第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)経営方針

当企業グループは、『オイルレスベアリングの総合メーカーとして世界のリーダーとなり、技術で社会に貢献する』をグループの経営理念としており、一貫性をもって持続的な成長を目指しております。創業から脈々と続く「技術で社会に貢献する」理念は、当企業グループの普遍的な価値観であります。軸受機器事業において省エネや環境負荷低減の実現、構造機器事業において世界に対して「安心・安全」を提供、建築機器事業において排煙や換気により「安心・安全」や「快適さ」を提供しております。当企業グループの事業そのものは高い社会貢献性を持ち、「技術で社会に貢献する」経営理念を具現します。

わたしたちは、持続可能な社会を実現することは当企業グループの企業価値向上につながるという信念をもち、トライボロジー(摩擦・摩耗・潤滑)とダンピング(振動制御)の2つのコア技術のたゆまぬ探求と、社会の持続的な発展に貢献するという飽くなき挑戦を続けてまいります。

 

①事業への取り組み

グローバルな市場創造企業として、他社の追従を許さない性能を持つ独自の製品開発をおこない、お客さまの課題を革新的に解決し、お客さまと共に世界初・世界一を実現するための技術や製品の提供を続けます。そのために、お客さまや社会からの期待に応える高い品質水準と生産性向上をおこないます。

②社会とのかかわり

企業価値の創出は、さまざまなステークホルダーによるリソースの提供や貢献の結果であります。ステークホルダーとの適切な協働に努めるとともに、その期待に応えてまいります。

③サステナビリティへの対応

サステナビリティはESGを含む長期的に重要な経営要素として積極的かつ能動的な活動を進めます。

④人的資本対応の強化

人材は「人的資本」であり、企業価値創出の中核は人的資本にあります。企業価値向上を実現する人材戦略を経営戦略と連動して推進します。

 

(2)経営戦略等

当企業グループは、持続的な成長や中長期的な企業価値の創出を実現するため、経営理念に則った長期ビジョンや中長期の経営方針・経営戦略を策定し、計画で定めた成長目標の実現に向けて、グループ全体で取り組んでまいります。

当企業グループでは、このたび“2030年のありたい姿”として新たな長期ビジョン「OILES 2030 VISION」を策定いたしました。当企業グループのコア技術である摩擦・摩耗・振動の技術「トライボロジー&ダンピング」によって社会課題の解決と企業価値向上をはかるとともに、さらに「新技術・新規事業創出」と「経営基盤の高度化」による「+X」でサステナブルな社会の実現に貢献します。

OILES 2030 VISION

『サステナブルな社会の実現を、摩擦・摩耗・振動の技術+Xで貢献する』

この新たな長期ビジョンに基づき、2030年のありたい姿に向かう3年間として2024年度を起点とする新たな“中期経営計画2024-2026”を策定いたしました。当中期経営計画においては、事業部門はオイレスグループの事業成長を牽引するための積極的な設備投資を実施するとともに、本社組織はその成長の支えとなる社内基盤や経営インフラを高度化し、事業部門と本社組織の両輪で「変革」と「進化」へ取り組んでまいります。

中期経営計画2024-2026では以下の方針を掲げ成長戦略と経営基盤の高度化の実現に向け挑戦をし続けます。

中期経営方針2024-2026

1.次世代の飛躍成長を実現するために成長市場へ経営資源を全力投球

2.業務改革と生産技術の追求によって全部門が生産性を向上する

3.すべてのステークホルダーに貢献する企業価値向上

4.資本効率性を意識した財務運営

 

事業ごとの中期戦略等は以下のとおりです。

(軸受機器)

成長の柱である軸受機器事業では成長市場へ経営資源を積極的に投資し、2030年度の飛躍成長を確固たるものにします。一般産業向けでは半導体製造装置等の成長性の高い分野への注力に加え、再生可能エネルギー市場への戦略製品の投入、積極展開をおこないます。自動車向けではEVの普及や自動運転化に対応した製品開発と積極投資をおこない、新規案件の獲得を目指します。

(構造機器)

構造機器事業では、増加するインフラリニューアル、及び都市再開発や都市型データセンターへ採用される大型製品のシェア拡大をはかります。また免震製品の販売強化及び性能評価能力の増強のため大型性能試験機を導入し、厳格化する検査基準に対応するとともに信頼される製品を提供し続けます。

(建築機器)

建築機器事業は、建築物の長寿命化要求の高まりとともに拡大するリニューアル市場、リフォーム市場へ重点をシフトし、社会へ安心・安全・快適、省エネを提供します。

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当企業グループは、売上高営業利益率と自己資本当期純利益率(ROE)を経営指標として重視します。売上高営業利益率は事業の利益水準を明確化するため、ROEは資本収益性を意識した経営を実践するため、重要な経営指標としております。

なお、この両指標を高めることで、企業価値向上が図れるものと考え、売上高営業利益率は15%以上、自己資本当期純利益率は10%以上を目指しております。当連結会計年度における売上高営業利益率は10.6%であり、自己資本当期純利益率は7.6%でした。引き続きこれらの目標が達成されるように取り組んでまいります。

(4)経営環境と優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

成長戦略を支え企業の持続的成長を支えるには事業部門の成長に加え、非財務資本のさらなる進化が重要との認識のもと、経営基盤の高度化を重点課題としております。特に、人的資本への取り組みとしては、従業員エンゲージメントが高まるよう人材育成やダイバーシティの推進、ワークライフバランス、健康経営の推進等に積極的に取り組んでおり、こうした取り組みの結果、2023年6月には子育てサポート企業の証である「くるみん認定企業」の認定、2024年1月には女性活躍推進度を表す「えるぼし認定」を取得しました。

サステナビリティ課題への取り組みでは、当企業グループは2030年度までにCO2総排出量を2013年度比46%削減という目標を2021年に定め、これに続いて2023年度からは当企業グループ全体で「2050年カーボン・ニュートラル」の実現を目標とし、環境に対する取り組みを推進しております(CO2総排出量の対象はScope1及びScope2)。自社設備によるCO2排出量削減の取り組みに加えて、環境負荷低減を実現する製品や技術を社会に提供するという本業での環境対応についても、バイオマスプラスチック軸受の製品化や、電気自動車、再生可能エネルギー、水素エネルギー分野などに向けた取り組みを強化しています。当社の技術や製品が地球環境に貢献できる可能性は高いと考え、技術・製品開発を進めております。

