第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営の基本方針

当社では2022年度を初年度として策定した3カ年の新中期経営計画において「We Grow,New“*TEAM Sansei”!」をテーマに掲げ、グループ一丸となって一段の進化・成長に注力していきます。コロナ後のグローバルな市場回復と国内の顕在化する大型案件を確実に取り込むことによる既存各事業の一段の成長と、新たな柱となる事業分野への参入・構築の両面に取り組みます。加えて、今後の持続的な成長を支えるための経営基盤の強化を図り、併せて、社会全体で関心が高まる環境保全や社会的課題解決について、成長のための経営課題として積極的に取り組んでいきます。

*TEAM=Theater(舞台)、Elevator(昇降機)、Amusement(遊戯)、Maintenance(保守・改修)

(2)経営環境及び対処すべき課題

日本経済は、雇用や所得環境の改善が見られ、個人消費や企業の設備投資を中心に内需の拡大などにより上昇基調を辿っていくものと見られます。一方で、各国でのインフレ継続懸念、資源・原材料価格の上昇や国際情勢の不安定化などにより、世界経済は先行き不透明な状況が続いています。

当社は、グループ力を結集し、国内外で活発化してきた需要を引き続き確実に取り込むこと、加えて、これらを支える経営基盤の強化やサステナビリティへの取り組みを経営課題として注力し、中長期の持続的な成長と企業価値の向上に努めてまいります。

① グループ力を結束した各事業分野での成長戦略

お取引先とのコミュニケーションを一段と高め、顧客ニーズの変化に対応した製品開発と提案活動に、グループ力を大いに活用して注力していきます。

遊戯機械事業においては、S&S社、Vekoma社、新たに当社グループに加わったFORREC社との営業連携を一段と進め、最大市場の米国に加えて、成長性の高い東南アジア、中東での営業力を強化しています。併せて、顧客ニーズに対応した各社での新製品開発を進め、海外の展示会への積極的な出展も行います。

舞台設備事業においては、常設の舞台機構では、継続的に大型案件の受注獲得を目指していきます。仮設の舞台装置では、テルミック社でコンサートやイベント向けの需要増にしっかりと対応することに加え、新たな顧客開拓を目指してスマートスタジオを設置し、映像制作関連分野への取り組みも進めています。大阪・関西万博、国内IRも見据え、新たな演出システムを活用し、従来型の劇場作りに捉われない未来型の劇場やエンターテインメント施設等の舞台機構や演出装置の開発・提案を、グループを挙げて進めます。

昇降機事業については、非エンターテインメント部門としての位置づけで、安定的な収益基盤である保守・改修事業の拡充に加えて、特殊装置等の積極受注を引き続き図ってまいります。

新たな柱となる事業分野への参入、構築の検討

既存事業分野の収益性を高めるとともに、経済環境の変動に左右されにくい収益基盤の構築を目的に、戦略的な事業提携やM&Aなど、インオーガニックな取り組みによる新たな事業分野への参入検討を引き続き進めます。

③ 経営基盤の強化とサステナビリティへの取り組み

経営管理に関わる主要システムの抜本的改定と周辺システムの構築を完了させ業務の生産性向上に繋げると同時に、デジタルインフラを活用した生産、品質に関わる情報の社内共有化と一段の活用により、高品質かつ効率的な「もの作り」を更に進めます。

サステナブルな企業成長を支えるため、神戸事業所への太陽光発電の導入を皮切りに、舞台機構で使用する塗料の大幅削減や、梱包材のリユース・工場廃棄物の削減など、環境負荷軽減への取り組みを設計、製造、施工の各現場で積極的に進めてまいります。同時に、働き方改革の観点から、柔軟で働きやすい労働環境の整備と人事制度の充実に取り組むとともに、引き続き多様な視点や価値観を持つ人材の育成を推進してまいります。

 

(会社の支配に関する基本方針)

