第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、本報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

 今後、我が国は2065年に国民の約2.6人に1人が65歳以上の高齢者となるという世界で類を見ない超高齢化社会になることが予測されております。また、日本のデジタルトランスフォーメーション(以下「DX」といいます。)の進展が世界から大きく後れを取っている認識のもと、株式市場においてDXに対応し進化している企業とそうではない企業の二極化が進展し、企業は自社の生き残りをかけ、DXへの対応・変革・投資が急務となっている状況です。また、地方自治体においても、厳しい財政状態・人口減少の課題に直面し、職員数が減少しているにもかかわらずその業務負担は増加傾向にあり、DXによる業務効率化が必要不可欠となっております。

 そのような環境の中、当社グループにおいては「Change People、Change Business、Change Japan」をミッションに掲げ、「生産性をCHANGEする」というビジョンのもと、「人×技術」で日本の生産性を飛躍的に向上させ、人口減少下の日本を持続可能な社会にするため、ビジネスモデル・業務プロセスのデジタル化及びデジタル人材の育成支援などの事業を展開し、創業以来、多くの顧客のデジタル化ニーズに対してソリューションを提供しております。

 当社グループは、上記ミッション及びビジョン実現のため、中期経営計画「Digitize & Digitalize Japan」を掲げ、2019年9月期~2034年3月期において1Phaseを3カ年毎に区切り、Phase1からPhase5までの15カ年で、日本のDX市場におけるリーダーの地位を確立するべく取り組んでおります。

 

(2)事業戦略

 当社グループは中期経営計画(改訂版)「Digitize & Digitalize Japan (Phase2)」を成し遂げ、次期中期経営計画「Digitize & Digitalize Japan (Phase3)」に向け、事業基盤の整備を進めてまいります。

 

① NEW-ITトランスフォーメーション事業

 NEW-ITトランスフォーメーション事業においては、常態化する人材不足に総合的に対応すべく、従来の民間DX領域と人材育成領域を統合・集約し、人材不足解消に向けたソリューションを提供するとともに、国内に散在する広範な分野のセキュリティに関する優秀な人材を集積し、デジタル赤字を抑えて国産ソリューションで堅牢な産業基盤を築くべく、サイバーセキュリティ領域の強化・拡大を図ってまいります。

 

② パブリテック事業

 パブリテック事業においては、ふるさと納税の高付加価値化による更なる伸長を図りつつ、LoGoシリーズの拡大、株式会社ガバメイツによる自治体業務改革支援、M&Aや資本業務提携を通じたサービス・プロダクトの拡充により、公共DX領域における成長を加速させてまいります。

 

(3)経営環境

 当社グループを取り巻く市場環境に関連する動向としては、政府がデジタル社会の実現に向け、デジタル化をはじめ大胆な規制改革を実現し、アフターコロナの新しい社会づくりを掲げ、行政のデジタル化や、テレワークやワーケーションなど新しい働き方の推進を表明しております。このことは、「人×技術」で地方を含めた日本のDXを推し進めている当社グループにとって、ポジティブな環境であると認識しております。

 

(4)当社グループの体制、顧客基盤、販売網

 「第1 企業の概況 3 事業の内容」に記載の[事業系統図]をご参照ください。

 

(5)当社グループの主要製品・サービスの内容

 「第1 企業の概況 3 事業の内容 (1)NEW-ITトランスフォーメーション事業の内容、(2)パブリテック事業の内容」をご参照ください。

 

(6)対処すべき課題

 当社グループは、更なる事業拡大及び成長を加速させるために、以下の点を対処すべき重要な課題と認識し、取り組んでまいります。

 

①NEW-ITトランスフォーメーション事業の強化

 当社グループのNEW-ITトランスフォーメーション事業におきましては、AI・音声インターネット、モビリティ、IoT、ビッグデータ、クラウド、セキュリティなどの各種アルゴリズム群及びデジタル人材育成のライブラリを充実することで、当社のビジネスチャンスを拡張し、日本のDXを推し進めてまいります。そのため、法人顧客のNEW-ITを活用した業務・ビジネスモデル変革のトレンドとともにビジネスボリュームを拡大し、顧客の利用深度の深まりに合

わせて、より付加価値を高める用途・サービスを提供し、NEW-IT活用をワンストップで提供可能な体制を強化し、新技術へのキャッチアップ及び各種サービス提供を支える豊富なパートナー企業との連携を強化してまいります。

 

②パブリテック事業の強化

 当社グループのパブリテック事業におきましては、子会社である株式会社トラストバンクが運営するふるさと納税プラットフォーム「ふるさとチョイス」の付加価値化を高め、更なる認知の拡大を図り、ふるさと納税の健全な発展をリードしてまいります。また、人口減少下にある地方の創生のため、自治体向けのデジタル化サービスの投入を加速させることで、地方からのデジタルトランスフォーメーションを推し進めてまいります。

 

③システム及びセキュリティの強化

 当社グループでは、パブリテック事業におけるふるさと納税プラットフォーム、自治体向けSaaSサービスに加え、NEW-IT事業においてサイバーセキュリティ領域に業容を拡大しております。これらのサービスを安全かつ効率良く運営してくために、最新の技術を取り入れた運用体制をさらに強化していく必要があると考えております。そのために、適切なシステム投資や専門人材の採用を進めてまいります。

 

④ケイパビリティの強化及び優秀な人材の採用

 当社グループは、組織能力・営業能力・開発能力の拡充・強化を通じて、グループ全体のケイパビリティを高め、成長を確かなものとすることが必要と考えております。また、成長を加速させていくためには、当社グループのカルチャーに合った専門性を有する優秀な人材の採用と既存社員のスキルの底上げが最重要課題と考えます。当社グループは優秀なデジタル人材の採用を積極的に行っていくと同時に、社員に対して当社グループのミッション・バリューを深く浸透させ、かつ、個々のスキルを底上げする研修を実施してまいります。

 

