第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) ミッション/ビジョン/バリュー

当社グループは、コーポレートスローガンである「前例のない場所へ。」の方向性を定め、役職員が一丸となって持続的な成長の実現を目指すため、企業グループとしてのミッション/ビジョン/バリューを明文化しております。

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  これにより、社会と企業の共有価値の創造を目指すCSV(Creating Shared Value)経営の考え方を更に推し進め、持続可能な社会づくりに貢献するとともに、企業価値の向上に取り組んでまいります。

 

(2) 中期的な経営方針・戦略及び優先的に対処すべき課題

今後の経済見通しにつきましては、経済・社会活動の正常化に伴い緩やかな回復基調で推移することが見込まれるものの、地政学的リスクの高まりや欧米における金融システム不安等から不透明な状況が続くものと予測しております。

このような状況の下、当社グループは、事業活動を通じて社会と企業の共有価値を創造するCSVの実践を通じて、社会課題の解決と企業価値の向上を同時に実現することで、外部環境が大きく変化していく中で力強く持続的に成長する企業グループを目指してまいります。

中期経営計画の2年目となる2023年度も、経営目標の達成に向けて、中期経営計画「Fuyo Shared Value 2026」で掲げているビジネス戦略及びマネジメント戦略を着実に推進してまいります。

 

<ビジネス戦略>

ビジネスごとの成長性や収益性、当社グループの強みなどを総合的に判断し、当社グループが有する複数の事業領域の中から7つを選び、3つの成長ドライバーに区分しております。マーケットの拡大・創出が見込まれる事業領域には経営資源を集中的に投下し、持続的な利益成長を目指すとともに、成熟しつつあるマーケットにおける事業領域では徹底した差別化を進めることで、安定的な成長の実現を図ってまいります。

 

<3つの成長ドライバーと7つの事業領域>

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2023年度も、事業環境や社会の変化を捉えた経営資源の機動的な配分を継続し、成長ドライバーに区分する7つの事業領域を中心としたビジネスの拡大を通じて、多様な事業から構成される「連峰型」の収益構造への転換を進めてまいります。

 

<事業を通じた社会価値の創出>

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事業を通じて社会課題の解決に貢献するCSVの考え方に基づき、成長ドライバーに区分した7つの事業領域を、持続可能な地球環境の実現への貢献を目指す「環境」と、豊かな社会と健やかな人の実現への貢献を目指す「社会とひと」の分野にそれぞれ紐づけ、様々な取組を進めてまいります。

例えば「環境」分野では、事業を通じたお客様及び社会のCO₂排出の削減貢献、プラスチックのリサイクルによる廃棄物削減などを通じて気候変動問題の解決や循環型社会実現への貢献を図ります。また、「社会とひと」の分野では、BPO/ICTサービスの提供を通じてお客様に新たな価値創造時間を創出するなど、社会的インパクトを重視した事業運営を行ってまいります。このような取組を進めていくことで、社会課題の解決と経済価値の同時実現による持続的な成長を目指してまいります。

 

<マネジメント戦略>

 「CSV経営」と「グループガバナンス」をマネジメント戦略における中心軸に据え、持続的な価値創造を支える組織・体制の強化を進めてまいります。加えて、「人材戦略」において持続的な成長を支える高付加価値人材の育成を強化するとともに、「DXに向けたデジタルサポート」においては、営業活動をサポートする社内営業管理システムの刷新やデータ利活用に向けた推進体制の整備、デジタルを活用した業務効率化に取り組んでまいります。

「システム戦略」、「業務改革」、「財務戦略」、「リスクマネジメント」についても高度化・合理化を進め、事業環境の変化が加速する中で多様化するリスクに柔軟に対応することで、適切な事業運営に努めてまいります。

 

(3) 目標とする経営指標

中期経営計画「Fuyo Shared Value 2026」では、計画最終年度である2026年度の財務目標及び非財務目標を以下のとおり設定しております。

 

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経営目標の達成に向けて最大限努力してまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 芙蓉リースグループは、SDGsに代表される社会課題の解決に事業を通じて取り組み、持続可能な社会の構築と企業

としての持続的な成長の両立を実現するCSVの考え方を軸に、サステナビリティの諸課題に対応しています。

 

(1)ガバナンス

 当社グループのサステナビリティやCSVにかかる基本的な考え方を「持続的な価値創造を支える体制にかかる基本方針」に定め、その取組みを推進するため「CSV推進委員会」を設置しています。

 同委員会は企画・管理部門統轄役員を委員長とし、主要なコーポレート部門及び各事業ドメインを管掌する営業部門の部長を構成員として、サステナビリティやCSVに関する重要な課題にかかる戦略および指標・目標の策定、推進、モニタリングを行っています。

 同委員会の審議・報告内容は経営会議に付議され、グループ全体のサステナビリティおよびCSVに係る方針及び進捗状況は取締役会に年に1回以上の報告を実施しています。

 

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(2)リスク管理

 当社グループでは経営上の管理すべきリスクについて、統合リスク管理体制の下で管理を行っております。

 サステナビリティにかかるリスクである気候変動リスク、人的リスクについてはそれぞれCSV推進室、人事部がリスク所管部としてモニタリングし、重要なリスクの発生時には速やかにリスク管理統括部である経営企画部に報告を行い、経営企画部はそれぞれのリスク所管部に対してリスクの管理について適宜指示を行っています。

 

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(3)戦略/指標及び目標

 ①気候変動

a.気候関連シナリオ分析

当社グループは、将来の気候変動が事業活動に与えるリスクと機会、財務影響を把握するため、TCFD

(※1)が提唱するフレームワークに則り、シナリオ分析の手法を用いて、2030年時点における外部環境変化を予測し分析を実施しています。分析にあたっては、様々な気候変動関連シナリオに基づく検討とすべく、パリ協定の目標である「2℃より十分に低い」に則した「1.5℃シナリオ」と「4℃シナリオ」の2つの気候変動シナリオを基に分析を実施しています。

また、当社グループの事業は多岐にわたることから、分析にあたってはまず全社的な影響を特定した後、資産規模の大きい不動産部門、及び事業の特性上、特に気候変動影響が大きいと想定される3事業部門(エネルギー環境、モビリティ、航空機)についてシナリオ分析を実施しました。

 

※1 気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosure)

 

b.気候変動に係るリスクと機会

(主な気候変動リスク)(※2)

 全社的な気候変動リスクとして、炭素税の導入によりRE100およびカーボンニュートラル実現を目指す為のコストが増加するリスクが特定されました。ただし、当社グループのCO排出量を基に影響額を算定した結果、財務面に与える影響は軽微であると認識しています。その他、特に気候変動影響が大きいと想定されるドメインにおけるリスクは以下の通りです。

 

 

項目

事業への影響

概要

時間軸

シナリオ別影響度

1.5℃

4℃

全社

移行リスク

炭素税の導入(政策・法規制)

炭素税が導入されることで、RE100・カーボンニュートラル実現に向けたコストが増加するリスク

中期~長期

不動産

移行リスク

顧客嗜好変化による競争力低下(市場)