当社は、経営環境の変化や金融商品取引法による大規模買付行為に関する規制が浸透したことに鑑み、2016年6月29日開催の第66期定時株主総会終結時に有効期間が満了した「大規模買付行為への対応方針」を継続しないこととしました。もっとも、今後大規模買付行為を行おうとする者が現れた場合には、当社は、企業価値及び株主共同の利益を確保する観点から、大規模買付行為の是非を株主の皆様が適切に判断するための情報の収集や開示に努めるとともに、関係法令及び当社定款の許容する範囲内において適切な措置を講じてまいります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)サステナビリティに関する基本的な取組み方針と具体的な取組み

当社は、「世界中のお客様に、笑顔と感動そして安全で快適な空間を提供することを通して、持続的な発展と社会課題の解決に貢献し、中長期的に企業価値を高めていく」ことを基本的な方針としてサステナビリティに関する課題に取り組んでまいります。

その方針の下、2023年3月期を初年度とする中期経営計画においては、成長戦略を支えるための経営基盤の強化として、「人材への投資」ならびに「環境対応への取組み」を掲げ、持続的な成長を実現してまいります。

具体的には、国内外での語学研修や若手社員向け海外トレーニー制度など人材育成のための投資を進めてまいりました。また、神戸事業所屋根に設置済みの太陽光発電パネルはすでに本格稼働を開始しているほか、舞台機構で使用する塗料の大幅削減や、梱包材のリユース・工場廃棄物の削減など、環境負荷低減への取組みを設計、製造、施工の各プロセスで進めております。

(2)ガバナンスとリスク管理

サステナビリティをめぐる課題に真摯に向き合うことは新たな収益機会にもつながる可能性があるとの認識のもと、社内の会議体において、同課題への取組み状況を継続的にモニタリングし、その議論も踏まえたうえで取締役会へ報告するプロセスを設け、ガバナンスの強化を図ってまいります。

また、中長期的な企業価値の向上と持続可能な社会の実現という観点から、各部室長および社長が指名する者が参集し、必要な議論を引き続き行っていくとともに、サステナビリティに関連するリスクの識別と評価を行ってPDCAを管理し、リスク管理を強化してまいります。

(3)戦略 <人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略>

当社グループは人的資本や知的財産への投資の重要性を認識しており、人材育成に係る取組みをさらに強化することで、中長期的な企業価値向上に寄与するものと考えております。

・人材の育成方針

当社グループでは、階層別研修の実施に加え、自律的なキャリア構築を支援する教育制度を実施しており、資格取得奨励金の交付などで業務に必要な知識習得に向けた自己研鑽を促進し、継続的な人材育成に取り組んでおります。

・社内環境の整備

当社グループでは様々な属性、才能、経験等、多様な視点や価値観を持つ人材の育成および、採用をするとともに、性別や年齢、障がいの有無などに関係なく様々な人材が活躍できるよう、在宅勤務、時差出勤、育児時短勤務の取得期間延長、育児休業取得の啓発などの柔軟で働きやすい労働環境の整備と人事制度の充実を図り、多様な人材がやりがいをもって働ける組織の構築を推進しております。

(4)指標及び目標 <人材の育成及び社内環境整備に関する目標及び実績>

当社グループでは、上記「戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針に係る指標について、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに具体的な取組みを行っているものの、連結グループに属する全ての会社では行われていないため、次の指標に関する目標は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社を記載し、実績は提出会社及び国内連結グループのものを記載しております。

提出会社

目標

提出会社

実績(当連結会計年度)

国内連結グループ

実績(当連結会計年度)

採用する社員に占める女性の割合を30%以上とする。

24.0

32.5%

有給休暇取得率を70%以上とする。

79.8

53.6%

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)事業環境について

当社グループは、舞台設備・遊戯機械・昇降機の3部門をコアに安定的かつ継続的な企業価値の向上を図っておりますが、予期せぬ景気変動や地震、台風などの自然災害、パンデミックの発生などにより、当社グループの設備などが被害を被り、または、受注や生産などの事業活動が停滞した場合などに、業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。また、取引先の信用状況に関し常日頃から情報収集に努めておりますが、事業環境の急激な変化などにより、取引先の信用力低下、債務不履行などが生じた場合には、債権回収リスクが発生する可能性があります。

