第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものである。

(1) 経営方針、経営戦略等

① 経営方針

当社グループでは、基本理念である「Hitz Value」を定めており、本基本理念の下、長期ビジョン、経営戦略等を実施していく経営体系を構築している。

 

当社グループの基本理念「Hitz Value」

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② 経営戦略等

当社グループでは、基本理念「Hitz Value」の下、2050年に目指す姿である「サステナブルビジョン」及び2030年に向けた長期ビジョン「2030 Vision」を掲げるとともに、2023年度を初年度とする3か年の中期経営計画「Forward 25」を策定した。

「サステナブルビジョン」では、「環境負荷をゼロにする」、「人々の幸福を最大化する」を目標に、ビジョン実現に不可欠な要素である7項目(「カーボンニュートラル」、「資源の完全循環」、「環境復元力の最大化」、「災害激甚化への対応」、「サステナブル調達」、「人々の幸福の最大化」、「コーポレート・ガバナンスの高度化」)を、「成功の柱(マテリアリティ)」として設定している。これら「成功の柱(マテリアリティ)」ごとに、関連する社会課題の認識、課題に対する施策を明確化し、2050年までの目標(KPI)とロードマップを策定し、各種取組みを推進していく。

また、「サステナブルビジョン」の実現に向けたマイルストーンとして、2030年に目指す姿とする長期ビジョン「2030 Vision」を掲げており、「サステナブルで、安全・安心な社会の実現に貢献するソリューションパートナー」として、「脱炭素化」、「資源循環」、「安全で豊かな街づくり」の各事業分野における社会課題の解決に積極的に取り組み、既存事業の持続的成長と、成長事業の創出・拡大を目指していく。

そして、「サステナブルビジョン」及び「2030 Vision」実現に向けた飛躍の第一歩として、2023年度~2025年度の3か年の中期経営計画「Forward 25」を策定し、グローバルな社会的課題の解決に向け、以下のとおり3つの基本方針に基づく重点施策に取り組んでいく。

 

 

中期経営計画「Forward 25」

1.既存事業の持続的成長

(1)海外事業の持続的伸長

ごみ焼却発電事業、原子力関連事業、水事業を中心に、既存注力地域である欧州、東アジアのほか、重点成長地域とする東南アジア、南アジア、新規開拓地域とする北米、中東において、当社グループで協力して事業伸長に取り組み、2025年度に海外売上高比率40%を目指す。このため、積極的投資とグローバル事業戦略統一のための体制の見直しを行う。

(2)事業構造改革の推進

ポートフォリオ・マネジメントを引き続き推進し、事業の選択と集中による収益性の改善、また、他社との戦略的パートナーシップの構築等による競争力の強化に努める。

(3)継続的事業の拡大及び新設事業の収益改善

2025年度に継続的事業の売上高割合50%、新設事業の黒字化を目指し、新たな事業モデルの創出、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進による製品・事業の高付加価値等に取り組み、収益力の強化を図る。

2.成長事業の創出・拡大

(1)投資(事業投資・開発投資)戦略の実行

長期的かつ持続的な企業価値向上に向け、3年間で事業投資750億円、開発投資280億円、設備投資280億円にDX関連投資を合わせ総額1,400億円規模の投資を計画している。重点投資分野は、脱炭素化、資源循環、水事業、ライフサイエンス関連事業分野等とし、戦略的投資により、成長事業を創出・拡大していく。

(2)重点分野への投資

脱炭素化事業では、再生可能エネルギーから得られる電力による水素製造及び水素を活用した合成メタン製造に関連する事業、使用済核燃料の保管・貯蔵容器等の原子力関連機器や、アンモニア貯蔵容器を含む圧力容器事業、出資、建設、運営、売買等様々なビジネスモデルを展開する風力発電事業を拡大する。

資源循環事業では、主力のごみ焼却発電事業に加えて、処理対象廃棄物を一般廃棄物から産業廃棄物にも広げ、当社保有の焼却・ガス化・発酵・炭化といった減容化技術により、廃棄物資源から電力を含めた多種多様な有価物を創出し、循環活用する事業を創出・拡大する。さらに、天然ガスの代替燃料として、欧米で大きな成長が見込まれているバイオガス製造設備の自社所有・運営事業の拡大を計画している。

水事業では、造水・排水処理等の当社グループが保有する様々な技術を活用し、グローバル市場への拡大を目指す。

また、健康や安全への関心が高まる中、ライフサイエンス分野(創薬・医療関係装置の製造等)は、今後長期にわたり成長すると考えており、将来の事業創出を目指して積極的に投資を行っていく方針である。

3.持続可能な経営の推進(企業価値の向上)

(1)人的資本の強化

当社グループでは、人材の価値を最大限に引き出すことで、人と組織の成長の好循環が生まれ、会社の成長及び企業価値の向上につながると考えている。多様な人材の採用や多様な働き方の提供、グローバル人材・経営人材育成等を通じた経営戦略実現のため必要な人材の採用・確保、適正配置・戦略的育成、定着により、人的資本の強化に取り組む。なお、当社では、女性新卒採用率は事務系50%、技術系10%以上、男性育児休暇・休業取得率100%、職員エンゲージメント指数70%以上、生活習慣病平均有所見率21%未満の達成を目指す。

(2)事業活動の脱炭素化

当社グループは、GHG(温室効果ガス)排出量削減目標として、2025年度において、「自社の活動によるGHG排出削減(スコープ1、2)」については、34%削減(2013年度比)、「自社の活動及び自社のバリューチェーンにわたるGHG排出削減(スコープ1、2、3)」については、2030年度50%削減(2013年度比)、2050年度カーボンニュートラルを掲げている。

今後、スコープ1、2については、製造プロセスにおける化石エネルギーの削減・再生可能エネルギーへの切り替え推進や効率的なエネルギーの使用推進、舶用エンジン試運転燃料の非化石燃料への転換等を、また、スコープ3については、メタネーションを含むカーボンネガティブ貢献製品・事業の拡大展開、サプライヤーや顧客との協働などを進めていく。

 

(3)DX戦略の推進

デジタル技術を活用した事業DX(製品・サービスの付加価値向上)、企業DX(業務効率化・生産性向上)、DX基盤整備(デジタル技術基盤整備・DX人材育成)に取り組み、2025年度までに製品IoT化率60%、DX人材育成数500名を目指す。

(4)リスク管理の徹底

プロジェクトに関わるリスク管理の徹底により最適なリスクテイク体制を構築し、2025年度までに、休業災害件数ゼロ、売上高に対する不良比率0.5%以下の達成を目指す。

 

③ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループでは、中期経営計画「Forward 25」の最終年度となる2025年度における財務目標を、受注高6,000億円、売上高5,600億円、営業利益280億円(営業利益率5.0%)、ROE9.5%としている。また、長期ビジョン「2030 Vision」では、2030年に営業利益率10%の達成、ROE10%超、海外事業比率50%、2030年代のできるだけ早い時期に売上高1兆円の事業規模を目指す。

 

(2) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

中期経営計画「Forward 22」の3年間には海外事業が着実な成長軌道に乗り、当社グループの受注高、売上高は3年間を通じて当初計画の4,000億円を上回ることができた。さらにDX戦略に基づく先端技術の活用、事業の選択と集中の推進とリソースの伸長分野へのシフト、人材育成と働き方改革等においても、一定の成果を得ることができた。一方、世界的なエネルギー・資材価格高騰への対応、個別プロジェクトの収益力強化、国内外グループ会社とのシナジー強化等については、引き続き取り組んでいく必要があり、また、脱炭素化社会の実現、資源循環経済への対応などサステナビリティに向けた取組みがこれまで以上に求められている。このような状況を踏まえ、「Forward 22」で明らかになった課題の解決、外部環境変化への対応を図るため、新中期経営計画「Forward 25」の重点施策を着実に実行することで、収益力強化を推進し、確実に成果をあげていく所存である。

また、当社グループが持続的な成長と企業価値の向上を目指すうえで重要な課題となる、安全管理の徹底、コンプライアンスの徹底にも引き続き取り組んでいく。特に、安全管理については、2023年度より当社における担当部門を社長直轄の組織に変更し、機動的な取組みを推進していく。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりである。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。

 

(1)ガバナンス

 当社に、取締役会の監督のもと、取締役社長を委員長とするサステナビリティ推進委員会を設置している。同委員会において、当社グループ全体のサステナビリティに関わる方針、戦略、重要施策等に関し審議するとともに、施策の実施状況などの報告を受け、組織横断的にサステナビリティに関する活動を推進し、取締役会に付議・報告を行っている。

 

(2)戦略

 当社グループは、「技術の力で、人類と自然の調和に挑む」ことを使命とし、新たな事業機会の獲得、当社グループの持続的成長のため、サステナビリティを重視した経営を実践しており、2050年に当社グループの目指す姿であるサステナブルビジョンを、「環境負荷をゼロにする」「人々の幸福を最大化する」に定めている。

 そのうえで、従来設定していたESG課題を見直し、サステナブルビジョン実現に不可欠な要素である7項目(「カーボンニュートラル」、「資源の完全循環」、「環境復元力の最大化」、「災害激甚化への対応」、「サステナブル調達」、「人々の幸福の最大化」、「コーポレート・ガバナンスの高度化」)を、「成功の柱(マテリアリティ)」として設定した。そして、成功の柱ごとに、関連する社会課題の認識、課題に対する施策を明確化し、2050年までの目標(KPI)とロードマップを策定し、各種取組みを推進している。

 主な取組み内容は次のとおりである。

 

ア.カーボンニュートラル

社会課題の認識

パリ協定の1.5℃目標を達成するには、社会全体でのカーボンニュートラル達成が不可欠。脱炭素社会への移行要請が急拡大。

機会(●)と

リスク(■)

●再生可能エネルギーの主流化

●低炭素・脱炭素製品・技術の需要増加

■GHG排出規制、炭素税などの規制強化

■高環境負荷製品の需要減少

指標及び目標

(GHG排出量削減目標)

・スコープ1・2につき、2025年度34%削減(2013年度比)

・スコープ1・2・3につき、2030年度50%削減(2013年度比)、2050年度カーボンニュートラル

(Forward 25)

・脱炭素化事業の拡大につき、2025年度に700億円の事業規模を目指す。

主な対応策

・スコープ1・2につき、製造プロセスにおける化石エネルギーの削減・再生可能エネルギーへの切り替え推進や効率的なエネルギーの使用推進、舶用エンジン燃料の非化石化等

・スコープ3及び脱炭素化事業の拡大に関し、メタネーションや風力発電を含むカーボンネガティブ貢献製品・事業の拡大展開、サプライヤーや顧客との協働の推進等。

 

 

イ.資源の完全循環

社会課題の認識

世界人口の爆発的増加に起因し、エネルギー・資源・食糧・水の不足、住む場所の問題、廃棄物の問題、生物多様性の崩壊等が生じる。環境負荷ゼロ社会への移行要請急拡大。

機会(●)と

リスク(■)

●環境意識の高まり、規制強化による環境関連ビジネスの市場拡大

●サーキュラーエコノミーによる新たなビジネスモデル創出

■環境規制強化とサーキュラーエコノミーへの対応による事業面でのコストアップ

指標及び目標

(当社グループの事業活動)

2050年度ゼロエミッション(埋立率を限りなくゼロに近づけること)達成。

2025年度リサイクル率90%以上、埋立率3%以下

(Forward 25)

資源循環事業の拡大につき、2025年度に3,530億円の事業規模を目指す。

水事業の拡大につき、2025年度に400億円の事業規模を目指す。

主な対応策

・事業活動で使用する資源の完全循環につき、製品回収による有価金属の再資源化や製造プロセスにおけるリサイクルの徹底等。

・サーキュラーエコノミーへの貢献につき、リサイクルしやすい設計の推進、長寿命部品の使用、長寿命化技術の開発推進、廃棄物資源から多様な有価物を創出・活用するWaste to X事業、水事業の拡大等

 

ウ.サステナブル調達

社会課題の認識

サプライチェーンにおける環境・社会側面の責任拡大

機会(●)と

リスク(■)

●サプライチェーン全体での環境負荷ゼロ、社会的価値の創出によるバリューチェーン全体の持続可能性への貢献で、社会的信頼性が向上

■サプライチェーンにおける人権侵害や環境負荷によるレピュテーションの低下

指標及び目標

(2050年度目標)

当社グループのサステナブル調達方針に賛同いただくサプライヤー100%

(2025年度目標)

当社グループのサステナブル調達方針に賛同いただく主要なサプライヤー50%以上

主な対応策

当社グループのサステナブル調達方針・サプライヤー向けガイドブックに基づく指導、改善協議の継続的実施。

 

 

エ.人々の幸福の最大化

社会課題の認識

持続可能な発展は、環境課題解決に加え、人々の健康、影響力、能力、公平、意味・意義が認められることが必要。

多様な人材が心身ともに健康で、自己の能力を最大限発揮できる職場の実現への要請。

第三者による人権侵害に加担しないことへの強い要請。

機会(●)と

リスク(■)

