第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 中期的な経営方針・戦略及び優先的に対処すべき課題

今後の経済見通しにつきましては、経済・社会活動が正常化に向かう中で緩やかな回復基調で推移することが見込まれるものの、原材料価格の高騰や地政学的リスクの高まり等から不透明感が強い状況が続くと予測しております。

このような状況の下、当社グループは、2022年4月より新たに5か年(2022年度~2026年度)の中期経営計画「Fuyo Shared Value 2026」をスタートさせました。

事業活動を通じて社会と企業の共有価値を創造するCSV(Creating Shared Value)の実践を通じて、社会課題の解決と企業価値の向上を同時に実現することで、外部環境が大きく変化していく中で力強く持続的に成長する企業グループを目指してまいります。

中期経営計画「Fuyo Shared Value 2026」では、収益性の更なる向上を進め、これまでの成長を止めることなく持続的な利益成長を目指すとともに、脱炭素社会の実現を始めとした社会課題の解決を通じた企業価値の向上を目指して、ビジネス戦略及びマネジメント戦略を策定しております。

 

<ビジネス戦略>

ビジネスごとの成長性や収益性、当社グループの強みなどを総合的に判断し、当社グループが有する複数の事業領域の中から7つを選び、3つの成長ドライバーに区分しております。マーケットの拡大・創出が見込まれる事業領域には経営資源を集中的に投下し、持続的な利益成長を目指すとともに、成熟しつつあるマーケットにおける事業領域では徹底した差別化を進めることで、安定的な成長の実現を図ってまいります。

 

<3つの成長ドライバーと7つの事業領域>

1.ライジングトランスフォーメーション

 <社会的な地殻変動を捉えた戦略的成長>

 事業領域:「モビリティ」、「サーキュラーエコノミー」

 社会構造の変化で生じた課題の解決を機会と捉え、創出が見込まれるマーケットで新たなビジネスモデルを構

築することで、これまでにない事業領域を開拓してまいります。

 電気自動車導入に係るワンストップサービスの提供や自動運転の社会実装に向けたサポートなど、これまでに

ないビジネスに積極的に取り組むことで、新たな事業基盤を創出してまいります。

 

2.アクセラレーティングトランスフォーメーション

 <市場トレンドを捉えた加速度的成長>

 事業領域:「エネルギー環境」、「BPO/ICT」、「医療福祉」

 拡大するマーケットにおいてトレンドの変化を捉え、積極的に経営資源を投入することで、マーケットの拡大

により生じる成長機会を逃さず取り込み、事業領域の更なる拡大を進めてまいります。

 国内外での再生可能エネルギー事業の拡大や、「働き方改革」や「人手不足」に対応したBPOサービスの提供強化など、従来取り組んできたビジネスを更に拡大・発展させてまいります。

 

3.グロウイングパフォーマンス

 <中核分野の安定的成長>

 事業領域:「不動産」、「航空機」

 厳しい競争環境下においても差別化を進めることで収益性の維持・向上を図り、安定的な利益成長を実現しま

す。

 これまで積み上げてきた知見・ノウハウを活用し、ビジネスの高度化・合理化を着実に進めてまいります。

 

<事業を通じた社会価値の創出>

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事業を通じて社会課題の解決に貢献するCSVの考え方に基づき、成長ドライバーに区分した7つの事業領域を、持続可能な地球環境の実現への貢献を目指す「環境」と、豊かな社会と健やかな人の実現への貢献を目指す「社会とひと」の分野にそれぞれ紐づけ、様々な取組を進めてまいります。

例えば「環境」分野では、事業を通じたCO₂削減、プラスチックのリサイクルによる廃棄物削減などを通じて、気候変動問題の解決や循環型社会の実現に貢献してまいります。また、「社会とひと」の分野では、BPO/ICTサービスの提供を通じた新たな時間の創出などにより、これまで以上に社会的インパクトを重視した事業運営を行ってまいります。このような取組を進めていくことで、社会課題の解決と経済価値の同時実現による持続的な成長を目指してまいります。

 

<マネジメント戦略>

「CSV経営」と「グループガバナンス」をマネジメント戦略における中心軸に据え、持続的な価値創造を支える組織・体制の強化を進めてまいります。加えて、新たにスタートした新中期経営計画では、「人材戦略」において持続的な成長を支える高付加価値人材の育成を強化するとともに、デジタルテクノロジーにより当社グループが保有する事業基盤やネットワークを掛け合わせることで、「DXに向けたデジタルサポート」に注力してまいります。

また、「システム戦略」、「業務改革」、「財務戦略」、「リスクマネジメント」についても高度化・合理化を進めてまいります。

 

(2) ミッション/ビジョン/バリュー

当社グループは、コーポレートスローガンである「前例のない場所へ。」の方向性を定め、役職員が一丸となって持続的な成長の実現を目指すため、企業グループとしてのミッション/ビジョン/バリューを新たに明文化しております。