(2)製品の安全性について

当社グループは、遊園地の遊戯機械や劇場・会館などの舞台設備、エレベーターなどを製造・販売し、製品の安全性確保を徹底しておりますが、予期せぬ製品不具合や事故の発生などにより、業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。

(3)グローバル化に潜在するリスク

当社グループは、遊戯機械分野では北米とオランダに主要な連結子会社を有し、またその主要顧客も世界各地にあることから、海外各国固有の規制や税制の変更、経済状況などの変化、また政治的・社会的リスクなど多様なリスクの顕在化により、業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。

(4)資産に係る減損リスク

当社グループでは、事業用有形固定資産や企業買収に伴うのれんなどの無形固定資産などを有しておりますが、予想外の急激な事業・市場環境の変化がある場合に、固定資産の減損会計処理などにより、業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。

(5)法的規制について

当社グループは、日本国内及び事業展開する各国において、環境、労働、安全衛生、通商・貿易・為替、知的財産、租税、独占禁止法などの経済法規、建設業法や建築基準法などの事業関連法規、その他関連する様々な法令・公的規制の適用を受けております。これら法令・公的規制の改廃や新たな立法などにより、万が一、遵守できなかった場合、課徴金や行政処分を課されるなど業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。

(6)為替変動に係るリスク

当社グループの生産・販売はグローバルに広がっており、連結決算において海外子会社の業績に外国為替変動の影響が生じる可能性があります。

また外貨建ての仕入れ・販売・サービスの提供など個別の取引においても、仕入高・販売高に為替変動の影響が生じる可能性があります。

これらのリスク軽減のため、為替予約などのヘッジ手段を講じておりますが、急激な為替変動があれば、業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。

(7)金利の変動に係るリスク

当社グループは、金融機関から借入により資金調達をしております。金利水準については、経済合理性などを勘案し金利負担を最小限にとどめるよう配慮しておりますが、金利水準が上昇した場合、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(8)保有有価証券に係るリスク

当社グループの適正な資産運用の観点から、安定的かつ成長性が認められる投資有価証券を保有しており、取引関係の維持・強化等を目的として保有している投資有価証券等については、保有に伴う便益・リスクや企業価値向上に資するか等を定期的に精査し見直しを行っています。

株式市場全体の大幅な下落が継続した場合などには、保有有価証券に減損損失が発生し、業績に影響を与えるとともに、自己資本比率の低下を招くおそれがあります。

(9)大規模買付行為に係るリスク

当社は、東京証券取引所スタンダード市場に上場している公開企業であるため何らかの意図の下に当社株式が大量に取得されるリスクに常に晒されています。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要と分析・検討内容は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における我が国経済の状況を見れば、年度を通して社会経済活動の正常化による内需の拡大やインバウンド需要の増加が継続し、景気は緩やかな回復傾向を示しています。一方で、ロシア・ウクライナ情勢や中東情勢の緊張、円安の影響による輸入品の高騰、エネルギー価格及び物流コストの高止まりなど、依然として先行き不透明な状況が続いています。

このような環境の中、当社の取引先である国内外の遊園地やテーマパーク、劇場などのエンターテインメント関連業界でも、来場者の回復を受けて設備投資意欲が顕在化していると見られます。当社の事業においても、遊戯機械分野では国内外で受注環境が回復しつつあり、新設ライドや補修部材の需要が引き続き堅調に推移している上、舞台機構分野でもコンサートやイベント開催がほぼ正常化したことで、仮設舞台装置の需要が回復傾向にあります。

このような環境下、遊戯機械・舞台設備・昇降機の各事業部門で、業績の向上に取り組んでまいりました結果、52,307百万円(前期比28.6%増)、営業利益は3,162百万円(前期比57.6%増)、経常利益は3,604百万円(前期比30.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,072百万円(前期比21.6%増)と、前期比増収増益となりました。

