSに準拠している旨
当社グループの連結財務諸表は、連結財務諸表規則第1条の2に掲げる「指定国際会計基準特定会社」の要件を満たすことから、同第93条の規定により、IFRSに準拠して作成しております。
(2) 測定の基礎
当社グループの連結財務諸表は、注記「3. 重要性がある会計方針」に記載しているとおり、公正価値で測定されている特定の金融商品等を除き、取得原価を基礎として作成しております。
(3) 機能通貨及び表示通貨
当社グループの連結財務諸表は、当社の機能通貨である日本円を表示通貨としており、百万円未満を四捨五入して表示しております。また、当社グループ内の各社は、その企業が事業活動を行う主たる経済環境の通貨である機能通貨を定め、各社の取引はその機能通貨により測定しております。
3.重要性がある会計方針
(1) 連結の基礎
① 子会社
子会社とは、当社グループにより支配されている企業をいいます。支配とは、投資先へのパワー(関連性のある活動を指図する能力)及び投資先への関与により生じる変動リターンに対するエクスポージャーまたは権利を有し、かつ、その投資先に対するパワーを通じてそれらのリターンに影響を及ぼす能力を有している場合をいいます。当社グループは、支配の有無を、議決権または類似の権利の状況や投資先に関する契約内容などに基づき、総合的に判断しております。
連結会社間の全ての重要な債権・債務残高及び取引高は、当社の連結財務諸表作成にあたり消去しております。
子会社の財務諸表は、支配を獲得した日から支配を喪失した日までの間、当社の連結財務諸表に含めております。支配の喪失に至らない子会社に対する当社の所有持分の変動は、資本取引として会計処理しております。また、子会社に対する支配を喪失した場合には、残存する持分の支配を喪失した時点の公正価値で測定したうえで、支配の喪失から生じた利得及び損失を純損益として認識しております。
② 関連会社及び共同支配企業に対する投資
関連会社とは、当社グループがその財務及び経営方針に対して重要な影響力を有しているものの、支配はしていない企業をいいます。当社グループが他の企業の議決権の20パーセントから50パーセントを保有する場合、当社グループは当該他の企業に対して重要な影響力を有していると推定されます。
共同支配企業とは、契約上の取決めにより、当社グループを含む複数の当事者が共同して支配しており、関連性のある活動に関する意思決定に際して、支配を共有する当事者の一致した合意を必要とする企業をいいます。
関連会社及び共同支配企業に対する投資は、持分法を用いて会計処理しております。持分法では、投資を当初認識時に取得原価で認識し、それ以降に投資先が認識した純損益及びその他の包括利益に対する当社及び連結子会社の持分に応じて投資額を変動させております。
損失に対する当社グループの持分が持分法適用会社に対する投資を上回った場合には、当該持分の帳簿価額に長期投資を含めた額をゼロに至るまで減額し、当社グループが被投資企業に代わって債務を負担しまたは支払いを行う場合を除き、それ以上の損失は認識しません。
持分法適用会社との取引から発生した未実現利益は、被投資企業に対する当社グループの持分を上限として投資から控除しております。未実現損失は、減損が生じている証拠がない場合に限り、未実現利益と同様の方法で控除しております。
連結財務諸表には、他の株主との関係等により決算日を当社の決算日と同じ日とすることが実務上不可能であるために決算日が異なる持分法で会計処理されている投資が含まれており、当該持分法適用会社の決算日は主に12月末です。当社の決算日と関連会社及び共同支配企業の決算日との間に生じた重要な取引又は事象の影響については、必要な調整を行っております。
③ 企業結合
企業結合は取得法を用いて会計処理しております。
現在の所有持分であり、清算時に企業の純資産に対する比例的な持分を保有者に与えている非支配持分は、公正価値もしくは被取得企業の識別可能純資産の認識金額に対する非支配持分の比例的な取り分で当初測定しております。
取得関連費用は発生した期間に費用として処理しております。
企業結合が生じた期間の末日までに企業結合の当初の会計処理が完了していない場合には、暫定的な金額で会計処理を行い、取得日から1年以内の測定期間において、暫定的な金額の修正を行います。
(2) 外貨換算
① 外貨建取引
外貨建取引は、取引日の直物為替レートまたはそれに近似するレートにより機能通貨に換算しております。
外貨建ての貨幣性項目は、各報告期間の末日現在の為替レートにより機能通貨に換算しております。取得原価で測定される外貨建非貨幣性項目は、取引日の為替レートにより機能通貨に換算しております。公正価値で測定される外貨建非貨幣性項目は、公正価値が決定された日の為替レートにより機能通貨に換算しております。当該換算及び決済により生じる換算差額は純損益として認識しております。ただし、その他の包括利益を通じて公正価値で測定される資本性金融商品から生じる換算差額については、その他の包括利益として認識しております。
② 在外営業活動体
在外営業活動体の資産及び負債については各報告期間の末日現在の為替レート、収益及び費用については当該期間中の為替レートが著しく変動していない限り、期中平均為替レートを用いて換算しております。在外営業活動体の財務諸表から生じる換算差額は、その他の包括利益として認識しております。在外営業活動体の累積換算差額は、在外営業活動体が処分された期間に純損益に振り替えられます。
(3) 金融商品
① 金融資産
(a) 当初認識及び測定
当社グループは、営業債権を発生日に当初認識しており、その他の金融資産は当該金融資産の契約当事者となった取引日に当初認識しております。
当初認識時において、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類されない場合は、公正価値に金融資産の取得に直接起因する取引費用を加算した金額で測定しております。純損益を通じて公正価値で測定する金融資産の取引費用は、純損益に認識しております。
また、保有する金融資産は、(ⅰ)償却原価で測定する金融資産、(ⅱ)その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融商品、(ⅲ)その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品、(ⅳ)純損益を通じて公正価値で測定する金融資産のいずれかに分類しております。
(ⅰ)償却原価で測定する金融資産
金融資産のうち、以下の要件をともに満たす場合には、償却原価で測定する金融資産に分類しております。
・契約上のキャッシュ・フローを回収するために資産を保有することを目的とする事業モデルに基づいて、資産が保有されている
・金融資産の契約条件により、元本及び元本残高に対する利息の支払のみであるキャッシュ・フローが所定の日に生じる
(ⅱ)その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融商品
金融資産のうち、次の条件がともに満たされる場合には、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融商品に分類しております。
・契約上のキャッシュ・フローの回収と売却の両方によって目的が達成される事業モデルの中で保有されている
・金融資産の契約条件により、元本及び元本残高に対する利息の支払のみであるキャッシュ・フローが所定の日に生じる
(ⅲ)その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品
一部の資本性金融商品については、当初認識時に公正価値の事後の変動をその他の包括利益に表示するという取消不能の選択を行っており、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品に分類しております。この選択は、個々の投資ごとに行っております。
(ⅳ)純損益を通じて公正価値で測定する金融資産
上記の償却原価で測定する金融資産、又はその他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融商品及びその他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品以外の金融資産は、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しております。なお、当社グループは、当初認識時において、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産として、取消不能の指定を行ったものはありません。
(b) 事後測定
金融資産の当初認識後の測定は、その分類に応じて以下のとおり行っております。
(ⅰ)償却原価で測定する金融資産
償却原価で測定する金融資産は、当初認識後、実効金利法を用いて算定し、減損損失を控除しております。実効金利法による償却及び認識が中止された場合の利得又は損失は、当期の純損益に認識しております。
(ⅱ)その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融商品
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融商品は、当初認識後は公正価値で測定し、公正価値の変動をその他の包括利益として認識しております。投資を処分した場合の利得又は損失、為替差損益及び減損損失は、当期の純損益に認識しております。
(ⅲ)その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品は、当初認識後は公正価値で測定し、公正価値の変動をその他の包括利益として認識しております。投資を処分した場合、その他の包括利益を通じて認識された利得又は損失の累計額をその他の資本の構成要素から利益剰余金に振り替えております。
なお、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品からの配当金については、投資の回収であることが明らかな場合を除き、金融収益の一部として純損益として認識しております。
(ⅳ)純損益を通じて公正価値で測定する金融資産
純損益を通じて公正価値で測定する金融資産は、当初認識後は公正価値で測定し、公正価値の変動を純損益として認識しております。また、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産に係る利得又は損失は、純損益として認識しております。
(c) 金融資産の減損
償却原価で測定する金融資産に係る減損については、当該金融資産に係る予想信用損失に対して貸倒引当金を認識しております。
当社グループは、期末日ごとに、金融商品に係る信用リスクが当初認識以降に著しく増大したかどうかを評価しております。金融商品に係る信用リスクが当初認識以降に著しく増大していない場合には、当該金融商品に係る貸倒引当金を12ヵ月の予想信用損失に等しい金額で測定しております。一方、金融商品に係る信用リスクが当初認識以降に著しく増大している場合には、当該金融商品に係る貸倒引当金を全期間の予想信用損失に等しい金額で測定しております。
契約上の支払期日より30日超の経過があった場合には、原則として信用リスクの著しい増大があったものとしております。信用リスクが著しく増加しているか否かの評価を行う際には、期日経過情報のほか、当社グループが合理的に利用可能かつ裏付け可能な情報を考慮しております。
ただし、営業債権については、信用リスクの当初認識時点からの著しい増加の有無にかかわらず、常に貸倒引当金を全期間の予想信用損失に等しい金額で測定しております。延滞債権については、過去の貸倒実績や将来の回収可能価額などをもとに、その金融商品の回収に係る全期間の予想信用損失を個別に見積もって当該金融商品に係る貸倒引当金の額を算定しております。また、非延滞債権については、多数の取引先より構成されているため一括してグルーピングしたうえで、過去の貸倒実績等を考慮して集合的に予想信用損失を測定しています。