 

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これにより、CSV経営の考え方を更に推し進め、持続可能な社会づくりに貢献するとともに、企業価値の向上に取り組んでまいります。

 

(3) 目標とする経営指標

中期経営計画「Fuyo Shared Value 2026」では、計画最終年度である2026年度の財務目標及び非財務目標を以下のとおり設定しております。

 

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経営目標の達成に向けて最大限努力してまいります。

 

2【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中における将来情報に関する事項は、有価証券報告書提出日(2022年6月27日)現在において当社グループが判断したものであり、以下の記載は当社株式への投資に関連する全てのリスクを網羅するものではありません。

 

① 設備投資動向の変動等が業績に与える影響について

当社グループが取扱うリース取引や割賦販売は、顧客が設備投資を行う際の資金調達手段の一つという役割を担っており、民間設備投資額とリース設備投資額とは概ね正の相関関係があります。

当社グループは、営業基盤の拡充、顧客の多様かつ潜在的なニーズを捉えた様々なソリューション提案の実施等に努め、契約獲得の増加に注力しておりますが、今後企業の設備投資動向によっては、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 信用リスクが業績に与える影響について

当社グループの事業は、取引先に対する与信期間が中長期(リース取引の平均期間は5年程度)にわたることから、与信期間中に取引先の倒産等が発生し、リース料等の回収が困難となるリスクがあります。

当社グループは、信用リスクの損失を極小化するため、個々の取引先の信用状況を審査・モニタリングするとともに、ポートフォリオにおける信用リスクの状況を定量的に評価・モニタリングし、資産の健全性を維持、改善するよう努めております。また、日本公認会計士協会の「リース業における金融商品会計基準適用に関する当面の会計上及び監査上の取扱い」(業種別監査委員会報告第19号)に基づき、銀行等金融機関に準じた資産の自己査定を実施しており、決算において、「一般債権」は過年度の貸倒実績に基づく予想損失額を、「貸倒懸念債権及び破産更生債権等」は取引先個別の回収不能見込額を算定して貸倒引当金等を計上しております。更に、特定大口与信先グループの状況についてモニタリングを行い、経営陣に定期的に報告しております。

しかしながら、今後の景気動向によっては、取引先の信用状況の悪化により新たな不良債権が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 金利・為替・株価等の変動及び資金調達が業績に与える影響について

当社グループは、顧客にリースや割賦販売を行う物件や当社が保有する事業資産の購入資金を主に金融機関や市場からの調達により賄っております。また、航空機等の外貨建て資産を保有している他、有価証券投資やファンドを通じた投資等を行っております。

当社グループでは、市場情勢に対し注意を払うことはもとより、資産運用と資金調達のギャップを常時把握し、金利・為替・株価等の変動リスク等(=市場リスク)の管理、新規調達等の方針を協議・検討するALM委員会を開催し、これらリスクの適切なコントロールに努めております。また、当社は、健全な財務体質を背景に、複数の格付機関から優良とされる格付けを取得しています。

しかしながら、今後の金利・為替・株価や金融市場の動向によっては、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、今後当社の格付けが引き下げられた場合、コマーシャル・ペーパー等による有利な調達が制限されるほか、通常より高い金利での資金調達を余儀なくされるなど、必要な資金の適切な確保が困難となり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 諸制度の変更が業績に与える影響について

当社グループは、現行の法律・税務・会計等の制度や基準をもとに事業展開しております。会計制度について、2019年3月に企業会計基準委員会はリース会計に関する基準開発に着手することを決定しております。将来、これらの諸制度が大幅に変更された場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

⑤ 戦略的提携・企業買収等に伴うリスクについて

当社グループは、事業の更なる拡大・成長を目的として戦略的提携や企業買収等を行うことにより、ビジネス領域の拡充を図っております。戦略的提携や企業買収等に際しては十分な検討を行っておりますが、外部環境の変化等により提携・買収後の事業が想定どおり進捗しない場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 災害等によるリスクについて

当社グループは、災害や事故、新型コロナウイルス等の感染症の流行など緊急時に備えて、人命・安全の確保及び事業の継続に向けたBCP(事業継続計画)基本原則を定めておりますが、被害の状況によっては、当社グループの事業活動が制限され、業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、新型コロナウイルス感染症の影響については、ワクチン接種が進み経済・社会活動が正常化に向かう中で緩やかな回復基調で推移することが見込まれるものの、変異株による感染再拡大等の場合、その収束には今後も時間を要し、加えて、原材料価格の高騰や地政学的リスクの高まり等から不透明感が強い経済状況が続くと予測しております。そのため、今後の動向次第では、業績への影響の見積りが変動する可能性があります。また、当社グループでは、新型コロナウイルス感染症のリスクに対する対応として、社長を本部長とする新型コロナウイルス緊急時対策本部を設置のうえ、テレワーク及び時差出勤等を推進し、緊急事態宣言等に対応した業務運営体制の決定・運用や感染防止対策を実施しております。