 

セグメント別の業績は以下のとおりであります。

(売上高は、セグメント間の内部売上を含んでおりません。)

 

遊戯機械

国内外で受注工事が順調に進捗したこと、加えて補修部品需要も引き続き堅調に推移したことなどから、販売経費の増加はあったものの、セグメント売上高は30,440百万円(前期比61.1%増)、セグメント利益は1,098百万円(前期はセグメント損失157百万円)となりました。

 

舞台設備

コンサートやイベント向け仮設舞台装置の需要が引き続き回復傾向にあることや、常設施設でも改修工事が着実に進捗したことなどから、諸コスト増加の影響などがあったものの、セグメント売上高は15,238百万円(同1.8%増)、セグメント利益は2,471百万円(同1.0%増)となりました。

 

昇降機

公共施設や集合住宅用の改修工事が着実に進捗したことに加え、保守・メンテナンス事業も引き続き安定的に推移したものの、前期比大口案件の減少もあり、セグメント売上高は6,516百万円(同2.9%減)、セグメント利益は1,162百万円(同9.9%減)となりました。

 

その他

売上高は111百万円、セグメント利益は39百万円となりました。

 

財政状態について、資産は、前連結会計年度末に比べ7,957百万円増加し、81,031百万円となりました。これは主に、現金及び預金が5,834百万円、株価上昇により投資有価証券が2,653百万円増加したことなどによります。

負債は、前連結会計年度末に比べ2,094百万円増加し、39,131百万円となりました。これは主に、契約負債が1,727百万円、繰延税金負債が861百万円増加したことなどによります。

純資産は、前連結会計年度末に比べ5,862百万円増加し、41,900百万円となりました。これは主に、円安進行により為替換算調整勘定が2,260百万円増加、株価上昇に伴いその他有価証券評価差額金が1,853百万円増加したのに加え、利益剰余金が1,328百万円増加したことなどによります。

 

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ5,834百万円増加し22,231百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は、前連結会計年度に比べて6,993百万円増加し9,537百万円の収入となりました。収入の主な内訳は、税金等調整前当期純利益3,591百万円、売上債権の減少2,935百万円、減価償却費1,162百万円、のれん償却額906百万円などであり、支出の主な内訳は、仕入債務の減少758百万円、棚卸資産の増加752百万円、法人税等の支払額538百万円などであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、前連結会計年度に比べて1,641百万円増加し2,407百万円の支出となりました。支出の主な内訳は、連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出1,413百万円、有形固定資産の取得による支出658百万円などであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は、前連結会計年度に比べて2,100百万円増加し2,196百万円の支出となりました。支出の主な内訳は、長期借入金の返済による支出1,177百万円、配当金の支払いによる支出742百万円、短期借入金の純増減額238百万円などであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

セグメントの「その他」については、受注による生産は行っていないため、a.生産実績、b.受注実績について記載をしておりません。

 

a. 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと次のとおりです。

セグメントの名称

生産高(千円)

前期比(%)

遊戯機械

30,854,655

+55.5

舞台設備

15,452,012

+2.5

昇降機

6,458,048

△5.5

合計

52,764,716

+26.4

 

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.金額は販売価格によって算出したものであり、研究開発及び固定資産の製作に係るものは含んでおりません。

 

b. 受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと次のとおりです。

セグメントの名称

受注高(千円)

前期比(%)

受注残高(千円)

前期比(%)

遊戯機械

37,450,114

△6.8

54,455,875

+20.0

舞台設備

16,355,150

+20.3

6,539,366

+20.6

昇降機

6,681,256

△3.6

2,185,204

+8.1

合計

60,486,521

△0.3

63,180,446

+19.6

 

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

 

c. 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

販売高(千円)

前期比(%)