不動産ファイナンス取引等で投資先の物件に環境対応の遅れがあった場合に、収益性や借入人の信用力が低下するリスク

中期~長期

物理的リスク

自然災害の激甚化(急性)

自然災害の増加・激甚化に伴う保険料の上昇リスク

短期~長期

エネルギー環境

移行リスク

エネルギー買取制度(FIT・FIP)等の制度変更(政策・法規制)

想定し得ない制度変更が発生した場合、売電収入減少・運営コストの増加等のリスク

短期~長期

再生可能エネルギー発電事業における事業環境の変化(市場)

出力抑制による売電収入減少のリスク

中期~長期

物理的リスク

自然災害の激甚化(急性)

自然災害の増加・激甚化に伴う保険料の上昇リスク

短期~長期

モビリティ

移行リスク

CO₂排出量に関する規制の強化(政策・法規制)

CO₂排出量に関する規制強化等によりガソリン車の需要が低下し、従来のディーゼル・ガソリン車のリース需要が減少するリスク

中期~長期

小~中

事業環境の変化(市場)

EV(電気自動車)へのシフトに伴うガソリン車の再販売価格の下落リスク

中期~長期

メンテナンス収益の減少(技術)

EV(電気自動車)へのシフトに伴うメンテナンス関連の売上・収益の減少リスク

長期

航空機

移行リスク

法規制強化に伴う航空機需要の減少(政策・法規制)

CO₂排出量に関する規制強化等により航空機の需要が低下し、リース収益が減少するリスク

中期~長期

事業環境の変化(市場)

低燃費航空機へのシフトに伴い、リース期間終了後の旧型モデル航空機の再販売価格の下落による収益減少リスク

中期~長期

時間軸の定義:「短期」:現在~2025年、「中期」:2026~2030年、「長期」:2031年~2050年

影響度の定義(2030年の連結売上総利益に対する影響額):「大」:30億円超「中」:1~30億円 「小」:1億円未満

 

※2 1.5℃シナリオの分析にあたり、外部情報が不足している項目については一部2℃シナリオのデータを使用しています。

 

(気候変動に係る主な機会)(※3)

 当社グループでは気候変動問題の解決を通じた社会価値の創造を重要なビジネス機会と位置付け、中期経営計画 「Fuyo Shared Value 2026」 において社会が1.5℃の世界を目指すことを想定し戦略を策定しました。その中でも当社グループが特に積極的に取り組む項目を機会として開示しています。

項目

事業への影響

概要

時間軸

シナリオ別影響度

1.5℃

4℃

エネルギー環境

機会

再生可能エネルギー需要の増加(製品・サービス、市場)

国内の再生可能エネルギー事業への取り組み増

短期~長期

海外の再生可能エネルギー事業への取り組み増

短期~長期

新技術・新制度等による事業機会(製品・サービス、市場)

二次エネルギー等の新規ビジネス分野への取り組み増

短期~長期

モビリティ

機会

電気自動車の需要増加(市場)

・EVワンストップサービスの推進

・自動車メーカーやディーラー連携、電力会社、商社等とのアライアンス戦略推進

・メンテネット構築

・FCVを他社に先駆け推進

短期~長期

電気自動車関連サービスの需要増加(製品・サービス)

航空機

機会

航空機関連の新技術の導入・新たなマーケットの形成(製品・サービス)

・周辺事業者への出資・協業、シナジーによる既存プロダクトの引合獲得・採算性向上

・新技術分野(SAF(持続可能な航空燃料)・水素・電動・eVTOL(電動垂直離着陸機)等)へのベンチャー出資、協業等

中期~長期

時間軸の定義:「短期」:現在~2025年、「中期」:2026~2030年、「長期」:2031年~2050年

影響度の定義(2030年の連結売上総利益に対する影響額):「大」:30億円超「中」:1~30億円「小」:1億円未満

 

※3 1.5℃シナリオの分析にあたり、外部情報が不足している項目については一部2℃シナリオのデータを使用しています。

 

(当社グループ事業への影響)

 1.5℃/4℃シナリオのいずれにおいても、当社グループの事業に対する気候変動リスクの影響は限定的であり、機会の方が大きいという分析となりました。また、双方のシナリオにおいて連結売上総利益の増加が見込まれるものの、1.5℃シナリオの方がより利益の増加余地が大きいということが分かりました。

 

c.気候変動にかかる対応/指標と目標

当社グループは、気候変動に伴うリスクと機会が当社グループの事業活動に大きな影響を及ぼすことを認識し、当社グループの脱炭素の推進、および事業を通じたお客さま・社会の脱炭素の推進の両面から積極的に対応しています。

当社グループの脱炭素推進の観点からは、2018年に国内の総合リース会社として初めて「RE100」に参加し、消費電力の再エネ化への取り組みを開始するとともに、2021年にはカーボンニュートラルを2030年に達成することを宣言し推進しています。

また、広範な事業領域や顧客基盤を有する当社グループとして、ビジネスを通じてお客さまそして社会全体の脱炭素化に貢献することが重要な課題と考え、「脱炭素社会の実現」をマテリアリティ(重要な取り組み課題)の一つに掲げ、社会が1.5℃の世界を目指すことを想定した事業機会を前提に中期計画「Fuyo Shared Value 2026」の策定を行いました。

再生可能エネルギー発電事業の拡大や、EV・FCVへのファイナンスの強化等を通じてお客様や社会の脱炭素化を推進し、同時に利益の獲得を図ります。これらの戦略の推進にあたっては非財務目標を設定しています。

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(リスクにかかる指標と目標:当社グループの脱炭素化)

 

2030年度 目標

2024年度 目標

2021年度 実績(※5)

RE100目標(※4)

再生可能エネルギー使用率100%

再生可能エネルギー使用率50%

再生可能エネルギー使用率44%

CO₂排出量(※4)
(スコープ1,2)

カーボンニュートラル達成

2020年度比
30%削減

2020年度比28%削減

排出量

1,455 t-CO2

※4 対象はともに芙蓉総合リースおよび連結子会社

※5 実績は2021年度の実績を掲載。2022年度実績は、2023年8月発刊予定の統合報告書をご参照ください。

 

(機会にかかる指標と目標:お客さま・社会の脱炭素化)

 

2026年度
目標

2022年度
実績

CO₂の削減貢献

50万t-CO₂/年

22万t-CO₂

脱炭素推進に向けた
資金投下額(※6)

3,000億円

564億円

再エネ発電容量

(※7)

1,000MW

515MW

保有台数における

EV・FCV比率(※8)

30%

0.7%

脱炭素推進ファイナンスの取扱金額(※9)

120億円

53億円

※6 対象は、再エネ設備、省エネ設備、電動車(充電設備含む)、水素・アンモニア関連設備、CO分離・回収技術(CCUS、DAC)、サーキュラー関連設備、ZEB・グリーンビル、SAF、ベンチャー設備への投資等。