 

⑦ 事業戦略に関連するリスクについて

当社グループは、中期経営計画「Frontier Expansion 2021」において、不動産、航空機、モビリティビジネス、エネルギー・環境、BPOサービス、海外等の事業を強化しております。

 

a.不動産

当社グループは、不動産賃貸や不動産への投融資を行っております。取組みにあたっては、取引先の信用力や将来収支、資産価値を慎重に見極めておりますが、取引先の業績悪化や不動産の稼働率低下に伴うキャッシュ・フローの減少及び不動産市況の悪化により資産価値が下落するリスクがあります。景気悪化や事業環境の変化により、保有資産の価値が大幅に変動した場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

b.航空機

当社グループは、国内外において航空機リース事業を展開しております。航空会社の信用力や物件の将来価値を見極めておりますが、航空会社の業績が悪化した場合や市場の変動等により航空機の資産価値が著しく下落した場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。新型コロナウイルス感染症の影響で悪化した航空業界の経営環境が短期間で改善せず、一部の航空会社の支払能力が悪化し、貸倒関連費用の増加などが発生しましたが、前記のとおり、新型コロナウイルス感染症の収束には今後も時間を要するものの、中長期的には市場の回復を見込んでおり、これらの状況も解消していくと想定しております。

 

c.モビリティビジネス

当社グループは、乗用車、トラック等のリース事業を展開しております。取引先の信用力や物件の将来価値を見極めておりますが、中古車市場の変動により資産価値が著しく下落した場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

d.エネルギー・環境

当社グループは、大規模太陽光発電所を運営しており、天候不順等の影響により発電量が減少するリスクがありますが、想定される業績への影響は軽微です。

 

e.BPOサービス

当社グループは、顧客の一部業務処理を受託するBPOサービスを提供しております。IT化による人的ミスの削減、業務マニュアルの作成及び人材の育成等により、十分なサービスを提供する体制を整えておりますが、納期の遅れや業務品質の低下等が発生した場合、事業活動に影響が生じる可能性があります。

 

f.海外

当社グループは、北米、アジア等で日系企業を中心にリース・ファイナンス事業を展開しておりますが、進出している海外諸国の政治・経済等の状況の変化により、事業活動に影響が生じる可能性があります。

 

⑧ 業務運営全般に関するリスクについて

業務運営全般に関するリスクとして、不適切な事務処理が行われることによる事務リスク、コンピュータシステムのダウンもしくは誤作動等のシステムリスク、保有する情報の紛失、漏洩、持出し等による情報セキュリティに関わるリスク、必要な人材の育成・確保が困難となる等の人的リスク、法令や社会規範が遵守されなかった場合に社会的信用の喪失に繋がるコンプライアンスリスク等があります。これらのリスクが顕在化した場合、円滑な業務運営が損なわれることにより、事業活動に影響が生じる可能性があります。当社グループでは、リスク管理規程及びコンプライアンス規程に基づき、リスクの特性や重要性に応じた管理を実施し、これらのリスクのコントロールに努めております。

 

⑨ その他のリスクについて

気候変動により自然災害が激甚化し、保有資産の被災といった物理的リスクが顕在化した場合や、脱炭素社会への移行に向けた炭素税の導入といった法規制の強化等がなされた場合、当社グループの経営成績又は財務状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは「CSV推進委員会」を設置し、気候関連のリスクと機会を適切に特定しているほか、気候関連のリスクについては取締役会・経営会議の監督の下で定期的なモニタリングを行っています。また、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に賛同し、気候変動が当社グループの財務面に与える影響の分析及び情報開示にも努めています。

 

 

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

なお、当連結会計年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。詳細については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)に記載のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う経済活動の制限や停滞により、厳しい状況で推移しました。ワクチン接種が進む一方で、変異株による感染再拡大、原材料価格やエネルギー価格の高騰、地政学的リスクの高まりなどにより、先行きは依然として不透明な状況にあります。

リース業界におきましては、2021年度のリース取扱高は前年度比8.1%減少して4兆2,186億円(公益社団法人リース事業協会統計)となりました。

こうした環境の下、当社グループは、2017年度~2021年度を対象期間とする中期経営計画「Frontier Expansion 2021」に取り組んでまいりました。中期経営計画の最終年度となる2021年度もコーポレートスローガンである『前例のない場所へ。』の実践を通じ、新しいビジネス領域を切り拓き、事業ポートフォリオのフロンティアを拡大し続ける企業グループを目指して、計画に掲げたビジネス戦略・マネジメント戦略を着実に遂行いたしました。

この結果、当連結会計年度の契約実行高は前年度比3.0%増加の1兆3,844億2千1百万円となり、当連結会計年度末の営業資産残高(割賦未実現利益控除後)は前連結会計年度末比100億8千1百万円(0.4%)増加して2兆5,659億3千9百万円となりました。