遊戯機械

30,440,216

+61.1

舞台設備

15,238,355

+1.8

昇降機

6,516,894

△2.9

その他

111,588

+10.9

合計

52,307,054

+28.6

 

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループ及びセグメントごとの財政状態及び経営成績は、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

当社グループは、2022年度を初年度とする3ヵ年の新中期経営計画において、「We Grow,New“TEAM Sansei”!」をテーマに掲げ、グループ一丸となって一段の進化・成長に注力していく方針であり、業績計画として2024年度の目標値を売上高60,000百万円、経常利益6,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益4,000百万円、経常利益率10%、ROE11%としております。

2024年度については、先般公表した業績予想の通り、売上高64,000百万円、経常利益5,400百万円、親会社株主に帰属する当期純利益3,300百万円を計画しております。

当社としましては、国内外の需要を確実に取り込むことによる各事業の一段の成長に加えて、新たな事業分野の構築に積極的に取り組み、中長期の持続的な成長と企業価値の向上に努めてまいります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、営業活動の結果得られた資金が9,537百万円の収入となった一方、投資活動の結果使用した資金が2,407百万円の支出、財務活動の結果使用した資金は2,196百万円の支出となりました。この結果、現金及び現金同等物の期末残高は22,231百万円となりました。このキャッシュ・フローによって、長期かつ安定的な配当金の支払いによる株主還元などの財務活動をはじめ、事業拡大に必要な投資活動及び営業活動を賄っております。また、シンジケート銀行団と30億円のコミットメントライン契約を締結し、不測の流動性リスクに備えております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりまして、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものの影響については、「第5 経理の状況1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループは、品質指針を策定し、その実践によって確立される品質水準を「三精品質(SANSEI Quality)」と命名し、顧客指向・品質本位をモットーに、安全で使い勝手の良い製品を作り出すことを目標に研究開発活動を進めております。

2024年度を最終年度とする中期経営計画の中で、遊戯機械事業において新製品開発による製品ラインナップの強化及び提案営業の推進を目指すとともに、舞台設備事業ではデジタル化やリモート化に対応した新演出システムの開発強化、昇降機事業では産業用途の搬送・昇降・移動機器に加えて新分野向けの研究開発などに取り組む方針としております。これまで培ってきた技術や開発を進めてきた製品を、事業領域の枠にとらわれずに幅広く応用・展開し、今後も成長領域への投資・研究開発活動をさらに進めてまいります。

 

当連結会計年度の活動状況は、以下のとおりです。

〈遊戯機械〉

インバウンドの増加に伴い、大型テーマパーク・大型アミューズメントパーク以外にも遊戯機械導入の需要が高まると見込んでおり、顧客ニーズに合わせた新商品開発を行います。当社の主力商品である各種ダークライド・ボートライドをベースとした、イマーシブ体験が出来る乗物を提供すべく、技術開発を進めてまいります。

また、新事業展開として積極的に取り組んでいる乗用ロボット開発においては、ロボット・ソフトウエア開発事業を手掛けるアスラテック社との協業で取組んだ4足歩行ロボットのプロトタイプ機開発が完了し、東京モビリティショーなどさまざまな展示会にも積極的に出展して、認知度をあげてまいりました。

今後は、人型変形ロボットや4足歩行ロボットの技術を活用し、様々な形態のロボットや遊戯機械の開発も手掛けてまいります。

〈舞台設備〉

自社開発の「舞台制御基幹システム」をベースとした、多軸制御方式の開発は完了致しました。また、制御システムの高機能化に継続して取り組んでおり、従来型の劇場に加えて、アリーナ施設や演出多様化が進む未来型施設向けに対応した総合演出一括制御システムなど、新たなニーズへグループを挙げて対応に努めてまいります。

〈昇降機〉

部品点数の最小化と保守作業の効率化を狙った新制御システムの開発を進めております。

また、エレベーターの減速時などに発生する電力を回収、再利用するシステムの開発にも着手しております。

 

なお、当連結会計年度の研究開発費は、654百万円であります。