⑤内部管理体制の強化

 当社グループの事業の成長、事業規模の拡大に伴い、内部管理体制として求められる管理機能の範囲が拡大し、また専門的なスキル及び知見も高度化しております。当社グループの持続的な成長を支える盤石な内部管理体制を構築していくため、高い専門性や豊富な知見を有している人材を採用していくとともに、積極的な社内外の研修受講を通じて、社員のスキル向上を図ってまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

 当社グループは、「Change People、Change Business、Change Japan」をミッションに掲げ、「生産性をCHANGEする」というビジョンのもと、持続可能な社会を様々な関係者と共創していくこと(サステナビリティな社会の実現)をゴールに、人口減少下の日本を持続可能な社会にするため、ビジネスモデル・業務プロセスのデジタル化及びデジタル人材の育成支援、並びに自立した持続可能な地域創生の共創などの事業を展開し、多くの顧客に様々なソリューションを提供しております。当社グループは、企業活動・事業活動においてサステナビリティに積極的取り組むことは新たな事業機会創出の機会となり得るとの認識のもと、当社及び当社グループとしての考え方を明確にするとともに、サステナビリティに関する様々な取組みをより一層推進すべく「サステナビリティ基本方針」を策定し、これを取締役会にて決議しております。

(サステナビリティ基本方針:https://www.changeholdings.co.jp/sustainability/management/)

 また、当社グループは、人材の多様性の確保を含む人材育成の推進の観点から、人権を尊重しさまざまな人権課題に対して積極的に取り組んでいくことが重要な社会的使命の一つであると考えております。当社グループは、「国際人権章典(世界人権宣言と国際人権規約(社会権規約・自由権規約))」、及び国際労働機関(ILO)の「労働における基本的原則」「中核的労働基準(4分野・8条約)」、並びに「国連グローバル・コンパクトの人権・労働基準・環境・腐敗防止に関する10原則」に規定されている内容を最低限に守るべきものと理解しており、この認識を社内外に対してより明確に表明するべく「人権の尊重に関する基本的方針」を定め、これを取締役会にて決議しております。

(人権の尊重に関する基本的方針:https://www.changeholdings.co.jp/sustainability/society/humanrights/#sec1)

 現在、当社では、取締役会がサステナビリティ全般に関するリスク及び機会に対する監督権限を有しており、ガバナンスや統制に関する詳細は、「4.コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載のとおりであります。

 

(2)戦略

●気候変動

 当社グループの事業戦略は環境と密接につながっています。当社グループでは、中期経営計画にて「持続可能性が危ぶまれる地域の重大かつ喫緊の課題の解決に挑む」ことを目指し、「地域が抱える社会課題を解決し地域を持続可能にする」ことを戦略分野の一つとしております。特に、CO2/GHG(温室効果ガス)排出を含む気候変動の影響は、地域で暮らす人や社会・経済に直接的に影響を与えるものであり、当社グループに対して求められるサービスについても、気候変動の影響を緩和するための解決策が多くあります。

 これらに対して真摯に取り組むことは、当社グループの重要な社会的責務の一つであるとともに、新たな事業機会をもたらすものと考えています。気候変動に伴う事業上のリスクと機会については、当社サステナビリティサイト(https://www.changeholdings.co.jp/sustainability/environment/climate/#sec2)にて具体的に開示しておりますが、特に中長期的には、自然災害発生によるインフラ強化に対応するDX技術の需要の高まり、DX技術を活用した持続可能な社会インフラ構築提案への引き合いが増えると考えております。また、カーボンクレジットに関する事業についても、当社グループの強みを活かして取り組みを強化していく予定であります。

●人材の多様性の確保を含む人材育成

 当社グループは、中長期的な企業価値を向上させるためには、多様性を確保し続けるとともに、国籍・ジェンダー・年齢・障がいの有無等に関わらずあらゆる人材が活躍できる環境づくりに努めることが重要であると考えております。当社にとって「ダイバーシティ&インクルージョン」とは、社員一人ひとりが互いの個性や価値観を尊重し合い、その力を最大限に活かせる組織風土を維持・促進するだけでなく、組織全体のパフォーマンスを向上させてミッションの実現を目指す企業活動・事業活動のそのものであると考えております。

 当社グループは、従業員のスキル向上を目的とした研修機会を積極的に提供することは、企業価値及び当社グループの競争優位を持続的に向上させていくという観点からも非常に重要なテーマであると考えております。当社グループは、社員一人ひとりがその能力を最大限に発揮するとともに、新たな価値創出のため、自ら進んで学習しそのスキル・能力を向上させ続ける意欲を維持できるよう「学び合える組織文化」の維持・促進に継続的に取り組むとともに、eラーニングコンテンツの配信や年間を通して社内トレーニング(職種/階層/在籍期間別)を実施しております。今後も、社員1人ひとりが“Try & Error”を恐れず、様々な分野において積極的にチャレンジしていくことができるよう、スキル向上を目的とした様々な研修機会を提供してまいりたいと考えております。

●社内環境整備

 当社グループは、すべての従業員がジェンダー(性別)にかかわらず、個人の生活やライフステージにおけるさまざまなニーズに合った多様な働き方を選択でき、その結果としてそれぞれの個性や才能を発揮しつつ、モチベーションを高く働き続けることができる社内環境の整備に取り組んでおります。具体的には、出産・育児・介護などライフイベントに伴う様々な環境の変化に対しても、プライベートと仕事を両立できるよう男女問わず利用できる各種制度の拡充に努めております。

 また、特に、女性の働き方に関しては、ライフステージにより働き方に制限が生じやすいという特性を十分に理解したうえで、人生の一大事に対しても会社として柔軟な制度を用意していることは社員にとって大きな安心に繋がると考え、その能力を最大限に発揮できるよう各種支援策を継続的に強化しております。当社及び当社グループにおける社内環境の整備に関する具体的取組については、当社サステナビリティサイト(https://www.changeholdings.co.jp/sustainability/society/employee/#sec1)にて開示しております。