※7 再生可能エネルギー発電事業に対する出資及びプロジェクトファイナンス等が対象(発電容量は持分比率・シェアに応じて算出)。

※8 芙蓉オートリースにおける保有台数。

※9 「芙蓉 ゼロカーボンシティ・サポートプログラム」「芙蓉 再エネ100宣言・サポートプログラム」が対象。

 

②人的資本

a.基本的考え方

 芙蓉リースグループは「人」すなわち社員が当社グループの持続的な価値創造を支える基盤であり最大の財産であると考え、積極的な人材投資を行っています。人材投資の柱は以下の3つです。

 

・事業領域の多様化、高度化に対応する「戦略的人材育成」

・多様な個性や才能、能力が最大限発揮できる「ダイバーシティ&インクルージョン」

・健康で生き生きと働ける職場環境の整備「健康経営、ワーク・ライフ・バランス」

 また、従業員エンゲージメントを定期的に測定し、その向上に努めています。

 

b.戦略的人材育成

 当社グループはCSVを軸に据え、持続的な成長を可能とするために、「事業領域ごとに高い専門性を有し、高付加価値を創出する人材」及び「自ら考え積極的に行動し、成長意欲を持った自律した人材」を求める人材像として、人材育成投資を積極的に増加させています。

 「事業領域ごとに高い専門性を有し、高付加価値を創出する人材」の育成のため、スキル構造を3階層に分類し、特に第2階層以降を強化するプログラムを重点的に整備・拡充しています。

第1階層

リース・ファイナンスに必要な会計・税務・法務などの知識や、コミュニケーション・思考力等の一般的なビジネススキル

第2階層

語学やDX、先鋭的なファイナンス等、全事業領域において必要かつ付加価値創出を底上げするための

スキル

第3階層

エネルギー、BPO、ヘルスケア等の事業領域ごとの高い付加価値の源泉となる専門的なスキル

 第2階層の事例では、語学分野で若手社員が海外のビジネスパーソンとリモートで共同して課題に取り組む研修を開始しました。DX分野では全社員が基本的知識を学習するeラーニングを受講しています。第3階層の事例では、資格取得奨励金制度や親密企業への出向等を実施し、事業領域ごとの専門性を高めています。

 「自ら考え積極的に行動し、成長意欲を持った自律型人材」の育成のため、「社内コーチング資格取得プログラム」をマネジメント層に導入し、自律性を引き出す部下指導の実践に活用しています。また、2022年度からカフェテリアプランを導入し、英会話やビジネススクールへの通学、外部セミナーの受講への費用補助を実施し、社員の自律的な学びを支援しています。

 

c.ダイバーシティ&インクルージョン

 当社グループでは、人材の多様性こそが成長の原動力であると考えています。異なる強み、視点や価値観を持ち寄るからこそ生まれるイノベーションが新たな価値を生み出し、持続的な成長に繋がります。年齢、性別、国籍、性的指向、性自認、人種、民族、障がい等の有無および採用の形態にかかわらず、一人ひとりが能力を最大限発揮し、専門性を高めていけるよう、誰にとっても働きやすく働きがいのある職場を目指し、ダイバーシティ&インクルージョンの推進に取り組んでいます。

 女性については、その能力を発揮できる環境づくりに取り組んでいます。具体的には、女性活躍のすそ野を広げるため、女性総合職のフォローアップ推進を進めています。また、女性のキャリアアップ促進のため、社長・役員や部門長と女性社員との交流会や女性経営者によるキャリア講演会・座談会の開催など、多様なロールモデルに触れる機会を提供し、キャリアアップ意欲向上と風土醸成に取り組んでいます。

女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画で定めた女性社員の採用比率や女性管理職比率向上への取組みが評価され、2017年度には「プラチナくるみん認定」、2021年度には「えるぼし」認定の2つ星(3段階のうち2段階目)を厚生労働大臣から取得しました。

 加えて、LGBTQや障がい者をテーマとしグループ全社員を対象としたeラーニング研修、部店長や役員・人事担当者向け集合研修等を実施することで、職場におけるダイバーシティ&インクルージョンの理解促進を進めています。その結果、任意団体 work with Pride が策定する、職場における性的マイノリティへの取組みの評価指標「PRIDE指標2022」にエントリーし、「ブロンズ」を受賞しました。

 

d.健康経営、ワーク・ライフ・バランス

 当社グループでは、社員が健康で安全に生き生きと働くことのできる職場環境を整えることが、組織の活性化、社員一人一人の生産性の向上、優秀な人材の獲得・維持につながり、持続的な価値創造を支えると考えています。そのための「健康投資」(健康保持に向けた取り組み)は人材育成と並ぶ「人的資本に対する投資」と捉え、「健康経営」を推進しています。

 「社員の疾病の予防・早期発見」を重点課題と考え、自己負担なしでの人間ドック受診可能年齢を40歳以上から35歳以上に引き下げ、全員受診必須としました。2022年度は全員が受診しています。さらに、女性の健康課題に対する取り組みを開始し、まず全社員を対象に、女性の健康課題への理解を深めることを目的とするオンラインセミナーを開始しました。2023年度からは全女性社員を対象に女性医師による個別相談会を毎月3回開催します。

こうした取り組みもあり、前年に続き「健康優良法人2023(大規模法人部門)」に認定されています。

 

 また、全ての社員が自律的にワーク・ライフ・バランスの実現に取り組み、ワークとライフ双方のクオリティ(健康の維持・増進、知識・見聞の拡大、自己啓発など)を高めることのできる「働きやすい職場作り」を進めています。

 

 具体的な制度として、「リフレッシュデー(毎週1回各人で設定する早帰り日)」「選択型時差出勤制度(通常の勤務時間以外に始業・終業時刻を柔軟に選択できる制度)」を設定し、長時間労働の是正及び育児や介護などの事由によらず自らの生活スタイルに応じて働くことのできる環境を整備しています。また「+Friday(プラスフライデー)」(毎月1回、いずれかの金曜日を選択して半日勤務とする制度)等の独自の施策も導入、その取得も推進しています。

 

e.従業員エンゲージメント

 当社グループでは、「社員一人ひとりが、会社の成長と自身の成長を結び付け、お互いが成長することに対して貢献する関係」を「エンゲージメント」と定義し、従業員意識調査にてエンゲージメント指数を計測し、その指数動向を把握しています。

 

f.指標と目標

 

 

2026年度目標

2022年度実績

戦略的人材育成

人材育成関連費用(単体)

300%

2021年度対比

188%

2021年度対比

ダイバーシティ&

インクルージョン

新卒採用女性比率(単体)

40%

53.5%

女性管理職比率(単体)

35%

30.9%

男性育児休暇取得率(単体)(※10)

100%

100%

健康経営、ワーク・

ライフ・バランス

35歳以上人間ドック受診率(単体)

100%

100%

有給休暇取得率(単体)

90%

93.5%

プラスフライデー取得率(単体)

定量目標は設定せず

89%

エンゲージメント指標向上率(連結)

(※11)