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末比295億8千1百万円(1.0%)減少して2兆9,497億4百万円となりました。

調達残高は、社債や長期借入金を活用した長期調達を進める一方、コマーシャル・ペーパーによる短期調達を抑制したことなどにより、前連結会計年度末比2.7%減少の2兆3,662億2千4百万円となりました。

損益面では、売上高は前年度比11.1%減少の6,578億4千7百万円、営業利益は前年度比3.3%増加の460億3千4百万円、経常利益は前年度比9.8%増加の527億2千3百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前年度比14.6%増加の338億8千6百万円となりました。

売上高は「収益認識会計基準」を適用した事により減収となりましたが、営業利益、経常利益、及び親会社株主に帰属する当期純利益ともに、前年度を上回る実績となり、連結会計年度の過去最高益を更新しております。

なお、従来の基準で売上高を認識した場合、7.9%増加の7,987億7千8百万円となります。

 

② セグメントごとの経営成績

当連結会計年度におけるセグメントごとの経営成績は次のとおりであります。なお、各セグメントにおける売上高については「外部顧客に対する売上高」の金額、セグメント利益については報告セグメントの金額を記載しております。

 

[リース及び割賦]

 リース及び割賦の契約実行高は前年度比2.4%増加して4,974億3千7百万円となり、営業資産残高は前連結会計年度末比2.2%減少して1兆7,576億6千9百万円となりました。リース及び割賦の売上高は前年度比9.3%増加して5,921億8千6百万円となり、セグメント利益は前年度比1.7%減少して327億5千1百万円となりました。

 

[ファイナンス]

 ファイナンスの契約実行高は前年度比4.8%増加して8,868億3千6百万円となり、営業資産残高は前連結会計年度末比7.0%増加して7,764億6千7百万円となりました。ファイナンスの売上高は前年度比7.5%増加して221億3千1百万円となり、セグメント利益は前年度比8.0%増加して165億2千3百万円となりました。

 

[その他]

 その他の契約実行高は前年度比98.8%減少して1億4千7百万円となり、営業資産残高は前連結会計年度末比4.4%減少して318億1百万円となりました。その他の売上高は前年度比75.5%減少して435億2千9百万円となり、セグメント利益は前年度比0.1%減少して87億7千9百万円となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末比260億6千8百万円減少して719億5千7百万円となりました。区分ごとのキャッシュ・フローの状況の内訳は以下のとおりであります。

 

[営業活動によるキャッシュ・フロー]

 税金等調整前当期純利益が525億9千5百万円、賃貸資産減価償却費が461億7千5百万円、賃貸資産除却損及び売却原価が1,522億6千8百万円、リース債権及びリース投資資産の減少額が905億2千7百万円となったことなどに対し、営業投資有価証券の増加額が398億1千2百万円、賃貸資産の取得による支出が2,205億9千8百万円となったことなどにより、営業活動によるキャッシュ・フローは、889億7千4百万円の収入(前連結会計年度は350億8千万円の支出)となりました。

 

[投資活動によるキャッシュ・フロー]

 投資有価証券の売却及び償還による収入が15億4千3百万円となったことなどに対し、社用資産の取得による支出が21億7千9百万円、投資有価証券の取得による支出が121億6千3百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が35億8千9百万円となったことにより、投資活動によるキャッシュ・フローは、156億6千9百万円の支出(前連結会計年度は59億7千万円の支出)となりました。

 

[財務活動によるキャッシュ・フロー]

 長期借入れによる収入が3,530億6千7百万円、社債の発行による収入が645億3千万円となったことなどに対し、コマーシャル・ペーパーの減少額が992億円、長期借入金の返済による支出が3,365億3千1百万円、債権流動化の返済による支出が420億5千4百万円となったことなどにより、財務活動によるキャッシュ・フローは、1,015億3千4百万円の支出(前連結会計年度は634億5百万円の収入)となりました。

 

④ 特定金融会社等の開示に関する内閣府令に基づく貸付金(営業貸付金、その他の営業貸付債権、関係会社短期貸付金及び関係会社長期貸付金)の状況

 「特定金融会社等の開示に関する内閣府令」(1999年5月19日 大蔵省令第57号)に基づく、当社における貸付金の状況は次のとおりであります。

a.貸付金の種別残高内訳

2022年3月31日現在

 

貸付種別

件数(件)

構成割合(%)

残高(百万円)

構成割合(%)

平均約定金利

(%)

消費者向

 

 

 

 

 

無担保(住宅向を除く)

有担保(住宅向を除く)

住宅向

2

0.03

61

0.01

1.10

2

0.03

61

0.01

1.10

事業者向

 

 

 

 

 

7,346

99.97

434,354

99.99

1.98

合計

7,348

100.00

434,415

100.00

1.98

 

b.資金調達内訳

2022年3月31日現在

 

借入先等

残高(百万円)