●当社グループのビジネスバリューチェーン全体への価値創造による信頼性の向上

●DE&Iの推進を通じたイノベーションの創出による企業競争力の向上

●働き方改革の加速による生産性・効率性・モチベーションの向上

■多様な人材の活躍機会の喪失による人材の流出

■事業環境の変化に対応できないことによる競争力の低下と業績の低迷

指標及び目標

(2050年度目標)

・多様な人材が活躍し、個人が最大限力を発揮できる職場の実現

・人権方針の当社グループへの浸透、人間尊重の徹底

(2025年度目標)

・当社グループの8割の会社を対象に、人権デュー・デリジェンスを実施

なお、人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針についての戦略、指標と当該指標に関する目標及び実績は、「(5) 人的資本に関する戦略並びに指標及び目標」に記載している。

主な対応策

・人材の多様性の確保、多様な働き方の提供、適正配置・戦略的育成、人材の定着に繋がる取組み等。

・国連グローバル・コンパクトに賛同、署名。

・国際人権章典、国際労働機関(ILO)の「労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言」、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に加え、「Hitzグループ倫理行動憲章」が定める人間尊重を貫く姿勢の堅持。

 

オ.コーポレート・ガバナンスの高度化

社会課題の認識

実効性の高いコーポレート・ガバナンス実現の要請拡大。

高い倫理性に基づく企業活動、透明性ある企業活動の重要性増大。

機会(●)と

リスク(■)

●実効性の高いコーポレート・ガバナンスの実現を通じた持続的な企業価値の向上

●高い倫理性に基づく企業活動による会社に対する信頼性の向上

■コーポレート・ガバナンス及び内部統制の機能不全による適切な経営判断の欠如、事業停滞・低迷及び不祥事の発生とこれらを理由とするステークホルダーからの信頼低下

■役職員のコンプライアンス意識、倫理性の欠如による反競争的行為や腐敗・贈収賄等を含むコンプライアンス違反事案の発生

指標及び目標

(2050年度目標)

実効性の高いコーポレート・ガバナンスの実現、企業活動の透明性の維持

(2025年度目標)

サステナブル経営に必要な仕組み(リスク管理、情報開示体制等)の構築完了

主な対応策

サステナビリティ推進委員会を中心とする体制の維持、運用の継続

実効性あるコーポレート・ガバナンスとコンプライアンスの徹底

 

(3)リスク管理

 「(2)戦略」に記載しているサステナブルビジョン及び成功の柱は、当社グループの事業全体を貫く方針であり、目標であることから、事業投資、設備投資、開発投資をはじめ、事業戦略や人事戦略等各種経営戦略上の方針を示すとともに、リスク管理の方針でもある。

 当社グループのサステナビリティに関するリスクについて、サステナブルビジョン実現に不可欠な要素である「成功の柱(マテリアリティ)」を設定するにあたっては、社会課題の認識、機会及びリスクを分析した。特に、気候変動影響を受ける可能性が高い3つの事業(ごみ焼却発電事業、バイオガスプラント事業、風力発電事業)については、TCFDの枠組みに沿って1.5℃シナリオを含む複数のシナリオに基づくシナリオ分析を行っている。今後は、サステナビリティ推進委員会を中心に、中期経営計画の更新に合わせて定期的に見直しを行い、外部環境の変化を反映させていく。

 当社グループを取り巻く足元のリスクについて、事業特性に照らし影響度と発生可能性がともに大きいもの、さらにそれらの対策が十分であるかを評価することができるよう、主管部門や各種会議体のリスク対応体制の再整備を進める予定である。

 

(4)指標及び目標

(2)戦略」に記載している。

 

(5)人的資本に関する戦略並びに指標及び目標

 当社グループでは、職員の多様性を尊重し、また、人材に対する投資を通じて、各職員の能力やエンゲージメントの向上により企業価値を高め、持続的な成長につなげている。2023年度より開始する中期経営計画「Forward 25」の基本方針である「持続可能な経営の推進」においても、人的資本の強化を重点施策の1つとして位置付けている。人的資本の強化においては、「人」と「組織」の成長の好循環が「会社の成長」及び「企業価値の向上」を促進するという考えの下、経営戦略・事業戦略の実行に必要な「人材の採用・確保」、「適正配置・戦略的育成」、「人材の定着」を人材戦略の重点施策として掲げ、以下のとおり取り組んでいく。

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① 人材の採用・確保

 事業の維持・拡大に必要な人材の確保が重要であると同時に、性別、年齢、国籍等に関係なく多様な考え方、ルーツを持った人材の確保も欠かせないと考えている。このような人材の確保にあたっては、多様性を受容する組織風土、心理的安全性の高い職場環境、心身ともに健康で誰もが自身の持つ力を最大限発揮できる環境に加え、多様な働き方を提供する取組みに注力していく。

② 適正配置・戦略的育成

 確保した人材には、役割やキャリアに応じた自律的な学び、挑戦を促すだけでなく、個々人の能力や適性を見極め、キャリア形成やリスキリングの支援、また戦略的な人材配置の推進することで人材の流動化の促進にもつなげていく。特に、国内のみならず海外においても活躍できるグローバル人材、当社の企業価値向上の推進役となる経営人材、製品サービスの付加価値向上や業務効率化・生産性向上による働き方改革の実現を目指したDX人材の育成にも注力していく。

③ 人材の定着

 当社グループで長期間活躍する人材の定着のため、エンゲージメントの向上に向けた働き甲斐が感じられる環境の整備、若手及び管理職のモチベーションアップに向けた人事処遇制度の見直しや福利厚生制度の再構築、多様な経験や価値観等を活かしたD&I(ダイバーシティ&インクルージョン)によりイノベーションを起こす仕組みの整備に取り組んでいく。

 

 

上記の人材戦略の取組みにあたっては、「創業者精神・Hitz Valueの共有」「意識改革・風土改革」をはじめとする人材戦略の基盤となる項目を掲げている。特に、「エンゲージメント」、「ウェルビーイング」、「健康経営・安全」、「ワークライフバランス」、「D&I」に着目しており、健康経営の推進については、取締役社長を責任者として、産業医や健康保険組合等とも課題を共有し、各種施策を推進するなど、各項目の向上を目指した目標を設定している。

当該指標に関する目標及び実績は次のとおりである。

指標

目標(2025年度)

実績(当連結会計年度)

