第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

当社は下記の3つのCを企業理念とし、「金融商品取引を通じて世界中の人々に平等な投資のチャンスを提供する為、低価格戦略及びフルラインアップ戦略を共に採用し挑戦し続けマーケットリーダーを目指します。」を会社経営の基本方針としております。

 

人と世界をつなぐ

 Customer satisfaction

サポート体制の強化、顧客ニーズの早期実現など、常にお客様に期待以上のサービスを提供するよう尽力します。

 Challenge

誰も経験したことのない、利用価値の高い取引環境を低コストで提供するため、あらゆる可能性を信じ挑戦し続けます。

 Compliance

法令遵守はもとより顧客から高い信頼を得られるよう、コンプライアンスの概念を全社員が受容し、推進し続けるよう徹底した社員教育を行います。

 

 

(2) 中長期的な会社の経営戦略

当社グループでは、顧客ニーズの素早い把握・実現、取引システムの安定稼働、他社との差別化を図ったブランディング力の強化及びホワイトラベルの提供等による収益源の多様化等により安定した収益の確保を図りつつ、顧客が投資を行いやすいように、厳選されたキャンペーンの実施をしてまいります。更に、海外子会社を中心に世界市場の開拓を行い、世界的にも顧客基盤の拡充を図ってまいります。また、内部管理体制の強化や社内コンプライアンス研修の充実により、顧客ニーズを反映させたサービス提供ができる社内体制を構築してまいります。

 

(3) 目標とする経営指標

当社グループは、財務の健全性を図る指標として、国内においては金融商品取引法により金融商品取引業者に一定水準以上に保つことが義務付けられている自己資本規制比率を掲げており、英国においては金融商品取引業者に一定基準以上に保つことが義務付けられているCapital Requirementを掲げております。また、同業他社と比較するに当たり顧客口座数、受入証拠金等を重視し、業績管理に活用しております。

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループは、既存事業の一層の拡大及び安定的な収益計上への取組みが課題であると認識しており、今後の更なる成長のため、以下の内容を優先的に対処すべき課題ととらえ、対応に取り組んでまいります。

 

① 顧客ニーズの実現

当社グループは、競争が激化する外国為替証拠金取引事業において、競争優位性を確保するためには、顧客ニーズの把握及び実現が、重要な課題の一つであると認識しております。

そのため、当社グループは、取引システムの操作性の向上、スプレッドの縮小等による取引コストの削減、顧客の取引収益向上につながる情報の配信、キャンペーンの継続・条件の向上等顧客ニーズを素早く把握するとともに、これらの施策を早いサイクルで実現するための社内関係部門との連携及びシステム会社との連携を強化しております。今後もこれらの取組みについて、一層のスピードアップを図ることにより、顧客ニーズの実現に努めてまいります。

 

 

② 取引システムの安定稼働

当社グループの主要な事業である金融商品取引事業は、100%オンラインシステムにより運営しており、取引システムの安定稼働が、重要な課題の一つであると認識しております。

そのため、当社グループは、取引システムに関する保守・運用面の継続的な改善の他、災害や大規模なシステム障害等の有事に備えた「事業継続計画」の強化にも努めてまいります。

 

③ ブランディング力の強化

当社グループは、競争が激化する外国為替証拠金取引事業において、競争優位性を確保するためには、ブランディング力の強化による同業他社との差別化が、重要な課題の一つであると認識しております。

そのため、当社グループは、顧客ニーズを反映した取引アプリケーションの改善、スプレッド等の取引条件の最適化、ユニークなキャンペーンの実施及び社会貢献活動等を通じて当社グループの地位を明確化し、マス広告やWeb広告等を用いて認知度向上に努めてまいります。

 

④ 収益源の多様化

当社グループは、営業収益の大部分を外国為替証拠金取引事業に依存しており、外国為替市場の環境に影響を受ける可能性が高いため、外国為替市場の環境による収益面の不安定要素を軽減するとともに、安定した営業収益を確保するため、収益源の多様化を図ることが、重要な課題の一つであると認識しております。

当社グループでは、外国為替証拠金取引業者向けにホワイトラベルサービスの提供、カウンターパーティとしてカバー取引を行うなど国内外の金融商品取引業者を対象とした取引(BtoB)にも取り組んでおります。

また、外国為替証拠金取引で蓄積したノウハウをもとに、店頭証券CFD取引など外国為替証拠金取引以外の金融商品の顧客向けサービス提供にも取り組んでまいります。

 

⑤ 海外事業の拡大

当社グループは、更なる収益基盤の拡大を図るため、海外において事業を拡大することが、重要な課題の一つであると認識しております。

そのため、英国の連結子会社HIROSE FINANCIAL UK LTD.、香港の連結子会社HIROSE TRADING HK LIMITED、マレーシアの連結子会社Hirose Financial MY Limitedに加え、2023年9月にアンティグア・バーブーダにHirose Solutions Limitedを設立しました。国内の外国為替証拠金取引事業で蓄積したノウハウを強みとし、各国の慣習や海外における金融商品の状況の把握、各国の顧客ニーズに対応したサービスの提供、低コストサービスの提供等により、海外での競争力の向上及び収益の増加に取り組んでまいります。

 

