第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

当社は、お客様の期待に応える製品つくりを基本方針に、過酷な自然環境から人と財産を守る屋根の普及と地球環境の保全に努め、広く社会に貢献することを目指しております。

また、企業の社会的責任を果たすべく、内部統制システムの運用強化に努め、市場の変化とお客様のニーズに対応した積極的な営業展開を図ると共に、たゆまぬ技術開発と生産体制の整備拡充を行ってまいりたいと考えております。

 

(2)目標とする経営指標

当社は計画を実行し、安定した収益を計上することに努めます。そのため、下記の戦略を実行し、売上高150億円と経常利益5.1億円を達成することで、継続的な配当実施を目標としております。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

当社は成長を支える経営基盤の強化として、たゆまぬ技術開発と優れた生産力で生み出されたオンリーワンの製品を、技術力を前面に出した営業展開によって必要とする顧客にタイムリーに提案、織込み、受注につなげ、高い施工技術で完工に結実させ、施主や顧客の期待を超える満足を提供し続けてまいります。

そのためにも生産・デリバリー体制の効率化、技術開発のための基盤強化、販売代理店と施工元旦会との連携強化、長期的な社員の育成と組織力の強化、業務見直しとITインフラ強化による効率化とスピードアップに向けて取組を実施してまいります。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

我が国を取り巻く経済環境は、為替相場の変動やウクライナ情勢の長期化を背景とした原材料価格の高騰など、依然として先行き不透明な状況にあります。今後も、金属屋根製品の研究開発を強化し、新製品の開発及び販売、引き続き広告宣伝活動に注力するとともに、多様化する屋根に求められるニーズを満たすことが可能な当社独自の技術を提案することで、経済環境の変化に対応した経営体制の確立を進めてまいります。

また、地球環境に配慮した製品にも積極的に取り組み、代理店会、施工元旦会、協力企業の皆様と一丸となり、金属屋根及びその付帯製品の販売により社会貢献してまいります。

 

<営業戦略>

一つ目の課題は、住宅・リフォーム市場の取り込みです。当事業年度、住宅分野の売上は過去最高の25億円となりました。新事業年度の住宅分野の売上は、10億円増の35億円を計画しております。計画達成に向け、営業本部を従来の大型案件営業を行う第一営業本部、住宅・リフォーム市場への営業を行う第二営業本部と組織体制を変え、それぞれが専門性を高め担当することといたしました。住宅分野の取り込みには、住宅リフォームのフランチャイズ組織である元旦リルーフメンバーズを活用し、元旦内樋や断熱ビューティルーフ等のお客様のニーズを満たす製品を、大掛かりな全面足場を組むことなく、屋根・軒先の作業ができるスムースライド77を用いて施工する提案営業に取り組んでまいります。

二つ目の課題として、当社の生命線である提案営業のより一層の強化です。お客様が屋根に求めるニーズを高次元で実現するには、お客様との対話を深めることと、「屋根のプロ」と呼ばれるような営業マンを一人でも多く育てる人材教育が重要です。

三つ目の課題として、当社が30年以上前から取り組んでいる太陽光発電関連分野の拡販です。屋根一体型のソーラーシステムは当社が先駆けであり、現在も業界内で一番の技術力を有しております。意匠性、高水密性、耐風圧強度等、お客様のニーズに合わせた提案営業を行ってまいります。さらに当社の屋根にはすべて専用の太陽光パネル取付金具があります。専用に設計されているので、非常に高強度なうえ、他社や汎用的な屋根材に取り付ける太陽光パネル取付金具も充実しており、他社製品に比べ施工性、強度に優れております。このような製品の持つ技術を余すことなく伝え、売上に繋げてまいります。

 

<生産及び技術戦略>

生産部門における課題は、「原材料・人件費高騰の中で、売上目標達成のために原価維持低減を行うこと」です。そのために、従来品のマイナーチェンジの実施、老朽化設備を刷新することにより効率的な製造を可能とし、経済性の高い生産体制への取組を行ってまいります。また、当社が先駆者であるアルミ製太陽光パネル取付金具においては、新たなラインナップを加え、より幅広いお客様のニーズにお応えできるよう生産供給体制を拡充してまいります。

技術部門における課題は、「売上拡大を狙う住宅リフォーム分野に武器となる製品を投入していく」ことです。そのために、上から下に葺くバッキング工法を採用した横葺き新製品、葺き替え時の安全性に配慮した新製品開発に加え、それらの施工品質を高める研修を充実させてまいります。その他建築物においても、従来の屋根材のみにとどまらず、直天井・壁面・庇などの意匠を一新させる製品を開発し、建築物外観全体に統一感を持たせられるような高機能製品づくりを心掛けてまいります。

 

<内部管理体制の強化>

管理部門の課題は内部管理体制の強化です。コンプライアンス遵守・リスク管理・不正防止に対する全社員の意識向上を図ることで、企業としての社会的信頼を高めてまいります。