●組織の活性化

 当社では、例年、入社者の50%以上が中途採用による入社者です。現在、その多くが各事業部において中核的な役割を果たしております。当社は、性別・国籍・採用経緯等とは一切関係なく、職務遂行に必要な人格、経験、能力及び知見等を有している人物を、管理職へ登用しており、中途採用者の管理職登用に関しても一切の差別をしておりません。その結果、近年では、全管理職に占める中途採用者の比率が、恒常的に50%を超える水準となっており、常に新しい考え方、新しい取り組み、新しい観点を持つ人材を流入させることで、組織の活性化が図られ、結果、事業機会の新たな創出に繋がっていると考えており、当社グループ全体にて推進していきたいと考えております。

 

(3)リスク管理

 当社は、リスク管理を経営上きわめて重要な活動と認識しております。全社的なリスク管理に関しては、取締役及び取締役会による業務執行及びその監督に努める一方で、Corporateユニットが中心となり、全社横断的にリスク管理に取り組んでおります。中期経営計画に基づき事業規模を拡大する中で、グループ会社の増加など経営環境の変化に対応すべく適切に要員を配置し、グループ内のみならず外部のリソースも適宜活用しながら経営資源を効率的に配分することでリスク管理を推進しております。

 サステナビリティに関するリスク管理については、全社的なリスク管理の一環として推進状況及び推進を阻害する要因の把握を務めるとともに、連結対象子会社を中心とした主要グループ会社までスコープを広げ、リスク情報の収集と分析を行っております。また、重要と判断するリスクについては、その重要性に応じて、代表取締役兼執行役員社長又は取締役会に報告をしております。

 

(4)指標及び目標

●気候変動

 当社グループでは、事業活動におけるCO2/GHG(温室効果ガス)排出量(Scope1+Scope2)を中長期的に実質削減していくことを目標に、主要グループ会社における排出量の総量をモニタリングしております。直近のモニタリング結果は、当社サステナビリティサイト(https://www.changeholdings.co.jp/sustainability/environment/climate/#sec3)にて開示しております。

●人材の多様性の確保を含む人材育成

 当社グループでは、人材の多様性を一層に推進していくことを目標に、主要グループ会社における障がい者社員の比率・女性社員の比率等をモニタリングしております。直近のモニタリング結果については、障がい者社員の比率が2.06%、女性社員の比率は46.54%となっておりますが、今後のM&Aによって人員構成が大きく変わることもあり、現時点で具体的な目標等を定めることは出来ておりませんが、今後も多様な人材が活躍できる環境を整備していくことが重要であると考えております。詳細は当社サステナビリティサイト(https://www.changeholdings.co.jp/sustainability/society/employee/#sec3)にて開示しております。

●社内環境整備

 当社グループでは、管理職に占める女性社員の比率、及び出産・育児・介護制度の利用人数を中長期的に向上させていくことを目標に、主要グループ会社における各種制度の利用状況等をモニタリングしております。直近のモニタリング結果は、当社サステナビリティサイト(https://www.changeholdings.co.jp/sustainability/society/employee/#sec1)にて開示しております。

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある事項には、以下のようなものがあります。なお文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2024年6月27日)現在において当社グループが判断したものであります。なお、各リスクが顕在化する可能性の程度や時期については合理的に予見することが困難であるため記載しておりませんが、当社グループはこれらのリスクに関する管理体制を「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載のとおり整備し、リスクマネジメント活動を行っております。

 

(外部環境リスク)

① 景気動向及び業界動向の変動による影響について

 NEW-ITトランスフォーメーション事業は、企業を取り巻く環境や企業経営の効率化などの動きにより、関連市場が今後急速に拡大すると予測されるものの、各種新技術に対する投資抑制の影響を受ける可能性があります。また、経済情勢の変化に伴い事業環境が悪化した場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。こうした外部環境の変化への対応策として、市場動向や新しい技術のモニタリングを通じて、迅速な経営判断を行い、経営資源の最適化を図ることで対応を行ってまいります。

 

② 公的規制について

 株式会社トラストバンクが行うふるさと納税に関するサービスにつきましては、ふるさと納税制度が所得税法や地方税法で定める寄附金控除など法律に基づくものであり、今後の税制改正等により当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。こうした公的規制への対応策として、ふるさと納税制度の理念に沿って、返礼品の自主ガイドラインの設定、災害に被災した地方団体へ寄付を通じた災害支援の提供、ガバメントクラウドファンディングによる社会性の高い施策への寄付を実現する仕組みの提供など、ふるさと納税制度が持続的な制度となるよう取り組んでおります。

 

(財務リスク)

③ 減損損失について

 当社グループで買収した子会社等における事業計画の未達、マーケットの信用不安や金利の急激な上昇による割引率の上昇などにより減損損失を計上した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。こうした減損リスクへの対応策として、取締役会、経営会議における買収価格の適切性に関する議論や、買収後の事業計画実現に向けたPMI(ポスト・マージャー・インテグレーション)に注力しております。

 

④ 為替変動について

 当社のセキュリティソフトウエアをはじめとしたNEW-ITトランスフォーメーション事業関連製品は、海外系ベンダーの製品が含まれ、海外からの仕入の大半が米ドル建決済となっているため、日本円と米ドル間の為替相場が円安傾向となった場合、その時点の市場競争状況いかんでは、かかる増加分を適正に当社の販売価格に反映できず、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。こうした為替変動リスクへの対応策として、仕入債務に対して為替予約等の対策を講じ、適宜、国内販売価格の見直しを行っております。

 

(コンプライアンスリスク)

⑤ 個人情報を含めた情報管理体制について

 当社グループはシステム開発・運用又はサービス提供の遂行過程において、顧客の機密情報や個人情報を取り扱います。また、社内の日常業務を遂行する過程においても、役員及び従業員に関する個人情報に接する機会があります。機密情報・個人情報が外部流出や消失するような事態が生じた場合には、当社グループの社会的信用に与える影響は大きく、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。こうした情報漏洩等のリスクへの対応策として、システム上のセキュリティ対策に加え、当社及び当社グループの一部では、情報セキュリティマネジメントシステム「ISO/IEC27001(JISQ27001)」を取得しており、当該公的認証に準拠した「情報セキュリティマニュアル」を整備し、ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)の運営、維持、改善に努めております。また、当社グループの一部では、プライバシーマークの認証を取得しております。