金融商品の予想信用損失は、以下のものを反映する方法で見積っております。
・一定範囲の生じ得る結果を評価することにより算定される、偏りのない確率加重金額
・貨幣の時間価値
・過去の事象、現在の状況及び将来の経済状況の予測についての、報告日において過大なコストや労力を掛けずに利用可能な合理的で裏付け可能な情報
金融資産に係る貸倒引当金の繰入額又は戻入額は純損益で認識しております。
(d) 金融資産の認識の中止
金融資産から生じるキャッシュ・フローに対する契約上の権利が消滅した場合、または金融資産を譲渡しほとんどすべてのリスクと経済価値が他の企業に移転した場合に、金融資産の認識を中止しております。当社グループが、移転した当該金融資産に対する支配を継続している場合には、継続的関与を有している範囲において、資産及び関連する負債を認識しております。
② 金融負債
(a) 当初認識及び測定
金融負債は、契約の当事者となる時点で認識し、全て償却原価で測定する金融負債に分類しております。
当初認識時において、全ての金融負債は公正価値で測定しておりますが、直接起因する取引コストを控除した金額で測定しております。
(b) 事後測定
償却原価で測定する金融負債は、実効金利法を使用した償却原価で測定し、支払利息は実効金利法で認識しております。
(c) 金融負債の認識の中止
当社グループは、金融負債が消滅した時、すなわち、契約中に特定された債務が免責、取消し、または失効となった場合にのみ、金融負債の認識を中止しております。
(4) 現金及び現金同等物
現金及び現金同等物は、手許現金、要求払預金及び容易に換金可能であり、かつ、価値の変動について僅少なリスクしか負わない取得日から3ヵ月以内に償還期限の到来する短期投資から構成されております。
(5) 棚卸資産
棚卸資産は主として、再販用に購入したネットワーク機器及びモバイル端末、システム構築に係る仕掛品であり、原価と正味実現可能価額のいずれか低い額で測定しております。再販用に購入したネットワーク機器及びモバイル端末の原価は移動平均法によって算定し、システム構築に係る仕掛品の原価は製造間接費を含めた実際製造原価として算定しております。また、正味実現可能価額は、通常の事業の過程における見積売価から、完成までに要する見積原価及び販売に要する見積費用を控除して算定しております。
(6) 有形固定資産
有形固定資産については、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した額で測定しております。
取得原価には、資産の取得に直接関連する費用、解体・除去費用が含まれております。
土地及び建設仮勘定以外の各資産の減価償却費は、各々の見積耐用年数にわたり、定額法で計上されています。主要な資産項目ごとの見積耐用年数は以下のとおりであります。
・ 建物及び構築物 4-50年
・ 機械装置、工具、器具及び備品 2-20年
なお、見積耐用年数、残存価額及び減価償却方法は、各年度末に見直しを行い、変更があった場合は、会計上の見積りの変更として将来に向かって適用しております。
(7) のれん及び無形資産
① のれん
当社はのれんを取得日時点で測定した被取得企業に対する非支配持分の認識額を含む譲渡対価の公正価値から、取得日時点における識別可能な取得資産及び引受負債の純認識額(通常、公正価値)を控除した額として測定しております。
のれんは連結財政状態計算書において、取得原価から減損損失累計額を控除した帳簿価額で計上しております。
② その他の無形資産
個別に取得した無形資産は、当初認識時に取得原価で測定しております。耐用年数を確定できる無形資産は、ソフトウェア及び顧客関係からなっております。ソフトウェアについては見積耐用年数にわたって定額法で償却しており、顧客関係については見積耐用年数にわたり級数法又は定額法により償却しております。
主要な無形資産の見積耐用年数は以下のとおりであります。
・ソフトウェア 5-7年
・顧客関係 9-19年
なお、見積耐用年数、残存価額及び償却方法は、各年度末に見直しを行い、変更があった場合は、会計上の見積りの変更として将来に向かって適用しております。
また、耐用年数を確定できない無形資産については、償却は行わず、取得原価から減損損失累計額を控除した帳簿価額で計上しております。
③ 研究開発費
新しい科学的又は技術的知識の獲得のために行われる研究活動に対する支出は、発生時に費用計上しております。
開発活動による支出については、信頼性をもって測定可能であり、技術的かつ商業的に実現可能であり、将来的に経済的便益を得られる可能性が高く、当社グループが開発を完成させ、当該資産を使用又は販売する意図及びそのための十分な資質を有している場合にのみ、無形資産として資産計上しております。
(8) リース
当社グループは、IFRS第16号に基づき、契約の締結時に契約がリースであるか又はリースを含んでいるかを判断しております。契約が特定された資産の使用を支配する権利を一定期間にわたり対価と交換に移転する場合には、当該契約はリースであるか又はリースを含んでいると判断しております。
契約がリースであるか又はリースを含んでいると判定した場合、リース開始日に使用権資産とリース負債を認識しております。
リース負債は、リースの計算利子率または計算利子率を容易に算定できない場合には当社グループの追加借入利子率で割り引いた、開始日において支払われていないリース料の現在価値で当初測定しております。通常、当社グループは割引率として追加借入利子率を用いています。リース負債は、リース負債に係る金利を反映するように帳簿価額を増額し、支払われたリース料を反映するように帳簿価額を減額することにより事後測定しており、連結財政状態計算書上、その他の金融負債に含めて表示しております。なお、リース負債の測定に際しては、契約における対価をリース要素と非リース要素に、それらの独立価格の比率に基づいて配分しております。ただし、当社グループが借手となるデータセンターについては、リース要素とこれに関する非リース要素は分離せず、単一のリース構成要素として認識しております。リースの条件変更が行われた場合には、リース負債を再測定しております。
使用権資産は取得原価で当初測定しており、取得原価はリース負債の当初測定額に当初直接コスト、前払リース料、原資産の解体並びに除去及び原状回復コストの当初見積額等を調整して測定しております。当初認識後の測定として、原価モデルを採用しており、原資産の所有権がリース期間の終了時までに借手に移転される場合又は借手の購入オプションの行使が合理的に確実な場合には原資産の見積耐用年数で、それ以外の場合には使用権資産の耐用年数又はリース期間のいずれか短い期間にわたり定額法により償却しております。なお、当社グループは、リース期間が12ヶ月以内のリース及び原資産が少額であるリースについては使用権資産とリース負債を認識せず、リース期間にわたり定額法により費用として認識しております。
(9) 非金融資産の減損
当社グループは、棚卸資産及び繰延税金資産等を除く非金融資産の帳簿価額を報告日ごとに見直し、減損の兆候の有無を判断しております。減損の兆候が存在する場合は、その資産の回収可能価額を見積っています。のれん及び耐用年数が確定できない無形資産は、減損の兆候の有無にかかわらず、毎期及び減損の兆候がある場合はその都度、減損テストを実施しております。
資金生成単位については、継続的に使用することにより、他の資産又は資産グループのキャッシュ・インフローから概ね独立したキャッシュ・インフローを生み出す最小の資産グループとしております。企業結合から生じたのれんは、結合のシナジーが得られると期待される資金生成単位または資金生成単位グループに配分しております。
資産または資金生成単位の回収可能価額は使用価値と処分コスト控除後の公正価値のうちいずれか大きいほうの金額としております。使用価値は、資金生成単位の税引前加重平均資本コストの割引率を用いて現在価値に割り引いた見積将来キャッシュ・フローに基づいております。
資産または資金生成単位の帳簿価額が回収可能価額を超過する場合、減損損失を認識しております。減損損失は純損益として認識しております。認識した減損損失は、まず、その資金生成単位に配分されたのれんの帳簿価額を減額するように配分し、次に資金生成単位内のその他の資産の帳簿価額を比例的に減額しております。
減損損失の戻入れは、過年度に計上した減損損失を戻入れする可能性を示す兆候が存在し、回収可能価額の見積りを行った結果、回収可能価額が帳簿価額を上回る場合に行っております。戻入れ金額は、減損損失を認識しなかった場合の帳簿価額から必要な減価償却費及び償却額を控除した後の帳簿価額を超えない金額を上限としております。なお、のれんに係る減損損失は戻入れを行っておりません。
(10) 従業員給付
① 退職後給付
当社グループは、従業員の退職後給付制度として確定給付制度(企業年金及び退職一時金等)と確定拠出制度を運営しております。
(a) 確定給付制度
確定給付制度については、確定給付制度債務の現在価値及び関連する当期勤務費用並びに過去勤務費用を、予測単位積増方式を用いて各制度ごとに個別に算定しております。
割引率は、将来の毎年度の給付支払見込日までの期間を基に割引期間を設定し、割引期間に対応した期末日時点の優良社債の市場利回りに基づき算定しております。
確定給付制度に係る負債又は資産は、確定給付制度債務の現在価値から制度資産の公正価値を控除して算定しております。ただし、確定給付制度が積立超過である場合は、確定給付資産の純額は、制度からの返還又は制度への将来掛金の減額の形で利用可能な経済的便益の現在価値を資産上限額としております。また、確定給付負債(資産)の純額に係る利息純額は金融費用(金融収益)として純損益に認識しております。
確定給付負債(資産)の純額の再測定は、発生した期においてその他の包括利益として一括認識し、直ちに利益剰余金に振り替えております。
過去勤務費用は、発生した期の純損益として認識しております。
(b) 確定拠出制度
確定拠出型の退職給付に係る掛金は、勤務を提供した時点で費用として認識しております。
② その他の従業員給付
短期従業員給付については、割引計算は行わず、従業員が関連するサービスを提供した時点で費用として認識しております。
賞与については、それらの支払いを行う現在の法的債務もしくは推定的債務を有しており、信頼性のある見積りが可能な場合に、支払われると見積られる金額を負債として認識しております。
有給休暇費用は累積型有給休暇制度に係る法的債務又は推定的債務を有し、信頼性のある見積りが可能な場合に、それらの制度に基づいて支払われると見積られる金額を負債として認識しております。
(11) 株式に基づく報酬
当社は、以下の持分決済型の株式報酬制度を採用しております。
① ストックオプション
ストックオプションは付与日における公正価値によって見積り、最終的に権利確定すると予想されるストックオプションの数を考慮した上で、権利確定期間にわたってその額を連結損益計算書において費用として認識し、同額を連結財政状態計算書において資本の増加として認識しております。付与されたオプションの公正価値は、オプションの諸条件を考慮し、ブラック・ショールズモデルを用いて算定しております。また、条件については定期的に見直し、必要に応じて権利確定数の見積りを修正しております。
② 譲渡制限付株式報酬
受領したサービスの対価は、付与日における当社株式の公正価値で測定しており、付与日から権利確定期間にわたり連結損益計算書において費用として認識し、同額を連結財政状態計算書において資本の増加として認識しております。