経営理念に基づきOILES 2030 VISIONへ向けた「変革」と「進化」への強い決意のもと、持続的な企業価値向上を目指します。持続的な成長シナリオの実行や資本効率性を改善することで株式市場の評価をより高めることにつなげたいと考えており、事業戦略で収受するキャッシュ・フローについては、成長に向けた積極投資と株主還元をバランスよく実施してまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当企業グループのサステナビリティに関する考え方および取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当企業グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティ共通

当企業グループは、サステナビリティ(ESG要素を含む中長期的な持続可能性)が企業価値の向上に向けた重

要な経営課題であるという認識のもと、取り組みの強化を進めております。経営理念「オイルレスベアリングの総

合メーカーとして世界のリーダーとなり、技術で社会に貢献する」にのっとり、サステナビリティ推進は社会の持

続可能な発展に寄与すると同時に、当企業グループの新たな企業価値の創造と発展を実現するための基盤になると

いう考えのもと、当企業グループは、サステナビリティ推進は企業行動の主軸であると位置付けております。

そして、長期ビジョンや当企業グループの企業行動憲章に基づく誠実かつ公正な事業活動を通じて、1.「ガバ

ナンスの強化」2.「消費者課題への対応」3.「環境保全」4.「人権の尊重と適正な労働慣行」5.「公平・公正

な取引」6.「地域社会との共生」という6つのESG重点項目を実践することで、サステナビリティ課題に対す

る企業としての責任を果たしてまいります。

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①ガバナンス

当社では、代表取締役社長を議長として全取締役が出席するサステナビリティ推進会議を年2回開催し、環境対応やダイバーシティなどのサステナビリティ課題に関する取り組み方針や対応状況について、経営層が協議をおこなっております。サステナビリティ推進会議の傘下には、サステナビリティ担当役員を委員長とするサステナビリティ委

員会を設置しております。サステナビリティ委員会では、当企業グループのサステナビリティ重点課題の推進やPDCAサイクルの中で抽出された課題の議論をおこなっており、重要な事項については、サステナビリティ推進会議に報告する運営になっております。

また、サステナビリティ課題ごとに構成した8つの推進部会をサステナビリティ委員会の傘下に置き、各課題の解決に向けて取り組んでおります。(2024年3月31日現在)

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※「リスク管理部会」は、2024年4月1日付で取締役会の諮問機関として「リスク管理委員会」に再編しております。

 

②リスク管理

当企業グループは、「グループリスク管理規程」に基づき、当社及び子会社に影響を及ぼす可能性のある様々なリ

スクを洗い出して一元的に把握し、予防するとともに、リスクが発生した場合には迅速かつ的確に対応することに

よって被害の発生を最小限に食い止め、再発を防止し、グループの企業価値の保全を図ります。サステナビリティ推

進委員会傘下の推進部会である「リスク管理部会」(部会長:法務部長)を通じて情報の集約と管理の強化を図り、

リスクの発生頻度や影響の低減を図っています。部会は原則として半期に1回開催し、該当する期間中に発生したリ

スクについて討議することで、リスクの内容、発生可能性、当企業グループへの影響などを診断し、リスク回避に努

めております。(2024年3月31日現在)

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※リスクが多様化している状況を踏まえ、2024年4月1日付で取締役会の諮問機関として「リスク管理委員会」に

再編し、運営事務局は法務部に加え経営企画部が共同する体制に変更しております。

 

気候変動問題に関するリスクについては、事務局的な組織として、サステナビリティ委員会傘下に品質環境安全部

長を部会長とする「環境部会」を設置しており、リスクや機会を踏まえて、CO₂排出量削減を中心とする気候変動

問題への対応を進めており、また、気候変動が引き起こす物理的リスクである水害リスクについては、その発生可能

性は低いものの、サステナビリティ委員会傘下であり総務部長を部会長とする「BCP/BCM部会」においてフォ

ローをおこなっております。

 

③戦略

当企業グループは、新たな企業価値の創造と発展を実現するためには、非財務資本(人的資本・知的資本・自然資

本など)のさらなる進化を土台とした企業としての持続的成長を図ることが重要であるとの認識のもと、「持続的成

長に向けた重要課題(マテリアリティ)」を特定いたしました。

これらマテリアリティへの取り組みの強化を通して、SDGsをはじめとする社会課題の解決に貢献し、当企業グ

ループの持続的な成長(企業価値向上)を実現してまいります。

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(2)気候変動

当企業グループは、気候関連リスクおよび機会が経営上の重要課題であるという認識のもと、2019年7月に国連の推奨する「国連グローバル・コンパクト(UNGC)」の趣旨に賛同し署名いたしました。また、2023年9月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD。現在、ISSBが承継)への賛同を表明いたしました。TCFD提言に沿った情報開示を進め、ステークホルダーの皆さまとの信頼関係の強化に繋げてまいります。

 

①戦略

気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言を踏まえ、気候変動がもたらす「リスク」と「機会」を特定しております。移行リスクについては2℃シナリオ、物理的リスクについては4℃シナリオを用いて分析しております。気候変動がもたらす「リスク」と「機会」の詳細は、「オイレス工業株式会社 統合報告書2023」33~34ページ、及び「TCFD提言に基づいた情報開示」(2023年10月13日開示資料)において記載しております。

 

②指標及び目標

2050年カーボン・ニュートラルの実現を目指し、当企業グループは2021年に見直しをおこなった環境目標を2023年にあらためて見直しました。目標達成を2段階に分け、第1ステップは、従来からの目標である2030年度までにCO₂総排出量を2013年度比46%削減(対象は国内生産拠点の自社排出量(Scope1及びScope2))するとし、第2ステップとして、当企業グループ全体で2050年カーボン・ニュートラルの実現を目指します。

 

環境目標 (対象はScope1およびScope2)

第1ステップ : 2030年度までにCO₂総排出量を2013年度比46%削減

第2ステップ : グループ全体で「2050年カーボン・ニュートラル」を実現

 