⑥ 優秀な人材の確保と育成

顧客への適切なサービスの提供、顧客満足度の向上を図るためには、金融商品取引業者の社員として、適切な知識、認識、サービス精神を持った優秀な人材の確保と継続的な社員育成が、重要な課題の一つであると認識しております。

そのため、当社グループの中心的存在として業務に取り組む意欲ある人材の採用・育成を積極的に行っております。また、経営理念、コンプライアンスプログラム、規程等に基づく研修をはじめ、顧客満足度向上への取組みとして、カスタマーサポート担当社員はもとより、全社員を対象として育成を図ってまいります。

 

⑦ コンプライアンス体制の確立

当社グループの取り扱う金融商品取引は、「金融商品取引法」、「金融サービスの提供及び利用環境の整備等に関する法律」及び「犯罪による収益の移転防止に関する法律」等により、顧客の適合性の審査、広告掲載内容の審査、リスク説明、商品説明、疑わしい取引の防止等が義務付けられており、コンプライアンス体制の確立が、重要な課題の一つであると認識しております。

当社グループでは、「コンプライアンス管理規程」、「コンプライアンスマニュアル」等の制定を行い、コンプライアンス体制を強化し、高い倫理観をもって企業活動に取り組んでおります。また、役職員に対してコンプライアンスの周知徹底を目的とした研修等を定期的に実施し、グループ全体でコンプライアンスに対する意識向上に努めております。更に、個人情報について適切な保護措置が重要であると考え、一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)が運営するプライバシーマーク取得企業として個人情報保護体制の適切な整備・運用を確保し、個人情報保護に対する意識向上を図っております。

今後においても、役職員に対するコンプライアンスの周知徹底、教育、啓蒙活動を通じ、企業情報の適時開示体制を含めたコンプライアンス体制の確立を図ってまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。

 

(1) ガバナンス

当社グループのコーポレート・ガバナンス体制は、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載のとおりです。サステナビリティ関連のリスク及び機会に対するガバナンス体制についても、この体制のもとで運営しており、取締役会をサステナビリティ全般に関する最終的な監督の責任と権限を有する機関としております。

 

(2) 戦略

  サステナビリティに関する戦略

短期、中期及び長期にわたり当社グループの経営方針・経営戦略等に影響を与える可能性があるサステナビリティ関連のリスク及び機会に対処するための取組のうち、重要なものについて、該当事項はありません。

 

②人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略

当社グループにおける、人材育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は以下のとおりです。

 

イ 人材育成方針

顧客への適切なサービスの提供、顧客満足度の向上を図るためには、金融商品取引業者の社員として、適切な知識、認識、サービス精神を持った優秀な人材の確保と継続的な社員育成が、重要な課題の一つであると認識しております。そのため、当社グループの中心的存在として業務に取り組む意欲ある人材の採用・育成を積極的に行っております。また、経営理念、コンプライアンスプログラム、規程等に基づく研修をはじめ、顧客満足度向上への取組みとして、カスタマーサポート担当社員はもとより、全社員に対して育成を図ってまいります。

 

ロ 社内環境整備に関する方針

当社グループでは、社員の多様性を活かし、一人一人の成長をサポートすることが持続的かつ安定的な組織成長につながると考え、多様な属性、才能、経験等をもった人材を積極的に採用しております。また、出産・育児等のライフステージの変化にも柔軟に対応できるよう、仕事と育児の両立支援として、出産育児休暇・休業、時短勤務制度等の諸制度を整備し、職場環境の醸成に向けて積極的に取り組んでおります。

 

(3) リスク管理

当社グループでは、サステナビリティについての問題は重要課題であると認識しており、取締役会がモニタリング・監督を行うこととしております。サステナビリティ関連のリスク及び機会の評価と、関連する目標や取組の進捗状況は、定期的に取締役会へ報告されることにより、取締役会による実効性のある監督を可能としております。

 

 

(4) 指標及び目標

人材の育成及び社内環境整備に関する方針についての指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績は下記のとおりです。

なお、当社グループでは、上記「(2) 戦略 ②人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略」において記載した内容に係る指標については、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに具体的な取り組みが行われているものの、連結グループに属する全ての会社では行われてはいないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、次の指標に関する目標および実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。

 

指標

実績

 目標(2030年度末

女性管理職比率

50.0

50.0

 

(注) 1.女性管理職比率については、出向者を出向先の従業員として集計しております。

  2.女性管理職比率については、使用人兼務取締役を除いて集計しております。

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 当社グループの事業環境に係るリスクについて

イ 外国為替証拠金取引市場について

当社グループの主要な事業である外国為替証拠金取引事業は、多様化する個人資産運用の気運や株式運用の個人ネット顧客の参入等により、活況を呈しております。当社では、今後も継続的な成長が見込める市場として取引規模も拡大すると考えております。

しかしながら、景気動向や金融情勢または競合商品の出現等により、市場が縮小する可能性があります。その場合、当社グループの財政状態及び経営成績等に重大な影響を与える可能性があります。

 

ロ 為替変動が当社グループに与える影響について

当社グループの主要な収益源は、顧客の取引によるトレーディング損益であります。トレーディング損益は顧客の取引高の増減に大きく左右され、顧客の取引高は為替変動に大きく左右されます。為替変動率が高い場合は、顧客の取引高が増加し、反対に為替変動率が低い場合、顧客の取引高が減少する傾向にあります。また、為替変動が当社グループの顧客に不利に働き損失が過大となった場合は、投資意欲が減退し取引高が減少することも想定されます。