(12) 引当金
当社グループは、過去の事象の結果として、現在の法的債務又は推定的債務が存在し、当該債務を決済するために経済的便益を有する資源の流出が必要となる可能性が高く、当該債務の金額について信頼性のある見積りができる場合に、引当金を認識しております。
引当金として認識する金額は、決算日における現在の債務を決済するために必要となる支出について、リスク及び不確実性を考慮に入れた最善の見積りであります。貨幣の時間価値の影響に重要性がある場合には、引当金の金額は、債務の決済に必要と見込まれる支出の現在価値で測定しております。
(13) 売上収益
当社グループは、IFRS第15号を適用しており、以下の5ステップアプローチに基づき、収益を認識しております。
ステップ1:顧客との契約を識別する
ステップ2:契約における履行義務を識別する
ステップ3:取引価格を算定する
ステップ4:取引価格を契約における履行義務に配分する
ステップ5:企業が履行義務の充足時に収益を認識する
ネットワークサービスは、主として各種ネットワークへのアクセスを可能な状態にしておくサービスであることから、通常は契約期間にわたって当社グループの履行義務が充足されるものと判断しているため、収益は当該履行義務が充足される契約期間にわたり、月次で均等額を収益に計上しております。システムインテグレーションは、システム構築サービス及びシステム保守運用サービスから構成されています。システム構築サービスは、当社グループの義務の履行により、当社グループが他に転用できる資産が創出されず、当社グループが現在までに完了した履行についての支払いを受ける権利を有することから、一定期間にわたり履行義務が充足されるものであり、報告期間の末日において測定した履行義務の充足に係る進捗度に基づいて収益を認識しています。この進捗度の測定は、システム構築の進捗に伴ってコストが発生していると考えられることから、工事の進捗実態を適切に反映するために発生したコストに基づくインプット法(原価比例法)を採用しています。システム運用保守サービスに関連する収益は、主として各種システムが利用可能な状態にしておくサービスであることから、履行義務が充足される契約期間にわたり、定額で認識されます。ATM運営事業売上高は、主として利用者がATMにて現金の引出しを行う際の手数料収入であります。ATM手数料は、利用者がATMサービスを利用する度に徴収されますが、利用の時に顧客が便益を得られるため、徴収時に収益に計上しております。
(14) 法人所得税
法人所得税費用は、当期税金及び繰延税金から構成されております。これらは、その他の包括利益又は資本に直接認識される項目から生じる場合、及び企業結合から生じる場合を除き、純損益として認識しております。
当期税金は、税務当局に対する納付又は税務当局からの還付が予想される金額で測定しております。税額の算定に使用する税率及び税法は、期末日までに制定又は実質的に制定されているものであります。
繰延税金は、期末日における資産及び負債の税務基準額と会計上の帳簿価額との差額である一時差異、繰越欠損金に対して認識しております。
なお、以下の一時差異に対しては、繰延税金資産及び負債を計上しておりません。
・子会社、関連会社に対する投資及び共同支配の取決めに対する持分に係る将来減算一時差異に関しては、予測可能な将来に当該一時差異が解消しない可能性が高い場合、又は当該一時差異の使用対象となる課税所得が稼得される可能性が低い場合
・子会社、関連会社に対する投資及び共同支配の取決めに対する持分に係る将来加算一時差異に関しては、一時差異の解消する時期をコントロールすることができ、予測可能な期間内に当該一時差異が解消しない可能性が高い場合
繰延税金負債は原則として全ての将来加算一時差異について認識され、繰延税金資産は将来減算一時差異を使用できるだけの課税所得が稼得される可能性が高い範囲内で、全ての将来減算一時差異について認識しております。
繰延税金資産の帳簿価額は毎期見直され、繰延税金資産の全額又は一部が使用できるだけの十分な課税所得が稼得されない可能性が高い部分については、帳簿価額を減額しております。未認識の繰延税金資産は毎期見直され、将来の課税所得により繰延税金資産が回収される可能性が高くなった範囲内で認識しております。
繰延税金資産及び負債は、期末日において制定されている、又は実質的に制定されている税率及び税法に基づいて、資産が実現する期間又は負債が決済される期間に適用されると予想される税率及び税法によって測定しております。
繰延税金資産及び負債は、当期税金資産と当期税金負債を相殺する法律上強制力のある権利を有しており、かつ同一の税務当局によって同一の納税主体に課されている場合又は別々の納税主体であるものの当期税金負債と当期税金資産とを純額で決済するか、あるいは資産の実現と負債の決済を同時に行うことを意図している場合に相殺しております。
経済協力開発機構(OECD)が公表した第2の柱モデルルールを導入するために制定または実質的に制定された税法から生じる法人所得税に係る繰延税金資産及び繰延税金負債の認識及び開示について、例外規定を適用しております。
(15) 1株当たり利益
基本的1株当たり当期利益は、親会社の普通株主に帰属する当期利益を期中の加重平均流通普通株式数で除して算出しております。希薄化後1株当たり当期利益は、希薄化効果を有するすべての潜在的普通株式の影響を調整して算出しております。当社グループの潜在的普通株式はストックオプション制度にかかるものであります。
(16) 資本及びその他の項目
① 普通株式
普通株式は、発行価額を資本金及び資本剰余金に認識しております。また、株式発行費用は発行価額から控除しております。
② 自己株式
自己株式は取得原価で評価され、資本から控除しております。当社の自己株式の購入、売却又は消却において利得又は損失は認識しておりません。なお、帳簿価額と売却時の対価との差額は資本剰余金として認識しております。
(17) 配当金
当社の株主に対する配当のうち、期末配当は当社の株主総会により決議された日、中間配当は取締役会により決議された日の属する期間の負債として認識しております。
(18) 重要性がある会計方針の変更
当社グループは、当連結会計年度より、以下の基準を適用しております。
この基準の適用により、取引時に同額の将来加算一時差異と将来減算一時差異を生じさせる取引に関する当初認識時の会計処理が明確化され、当該将来加算一時差異と将来減算一時差異について繰延税金負債及び繰延税金資産が連結財政状態計算書にそれぞれ認識されることとなります。
同基準の適用により前連結会計年度の連結財務諸表を遡及修正しております。この結果、連結財政状態計算書の前連結会計年度末において、「繰延税金資産」が125百万円増加、「利益剰余金」が125百万円増加しております。また、連結損益計算書及び連結包括利益計算書の前連結会計年度において、「法人所得税費用」の変動により、当期利益が14百万円増加しております。
なお、上記の基準の適用による累積的影響額が反映されたことにより、連結持分変動計算書において、前連結会計年度の「利益剰余金」の期首残高が111百万円増加しております。
(19) 未適用の公表済み基準書及び解釈指針
2024年4月に公表されたIFRS第18号は、2027年1月1日以降に開始する事業年度から適用されます。IFRS第18号は、IAS第1号「財務諸表の表示」と置き換わり、IAS第1号は廃止されます。IFRS第18号においては、主として純損益計算書の財務業績に関する表示及び開示に関する新たな規定が設けられています。また、IFRS第18号の公表と併せてIAS第7号「キャッシュ・フロー計算書」の改訂等が行われています。当社グループはこれらを早期適用しておりません。これらの適用による連結財務諸表への影響については検討中です。
(20) 表示方法の変更
前連結会計年度まで「非流動資産」の「その他の投資」に含めていた「投資有価証券(株式)」は、開示の明瞭性を高めるため、当連結会計年度より独立掲記することとしております。この表示方法の変更を反映させるため、前連結会計年度の連結財務諸表の組替えを行っております。
この結果、前連結会計年度の連結財政状態計算書において、「非流動資産」の「その他の投資」に表示していた10,031百万円は、「非流動資産」の「投資有価証券(株式)」へ組み替えております。
4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断
当社グループは、IFRSに準拠した連結財務諸表の作成にあたり、会計方針の適用並びに資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす判断、会計上の見積り及び仮定を用いております。
これらの見積り及び仮定は、過去の経験及び利用可能な情報を収集し、報告期間の末日現在において合理的であると考えられる様々な要因等を勘案した経営者の最善の判断に基づいております。
しかし、その性質上、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
見積り及びその基礎となる仮定は継続して見直されております。これらの見積りの見直しによる影響は、当該見積りを見直した期間及び将来の期間において認識しております。
見積り及び判断を行った項目のうち、以下は当連結会計年度又は将来の連結会計年度の連結財務諸表の金額に重要な影響を与えております。
(のれん及び耐用年数を確定できない無形資産の減損)
減損テストにおける回収可能額の算定には、将来キャッシュ・フロー、割引率及び成長率等の見積りに基づく仮定が含まれます。将来の不確実な経済条件の変動などにより、これらの仮定に見直しが行われた場合は、連結財務諸表において将来追加的な減損損失を認識する可能性があります。
関連する内容については、注記「12.のれん及び無形資産」に記載しております。
(確定給付制度債務の測定)
確定給付制度債務は、数理計算上の仮定に基づいて算定されております。数理計算上の仮定には、割引率等様々な変数についての見積り及び判断が求められます。当社グループは、これらの変数を含む数理計算上の仮定の適切性について、外部の年金数理人からの助言を得ております。数理計算上の仮定は、将来の不確実な経済条件の変動の結果や関連法令の改正・公布によって影響を受ける可能性があり、見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する金額に重要な影響を与える可能性があります。
関連する内容については、注記「17.従業員給付」に記載しております。
(システム構築サービスに関連する履行義務の進捗度の測定)
当社はシステム構築サービスに関連する履行義務について、一定期間にわたり充足する履行義務と判断しており、その進捗度の測定は発生したコストに基づくインプット法(原価比例法)によることが適切であると判断しております。原価比例法の適用に当たっては、履行義務の完了までに見込まれる総コストを見積る必要がありますが、その見積りに当たっては判断が求められます。
これらの期末日において見積った履行義務の完了までに見込まれる総コストは、要件追加に伴う工数増加等、その後のシステム構築サービスの状況の変化により実際の発生総コストと乖離する可能性があり、見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する金額に重要な影響を与える可能性があります。
関連する内容については、注記「23.売上収益」に記載しております。
5.セグメント
(1) 報告セグメントの概要
当社グループの報告セグメントは、当社グループの構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、当社の事業活動の最高意思決定者である当社グループの代表取締役社長が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものであります。なお、代表取締役社長は、売上収益及び営業利益を主要な指標として、各セグメントの業績評価を行っております。