2023年度の当社単体のCO₂総排出量は、省エネ投資および再生可能エネルギー調達により前年度比約3割削減となる見込みであり、今後は国内外子会社のCO₂総排出量の削減も推進していく計画です。

CO₂総排出量の実績については、当社ウェブサイトのESGデータに記載しております。当該サイトは2024年10月に更新予定です。

 

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(3)人的資本(人材の多様性を含む)

人的資本は価値創造と企業価値向上の源泉であるという認識のもと、当企業グループは、人材(人的資本)への取り組みを企業価値の持続的向上に向けた重要な経営課題と位置付け、人権尊重、ダイバーシティの推進、人材育成、適正な労働慣行や健康経営の推進など、全ての従業員の成長を実現する投資をおこない、人材に関する環境整備を図っております。

 

①戦略

当企業グループの「人事基本方針」では「人材育成」と「社内環境整備」についてそれぞれ次のとおり方針を定めております。

「人事基本方針」

オイレスグループは「従業員は会社の大切な財産である」と考え、すべての従業員の人権を尊重するとともに、

オイレス工業の社是のもと、従業員の多様な能力や個性を充分に発揮できるよう成長を支援します。また、日々

変化する社会情勢から従業員の安全と健康を守り、柔軟かつ効率的な働き方を実現できるよう、職場環境を整備

します。

「人材育成」

オイレスグループは、すべての従業員に次のことを求めるとともに、その実現に向けた成長を促します。

・人権と多様性を尊重し、グローバルに活躍すること

・高い専門性を発揮し、創造と革新に情熱を持って挑戦し続けること

・自律的に行動し付加価値を生み出し、社会に貢献すること

人権の尊重

個人の人権を尊重し、人種、皮膚の色、性別、言語、宗教、政治上その他の意見、国籍またはその有無、財産、地位等による不当な差別を一切おこないません。また、いかなる時も機会の均等を図るとともに、あらゆるハラスメントの防止に努めます。

多様性の尊重

多様な背景を持つ人材一人ひとりがそれぞれの能力・個性を十分に発揮できるよう、誰もが働きがいを感じられる企業風土づくりを進めます。

人材育成

一人ひとりの資質・個性を活かした能力開発を積極的におこない、組織的な人材育成・活用・評価・処遇により、従業員それぞれが持つ能力を最大限に引き出すよう努めます。

「社内環境整備」

オイレスグループは、すべての従業員の安全と健康を守り、多様な働き方を受け入れられるよう、職場環境の整

備に努めます。

安全で健康な職場づくり

すべての従業員の安全と健康を守るため、安心・安全・快適な職場環境の実現を目標に掲げ、労働安全衛生管理システムを活用し、全員参加による安全第一の社風づくりに取り組みます。また、すべての従業員が心身ともに健康で働き続けることができるよう産業保健体制を構築し、従業員の健康維持・向上に努めます。

ワーク・ライフ・バランス

すべての従業員が仕事とプライベートの両立を実現でき、いきいきと暮らせる環境をつくるため、出産・育児・介護をはじめとしたライフイベントに備えた両立支援制度を充実させるとともに、柔軟で効率的な働き方を実現できるよう、就業支援制度を整備します。

 

(a)教育研修制度

従業員のスキルアップはもとより、各人の自発的なキャリアデザインを支援するべく、マネジメント研修、職能教育、国際化教育、自己啓発、ライフプランに関する研修など、キャリアや年齢層に応じた多彩な研修制度を整備しています。また、管理職候補者の総合研修の場として「オイレススクール」を設けるなど、将来の幹部候補者の選抜教育も併せて実施しています。

 

(b)ダイバーシティ&インクルージョンの推進

ダイバーシティの推進を重要な経営課題の一つとして位置付けており、多様な背景を持つ人材が能力・個性を十分に発揮できるよう、働きやすい企業風土や職場環境づくりを進めています。女性従業員の絶対数が少ないことを最大の課題と捉え、新卒採用の女性比率目標を30%以上と設定し、地道に取り組むと共に、キャリアアップを前向きに捉えられるよう、環境整備も並行して実施しております。

これらの取り組みが評価され、2024年1月、女性活躍推進法に基づく優良企業「えるぼし」二段階目に認定されました。

また、障がい者雇用においては、障がい者の方に働いていただける環境の拡大を図ると共に、本社、工場のある地域にて社会貢献として積極的に取り組んでおります。

 

 

 

2019年度

2020年度

2021年度

2022年度

2023年度

女性従業員

(正規雇用)

女性従業員比率

連結

25.6

24.7

24.8

24.6

25.2

単体

11.5

11.4

11.6

13.1

14.3

女性管理職人数

連結

17

15

17

18

21

単体

1

1

3

4

4

女性管理職比率

連結

5.5

5.0

5.6

6.1

7.4

単体

0.7

0.7

1.9

2.7

2.7

障がい者雇用率

単体

2.2

2.1

2.1

2.1

2.3

 

(c)働き方改革(ワーク・ライフ・バランス)

妊娠・出産、育児、介護などの多様なライフイベントと業務の両立を支援する制度や各種休暇制度、年間休日127日の維持、特別休暇の拡大をはじめ、有給休暇を取得しやすく、時差出勤やテレワークによる柔軟な働き方の整備も並行して進めております。

これらの取り組みが評価され、2023年6月、当社は、仕事と子育ての両立支援に積極的に取り組んでいる企業「くるみん」事業者として認定されました。

 

 

 

2019年度

2020年度

2021年度

2022年度

2023年度

育児休業・短時間勤務取得状況

育児休業取得者数(名)

男性

0

11

17

15

13

女性

3

5

5

2

5

育児短時間勤務取得者数(名)

男性

1

0

1

0

1

女性

10

9

9

10

12

平均年間総労働時間    (時間)

1,777.4

1,758.6

1,750.6

1,733.1

1,723.5

有給休暇平均取得日数    (日)

14.9

15.2

15.6

15.9

15.9

有給休暇平均取得率     (%)

73.1

78.7

80.4

83.2

84.5

月時間外労働平均時間   (時間)

8.3

6.1

7.5

7.2

6.0

 