平均調達金利(%)

金融機関等からの借入

 

1,309,954

0.44

その他

 

630,951

0.22

 

社債・CP

547,137

0.18

合計

1,940,905

0.37

自己資本

 

256,774

 

資本金・出資額

10,532

 

c.業種別貸付金残高内訳

2022年3月31日現在

 

業種別

先数(件)

構成割合(%)

残高(百万円)

構成割合(%)

製造業

10

1.85

4,956

1.14

農業・林業・漁業・鉱業

5

0.93

1,203

0.28

建設業

8

1.48

253

0.06

電気・ガス・熱供給・水道業

51

9.46

21,847

5.03

情報通信業

4

0.74

31,542

7.26

運輸業

3

0.56

473

0.11

卸売・小売業

16

2.97

2,831

0.65

金融・保険業

226

41.93

95,058

21.88

不動産業

106

19.67

221,821

51.06

飲食店,宿泊業

16

2.97

4,267

0.98

医療,福祉

9

1.67

2,154

0.50

教育,学習支援業

18

3.34

183

0.04

複合サービス事業

サービス業(他に分類されないもの)

32

5.94

45,725

10.53

公務(他に分類されないもの)

17

3.15

1,438

0.33

個人

2

0.37

61

0.01

分類不能の産業

16

2.97

594

0.14

合計

539

100.00

434,415

100.00

 

d.担保別貸付金残高内訳

2022年3月31日現在

 

受入担保の種類

残高(百万円)

構成割合(%)

有価証券

 

107,483

24.74

 

うち株式

債権

 

387

0.09

 

うち預金

商品

 

不動産

 

13,377

3.08

財団

 

その他

 

16,898

3.89

138,145

31.80

保証

 

9,758

2.25

無担保

 

286,511

65.95

合計

434,415

100.00

 

e.期間別貸付金残高内訳

2022年3月31日現在

 

期間別

件数(件)

構成割合(%)

残高(百万円)

構成割合(%)

1年以下

179

2.43

101,494

23.36

1年超 5年以下

6,918

94.15

172,176

39.63

5年超 10年以下

144

1.96

146,951

33.83

10年超 15年以下

10

0.14

4,644

1.07

15年超 20年以下

18

0.24

6,071

1.40

20年超 25年以下

5

0.07

149

0.04

25年超

74

1.01

2,927

0.67

合計

7,348

100.00

434,415

100.00

1件当たりの平均期間(年)

5.04

 (注) 期間は、約定期間によっております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績の分析につきましては、以下のとおりであります。

 

当社グループは、2017年度~2021年度を対象期間とする中期経営計画「Frontier Expansion 2021」に取り組んでまいりました。中期経営計画の最終年度となる2021年度もコーポレートスローガンである『前例のない場所へ。』の実践を通じ、新しいビジネス領域を切り拓き、事業ポートフォリオのフロンティアを拡大し続ける企業グループを目指して、計画に掲げたビジネス戦略・マネジメント戦略を着実に遂行いたしました。

2021年度における中期経営計画の遂行状況は次のとおりであります。

 

<ビジネス戦略>

中期経営計画「Frontier Expansion 2021」の完遂に向けて、エネルギー・環境や不動産など成長ドライバーとなる戦略分野に経営資源を積極的に投入するとともに、出資やM&Aによる機能強化を進め、収益性の高い事業ポートフォリオの構築に取り組みました。

不動産分野では、顧客基盤の拡大が進み、物流施設や大型商業施設などを対象とした案件に幅広く取り組むとともに、収益性の向上を企図した既存資産の流動化を進めました。

エネルギー・環境分野では、米国における太陽光発電事業の運営への参画や、タイでのPPA(※1)方式による売電事業を行う合弁会社の設立など、海外における取組を強化しました。また、環境省が推進する「ゼロカーボンシティ」の取組を後押しする当社グループ独自のファイナンスプログラム「芙蓉 ゼロカーボンシティ・サポートプログラム」の利用企業・団体数が200団体を突破するなど、地域における脱炭素化をサポートしております。

医療・福祉分野では、専門的かつ幅広い情報の発信と各種サービスの提供を目的に、クリニックや介護事業者の経営課題解決を支援するWEBサイト「Fuyo Mediwel Support」を開設いたしました。

航空機分野では、航空旅客需要の低下を踏まえ航空機リースの新規取組を限定して慎重に進めるなど、マーケット環境の変化に適切に対応いたしました。

海外分野では、当社グループが強みを有する事業分野を中心としたビジネス展開が加速し、北米やアジアにおいてエネルギー・環境や不動産など様々な領域における連携が具体化いたしました。

BPO(※2)分野では、クラウドサービスなどで企業のデジタル化を支援する株式会社WorkVisionを連結子会社化することで、“システム”と“オペレーション” の両面からお客様の業務改革を実現する体制を構築し、高度化・複雑化するニーズへの対応を進めました。