女性新卒採用率

事務系:50%

技術系:10%

事務系:28.6%

技術系:13.2%

       (注)2

男性の育児休暇・休業取得率

100%

90.3%

職員エンゲージメント指数

70%

55.9%

生活習慣病平均有所見率

21%未満

26.5%

(注)1.上記については当社グループに属する全ての会社(124社)で実施しているものではなく、連結グループにおける記載が困難であるため、当社単体の目標及び実績を記載している。

     2.女性新卒採用率の実績は、当連結会計年度における採用活動の実績として、2023年度新卒入社職員の数値

             を記載している。

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりである。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものである。

(1) 個別受注案件のリスク

当社グループでは、主力事業であるごみ焼却発電施設のEPC(設計・調達・建設)をはじめ、個別受注案件が多く、受注時の見積コストを上回る費用の発生、工程遅延による納期遅れ、あるいは技術・製品トラブル等に伴うペナルティが発生した場合には、収益の悪化により当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性がある。

当社では、これらの個別受注案件に伴うリスクの回避及びリスクが顕在化した場合の損失の最小化のため、次のとおり徹底したリスク管理に取り組んでいる。

 

① 受注段階におけるリスク管理体制

個別受注案件の見積段階において、関係各部門が、技術、コスト、納期、契約条件等に関するリスクの抽出及び評価を行った上でその対策を検討し、計画どおりに工事を完遂するためのリスク検討会を行う等、受注前にあらゆるリスクを検討した上で受注の可否を判断している。

 

■受注までのリスク管理プロセス

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② 受注後におけるリスク管理体制

当社グループの主要な大型受注案件については、次のとおり受注後も継続的にフォローする体制をとり、徹底した収益管理を行っている。

イ.工事期間中は、各事業部において、月次フォロー会議を開催し、工事の進捗状況・収益見込みについて継続的なモニタリングを行うことで課題の抽出、対応策を検討し、リスクの発生防止、影響の最小限化に努めている。特に重要な案件については、取締役社長が議長を務めるトップマネジメント・レビュー会議で進捗状況等を報告し、必要に応じて経営幹部による指示・助言を行っている。

ロ.工事完工後は、プロジェクト成果報告会を開催し、各工事における成果、課題等を水平展開することで、現在進行中及び今後の工事案件の収益強化及びトラブルの未然防止を図る。

 

③ 海外子会社受注案件のリスク管理体制

当社連結子会社のうち、Hitachi Zosen Inova AG、Osmoflo Holdings Pty Ltd、NAC International Inc.等の主要な海外子会社の受注案件については、その案件規模や契約条件等に鑑み、大きなリスクが想定される場合には、当社の事前承認を得ることを義務付けている。

さらに、Hitachi Zosen Inova AGについては、プロジェクトの進捗状況、収益状況等をタイムリーに把握するモニタリング組織を同社内に設置し、当社から人員を派遣して個別工事のリスク管理体制を強化している。

 

(2)事業環境等に関するリスク

当社グループを取り巻く事業環境等に関しては、次のとおりリスクを認識しており、各リスクに対する種々の対応策をとっているが、それらの対応策が有効に機能しない等によりリスクが解消できず、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性がある。

 

① 価格競争

当社グループの主要な製品・事業であるごみ焼却発電施設、舶用原動機、自動車用プレス機械、圧力容器等各種プロセス機器、橋梁等は成熟市場にあり、市場内に競合企業が多く、受注価格が下落傾向にある。当社グループでは、新技術の開発、アフターサービスの充実を図ること等により他社との製品差別化を図るとともに、人件費、経費等の固定費削減、固定費構造の変革による競争力の向上に取り組んでいるが、新規案件の減少に伴う競争激化によって受注価格がさらに下落する可能性もあり、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に悪影響を与える可能性がある。

 

② 素材価格の高騰

当社グループでは、鋼材、ステンレス等の非鉄金属製品、石油製品等を使用する製品・工事が多く、資材調達機能の集中化、グループ調達・共同購買の強化による資材費圧縮に取り組んでいるが、鋼材、非鉄金属、原油をはじめとした素材価格及びその二次製品の価格が上昇した場合、コストアップによる収益悪化や、価格面における競争優位性が得られなくなる等により、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に悪影響を与える可能性がある。

 

③ 海外事業、カントリーリスク

当社グループでは、環境事業の主力製品であるごみ焼却発電施設については、当社と当社連結子会社のHitachi Zosen Inova AGとの間で事業活動領域を区分し、当社は、東南アジア、中国、インド地域を、Hitachi Zosen Inova AGは、ロシアを含む欧州全域を主な事業活動領域としており、また、プロセス機器、使用済核燃料保管・輸送機器等の機械事業においては、全世界を事業活動領域として事業活動を展開している。現地のカントリーリスクに関しては、事業の計画段階で情報の収集に努めているが、事業開始後、予想外の政情不安、米中貿易問題、文化や法制度の相違、特殊な労使関係等によりリスクが顕在化した場合は、円滑な業務運営が妨げられ、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に悪影響を与える可能性がある。

なお、ロシア・ウクライナ情勢による影響については、業績への大きな影響はない見通しであるが、引き続き状況を注視し、業績への影響、コンプライアンスリスクや商務リスクについて精査を行いながら適切に対応していく。

 

④ 当社グループの事業構造に関するリスク

当社グループの事業構造は、今後は縮小が予想される国内案件の比率が高いことから、海外比率を高めるため、海外における事業活動を推進している。また、官需部門の環境事業で確固たる地位を確保している国内市場においても、さらに安定した事業構造とするべく、2023年度を初年度とする中期経営計画「Forward 25」においては、既存事業の持続的成長に向けて、海外事業の持続的伸長、事業構造改革の推進、継続的事業の拡大及び新設事業の収益改善を行っていくが、これらの事業構造改革が進まない場合には、収益の確保・向上が果たせず、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に悪影響を与える可能性がある。

 

 

⑤ 金利上昇及び為替変動

当社グループは、有利子負債の削減を軸に財務体質の強化を進めるとともに、社内管理規程に基づき、金利変動リスク及び為替変動リスクをヘッジしているが、想定以上の金利上昇や為替変動が発生した場合、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に悪影響を与える可能性がある。

 

⑥ 固定資産の減損

当社グループが保有する固定資産について、時価が著しく下落した場合や事業の損失が継続するような場合には、固定資産の減損損失の計上により、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性がある。

 

⑦ 繰延税金資産の回収可能性

当社グループは、将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金に対して、将来の課税所得を合理的に見積もった上で回収可能性を判断し、繰延税金資産を計上している。将来の課税所得については、経営環境の変化などを踏まえ適宜見直しを行っているが、結果として繰延税金資産の全額または一部に回収可能性がないと判断し、繰延税金資産の取崩しが必要となった場合、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性がある。