定量目標は設定せず

3.48

※10 育休取得率は、当該年度の育休対象社員(年度内に子どもが生まれた人数)に対して当該年度に育休を取得した社員数の割合で算出。

※11 従業員意識調査における社員エンゲージメントにかかる8設問の平均値を計測。

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

当社グループでは、このようなリスクに対する適切な管理態勢を構築し、リスク発生の回避およびリスクが顕在化した際の影響の極小化に努めております。

なお、文中における将来情報に関する事項は、有価証券報告書提出日(2023年6月27日)現在において当社グループが判断したものであり、以下の記載は当社株式への投資に関連する全てのリスクを網羅するものではありません。

 

① 設備投資動向の変動等が業績に与える影響について

当社グループが取扱うリース取引や割賦販売は、顧客が設備投資を行う際の資金調達手段の一つという役割を担っており、民間設備投資額とリース設備投資額とは概ね正の相関関係があります。

当社グループは、営業基盤の拡充、顧客の多様かつ潜在的なニーズを捉えた様々なソリューション提案の実施等に努め、契約獲得の増加に注力しておりますが、今後企業の設備投資動向によっては、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 信用リスクが業績に与える影響について

当社グループの事業は、取引先に対する与信期間が中長期(リース取引の平均期間は5年程度)にわたることから、与信期間中に取引先の倒産等が発生し、リース料等の回収が困難となるリスクがあります。

当社グループは、信用リスクの損失を極小化するため、個々の取引先の信用状況を審査・モニタリングするとともに、ポートフォリオにおける信用リスクの状況を定量的に評価・モニタリングし、資産の健全性を維持、改善するよう努めております。また、日本公認会計士協会の「リース業における金融商品会計基準適用に関する当面の会計上及び監査上の取扱い」(業種別監査委員会報告第19号)に基づき、銀行等金融機関に準じた資産の自己査定を実施しており、決算において、「一般債権」は過年度の貸倒実績に基づく予想損失額を、「貸倒懸念債権及び破産更生債権等」は取引先個別の回収不能見込額を算定して貸倒引当金等を計上しております。さらに、「ビジネス・リスク・レビュー委員会」を設置して大口与信先の状況等についてモニタリングを行い、経営陣に定期的に報告しております。

しかしながら、今後の景気動向によっては、取引先の信用状況の悪化により新たな不良債権が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 金利・為替・株価等の変動及び資金調達が業績に与える影響について

当社グループは、顧客にリースや割賦販売を行う物件や当社が保有する事業資産の購入資金を主に金融機関や市場からの調達により賄っております。また、航空機等の外貨建て資産を保有している他、有価証券投資やファンドを通じた投資等を行っております。

当社グループでは、市場情勢に対し注意を払うことはもとより、資産運用と資金調達のギャップを常時把握し、金利・為替・株価等の変動リスク等(=市場リスク)の管理、新規調達等の方針を協議・検討する「ALM委員会」を開催し、これらリスクの適切なコントロールに努めております。また、当社は、健全な財務体質を背景に、複数の格付機関から優良とされる格付けを取得しています。

しかしながら、今後の金利・為替・株価や金融市場の動向によっては、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、今後当社の格付けが引き下げられた場合、コマーシャル・ペーパー等による有利な調達が制限されるほか、通常より高い金利での資金調達を余儀なくされるなど、必要な資金の適切な確保が困難となり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 諸制度の変更が業績に与える影響について

当社グループは、現行の法律・税務・会計等の制度や基準をもとに事業展開しております。会計制度について、2019年3月に企業会計基準委員会はリース会計に関する基準開発に着手することを決定しております。将来、これらの諸制度が大幅に変更された場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

⑤ 戦略的提携・企業買収等に伴うリスクについて

当社グループは、事業の更なる拡大・成長を目的としてベンチャー企業や新規事業への出資又は戦略的提携や企業買収等を行うことにより、ビジネス領域の拡充を図っております。戦略的提携や企業買収等に際しては十分な検討を行っておりますが、外部環境の変化等により提携・買収後の事業が想定どおり進捗しない場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 災害等によるリスクについて

当社グループは、災害や事故、新型コロナウイルス等の感染症の流行など緊急時に備えて、人命・安全の確保及び事業の継続に向けたBCP(事業継続計画)基本原則を定めておりますが、被害の状況によっては、当社グループの事業活動が制限され、業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは新型コロナウイルス感染拡大への対応を進めておりましたが、新型コロナウイルスの感染拡大は収束に向かっており、今後は経済・社会活動の正常化がさらに進むことが期待されます。しかしながら、変異株による感染再拡大等の場合、それに伴う人の移動制限及び経済活動の停滞により、当社グループの経営成績又は財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ サイバーセキュリティリスク・情報セキュリティリスクについて

当社グループは、各事業においてITシステムを活用して多数の顧客情報を取扱っているほか、様々な経営情報等の内部情報を保有しており、サイバー攻撃等により、ITシステムが長期間にわたり正常に作動しなくなった場合、当社グループの業務が著しく停滞し、業績等への悪影響が生じる可能性があります。

また、不正アクセス等により、個人情報や法人の秘密情報等が外部に漏洩した場合には、当社グループの社会的信用に影響を与え、また損害賠償等を行う必要が生じることにより、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、「システム戦略委員会」を設置して、ファイアウォールなどのいわゆる入口対策・出口対策に加えてエンドポイントの監視等、多層防御の考え方で対策を図るとともに、役職員等に対して教育・研修の徹底を進めております。

 

⑧ 事業戦略に関連するリスクについて

当社グループは、中期経営計画「Fuyo Shared Value 2026」に沿って事業領域の拡大や収益力強化に取り組んでおりますが、グループ経営上で重要度が高い事業分野(アセットビジネス、エネルギー・環境ビジネス、BPOサービス等)において想定されるリスクとして以下のようなものがあります。

 

a.不動産

当社グループは、不動産賃貸や不動産への投融資を行っております。取組みにあたっては、取引先の信用力や将来収支、資産価値を慎重に見極めておりますが、取引先の業績悪化や不動産の稼働率低下に伴うキャッシュ・フローの減少及び不動産市況の悪化により資産価値が下落するリスクがあります。景気悪化や事業環境の変化により、保有資産の価値が大幅に変動した場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

b.航空機

当社グループは、国内外において航空機リース事業を展開しております。航空会社の信用力や物件の将来価値を見極めておりますが、航空会社の業績が悪化した場合や市場の変動等により航空機の資産価値が著しく下落した場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。新型コロナウイルス感染症の影響で悪化した航空業界の経営環境が短期間で改善せず、一部の航空会社の支払能力が悪化し、貸倒関連費用の増加などが発生しましたが、前記のとおり、新型コロナウイルス感染症が収束に向かっており、これらの状況も解消していくと想定しております。

 

c.モビリティビジネス

当社グループは、乗用車、トラック等のリース事業を展開しております。取引先の信用力や物件の将来価値を見極めておりますが、中古車市場の変動により資産価値が著しく下落した場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

d.エネルギー・環境

当社グループは、大規模太陽光発電所の運営及び再生可能エネルギーファンド等への投資を行っており、天候不順等の影響により発電量が減少するリスクがありますが、想定される業績への影響は軽微です。