 

(人材リスク)

⑥ 人材の確保及び育成について

 当社グループは、今後退職者の増加や採用の不振等により必要な人材を確保することができない場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。こうした人材リスクへの対応策として、積極的・戦略的に優秀な人材の獲得を進め、採用した人材及び既存の社員に対し、社内各種制度及び教育制度の充実等の施策を実施しております。

 

⑦ 社内特定人物への事業運営の高依存について

 代表取締役兼執行役員社長である福留大士は、当社グループの経営方針の決定、事業運営において極めて重要な役割を果たしております。何らかの理由により業務遂行が困難になった場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。こうしたリスクへの対応策として、優秀な経営人材の採用、育成に努めてまいります。

 

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

経営成績等の概要

(1)経営成績

    当連結会計年度の経営成績は次のとおりです。

 今後、我が国は2065年に国民の約2.6人に1人が65歳以上の高齢者となるという世界で類を見ない超高齢化社会になることが予測されております。また、日本のデジタルトランスフォーメーション(以下「DX」といいます。)の進展が世界から大きく後れを取っている認識のもと、株式市場においてDXに対応し進化している企業とそうではない企業の二極化が進展し、企業は自社の生き残りをかけ、DXへの対応・変革・投資が急務となっている状況です。また、地方自治体においても、厳しい財政状態・人口減少の課題に直面し、職員数が減少しているにもかかわらずその業務負担は増加傾向にあり、DXによる業務効率化が必要不可欠となっております。

 そのような環境の中、当社グループにおいては「Change People、Change Business、Change Japan」をミッションに掲げ、「生産性をCHANGEする」というビジョンのもと、「人×技術」で日本の生産性を飛躍的に向上させ、人口減少下の日本を持続可能な社会にするため、ビジネスモデル・業務プロセスのデジタル化及びデジタル人材の育成支援などの事業を展開し、創業以来、多くの顧客のデジタル化ニーズに対してソリューションを提供しております。

 具体的な事業内容としては、デジタル人材の育成支援や業務プロセスの革新及びデジタル化を担うNEW-ITトランスフォーメーション事業、NEW-ITトランスフォーメーション事業と相乗効果のある事業への投資を通じ、新事業の創出やビジネスモデル構築を担う投資事業、DXによる地方創生の推進をミッションとするパブリテック事業の3つの事業を柱として推進・拡大しております。なお、投資事業につきましては、2023年4月14日に発表いたしました通り、同日付で、従来のキャピタルゲインを目的とした投資事業から、投資先企業とのシナジーを通じて「NEW-IT トランスフォーメーション事業」及び「パブリテック事業」の発展に寄与する事業投資に注力することが一層当社グループの企業価値向上に資すると判断し、投資事業及び投資セグメントの廃止を行っております。投資事業及び投資セグメントは廃止いたしますが、当社は M&Aや資本業務提携を事業成長の有用な手段として積極的に活用していく方針に変更はありません。

 当社は2022年5月13日に改訂版中期経営計画「Digitize & Digitalize Japan (Phase2)」を発表いたしました。「Local」 × 「Social」 × 「Digital」の重点領域を定め日本のDXをリードし、改訂版中期経営計画を達成すべく、2022年3月にSBIホールディングス株式会社との資本業務提携を実施し地方創生に向けた取り組みを加速させるとともに、人材採用・育成を積極的に推し進め、大手企業との合弁会社の設立によるDXの成長領域の拡大、M&A等の成長投資を加速させております。DXを推し進める上で必要不可欠であるサイバーセキュリティ領域へ事業領域を広げる観点から、2023年8月2日にイー・ガーディアン株式会社と資本業務提携契約を締結したうえで、同社株式の公開買付け及び第三者割当増資の引き受けを行い、2023年10月11日付で同社を連結子会社化いたしました。今後、同社はNEW-ITトランスフォーメーション事業の一翼を担ってまいります。

 また、2023年4月1日に持株会社体制への移行を完了し、株式会社チェンジホールディングスに商号を変更いたしました。持株会社体制への移行により、グループガバナンスの一層の強化及び経営資源配分の最適化ならびに次世代の経営人材育成を推進し、あらゆる経営環境の変化にも迅速に対応できる、柔軟かつ強靭な経営体制へと進化することを目指してまいります。

 NEW-ITトランスフォーメーション事業につきましては、M&Aや資本業務提携を中心とした成長投資を継続しております。今後、DXを推し進める上で必要不可欠となるサイバーセキュリティ領域へ事業領域を広げ、さらには、サイバーセキュリティ業界の再編を進めるべく、2023年8月2日にイー・ガーディアン株式会社と資本業務提携契約を締結した上で、同社株式の公開買付け及び第三者割当増資の引き受けを行い、2023年10月11日付で同社の連結子会社化を完了いたしました。また、2023年12月25日に、サイバーセキュリティ業界の再編の中核となる中間持株会社のサイリーグホールディングス株式会社を設立し、2024年3月29日付でアイディルートコンサルティング株式会社(旧商号デジタルアーツコンサルティング株式会社)の連結子会社化を完了いたしました。デジタル人材育成領域においては、プラットフォーム型へのビジネスモデルの進化を加速させるとともに、生成AI(ChatGPT)研修を開始し、2024年3月29日付で生成AIに強みを持つ株式会社インタラクティブソリューションズを持分法適用会社とするなど、最新のDXを取り入れたコンテンツ開発を進め、人手不足が顕著な業種・業界に対して新たなDXソリューションサービスを展開しております。