 

⑧ 災害

当社グループは、地震、台風、パンデミック等の各種災害による損害を最小限に抑えるため、国内主要拠点における事業継続計画を策定し、定期的に訓練を実施する等有事の対応力強化に努めるとともに、緊急時に役職員(家族を含む)の安否を確認するための「安否確認システム」を導入・運用しているが、想定外の大規模な人的・物的被害が発生した場合には、事業活動の停止により、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に悪影響を与える可能性がある。

 

⑨ 法令違反等

当社グループでは、コンプライアンスの徹底を経営の最重要課題の一つと位置付けており、当社にコンプライアンス委員会を設置して、コンプライアンス経営推進のための諸施策を継続的に実施している。具体的には、当社グループの役職員全員が遵守すべき倫理行動指針をまとめた「Hitzグループ倫理行動憲章」を制定し、コンプライアンス遵守についてのトップメッセージの発信、社内規程の整備・運用、定期的なコンプライアンス教育の実施、内部通報体制の整備等を行っているが、このような当社グループの経営姿勢が徹底されず、法令違反等を発生させた場合には、罰金や課徴金、損害賠償金等の支払い、営業停止や指名停止等の行政処分、社会的信用の失墜等により、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に悪影響を与える可能性がある。

 

(3) 重要な訴訟等

当社が、当社連結子会社Hitachi Zosen U.S.A. Ltd.(以下、HZUSAという。)経由で、米国の土木建設会社JVに納めたシールド掘進機が、掘削工事中に停止した。同掘進機の修理を行い2017年4月に掘削を完了したが、この事態に関して、当該JVが提起した保険金請求権確認訴訟にHZUSAが原告として参加し、他方、当該JVから当社及びHZUSAに損害賠償請求訴訟が提起された。いずれも米国の裁判所で係属中であったが、本損害賠償請求訴訟については、2019年10月4日に当該JVとの間で和解契約を締結し、取り下げられた。当該和解契約には、現在係属中の上記保険金請求権確認訴訟に関する合意条件が含まれるが、当社が将来的に損失を一部回復するか、追加の損失を被るかは、上記保険金請求権確認訴訟の結果次第であり、現時点においてその金額を合理的に見積もることは困難である。詳細な合意条件に関しては、和解契約に秘密保持条項が含まれるため開示は差し控える。

また、国内・海外案件共に予期し得ない事由により、仲裁・訴訟等が提起される場合があり、これらの仲裁や訴訟手続の動向により、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に悪影響を与える可能性がある。

 

(4) 新型コロナウイルス感染症による影響

新型コロナウイルス感染症が当社グループに及ぼす影響については、現時点で業績に与える影響は限定的であると考えているが、新型コロナウイルス感染症による影響が再び長期化あるいは拡大した場合には、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に悪影響を与える可能性がある。

 

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況(以下、経営成績等という。)の概要は次のとおりである。

なお、当連結会計年度より、セグメント区分を変更している。これに伴い、前連結会計年度の数値についても、変更後の区分に組み替えて記載している。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりである。

 

①経営成績

科目

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

前期比

(百万円)

前期比(%)

売上高

441,797

492,692

50,895

11.5

営業利益

15,541

20,056

4,515

29.1

経常利益

11,783

17,834

6,050

51.3

親会社株主に

帰属する当期純利益

7,899

15,577

7,678

97.2

 

当連結会計年度の経済情勢は、一部に弱さが見られるものの緩やかに持ち直している。先行きについては、ウィズコロナの下で景気が持ち直していくことが期待されるが、世界的な金融引き締め等が続く中、海外景気の下振れが国内景気を下押しするリスクとなっている。物価上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動等の影響に留意する必要がある。

こうした中で、当社グループでは、2020年度からスタートした中期経営計画「Forward 22」のもと、製品・サービスの付加価値向上、事業の選択・集中の推進とリソースの伸長分野へのシフト、業務効率化・生産性向上による働き方改革の実現を基本方針として、各種重点施策を鋭意推進してきた。

当連結会計年度の経営成績について、売上高は環境部門の大幅な増加等により、前連結会計年度に比べて50,895百万円(11.5%)増加の492,692百万円となった。

損益面では、営業利益は、前連結会計年度に比べ4,515百万円(29.1%)増加の20,056百万円となった。経常利益は、前連結会計年度に比べ6,050百万円(51.3%)増加の17,834百万円となった。親会社株主に帰属する当期純利益については、前連結会計年度に比べ7,678百万円(97.2%)増加の15,577百万円となった。

 

②財政状態

科目

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

前期比

(百万円)

前期比(%)

連結総資産

461,161

479,682

18,520

4.0

流動資産

292,241

318,853

26,612

9.1

固定資産

168,826

160,760

△8,065

△4.8

負債の部

328,234

338,370

10,135

3.1

純資産の部

132,926

141,311

8,385

6.3

 

当連結会計年度末の財政状態について、連結総資産は前連結会計年度末に比べ18,520百万円増加の479,682百万円となった。このうち、流動資産は、前連結会計年度末の292,241百万円から26,612百万円(9.1%)増加し、318,853百万円となった。これは、主として売上高増加に伴う受取手形、売掛金及び契約資産の増加と現金及び預金の増加等によるものである。固定資産は、前連結会計年度末の168,826百万円から8,065百万円(4.8%)減少し、160,760百万円となった。これは、主として当連結会計年度に㈱オーナミが連結の範囲から除外されたことによるものである。

負債の部は、前連結会計年度末の328,234百万円から10,135百万円(3.1%)増加し、338,370百万円となった。これは、主として契約負債の増加等によるものである。

純資産の部は、前連結会計年度末の132,926百万円から8,385百万円(6.3%)増加し、141,311百万円となった。これは、主として親会社株主に帰属する当期純利益の計上等によるものである。

 

③キャッシュ・フローの状況

科目

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

前期比

(百万円)

営業活動によるキャッシュ・フロー

26,858

28,008

1,150

投資活動によるキャッシュ・フロー

943

△2,462

△3,405

財務活動によるキャッシュ・フロー

△8,759

△7,841

917

現金及び現金同等物の期末残高

65,956

84,874

18,918

 