(d)健康経営の推進

当社は従業員が生き生きと働くことができる基盤づくりとして、安全衛生委員会と人権・労働慣行部会が一丸となり、働き方改革、メンタルヘルス対策、健康保持・増進活動を通じて健康経営を推進に取り組んでおります。2020年11月には人事部に「健康経営推進チーム」を発足し、健康推進体制を強化、健康経営戦略マップに基づき取り組み事項を安全衛生活動計画に組み込み、全拠点で推進できる体制を整えております。

健康経営で解決したい経営課題を把握し、期待する効果に関する具体的な取り組みのつながりを視覚化し、計画的に推進しております。これらの取り組みにより、昨年に引き続き2024年度(2023年申請)も健康経営優良法人に認定されております。

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2022年度

2023年度

二次検査受診率

60.0%

55.0%

要医療者への保健師面談実施率

100.0%

100.0%

健康に関する研修受講率

72.5%

96.0%

ストレスチェック受検率

91.0%

94.3%

メンタルヘルス研修参加率

69.5%

94.5%

新入社員との保健師面談実施率

100.0%

100.0%

喫煙率

30.1%

29.8%

飲酒率

17.1%

18.1%

アブセンティーズム

1.99

1.94

ワークエンゲージメント

2.31

2.66

 

②指標及び目標

人的資本に関しては、社内の多様性(ダイバーシティ)の確保に向けた目標として、女性・外国人従業員・中途採用者の管理職への登用等に関する目標設定をおこなっております。目標や実績の詳細は、「オイレス工業株式会社 統合報告書2023」の40~41ページ及び本有価証券報告書の「第1 企業の概況 5 従業員の状況」に記載をしております。

女性比率の目標値

 

 

2025年度

2030年度

新卒採用の女性比率

単体

30%程度

女性管理職比率

単体

3%程度

5%以上

女性管理職比率

連結

-

10程度

 

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当企業グループが判断したものであります。

(1)経済・金融市場動向に関するリスク

①景気後退による需要減少のリスク

当企業グループの製品は、自動車をはじめ各種産業機械や建築・建設物等に多く採用されております。世界や我が国の景気後退や経済成長の減速という事態が発生した場合、製品需要すなわちこれらの生産台数や着工件数が減少し、当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

②原材料の価格上昇及び調達リスク

当企業グループ製品の主要材料である鋼材、銅合金、樹脂系原料等は、需給バランス、為替レート変動等に伴い市場価格が変動することがあり、また一部調達先が限定されるものもあります。

昨今、世界的な原材料費高騰のリスクの顕在化に加え、潜在的には経済安全保障にかかる材料調達リスクがあります。当企業グループは、原材料価格の市場変動及び原材料調達リスクに柔軟に対応するべくサプライチェーンを見直し、生産の合理化、高品質な原材料をタイムリーかつ必要数を入手するための調達先の分散化の検討、代替材料の選定等による原価低減施策を講じております。これに加え、競合他社の価格動向に注視しつつ販売価格へ適切に反映することにより影響の軽減を図っておりますが、予測を超えて市場価格に急激な変化が生じた場合、当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

③為替レートの変動リスク

当企業グループは外貨建取引から発生する為替変動により影響を受ける可能性があります。また、連結財務諸表作成にあたって在外子会社の外貨建財務諸表を円換算いたしますが、在外子会社の外貨項目の価値が変動しない場合でも、為替相場の変動により当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を受ける可能性があります。

なお、個別の外貨建取引においては、原材料の現地調達化を図ることや、通貨スワップ契約によるリスクヘッジ等により、為替レート変動の影響を抑制するように努めておりますが、予測を超える変動が生じた場合、当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

④国際税務リスク

当企業グループはグローバルに製造・販売拠点を有しており、在外子会社とも相互に取引を行っております。取引については適切な価格で行っておりますが、当該国の税制の改廃や税務当局との見解の相違等により、予期せぬ税負担が生じた場合、当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を受ける可能性があります。

なお、当企業グループは、各国の租税法制に準拠して納税しており、国際税務に関しては、専門家の助言を受けながら適切な租税管理に努めております。

 

(2)事業戦略及び戦略に関わる外部環境に関するリスク

①海外事業展開に伴うリスク

当企業グループは、自動車メーカーの海外進出に合わせ現地生産体制を強化してきており、北米、欧州、アジアに製造・販売拠点を有しております。その結果、海外向けの売上高は連結売上高の36.0%を占めておりますが、当企業グループの製品を製造・販売している各国の景気後退やそれに伴う製品需要の縮小、あるいは海外各国における政治・社会・経済体制の変動により、影響を受ける可能性があります。

特に、近年のウクライナあるいは中東地域での紛争などのような地政学的リスクについてはその影響の大きさから重要なリスクとして認識しており、当企業グループは、経営企画部と在外子会社を所管する事業部が連携し、在外子会社との緊密な情報交換及び継続的モニタリング、各国の動向把握・分析によりリスクの極小化を図ります。

しかしながら、当企業グループの製品を製造・販売している各国の景気あるいは政治・社会・経済体制に予想を超える急激な変動が生じた場合、当企業グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

②特定業種(自動車産業向け)への高依存度リスク

当企業グループにおける自動車関連売上高は全体の47.1%を占めております。これまで、製品の優位性、新規用途での採用拡大及び、グローバル展開等により比較的安定的な業績を確保してまいりましたが、自動車産業そのものを変革するCASE(Connected(コネクティッド)、Autonomous/Automated(自動化)、Shared(シェアリング)、Electric(電動化))、カーメーカー以外の事業者による参入、産業構造変化に伴う構成部品の変動に加え、自動車市場の需要動向に大きな変化が起こった場合は、業績に影響を及ぼす可能性があります。

当企業グループでは、CASEをはじめとした自動車産業の将来を見据え新規開発を進めておりますが、今後はさらにその先を目指して技術領域を拡大し、開発速度を加速することで、変革に対応してまいります。

 

③価格競争リスク

当企業グループの主力販売先であります自動車業界をはじめとして、すべての業界におきましてグローバルで競争が激しく、また、原材料価格高騰の影響もあり、これまで以上に厳しい状況にあります。当企業グループは、技術的優位性のある高品質製品の開発、顧客が抱える課題を共に解決する提案型技術営業の充実による付加価値の提供、製品ラインナップの充実等により、顧客満足を獲得してまいります。