 

e.BPOサービス

当社グループは、顧客の一部業務処理を受託するBPOサービスを提供しております。IT化による人的ミスの削減、業務マニュアルの作成及び人材の育成等により、十分なサービスを提供する体制を整えておりますが、納期の遅れや業務品質の低下等が発生した場合、事業活動に影響が生じる可能性があります。

 

f.海外

当社グループは、北米、アジア等で日系企業を中心にリース・ファイナンス事業を展開しておりますが、進出している海外諸国の政治・経済等の状況の変化により、事業活動に影響が生じる可能性があります。

 

⑨ 業務運営全般に関するリスクについて

業務運営全般に関するリスクとして、不適切な事務処理が行われることによる事務リスク、コンピュータシステムのダウンもしくは誤作動等のシステムリスク、必要な人材の育成・確保が困難となる等の人的リスク、法令や社会規範が遵守されなかった場合に社会的信用の喪失に繋がるコンプライアンスリスク等があります。これらのリスクが顕在化した場合、円滑な業務運営が損なわれることにより、事業活動に影響が生じる可能性があります。当社グループでは、リスク管理規程及びコンプライアンス規程に基づき、リスクの特性や重要性に応じた管理を実施し、これらのリスクのコントロールに努めております。

 

⑩ その他の中長期的なリスクについて

[DX(デジタル・トランスフォーメーション)推進への対応]

DX戦略を牽引するデジタル人材の不足等によりDXへの対応の遅れが生じた場合やデジタル技術の適用が著しく遅延した場合、当社グループの競争力が相対的に低下することで経営成績又は財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

テクノロジーの進歩により、社会のデジタルシフトが加速する中、当社グループでは、事業を通じての様々な社会課題の解決と経済価値の同時実現を目指すため、デジタル技術を活用したビジネススタイルへの変革、新たなソリューションの創出に取り組んでいます。2022年4月には、こうした活動を全社的に推進していくため「DX戦略推進委員会」を設置し、DX戦略推進に必要な組織・体制の整備等を図っております。

 

[気候変動対策]

気候変動により自然災害が激甚化し、保有資産の被災といった物理的リスクが顕在化した場合や、脱炭素社会への移行に向けた炭素税の導入といった法規制の強化等がなされた場合、当社グループの経営成績又は財務状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、「CSV推進委員会」を設置し、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に基づき、気候関連のリスクと機会を適切に特定して、気候変動が当社グループの財務面に与える影響の分析及び情報開示を実施しております。さらに、2030年度までに事業活動に伴う温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」の目標を設定して気候変動リスクの低減に努めております。

 

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限の緩和等により緩やかな回復基調にありましたが、資源価格の高騰等による物価の上昇や、世界的な金融引き締め等による海外経済の減速懸念などが重なり、先行きは依然として不透明な状況が続いております。

こうした環境の下、当社グループは、2022年4月より5か年(2022年度~2026年度)の中期経営計画「Fuyo Shared Value 2026」をスタートさせました。計画初年度である2022年度は事業活動を通じて社会と企業の共有価値を創造するCSVの実践により、社会課題の解決と企業価値の向上を同時に実現することで、外部環境が大きく変化していく中で力強く持続的に成長する企業グループを目指して、計画に掲げたビジネス戦略・マネジメント戦略を着実に遂行しました。

この結果、当連結会計年度の契約実行高は前年度比10.6%増加の1兆5,308億3千万円となり、当連結会計年度末の営業資産残高(割賦未実現利益控除後)は前連結会計年度末比1,385億8千7百万円(5.4%)増加して2兆7,045億2千6百万円となりました。

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末比2,000億3千6百万円(6.8%)増加して3兆1,497億4千万円となりました。

調達残高は、社債の発行や長期借入金の増加により、前連結会計年度末比6.2%増加の2兆5,139億6百万円となりました。

損益面では、売上高は前年度比4.7%増加の6,886億5千5百万円、営業利益は前年度比12.0%増加の515億6千1百万円、経常利益は前年度比13.2%増加の596億9千9百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前年度比14.9%増加の389億3千9百万円となりました。

売上高、営業利益、経常利益、及び親会社株主に帰属する当期純利益ともに、前年度を上回る実績となり、各段階利益については連結会計年度の過去最高益を更新しております。

なお、中期経営計画の経営目標に設定している経常利益は、6期連続で最高実績を更新しております。

 

② セグメントごとの経営成績

当連結会計年度におけるセグメントごとの経営成績は次のとおりであります。なお、各セグメントにおける売上高については「外部顧客に対する売上高」の金額、セグメント利益については報告セグメントの金額を記載しております。

 

[リース及び割賦]

 リース及び割賦の契約実行高は前年度比3.0%減少して4,825億4千9百万円となり、営業資産残高は前連結会計年度末比1.0%減少して1兆7,409億5千1百万円となりました。リース及び割賦の売上高は前年度比3.3%増加して6,118億6千3百万円となり、セグメント利益は前年度比12.0%増加して366億7千9百万円となりました。

 

[ファイナンス]

 ファイナンスの契約実行高は前年度比18.2%増加して1兆480億9千5百万円となり、営業資産残高は前連結会計年度末比20.3%増加して9,341億6千7百万円となりました。ファイナンスの売上高は前年度比18.4%増加して262億8百万円となり、セグメント利益は前年度比12.6%増加して186億5百万円となりました。

 

[その他]

 その他の契約実行高は前年度比25.2%増加して1億8千5百万円となり、営業資産残高は前連結会計年度末比7.5%減少して294億7百万円となりました。その他の売上高は前年度比16.2%増加して505億8千3百万円となり、セグメント利益は前年度比15.1%増加して101億6百万円となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末比492億3千5百万円増加して1,211億9千2百万円となりました。区分ごとのキャッシュ・フローの状況の内訳は以下のとおりであります。

 

[営業活動によるキャッシュ・フロー]

 税金等調整前当期純利益が580億2千9百万円、賃貸資産減価償却費が405億9千5百万円、賃貸資産除却損及び売却原価が908億4千万円、リース債権及びリース投資資産の減少額が1,368億8千7百万円となったことなどに対し、営業投資有価証券の増加額が1,317億8百万円、賃貸資産の取得による支出が2,160億3千2百万円となったことなどにより、営業活動によるキャッシュ・フローは、241億4千9百万円の支出(前連結会計年度は889億7千4百万円の収入)となりました。

 

[投資活動によるキャッシュ・フロー]

 投資有価証券の売却及び償還による収入が13億9百万円となったことなどに対し、社用資産の取得による支出が26億7千6百万円、投資有価証券の取得による支出が91億7千7百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が23億9千7百万円となったことにより、投資活動によるキャッシュ・フローは、123億9千3百万円の支出(前連結会計年度は156億6千9百万円の支出)となりました。

 

[財務活動によるキャッシュ・フロー]