そのため、このような状態が続いた場合、当社が想定する以上に取引高が減少するような事態が発生し、当社グループの財政状態及び経営成績等に重大な影響を与える可能性があります。

 

ハ 為替市場の流動性が当社グループに与える影響について

当社グループでは、顧客との取引により生じるポジションの為替変動リスクを回避するため、複数のカウンターパーティとカバー取引を行っております。

しかしながら、天災地変、戦争、テロ、規制の強化、伝染病・感染症等何らかの事由により急激な為替変動が発生した場合や、為替市場の流動性が低下した場合、当社グループはカウンターパーティとのカバー取引ができなくなり、顧客との取引により生じるポジションの為替変動リスクを回避することができなくなる可能性があります。その場合、当社グループの財政状態及び経営成績等に重大な影響を与える可能性があります。

 

ニ 外国為替証拠金取引等に対する規制について

当社グループの主要な事業である外国為替証拠金取引事業は、「金融商品取引業等に関する内閣府令」により、想定元本の4%以上の証拠金の預託を受けずに業者が取引を行うことを禁止する(レバレッジ規制)等、投資者保護のための様々な規制が定められております。また、2020年1月からは、「金融商品取引業等に関する内閣府令」に基づき、外国為替相場の変動その他の理由により発生し得ると想定される損失が経営の健全性に与える影響を分析し、必要に応じて経営の健全性を確保するための措置を講じること(ストレステストの実施)が義務付けられました。

当社グループでは、これらの規制が財政状態及び経営成績等に及ぼす影響を考慮した上で、リスク量の削減や自己資本の拡充等を日々実施・検討しておりますが、さらなるレバレッジ規制の強化やストレステストで求められる基準の厳格化等、規制対象の拡大や強化等の事業に関連する法令、諸規則等が改正・施行された場合、または当社グループの自主的な対応により規制強化を図った場合、当社グループの財政状態及び経営成績等に重大な影響を与える可能性があります。

 

 

ホ 外国為替証拠金取引における競争激化について

外国為替証拠金取引業界においては、証券会社やネット系銀行の他、新たに異業種大手企業の本格的参入等に
より顧客の獲得競争が激化しております。

当社グループでは、他社との差別化、顧客満足度の向上を実現するため、食品キャンペーン等を実施することで他社との差別化を図っておりますが、当社グループの差別化戦略が功を奏さなかった場合、競争の激化により更なるスプレッドの縮小が進んだ場合、または新規顧客を獲得するための費用が増加した場合、当社グループの財政状態及び経営成績等に重大な影響を与える可能性があります。

 

② 当社グループの事業構造に係るリスクについて

イ 顧客に対する信用リスクについて

当社グループでは、顧客が外国為替証拠金取引、店頭証券CFD取引を行うにあたって、不測の損失を被ることを未然に防止するためのロスカット制度を採用しており、顧客が取引を行った結果一定の水準以上に損失を被った場合、自動的にロスカットが働き、顧客の受入証拠金の範囲内で損失が収まるように努めております。

しかしながら、金融市場、為替相場の急変等により顧客から預っている証拠金以上の損失が発生する可能性があります。その場合、当社グループでは顧客に不足金の支払請求を行いますが、顧客から不足金の入金がない場合、顧客の不足金の全部または一部を回収できない可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績等に重大な影響を与える可能性があります。

 

ロ 取引システムについて

当社グループの金融商品取引ではすべての取引がインターネットを通したオンラインによるものとなっております。そのため当社グループでは、取引システムの安定稼働を重要な経営課題としており、それを実現するための様々な対応を実施しております。

しかしながら、取引システムに動作不良や人為的ミス、想定以上のアクセス数の増加、通信回線の障害、コンピュータウィルス、サイバーテロ、自然災害等によって障害が発生し、かかる障害に対して適切な対応ができない可能性があります。その場合、障害によって発生した損害についての賠償請求や、当社グループの信用及び企業イメージの失墜による顧客数の減少等が生じ、当社グループの財政状態及び経営成績等に重大な影響を与える可能性があります。

 

ハ システム会社への業務委託について

当社グループの扱う取引システムについては、システム会社とASP(アプリケーション・サービス・プロバイダー)契約を締結しております。当社では、システム会社に対して、信用状態等の定期的な調査を行うとともに、システム会社との間で毎月定例会議を行う等良好な関係の維持・発展に努めております。

しかしながら、予期せぬシステム会社の破綻、事業方針の転換等何らかの事由により信頼関係が毀損し、システム会社との業務委託契約の継続が困難になった場合または業務委託手数料が大幅に増加した場合、当社グループの財政状態及び経営成績等に重大な影響を与える可能性があります。

 

ニ カウンターパーティとのカバー取引について

当社グループでは、顧客との取引により生じるポジションの為替変動リスクや、原資産の価格変動リスクを回避するため、複数のカウンターパーティとカバー取引を行っており、取引を行うカウンターパーティに対して差入証拠金を預け入れております。

しかしながら、急激な為替変動や、原資産の価格変動の発生、顧客ポジションの増加等が発生した場合はカウンターパーティに対する差入証拠金を増額する必要があり、当該差入証拠金の資金を確保できない場合には当社グループの財政状態及び経営成績等に重大な影響を与える可能性があります。