具体的強化策としましては、社内各種委員会の活動強化及び管理職を中心に研修を通じた指導強化を行ってまいります。また、各部門における業務改善も強化策の一つとして掲げ、特に属人化した業務を「見える化」していくことで、ミスや事故が発生しにくい体制を構築してまいります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)サステナビリティ共通

 

◎サステナビリティ基本方針

当社の持続可能性は、地球環境の持続、地域社会の発展と持続、社員や関係する人々との関わりによって支えられています。お客様に信頼され、喜ばれる製品を提供する事業を続けていくために、地球環境の保全に努め、広く社会に貢献し、健全性と公共性の高い経営をすすめることで、社会の一員としての責任・使命を果たしてまいります。

そこで当社は、サステナビリティ経営を推進するにあたって、サステナビリティ推進委員会によりESGの観点から当社の取り組むべき事項をサステナビリティ基本方針として策定いたしました。

 

 


 

当社は、環境・社会・ステークホルダーへの貢献に向け、企業として継続的な取組を行っていくために、マテリアリティを定めております。各マテリアリティの取組については「② 戦略」をご覧ください。

 

①ガバナンス

当社は、気候変動などの地球環境問題への対応、従業員の健康・労働環境への配慮など、サステナビリティ(持続可能性)を巡る課題への対応は、リスクの減少のみならず、収益機会にもつながる重要課題であると認識しております。当社は、これらの課題に対して、より横断的かつ機動的な対応を図ることを目的として、サステナビリティ推進委員会を設置し、サステナビリティ推進委員会規程を定め、定期的に委員会を開催しております。

サステナビリティ推進委員会は、当社のサステナビリティ戦略の策定と定期的な見直しや目標の設定と進捗のモニタリングとレビュー、改善計画の審議などを行い、取締役会へ報告・提言してまいります。

取締役会は、これらの報告を受けることで様々な経営課題に対し、地球環境問題を考慮したうえで監督機能を果たしてまいります。

 

 

サステナビリティ推進委員会は以下のとおりのメンバーで構成されます。

委員長:代表取締役社長により任命された者

委 員:代表取締役社長と委員長が指名した者

    (営業部門、生産部門、技術部門、広報担当より各1名)

 


 

②戦略
◎当社のマテリアリティ

サステナビリティ推進委員会において、サステナビリティ基本方針に沿ったマテリアリティを特定し、持続的な成長及び企業価値の向上に取り組んでまいります。

 

気候変動・資源有効活用に対する取組では、2050年にカーボンニュートラル達成に向けて4つの観点で取組を進めてまいります。

①省エネにつながる製品の拡販・新開発

②自然エネルギーを上手に活用する製品の拡販・新開発

③脱炭素達成に向けた事業経営

④省資源・リサイクル可能な製品開発と生産

 

社会に対する取組としては、災害から財産を守るために2つの観点で企業活動を進めてまいります。

①豪雨・豪雪・強風から生活と財産を守るべく製品の開発と改良

②地震被害を軽減する製品の普及

 

お取引先の満足と信頼の向上として、2つの観点で企業活動を進めてまいります。

①社会から求められる製品を開発していく取組

②物流負荷を低減させる製品の工夫

 

ステークホルダーの理解と支持としては、2つの目標を推進してまいります。

①海外への進出で市場分散と環境・防災製品を世界へ

②製造・工事の採算性向上と個人の生産性を上げる取組を推進

 

地域、社会への貢献については3つの取組を進めてまいります。

①屋根板金業界の発展・職人維持への取組

②金属屋根製造業・屋根工事の若者離れ対策

③障害者・シルバー人材の雇用創出

 

人材を大切にし、活かす職場として3つの取組を進めてまいります。

①ワークライフバランス改善に向け継続した取組

②人口(人材)減少に対処するため個々のスキル底上げにより企業力向上へ

③健康に働く、安全に働ける環境を提供する

 

 

(2)気候変動関連への取組

 


 

 

①ガバナンス

当社の気候変動関連への取組に関するガバナンスは、「第一部 企業情報  第2 事業の状況  2 サステナビリティに関する考え方及び取組  (1)サステナビリティ共通 ①ガバナンス」をご参照ください。

 

②戦略

◎環境対策に貢献する当社製品開発の取組

当社は、創業当初から環境対応製品の開発に取り組んでおります。

大切な美しい環境を次世代に引き継ぎ、自然災害から尊い命や価値ある財産を守るために「省エネ」・「創エネ」・「防災」の観点から製品開発を行ってまいりました。

森林資源を活かす屋根下地システム、太陽エネルギーを有効利用するシステム、災害被害ゼロに挑戦する高強度屋根など、さまざまな独自製品を通して、地球の未来に役立つ企業を目指し、ものづくりに取り組んでまいりました。