しかしながら、今後新興国メーカー等の台頭による低価格品の伸長に起因して値下げ要求が続きますと業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④知的財産権リスク

当企業グループは、持続的成長に向けた重要課題(マテリアリティ)の一つとして「社会課題の解決に資する先進的な製品・技術の開発・提供」を掲げており、「摩擦」「摩耗」「潤滑」にかかわるトライボロジー技術と、ダンピング(振動制御)技術の二つのコア技術の研究開発活動を通じ、国内外において特許権、商標権及びその他の知的財産権を出願しております。これらは事業活動を優位に運ぶための参入障壁となる一方、特許等の権利満了に伴い他社が参入してくるリスクも内在しております。当企業グループは、技術開発又は製品開発により周辺特許も含めた新たな特許等を取得し、他社の参入を排除していきますが、売上高に占める割合が高い製品について他社の参入を許した場合は、当企業グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、当企業グループが第三者の知的財産権を侵害したとして第三者から訴えられた場合、係争費用のみならず、損害賠償の支払や製造販売の差し止めが発生するおそれがあり、その結果、市場そのものを失う場合には、当企業グループの事業展開、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

これらのリスクに備え、当企業グループでは、製品開発段階から知的財産管理規程に従い第三者の知的財産権の侵害可能性、新たな発明等の権利化の可能性等について十分な調査・検討を行っております。また、ノウハウについては秘密情報管理規程に基づいた適切な保護、管理を徹底しております。

 

⑤公共投資縮減のリスク

当企業グループにおける構造機器事業の売上高は、全体の19.3%となっております。当事業に係る売上は、我が国の公共投資事業の予算額等に影響を受ける可能性があります。

当企業グループは、事業収益性の改善、事業規模に見合った人員数への見直し、コスト構造の改善等により公共投資額の影響を受けにくい体制への強化、橋梁・建築に加え、新たに柱となる市場の創出を目指し、製品開発に取り組んでおります。

 

(3)業務運営に関するリスク

①品質不適合発生によるリスク

当企業グループの製品は、高精度・省力化を必要とする多くの機械・産業分野や最終製品で使用され、自動車の他、鉄道車両、水車・水門、橋梁等の社会基盤分野や様々なビルの免震・制震装置、一般住宅にも幅広く採用されております。

当企業グループは、あらゆる顧客・市場の要求に適合する品質保証体制とするために国内外各社の事業において、国際品質マネジメント規格(ISO9001又はIATF16949)を取得しています。さらに、当企業グループの顧客が要求する固有の品質基準等に対応する管理を徹底しております。

製品開発においては、初期段階から研究開発・生産技術・製造・営業などの部署がそれぞれの視点から品質課題を抽出し、過去の社内外の品質トラブル情報なども活用して解決するという手法を取り入れており、新製品として発売するまでの段階においても、製品設計・工程設計のデザインレビューにより品質面の検証をおこないリスクの極小化を図っております。

しかしながら、製品に未知の重大な欠陥が存在し、当該欠陥に起因する事故、リコール及び顧客の生産停止等の事態が発生した場合、当企業グループの社会的信用の低下等につながり、また、補償により多額の支出が生じた場合には、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

なお、当企業グループはグローバルな製造物責任保険に加入しておりますが、損害賠償等の損失を十分にカバー出来るとは限りません。

 

 

②環境リスク

当企業グループは、持続的成長に向けた重要課題(マテリアリティ)の一つとして「環境対応」を掲げており、「オイレスグループ環境方針」を定め、地球環境保全に向けて環境負荷の低減と水環境の配慮に努めております。また、当企業グループでは、地球温暖化、水質汚濁、産業廃棄物、有害物質、土壌汚染等に関する環境法令及びその他の要求事項を遵守するため、ISO14001に沿った環境マネジメントシステムを構築し推進しております。

しかしながら、想定外の事態が発生した場合には、何らかの法的若しくは社会的責任を負う事態が生じるおそれがあります。その場合、対応費用の発生及び当企業グループの社会的信用の低下を招く可能性があります。

加えて、気候変動問題については、2020年の政府宣言にもあるとおり、「2050年カーボンニュートラル」が世界的潮流となっております。地球温暖化に起因する災害発生により当企業グループの事業に被害が生じるリスクがあることに加え、脱炭素社会の実現に向けて世界が進む中では、企業としての環境対応の取組みが不十分である場合、顧客からの信頼を失い、顧客のサプライチェーンから当企業グループが排除される可能性があります。また、ESG対応を重視する株主・投資家等からの信頼を失う可能性もあります。

かかる認識のもと、当企業グループでは、製品や技術という本業で環境負荷低減に貢献することはもちろんのこと、CO₂排出量削減など当企業グループ各社での環境対応も継続して推進してまいります。CO₂排出量削減については、2030年度までにCO₂総排出量を2013年度比46%削減するという環境目標を定めております。なお、前述の環境目標に続くものとして、当企業グループ全体で「2050年カーボン・ニュートラル」を実現することを2023年度からの環境目標として設定しております(CO₂総排出量の対象は、Scope1及びScope2)。

 

③労務・人材リスク

当企業グループは、人材への取り組みが中長期的な企業価値の向上に向けた重要な経営課題(マテリアリティ)であるという認識のもと、人権尊重、ダイバーシティの推進、人材育成、適正な労働慣行の実現など、全ての従業員の成長を支援し、働きやすい職場環境の実現を推進しています。

しかしながら、生産年齢人口の減少に加え、労働市場環境により優秀な人材が確保できない場合、人材不足により技能が適切に伝承されない場合、有能な人材が流出する場合、また人的資本投資及びその効果が十分でなかった場合には、新規技術開発が停滞するなど企業成長が抑制され、当企業グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

このような状況の下、当企業グループは、経営、技術開発、製造、営業その他の機能において優秀な人材の確保に努めており、人材獲得のために新卒採用や経験者の通年採用を積極的に展開しております。そして、必要な人材を採用し、長く勤めてもらうための環境を整備し、技術等の継承のため「育てて」「任せる」後継者育成・指導を計画的に行い、そのための投資も積極的に進めております。

 