 

 

ホ 資金調達リスクについて

当社グループの主要な事業である外国為替証拠金取引は、カウンターパーティとのカバー取引をする際、カウンターパーティに一定額の差入証拠金を預け入れる必要があります。顧客からの預り資産については区分管理し金銭信託に一本化することが義務付けられているため、カウンターパーティへの差入証拠金については、自己資金、金融機関からの借入金、当座貸越契約等に基づく借入金、カバー先に差入れる差入証拠金に代用する銀行保証状の発行(ボンド・ファシリティ契約)により調達しております。

しかしながら、銀行の事業方針の転換等何らかの事由により金融機関からの資金調達が困難になった場合、かかる借入金の契約更新ができなくなる可能性があります。また、当座貸越契約及びボンド・ファシリティ契約には財務制限条項が付されており、経営成績等の悪化により財務制限条項に抵触した場合、期限の利益を喪失する可能性があります。その場合、カウンターパーティに必要な差入証拠金を預け入れることが困難になり、当社グループの財政状態及び経営成績等に重大な影響を与える可能性があります。

 

ヘ 組織体制の強化について

当社グループでは、継続的な成長を続けていくため、社内教育や研修の充実及び適正な人事評価の実施により優秀な人材の確保と育成及び組織体制の強化を図っております。

しかしながら、今後当社グループが求める優秀な人材の確保と育成が計画どおり進まなかった場合、組織体制の強化が図れず、当社グループの財政状態及び経営成績等に重大な影響を与える可能性があります。

 

③ 法的規制について

イ 金融商品取引法について
a 金融商品取引業の登録について

当社及び連結子会社JFX株式会社は、それぞれ近畿財務局及び関東財務局から「金融商品取引法」第29条に基づく「第一種金融商品取引業」の登録を受け、「金融商品取引法」等の法令・規制等を遵守し事業を行っております。

金融商品取引業については、「金融商品取引法」第52条第1項及び第4項もしくは同法第53条第3項、同法第54条により登録の取消しとなる要件が定められており、これらに該当した場合、登録の取消しを含む行政処分が下されます。

当社及び連結子会社JFX株式会社では、法令遵守の徹底を図っており、現時点では取消事由に該当する事実はありません。

しかしながら、当社グループにおいて何らかの事由により諸法令等に違反する事象が発生した場合、行政指導や業務停止・登録取消等の行政処分を受ける可能性があります。その場合、当社グループの信用が著しく損なわれ、財政状態及び経営成績等に重大な影響を与える可能性があります。

 

b 自己資本規制比率について

「金融商品取引業等に関する内閣府令」第179条第4項第2号により、自己資本規制比率が120%を下回った場合、「自己資本規制比率の状況を回復させるために自らとるべき具体的措置に関する計画書」を提出することが義務付けされており、更に自己資本規制比率が100%を下回った場合、「金融商品取引法」第53条第2項により、3ヶ月以内の期間を定めて業務の全部または一部の停止を命じられる可能性があります。また、同条第3項により、業務停止命令後3ヶ月を経過しても自己資本規制比率が100%を下回り、回復の見込みがないと認められる場合、金融商品取引業者の登録が取り消される可能性があります。

2024年3月31日現在、当社の自己資本規制比率は786.2%、連結子会社JFX株式会社の自己資本規制比率は1548.6%であり、本項目で記載されている自己資本規制比率の値を上回っておりますが、かかる事象に抵触した場合、行政指導や業務停止・登録取消等の行政処分を受ける可能性があります。その場合、当社グループの信用が著しく損なわれ、財政状態及び経営成績等に重大な影響を与える可能性があります。

 

 

c 顧客資産の区分管理及び分別管理について

金融商品取引業者は、顧客資産が適切かつ円滑に返還されるように顧客から預託を受けた金銭を自己の固有財産と区分または分別して管理することが義務付けられております。

当社及び連結子会社JFX株式会社では、外国為替証拠金取引における顧客からの受入証拠金について株式会社三井住友銀行と顧客区分管理信託契約を締結しております。また当社では、店頭証券CFD取引における顧客からの受入証拠金について、SBIクリアリング信託株式会社と顧客分別金信託契約を締結しております。このように、それぞれ金銭信託を実施することにより、顧客資産の保全体制を整えております。しかしながら、何らかの事由により当社及び連結子会社JFX株式会社において金銭信託を実施できない事象が発生した場合、行政指導や業務停止・登録取消等の行政処分を受ける可能性があります。その場合、当社グループの信用が著しく損なわれ、財政状態及び経営成績等に重大な影響を与える可能性があります。

 

d 金融商品取引業者に係る禁止行為等について

金融商品取引業者は、「金融商品取引法」第38条により、金融商品取引契約の締結またはその勧誘に関して、顧客に対し虚偽のことを告げる行為や、顧客に対し不確実な事項について断定的判断を提供し、または確実であると誤解させるおそれのあることを告げて金融商品取引契約の締結を勧誘する行為等、様々な禁止行為が定められております。