当社の主力製品である金属屋根は、ビスやボルト等を使用せずに部材同士を嵌合させることで強度を確保しており、これにより資源の削減と施工の省力化を実現しています。また、屋根材と断熱材を簡単に分離できるなど、リフォーム時のリサイクル分別にも配慮した製品開発を行っています。

 

当社では以下のような開発・製造を行っております。

 

(省エネに貢献する製品づくり)

・断熱性能を向上させた製品により、冷暖房による電力消費を軽減し、電力使用による温室効果ガス削減が可能です。建物の躯体の外側に断熱層を設けることで高い断熱効果と結露を防止する「外断熱工法」と、熱伝導率の低い素材の断熱材を組み合わせることでエネルギーロスを防ぎます。

 

(創エネを推進する製品づくり)

・屋根は建物の中でも、膨大なエネルギーを生み出す太陽に最も近い場所となります。当社は地球温暖化対策にいち早く着手し、「新エネルギーは屋根から」をコンセプトに、1993年に屋根一体型ソーラーシステムを製品化しました。多くの建物に採用されるよう、発電だけではなく、意匠・断熱・メンテナンスを含むトータルシステムとしての提供や、各社が販売する太陽光パネルの普及を促進すべく、施工性・汎用性に優れたソーラーパネル取付金具などの提供も行っております。

 

 

(省資源化)

・天然の断熱物質である“空気層”を効果的に活用することで、石油由来の断熱材を削減する製品の開発や、既存住宅を廃棄することなく、躯体を有効活用できる屋根のリフォームなどを広く普及させることで、「使い捨て社会」から「循環型社会」へ転換していくよう、新たな製品や工法の発明により社会に貢献できるように努めております。

 


 

 

③リスク管理

当社は、サステナビリティ推進委員会において、気候変動の問題が経営に及ぼすリスクの識別を実施し、優先順位に基づき戦略、施策等を協議のうえ取締役会に報告・提言を行います。

当社では現時点にて、気候変動によるリスクを以下のとおり識別しております。

リスク区分

種別

想定リスク

事業活動への影響

物理リスク

急性

台風・豪雨などの災害増加

建物・機械などの直接被害

工場生産停止・遅延

材料・製品入出荷停止・遅延

屋根工事の停止・遅延

従業員業務への影響

慢性

気温上昇

工場労働効率の低下

建設現場での健康被害・工事遅延

移行リスク

政策・法規制

環境規制強化

炭素税導入によるコスト増

排出権の規制強化

環境対策関連の開示強化

トラック輸送への制限

技術・市場

太陽光発電の技術革新

当社在来製品の陳腐化

調達先再選定、コスト上昇

サプライチェーンからの要請

製品の脱炭素化

評判

気候変動対応の社会的高まりによる気候変動対応への遅れ

企業・製品評価の低下

資金調達への影響

人材確保への影響

 

当社では、現時点での取組として、自然災害のリスクに対して災害による事業中断等の影響を軽減するため、事業の継続・早期再開を目的としたBCPを2017年より導入しております。また資金面においては、大規模災害時に、事業継続資金を確保することを目的とした災害対応型のコミットメントラインを締結しております。

 

気候変動により、当社では下記のような機会が生じると想定しております。

機会(対応リスク種別)

想定される機会

事業活動への影響

物理リスク対応

(急性)

 

台風・豪雨などの災害増加

耐風圧性能の高い屋根製品の需要増

防水性能の高い屋根製品の需要増

防災などの公共工事増加

物理リスク対応

(慢性)

気温上昇

高断熱製品の販売増

緑化屋根の普及

移行リスク対応

 

太陽光発電製品の義務化

太陽光発電関連製品販売増

耐風設計基準の強化

高機能屋根製品の販売増

 

昨今のエネルギー事情、強大化する台風や豪雨、頻発する地震への対応は当社の機会と捉えており、当社の軽量で高耐風圧、高水密、高断熱の製品や太陽光発電関連製品を普及させてまいります。これにより、省エネルギーな建物を実現し、さらに様々な災害による建物や人への被害の低減が可能となります。

 

 

サステナビリティ推進委員会は、リスク及び機会を適切に評価・管理をしていくために、定期的に委員会を開催しマテリアリティへの具体的な検討を進めております。

また、サステナビリティ推進委員会及びリスク・コンプライアンス委員会と連携し、想定されるリスクによる事業活動への影響度を引き続き検証してまいります。併せて、サステナビリティを推進していく中で、新たな収益獲得への機会を捉え、業績拡大に向けた取組を行ってまいります。

 

④ 指標及び目標
・GHG排出量によるScope1,Scope2当社実績(集計2023.1月~12月)

Scope1   450.6(t-CO2)

Scope2  620.7(t-CO2)

Scope1+Scope2  1,071.4(t-CO2)

Scope3  算定については今後の課題としております。

 