当社グループは「ネットワークサービス及びSI事業」と「ATM運営事業」の2つを報告セグメントとしております。ネットワークサービス及びSI事業は、インターネット接続サービス、WANサービス、アウトソーシングサービス等から構成されるネットワークサービスとシステムインテグレーションサービスを複合して提供しております。また、ATM運営事業は、銀行ATM及びネットワークシステムを構築し運営することにより、ATM利用に係る手数料収入を得ております。
(2) 報告セグメントの収益及び業績
当社グループのセグメント情報は次のとおりであります。
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
(注) セグメント間取引は、市場に基づく取引価格に依っております。また、セグメント利益は、営業利益を使用しております。
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
(注) セグメント間取引は、市場に基づく取引価格に依っております。また、セグメント利益は、営業利益を使用しております。
(3) 地域別情報
当社グループのほぼ全ての収益は、日本において事業を営む顧客からのものであります。地域別情報については、海外事業に帰属する売上収益に重要性がないため、開示しておりません。
また、非流動資産(金融商品、繰延税金資産及び退職給付に係る資産を除く)のほぼ全てが日本に所在しており、海外に所在する非流動資産に重要性がないため、開示しておりません。
(4) 主要な顧客に関する情報
当社グループの営業収益の10%以上を占める単一の外部顧客が存在しないため、記載しておりません。
6.現金及び現金同等物
現金及び現金同等物に、3か月以内の定期預金を含めて表示しております。また、連結財政状態計算書における現金及び現金同等物の残高と、連結キャッシュ・フロー計算書における現金及び現金同等物の残高は、一致しております。担保に供されているもしくは、引出しが制限されている預金はありません。
7.営業債権
「営業債権」の内訳は以下のとおりであります。
売掛金は償却原価で測定する金融資産に分類しております。
8.棚卸資産
「棚卸資産」の内訳は以下のとおりであります。
前連結会計年度及び当連結会計年度において、費用として認識し売上原価に含めている棚卸資産の金額は、各々119,456百万円及び 132,051百万円であります。
また、売上原価に含めている棚卸資産の評価減の金額は、各々0百万円及び10百万円であります。
9.投資有価証券(株式)及びその他の投資
10.その他の金融資産
「その他の金融資産」の内訳は以下のとおりであります。
11.有形固定資産
(1) 増減表
有形固定資産の帳簿価額の増減は以下のとおりであります。
取得原価
(注) 建設仮勘定の「売却又は処分」には、セール・アンド・リースバック取引によるリース資産または使用権資産への振替計上額が含まれております。
減価償却累計額及び減損損失累計額
(注) 有形固定資産の減価償却費は、連結損益計算書の「売上原価」及び「販売費及び一般管理費」に含まれております。
帳簿価額
12.のれん及び無形資産
(1) 増減表
のれん及び無形資産の帳簿価額の増減は以下のとおりであります。
取得原価
償却累計額及び減損損失累計額
(注) 無形資産の償却費は、連結損益計算書の「売上原価」及び「販売費及び一般管理費」に含まれております。
帳簿価額
ソフトウェアは、主に自己創設無形資産であります。
上記の無形資産のうち、個々に重要性のあるものは、㈱アイアイジェイテクノロジーの企業結合時に認識した顧客との関係(前連結会計年度末538百万円、当連結会計年度末419百万円)、㈱IIJグローバルソリューションズの企業結合時に認識した顧客との関係(前連結会計年度末449百万円、当連結会計年度末260百万円)であります。なお、これらの無形資産の当連結会計年度末における残存償却期間は2~5年であります。
(2) のれん及び耐用年数を確定できない無形資産の減損テスト
企業結合から生じたのれん及び耐用年数を確定できない無形資産は、該当する資金生成単位に配分しております。
なお、耐用年数を確定できない無形資産としては、主としてIPアドレスが該当し、時の経過に伴い価値が減少するものではなく、売却等の処分を行わない限り存続するものであるため、耐用年数を確定できない無形資産に該当すると判断しております。
のれん及び耐用年数を確定できない無形資産の資金生成単位への配分額は、以下のとおりです。
各資金生成単位の回収可能価額は、使用価値に基づき算定しております。当社における主要なのれんは、接続・SICGU及びPTCCGUに係るものであります。
使用価値は、過去の経験と外部からの情報を反映し、マネジメントが承認した今後の3年分の事業計画を基礎としたキャッシュ・フローの見積額を、当該資金生成単位の税引前加重平均資本コストにより現在価値に割引いて算定しています。接続・SICGUの税引前加重平均資本コストは、前連結会計年度及び当連結会計年度において、各々8.3%及び9.2%であります。PTCCGUの税引前加重平均資本コストは、前連結会計年度及び当連結会計年度において、各々12.3%及び12.9%であります。トラストCGUの税引前加重平均資本コストは、前連結会計年度及び当連結会計年度において、各々10.2%及び11.0%であります。なお、キャッシュ・フローの見積りにおいて、前連結会計年度末及び当連結会計年度末における3年超のキャッシュ・フローは、3年目のキャッシュ・フローをそれぞれの成長率を基礎として算定しております。接続・SICGUの成長率は、0.6%であります。PTCCGUの成長率は、1.3%であります。トラストCGUの成長率は、0%であります。
減損テストに使用した主要な仮定が変更された場合には減損が発生するリスクがありますが、使用価値は当該資金生成単位の帳簿価額を十分に上回っております。
13.法人所得税
(1) 繰延税金
① 繰延税金資産及び繰延税金負債の増減
繰延税金資産及び繰延税金負債の発生の主な原因別の内訳及び増減内容は以下のとおりであります。
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
② 繰延税金資産を認識していない将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金
繰延税金資産を認識していない将来減算一時差異及び繰越欠損金は以下のとおりであります。
上記項目にかかる繰延税金資産は、当社グループがその便益を利用するために必要となる将来の課税所得が発生する可能性が高くないため認識しておりません。将来減算一時差異は、現行の税法上は失効することはありません。当社及び一部の子会社の繰越欠損金の失効予定は、次のとおりであります。
③ 繰延税金負債が認識されていない子会社に対する持分に関する将来加算一時差異
繰延税金負債として認識されていない子会社の留保利益に関連する一時差異の総額は、前連結会計年度及び当連結会計年度において、各々15,044百万円及び16,265百万円であります。
上記の一時差異は、当社グループが一時差異を解消する時期をコントロールでき、予測可能な期間内に一時差異が解消しない可能性が高いことから、繰延税金負債を認識しておりません。
(2) 法人所得税費用
当社及び一部の国内子会社は、前連結会計年度より、グループ通算制度を採用しております。海外子会社については、その所在国での法人所得税が課されております。
前連結会計年度及び当連結会計年度における法人所得税は、次の各項目に計上しております。
(3) 実効税率の調整
当社及び国内子会社は、その所得に対して法人税、住民税及び事業税が課されております。これらの法定税率を基礎として計算した前連結会計年度及び当連結会計年度の法定実効税率は、各々31.5%となっております。
各連結会計年度の法定実効税率と平均実際負担税率との差異について、原因となった主要な項目の内訳は、以下のとおりであります。
(4) 第2の柱の法人所得税に係る潜在的な影響
当社が所在する日本において、第2の柱モデルルールに即したグローバル・ミニマム課税制度を導入する「所得税法等の一部を改正する法律(2023年法律第3号)が2023年3月28日に成立しました。当該法律は、当社に対して2024年4月1日に開始する連結会計年度から適用されます。
当社は、同課税制度適用に伴う潜在的な影響を評価した結果、第2の柱の法人所得税に対する重要性があるエクスポージャーを想定しておりません。
14.営業債務及びその他の債務
「営業債務及びその他の債務」の内訳は、以下のとおりであります。
「営業債務及びその他の債務」は償却原価で測定する金融負債に分類しております。
15.借入金及びその他の金融負債
「借入金」及び「その他の金融負債」の内訳は、以下のとおりであります。
(注1) 平均利率は、当連結会計年度の残高に対する加重平均利率を記載しております。
(注2) 返済期限は、当連結会計年度の残高に対する返済期限を記載しております。
(注3) 当社が定めた基準に基づき、資産の所有に伴うリスクと便益を実質的にすべて移転するリースを「資金調達形態のリース契約」、
それ以外のリースを「資金調達形態以外のリース契約」として区分した場合、それぞれの残高は以下のとおりであります。
(注4) リース負債の支払期日別の内訳は、注記「16.リース取引」をご参照ください。
16.リース取引
当社グループは、通常の事業の過程において、事務所建物、データセンター、ネットワークオペレーションセンター並びにデータ通信及びその他の設備に関する様々なリース契約を締結しております。
借手のリース取引
(1)連結損益計算書及び連結キャッシュ・フロー計算書に計上された金額
連結損益計算書及び連結キャッシュ・フロー計算書に計上された金額は、以下のとおりです。
なお、セール・アンド・リースバック取引から生じた利得又は損失は重要ではありません。
また、前連結会計年度において契約を締結しているものの、まだ開始していないリース契約の支払リース料総額は4,309百万円です。
(2)使用権資産
使用権資産の帳簿価額及び増加額は、以下のとおりです。
前連結会計年度及び当連結会計年度において、使用権資産の増加額は各々21,687百万円及び14,316百万円です。
(3)リース負債
リース負債の期日別残高については、注記「31.金融商品 (5)流動性リスク管理」に記載しております。
(4)リース活動の性質
当社グループは、主に事務所、データセンター及びネットワークオペレーションセンターの建物について、リース契約を締結しております。リース契約期間は1年~10年であり、借手が契約終了後に1年間または原契約と同期間リース契約期間を延長するオプションが含まれているものもあります。リース契約の多くは、借手が繰り返し同延長オプションを行使可能な契約となっており、早期解約を行うオプションも含まれていますが、当該オプションを行使することが合理的に確実と評価した期間に係るリース料のみをリース負債の測定に含めております。これらのオプションは、リース契約主体が建物を事業に活用する上で、必要に応じて使用されております。
17.従業員給付
(1) 退職後給付
当社及び一部の子会社は、退職一時金制度、従業員非拠出型の確定給付型年金制度及び確定拠出型年金制度を有しており、これらの制度は役員を除くほぼ全ての従業員を対象にしています。従業員非拠出型の確定給付型年金制度は、確定給付企業年金法に基づき運営されています。