当社グループでは、コンプライアンスマニュアル等に禁止行為を織り込み役職員に対し周知徹底を図っておりますが、当社グループにおいて何らかの事由によりかかる法律に違反する事象が発生した場合、行政指導や業務停止・登録取消等の行政処分を受ける可能性があります。その場合、当社グループの信用が著しく損なわれ、財政状態及び経営成績等に重大な影響を与える可能性があります。

 

ロ 個人情報の保護に関する法律について

「個人情報の保護に関する法律」は、個人情報を取り扱う事業者に遵守する事項を定め、個人情報の不適切な取扱いによる個人の権利利益の侵害を未然に防止することを目的としております。

当社では、2012年12月にプライバシーマークを取得し、関連する社内規程の整備及び役職員への教育を行うことで個人情報の保護に努めておりますが、外部からの不正アクセスや不測の事象の発生によって個人情報の漏洩・流失等の事故が発生した場合、監督官庁からの処分、顧客からの損害賠償請求等により当社グループの信用が著しく損なわれ、財政状態及び経営成績等に重大な影響を与える可能性があります。

また、当社グループは、欧州における個人情報保護を規定した「EU一般データ保護規則(General Data Protection Regulation)」に対応するため、社内体制とプロセスを強化してリスクを低減しています。EU一般データ保護規則違反により万一制裁金が課された場合、当社グループの財政状態及び経営成績等に重大な影響を与える可能性があります。

 

ハ 犯罪による収益の移転防止に関する法律について

「犯罪による収益の移転防止に関する法律」(以下「犯罪収益移転防止法」という。)は、顧客の本人特定事項等の確認、記録の保存及び疑わしい取引の届出等を法律上の義務とし、顧客管理体制の整備を促すことにより、テロ資金や犯罪収益の追跡のための情報確保とテロ資金供与及びマネー・ロンダリング等の防止を目的としております。当社グループでは、犯罪収益移転防止法に基づき、当社グループ所定の本人特定事項に関する書類等を顧客から徴収して確認を行うとともに、反社会的勢力に該当しないことの確認を行い、顧客カードを作成して確認記録及び取引記録を保存する等法令遵守を徹底しております。

しかしながら、当社グループの何らかの事由により、かかる法律に違反する事象が発生した場合、行政処分や当社グループの信頼失墜等により、財政状態及び経営成績等に重大な影響を与える可能性があります。

 

ニ その他の法的規制について

当社グループは、「金融商品取引法」、「個人情報の保護に関する法律」、「犯罪による収益の移転防止に関する法律」の他、「外国為替及び外国貿易法」、「金融サービスの提供及び利用環境の整備等に関する法律」、「消費者契約法」等の諸法令、日本証券業協会、一般社団法人金融先物取引業協会の定める諸規則等に従って業務を遂行しており、諸法令及び諸規則を遵守するため、コンプライアンスの徹底を図り、内部管理体制の整備に努めております。

しかしながら、当社グループにおいて何らかの事由によりかかる諸法令等に違反する事象が発生した場合、行政処分や当社グループの信頼失墜等により、財政状態及び経営成績等に重大な影響を与える可能性があります。

 

④ 海外における事業活動について

連結子会社HIROSE FINANCIAL UK LTD.、Hirose Financial MY Limited及びLION PAYMENT UK LTD.は、海外にて金融事業を行うために法令上必要となる認可を受け、事業活動を行っております。

しかしながら、海外において何らかの事由により諸法令等に違反する事象が発生した場合、罰金、認可の取消し等の処分を受ける可能性があります。また、現地において政治・経済・社会環境の変化、税制等の変更や移転価格税制等に基づく課税等により、事業活動の継続が困難となる可能性や海外事業の撤退を余儀なくされる可能性があります。その場合、当社グループの財政状態及び経営成績等に重大な影響を与える可能性があります。

 

⑤ その他

イ ストックオプション制度について

当社グループは、取締役及び従業員に対するインセンティブを目的としたストックオプション制度を採用しております。本書提出日現在における新株予約権による潜在株式数は67,500株となっており、これらの新株予約権の権利が行使された場合、当社の1株当たりの株式価値は希薄化する可能性があります。また、今後も同様のインセンティブ・プランを継続する可能性があります。従いまして、今後付与される新株予約権が行使された場合にも、当社の1株当たりの株式価値は希薄化する可能性があります。

 

ロ 自然災害等について

当社グループは主要な拠点において地震等の自然災害、火災、伝染病・感染症の流行、停電、テロ攻撃等が発生した場合の備えとして「BCP(事業継続計画)」を策定し臨時オフィスの構築等、緊急時における体制整備に努めております。

しかしながら、当社グループの想定を超えた災害が発生した場合、サービス提供の停止を余儀なくされる可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績等に重大な影響を与える可能性があります。

 

ハ キャンペーン商品に係るリスク

当社グループでは、外国為替証拠金取引を行った顧客を対象に、食品キャンペーン等を毎月実施しております。当社グループは、食品の製造・加工を行っておらず、すべてのキャンペーン商品を外部の取引先から仕入れております。

しかしながら、製造元での異物混入等何らかの事由により健康被害を及ぼすおそれのある製品事故が発生した場合、当社キャンペーン商品の回収、キャンペーンの停止等を行う可能性があります。その場合、当社グループの財政状態及び経営成績等に重大な影響を与える可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 (1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響で長く停滞していた経済活動の正常化が進み、景気は緩やかな回復基調で推移しているものの、不安定な国際情勢や資源・エネルギー価格の高騰による物価上昇、世界的な金融引締めなどの影響により、依然として先行き不透明な状況が続いております。