Scope1(直接排出);当社事業活動による自動車の燃料や製造過程における熱利用の燃料からのCO2排出分

Scope2(間接排出);事業所・工場等の当社施設で購入利用した電力の発電により排出されるCO2

 

・GHG排出量削減目標

GHG排出量のScope1,2,3合計を、日本政府が宣言した2050年温室効果ガス排出量ネットゼロ達成に同調し、当社でも2050年カーボンニュートラルに向けて取組を行ってまいります。取組については②戦略をご覧ください。

 

(3)人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針

①多様な人材に応じた職場環境の整備 

当社は全ての社員の自己実現と多様なワークスタイル実現のため、職場環境の見直しを進めております。様々な技能・資格・知識の習得機会提供のため、資格取得支援や社員研修、社外講習の受講機会を設け、また、育児休暇の取得促進、育児支援対策の検討、屋内完全分煙等、それぞれの立場を尊重し、多様な人材が活き活きと活躍できる職場づくりをしております。

 

また、当社では従業員の安全・健康に関して以下のとおり規程を整備し、対策を行っております。

 〇従業員の安全・健康に関する各種規程

 ・ストレスチェック制度実施規程

 ・ハラスメントの防止等に関する規程

 ・本社安全管理規程

 ・工場安全衛生管理規程

 ・安全衛生委員会基準

 

 〇従業員の健康に関する対策

 ・全従業員に対する年に一度の健康診断(100%実施)

 ・二次検査受診の推奨及び産業医による健康相談会の実施

 ・ストレスチェック診断の実施

 ・スポーツクラブ提携による運動の推進

 ・安全衛生委員会の活動による職場環境の改善

 

 

②当社の採用方針及び育成方針

新卒採用については、長期的な観点により、当社従業員の構成、事業方針や事業計画に基づき人材の育成を計画しております。そのため、個性や得意分野を見極め、「目標を実現するために常に考えて行動できる」「知恵をだせる」「フットワークが軽く行動力のある」「想像力が豊かである」「社会情勢に敏感である」など、様々な可能性のある新卒社員の採用を積極的に行っております。

中途採用については、即戦力はもとより、様々なバックグラウンド(経験と実績)のある人材が集まることで多様性に富んだ企業に発展するとともに、経験値に基づく当社に無い新たな発想や取組による生産性の向上を図っております。

54期の実績では、新卒採用と中途採用の割合は21.6%:78.4%となっております。中途採用者割合が多いのは、全国の営業所や工場(山梨・岡山・福島)において、現地採用による即戦力の人材確保を積極的に行っているためであります。今後も、各地域での現地採用を行うことで、雇用の受け皿を創出し、地域貢献を図ってまいります。

また、海外特許を有効活用するために外国籍の人材を採用し現在6名の育成を行っております。

当社の育成方針につきましては、技術を熟知することで世の中にないものを生み出す開発力や、新しいニーズにこたえる営業力が培われるように、個々の能力に基づき、OJTの実施・高度な専門性や知識の取得の推進など、社会情勢に柔軟に対応できる人材を育成してまいります。また、従業員が働きやすい環境をつくることで、その能力が遺憾なく発揮できるものとして働き方改革にも取り組みながら、10年後の自分を見据えられる想像力を育んでまいります。

 

③指標及び目標

KPI

実績値(54期末)

目標値(54期末)

当期に採用した労働者に占める女性労働者の割合(正社員)

17.2

18%以上

直接雇用労働者に占める女性労働者の割合

18.4

18%以上

管理職に占める女性労働者の割合(課長級以上)

3.0

8.3

直接雇用労働者の有給休暇取得率

74.5

60%以上

男性育児休暇取得率

14.3

30

労働者の各月ごとの平均残業時間数(派遣を除く)

14.2時間

設定無し

 

当社は設立以来、建設資材の製造販売と自社製品の施工を行っているため建設業界に近く、従業員における男性の比率が突出しており、男性の考えに基づいた企業文化が根付いておりました。しかしながら、女性を採用することによって、女性ならではの着眼点や創意工夫を取り入れることができるため、従来とは異なる企業文化の形成につながると考えております。

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、文中における将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)労務費の高騰

建設業界全般においては、企業設備投資の改善を受けて市場環境が改善しつつありますが、一方で職人不足から生じる労務費の高騰で工事受注採算が厳しい状況にあります。当社は機能に優れた新製品を開発し競争力を強化し、売上高及び利益の確保に努めますが、この市場環境がさらに悪化した場合には、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)資材価格

金属屋根の主原料となる鋼板材料については、需給バランスや為替の円安により価格が高騰する懸念があります。製造コスト削減による価格上昇分の吸収や、在庫の有効活用、販売価格の改定などで対処いたしますが、当社の想定より大幅に価格が高騰した場合には、利益の圧迫要因となる可能性があります。