④情報セキュリティリスク

当企業グループは、研究開発、生産、販売等に関する機密情報に加え、お客様や従業員の個人情報を保有しております。これらの情報管理につきましては各種情報の取扱規程による情報管理、社員教育等を実施し、また、情報セキュリティに関する国際規格ISO27001:2013を取得して情報セキュリティシステムの安定的運用に努めております。

これらの機密情報、個人情報の漏洩によるリスクのほか、サイバー攻撃などによる不正アクセス、自然災害、事故、コンピューターウイルスその他の要因により情報システムに重大な障害が発生した場合、当企業グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性がありますが、これらの影響を極小化するために、当企業グループでは、ネットワークの冗長化、重要データのバックアップと複数のデータセンターによる保管等により、システムの復旧が容易になされる体制を構築しております。

 

(4)法的手続・災害等のイベント性のリスク

①法的リスク

国内、海外を問わず、独禁法、安全保障貿易管理、贈収賄等、当企業グループの事業に関連する法令・規制は多岐にわたっています。

これらの法令等へのコンプライアンスの徹底が十分でなく適用法令等の違反が発生した場合、あるいは過去に行った事業活動に対して法令違反を問われることがあった場合には、処罰、処分その他の制裁、あるいは社会的信用やイメージの毀損により当企業グループの業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

当企業グループでは、「オイレスグループ企業行動憲章」「オイレスグループ企業行動規範」及び「オイレスグループコンプライアンス実行の手引き」に加え、役員及び従業員に対する各種研修等を通じ、これらの法令等へのコンプライアンスの徹底を図っております。

 

②災害・感染症・テロ等の事業継続に影響を及ぼす事象のリスク

当企業グループは、日本国内はもとより、米州、欧州、アジアに製造・販売拠点を有しておりますが、これらの事業拠点において、大規模地震・水害・火災等の災害、感染症の世界的蔓延(パンデミック)、企業に対するテロ攻撃、紛争による政情不安が発生した場合には、原材料調達への影響、あるいは生産設備や人的資源等の経営資源に被害が生じ、サプライチェーンが寸断され製品の供給停止が起きることで、当企業グループの事業継続に大きな障害を与えることがあります。こうしたリスク事象の発生頻度は高くはありませんが、万一事象が発生した場合には、当企業グループの経営成績と財政状態に大きな影響を及ぼすことになります。

かかるリスク事象に対して、当企業グループは、大規模地震等の不測の事態が発生した場合の対策として事業継続計画(BCP)を策定して、有事の際の行動計画にしたがって災害から早期に復旧し製品を安定して供給するべく、減災あるいは調達先の分散化の検討、代替材料の選定など事前対策等を進めております。また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染症法上の位置付けが5類感染症に移行いたしましたが、今後も従業員の健康と安全の確保と感染再拡大による事業継続への影響を考慮し、感染防止等に向けた対策を継続いたします。

なお、自然災害等に因る被害については、保険により補償される部分もありますが、その全てが補償される訳ではありません。テロ対策も含めて重要な経営課題として対応には万全を期してまいりますが、リスクを完全に回避することは困難であります。

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当企業グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における当企業グループを取り巻く経済環境は、半導体供給不足が収束に向かうとともに国内外で自動車生産が回復する一方、中国経済の減速や世界的な物価上昇、欧米各国の金融引き締めに伴う景気後退の懸念、さらにはウクライナ情勢の長期化と中東情勢の悪化等により先行き不透明な状況が続きました。このような環境にあって、当企業グループは2021年度を起点とする中期経営計画(2021年度~2023年度)の最終年度にあり、計画で定めた目標実現に向けグループ一丸となって取り組んでまいりました。

この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

(a)財政状態

当連結会計年度末の資産合計は前連結会計年度末に比べ8,084百万円増加し、95,075百万円となりました。

当連結会計年度末の負債合計は前連結会計年度末に比べ2,773百万円増加し、20,175百万円となりました。

当連結会計年度末の純資産合計は前連結会計年度末に比べ5,310百万円増加し、74,900百万円となりました。

(b)経営成績

当連結会計年度の経営成績は、売上高は68,765百万円(前期比9.4%増)、営業利益は7,291百万円(前期比44.2%増)、経常利益は7,791百万円(前期比36.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は5,476百万円(前期比32.5%増)となりました。

セグメントの実績は次のとおりであります。

一般軸受機器セグメントの売上高は14,158百万円(前期比2.0%減)、セグメント利益は999百万円(前期比11.9%減)となりました。

自動車軸受機器セグメントの売上高は32,374百万円(前期比10.0%増)、セグメント利益は2,540百万円(前期比35.6%増)となりました。

構造機器セグメントの売上高は13,283百万円(前期比16.8%増)、セグメント利益は3,097百万円(前期比104.8%増)となりました。

建築機器セグメントの売上高は6,389百万円(前期比4.2%増)、セグメント利益は554百万円(前期比13.7%増)となりました。

なお、地域に関する情報のうち顧客の所在地を基礎とした売上高は、日本向けが43,978百万円(連結売上高に占める割合は64.0%)、北米向けが6,134百万円(同8.9%)、欧州向けが3,819百万円(同5.6%)、アジア向けが14,314百万円(同20.8%)、その他の地域向けが517百万円(同0.8%)となり、海外向けの合計は前期の22,682百万円(同36.1%)より9.3%増加し、24,786百万円(同36.0%)となりました。

②キャッシュ・フローの状況

(単位:百万円)

 

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

営業活動によるキャッシュ・フロー

7,987

7,196

△791

投資活動によるキャッシュ・フロー

△2,200

△1,172

1,027

財務活動によるキャッシュ・フロー

△4,071

△4,312

△241

現金及び現金同等物の期末残高

22,597

24,891

2,293

 

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ2,293百万円増加し、24,891百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は、前連結会計年度に比べ791百万円減少し7,196百万円となりました。主な内訳は、税金等調整前当期純利益7,991百万円、減価償却費3,364百万円、売上債権の増加額4,385百万円、仕入債務の増加額1,136百万円、法人税等の支払額1,421百万円などであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果支出した資金は、前連結会計年度に比べ1,027百万円減少し1,172百万円となりました。主な内訳は、有形固定資産の取得による支出1,982百万円、定期預金の払戻による収入1,116百万円などであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果支出した資金は、前連結会計年度に比べ241百万円増加し4,312百万円となりました。主な内訳は、配当金の支払額1,964百万円、長期借入金の返済による支出1,373百万円、自己株式の取得による支出1,002百万円などであります。

