文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社は「信用第一」を社是とし、コンクリート二次製品の製造並びに販売を通じて、下水道等の環境保全につながる公共事業を主体に、国土の保全、強靭化に留意し、健全な社会資本整備の構築に協力貢献することを基本方針とします。この経営方針の具体化を推進すべく時代に適合した新技術、新製品の開発強化及び市場開拓に一層の拡大を図る所存であります。また社内にあっては、CSRを重視し社会に貢献する企業風土の確立と企業の安定成長を旨とし、併せて株主の皆様に対し適正なる利益の還元とともに従業員の健全なる生活環境の改善に努めます。
(2)目標とする経営指標
当社の所属する建設土木業界は、主たる需要先である公共事業の動向が各年毎、地域毎に差や量の変化が大きいことから経営指標は導入しておりません。
(3)中長期的な会社の経営戦略及び対処すべき課題
2024年度の日本経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が収まり、企業の生産活動、個人消費の持ち直し、インバウンド需要の増加により社会経済活動は回復が期待されますが、国際情勢によるエネルギー、資源価格の更なる上昇など、先行きの不透明感が続く状況にあります。
建設土木業界では、「働き方改革関連法」の適用に伴う労働環境問題の課題解決、人材流動化による雇用環境の変化により、国土交通省が進める建設業のICT化によって、現場における生産性向上対策としての現場打ちコンクリートのプレキャスト化が、今後、より一層進むものと予想されます。
こうしたなか、当社は、販売・設計・生産の各部門が一体となって、お客様の声に迅速かつ的確にお応えできる体制を構築してまいります。メーカーとして『技術』へのこだわりを持ち、新製品・新工法の開発と実用化に向け、また既存の製品・工法についても更なる品質向上、更なる効率化・多用途化を図るため、研究と技術開発に鋭意取り組みます。
営業においては、受注に繋げる3D技術を駆使した設計織込み活動及び選別受注に注力するとともに、工期短縮に資するプレキャスト化提案など現場のニーズに直結する営業を推進します。製造部門では、重点工場の設備更新を順次実施し、品質向上及び高騰する原材料に対処しつつ、生産効率を高めるなどして原価低減に取り組みます。
次代を担う中核人材の登用等における多様性の確保と育成、若手・中途人材の通年採用、職場環境の改善・整備は、ともに事業活動の基盤となるものであり、引き続き着実に実行します。
当社のサステナビリティに関する考え方及び取組みは次のとおりであります。
なお、本文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1)ガバナンス
当社は、2023年4月よりスタートした中期経営計画において「今後もより良い未来のために、SDGs達成に真摯に向き合っていく」方針を掲げ、SDGs達成に向けた取り組みを推進しております。現在、当社は特別な部門等は設置しておりませんが、取締役会にて中期経営計画の進捗状況等をモニタリングし、随時対応策を講じてまいります。
(2)戦略
当社は、SDGs達成に向けた取り組みとして、以下の重点項目を掲げております。
1.脱炭素社会に向けた貢献(SDGs目標12・13)
・ ボックスカルバート設置時のCO2排出量を削減できるECO-C・L工法の提供
・ 製品の薄肉軽量化による運送・設置時の環境負荷軽減
・ 焼却灰を活用したコンクリート製造やセメントに代わる新素材の研究を実施
2.強靭な街づくりへの貢献(SDGs目標6・9・11)
・ 製品は下水、排水用管路や地下道など都市生活に密着したインフラとして活用
・ 雨水貯溜槽や災害時トイレなどで災害に強い街づくりを支えている
3.全社員が希望を持てる会社へ(SDGs目標5・8・10)
・ 特に、女性社員の活躍の場を積極的に拡大中
(3)リスク管理
当社は、半年ごとにリスク管理のセルフチェックを事業所単位で行い、内部監査委員会へ提出しております。内部監査委員は、適宜、必要に応じて各事業所等に対応策の指示・助言等を行った後、社長、取締役会及び監査役会へ報告しております。特に重要なリスクにつきましては、取締役会等で対応策を協議し、各事業所等に指示しております。
内部監査の組織体制につきましては当社
(https://www.asahi-concrete.co.jp/ir/management-policy#policy02)をご参照ください。
(4)指標及び目標
当社は、国籍、人種、新卒、中途採用などにかかわらず多様な人材が活躍できる職場環境の整備を進めております。特に女性が活躍できる雇用環境の整備を行うために行動計画(2022年4月1日~2027年3月31日)を策定し、目標と取組内容を次のとおり定めております。
目 標:労働者に占める女性労働者の割合を20%以上とする。
取組内容:仕事と育児を両立できる職場を目指し、女性が産前産後休暇、育児休業、
育児短時間勤務等を取得しやすい整備環境に取り組む。
下記に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
当社では、売上の重要な部分を占めるコンクリート関連事業が、民間への販路拡大を行っておりますが、官公庁の公共事業に大きく依存しております。このため、官公庁の財政状況により、業績に悪影響が及ぶ可能性があります。
当社の、コンクリート関連事業における主要原材料の値上がりに伴う製造原価の上昇は、仕入先を分散し対応しておりますが、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3)債権管理について
当社では、売上債権に関して、与信管理を徹底しておりますが、取引先の業績悪化等により売上債権の回収の遅延及び貸倒により、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社が保有する固定資産において資産価値の下落、収益の低下等によって減損処理をした場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキュッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