 長期借入れによる収入が4,596億9千9百万円、社債の発行による収入が1,100億円となったことなどに対し、コマーシャル・ペーパーの減少額が650億円、長期借入金の返済による支出が3,578億7千3百万円、債権流動化の返済による支出が173億5千1百万円となったことなどにより、財務活動によるキャッシュ・フローは、840億4千2百万円の収入(前連結会計年度は1,015億3千4百万円の支出)となりました。

 

④ 特定金融会社等の開示に関する内閣府令に基づく貸付金(営業貸付金、その他の営業貸付債権、関係会社短期貸付金及び関係会社長期貸付金)の状況

 「特定金融会社等の開示に関する内閣府令」(1999年5月19日 大蔵省令第57号)に基づく、当社における貸付金の状況は次のとおりであります。

a.貸付金の種別残高内訳

2023年3月31日現在

 

貸付種別

件数(件)

構成割合(%)

残高(百万円)

構成割合(%)

平均約定金利

(%)

消費者向

 

 

 

 

 

無担保(住宅向を除く)

有担保(住宅向を除く)

住宅向

2

0.03

52

0.01

1.35

2

0.03

52

0.01

1.35

事業者向

 

 

 

 

 

6,912

99.97

476,259

99.99

2.15

合計

6,914

100.00

476,312

100.00

2.15

 

b.資金調達内訳

2023年3月31日現在

 

借入先等

残高(百万円)

平均調達金利(%)

金融機関等からの借入

 

1,433,628

0.53

その他

 

651,192

0.52

 

社債・CP

586,397

0.52

合計

2,084,820

0.53

自己資本

 

269,002

 

資本金・出資額

10,532

 

c.業種別貸付金残高内訳

2023年3月31日現在

 

業種別

先数(件)

構成割合(%)

残高(百万円)

構成割合(%)

製造業

38

8.02

5,554

1.17

農業・林業・漁業・鉱業

4

0.84

13

0.00

建設業

8

1.69

4,982

1.05

電気・ガス・熱供給・水道業

9

1.90

23,960

5.03

情報通信業

5

1.05

29,134

6.12

運輸業

8

1.69

149

0.03

卸売・小売業

165

34.81

7,567

1.59

金融・保険業

23

4.85

114,422

24.02

不動産業

98

20.68

216,135

45.38

飲食店,宿泊業

5

1.05

73

0.01

医療,福祉

41

8.65

1,230

0.26

教育,学習支援業

2

0.42

1,233

0.26

複合サービス事業

サービス業(他に分類されないもの)

47

9.92

71,271

14.96

公務(他に分類されないもの)

個人

2

0.42

52

0.01

分類不能の産業

19

4.01

529

0.11

合計

474

100.00

476,312

100.00

 

d.担保別貸付金残高内訳

2023年3月31日現在

 

受入担保の種類

残高(百万円)

構成割合(%)

有価証券

 

129,019

27.09

 

うち株式

債権

 

355

0.08

 

うち預金

商品

 

不動産

 

9,301

1.95

財団

 

その他

 

24,199

5.08

162,875

34.20

保証

 

13,789

2.89

無担保

 

299,647

62.91

合計

476,312

100.00

 

e.期間別貸付金残高内訳

2023年3月31日現在

 

期間別

件数(件)

構成割合(%)

残高(百万円)

構成割合(%)

1年以下

205

2.96

121,068

25.42

1年超 5年以下

6,501

94.03

197,690

41.50

5年超 10年以下

109

1.58

142,729

29.97

10年超 15年以下

9

0.13

4,126

0.87

15年超 20年以下

19

0.27

6,501

1.36

20年超 25年以下

6

0.09

1,795

0.38

25年超

65

0.94

2,400

0.50

合計

6,914

100.00

476,312

100.00

1件当たりの平均期間(年)

4.77

 (注) 期間は、約定期間によっております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績の分析につきましては、以下のとおりであります。

 

当社グループは、2022年4月より5か年(2022年度~2026年度)の中期経営計画「Fuyo Shared Value 2026」をスタートさせました。計画初年度である2022年度は事業活動を通じて社会と企業の共有価値を創造するCSVの実践により、社会課題の解決と企業価値の向上を同時に実現することで、外部環境が大きく変化していく中で力強く持続的に成長する企業グループを目指して、計画に掲げたビジネス戦略・マネジメント戦略を着実に遂行しました。

2022年度における中期経営計画の遂行状況は次のとおりであります。

 

<ビジネス戦略>

 中期経営計画「Fuyo Shared Value 2026」のビジネス戦略を着実に推進するため、社会の変化に応じた経営資源の機動的な配分を行い、3つの成長ドライバーに区分した7つの事業領域を中心にビジネス領域の拡大に取り組みました。

 

<3つの成長ドライバーと7つの事業領域>

1 ライジングトランスフォーメーション<社会的な地殻変動を捉えた戦略的成長>

●モビリティ

 電気自動車導入に係るワンストップサービス提供においてアライアンス先との協業体制構築に取り組むとともに、自動運転の社会実装に向けた複数の実証実験に参加しました。

 海外においても、物流領域における更なる事業拡大を目的に、米国を中心に物流機器等のオペレーティング・リース事業を展開する持分法適用関連会社のPacific Rim Capital,Inc.を連結子会社化しました。

 

●サーキュラーエコノミー

 循環型社会の実現に向けて、製品寿命の長期化と再資源化を実現し、持続可能な形で資源を利用するサーキュラーエコノミーへのお客様の参加と貢献を可能にする「サーキュラーエコノミーリース」の2023年4月からの取扱い開始に向けた検討を進めました。

 

2 アクセラレーティングトランスフォーメーション<市場トレンドを捉えた加速度的成長>

●エネルギー環境

 欧州を中心に海外における再生可能エネルギー事業の拡大を積極的に進め、英国での洋上風力発電事業への参画や、欧州の再生可能エネルギー事業ファンドへの出資契約締結を実現しました。

 

●BPO/ICT(※1)

 多様化するお客様ニーズへの対応を目的にサービス機能の強化を進め、B to B企業向け動画制作・配信事業を展開する株式会社ヒューマンセントリックスを連結子会社化しました。また、アライアンス先との業務提携等を通じて、IT業務のアウトソーシング・メニューの高度化とサービス提供体制の強化を進めました。

 

●医療福祉

 地域金融機関等との連携を進め、医療・介護事業者を支援し、地域の安定したヘルスケア基盤構築への貢献を目指す「地域特化型ヘルスケアファンド」の組成に向けた取組を進めました。

 

3 グロウイングパフォーマンス<中核分野の安定的成長>

●不動産

 リスクとリターンのバランスを意識した案件の選別、資産の入替えを進めることで、マーケット環境の変化に適切に対応しました。

 

●航空機

 航空機リースの需要拡大が見込まれる米国において、航空機リース子会社を有人化するなどネットワークの拡充等を通じて、オペレーティング・リースの取組を強化しました。また、エールフランス航空と契約を締結した、航空会社向け初となるサステナビリティ・リンク・ローン(※2)付き日本型オペレーティング・リースの取扱いを開始し、航空業界における脱炭素化の促進に貢献しております。