 投資事業につきましては、グロース株を中心とした保有する上場企業の株価が回復いたしました。なお、2023年4月14日に発表いたしました通り、同日付で、従来のキャピタルゲインを目的とした投資事業から、投資先企業とのシナジーを通じて「NEW-ITトランスフォーメーション事業」及び「パブリテック事業」の発展に寄与する事業投資に注力することが一層当社グループの企業価値向上に資すると判断し、投資事業及び投資セグメントの廃止を行っております。投資事業及び投資セグメントは廃止いたしますが、当社は M&Aや資本業務提携を事業成長の有用な手段として積極的に活用していく方針に変更はありません。

 パブリテック事業につきましては、2023年6月に総務省により発出された「ふるさと納税の次期指定に向けた見直し」による影響を見越した寄付者がふるさと納税を前倒して行ったことにより、第2四半期連結会計期間における寄付取扱高が大幅に増加しました。第3四半期連結会計期間における寄付取扱高については、一定程度その影響を受けましたが、ふるさと納税プラットフォームにおける手数料率の引き上げやOEM提供、決済手段の多様化を進めたことにより、売上収益が大幅に増加いたしました。地方自治体向けSaaSビジネスであるLoGoチャット及びLoGoフォームが引き続きユーザーからの高い評価を得て契約数が増加し、LoGoチャットにおいては、有償・無償を合わせた利用自治体数が1,400自治体を突破いたしました。また、自治体DXを加速させるべく、株式会社ガバメイツを中心に先行投資を継続実施し、2023年11月10日に株式会社アップクロースを設立し、同社に地方自治政策のトップエキスパートを迎え入れました。

 他方、次期中期経営計画「Digitize & Digitalize Japan (Phase3)」での更なる飛躍に向けた好調な事業の再編を進めるため事業構造の改革を行い、株式会社DFA Roboticsに対するのれんの減損損失の計上、株式会社トラストバンクにおいてエネルギー事業における債権につき取立不能又は取立遅延のおそれが生じたことによる貸倒引当金繰入額の計上などを行いました。

 

 これらの結果、当連結会計年度の売上収益は37,015百万円(前期比84.9%増)、営業利益は7,562百万円(前期比32.0%増)、税引前利益は7,429百万円(前期比31.4%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は4,325百万円(前期比12.2%増)となりました。

 

 セグメントの業績は、以下のとおりであります。

 

(Ⅰ)NEW-ITトランスフォーメーション事業

 NEW-ITトランスフォーメーション事業につきましては、M&Aや資本業務提携を中心とした成長投資を継続しております。今後、DXを推し進める上で必要不可欠となるサイバーセキュリティ領域へ事業領域を広げ、さらには、サイバーセキュリティ業界の再編を進めるべく、2023年8月2日にイー・ガーディアン株式会社と資本業務提携契約を締結したうえで、同社株式の公開買付け及び第三者割当増資の引き受けを行い、2023年10月11日付で同社の連結子会社化を完了いたしました。また、2023年12月25日に、サイバーセキュリティ業界の再編の中核となる中間持株会社のサイリーグホールディングス株式会社を設立し、2024年3月29日付でアイディルートコンサルティング株式会社(旧商号デジタルアーツコンサルティング株式会社)の連結子会社化を完了いたしました。デジタル人材育成領域においては、プラットフォーム型へのビジネスモデルの進化を加速させるとともに、生成AI(ChatGPT)研修を開始し、2024年3月29日付で生成AIに強みを持つ株式会社インタラクティブソリューションズを持分法適用会社とするなど、最新のDXを取り入れたコンテンツ開発を進め、人手不足が顕著な業種・業界に対して新たなDXソリューションサービスを展開しております。他方、次期中期経営計画「Digitize & Digitalize Japan (Phase3)」での更なる飛躍に向けた好調な事業の再編を進めるため事業構造の改革を行い、株式会社DFA Roboticsに対するのれんの減損損失の計上などを行いました。

 この結果、当連結会計年度におけるNEW-ITトランスフォーメーション事業の売上収益は11,453百万円(前期比131.1%増)、セグメント利益は271百万円(前期比77.3%減)となりました。

 

(Ⅱ)投資事業

 投資事業につきましては、グロース株を中心とした保有する上場企業の株価が回復し、売上収益がプラスに転じました。なお、2023年4月14日に発表いたしました通り、同日付で、従来のキャピタルゲインを目的とした投資事業から、投資企業とのシナジーを通じて「NEW-IT トランスフォーメーション事業」及び「パブリテック事業」の発展に寄与する事業投資に注力することが一層当社グループの企業価値向上に資すると判断し、投資事業及び投資セグメントの廃止を行っております。投資事業及び投資セグメントは廃止いたしますが、当社は M&Aや資本業務提携を事業成長の有用な手段として積極的に活用していく方針に変更はありません。

 2023年4月13日までの売上収益及びセグメント利益を投資事業として、以後の投資有価証券の損益は金融収益・金融費用に記載しております。

 廃止日までの、投資事業の売上収益は127百万円、セグメント利益は126百万円となりました。

 

(Ⅲ)パブリテック事業

 パブリテック事業につきましては、2023年6月に総務省により発出された「ふるさと納税の次期指定に向けた見直し」による影響を見越した寄付者がふるさと納税を前倒して行ったことにより、第2四半期連結会計期間における寄付取扱高が大幅に増加しました。第3四半期連結会計期間における寄付取扱高については、一定程度その影響を受けましたが、ふるさと納税プラットフォームにおける手数料率の引き上げやOEM提供、決済手段の多様化を進めたことにより、売上収益が大幅に増加しました。地方自治体向けSaaSビジネスであるLoGoチャット及びLoGoフォームが引き続きユーザーからの高い評価を得て契約数が増加し、LoGoチャットにおいては、有償・無償を合わせた利用自治体数が1,400自治体を突破いたしました。また、自治体DXを加速させるべく、株式会社ガバメイツを中心に先行投資を継続実施し、2023年11月10日に株式会社アップクロースを設立し、同社に地方自治政策のトップエキスパートを迎え入れました。他方、次期中期経営計画「Digitize & Digitalize Japan (Phase3)」での更なる飛躍に向けた好調な事業の再編を進めるため事業構造の改革を行い、株式会社トラストバンクにおいて、エネルギー事業における債権につき取立不能又は取立遅延のおそれが生じたことによる貸倒引当金繰入額の計上などを行いました。