期間純年金費用及び未払年金費用に係る以下の情報には、退職一時金制度も含まれております。当該退職一時金及び確定給付型年金制度の下、当社及び㈱IIJグローバルソリューションズの全従業員は、20年以上勤務後の退職に当たり、退職時の給与水準、勤続年数及びその他一定の要素に基づいた額の60歳から10年間にわたる年金(又は退職一時金)の受給資格を有します。これらの条件を満たさない当社及び㈱IIJグローバルソリューションズの従業員は、退職一時金の受給資格を有します。
確定給付制度は、法令に従い、当社グループと法的に分離された年金基金により運営されております。年金基金は、当該基金に加入している事業主が選定する理事と、加入者を代表する理事によって構成される理事会によって運営されております。年金資産の運用は年金基金の理事会が定める運用方針に従って年金運用受託機関が行っております。年金基金の理事会及び年金運用受託機関は、制度加入者の利益を最優先にして行動することが法令により求められており、制度資産の運用を行う責任を負っております。
確定給付制度は、数理計算上のリスク及び制度資産の公正価値変動リスクに晒されております。
数理計算上のリスクは主として金利リスクであります。金利リスクは、確定給付制度債務の現在価値が優良社債の市場利回りに基づいて決定された割引率を使用して算定されるため、割引率が低下した場合に債務が増加することであります。
制度資産の公正価値変動リスクは、制度資産の運用基準で定められた利率を下回った場合に、制度の積立状況が悪化することであります。
① 連結財政状態計算書に認識された確定給付負債
連結財政状態計算書に認識された確定給付負債及び資産の純額と、確定給付制度債務及び制度資産との関係は、以下のとおりであります。
② 確定給付制度債務
確定給付制度債務の現在価値の増減は、以下のとおりであります。
(注1) 当期勤務費用は、純損益として認識しております。当該費用は、連結損益計算書の「売上原価」及び「販売費及び一般管理費」に含めております。
(注2) 確定給付制度債務の現在価値と制度資産の公正価値との純額に係る利息費用については、純損益として認識しております。これらの費用及び収益は、連結損益計算書の「金融費用」に含めております。
(注3) 当社グループの確定給付制度債務に係る加重平均デュレーションは、前連結会計年度において12年、当連結会計年度において13年であります。
③ 制度資産
制度資産の公正価値の増減は、以下のとおりであります。
(注) 当社グループ及び年金基金は、法令に従って、将来の給付発生に対する充当や積立不足がある場合の年金財政の均衡保持を目的として、定期的に財政検証を行うとともに掛金拠出額の再計算を行っております。
当社グループは、翌連結会計年度において確定給付制度に対し431百万円の掛金を拠出する予定であります。
④ 制度資産の主な内訳
制度資産の公正価値の増減は、以下のとおりであります。
当社グループの主要な制度に係る資産運用方針は、以下のとおりであります。
従業員非拠出型制度に関する当社グループの積立方針は、現行の税法において税務上損金算入できる範囲内で拠出することであります。生命保険会社合同投資ポートフォリオを含む年金資産は、日本国債、その他の債券及び市場性のある株式から構成されております。生命保険会社合同投資ポートフォリオは、生命保険会社により運用、管理され、最低保証利回りが設定されております。
当社グループの年金資産に対する投資戦略は、年金資格者に退職年金を支払うことができるよう資産を運用することであります。これは、年金支給に必要な流動性を考慮しつつ、長期運用収益率を極大化するため、多様な市場リスクへのエクスポージャーを認識・管理する保険会社によって決定された運用ポートフォリオに基づいて様々な資産に分散投資することにより実現されるものであります。
当社グループの年金制度において、デリバティブ取引はヘッジ目的に限定されております。信用取引及び不動産投資は、原則として禁止しております。
当社グループは生命保険会社と投資ガイドラインを定めることで投資の信用リスクを軽減しております。これらのガイドラインは、コンプライアンスを目的として、当社グループにより定期的にモニタリングされております。
生命保険会社により運用される年金資産の投資配分は、年金資産の資産種別の長期運用収益率を考慮して決定されます。当社が指定している年金資産の運用商品は資本性金融商品と負債性金融商品の資産配分を状況に応じて自動配分されるリスク抑制型バランスファンドであるため、当社より資本性金融商品と負債性金融商品の配分の指定は行っておりません。2025年3月31日に終了する連結会計年度においては、拠出額の全額をこのファンドに配分する予定であります。
⑤ 重要な数理計算上の仮定及び仮定に関する感応度分析
重要な数理計算上の仮定は、以下のとおりであります。
(注) 当社及び主な国内子会社における数理計算で使用している割引率を記載しております。
重要な数理計算上の仮定である割引率が変動した場合の、当社及び主な国内子会社の確定給付制度債務の現在価値に与える影響の感応度分析は、以下のとおりであります。
(注) 感応度分析は、各報告期間の末日時点における他の仮定を全て一定とした上で割引率のみを変動させて、確定給付制度債務に与える影響を算定しております。
⑥ 確定拠出制度
確定拠出制度に関して純損益で認識した費用は、前連結会計年度において200百万円、当連結会計年度において218百万円であります。当該費用は連結損益計算書の「売上原価」及び「販売費及び一般管理費」に含めております。
⑦ 複数事業主制度
当社及び子会社の1社は、複数事業主が設定した拠出型年金制度(以下、「当該複数事業主制度」といいます。)である全国情報サービス産業企業年金基金に加入しており、ほぼ全従業員がその対象となっております。
わが国の厚生年金保険法で定められているように、当該複数事業主制度は、国の年金の代行部分及び拠出型確定給付型年金制度の複数事業主の部分により構成されております。代行部分に係る給付額は、厚生年金保険法の標準報酬及び加入期間に基づいて決定され、複数事業主の部分に係る給付額は、従業員の勤続年数に基づいて決定されます。
全国情報サービス産業企業年金基金は、以下の点で単一事業主制度とは異なります。
(ⅰ)事業主が複数事業主制度に拠出した資産は、他の加入事業主の従業員の給付に使用される可能性があります。
(ⅱ)一部の事業主が掛金拠出を中断した場合、他の加入事業主に未積立債務の追加負担を求められる可能性があります。
(ⅲ)一部の事業主が複数事業主制度から脱退する場合、その事業主に対して未積立債務を脱退時特別掛金として拠出することが求められる可能性があります。
全国情報サービス産業企業年金基金は上記の規約に基づき運用されている確定給付型の複数事業主制度ではありますが、参加企業において発生した事象の影響が、他の参加企業の制度資産及び費用の分配額に影響を及ぼすために、これらの分配が首尾一貫しておりません。したがって、確定給付の会計処理を行うための十分な情報を入手できないため、確定拠出制度であるかのように会計処理を行っております。なお、当該制度に係る純年金費用は、拠出金の支払期日に認識されます。
各連結会計年度の拠出額は、次のとおりであります。
翌連結会計年度における予想拠出額は175百万円であります。
入手しうる直近の情報に基づく全国情報サービス産業企業年金基金の財政状態は次のとおりであります。
全国情報サービス産業企業年金基金の財政状態は、当社の連結会計期間の1年前の情報であります。
上記の掛金拠出割合は当社及び一部の子会社が拠出した掛金総額を同基金全体の掛金総額で除して算出したものであり、当社及び一部の子会社の実際の負担割合とは一致しておりません。
(2) その他の従業員給付費用
前連結会計年度及び当連結会計年度における連結損益計算書の「売上原価」、「販売費及び一般管理費」に含まれるその他の従業員給付費用の合計額は、各々22百万円及び20百万円であります。
18.引当金
「引当金」の内訳及び増減内容は、次のとおりであります。
資産除去債務
当社グループが使用する有形固定資産やリース資産などの将来の除却に関して、法令又は契約で要求される法的義務及びそれに準じて発生する義務に基づき発生する債務を、過去の実績などに基づいて合理的に見積り計上しております。これらは主に1年以上経過した後に支払いが発生すると見込まれていますが、将来の事業計画などの影響を受けます。
19.その他の負債
「その他の流動負債」及び「その他の非流動負債」の内訳は、以下のとおりであります。
20.払込資本及びその他の資本
(1) 資本金及び資本剰余金
授権株式数、発行済株式総数及び資本金等の残高の増減は以下のとおりであります。
(注1) 当社は、2006年8月に、資本金2,539百万円及び資本準備金21,980百万円を減少し、会社法による決算報告を目的とした
個別財務諸表における繰越損失へ補填しております。連結財務諸表においては、資本金及び資本準備金の減少額を欠損
金と相殺する処理を行なっておりません。
(注2) 当社は、2022年10月1日を効力発生日として、普通株式1株につき2株の割合をもって株式分割を実施しております。これ
により、授権株式数及び発行済株式総数が、151,040,000株及び93,534,800株増加しております。
(注3) 当社は、2023年5月22日に自己株式の消却を実施しております。これにより、発行済株式総数が、3,928,500株減少して
おります。
(2) 自己株式
自己株式数及び残高の増減は以下のとおりであります。
(注1) 当社は、ストックオプション制度を採用し、会社法に基づき新株予約権を発行しており、その権利行使に伴う株式の交付に自己株式を充当しております。なお、契約条件及び金額等は「30. 株式に基づく報酬」に記載しております。
(注2) 当社は、譲渡制限付株式報酬制度を採用しており、その株式の付与に自己株式を充当しております。なお、契約条件及び金額等は注記「30. 株式に基づく報酬」に記載しております。
(注3) 当社は、2022年10月1日を効力発生日として、普通株式1株につき2株の割合をもって株式分割を実施しております。
これにより、自己株式数は3,221,667株増加しております。
(注4) 当社は、2023年5月に自己株式の取得及び消却を実施しております。
これにより、自己株式数は3,928,500株増加と減少しております。
(3) 資本剰余金
日本における会社法(以下、会社法)では、株式の発行に対しての払込み又は給付の2分の1以上を資本金に組み入れ、残りは資本準備金(資本剰余金の構成要素)に組み入れることが規定されております。また、会社法では、資本準備金は株主総会の決議により、資本金に組み入れることができます。
(4) 利益剰余金
会社法では、剰余金の配当として支出する金額の10分の1を、資本準備金及び利益準備金(利益剰余金の構成要素)の合計金額が資本金の4分の1に達するまで資本準備金又は利益準備金として積み立てることが規定されております。積み立てられた利益準備金は、欠損填補に充当できます。また、株主総会の決議をもって、利益準備金を取り崩すことができます。
(5) その他の資本の構成要素の内容及び目的
① その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産の公正価値の評価差額であります。
② 確定給付制度の純額の再測定
確定給付制度債務に係る数理計算上の差異及び制度資産に係る収益(利息収益に含まれる金額を除く)の変動額であります。
これらについては、発生時にその他の包括利益で認識し、その他の資本の構成要素から利益剰余金に直ちに振り替えております。
③ 在外営業活動体の換算差額
外貨建で作成された在外営業活動体の財務諸表を連結する際に発生した換算差額であります。
21.その他の資本の構成要素
その他の資本の構成要素の各項目の増減は以下の通りです。
22.配当金
各連結会計年度における配当金の支払額は、以下のとおりであります。