モビリティビジネス分野では、自動運転社会の実現に向けた実証実験を支援するサービスプログラムをアライアンス先と共同で構築し、自治体などへのサービス提供を開始しました。海外においては、タイでフォークリフトのレンタル事業などを手掛けるPLIC Corp.,Ltd.を持分法適用関連会社とし、タイマーケットでのモビリティビジネスの強化を進めました。

 

※1 Power Purchase Agreement(電力購入契約)の略で、お客様の施設の屋根などに太陽光発電システムを設置して直接エネルギーを提供する事業です。

※2 BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)は、お客様の業務の効率化や経営資源の集中などを目的に、一部業務処理を受託する事業です。

 

<マネジメント戦略>

マネジメント戦略では、2021年6月に改訂された東京証券取引所「コーポレートガバナンス・コード」を踏まえ、「持続的な価値創造を支える体制に関する基本方針」「多様性の確保についての考え方」を新たに定めるなどにより全原則を実施し、ガバナンス体制の更なる高度化を図るとともに、東京証券取引所の市場区分の見直しにおいてプライム市場を選択することとし、2022年4月4日より移行しております。

資金調達では、安定的な外貨調達基盤の構築に向けてユーロMTN(ミディアムタームノート)プログラムを設定するとともに、環境と社会にかかる課題解決に貢献する取組を資金使途とするサステナビリティボンド(別称:芙蓉CSVボンド)を当社として初めて発行し、調達手段の多様化を図りました。

また、当社は経済産業省と日本健康会議が共同で選定する「健康経営優良法人認定制度」における「健康経営優良法人2022(大規模法人部門)」に認定されるとともに、社員一人ひとりが能力を最大限発揮できる職場を目指したダイバーシティ推進への取組が評価され、ESG投資における株価指数の1つである「MSCI 日本株女性活躍指数(WIN)」の構成銘柄にも選定されております。

以上のことから、当社グループの連結業績につきましては、次のとおりとなりました。

 

<営業取引の状況>

[契約実行高]

 当連結会計年度における契約実行実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

契約実行高(百万円)

前年同期間比(%)

リース及び割賦

情報・事務用機器

121,985

78.8

産業・土木・建設機械

19,702

61.8

その他

117,713

97.0

ファイナンス・リース計

259,401

84.2

情報・事務用機器

3,443

87.7

産業・土木・建設機械

8,759

181.9

その他

202,523

148.0

オペレーティング・リース計

214,725

147.5

リース計

474,126

104.5

割賦

23,310

72.9

リース及び割賦計

497,437

102.4

ファイナンス

886,836

104.8

その他

147

1.2

合計

1,384,421

103.0

(注)1.オペレーティング・リースは、賃貸物件の取得価額を記載しております。なお、再リース取引の実行額は含んでおりません。

2.リースについては、当連結会計年度に取得した賃貸用資産の購入金額、割賦については、実行時の割賦債権から割賦未実現利益を控除した額を表示しております。

 

契約実行高は前年同期間比3.0%増加となりました。

「リース及び割賦」については、戦略分野である不動産リースや、案件を選別しながら進めた航空機リースが増加したことにより、オペレーティング・リースが増加となっております。

「ファイナンス」については、アクリーティブ㈱の診療・介護報酬債権を中心としたファクタリングの増加が寄与しております。

「その他」については、福島県で大型の太陽光発電所が新規稼働した前年同期間比で減少しております。

 

[営業資産残高]

 連結会計年度における営業資産残高をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

前連結会計年度

当連結会計年度

期末残高

(百万円)

構成比(%)

期末残高

(百万円)

構成比(%)

リース及び割賦

情報・事務用機器

424,772

16.6

366,258

14.3

産業・土木・建設機械

129,846

5.1

114,719

4.4

その他

526,178

20.6

538,786

21.0

ファイナンス・リース計

1,080,797

42.3

1,019,764

39.7

情報・事務用機器

9,518

0.4

7,315

0.3

産業・土木・建設機械

37,070

1.4

38,155

1.5

その他

585,951

22.9

626,366

24.4

オペレーティング・リース計

632,539

24.7

671,838

26.2

リース計

1,713,337

67.0

1,691,602

65.9

割賦

83,499

3.3

66,067

2.6

リース及び割賦計

1,796,836

70.3

1,757,669

68.5

ファイナンス

725,745

28.4

776,467

30.3

その他

33,276

1.3

31,801

1.2

合計

2,555,857

100.0

2,565,939

100.0

(注)割賦については、割賦債権から割賦未実現利益を控除した額を表示しております。

 

営業資産残高は、前連結会計年度末比0.4%の増加となっております。

流動化によるアセットコントロールを推進したことでほぼ前年並みの着地となっております。「リース及び割賦」については、契約実行高と同様に、オペレーティング・リースにおいて不動産や航空機などの戦略分野を中心とした積み上げが進みました。

 

[営業実績]