③生産、受注及び販売の実績

(a)生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高

(百万円)

前年同期比(%)

一般軸受機器

13,982

96.3%

自動車軸受機器

32,330

107.2%

構造機器

13,263

117.9%

建築機器

6,343

102.5%

報告セグメント計

65,920

106.1%

その他

2,593

160.6%

合計

68,513

107.5%

(注)金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

(b)受注実績

当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高

(百万円)

前年同期比

(%)

受注残高

(百万円)

前年同期比

(%)

一般軸受機器

14,180

98.3

2,197

101.0

自動車軸受機器

32,812

112.3

1,322

149.6

構造機器

11,030

73.0

10,395

82.2

建築機器

6,670

107.8

1,181

131.2

報告セグメント計

64,694

99.7

15,096

90.9

その他

1,626

67.2

439

32.1

合計

66,320

98.5

15,536

86.4

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.金額は販売価格によっております。

(c)販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高

(百万円)

前年同期比(%)

一般軸受機器

14,158

98.0

自動車軸受機器

32,374

110.0

構造機器

13,283

116.8

建築機器

6,389

104.2

報告セグメント計

66,206

107.8

その他

2,558

171.5

合計

68,765

109.4

(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当企業グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(a)財政状態

(資産合計)

当連結会計年度末の資産合計は前連結会計年度末に比べ8,084百万円増加し、95,075百万円となりました。その主な要因は次のとおりであります。

流動資産は、現金及び預金1,920百万円の増加、受取手形及び売掛金4,743百万円の増加、商品及び製品305百万円の減少、仕掛品284百万円の増加などにより、合計で6,817百万円の増加となりました。

固定資産は、有形固定資産702百万円の減少、投資有価証券1,812百万円の増加などにより、合計で1,266百万円の増加となりました。

(負債合計)

当連結会計年度末の負債合計は前連結会計年度末に比べ2,773百万円増加し、20,175百万円となりました。その主な要因は次のとおりであります。

流動負債は、支払手形及び買掛金1,299百万円の増加、未払法人税等1,191百万円の増加、未払消費税等315百万円の増加などにより、合計で3,445百万円の増加となりました。

固定負債は、長期借入金1,373百万円の減少、繰延税金負債502百万円の増加などにより、合計で672百万円の減少となりました。

(純資産合計)

当連結会計年度末の純資産合計は前連結会計年度末に比べ5,310百万円増加し、74,900百万円となりました。これは利益剰余金1,742百万円の増加、その他有価証券評価差額金1,390百万円の増加、為替換算調整勘定1,175百万円の増加などによるものであります。

 

(b)経営成績

構造機器事業の業績の大幅な伸びもあり、売上高は前連結会計年度に比べ9.4%増加し68,765百万円、営業利益は前連結会計年度に比べ44.2%増加し7,291百万円となりました。

親会社株主に帰属する当期純利益は、上記のほか、法人税等合計の2,466百万円などにより5,476百万円となりました。

セグメントごとの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。

なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較分析しております。

(一般軸受機器)

再生可能エネルギーや鉄道、建設機械向け軸受は堅調に推移したものの、中国経済の減速が中国市場、国内市場ともに一般産業機械の需要低迷に大きく影響し、セグメント全体の売上、利益は前年同期を下回りました。

この結果、一般軸受機器の売上高は14,158百万円(前期比2.0%減)、セグメント利益は999百万円(前期比11.9%減)となりました。

今後については、成長性の高い半導体市場に関連した製造装置や工作機械向けの需要に加え、再生可能エネルギーや建設機械向け等が一般軸受機器事業全体を下支えすると見込んでおります。

(自動車軸受機器)

半導体供給不足の収束によりグローバルな自動車生産台数が持ち直したことで、国内及び北米、欧州を中心とした軸受需要が回復し、加えてアジア地域での新規案件の立ち上がり等がセグメント全体の売上、利益を押し上げました。

この結果、自動車軸受機器の売上高は32,374百万円(前期比10.0%増)、セグメント利益は2,540百万円(前期比35.6%増)となりました。

今後については、自動車生産台数は横ばいで推移すると見込むものの、電気自動車向けを含む新規案件の獲得を計画しております。

(構造機器)

建築向け製品は、ロジスティクスセンターや都市再開発物件が堅調でした。橋梁向け製品は、好調な高速道路や改修工事向けに加え、大型物件が複数計上されました。第4四半期に大型プロジェクト向け製品等の完工、製造コストの削減効果、翌期想定物件の前倒し完工等があり、売上、利益を大きく押し上げました。

この結果、構造機器の売上高は13,283百万円(前期比16.8%増)、セグメント利益は3,097百万円(前期比104.8%増)となり構造機器セグメントの過去最高の業績となりました。

今後については、橋梁向けにおいては2024年3月期計上のような大型物件完工の国内市況における端境期の影響を受けますが、建築向けにおいては継続して都市再開発物件向け等の需要が堅調に推移すると見込んでおります。

(建築機器)

ビル向け製品はウィンドウオペレーターが都市部をはじめとした新築向けの需要が好調であったことに加え、ビルリニューアル向け、及び住宅向け製品も堅調を維持しました。

この結果、建築機器の売上高は6,389百万円(前期比4.2%増)、セグメント利益は554百万円(前期比13.7%増)となりました。

今後については、建築物の長寿命化要求の高まりとともにリニューアル市場、リフォーム市場の需要が底堅く推移するものと見込んでおります。

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

(キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容)

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要、②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)

当企業グループは現在、運転資金、投資資金についてはまず営業キャッシュ・フローで獲得した内部資金の活用を基本としております。事業計画に基づく資金需要に対し内部資金が不足することとなった場合は、金利動向等の調達環境を考慮のうえ、調達手段を適宜判断して実施していくこととしております。