 

(3)債権管理

当社は、取引先に対して定期的な信用調査を行い、回収が遅延した際は取締役会へ報告を行い緊急対応を行うなど与信管理を強化しリスク回避に努めておりますが、予想されない取引先の倒産等により貸倒れが発生した場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)災害等の発生

当社ではBCP導入を進め、事業を継続・早期に再開させ業務中断による影響を防ぐための対策を行っておりますが、大規模地震や自然災害、大規模火災等その他の要因による社会的混乱等により、当社や資材メーカー、外注加工業者、板金施工業者、販売代理店の事業活動が停止又は事業継続に支障をきたす事態が発生した場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)人材の確保

機能に優れた新製品を開発し競争力を強化し、売上高及び利益の確保に努めるには継続的な開発部門、生産部門、営業部門、管理部門の優秀な人材の維持・確保が必要となります。毎期、新卒採用や各部門・部署からの要望に応じて中途採用を随時行っておりますが、人材を十分に確保できなかった場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)金利変動

資金調達の際に、調達手段や取引金融機関の検討を行い、資金調達コストのコントロールを行っておりますが、金利が上昇した場合、資金調達による支払利息が増加し利益の圧迫要因となる可能性があります。

 

(7)資材調達

当社の主力製品である金属屋根の製造は鋼板材料の安定確保に依存しております。複数ルートでの仕入や在庫の確保を行っておりますが、鋼板材料メーカーの生産停止や縮小、他の業界による需要増加などの影響で鋼板材料の調達が遅延した場合には、販売納入の延期など収益に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

当事業年度の日本経済は、物価高により個人消費に鈍さがあるものの、インバウンド需要等により緩やかに景気回復している一方、ウクライナ情勢の長期化などによる不安定な世界情勢の影響により、原材料・エネルギー価格が高騰し、さらには急激な為替変動による円安やインフレ懸念の影響もあり、景気の先行きは不透明な状況で推移しました。

建設業界においても、建設資材価格の上昇や慢性的な人手不足による労務費の高止まりにより、工事原価率は依然として上昇基調にありました。

このような状況の中、当社ではテレビ・ラジオCMの効果による問い合わせが増加し、高い機能性と意匠性のある「元旦内樋」と「断熱ビューティルーフ2型」をはじめとする住宅向け製品の販売が好調で、前事業年度と比べ住宅案件の大幅な売上増につながりました。また、太陽光パネルの取付に使用する固定金具販売も前事業年度から増加いたしました。

損益については、原材料費等の資材価格高騰と工事契約にかかる労務費の上昇、工期の長期化などにより工事案件の利益率が低下したほか、広告宣伝など販売促進への投資を行ったため、各利益は前事業年度より減少となりました。

この結果、当事業年度の売上高は14,252百万円(前年同期比4.3%増)となり、その内訳は製品売上高が8,283百万円(前年同期比4.6%増)、完成工事高(進捗工事も含む)が5,968百万円(前年同期比3.8%増)となりました。

損益面におきましては、営業利益は566百万円(前年同期の営業利益は855百万円)、経常利益は587百万円(前年同期の経常利益は881百万円)、当期純利益は384百万円(前年同期の当期純利益は610百万円)となりました。

財政状態において、総資産は、前事業年度末に比べ1,230百万円増加し、11,513百万円となりました。その主な要因としては、製品売上や工事売上の回収による受取手形・電子記録債権の増加で333百万円、工事の進捗売上高により生じた契約資産の増加497百万円、屋根関連製品の仕入による棚卸資産が98百万円などが増加の要因となったことに対して、現金及び預金は129百万円減少しました。

負債合計は、前事業年度末に比べ1,051百万円増加し6,093百万円となりました。その主な要因としては、電子記録債務292百万円、短期借入金850百万円それぞれ増加した一方、未払法人税等が215百万円減少したことなどによるものです。

純資産合計は、前事業年度末に比べ179百万円増加し5,420百万円となり、自己資本比率は47.0%になりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前事業年度末に比べ129百万円減少し935百万円となりました。その資金の増減内容については、主に以下の要因によるものであります。

営業活動によるキャッシュ・フローについては、税引前当期純利益587百万円、減価償却費233百万円、仕入債務の増加278百万円などが資金にプラスとなる一方、主に電子記録債権と売掛金の増加による売上債権の増加806百万円、製品在庫が増加したことによる棚卸資産の増加98百万円などが資金のマイナスとなった結果、営業活動によるキャッシュ・フローは△126百万円(前事業年度末は397百万円)となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローについては、有形固定資産取得による支出497百万円などにより△520百万円(前事業年度末は△108百万円)となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローについては、配当金の支払いが153百万円、自己株式の取得による支出が108百万円あり、財務活動によるキャッシュ・フローは517百万円(前事業年度末は△42百万円)となりました。

 

 