こうした環境のもと、当社グループの関連する金融商品取引市場におきましては、政府・日銀による円買い・ドル売り介入への警戒感や日銀のマイナス金利政策の早期解除観測、FRBの早期利下げ観測を受けた米金利の低下などにより一時円高に転じる場面もありましたが、概ね日米金利差が開いた状況が続くとの見方から円安基調で推移し、3月には日銀がマイナス金利解除後も緩和的な金融環境を維持する姿勢を示したことから151円台半ばで期末を迎えました。

この様な状況の中、当社グループは、ボラティリティの上昇、世界的な金利上昇に伴うスワップ目的の取引機会が増加することを見込み、2023年6月より「LION FX」において新たにチェココルナ/円・イスラエルシュケル/円・タイバーツ/円の取扱いを開始して通貨ペアを54種類に、株価の上昇に伴い2023年11月には「LION CFD」において新たにIT関連、米国半導体等ETF14銘柄の取扱いを開始して23銘柄(株価指数CFD9種、ETF CFD14種)に増やすなど、取引環境の拡充を行いました。

また、上記の状況を踏まえ、これまでに取引経験が少ない顧客の取引のサポートを目的として自動でテクニカルの有効性を確認できる「LIONシグナルマップ」のスマートフォン用ツールのリリース、「LIONチャートPlus+」にテクニカルの売買サインに沿って自動注文する機能の追加、休眠していた顧客の取引復活に備え、パソコン並の高機能が満載の新アプリ「LION FX5」のAndroid版や、取引情報に高金利通貨に特化した情報を確認できる「高金利通貨ニュース」、従来の方法よりも厳重なログイン方法である二段階認証を導入し、セキュリティを強化するなど、顧客ニーズの実現に取り組みました。

さらに、2022年より継続・拡大している看板広告の宣伝効果によりFX取引がさらに増加することを見込み、豪ドル円のスプレッドの縮小や、新規口座開設キャッシュバックキャンペーンの強化、最大55%スワップポイント増額キャンペーンの新設、魅力的な食品キャンペーンなど、取引意欲が向上するような各種施策にも努めました。

この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a . 財政状態

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末と比較して15,345,571千円増加して、119,070,342千円となりました。

当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末と比較して13,057,395千円増加して、101,564,282千円となりました。

 当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末と比較して2,288,175千円増加して、17,506,060千円となりました。

 

b . 経営成績

当連結会計年度の営業収益は10,713,360千円(前期比3.8%増)、純営業収益は10,672,350千円(同4.3%増)、営業利益は4,256,336千円(同18.7%増)、経常利益は4,255,002千円(同18.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,925,446千円(同21.5%増)となりました。

なお、当社グループの事業セグメントは、金融商品取引事業を主要な事業としており、他の事業セグメントの重要性が乏しいため、セグメント別の記載は省略しております。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比べ40,835千円

増加し6,037,948千円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において営業活動により支出した資金は306,578千円(前連結会計年度は、126,804千円の収入)となりました。これは主に受入保証金の増加による収入5,352,255千円、トレーディング商品(負債)の増加による収入4,499,259千円、税金等調整前当期純利益による収入4,255,002千円等があった一方、預託金の増加による支出11,101,000千円、トレーディング商品(資産)の増加による支出1,615,723千円、未収収益の増加による支出1,312,108千円、短期差入保証金の増加による支出1,204,827千円等があったことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において、投資活動により支出した資金は314,036千円(前連結会計年度は、32,974千円の支出)となりました。これは主に定期預金の払戻による収入5,725,000千円等があった一方、定期預金の預入による支出5,995,000千円、無形固定資産の取得による支出39,349千円等があったことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において、財務活動により増加した資金は546,992千円(前連結会計年度は、1,143,667千円の支出)となりました。これは主に短期借入金の純増額1,800,000千円等があった一方、長期借入金の返済による支出500,000千円、自己株式の取得による支出529,665千円等があったことによるものです。

 

③生産、受注及び販売の実績

a . 生産実績及び受注実績

当社グループの事業内容は、提供するサービスの性格上、生産実績及び受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

b . 販売実績

当社グループの事業内容は、提供するサービスの性格上、販売実績の記載になじまないため、当該記載を以下(a)~(d)に置き換えて記載しております。

なお、当社グループの事業セグメントは、金融商品取引事業を主要な事業としており、他の事業セグメントの重要性が乏しいため、セグメント別の記載は省略しております。

 

(a) 営業収益

 

 

 

(単位:千円)

区分

第20期連結会計年度
(自  2022年4月1日
  至  2023年3月31日)

第21期連結会計年度
(自  2023年4月1日
  至  2024年3月31日)

前年同期比
(%)

営業収益

 

 

 

 トレーディング損益

10,248,691

10,697,722

104.4

 金融収益

3,086

4,948

160.3

 その他の売上高

66,502

10,688

16.1

合計

10,318,279

10,713,360

103.8

 

 

(b) 外国為替受入証拠金

 

 

 

(単位:千円)

区分

第20期連結会計年度
(2023年3月31日)

第21期連結会計年度
(2024年3月31日)

前年同期比
(%)