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
(注) 当社は、2022年8月5日の取締役会決議により、2022年10月1日を効力発生日として普通株式1株につき2株の割合をもって株式分割を行いました。1株当たり配当額は株式分割前の金額で記載しております。
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
また、配当の効力発生日が翌連結会計年度となるものは、以下のとおりであります。
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
23.売上収益
(1) 収益の分解
顧客との契約から認識した収益の内訳は以下のとおりです。連結損益計算書に計上している「売上収益」にはリース契約により顧客へ提供されているものが含まれておりますが、その額に重要性がないため、以下に含めて表示しております。
(2) 収益の認識
ネットワークサービスは、通常は契約期間にわたって当社の履行義務が充足されるものであり、収益は当該履行義務が充足される契約期間にわたり、月次で均等額を収益に計上しております。顧客への請求に関する通常の支払期限は、役務提供月の翌月末支払いであり、重大な金融要素は含まれておりません。ネットワークサービスに関連して受け取った初期設定サービス料は繰り延べ、初期設定サービス料が、当初の契約期間を超えてサービスを継続するか否かの判断に関する重要な権利を顧客に与えるか判断し、収益を計上する期間を決定しています。重要な権利を顧客に与える場合は、各々のサービスの見積平均利用期間にわたって収益を計上し、与えない場合は、各々のサービスの最低利用期間にわたって収益を計上しております。
システムインテグレーション及び関連サービス契約には、以下の構成要素を1つ以上含んでいます。
・システム構築サービス - 顧客の要求に応じて以下の全て、またはいくつかの要素を含みます。要素として、コンサルティング、プロジェクト計画、システム設計、ネットワークシステム開発などがあげられます。これらサービスには、ソフトウェアの設定及びインストール、ハードウェアの設置を含みます。
・ソフトウェア - 当社グループはオラクルやウインドウズといった市販のソフトウェアの再販売を行っています。それらは、システム構築の過程で当社グループによりインストールがされます。
・ハードウェア - 当社グループは、サーバー、スイッチ、ルータといった市販のハードウェアを販売しています。当社グループはそれらをシステム構築の過程で設置しています。これらハードウェアは、第三者である製造業者や販売業者によって販売されるような一般的なハードウェアです。
・監視、運用サービス - 当社グループは顧客のネットワークとインターネット接続の状況を監視し、問題の発見、報告を行います。当社グループは、持続的なデータバックアップサービスも行います。
・ハードウェアとソフトウェアの保守サービス - 当社グループはハードウェアの故障部品の修理、取り換えを行います。当社グループは、ソフトウェアの欠陥を調査し、顧客に対し適切な解決方法を提案します。
システム構築サービスは、通常3カ月から9カ月の期間をかけて納入が行われます。全てのハードウェアとソフトウェアは、この期間中に納入され、インストールされます。顧客は、定められた固定額の代金の支払いを要求されますが、システム構築が完了し、顧客によって検収がなされるまでは、通常は支払いは行われません。顧客への請求に関する通常の支払期限は、検収完了月の翌月末支払いであり、重大な金融要素は含まれておりません。
監視、運用、ハードウェア及びソフトウェア保守サービスは、通常、顧客がシステムを検収した時から開始します。これらサービスは、通常1年から5年の契約となります。当社グループの契約には、これらサービスの年間料金が明記されています。顧客への請求に関する通常の支払期限は、役務提供月の翌月末支払いであり、重大な金融要素は含まれておりません。
システム構築サービス、ハードウェア、ソフトウェア、付随するサービス(例えば、監視、運用サービス、ハードウェアとソフトウェアの保守サービス)といった複数の履行義務を含む契約につき、当社グループは全ての履行義務に対して独立販売価格に基づき収益を配分しています。なお、その配分には重要な判断が伴います。独立販売価格は、市場の状況、当社グループ固有の要因及びその他観察可能なインプットを含む合理的に入手可能な全ての情報に基づき、配分の目的に合致するように設定された価格のレンジを用いて見積もられています。
収益の各履行義務を会計処理するために使用される方法及び各履行義務が認識される期間は、以下のとおりです。
・システム構築サービス及びハードウェアとソフトウェアに関連する履行義務に配分された収益は、完成までの一定期間にわたり履行義務が充足されることによって認識しております。この進捗度の測定は、システム構築の進捗に伴ってコストが発生していると考えられることから、発生したコストに基づくインプット法(原価比例法)を採用しています。
当連結会計年度において計上したシステムインテグレーション売上高のうち、原価比例法に基づいて認識したシステム構築サービスに係る売上収益は42,338百万円であります。
・監視、運用、ハードウェアとソフトウェアの保守サービスに配分された収益は、契約期間にわたり、定額で認識されます。これは、当該サービスはネットワークサービスと同様に、契約期間にわたって当社の履行義務が充足されるものであるためです。
システム構築サービス売上高を報告する際には、当社グループが当事者としての、あるいは代理人としての役割を担うかに基づき、収益及び原価を総額で表示すべきか稼得した利益の純額で表示すべきかについて評価を行っております。
ATM運営事業売上高は、主として利用者がATMにて現金の引出しを行う際の手数料収入であります。ATM手数料は、利用者がATMサービスを利用する度に徴収されますが、利用の時に顧客が便益を得られるため、徴収時に収益に計上しております。
報告セグメント別の収益については、注記「5.セグメント」に記載しております。
(3) 契約資産及び負債
契約資産は、主としてハードウェア及びソフトウェアを含むシステム構築サービスにおいて、報告期間の末日時点で履行義務の充足部分と交換に受取る対価に対する権利のうち、債権を除いたものです。システム構築サービスの完了に伴い、時の経過以外の条件は解消し、債権へ振替えられます。
契約負債は、主として監視、運用、ハードウェア及びソフトウェア保守サービスにおいて、顧客から受領した対価のうち既に収益として認識した額を上回る部分であります。これらのサービスの提供に伴って履行義務は充足され、契約負債は収益へと振替えられます。
前連結会計年度に認識した収益のうち、2022年3月31日現在の契約負債残高に含まれていた取引高は9,828百万円であります。
当連結会計年度に認識した収益のうち、2023年3月31日現在の契約負債残高に含まれていた取引高は9,675百万円であります。
(4) 残存履行義務に配分した取引価格
前連結会計年度末及び当連結会計年度末における、下記のサービスにかかる残存履行義務に配分された取引価格は各々41,210百万円及び 49,586百万円であります。
・システム構築サービス
・監視、運用、ハードウェア及びソフトウェア保守サービス
・ネットワークサービスにおける、当初の契約期間を超えてサービスを継続するか否かの判断に関する重要な権利を顧客に与える初期設定サービス料
当社グループは、当該残存履行義務にかかる収益について、今後1年以内に31,991百万円が認識され、1年超6年以内に17,595百万円が認識されると考えております。顧客との契約から生じる対価の中に、取引価格に含まれていない重要な金額はありません。その他のサービスにおいては、通常その契約期間が1年を超えないため、実務上の便法を採用し、残存履行義務に関する情報の記載を省略しております。
(5) 顧客との契約の獲得又は履行のためのコストから認識した資産
各連結会計年度における顧客との契約の獲得又は履行のためのコストから認識した資産の残高は、下記のとおりであります。
当社グループは、顧客との契約獲得のための増分コスト及び契約に直接関連する履行コストのうち、回収可能であると見込まれる部分について資産として認識しており、連結財政状態計算書上は流動資産および非流動資産の前払費用に計上しております。契約獲得のための増分コストとは、顧客との契約を獲得するために発生したコストで、当該契約を獲得しなければ発生しなかったであろう費用です。
当社グループにおいて資産計上されている契約獲得のための増分コストは、主に個人向けモバイルサービスにおいて、代理店の契約実績に基づいて支給する販売手数料であります。また、契約履行のための増分コストは、主に契約開始時に必要な事務登録活動や回線手配作業に係る社内労務費や手数料であります。当該資産については、獲得した契約毎の顧客の見積利用期間に応じて、2年間から5年間の均等償却を行っております。
前連結会計年度及び当連結会計年度において、契約コストから認識した資産から生じた償却費は、各々417百万円及び345百万円であります。
24.売上原価及び販売費及び一般管理費
各連結会計年度における「売上原価」の内訳は、以下のとおりであります。
各連結会計年度における「販売費及び一般管理費」の内訳は、以下のとおりであります。
25.その他の収益
各連結会計年度における「その他の収益」の内訳は、以下のとおりであります。
26.その他の費用
各連結会計年度における「その他の費用」の内訳は、以下のとおりであります。
27.金融収益及び金融費用
各連結会計年度における「金融収益」及び「金融費用」の内訳は、以下のとおりであります。
(1) 金融収益
(2) 金融費用
(3) 金融資産の減損
連結損益計算書において、償却原価で測定する金融資産に係る減損損失は「販売費及び一般管理費」に含まれております。
28.1株当たり利益
基本的1株当たり当期利益及び希薄化後1株当たり当期利益は、下記のとおりであります。
株式分割
当社は、2022年8月5日の取締役会決議に基づき、2022年10月1日を効力発生日として、基準日である2022年9月30日の株式を対象に1株につき2株の割合をもって株式分割を実施しています。なお、当該株式分割に伴い、連結財務諸表で表示される前連結会計年度の1株当たり情報について、株式分割調整後の数値を表示しています。
29.その他の包括利益
「その他の包括利益」に含まれる、各包括利益項目別の発生額及び損益への組替調整額、並びに税効果の影響は、以下のとおりであります。
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
30.株式に基づく報酬
(1) ストックオプション
① ストックオプションの内容
当社は、当社株主と株価変動のメリットとリスクを共有し、中長期的な業績と企業価値の持続的な向上への貢献を高めることを目的として持分決済型株式報酬であるストックオプション制度を採用しており、当社の取締役及び執行役員に対し、退職金の代替として新株予約権を付与するものであります。
当該新株予約権は、付与日より1年間の勤務を経て権利確定となり、同日から29年間を行使期間とし、その期間内において、新株予約権者が当社の取締役及び執行役員のいずれの地位をも喪失した日の翌日から起算して10日以内に限り、新株予約権を行使することができるものであります。また、新株予約権の行使価格は1円であります。
行使期間は割当契約に定められた期間であり、その期間内に行使されない場合は、当該新株予約権は失効するものであります。
当連結会計年度において存在する当社のストックオプションは、以下のとおりであります。
② ストックオプションの数及び加重平均行使価格