③生産、受注及び販売の実績

(a) 生産実績

 

品目

生産高(千円)

対前期増減率(%)

金属屋根事業

 

 

 製品

 

 

 金属横葺屋根製品

1,449,529

13.7

 金属縦葺屋根製品

2,775,988

9.2

 その他屋根製品

1,677,156

△4.7

 その他製品

2,883,854

10.0

8,786,528

7.1

 請負工事

(2,427,491)

5,968,730

(15.7)

3.8

 

(注) 1.金額は販売価格によっております。

2.製品の生産実績には、請負工事に使用された当社製品の生産実績を含んでおります。

3.請負工事の( )内は内数で、請負工事に使用された当社製品の使用高を販売価格で表示しており、一部仕入製品を含んでおります。

 

(b) 製品仕入実績

 

品目

仕入高(千円)

対前期増減率(%)

金属屋根事業

 

 

 金属横葺屋根製品

33,120

12.5

 金属縦葺屋根製品

94,144

△10.0

 その他屋根製品

156,066

11.5

 その他製品

1,524,023

5.8

合計

1,807,355

5.4

 

(注) 1.金額は仕入価格によっております。

2.上記は屋根・壁等の施工時に使用される当社付属製品(バックアップ材、野地材、軒先唐草等)の一部であります。

3.製品仕入実績には、請負工事に使用された製品を一部含んでおります。

 

 

(c) 受注実績

 

品目

受注高(千円)

対前期増減率(%)

受注残高(千円)

対前期増減率(%)

金属屋根事業

 

 

 

 

 製品

 

 

 

 

 金属横葺屋根製品

1,343,788

53.1

225,800

51.5

 金属縦葺屋根製品

2,018,687

6.4

372,322

76.9

 その他屋根製品

2,035,724

40.1

782,115

351.4

 その他製品

3,522,174

△4.4

347,962

△37.7

小計

8,920,374

12.7

1,728,200

58.3

 請負工事

6,070,730

△7.3

3,280,000

3.2

合計

14,991,104

3.6

5,008,200

17.3

 

(注) 金額は販売価格によっております。

 

(d) 販売実績

 

品目

販売高(千円)

対前期増減率(%)

金属屋根事業

 

 

 製品

 

 

 金属横葺屋根製品

1,267,005

14.4

 金属縦葺屋根製品

1,856,802

0.5

 その他屋根製品

1,426,842

1.8

 その他製品

3,733,035

4.7

小計

8,283,686

4.6

 請負工事

5,968,730

3.8

合計

14,252,416

4.3

 

 

 

(e) 主要請負工事名

最近2事業年度の完成工事のうち主なものは、次のとおりであります。

ア.前事業年度請負金額100百万円以上の主なもの

鹿島建設株式会社

(仮称)Kアリーナプロジェクト

(神奈川県横浜市)

三菱自動車工業株式会社

京都製作所京都工場

(京都市右京区)

戸田・松尾・中野・上滝

建設共同企業体

SAGAサンライズパークアリーナ

(佐賀県佐賀市)

株式会社青木工業

東京都立大学(南大沢キャンパス)

(東京都八王子市)

関東パステム工業株式会社

千葉公園体育館

(千葉市中央区)

株式会社三浦組

府中市立府中第一中学校

(東京都府中市)

株式会社竹中工務店

久光製薬スプリングス練習拠点体育館

(佐賀県鳥栖市)

 

 

イ.当事業年度請負金額100百万円以上の主なもの

清水建設株式会社

(仮称)船橋アリーナ計画

(千葉県船橋市)

株式会社竹中工務店

(仮称)エスパシオ ナゴヤキャッスル

(愛知県名古屋市)

前田建設工業株式会社

愛知県新体育館

(愛知県名古屋市)

大成建設株式会社

JRA馬事公苑

(東京都世田谷区)

大成建設株式会社

東京都江戸東京博物館

(東京都墨田区)

鉄建建設株式会社

JR新潟駅

(新潟県新潟市)

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

①重要な会計方針及び見積り

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたり重要となる会計方針につきましては、「第一部 第5 経理の状況」に記載しております。また、この財務諸表の作成にあたり、経営者により一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があります。これらの見積りについては、継続して検証し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらとは異なることがあります。財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、特に重要なものについては、「第一部 第5 経理の状況(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

② 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(a)経営成績の状況

・売上高

当事業年度の金属屋根製品の販売は前事業年度の7,916百万円に対して4.6%増の8,283百万円となり、金属屋根工事等の工事契約による売上高(進捗工事売上も含む)は前事業年度の5,745百万円に対して3.8%増の5,968百万円となりました。

製品販売については、テレビ・ラジオCMを活用した販売促進を継続的に実施したことや、TV番組にて当社技術が紹介されたことなどにより、当社や製品への問い合わせが増加し、高い機能性と意匠性のある「元旦内樋」と「断熱ビューティルーフ2型」をはじめとする住宅向け製品の販売が好調で、前事業年度と比べ住宅案件の大幅な売上増につながりました。また、太陽光パネルの取付に使用する固定金具の販売も増加いたしました。