外国為替受入証拠金

72,976,247

78,278,242

107.3

 

 

(c) 通貨別取引高

 

 

 

 

 

区分

第20期連結会計年度
(自  2022年4月1日
  至  2023年3月31日)

第21期連結会計年度
(自  2023年4月1日
  至  2024年3月31日)

前年同期比
(%)

米ドル/円

(百万米ドル)

6,443,141

5,797,146

90.0

ユーロ/円

(百万ユーロ)

335,907

271,654

80.9

ポンド/円

(百万ポンド)

935,741

559,059

59.7

豪ドル/円

(百万豪ドル)

583,028

428,307

73.5

NZドル/円

(百万NZドル)

64,410

55,249

85.8

南アフリカランド/円

(百万ランド)

50,784

49,724

97.9

ユーロ/米ドル

(百万ユーロ)

406,138

201,747

49.7

ポンド/米ドル

(百万ポンド)

242,321

102,416

42.3

豪ドル/米ドル

(百万豪ドル)

203,115

153,057

75.4

その他

(百万通貨単位)

897,547

1,015,064

113.1

合計

(百万通貨単位)

10,162,137

8,633,428

85.0

 

(注) 1.通貨別取引高には外国為替証拠金取引業者とのホワイトラベルサービス取引及びカバー取引を含んでおります。

2.当社及び連結子会社4社(JFX株式会社、HIROSE FINANCIAL UK LTD.、Hirose Financial MY Limited及びHirose Solutions Limited)の合算数値を記載しております。

 

 

(d) 自己資本規制比率

(ヒロセ通商株式会社)

 

 

 

 

 

(単位:千円)

区分

第20期事業年度末

(2023年3月31日)

第21期事業年度末

(2024年3月31日)

基本的項目

(A)

13,247,475

14,937,012

補完的項目

(B)

544,893

36,247

 

その他有価証券評価差額金(評価益)等

 

44,893

36,247

 

金融商品取引責任準備金等

 

 

一般貸倒引当金

 

 

長期劣後債務

 

 

短期劣後債務

 

500,000

控除資産

(C)

1,166,160

1,544,092

固定化されていない自己資本

(A)+(B)-(C)

(D)

12,626,208

13,429,166

リスク相当額

(F)+(G)+(H)

(E)

1,740,785

1,707,942

 

市場リスク相当額

(F)

1,300

3,225

 

取引先リスク相当額

(G)

231,688

257,952

 

基礎的リスク相当額

(H)

1,507,796

1,446,764

自己資本規制比率

(D)/(E)×100

 

725.3%

786.2%

 

 

(JFX株式会社)

 

 

 

 

 

(単位:千円)

区分

第20期事業年度末

(2023年3月31日)

第21期事業年度末

(2024年3月31日)

基本的項目

(A)

1,993,276

2,745,988

補完的項目

(B)

 

その他有価証券評価差額金(評価益)等

 

 

金融商品取引責任準備金等

 

 

一般貸倒引当金

 

 

長期劣後債務

 

 

短期劣後債務

 

控除資産

(C)

80,420

100,909

固定化されていない自己資本

(A)+(B)-(C)

(D)

1,912,856

2,645,078

リスク相当額

(F)+(G)+(H)

(E)

166,210

170,798

 

市場リスク相当額

(F)

 

取引先リスク相当額

(G)

1,414

340

 

基礎的リスク相当額

(H)

164,796

170,458

自己資本規制比率

(D)/(E)×100

 

1,150.8%

1,548.6%

 

 

 

 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a . 財政状態の分析
(資産の部)

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末と比較して15,345,571千円増加して、119,070,342千円となりました。これは主に顧客区分管理信託の増加11,101,000千円、デリバティブ取引(資産)の増加1,615,723千円、外国為替取引未収収益の増加1,311,995千円、外国為替差入証拠金の増加1,219,884千円等により流動資産が15,280,191千円増加したことによるものです。

 

(負債の部)

当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末と比較して13,057,395千円増加して、101,564,282千円となりました。これは主に外国為替受入証拠金の増加5,301,994千円、デリバティブ取引(負債)の増加4,499,259千円、外国為替取引未払費用の増加2,056,081千円、短期借入金の増加1,800,000千円等があった一方、1年内返済予定の長期借入金の減少500,000千円等により、流動負債が13,038,052千円増加したことによるものです。

 

(純資産の部)

当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末と比較して2,288,175千円増加して17,506,060千円となりました。これは主に利益剰余金の増加2,683,621千円等があった一方、自己株式の取得により528,960千円減少したことによるものです。

 

 

b . 経営成績の分析

(営業収益)

当連結会計年度における営業収益は10,713,360千円(前期比3.8%増)となりました。これは主に、顧客向けの取引ツールに通貨ペア及び銘柄の追加やバージョンアップ、セキュリティの強化、大阪市内の主要駅に看板広告の設置、魅力的なキャンペーン等を実施したことによるものです。

 

(営業利益)

当連結会計年度における営業利益は4,256,336千円(前期比18.7%増)となりました。これは主に、営業収益が前連結会計年度と比較して395,080千円増加した一方、取引高に連動する費用が減少したこと等により販売費及び一般管理費が226,436千円減少したことによるものです。

 

(経常利益)