 この結果、当連結会計年度におけるパブリテック事業の売上収益は25,516百万円(前期比70.8%増)、セグメント利益は11,036百万円(前期比49.6%増)となりました。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ15,434百万円増加し、38,403百万円となりました。

各キャッシュ・フローの状況と主な要因は、次のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動による資金の増加は、12,070百万円(前年同期は1,143百万円の減少)となりました。これは主に、税引前利益7,429百万円によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動による資金の減少は、13,745百万円(前年同期は7,882百万円の減少)となりました。これは主に、子会社の取得による支出9,337百万円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動による資金の増加は、17,827百万円(前年同期は1,608百万円の増加)となりました。これは主に、長期借入れによる収入22,444百万円によるものであります。

 

 

生産、受注及び販売の実績

① 生産実績

 当社は、生産に該当する事項がありませんので、生産実績に関する記載はしておりません。

 

② 受注実績

 以下提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。

NEW-ITトランスフォーメーション事業

受注から売上までの期間が短期間であり、期中の受注高と販売実績がほぼ対応するため。

投資事業

受注に該当する事項がないため。

パブリテック事業

主な事業であるプラットフォームビジネスについて、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため。

 

③ 販売実績

 当連結会計年度における販売実績は次のとおりであります。

 

セグメントの名称

売上収益(百万円)

前年同期比(%)

NEW-ITトランスフォーメーション

事業

11,453

231.1

パブリテック事業

25,516

170.8

合計

36,970

185.8

(注)1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が10%以上の相手先がいないため記載を省略しています。

2.投資事業につきましては販売実績に該当する事項がありませんので、上表には含めておりません。

3.当連結会計年度において、販売実績に著しい変動がありました。その内容等については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績」をご参照ください。

 

経営者の視点による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

 文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

(1)財政状態の分析

(資産)

 当連結会計年度末における流動資産は56,091百万円となり前連結会計年度末と比較して19,392百万円増加しました。これは主に、現金及び現金同等物が15,434百万円増加したことによるものです。また、非流動資産は33,234百万円となり前連結会計年度末と比較して16,989百万円増加しました。これは主に、のれんが11,669百万円増加したことによるものです。

以上の結果、総資産は89,325百万円となり前連結会計年度末と比較して36,382百万円増加しました。

 

(負債)

 当連結会計年度末における流動負債は20,898百万円となり前連結会計年度末と比較して11,247百万円増加しました。これは主に、未払法人所得税が2,531百万円増加したことによるものです。また、非流動負債は20,764百万円となり前連結会計年度末と比較して16,804百万円増加しました。これは主に、社債及び借入金が17,500百万円増加したことによるものです。

以上の結果、負債合計は41,663百万円となり前連結会計年度末と比較して28,051百万円増加しました。

 

(資本)

 当連結会計年度末における資本は47,662百万円となり前連結会計年度末と比較して8,330百万円増加しました。これは、主に非支配持分が子会社の支配獲得等により5,257百万円増加したことによるものです。

 

(2)経営成績の分析

(売上収益)

 当連結会計年度において、売上収益は37,015百万円(前期比84.9%増)となりました。増加の主な要因は、子会社トラストバンクが運営するふるさと納税プラットフォームサービス「ふるさとチョイス」の売上収益増加によるものです。

 

(売上総利益)

 当連結会計年度において、売上原価は13,973百万円(前期比86.3%増)となりました。その結果、売上総利益は23,041百万円(前期比84.0%増)となりました。

 

(営業利益)

 当連結会計年度において、販売費及び一般管理費は12,077百万円(前期比68.5%増)、株式会社DFA Roboticsに対するのれん等の減損損失2,229百万円、エネルギー事業における債権につき取立不能又は取立遅延のおそれが生じたことによる貸倒引当金繰入額1,184百万円、その他の収益は116百万円(前期比71.0%減)、その他の費用は146百万円(前期は4百万円)となりました。この結果、営業利益は7,562百万円(前期比32.0%増)となりました

 

(税引前利益)

 金融収益は55百万円(前期は0百万円)となりました。これは主に為替差益によるものです。

 金融費用は188百万円(前期比144.1%増)となりました。これは主に支払利息によるものです。

 

以上の結果、税引前利益は、7,429百万円(前期比31.4%増)となりました。

 

(親会社の所有者に帰属する当期利益)

 当期利益は4,500百万円(前期比15.1%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は4,325百万円(前期比12.2%増)となりました。

 

(3)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(以下「連結財務諸表規則」という。)第93条の規定によりIFRSに準拠して作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、必要と思われる見積りは合理的な基準に基づいて実施しております。

 当社グループの連結財務諸表で採用する重要性のある会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性のある計方針 4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載しております。

 

(4)資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの主な資金需要は、運転資金のほか、M&A・資本業務提携、新規事業開発、優秀な人材採用、マーケティング費用等の戦略投資資金になります。運転資金については自己資金の活用により賄い、戦略投資資金については、自己資金に加え、金融機関からの借り入れや公募増資等により調達を行うこととしております。資金調達については、多様な資金調達手段から、調達時の状況に応じて最適な手段を選択し、安定的な資金の確保、資本コストの最適化に努めてまいります。

 

5【経営上の重要な契約等】

 当社(以下「公開買付者」といいます。)は、2023年8月2日開催の取締役会において、イー・ガーディアン株式会社(以下「対象者」といいます。)との資本業務提携契約の締結について決議いたしました。

 その主な内容は、次のとおりであります。

 