(注1) 期中に行使されたストックオプションの行使日における加重平均株価は、前連結会計年度及び当連結会計年度において発生しておりません。
(注2) 前連結会計年度の未行使のストックオプションの行使価格は1円、加重平均残存契約年数は23.95年であります。当連結会計年度の未行使のストックオプションの行使価格は1円、加重平均残存契約年数は23.19年であります。
(注3) 当社は、2022年10月1日を効力発生日として、普通株式1株につき2株の割合をもって株式分割を実施しており、前連結会計年度の株式数について、株式分割調整後の数値を記載しています。
③ 期中に付与されたストックオプションの公正価値及び仮定
期中に付与されたストックオプションの加重平均公正価値は、以下の前提条件に基づき、ブラック・ショールズモデルを用いて評価しております。
ブラック・ショールズモデルで使用された主な基礎数値及び見積方法は次のとおりであります。
予想ボラティリティは、予想残存期間に対応する直近の株価実績に基づき算定しております。
(注) 当社は、2022年10月1日を効力発生日として、普通株式1株につき2株の割合をもって株式分割を実施しており、
第12回新株予約権の付与日の株価について、株式分割調整後の数値を記載しています。
(2) 譲渡制限付株式報酬
① 譲渡制限付株式報酬の内容
当社は、取締役及び執行役員に対して、当社株主と株価変動のメリットとリスクを共有し、中長期的な業績と企業価値の持続的な向上への貢献を高めることを目的として持分決済型の譲渡制限付株式報酬制度を採用しております。
譲渡制限付株式報酬の内容は、以下のとおりであります。
(注) 当社は、2022年10月1日を効力発生日として、普通株式1株につき2株の割合をもって株式分割を実施しており、これにより
前連結会計年度の株式の付与数は、71,730株となっています。
(譲渡制限付株式報酬の概要)
・支給時期及び配分:各事業年度末月或いは終了後、各取締役及び執行役員の支給を決定し、割り当てる。
・上限:年160,000株以内(2021年1月1日付及び2022年10月1日付の株式分割調整後)
・公正価値の測定方法:取締役会決議日の前営業日の東京証券取引所における当社普通株式の終値(同日に取引が成立してい
ない場合は、それに先立つ直近取引日の終値)を基礎として算定しております。
・譲渡制限:譲渡制限付株式割当契約により割当てを受けた普通株式(以下「本割当株式」という。)の払込期日から取締役
会が予め定める地位を退任するまでの期間(以下「譲渡制限期間」という。)、本割当株式の譲渡、担保権の設定その他の
処分はできません。
・譲渡制限の解除:譲渡制限期間中に継続して取締役会が予め定める地位にあったことを条件に、本割当株式の全部につい
て、譲渡制限期間が満了した時点をもって譲渡制限を解除する。但し、譲渡制限期間中又は譲渡制限期間満了時に当社が正
当と認める理由以外の理由により退任した場合等、譲渡制限付株式割当契約で定める一定の事由に該当した場合は、当社は
本割当株式を当然に無償で取得する。
・組織再編等における取扱い:上記にかかわらず、譲渡制限期間中に、当社が消滅会社となる合併契約、当社が完全子会社と
なる株式交換契約又は株式移転計画その他の組織再編等に関する事項が当社の株主総会(但し、当該組織再編等に関して当
社の株主総会による承認を要さない場合においては、当社の取締役会)で承認された場合は、取締役会の決議により、当該
組織再編等の効力発生日に先立ち譲渡制限を解除する。
・その他の事項:譲渡制限付株式に関するその他の事項は、取締役会で決定する。
(3) 株式に基づく報酬費用
連結損益計算書に含まれている株式に基づく報酬費用として認識した額は、前連結会計年度において241百万円、当連結会計
年度において208百万円であります。
31.金融商品
(1) 資本管理
当社グループは、持続的な成長を通じて、企業価値を最大化することを目指して資本管理をしております。
当社グループの純負債と資本の対比は、以下のとおりであります。
(注) リース負債のうち、前連結会計年度におけるリース負債のうち、資金調達形態のリース契約に係る残高は16,447百万円、資金調達形態以外のリース契約に係る残高は31,610百万円です。また、当連結会計年度におけるリース負債のうち、資金調達形態のリース契約に係る残高は15,750百万円、資金調達形態以外のリース契約に係る残高は26,982百万円です。
なお、当社グループには、外部から課される重要な自己資本に対する規制はありません。
(2) 金融商品の分類
① 金融資産及び金融負債の分類
金融商品(現金及び現金同等物を除く)の分類別内訳は、以下のとおりであります。
前連結会計年度(2023年3月31日)
上記の表には、契約資産及びリース未収入金は含まれておりません。
当連結会計年度(2024年3月31日)
上記の表には、契約資産及びリース未収入金は含まれておりません。
② その他の包括利益を通じて公正価値で測定するものとして指定した資本性金融商品に対する投資
(ⅰ)その他の包括利益を通じて公正価値で測定するものとして指定した資本性金融商品の内訳及び主な銘柄
その他の包括利益を通じて公正価値で測定するものとして指定した資本性金融商品は、取引関係の強化等を目的として保有しており、短期的な売買により利益を確保するような運用を意図しておりません。そのため、評価損益を純損益として計上するよりも、その他の包括利益として計上する方が適当であると判断したため、当該指定を行っております。
当該指定を行った有価証券の公正価値とその主たる内訳は、以下のとおりであります。
上記のうち、主な銘柄の公正価値は、以下のとおりであります。
(ⅱ)その他の包括利益を通じて公正価値で測定するものとして指定した資本性金融商品の認識の中止
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品に対する投資について認識の中止を行った場合における、認識中止時点の公正価値、処分に係る累積利得又は損失は次のとおりであります。
これらの資本性金融商品は、取引関係の見直し等の理由から処分を行ったものであります。
その他の包括利益を通じて公正価値で測定するものと指定した資本性金融商品に計上されていた利得又は損失の累計額(税効果控除後)は、認識中止時に、その他の資本の構成要素から利益剰余金に振り替えております。前連結会計年度において、当該振り替えはありません。当連結会計年度において、当該振替額は319百万円であります。
前連結会計年度における、その他の包括利益を通じて公正価値で測定するものに指定した資本性金融商品からの配当のうち、報告期間の末日現在で保有している資本性金融商品からの配当は90百万円であり、報告期間中に認識を中止した資本性金融商品からの配当はありません。
当連結会計年度における、その他の包括利益を通じて公正価値で測定するものに指定した資本性金融商品からの配当のうち、報告期間の末日現在で保有している資本性金融商品からの配当は105百万円であり、報告期間中に認識を中止した資本性金融商品からの配当はありません。
(3) 財務上のリスク管理
当社グループは、経営活動を行う過程において、財務上のリスク(信用リスク・流動性リスク・為替リスク・金利リスク・市場価格の変動リスク)に晒されており、当該財務上のリスクを軽減するために、リスク管理を行っております。
(4) 信用リスク管理
信用リスクは、顧客が契約上の債務に関して債務不履行になり、当社グループに財務上の損失を発生させるリスクであります。当社グループは、顧客が債務の全額を返済する可能性が低くなった場合に、債務不履行に陥ったと判断しております。
当社グループは、与信管理規程等に基づいて、取引先に対して与信限度額を設定し、管理しております。当社グループの債権は、広範囲の産業や地域に広がる多数の取引先に対するものであります。
なお、当社グループは、単独の相手先又はその相手先が所属するグループについて、過度に集中した信用リスクを有しておりません。
連結財務諸表に表示されている金融資産の減損後の帳簿価額は、獲得した担保の評価額を考慮に入れない、当社グループの金融資産の信用リスクに対するエクスポージャーの最大値であります。
営業債権及びその他の金融資産については、回収可能性や信用リスクの著しい増加等を考慮して、将来の予想信用損失を測定して、貸倒引当金を計上しております。信用リスクが著しく増加しているか否かについては、債務不履行発生リスクの変動により評価しております。そのために、取引相手先の財務状況、過去の貸倒損失計上実績、過去の期日経過情報など考慮して判断しております。
営業債権に係る貸倒引当金は、常に全期間の予想信用損失に等しい金額で測定しており、取引内容や取引規模に応じ、全期間の予想信用損失を個別に測定する場合と集合的に測定する場合があります。営業債権の見積将来キャッシュ・フローに不利な影響を与える、以下のような一つ又は複数の事象が発生している場合には、信用減損した営業債権として個別債権ごとに予想信用損失を測定しております。
・債務者の重大な財政的困難
・債務不履行又は期日経過などの契約違反
・債務者が破産又は他の財務上の再編を行う可能性が高くなったこと
その他の金融資産に係る貸倒引当金は、12ヶ月の予想信用損失に等しい金額で測定しております。営業債権と同様の判断基準で見積将来キャッシュ・フローに不利な影響を与える、一つ又は複数の事象が発生している場合には、信用減損したその他の金融資産として個別債権ごとに予想信用損失を測定しております。
また、信用減損した金融資産について、信用調査の結果、その全部または一部が回収不能であることが判明し、直接償却することが適切と判断された場合には、直接償却を行っております。
① 営業債権及びその他の金融資産の帳簿価額
(ⅰ)営業債権
(ⅱ)その他の金融資産
② 貸倒引当金の増減
当社グループは金融資産が減損した場合、減損を資産の帳簿価額から直接減額せず、貸倒引当金勘定により処理しております。貸倒引当金の増減は以下のとおりであります。
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
(ⅰ)営業債権
(ⅱ)その他の金融資産
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
(ⅰ)営業債権
(ⅱ)その他の金融資産
(5) 流動性リスク管理
流動性リスクは、当社グループが期限の到来した金融負債の返済義務を履行するにあたり、支払期日にその支払いを実行できなくなるリスクであります。
当社グループは、適切な返済資金を準備するとともに、金融機関より随時利用可能な信用枠を確保し、継続的にキャッシュ・フローの計画と実績をモニタリングすることで流動性リスクを管理しております。
金融負債の期日別残高は以下のとおりであります。
前連結会計年度(2023年3月31日)
キャピタルコールの未行使枠は要求払い項目であり、投資信託及びその他の有価証券に関するものであります。
当連結会計年度(2024年3月31日)
キャピタルコールの未行使枠は要求払い項目であり、投資信託及びその他の有価証券に関するものであります。
(6) 為替リスク管理
当社グループは、国際的に事業を展開していることから、主として外貨建ての営業債権債務等に係る為替の変動リスクに晒されております。
当社グループは、当該リスクを管理することを目的として、為替相場の継続的なモニタリングを行っています。
当社グループにおける主な為替リスクのエクスポージャーは以下のとおりであります。
主に現金及び現金同等物です。
為替感応度分析
当社グループが各年度末において保有する金融商品において、日本円が10%円高になった場合の、連結損益計算書の税引前利益に与える影響は以下のとおりであります。
機能通貨建ての金融商品、及び在外営業活動体の資産及び負債、収益及び費用を円貨に換算する際の影響は含んでおりません。また、算定に使用した各通貨以外の通貨は相互に変動しないことを前提としております。