当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動により獲得した資金が、投資活動及び財務活動により使用した資金を上回ったことにより、前連結会計年度末に比べ18,918百万円(28.7%)増加の84,874百万円となった。なお、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりである。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において営業活動により獲得した資金は、前連結会計年度を1,150百万円(4.3%)上回る28,008百万円となった。これは、主として税金等調整前当期純利益の計上等を反映したものである。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において投資活動により使用した資金は2,462百万円となった(前連結会計年度は943百万円の資金の獲得)。これは、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による収入があったものの、設備投資による支出等を反映したものである。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において財務活動により使用した資金は、前連結会計年度を917百万円(10.5%)下回る7,841百万円となった。これは、長期借入金の返済による支出や配当金の支払い等を反映したものである。

 

④生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

環境

354,936

13.8

機械・インフラ

109,375

5.8

脱炭素化

54,756

15.1

その他

18,105

26.0

合計

537,173

12.6

(注)金額は、販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去している。

 

b.受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前期比(%)

受注残高

(百万円)

前期比(%)

環境

561,210

6.0

1,150,388

30.3

機械・インフラ

90,246

△7.1

87,278

△26.5

脱炭素化

76,199

76.9

79,622

402.2

その他

9,874

17.8

424

36.2

合計

737,530

8.8

1,317,714

29.4

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去している。

2.受注残高の前期比の算出にあたっては、為替レート変動による影響額を前期末受注残高において修正している。

 

c.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

環境

348,109

13.3

機械・インフラ

88,227

2.1

脱炭素化

46,660

17.0

その他

9,695

16.0

合計

492,692

11.5

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去している。

2.主な相手先別の販売実績については、総販売実績に対し10%以上に該当する販売先がないため、記載を省略している。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。

 

①重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しており、連結財務諸表の作成に当たっての重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 .(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載している。

また、工事契約に係る収益認識、貸倒引当金、保証工事引当金及び工事損失引当金等の重要な引当金の計上、固定資産の減損ならびに繰延税金資産の回収可能性の判断などの見積りについては、それぞれ合理的な基準に基づいて実施している。連結財務諸表作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載している。

 

②当連結会計年度の経営成績の分析

a.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度は、期初時点の見通しと比較して、売上高・利益項目ともに達成することができた。

また、SDGs(持続可能な開発目標)の概念が世界的に広がり、持続可能な開発・循環型社会の実現に向けて社会は動き出している。この動きは、事業・製品を通じてサステナブル(持続可能)で、安全・安心な社会の実現に貢献するという当社グループの事業の方向性と一致している。

こうした状況を踏まえ、当社は、2023年度から3か年の中期経営計画「Forward 25」を策定した。

詳細は「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1) 経営方針、経営戦略等」に記載している。

 

b.資本の財源及び資金の流動性に係る情報

(財務戦略の基本的な考え方)

当社グループは、流動性の確保と財務体質の強化を基本方針として掲げている。

流動性の確保については、CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)の短縮等による営業キャッシュ・フローの底上げ、国内のグループ会社間でのキャッシュマネジメントシステムによるグループ内の余剰資金の有効活用により、流動性確保、資金効率化を図っている。また、資本市場へのアクセスの継続等により、長期安定資金の確保に対応するとともに、国内金融機関においてコミットメントライン300億円を設定し、マーケット環境の一時的な変化等不測の事態にも対応できる体制を整えている。

財務体質の強化については、格付向上を目指し、自己資本の更なる充実と有利子負債のコントロールに努めていく。

 また、当社グループは、2023年度を初年度とする中期経営計画(Forward25)において、戦略的な事業投資・開発投資等の実行により、成長事業の創出・拡大をスピードアップする方針である。重点分野である脱炭素化、資源循環、水事業およびライフサイエンス関連事業を中心に投資総額は3年間で1,400億円を計画している。成長投資に対応しつつ財務健全性の維持・向上を目指すとともに安定的な株主還元を実施し、企業価値の向上に努める。

 

(資金調達に関する考え方)

当社グループは、流動性の確保と資金調達の多様化を目的とし、金融機関からの借入およびグリーンボンドを含む社債発行による調達を行っている。地球温暖化対策や再生可能エネルギー等の事業に取り組む当社グループでは、今後もグリーンボンドをはじめとするグリーンファイナンスを積極的に活用していく。

 

c.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループでは、2023年度からスタートした中期経営計画「Forward 25」にて、2030年度は売上高900,000百万円レベル、2030年度営業利益率10%の目標を掲げている。2023年度は、売上高520,000百万円、営業利益22,000百万円となる見通しである。

ロシア・ウクライナ情勢及び新型コロナウイルス感染症の影響が今後さらに拡大する、もしくは影響が長期化するといった状況になれば、収益目標の達成にマイナスの影響が生じるリスクがあるものの、現時点ではそうした影響を織り込んでいない。

 

d.セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

セグメント

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

前期比

(百万円)

売上高

営業利益

売上高

営業利益

売上高

営業利益

環境

307,176

12,428

348,109

15,047

40,932

2,618

機械・インフラ

86,375

2,215

88,227

3,444

1,851

1,229

脱炭素化

39,889

401

46,660

413

6,771

11

その他

8,356

525

9,695

1,072

1,339

547

セグメント計

441,797

15,571

492,692

19,978

50,895

4,406

調整額

△29

78

108

合計

441,797

15,541

492,692

20,056

50,895

4,515

 

(環境)

売上高は、海外ごみ焼却発電施設等の大口工事の進捗により、前連結会計年度に比べ40,932百万円(13.3%)増加の348,109百万円となった。

セグメント利益は、国内新製品のコスト増による収益悪化があったものの、海外子会社の収益改善等により、前連結会計年度に比べ2,618百万円(21.1%)増加の15,047百万円となった。

(機械・インフラ)

売上高は、自動車業界向けプレス機械及び精密機械の増加により、前連結会計年度に比べ1,851百万円(2.1%)増加の88,227百万円となった。

セグメント利益は、前連結会計年度に比べ1,229百万円(55.5%)増加の3,444百万円となった。

(脱炭素化)

売上高は、プロセス機器及び舶用原動機の増加等により、前連結会計年度に比べ6,771百万円(17.0%)増加の46,660百万円となった。

セグメント利益は、舶用原動機の収益悪化があったものの、プロセス機器の収益改善により、前連結会計年度に比べ11百万円(2.9%)増加の413百万円となった。

(その他)

売上高は前連結会計年度に比べ1,339百万円(16.0%)増加の9,695百万円、セグメント利益は547百万円(104.1%)増加の1,072百万円となった。

5【経営上の重要な契約等】

(1)技術受入契約

契約会社名

契約の相手方

契約品目

契約内容

契約期間

国籍

名称

日立造船㈱

スイス

Hitachi Zosen Inova AG(連結子会社)