(i)目的

 本取引を通じて、対象者を公開買付者の連結子会社とすることで、両社グループの業務提携関係を円滑に発展させ、セキュリティ業界の再編を通じて、両社グループで日本のサイバーセキュリティ分野におけるトップクラスのセキュリティベンダーとなることを目指し、両社グループの相乗的な企業価値の向上を図ることを目的とする。

 

(ii)本公開買付けに関する事項

(A)対象者は、本公開買付けに賛同し、対象者の株主に対して本公開買付けへの応募について中立とする旨の取締役会決議(以下「賛同決議」といいます。)を行い、本資本業務提携契約の締結日から本公開買付けの公開買付期間が満了するまでの間、賛同決議を維持し、変更又は撤回しない。但し、対象者は、賛同決議を変更又は撤回しないことが対象者の取締役の善管注意義務違反となる具体的なおそれがあると対象者が合理的に判断した場合には、賛同決議を変更又は撤回することができる。

(B)対象者は、本資本業務提携契約の締結日から本公開買付けの公開買付期間が満了するまでの間、①直接又は間接に、第三者との間で、対象者株式を対象とする公開買付けの実施その他公開買付者による対象者の連結子会社化と競合・矛盾・抵触し又はそのおそれのある行為(以下「競合行為」といいます。)に関する提案、勧誘、情報提供、協議、交渉等を一切行わず、②第三者から競合行為に関する提案又は勧誘を対象者が受けた場合には、直ちに公開買付者に対しその事実及び当該提案の内容を速やかに通知し、公開買付者との間で、当該提案への対応について誠実に協議するものとする。但し、対象者は、第三者から競合行為に関する提案若しくは勧誘を対象者が受けた場合又は第三者により競合行為が開始された場合において、当該第三者との間で情報提供、協議、交渉等を行わないことが対象者の取締役の善管注意義務違反となる具体的なおそれがあると対象者が合理的に判断した場合には、情報提供、協議、交渉等を行うことを妨げられない。

 

(iii)本第三者割当増資に関する事項

(A)対象者は、本資本業務提携契約の締結日において、大要募集株式の種類及び数を普通株式1,527,716株、払込期間を2023年10月11日から2023年11月30日まで(以下「本払込期間」といい、2023年10月11日を「本払込日」といいます。)、払込金額を1株当たり2,099円(以下「本払込金額」といいます。)、並びに払込金額の総額を3,206,675,884円として、第三者割当増資を行う旨の取締役会決議(以下「本第三者割当増資決議」といいます。)を行い、本資本業務提携契約の締結日から本払込期間の末日までの間、本第三者割当増資決議を維持し、変更又は撤回せず、また、本第三者割当増資決議と矛盾する内容のいかなる決議も行わない。

(B)対象者は、事前に公開買付者の書面による承諾を得た場合を除き、本第三者割当増資により払い込まれた資金を、①サイバーセキュリティ事業における人材採用関連費用、②ブランド力の強化及びサービスの認知度向上に係るマーケティング費用、③拠点の増設及び設備投資の関連費用、④サイバーセキュリティ業界における将来のM&Aのための資金の目的のために使用する。

(C)対象者は、本第三者割当増資後に、本払込日前の日をその議決権行使の基準日とした対象者の株主総会を開催する場合には、公開買付者が本第三者割当増資により取得した対象者株式につき、公開買付者が当該株主総会において議決権を行使することができるよう、会社法第124条第4項本文に従い公開買付者を当該議決権を行使することができる者として定める。

(D)公開買付者は、本払込日において、(a)本資本業務提携契約の締結日、本公開買付けの開始日、本公開買付けの決済開始日及び本払込日において、対象者の表明及び保証(注1)が重要な点において全て真実かつ正確であること、(b)本払込日までに対象者が遵守し又は履行すべき本資本業務提携契約上の義務(注2)が、重要な点において全て遵守又は履行されていること、(c)本第三者割当増資に関し、対象者が提出する有価証券届出書の効力が発生し、かつ、その効力が停止していないこと、(d)本第三者割当増資を禁止し、又は制限することを求める司法・行政機関等の判断等が存在せず、かつ、これらに関する手続が係属していないこと、(e)本公開買付けが成立し、その決済が完了していること、並びに(f)対象者グループの事業、財務状態、経営成績、信用状況に重大な悪影響を及ぼす事態が生じていないことが全て満たされていることを前提条件として、本払込金額の払込みを行う。但し、公開買付者は、その任意の裁量により、かかる条件の全部又は一部を放棄することができる。

(注1)対象者は、本資本業務提携契約において、本資本業務提携契約の締結日、本公開買付けの開始日、本公開買付けの決済開始日及び本払込日において、対象者グループに関する(ア)適法かつ有効な設立及び存続、(イ)本資本業務提携契約の締結及び履行に係る手続の履践、(ウ)本資本業務提携契約の強制執行可能性、(エ)本資本業務提携契約の締結及び履行についての法令等との抵触の不存在、(オ)必要な許認可等の取得、(カ)株式等に関する事項、(キ)子会社及び関連会社の株式等に関する事項、(ク)法令等の遵守及び許認可等の取得、(ケ)財務諸表の正確性、(コ)後発事象の不存在、 (サ)重要契約の有効な締結等、(シ)不動産・動産の所有等、(ス)知的財産権の保有等、(セ)保険の維持等、(ソ)未払賃金の不存在等、(タ)未払の公租公課の不存在等、(チ)紛争等の不存在、(ツ)環境関連法令等の遵守等、(テ)有価証券報告書等の正確性等、(ト)反社会的勢力等との関係の不存在、(ナ)情報開示の正確性、(ニ)インサイダー情報の不存在等について表明及び保証を行っております。

(注2)対象者は、上記(ⅱ)(A)(B)、(ⅲ)(A)(B)(C)、下記(ⅴ)(B)(C)のほか、(ア)対象者グループについて善管注意義務をもって運営等することに関する義務や(イ)秘密情報の保持に関する義務等を負っています。

 