 

※1 BPO(Business Process Outsourcing)

   お客様の業務の効率化や経営資源の集中などを目的に、業務処理を受託する事業

 

   ICT(Information and Communication Technology)

   情報通信技術に関連するサービスやソリューションを提供する事業

 

※2 サステナビリティ・リンク・ローン

   借入人の包括的なサステナビリティの取組成果と金利等の借入条件を連動させるローン

 

<事業を通じた社会価値の創出>

 事業を通じた持続可能な社会の構築と企業としての継続的な成長の両立を実現するため、当社グループはCSVの考え方を経営の根幹に位置付け、サステナビリティに関する取組を強化しております。

中期経営計画においては、事業を通じて社会課題の解決に貢献するCSVの考え方に基づき、成長ドライバーに区分した7つの事業領域を、持続可能な地球環境の実現への貢献を目指す「環境」と、豊かな社会と健やかな人の実現への貢献を目指す「社会とひと」の分野にそれぞれ紐づけ、様々な取組を進めております。

 

 「環境」分野では、国内外での再生可能エネルギー事業の拡大や、「サーキュラーエコノミーリース」の新設などを通じて、気候変動問題の解決や循環型社会の実現に向けた取組を強化しました。また、「社会とひと」の分野では、BPO/ICTサービスにおけるサービス機能の強化を進め、お客様の新たな価値創造時間の創出に努めました。このような取組を進めていくことで、社会課題の解決と経済価値の同時実現による持続的な成長を目指してまいります。

 

<マネジメント戦略>

 ビジネス戦略を支える経営基盤を強化するため、マネジメント戦略では以下取組を進めました。

 

・高付加価値人材の継続的輩出に向け人的投資を積極的に進めるとともに、新たに明文化した企業グループのミッション/ビジョン/バリューの役職員への浸透を目的としたワークショップをグループベースで展開するなど、持続的な価値創造に大切な「ひと」の育成に注力しました。

・DX推進の基盤作りを進め、当社及びシャープファイナンス株式会社は経済産業省が定めるDX認定制度に基づく「DX認定事業者」に新たに認定され、当社グループにおけるDX認定事業者は株式会社WorkVisionを含め3社となりました。

・財務健全性及び資本効率向上の両立に資する資金調達手段として、当社として初めてハイブリッド債(劣後特約付社債)を発行しました。また、株式会社格付投資情報センター(R&I)の当社発行体格付けが「A」から「A+」に引き上げられるとともに、株式会社日本格付研究所(JCR)の当社長期発行体格付け(A+)の見通しが、「安定的」から「ポジティブ」に変更されました。

 

以上のことから、当社グループの連結業績につきましては、次のとおりとなりました。

 

<営業取引の状況>

[契約実行高]

 当連結会計年度における契約実行実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

契約実行高(百万円)

前年同期比(%)

リース及び割賦

情報・事務用機器

118,495

97.1

産業・土木・建設機械

10,442

53.0

その他

100,166

85.1

ファイナンス・リース計

229,105

88.3

情報・事務用機器

3,210

93.2

産業・土木・建設機械

3,622

41.4

その他

225,126

111.2

オペレーティング・リース計

231,958

108.0

リース計

461,064

97.2

割賦

21,485

92.2

リース及び割賦計

482,549

97.0

ファイナンス

1,048,095

118.2

その他

185

125.2

合計

1,530,830

110.6

(注)1.オペレーティング・リースは、賃貸物件の取得価額を記載しております。なお、再リース取引の実行額は含んでおりません。

2.リースについては、当連結会計年度に取得した賃貸用資産の購入金額、割賦については、実行時の割賦債権から割賦未実現利益を控除した額を表示しております。

 

契約実行高は前年同期比10.6%増加となりました。

「リース及び割賦」については、収益性の高いオペレーティング・リースへのシフトを進め、ファイナンス・リースを超える実行高となっております。

「ファイナンス」については、成長ドライバーとなる事業領域であるエネルギー環境や不動産が牽引し実行高が伸長しました。

 

[営業資産残高]

 連結会計年度における営業資産残高をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

前連結会計年度

当連結会計年度

期末残高

(百万円)

構成比(%)

期末残高

(百万円)

構成比(%)

リース及び割賦

情報・事務用機器

366,258

14.3

333,945

12.3

産業・土木・建設機械

114,719

4.4

92,517

3.4

その他

538,786

21.0

464,338

17.2

ファイナンス・リース計

1,019,764

39.7

890,802

32.9

情報・事務用機器

7,315

0.3

6,440

0.2

産業・土木・建設機械

38,155

1.5

36,220

1.4

その他

626,366

24.4

754,695

27.9

オペレーティング・リース計

671,838

26.2

797,356

29.5

リース計

1,691,602

65.9

1,688,159

62.4

割賦

66,067

2.6

52,791

2.0

リース及び割賦計

1,757,669

68.5

1,740,951

64.4

ファイナンス

776,467

30.3

934,167

34.5

その他

31,801

1.2

29,407

1.1

合計

2,565,939

100.0

2,704,526

100.0

(注)割賦については、割賦債権から割賦未実現利益を控除した額を表示しております。

 

営業資産残高は、前連結会計年度末比5.4%の増加となっております。

エネルギー環境や不動産が牽引し、オペレーティング・リースとファイナンスが拡大しました。

 

[営業実績]

 連結会計年度における営業実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

前連結会計年度

セグメントの名称

売上高

(百万円)

売上原価

(百万円)

差引利益

(百万円)

資金原価

(百万円)

売上総利益

(百万円)

リース及び割賦

ファイナンス・リース

357,116

オペレーティング・リース

201,438

リース計

558,555

502,698

55,856

5,265

50,591

割賦

33,630

32,136

1,494

228

1,265

リース及び割賦計

592,186

534,834

57,351

5,493

51,857

ファイナンス

22,131

958

21,172

3,708

17,464

その他

43,529

23,815

19,713

176

19,536

合計

657,847

559,609

98,237

9,379

88,858

 

当連結会計年度

セグメントの名称

売上高

(百万円)

売上原価

(百万円)

差引利益

(百万円)

資金原価

(百万円)

売上総利益

(百万円)

リース及び割賦

ファイナンス・リース

418,400

オペレーティング・リース

163,388

リース計

581,789

522,375

59,413

5,374

54,038

割賦

30,074

28,877

1,197

226

971

リース及び割賦計

611,863

551,252

60,611

5,601

55,009

ファイナンス

26,208

1,198

25,009

5,170

19,838

その他

50,583

27,938

22,644

176

22,468

合計

688,655

580,390

108,264

10,948

97,316

 (注)売上高について、セグメント間の内部売上高又は振替高は含まれておりません。

 

セグメントごとの財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 

[売上高、売上原価、差引利益]

(リース及び割賦)