当企業グループの資金需要は、営業活動については、生産活動のための製造費(主に製品を生産するための材料仕入等)、受注・販売活動のための販売費、新たな製品の開発や既存製品の改良開発等をおこなうための研究開発費が主な内容となっております。投資活動については、事業伸長・生産性向上を目的とした生産設備等固定資産の取得が主な内容となっております。

今後の資本的支出の予定につきましては、急成長を続けるグローバルな市場ニーズに迅速かつ柔軟に対応できる体制を整え、成長戦略を加速するため、必要な設備投資や研究開発投資を継続しておこなってまいります。

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当企業グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたりましては、会計方針の選択、適用、資産・負債や収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としています。見積りにつきましては、過去の実績や状況を踏まえた合理的な判断を基礎としておこなっていますが、この見積りは不確実性が伴うため実際の結果と異なる場合があり、結果として連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。当企業グループの連結財務諸表において採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況」、「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」及び「重要な会計方針」に記載しています。

 

5【経営上の重要な契約等】

(1)提出会社がおこなっている業務提携契約

契約会社名

契約の内容

契約期間

株式会社川金コアテック

(川口市)

オイレス支承の販売、商標の使用並びに部材の供給

自 1972年1月1日

至 1975年12月31日

(自動延長につき契約継続中)

 

(2)提出会社が技術援助等を与えている契約

契約会社名

契約内容

対価

契約期間

Johnson Metall AB

(スウェーデン)

固体潤滑剤充填金属軸受の

製造販売

ランニング

ロイヤリティ

2019年5月16日から5年間

(自動延長につき契約継続中)

 

(3)提出会社が技術援助を受けている契約

契約会社名

契約内容

対価

契約期間

西日本プラント工業株式会社

(福岡市)

防錆技術の実施許諾

ランニング

ロイヤリティ

2007年6月1日から3年間

(注)1

(注)1.提出日現在においては、覚書により契約継続中であります。

6【研究開発活動】

当企業グループは長年の研究開発で培ってきた摩擦・摩耗・潤滑に関わるトライボロジー技術と、免震・制震をはじめとしたダンピング(振動制御)技術の2つをコア技術とする強みを活かし、軸受機器、構造機器、建築機器の分野を中心に、お客様とともに製品が「世界初・世界一」を実現するための新製品開発や既存製品の改良開発をスピーディに取り組んでおります。

軸受機器においては、成長分野への拡販に加え、脱炭素・循環型社会の実現に貢献する製品を持続的に創出し、次世代の重要部品となる新製品開発に取り組んでいます。

また、国内外拠点への設備投資を積極的に行い、生産体制を強化する取り組みを継続して進めています。さらに、市場の技術進歩に対応するため、藤沢事業場を研究開発拠点として充実させ、評価設備への投資を行い、システム提案や付加価値提案を強化し、常に市場に新たな価値を提供してまいります。

構造機器においては、更なる高性能、高品質の免震・制震装置の開発を継続的に推進するとともに、橋梁では長大橋・新規バイパス・4車線化・既設補修補強市場対応、建築では長周期長時間地震動対応、低・中・高層・超高層構造物の振動低減策から病院・公共設備・商業設備の免震化など市場ニーズに対応した製品の開発・改良を進め、市場の拡大と顧客満足度向上に努めております。

建築機器においては、お客様の視点に立って、独創的かつ魅力的な商品やサービスを社会に提供できるよう新製品の開発を進めております。外付ブラインドは、日射遮蔽・断熱採光機能と通風・プライバシーの保護機能を併せ持ち、建物の快適空間創造と省エネ効果に貢献するよう研究開発に努め、ウィンドウオペレーターは引き続きリニューアル・メンテナンスを強く推奨しつつ、高まる通風換気の需要に対して高次元に再生させ、省資源・循環型社会の形成に寄与できるよう開発に努めてまいります。

現在の研究開発担当者の人員は196名となっております。また、当連結会計年度の研究開発費は2,529百万円(売上高比3.7%)、前連結会計年度は2,527百万円(売上高比4.0%)です。

なお、当連結会計年度末において当企業グループが保有する産業財産権は次のとおりです。

日本国内産業財産権1,139件(この他出願中のもの62件)

外国産業財産権1,146件(この他出願中のもの72件)

各セグメント別の製品開発状況と研究開発費は次のとおりです。

(1)一般軸受機器

一般産業向けでは、半導体製造装置や再生可能エネルギー等の成長分野への拡販を積極的に進めています。またトライボロジーとダンピング技術を極め、グローバルに展開・供給できる材料開発を進めるとともに、性能や環境貢献性を向上する付加価値製品の創出に向けた取組みをしています。

一般軸受機器に係る研究開発費は606百万円であります。

(2)自動車軸受機器

自動車向けでは、市場が急拡大しているEVやハイブリッドなどの電動車におけるニーズを先取りした高付加価値製品の創出と拡販を進めています。また自動運転技術やバイ・ワイヤ技術を研究し、当社のトライボロジーやダンピング技術を活用した新製品、新技術創出に向けた取組みをしています。

自動車軸受機器に係る研究開発費は1,274百万円であります。

(3)構造機器

①建築向けでは、低層~超高層ビル、官庁、病院、集合住宅、ロジスティクスセンター、データセンター、海外向けなど幅広いニーズに対応した免震・制震装置によって安全・安心を提供できるよう高性能化、高耐久性を実現できるような研究開発・製品改良に取り組んでおります。

②橋梁向けでは、新設・耐震補強・補修リニューアル工事等の市場ニーズに対応した支承、制震装置等によって安全・安心を提供できるよう高性能化、高耐久性を実現できるような研究開発・製品改良に取り組んでおります。

構造機器に係る研究開発費は508百万円であります。

(4)建築機器

①ビル用機器では、ウィンドウオペレーターは使用者の利便性向上や高まる「健康空調・通風換気」使用のための耐久性を考慮した製品、自然換気装置では引き続き高層ビル向けBCP対応機能を強化した製品の開発に取り組んでまいりました。

②住宅用機器では、外付ブラインド「ブリイユ」をより多くの方にご採用いただくためWEBの活用など宣伝活動にも力を注いでおり、お客様の要望をもとに製品の改良開発に取り組んでまいりました。

建築機器に係る研究開発費は140百万円であります。