(7) 金利リスク管理
借入金は固定金利により調達されており、金利リスクは当社グループにとって重要なものではないと考え、金利感応度分析は行っておりません。
(8) 市場価格の変動リスク管理
当社グループは、資本性金融商品(株式)から生じる株価の変動リスクに晒されております。
当社グループが保有する資本性金融商品は、政策目的で保有するものであり、短期売買目的で保有するものではありません。資本性金融商品には上場株式と非上場株式が含まれており、定期的に時価や発行体の財務状況等を勘案して保有状況を見直しております。
上場株式は、活発な市場で取引される有価証券として分類しており、他の全ての変数が一定であると仮定した上で、市場価格が10%下落した場合の連結包括利益計算書のその他の包括利益(税効果考慮前)に与える影響は、以下のとおりであります。
資本性金融商品の内訳については、(2)②(ⅰ)その他の包括利益を通じて公正価値で測定するものとして指定した資本性金融商品の内訳及び主な銘柄に記載されているとおりです。
(9) 金融商品の公正価値
① 公正価値ヒエラルキーのレベル別分類
IFRSにおいては、3つからなる公正価値の階層が設けられており、公正価値の測定において用いるインプットには、
観察可能性に応じた優先順位付けがなされています。それぞれのインプットの内容は、次のとおりです。
・レベル1:活発な市場における同一の資産又は負債の市場価格
・レベル2:レベル1に含まれる市場価格以外の観察可能なインプット
・レベル3:観察可能でないインプット
② 公正価値で測定する金融商品
公正価値で測定する主な金融商品の測定方法は、以下のとおりであります。
株式
活発な市場のある金融商品については、市場価格を用いて公正価値を算定しており、レベル1に分類しております。一部の株式については、観察可能な市場データを用いて公正価値を算定しており、レベル2に分類しております。市場価格又は観察可能な市場データが存在しない場合、主に直近の入手可能な情報に基づき、純資産に対する持分に適切な修正を加えた評価方法により公正価値を見積っており、レベル3に分類しております。
投資信託及びその他の有価証券
観察可能なインプットが存在しないため、主に直近の入手可能な情報に基づき、純資産に対する持分に適切な修正を加えた評価方法により公正価値を見積っており、レベル3に分類しております。
前連結会計年度(2023年3月31日)
当連結会計年度(2024年3月31日)
レベル3に分類されている金融商品は、主に非上場株式及び市場価格が観察可能でない投資信託により構成されています。これらの金融商品の公正価値の測定は、純資産に対する持分に適切な修正を加えた評価方法により公正価値を測定しています。その結果は適切な権限者がレビュー及び承認しております。
レベル3に分類した金融商品について、観察可能でないインプットを合理的に考え得る代替的な仮定に変更した場合に著しい公正価値の増減は見込まれていません。
公正価値ヒエラルキーのレベル間の重要な振替の有無は、振替のあった報告期間の期末日に認識しています。
③ レベル3に分類された金融商品の増減
レベル3に分類された金融商品の各連結会計年度の期首から期末までの変動は、以下のとおりであります。
(注1) その他の包括利益に含まれている利得及び損失は、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品に関するものであり、これらの利得及び損失は、「その他の包括利益を通じて測定するものとして指定した資本性金融商品の公正価値の純変動額」にそれぞれ含まれております。
(注2) 前連結会計年度における振替は、レベル3の公正価値からレベル2の公正価値への振替であり、当該株式について観察可能な市場データが利用可能になったことによるものです。
当連結会計年度における振替は、議決権比率の低下に伴う、持分法で会計処理されている投資からその他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品への振替です。
(注3) 純損益に含まれている利得及び損失は、期末時点の純損益を通じて測定する金融資産に関するものであります。これらの損益は「金融収益」及び「金融費用」に含まれております。また、純損益で認識された利得及び損失は、各報告期間末において保有している金融資産に係る未実現損益の変動によるものです。
④ 公正価値で測定されない金融商品
公正価値で測定されない主な金融商品の測定方法は、以下のとおりであります。
(ⅰ)債券及び長期借入金
債券及び長期借入金の公正価値は、同一の残存期間で同条件の取引を行った場合に想定される利率で割り引いた現在価値により算定しております。
流動項目に区分される金融資産及び金融負債は、短期間で決済されるため、帳簿価額が公正価値の合理的な近似値となっております。また、非流動項目に区分される金融資産及び金融負債においても、上記以外の公正価値で測定されない金融資産及び金融負債の公正価値は、帳簿価額と近似しています。
公正価値で測定されない金融商品の公正価値ヒエラルキーに基づくレベル別分類は、以下のとおりです。
前連結会計年度(2023年3月31日)
当連結会計年度(2024年3月31日)
32.子会社への関与
(1) 企業集団の構成
主要な子会社の状況は以下のとおりであります。
(2) 重要性のある非支配持分がある子会社
重要な非支配持分を有する子会社はありません。
(3) 子会社に対する支配の喪失に伴う損益
支配の喪失に伴う損益はありません。
33.持分法で会計処理されている投資
(1) 重要性のある関連会社
重要な関連会社はありません。
(2) 重要性のある共同支配企業
重要な共同支配企業はありません。
(3) 個々に重要性のない関連会社及び共同支配企業
個々に重要性のない関連会社及び共同支配企業に対する当社グループの持分の帳簿価額は次のとおりであります。
個々に重要性のない関連会社及び共同支配企業に関する財務情報は次のとおりであります。なお、これらの金額は当社グループの持分比率勘案後のものであります。
(注)1.当社グループは、議決権を16.8%保有しているJOCDN㈱を関連会社としています。当社グループは、JOCDN㈱の取締役の占有率が20%を超えていること及び事業運営上の技術的な依存性が高いことにより、重要な影響力を有していると決定しました。
2.共同支配企業としている㈱グレープ・ワンは、当連結会計年度中に持分法適用の範囲から除外したため、上記財務情報には除外日以前の金額を記載しています。
34.関連当事者
(1) 関連当事者との取引
関連当事者との取引及び債権債務残高は、以下のとおりであります。
なお、関連当事者との取引は、独立企業間価格を基礎として行っております。
① NTT社との取引
当社グループは、NTT及びその子会社と、当社事業所で利用している有線通信サービスの購入、リース取引など様々な形の取引を行っております。当社グループのインターネット接続サービス及びアウトソーシングサービスの提供に関し、当社グループは、国際バックボーン回線、国内バックボーン回線、アクセス回線、データセンター内のラックスペース及びモバイル通信回線等を、NTT及びその子会社より仕入れております。また逆に、当社グループは、NTT及びその子会社に対して、各種ネットワークサービス、システムインテグレーションサービス及びデータセンター監視サービス等を提供しております。なお、NTTが2023年5月に当社株式の一部を売却したことで、NTT及びその子会社が所有する当社株式は、当社の発行済株式総数の11.12%及び議決権の11.52%となりました。その結果、当連結会計年度末において、同社は関連当事者に該当しなくなりました。
当社グループとNTT及びその子会社との取引に係る主要な勘定残高及び取引高は、各々下記のとおりであります。
(注) 当連結会計年度末においてNTT及びその子会社は関連当事者には該当していないため、当連結会計年度末の残高は記載しておりません。
(注) 当連結会計年度の取引高は、NTT及びその子会社が関連当事者に該当していた期間の金額を記載しております。
② 持分法適用会社との取引
当社は、様々な事業会社を用いてインターネット関連事業を設立、運営しております。持分法適用関連会社が運営している事業には、高速のインターネット・エクスチェンジサービス等の提供(インターネットマルチフィード㈱)、ポイント管理システムの運用(㈱トリニティ)、インドネシアにおけるクラウドコンピューティングサービス提供(PT. BIZNET GIO NUSANTARA)、タイにおけるクラウドコンピューティングサービス提供(Leap Solutions Asia Co., Ltd.)、配信プラットフォームの提供(JOCDN㈱)、デジタル通貨の取引・決済を行う金融サービス提供(㈱ディーカレットホールディングス)及びローカル5Gサービスプラットフォームの提供(㈱グレープ・ワン)が含まれております。
当社グループの持分法適用関連会社との間の前連結会計年度末、及び当連結会計年度末現在の勘定残高並びに前連結会計年度及び当連結会計年度の取引高の総額の要約は、下記のとおりであります。
関連会社に対するもの
共同支配企業に対するもの
(注) 共同支配企業としている(㈱グレープ・ワンは、当連結会計年度中に持分法適用の範囲から除外したため、上記財務情報には除外日以前の金額を記載しています。
前連結会計年度及び当連結会計年度における持分法適用関連会社からの受取配当金は、各々114百万円及び109百万円となっております。
(2) 主要な経営幹部に対する報酬
当社グループの主要な経営幹部に対する報酬は、以下のとおりであります。
35.キャッシュ・フロー
(1) 財務活動に係る負債の調整表
財務活動によるキャッシュ・フローに分類される負債の調整表は、以下のとおりであります。
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
(2) 非資金取引
なお、リースによる資産の取得額は「16.リース取引」に記載しております。
36.偶発事象
当社グループは通常の商取引の中で起こる訴訟・苦情等を受ける立場にあります。当社グループは、継続ベースで評価を行い、財政状態計算書における見積り計上額を考慮しております。当社グループは、見積り計上額を超えて発生しうる損失は存在せず、そのような訴訟・苦情等から不利な結果が生じたとしても財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼさないと考えております。2010年9月1日に、㈱IIJグローバルソリューションズは、同社の最大のセールスパートナーである日本アイ・ビー・エム㈱とソリューション提供契約を締結しました。当該契約は、㈱IIJグローバルソリューションズと日本アイ・ビー・エム㈱の購買関係の基礎を確立するものであり、㈱IIJグローバルソリューションズが、従前はAT&Tジャパンにより履行されていたものと同様のサービス、機能、責務等を履行することに対する損害賠償を含んでおります。当該契約は、毎年自動更新されます。㈱IIJグローバルソリューションズは2024年3月31日現在、損害賠償の義務は負っておりません。なお、2021年9月1日に行われた日本アイ・ビー・エム㈱の分社化に伴い、当該契約の一部はキンドリルジャパン㈱に承継されております。
37.後発事象
2024年3月31日を基準日とする1株当たり期末配当金17.18円(配当金総額は3,038百万円)の支払について、2024年6月27日に開催された定時株主総会にて株主の承認を受けました。
38.連結財務諸表の承認
当社グループの連結財務諸表は、2024年6月28日に代表取締役社長執行役員 勝 栄二郎及び取締役専務執行役員CFO 渡井 昭久によって承認されております。