当連結会計年度における経常利益は4,255,002千円(前期比18.7%増)となりました。これは主に、営業利益が669,921千円増加したことによるものです。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は2,925,446千円(前期比21.5%増)となりました。これは主に、経常利益が669,511千円増加した一方、法人税、住民税及び事業税が179,814千円増加したことによるものです。

 

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 キャッシュ・フローの分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、以下の通りであります。

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、カバー取引を行うためにカウンターパーティに差入れている外国為替差入証拠金であります。

 当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。運転資金は主に自己資金及び金融機関等からの借入を基本としております。

 なお、当連結会計年度末における有利子負債の残高は7,600,000千円となっており、現金及び現金同等物の期末残高は6,037,948千円となっております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものはありません

 

(3) 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループの主要な事業は外国為替証拠金取引事業であり、顧客の取引高が当社グループの業績に重要な影響を及ぼします。顧客の取引高は為替の変動率が高いときには増加する傾向にあり、反対に為替の変動率が低いときには減少する傾向にあることから、為替変動率は経営成績に重要な影響を与える要因であると考えております。

 

(4) 経営者の問題認識と今後の方針について

国内の外国為替証拠金取引業界においては、新規顧客の獲得や取引高の増加に向けた競争が激化しております。このような環境の中、当社グループでは顧客基盤の拡大を目指し、少額からの取引が可能な仕組みの導入、顧客にとって使い勝手のよい取引システムの構築、丁寧な電話対応サービス、独自性の高いキャンペーンの実施等に取り組んでまいりました。

また、これらの施策を国内だけでなく海外でも行うべく英国にHIROSE FINANCIAL UK LTD.及びLION PAYMENT UK LTD.、香港にHIROSE TRADING HK LIMITED及びHIROSE FINANCIAL LIMITED、マレーシアにHirose Financial MY Limited及びHIROSE BUSINESS SERVICE SDN. BHD.、ベトナムにHIROSE CONSULTING VIETNAM COMPANY LIMITED、アンティグア・バーブーダにHirose Solutions Limitedを設立し、更なる業容の拡大を目指しております。

しかしながら、今後も成長を続けていくには国内外の顧客からの信頼獲得や人材の育成が不可欠と考えております。そのために当社グループがこれまで培ってきたノウハウを最大限に活かしてブランディングの強化を行うとともに、世界中の顧客に対して質の高い取引環境やサービスを提供していけるよう努めていく所存であります。
 

 

5 【経営上の重要な契約等】

(1) 保証金分別信託契約

契約会社名

相手先の名称

契約の名称

契約内容

契約期間

ヒロセ通商㈱

(当社)

㈱三井住友銀行
及び受益者代理人

顧客区分管理信託契約

顧客から預託を受けた外国為替証拠金に係る金銭の区分管理に関する契約

2011年7月22日から

2012年6月30日まで

当社(委託者)が㈱三井住友銀行(受託者)に対し、他の顧客区分管理信託に係る信託財産として信託することを目的として本件信託契約の期間を延長しない旨を書面により申し出た場合であって受託者が相当と認めて承諾した場合を除き、同一条件にて1年間更新

SBIクリアリング信託㈱及び受益者代理人

顧客分別金信託契約

顧客から預託を受けた対象有価証券関連デリバティブ取引等に係る金銭の分別管理に関する契約

2021年9月30日から

2022年3月31日まで

当社(委託者)が受益者代理人の承諾を得て、SBIクリアリング信託㈱(受託者)に対し、他の顧客区分管理信託に係る信託財産として信託することを目的として本件信託契約の期間を延長しない旨を書面により申し出た場合であって受託者が相当と認めて承諾した場合を除き、同一条件にて1年間更新

JFX㈱

(連結子会社)

㈱三井住友銀行
及び受益者代理人

顧客区分管理信託契約

顧客から預託を受けた外国為替証拠金に係る金銭の区分管理に関する契約

2009年12月30日から

2010年12月30日まで

㈱三井住友銀行(受託者)またはJFX㈱(委託者)の一方が受益者代理人の承諾を得て、書面による契約終了の意思表示をした場合を除き、同一条件にて1年間更新

 

 

(2) 業務委託契約

契約会社名

相手先の名称

契約の名称

契約内容

契約期間

ヒロセ通商㈱

(当社)

㈱インターネット
イニシアティブ

IIJ Raptorサービス利用契約

外国為替証拠金取引システムの利用、保守メンテナンスに関する契約

2013年5月26日から

2016年8月31日まで

当事者の一方から別段の通知がない限り、同一条件にて1年間更新

JFX㈱

(連結子会社)

㈱インターネット
イニシアティブ

IIJ Raptorサービス利用契約

外国為替証拠金取引システムの利用、保守メンテナンスに関する契約

2013年5月26日から

2016年8月31日まで

当事者の一方から別段の通知がない限り、同一条件にて1年間更新

 

 

(3) ボンド・ファシリティ契約

契約会社名

相手先の名称

契約の名称

契約内容

契約期間

ヒロセ通商㈱

(当社)

㈱三井住友銀行

ボンド・ファシリティ契約

外国為替証拠金取引において、カバー先へ差入れる証拠金に代用する銀行保証状の発行に関する契約

2023年9月15日から

2024年9月30日まで

 

 

6 【研究開発活動】

 該当事項はありません。