塵芥焼却装置

1.産業財産権の実施権の設定

2.技術情報の提供

3.製造権及び販売権の許諾

2003年8月から

2024年9月まで

日立造船㈱

ドイツ

MAN Energy Solutions SE

MAN B&W型ディーゼル機関

1.産業財産権の実施権の設定

2.技術情報の提供

3.製造権及び販売権の許諾

1981年7月から

2031年12月まで

 

(2)賃借契約

契約会社名

契約の相手方

賃借設備の名称及び所在地

用途

賃借期間

日立造船㈱

SMFLみらいパートナーズ㈱

堺工場(大阪府堺市)

土地 216,543.20㎡

産業機械、鉄構製品の製造工場として使用

2020年3月27日~

(継続使用)

 

(3)連結子会社(日本プスネス株式会社)株式の譲渡

 当社は、2022年9月26日開催の取締役会において、当社の連結子会社である日本プスネス株式会社(以下、「日本プスネス」)の当社が保有する全株式を今治造船株式会社(以下、「今治造船」)に譲渡することを決定し、同日、株式譲渡契約を締結した。

 この株式譲渡契約の概要は次のとおりである。

① 株式譲渡の理由

 当社は、サステナブルで、安全・安心な社会の実現に貢献する「ソリューションパートナー」を目指し、顧客の課題解決に取り組んでいる。その実現に向けて、2020年度から3か年の中期経営計画「Forward 22」のもと、収益力の強化に取り組んできたが、基本方針のひとつとして、事業の選択・集中とリソースの伸長分野へのシフトを推進してきた。このような状況の中で、当社が保有する日本プスネスの全株式を今治造船へ譲渡し、今治造船が日本プスネスの親会社となることで、日本プスネスについても、今治造船の企業経営に関するノウハウ及びネットワークを利用することができ、企業価値向上に向けた一層の事業効率化、競争力強化が期待できると判断したものである。

② 譲渡対象子会社の概要

名称        :日本プスネス株式会社

所在地       :山口県下関市武久町二丁目18番6号

代表者の役職・氏名 :取締役社長 堀 雅人

事業内容      :甲板機械製造販売、甲板機械部品の供給及びアフターサービス

資本金       :450百万円

設立年月日     :1976年(昭和51年)7月28日

大株主及び持ち株比率:日立造船株式会社 8,145株(90.5%)

業績(2022年3月期):売上高 3,931百万円

営業損失 248百万円

経常損失 214百万円

当期純損失 319百万円

(注)本株式譲渡により、日本プスネスの100%子会社である株式会社瀬戸崎鐵工所についても、当社連結対象から除外された。

③ 株式譲渡の相手先の概要

名称        :今治造船株式会社

所在地       :愛媛県今治市小浦町一丁目4番52号

代表者の役職・氏名 :代表取締役社長 檜垣 幸人

事業内容      :船舶の製造

資本金       :30,000百万円

設立年月日     :1942年(昭和17年)1月15日

 

④ 譲渡株式数及び異動前後の所有株式の状況

異動前の所有株式数 :8,145株(議決権所有割合:90.5%)

譲渡株式数     :8,145株

異動後の所有株式数 :0株(議決権所有割合:0%)

⑤ 株式譲渡実行日

 2022年10月31日

 

(4)連結子会社との吸収分割(簡易分割)及び同社への出資受け入れに係る契約

 当社は、2022年12月14日開催の取締役会において、当社の舶用原動機事業(以下「本事業」といい、舶用原動機の製造及びアフターサービス事業を対象とする)を吸収分割(以下「本吸収分割」)により、2022年11月24日付で設立した当社の完全子会社であるヒッツ舶用原動機設立準備株式会社(以下「新会社」。なお、2023年4月1日付で商号を「日立造船マリンエンジン株式会社」に変更している。)に承継させるとともに、新会社による第三者割当増資の方法により、今治造船株式会社(以下「今治造船」)から35%の資本参加を受け入れること(以下「本第三者割当増資」といい、本吸収分割と本第三者割当増資を総称して「本取引」という)に関する法的拘束力のある最終契約である基本契約を締結することを決定し、同日、新会社と本吸収分割に係る吸収分割契約を、今治造船と本第三者割当増資に係る基本契約を締結した。

本取引の概要は次のとおりである。

① 本取引の目的

 当社は、1940年より舶用原動機の製造を開始し、舶用原動機における世界の二大ブランドメーカーである

MAN Energy Solutions社(ドイツ)とWinterthur Gas & Diesel社(スイス)の国内唯一のダブルライセンシーとして、国内外の造船会社向けに累計4,285万馬力、2,975台(2022年9月実績値)を製造してきたが、当社が手掛ける本事業ならびに今治造船が手掛ける造船事業は、国内外での競争激化や鋼材等資源価格の変動といった厳しい事業環境にあり、また、カーボンニュートラルに向けた舶用原動機の燃料転換やゼロエミッション船開発等、期待される技術水準は近年ますます高まっている。当社は、このように近年厳しさを増す事業環境のもとで、今後の更なる環境変化も見据えた事業体制の再構築による競争力の強化や、効率的な事業運営を通じた収益性の改善・向上のための検討を続けてきたが、本取引は、当社及び今治造船にとって、舶用原動機の安定的な供給・調達に資するものであり、さらには、販売供給網の強化による売上拡大や今治造船の資材調達力を活用したコスト低減を通じた収益性向上、開発投資資金の確保及び開発体制の強化に繋がると判断したものである。

② 本吸収分割の方法

 当社を分割会社とし、新会社を承継会社とする吸収分割

③ 本吸収分割の分割期日

 2023年4月1日

④ 本吸収分割に係る割当ての内容

 承継会社である新会社は、当社の完全子会社であるため、本吸収分割に際して、新会社は当社に対して、株式、金銭その他の財産の交付を行わない。ただし、本吸収分割後、新会社は今治造船に対して第三者割当増資を実施している。

⑤ 本吸収分割により増減する資本金

 本吸収分割による資本金の増減はない。

⑥ 本吸収分割により分割する資産、負債の状況

 資産:15,196百万円

 負債: 7,638百万円

   (注)本事業の運営上必要となる建物、機械等の一部を新会社に承継した。ただし、本事業における主要な製造拠点である当社有明工場の土地については分割対象外とし、別途、当社と新会社の間で賃貸借契約を締結している。

 

⑦ 吸収分割承継会社の概要

 名称   :ヒッツ舶用原動機設立準備株式会社(2023年4月1日付で「日立造船マリンエンジン株式会社」

に商号変更)

 本店所在地:熊本県玉名郡長洲町大字有明1番地

 代表者  :代表取締役 取締役社長 山口 実浩

 事業内容  :舶用原動機の新造事業及びアフターサービス事業

 資本金    :65,000円(本第三者割当増資後は、1,750,065,000円となっている。)