工事売上高につきましては、住宅物件の売上増加と、着工前からの工程管理を徹底することで現場の工程進捗も計画通り順調に推移した現場が多く、比較的工期の短い工事案件の売上を伸ばすことで増収となりました。

 

 

・売上原価

当事業年度の製品売上に対する原価は、売上高の増加により、前事業年度の9,384百万円に対して4.9%増の9,852百万円となりましたが、製品原価率は前事業年度63.4%に対し63.5%とほぼ同水準となりました。工場在庫の効率的活用などにより材料高騰の影響を緩和することができました。

工事原価は、工事案件の増加により前事業年度4,362百万円に対して13.6%増の4,592百万円となりましたが、工事原価率は前事業年度75.9%に対して76.9%と悪化いたしました。この要因は、工事にかかる労務費の高騰によるものであります。

 

・販売費及び一般管理費

当事業年度の販売費及び一般管理費は前事業年度3,422百万円に対し12.0%増加の3,833百万円となりました。主な要因としてはベースアップや割増賞与などの給与額増加と退職者分の給与額減少により人件費が純額で6.7%増加、また、元旦内樋などのテレビCMやラジオCMを積極的に行った結果、広告宣伝費の増加が106.8%、インボイス制度対応の基幹システム改修などを含む支払手数料の増加31.6%などが販管費を押し上げる要因となりました。

 

(b)財政状態の分析
・資産合計

流動資産は、複数の大型工事物件が施工中であり進捗の売上計上に伴う契約資産が497百万円、手形割引から短期借入へのシフトで受取手形及び電子記録債権が333百万円、次期に販売予定のある見込生産品などの製品在庫が201百万円などが期首と比較して増加いたしました。対して、現金及び預金は129百万円、完成工事未収入金は88百万円減少し、流動資産合計は784百万円増加の7,214百万円となりました。

固定資産は、工務部の拠点及び研修施設の建て替えに併せた土地の取得など有形固定資産390百万円増加、保有する投資有価証券の価格上昇による85百万円増加、基幹システムの償却でソフトウエアが48百万円減少など446百万円増加の4,298百万円となりました。

結果的に、資産合計は1,230百万円増加の11,513百万円となりました。

 

・負債合計

流動負債は、買掛金や工事未払金の支払で電子記録債務が292百万円増加し、広告宣伝費や消費税中間納税の翌期支払分等で未払金が121百万円増加、工務部の拠点及び研修施設の建て替えに併せて土地の取得資金等で短期借入金が850百万円増加いたしました。一方で、課税所得の減少により当期確定法人税等から納付済みの予定納税額を差し引いた未払法人税等が215百万円減少要因となったため、流動負債は1,051百万円増加し5,003百万円となりました。

固定負債は繰延税金負債44百万円増加などに対し、長期借入金の返済により71百万円減少したため、前事業年度とほぼ同水準の1,089百万円となりました。

結果として、負債合計は1,051百万円増加の6,093百万円となりました。

 

・純資産合計

当期は、資本政策の一環として自己株式を108百万円取得いたしました。当期純利益384百万円を確保したことで利益剰余金が230百万円増加し、加えて評価・換算差額等合計が56百万円増加したことで純資産合計は前事業年度末から179百万円増え、5,420百万円となりました。

 

 

③ 資本の財源及び資金の流動性

当社の資金需要のうち主なものは、材料・製品の仕入、人件費、地代家賃等の販売費及び一般管理費の営業費用であります。また、設備投資にかかる資金需要の主なものは、施工研修・見本品作成拠点建設用地の取得と工場生産設備等の有形固定資産の取得であります。

短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本とし、長期運転資金は金融機関からの長期借入を基本としております。

 

キャッシュ・フロー関連指標の推移は以下のとおりであります。

 

2020年3月

2021年3月

2022年3月

2023年3月

2024年3月

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

2.1

8.7

1.3

2.2

△7.0

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

22.4

6.7

34.5

29.9

△9.5

 

 キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
 インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

(注) 1.キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。

2.有利子負債は貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としております。

 

5 【経営上の重要な契約等】

(1)販売代理店契約

2024年3月31日現在、84社と販売代理店契約を締結しております。

販売代理店契約の主な事項は、次のとおりであります。

契約の目的

 元旦ビューティ工業株式会社(甲)が販売代理店(乙)に対し甲製品を販売することを約し、乙は甲の代理店として常に信用維持及び販路の拡張に努め、甲製品の宣伝広告及び顧客に対するサービスを実施するための継続的取引に関する基本的かつ包括的事項について定めることを目的としております。