リース及び割賦の売上高は、前年度比196億7千7百万円(3.3%)増加して6,118億6千3百万円となりました。売上原価は前年度比164億1千7百万円(3.1%)増加して5,512億5千2百万円となり、リース及び割賦における差引利益は前年度比32億5千9百万円(5.7%)増加して606億1千1百万円となりました。これは主として、成長ドライバーに位置付けた事業領域である航空機や不動産の伸長によるものであります。

 

(ファイナンス)

ファイナンスの売上高は、前年度比40億7千6百万円(18.4%)増加して262億8百万円となりました。売上原価は前年度比2億4千万円(25.1%)増加して11億9千8百万円となり、ファイナンスにおける差引利益は、前年度比38億3千6百万円(18.1%)増加して250億9百万円となりました。これは主として、エネルギー環境などの事業参画型ビジネスが寄与したことによるものであります。

 

(その他)

その他の売上高は、前年度比70億5千3百万円(16.2%)増加して505億8千3百万円となりました。売上原価は前年度比41億2千2百万円(17.3%)増加して279億3千8百万円となり、その他における差引利益は前年度比29億3千万円(14.9%)増加して226億4千4百万円となりました。これは主として、㈱インボイスや㈱WorkVisionの業績伸長などによるものであります。

 

[営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益]

成長ドライバーに位置付けるエネルギー環境やモビリティ、不動産などの各事業領域の拡大により、利益の源泉である基礎的な収益、即ち「差引利益」(資金原価控除前売上総利益)が前年度比100億2千7百万円(10.2%)増加して1,082億6千4百万円となりました。

コスト面では、グループの拡大に伴い人物件費が前年度比42億6千8百万円(10.7%)増加して440億8千9百万円となりました。

この結果、営業利益は前年度比12.0%増加の515億6千1百万円、経常利益は前年度比13.2%増加の596億9千9百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前年度比14.9%増加の389億3千9百万円となりました。各段階利益とも前年度を上回る実績となり、連結会計年度の過去最高益を更新しております。

 

[純資産、自己資本比率]

株主資本合計は利益剰余金の増加により前連結会計年度末比244億4千万円(8.3%)増加して3,171億4千9百万円となり、当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末比351億9千7百万円(9.4%)増加して4,094億3千7百万円となりました。自己資本比率は、前連結会計年度末比0.3ポイント上昇して11.6%となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析・検討内容につきましては、以下のとおりであります。

 

[営業活動によるキャッシュ・フロー]

営業活動によるキャッシュ・フローは、241億4千9百万円の支出(前連結会計年度は889億7千4百万円の収入)となりました。主な変動要因は、営業投資有価証券の増加、賃貸資産除却損及び売却原価の減少、リース債権及びリース投資資産の減少額が増加したことなどによるものであります。

 

[投資活動によるキャッシュ・フロー]

投資活動によるキャッシュ・フローは、123億9千3百万円の支出(前連結会計年度は156億6千9百万円の支出)となりました。主な変動要因は、投資有価証券の取得による支出の減少、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が減少したことなどによるものであります。

 

[財務活動によるキャッシュ・フロー]

財務活動によるキャッシュ・フローは、840億4千2百万円の収入(前連結会計年度は1,015億3千4百万円の支出)となりました。主な変動要因は、間接調達では長期借入れによる収入が増加したこと、直接調達では社債の発行による収入が増加したことなどによるものであります。

 

b.契約債務

2023年3月31日現在の契約債務の概要は以下のとおりであります。

 

年度別要支払額(百万円)

契約債務

1年以内

1年超

2年以内

2年超

3年以内

3年超

4年以内

4年超

5年以内

5年超

短期借入金

584,811

長期借入金

393,529

298,565

222,578

116,692

119,918

71,860

リース債務

3,611

1,700

830

661

286

681

合計

981,952

300,265

223,409

117,354

120,204

72,542

当社グループの第三者に対する保証は、取引先等の借入金等に対する債務保証であります。保証した借入金等の債務不履行が保証期間に発生した場合、当社グループが代わりに弁済する義務があり、2023年3月31日現在の債務保証額は、1,172億円であります。

 

c.財務政策

当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

当社グループは、運転資金及び設備資金につきましては、金融機関からの借入による間接調達と市場からの直接調達により資金調達することとしております。

当連結会計年度は、営業資産の積上げを背景に社債(ハイブリッド社債含む)や長期借入金による調達を拡大しました。また非財務目標に紐づくESGファイナンスの取組みを推進しております。

当連結会計年度末において、間接調達は、長期借入金が増加したことなどにより、前連結会計年度末比7.8%増加して1兆8,079億5千5百万円となり、直接調達は、社債を発行したことなどにより、前連結会計年度末比2.4%増加して7,059億5千1百万円となりました。この結果、当連結会計年度末の調達残高は、前連結会計年度末比6.2%増加して2兆5,139億6百万円となりました。直接調達比率は28.1%となり、前連結会計年度末比1.0ポイント低下いたしました。

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、賃貸資産及び割賦販売物件の購入、営業投資有価証券の購入、太陽光発電設備の設備投資のほか、営業費用、販売費及び一般管理費等であります。

2023年3月31日現在、借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は、前連結会計年度末比6.1%増加して2兆5,216億7千8百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は1,211億9千2百万円となっております。

当連結会計年度末において、取引金融機関77行等と当座貸越契約及び貸出コミットメント契約を締結しております。(借入実行残高5,750億8千4百万円、借入未実行残高6,749億2千2百万円)

 

d.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、2022年度より新中期経営計画「Fuyo Shared Value 2026」をスタートさせております。経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(3)目標とする経営指標」に記載のとおりであります。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。その作成には、資産、負債、収益及び費用の額に影響を与える仮定や見積りを必要とします。これらの仮定や見積りは、過去の実績や現在の状況等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる可能性があります。

連結財務諸表に与える影響が大きいと考えられる項目・事象は以下のとおりです。

 

a.貸倒引当金

当社グループは、債権の回収不能時に発生する損失の見積額に対して貸倒引当金を計上しております。貸倒引当金は、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権及び破産更生債権等については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。貸倒引当金の金額は、以後の各連結会計年度の貸倒の発生や個別債権の回収の状況等に応じて貸倒実績率や個別債権の回収可能性の判断が変化することで、追加引当が必要となる可能性があります。

 

b.固定資産(賃貸資産等)の減損

当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、各社ごとに資産のグルーピングを行い、収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減損し、当該減少額を減損損失として計上しております。

固定資産の回収可能価額について、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件に基づき算出しているため、当初想定した収益が見込めなくなった場合や、将来キャッシュ・フロー等の前提条件に変更があった場合には、固定資産の減損処理を行う可能性があります。

 

c.のれんの減損

当社グループは、のれんについて、その効果の発現する期間を見積り、当期間で均等償却しております。また、その資産性について子会社の業績や事業計画等を基に検討しており、将来において当初想定した収益が見込めなくなり、減損の必要性を認識した場合には、当該連結会計年度においてのれんの減損処理を行う可能性があります。

 

当社の連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

 

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

該当事項はありません。