当事業年度におけるわが国経済は、2023年5月に新型コロナウイルス感染症感染症法における分類が5類に移行後、企業収益の改善、個人消費の回復が見られるものの、原材料、エネルギー価格の上昇にともなう物価上昇、また、円安の進行による経済環境への影響、雇用環境の変化などが加わり、依然として先行きが不透明な状況が続いております。
当社の関連するコンクリート製品業界においては、都心部での駅前再開発事業、物流倉庫・工場の建設等が引続き好調に推移しました。土木案件では国土強靭化計画の推進により、災害対策の工事は堅調に推移したものの、原材料高騰による原価上昇、受注競争の激化などにより厳しい状況が続きました。
このような厳しい状況の中、当社は原価低減に取り組む一方、受注に繋げる設計織込み活動、工期短縮に資するプレキャスト化の提案に、CIM(3D空間モデル、3Dプリンターモデル等のデジタル技術)を活用するなどの取り組みを、販売・設計部門が一体となって積極的に行いました。
こうして取り組んだ結果、当事業年度は、売上高は70億7千1百万円と前事業年度比7.4%の増収となり、損益面では、営業利益は4億1千2百万円と前事業年度比19.3%の増益、経常利益は4億6千7百万円と前事業年度比8.5%の増益となりました。
これに特別利益として投資有価証券売却益4千1百万円、特別損失として固定資産除却損8百万円を計上し、税金費用等1億6千2百万円を差し引きした結果、当期純利益は3億3千7百万円と前事業年度比8.4%の増益となりました。
セグメント別の業績を示すと、次のとおりであります。
〇コンクリート関連事業
コンクリート関連事業は、売上高は70億2千7百万円(前事業年度比7.5%増収)となり、セグメント利益は4億4千6百万円(前事業年度比18.9%増益)となりました。
①コンクリート二次製品部門は、売上高は41億7千8百万円(前事業年度比9.9%増収)となりました。
②工事部門は、売上高は4億3千4百万円(前事業年度比11.0%増収)となりました。
③その他の部門は、工事用資材及びコンクリート製品に装着する資材等の仕入及び販売で、売上高は24億1千5百万円(前事業年度比3.1%増収)となりました。
〇不動産事業
不動産事業は、売上高は4千3百万円(前事業年度比9.0%減収)となり、セグメント利益は1千8百万円(前事業年度比19.8%減益)となりました。
当事業年度における生産実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
(注) 生産金額は、製造原価であります。
当事業年度における受注実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
③ 販売実績
当事業年度における販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
(3) 財政状態
(イ) 資産
流動資産は前事業年度末に比べ、5億8千6百万円増加し、92億3千9百万円となり、固定資産は前事業年度末に比べ、3億5千1百万円増加し、51億7千2百万円であります。これは主として、売上債権の増加3億7千9百万円、現金及び預金の増加1億8千5百万円であります。
(ロ) 負債
流動負債は前事業年度末に比べ、3億2百万円増加し、26億8千9百万円であり、固定負債は前事業年度末に比べ、1億4千6百万円増加し、8億7千3百万円であります。これは主として仕入債務の増加1億8千8百万円であります。
(ハ) 純資産
純資産は前事業年度に比べ、4億8千7百万円増加し、108億5千3百万円であります。
これは主として、その他有価証券評価差額金の増加3億2千万円であります。この結果、自己資本比率は75.3%となりました。
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」と云う)は前事業年度に比べ、1億8千5百万円増加
(前事業年度は1億9千6百万円の増加)し、当事業年度末残高は25億8千8百万円となりました。
(現金及び現金同等物の範囲について)
当社のキャッシュ・フロー計算書における資金の範囲は手許現金・要求払い預金に限定しております。
(営業活動におけるキャッシュ・フローの状況)
営業活動における資金収支は、税引前当期純利益5億円となり、減価償却実施額2億3千5百万円、仕入債務の増加額1億8千5百万円等の資金の増加が、売上債権の増加額3億7千9百万円等の資金の減少を上回ったことにより、資金の増加は4億1千4百万円(前事業年度は7億4千万円の増加)となりました。
(投資活動におけるキャッシュ・フローの状況)
投資活動における資金収支は、投資有価証券の売却による収入1億6千万円等の資金の増加を、有形固定資産の取得による支出2億3百万円等の資金の減少が上回ったことにより、資金の減少は4千2百万円(前事業年度は3億5千2百万円の減少)となりました。
(財務活動におけるキャッシュ・フローの状況)
財務活動における資金収支は、配当金の支払額1億6千9百万円等の資金の減少により、資金の減少は1億8千6百万円(前事業年度は1億9千1百万円の減少)となりました。
なお、当社の資本の財源及び資金の流動性につきましては、当面、多額の支出を要する設備投資等の予定もないことから、問題ないと考えております。
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
該当事項はありません。
当社は「信用第一」の社是の下、高品質なコンクリート二次製品を提供し社会に貢献する、を念頭に、「新技術の開発」「各社との共同研究・開発の推進」に積極的に取り組んで参ります。
○コンクリート関連事業
当期の研究開発活動は、技術設計開発部を中心として製品等の用途拡大のための他社との共同研究・開発の継続であり、研究開発費は