 決算期    :3月31日

⑧ 新会社による今治造船に対する第三者割当増資の概要

 発行株式数                :35,000株

 割当先                    :今治造船株式会社

 払込期日、第三者割当実行日:2023年4月1日

 増加する資本金            :1,750,000,000円

 

(5)連結子会社(株式会社オーナミ)株式の譲渡

 当社は、2022年12月5日開催の取締役会において、当社の連結子会社である株式会社オーナミ(以下、「オーナミ」)の発行済株式の66.6%(小数点第二位以下を切り捨て)をセンコーグループホールディングス株式会社(以下「センコーGHD」)に譲渡すること(以下「本件株式譲渡」という。)を決定し、同日、センコーGHDと本件株式譲渡に係る株式譲渡契約を締結した。

 この株式譲渡契約の概要は次のとおりである。

① 株式譲渡の理由

 オーナミは、1949年設立以来、当社子会社(2016年に当社が完全子会社化)として大型構造物等の総合物流事業を展開し、当社グループにおける物流事業を担ってきた。当社は、中期経営計画「Forward 22」の中で事業ポートフォリオの最適化を推進しており、物流業界を取り巻く事業環境が厳しくなる中、オーナミの脱炭素化及びDXの取り組みの推進がかなう物流会社との提携について検討を続けてきた結果、センコーGHDと協業することが、オーナミの更なる事業機会の拡大、経営基盤の強化につながると判断し、本件株式譲渡を行うことを決定したものである。

② 譲渡対象子会社の概要

名称                :株式会社オーナミ

所在地       :大阪市西区江戸堀二丁目6番33号

代表者の役職・氏名 :代表取締役 取締役社長 森本 勝一

事業内容      :倉庫業・一般港湾運送業・貨物自動車運送業・梱包業・自動車整備業・損害保険代

理業・産業廃棄物及び特別管理産業廃棄物収集運搬業・港湾荷役業・内航海運業

・建設業・通関業・海運代理業・その他附帯業務

資本金       :525百万円

設立年月      :1949年11月

大株主及び持ち株比率:日立造船株式会社 100%

③ 株式譲渡の相手先の概要

名称        :センコーグループホールディングス株式会社

所在地       :東京都江東区潮見2-8-10 潮見SIFビル

代表者の役職・氏名 :代表取締役社長 福田 泰久

事業内容      :物流事業、商事事業、ライフサポート事業、ビジネスサポート事業

資本金       :28,479百万円

設立年月      :1946年7月

④ 譲渡株式数及び異動前後の所有株式の状況

異動前の所有株式数 :10,455,074株(議決権所有割合:100%)

譲渡株式数     :6,970,049株

異動後の所有株式数 :3,485,025株(議決権所有割合:33.4%)

⑤ 株式譲渡実行日

2023年2月28日

 

6【研究開発活動】

当社グループ(当社及び連結子会社)においては、中期経営計画「Forward 22」のもと、環境及び機械・インフラの各事業に加えて、脱炭素化社会構築に資する事業化を目指し、当連結会計年度に事業本部を設置した脱炭素化事業においても、現有製品の高性能化及び新製品開発に取り組んできた。

当社グループの研究開発体制としては、当社開発本部の下に、戦略企画部及び技術研究所を設けて事業戦略の構築と新規事業の企画を推進するとともに、当社グループの技術基盤となる研究開発を行い、また、既存事業領域以外の分野として、全固体リチウムイオン電池の事業化推進に取り組む電池事業推進室を設置して、開発・事業化等に取り組んできた。さらに、各事業本部の下に開発センターを設けて、製品開発段階にあるテーマの事業化の加速に取り組んできた。

当連結会計年度における研究開発費は、8,581百万円である。また、当社では、環境省及び国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)等からの受託研究にかかる費用として別途1,531百万円がある。

 

(セグメントごとの主な研究開発活動)

環境部門では、当社が、ごみ処理における地球環境問題への取組みとして、清掃工場でのAIを活用した燃焼制御の研究開発を行ったほか、環境省委託事業「高効率エネルギー利活用に向けた次世代型廃棄物処理システムの開発」において、大阪広域環境施設組合舞洲工場の熱分解ガス化改質システム実証プラントで、一般廃棄物中の可燃物を可燃ガスに変換する実証試験の実施、また、同委託事業「清掃工場から回収した二酸化炭素の資源化による炭素循環モデルの構築実証事業」において、小田原市環境事業センターでの国内最大となるメタネーション設備の実証を行った。水処理分野では、陸上養殖システムや、下水汚泥からの水素製造プロセスなどの開発を行った。なお、当部門にかかる研究開発費は、3,343百万円である。別途、当社における受託研究にかかる費用として1,091百万円がある。

機械・インフラ部門では、当社が、ロールtoロールをはじめとする精密機械関連の開発を行ったほか、ライフサイエンス関連において、深紫外線LEDを用いた空気除菌機の開発、AI画像処理を活用した製品の開発、水門等のインフラ設備監視システムの開発等を行った。なお、当部門にかかる研究開発費は、1,531百万円である。別途、当社における受託研究にかかる費用として1百万円がある。

脱炭素化部門では、当社が、使用済核燃料輸送・貯蔵兼用容器の開発を行ったほか、着床式洋上風力発電の低コスト化を実現するサクションバケット基礎の施工技術の実証、さらに、NEDOのグリーンイノベーション基金事業として採択された3つの事業「次世代船舶の開発」「洋上風力発電の低コスト化」「再生可能エネルギー等由来の電力を活用した水電解による水素製造」にて、LNG燃料船から排出されるメタンを酸化させるシステム、セミサブ型ハイブリッド浮体、及び水電解装置の大型化・モジュール化の各開発に取り組んだ。なお、当部門にかかる研究開発費は、2,025百万円である。別途、当社における受託研究にかかる費用として392百万円がある。

その他部門では、当社の技術研究所が、流体や構造、材料等の数値シミュレーション、AI及びIoTの各種製品への適用技術開発、スマート工場化に向けた自動化技術開発、デジタルエンジニアリングを活用した技術基盤の強化と先端技術導入を図り、製品の競争力向上を推進した。加えて、カーボンニュートラルに資する燃料合成やCO2回収技術等の開発に着手した。また、当社は、全固体リチウムイオン電池の容量を更に高め、かつ量産化を行うための開発を行った。なお、当部門にかかる研究開発費は、1,680百万円である。別途、当社における受託研究にかかる費用として47百万円がある。