仕入及び販売

 乙は甲より製品を仕入れ、特定地における販売地域での販売を行います。
 ただし、乙は、甲の承諾なく、甲製品の類似品を製造したり、類似ないし類似の疑いのある他社製品を販売してはならないこととなっております。

契約期間

 契約締結の日から満1年
 ただし、有効期間満了30日前までに甲乙双方又は一方より書面にて異議の申し出がない場合は、以後1年ごとに自動更新いたします。

 

 

(2)フランチャイズ契約「元旦リルーフメンバーズ」

2024年1月1日付で当社住宅屋根製品を取り扱うプロ事業者のフランチャイズ組織「元旦リルーフメンバーズ」を発足いたしました。

2024年3月31日現在、40社とフランチャイズ契約を締結しております。

フランチャイズ契約の主な事項は、次のとおりであります。

契約の目的

 元旦ビューティ工業株式会社(甲)がフランチャイズ会員(FC会員)に対し、契約による指定製品の販売・施工を許可し、FC会員は甲の開発した製品販売及び販売手法を用いて製品の信用維持及び販路の拡張に努めることを目的といたします。

契約形態

 A契約・B契約・C契約のそれぞれの契約で、屋根工事仮設システム「スムースライド77」の購入やFC会員へのレンタル、指定製品を甲からの購入あるいはFC会員からの購入などの各種条件が異なります。

契約期間

 本契約の有効期間は、契約締結日から満1年となります。ただし、期間満了前の3か月までに、当事者の一方又は双方の書面による特段の申入れがないときは、本契約は、自動的に1年延長するものとし、以後も同様といたします。

 

 

 

6 【研究開発活動】

当社の研究開発活動には、発明研究と基礎研究開発、製品化のための応用研究開発及び既存製品のための改良研究開発があり、主に開発課(2024年3月31日現在5名)と白州技術センター(2024年3月31日現在6名)が連携して担当しております。

当期における研究開発費の総額は103百万円であります。なお、当社は社内研究が主であり、担当者が複数の案件に携わっているため、研究開発内容別の費用算出が困難であり、記載を省略しております。

なお、研究開発内容別の研究目的、主要課題及び研究成果については次のとおりであります。

 

①断熱ビューティルーフ3型の研究開発

住宅に採用されている横葺屋根の断熱ビューティルーフ3型が完成いたしました。

従来からの屋根頂上から下へ葺き下がってくることができる「バッキング工法」は継続したうえで屋根材の働き幅を現行の195mmから270mmに大きくすることで施工効率を向上させました。

また、屋根材のハゼ形状と断熱バックアップ材を研究した結果、防水性を向上させて、屋根材が対応できる勾配を4.0寸以上から3.0寸以上に拡大することができました。

施工性及び防水性の向上と勾配範囲の拡大により製品の付加価値を高めることで、住宅改修市場のターゲットを広げて販売増を図ってまいります。

 

②バリヤネット78の研究開発

既設屋根への太陽電池モジュール新規設置や、既設屋根の点検・補修など屋根上で行う作業の際、部品や工具が軒先から落下することを防止する製品、バリヤネット78の新規開発を行いました。

従来の落下防止対策は、重量のある足場用単管を利用したもので、専門の職人が組み立てる必要がありました。さらに定まった規格がないため、現場ごとの打ち合わせや材料手配を請負業者が行わなければならず、その手間が課題のひとつでした。

バリヤネット78は、主構成材となる支柱、横パイプ、ブレースの材質に軽量で耐久性の高いアルミニウムを採用しているため、運搬や荷揚げ時の作業軽減を実現するとともにアルミニウムを使用することで経年での錆や劣化を抑制します。さらに既設屋根に孔をあけずにワンタッチで金具を取り付け、その上に支柱をボルト固定、横パイプやブレースはビスを使用しないで設置可能で、最後にネットを貼るだけの専門業者でなくとも簡単に施工ができる製品のため、現場作業と請負業者の手間も軽減されます。

また、今年3月中旬に開催された建築建材展2024に出展し、市場関係者に広くご紹介しております。

 

③マッタラールーフ9型の研究開発

完全嵌合式平滑葺きにマッタラールーフ9型の新規開発を行いました。

本製品は、隣り合う屋根材を直接篏合させることでキャップ不要となり、経済性と意匠性を兼ね備えております。さらに有効幅を可変対応できる製品です。

キャップが不要であることによって、部品点数が減少し、経済性向上と細目地によるスマートな意匠性を実現できるとともに、可変の有効幅を利用して外壁・軒天・内装など屋根以外の市場への採用も視野に入れ、収益性の向上が期待できます。また、従来の技術であるV字ハゼが樋の役割となる機能を継承しているため、現在の製品同様の高い水密性を有しています。そして、片追い施工を可能とした吊子の開発により、不陸や小さな施工誤差による屋根材の歪や膨れ発生を軽減しております。