 連結会計年度における営業実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

前連結会計年度

セグメントの名称

売上高

(百万円)

売上原価

(百万円)

差引利益

(百万円)

資金原価

(百万円)

売上総利益

(百万円)

リース及び割賦

ファイナンス・リース

403,940

オペレーティング・リース

96,172

リース計

500,112

447,877

52,234

5,286

46,948

割賦

41,605

39,843

1,761

336

1,425

リース及び割賦計

541,718

487,721

53,996

5,622

48,374

ファイナンス

20,588

460

20,128

3,844

16,284

その他

177,956

159,583

18,373

287

18,085

合計

740,263

647,764

92,499

9,754

82,744

 

当連結会計年度

セグメントの名称

売上高

(百万円)

売上原価

(百万円)

差引利益

(百万円)

資金原価

(百万円)

売上総利益

(百万円)

リース及び割賦

ファイナンス・リース

357,116

オペレーティング・リース

201,438

リース計

558,555

502,698

55,856

5,265

50,591

割賦

33,630

32,136

1,494

228

1,265

リース及び割賦計

592,186

534,834

57,351

5,493

51,857

ファイナンス

22,131

958

21,172

3,708

17,464

その他

43,529

23,815

19,713

176

19,536

合計

657,847

559,609

98,237

9,379

88,858

 (注)売上高について、セグメント間の内部売上高又は振替高は含まれておりません。

 

セグメントごとの財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 

[売上高、売上原価、差引利益]

(リース及び割賦)

リース及び割賦の売上高は、前年度比504億6千8百万円(9.3%)増加して5,921億8千6百万円となりました。売上原価は前年度比471億1千3百万円(9.7%)増加して5,348億3千4百万円となり、リース及び割賦における差引利益は前年度比33億5千4百万円(6.2%)増加して573億5千1百万円となりました。これは主として、不動産や航空機などの戦略分野の伸長によるものであります。

 

(ファイナンス)

ファイナンスの売上高は、前年度比15億4千2百万円(7.5%)増加して221億3千1百万円となりました。売上原価は前年度比4億9千8百万円(108.3%)増加して9億5千8百万円となり、ファイナンスにおける差引利益は、前年度比10億4千4百万円(5.2%)増加して211億7千2百万円となりました。これは主として、戦略分野の伸長によりファイナンス事業の増益基調が継続したことによるものです。

 

(その他)

その他の売上高は、前年度比1,344億2千7百万円(75.5%)減少して435億2千9百万円となりました。売上原価は前年度比1,357億6千7百万円(85.1%)減少して238億1千5百万円となり、その他における差引利益は前年度比13億4千万円(7.3%)増加して197億1千3百万円となりました。これは主として、NOCアウトソーシング&コンサルティング㈱の業績伸長や㈱WorkVisionの連結子会社化によるものであります。

 

[営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益]

戦略分野の事業拡大により、利益の大きな源泉である基礎的な収益、即ち「差引利益」(資金原価控除前売上総利益)が前年度比57億3千8百万円(6.2%)増加して982億3千7百万円となりました。コスト面では、㈱WorkVisionの連結子会社化に加え、一時的に減少していた退職給付費用が従来水準に戻ったことにより人物件費が前年度比34億6千4百万円(9.5%)増加して398億2千万円となりました。この結果、営業利益は前年度比3.3%増加の460億3千4百万円、経常利益は前年度比9.8%増加の527億2千3百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前年度比14.6%増加の338億8千6百万円となりました。各段階利益ともこれまでの過去最高実績だった前年を上回る好調な決算となりました。

 

[純資産、自己資本比率]

株主資本合計は利益剰余金の増加により前連結会計年度末比265億7千1百万円(10.0%)増加して2,927億9百万円となり、当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末比294億4千3百万円(8.5%)増加して3,742億3千9百万円となりました。自己資本比率は、前連結会計年度末比1.1ポイント上昇して11.3%となりました。営業資産が積上がる中でも、純資産も積上がり、自己資本比率は着実に良化しております。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析・検討内容につきましては、以下のとおりであります。

 

[営業活動によるキャッシュ・フロー]

営業活動によるキャッシュ・フローは、889億7千4百万円の収入(前連結会計年度は350億8千万円の支出)となりました。主な変動要因は、賃貸資産除却損及び売却原価の増加、賃貸資産の取得による支出の増加、リース債権及びリース投資資産の減少額が増加したことなどによるものであります。

 

[投資活動によるキャッシュ・フロー]

投資活動によるキャッシュ・フローは、156億6千9百万円の支出(前連結会計年度は59億7千万円の支出)となりました。主な変動要因は、投資有価証券の取得による支出の増加、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の

取得による支出が増加したことなどによるものであります。

 

[財務活動によるキャッシュ・フロー]

財務活動によるキャッシュ・フローは、1,015億3千4百万円の支出(前連結会計年度は634億5百万円の収入)となりました。主な変動要因は、間接調達では短期借入金の純増減額の減少、長期借入れによる収入が減少