(iv)業務提携の内容

(A)公開買付者及び対象者は、上記(ⅰ)記載の目的を達するため、以下の事項に関する業務提携について今後誠実に協議を行う。

(ア)公開買付者グループのセキュリティ関連サービスやサポートの内製化

(イ)公開買付者グループの顧客基盤を活かした対象者グループのセキュリティ関連サービスの展開

(ウ)対象者グループの顧客基盤を活かした公開買付者グループのサービスの展開

(エ)対象者グループのセキュリティ分野の技術、公開買付者グループのセキュリティ分野の知見を活かした新規サービスの共同開発

(オ)共同でのセキュリティ人材の育成プログラムの開発及び展開

(カ)両社グループにおける人材の相互交流

(キ)セキュリティ分野でのM&Aの推進

(ク)その他両社グループの発展に資する事項

(B)公開買付者及び対象者は、上記(ⅰ)記載の目的を達成するために、(ア)両社グループの間での従業員の出向、派遣その他の人事面での協力、(イ)両社グループによる共同案件の速やかな立ち上げ・推進、技術のノウハウの共有並びに開発支援等の実施に向けた人材交流、並びに(ウ)両社グループにおける会社管理機能の協力及び効率化を目的とした相互の人材交流につき、誠実に協議の上、実施する。

 

(v)役員に関する事項

(A)対象者の取締役(監査等委員である取締役を除く。)の員数は最大7名、監査等委員である取締役の員数は3名とする。

(B)公開買付者は、対象者の取締役のうち1名を指名する権利を有し、公開買付者が当該指名権を行使した場合、対象者に対し、書面によりその旨を通知し、対象者は実務上可及的速やかに、その指名に基づき公開買付者が指名した当該取締役(以下「公開買付者指名取締役」といいます。)を選任するために必要な手続を行うものとする。なお、本資本業務提携契約の効力発生後の最初の公開買付者指名取締役の選任は、2023年12月開催予定の対象者の定時株主総会において行うものとし、対象者は、公開買付者指名取締役を選任するために必要な手続を行うものとする。

(C)公開買付者は、対象者から、公開買付者指名取締役に加えて、1名の対象者取締役の派遣を要請された場合には、公開買付者及び対象者で誠実に協議の上、対象者の取締役候補となる者を提案し、当該候補者が対象者の取締役に就任することを承諾するよう合理的な範囲で協力する。

 

(vi)本取引後の経営方針に関する事項

(A)公開買付者及び対象者は、本取引後に公開買付者の完全子会社として本中間持株会社を設立し、本中間持株会社の傘下に、公開買付者がサイバーセキュリティ事業の拡大・発展を目的として実施するM&Aによって買収した会社(対象者を含む。)の株式を集約させ、本中間持株会社を通じて本取引の目的であるサイバーセキュリティ業界の再編を行う意向であることを確認する。公開買付者及び対象者は、本取引後に、本中間持株会社における役員構成、ガバナンス体制及び上記目的達成のための方針について誠実に協議する。

(B)公開買付者は、本資本業務提携契約の締結日において、本取引後も原則として対象者の上場を維持する意向であることを確認する。

(C)対象者は、本公開買付けが成立した日以降、以下の事項を行う場合には、遅滞なく(実務上可能な場合はその決定の2週間前までに)決定すべき事項の概要を公開買付者に書面にて通知し、事前に公開買付者の書面による承諾を得るものとする。但し、公開買付者は、当該事項について、承諾を不合理に拒絶、留保又は遅延してはならないものとする。

(ア)事業計画、設備投資計画又は収支計画(損益計算書、貸借対照表及びキャッシュ・フロー計算書を含む。)の策定

(イ)対象者の株式等(新株予約権その他の潜在株式を含む。)の発行若しくは処分

(ウ)対象者の株式等(新株予約権その他の潜在株式を含む。)の取得

(エ)合併、会社分割、株式交換、株式交付、事業の譲渡若しくは譲受け又は事業の撤退

(オ)買収防衛策の導入、廃止又は重要な変更

(カ)剰余金の配当及び議案の株主総会への上程

(キ)清算、解散又は破産手続、民事再生手続、会社更生手続、特別清算その他の倒産手続(事業再生ADRその他の私的整理を含む。)の開始の申立て

(ク)(a)新規投資又は金銭の貸付、(b)借入、社債の発行その他の資金調達行為、(c)債務保証、債務引受、第三者の債務の弁済又は担保提供、(d)設備の廃棄、(e)これらに記載した事項の条件の変更のうち、1件当たりの金額が、その時点における対象者グループの直前連結会計年度の末日における連結純資産の5%に相当する額(以下「本基準額」という。)を超えるもの

(ケ)対象者の決定事実として適時開示が必要となる事項((a)子会社又は関連会社の異動を伴う株式等の取得又は処分、その他の子会社又は関連会社の異動を伴う事項(設立又は解散を含む。)、(b)新規事業の開始、(c)資産の譲渡、担保設定その他の処分又は譲受け、(d)第三者との間における業務提携の実施を含むが、これらに限られない。)

(コ)業績予想の修正

(D)対象者は、本公開買付けが成立した日以降、以下の事項を行う場合には、遅滞なく(実務上可能な場合はその決定の2週間前までに)決定すべき事項の概要を公開買付者に書面にて通知し、事前に公開買付者と誠実に協議するものとする。

(ア)会計方針の重要な変更

(イ)役員の選任に係る議題又は議案の株主総会への上程

(ウ)年間取引金額が本基準額を超える重要な取引先との取引の中止や変更、重大な訴訟、仲裁等の提起又は和解

(エ)子会社又は関連会社の異動を伴う株式等の取得又は処分、その他の子会社又は関連会社の異動を伴う事項(設立又は解散を含む。)(但し、上記(C)(ケ)に該当する事項を除く。)

(オ)第三者との間における業務提携の実施(但し、上記(C)(ケ)に該当する事項を除く。)

 

 なお、当該公開買い付け及び第三者割当増資は終了しております。当該内容については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 7.企業結合」に記載しております。

 

6【研究開発活動】

 該当事項はありません。