したこと、直接調達ではコマーシャル・ペーパーの純増減額が減少したことなどによるものであります。

 

b.契約債務

2022年3月31日現在の契約債務の概要は以下のとおりであります。

 

年度別要支払額(百万円)

契約債務

1年以内

1年超

2年以内

2年超

3年以内

3年超

4年以内

4年超

5年以内

5年超

短期借入金

568,563

長期借入金

328,958

296,393

199,744

117,713

69,308

96,298

リース債務

4,316

3,043

1,639

749

579

1,028

合計

901,839

299,436

201,384

118,462

69,888

97,326

当社グループの第三者に対する保証は、取引先等の借入金等に対する債務保証であります。保証した借入金等の債務不履行が保証期間に発生した場合、当社グループが代わりに弁済する義務があり、2022年3月31日現在の債務保証額は、789億円であります。

 

c.財務政策

当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

当社グループは、運転資金及び設備資金につきましては、金融機関からの借入による間接調達と市場からの直接調達により資金調達することとしております。

当連結会計年度は、ESGファイナンスの取組みを積極的に進め、サステナビリティボンド(芙蓉CSVボンド)やポジティブ・インパクト・ファイナンスによる調達を実施いたしました。また、安定的な外貨調達基盤の構築を目的に、ユーロMTNプログラム(発行限度額20億USドル)を設定しております。

当連結会計年度末において、間接調達は、長期借入金が増加したことなどにより、前連結会計年度末比2.3%増加して1兆6,769億8千万円となり、直接調達は、社債は増加したものの、コマーシャル・ペーパーが減少したことなどにより、前連結会計年度末比13.0%減少して6,892億4千3百万円となりました。この結果、当連結会計年度末の調達残高は、前連結会計年度末比2.7%減少して2兆3,662億2千4百万円となりました。直接調達比率は29.1%となり、前連結会計年度末比3.5ポイント低下いたしました。

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、賃貸資産及び割賦販売物件の購入、営業投資有価証券の購入、太陽光発電設備の設備投資のほか、営業費用、販売費及び一般管理費等であります。

2022年3月31日現在、借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は、前連結会計年度末比2.8%減少して2兆3,775億8千2百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は719億5千7百万円となっております。

当連結会計年度末において、取引金融機関77行等と当座貸越契約及び貸出コミットメント契約を締結しております。(借入実行残高5,228億1千9百万円、借入未実行残高5,102億7千8百万円)

 

d.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

中期経営計画「Frontier Expansion 2021」では、新しいビジネス領域やビジネスモデルへのたゆまぬ挑戦により事業ポートフォリオのフロンティアを拡大し、力強く持続的に成長することを目標としており、経営目標3項目をいずれも達成いたしました。

連結経営目標

2017年度

実績

2018年度

実績

2019年度

実績

2020年度

実績

2021年度

実績

2021年度

目標

営業資産残高

21,726億円

22,628億円

23,840億円

25,559億円

25,659億円

25,000億円

経常利益

352億円

391億円

440億円

480億円

527億円

500億円

ROA

(営業資産

 経常利益率)

1.67%

1.76%

1.90%

1.94%

2.06%

2.0%

 

当社グループは、2022年度より新中期経営計画「Fuyo Shared Value 2026」をスタートさせております。新たな指標等については「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。その作成には、資産、負債、収益及び費用の額に影響を与える仮定や見積りを必要とします。これらの仮定や見積りは、過去の実績や現在の状況等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる可能性があります。

連結財務諸表に与える影響が大きいと考えられる項目・事象は以下のとおりです。

 

a.貸倒引当金

当社グループは、債権の回収不能時に発生する損失の見積額に対して貸倒引当金を計上しております。貸倒引当金は、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権及び破産更生債権等については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。貸倒引当金の金額は、以後の各連結会計年度の貸倒の発生や個別債権の回収の状況等に応じて貸倒実績率や個別債権の回収可能性の判断が変化することで、追加引当が必要となる可能性があります。

 

b.固定資産(賃貸資産等)の減損

当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、各社ごとに資産のグルーピングを行い、収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減損し、当該減少額を減損損失として計上しております。

固定資産の回収可能価額について、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件に基づき算出しているため、当初想定した収益が見込めなくなった場合や、将来キャッシュ・フロー等の前提条件に変更があった場合には、固定資産の減損処理を行う可能性があります。

 

c.のれんの減損

当社グループは、のれんについて、その効果の発現する期間を見積り、当期間で均等償却しております。また、その資産性について子会社の業績や事業計画等を基に検討しており、将来において当初想定した収益が見込めなくなり、減損の必要性を認識した場合には、当該連結会計年度においてのれんの減損処理を行う可能性があります。

 

当社の連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

なお、会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(追加情報)及び2 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しております。

 

4【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

該当事項はありません。