文中の将来に関する記載事項は、当連結会計年度末において、当社グループが判断したものであります。
当社グループは、巻線から派生する要素技術、生産技術をコアとして「価値創造による顧客満足度の向上」「機能・能力による収益の向上」「コンプライアンスの徹底」を基本方針に掲げ、企業価値、株主価値、顧客価値といった当社グループを取り巻くあらゆる価値の向上を念頭に置き、「小さくともキラリと輝く存在感のある世界№1の企業へ」を行動指針として効率的な経営を推し進めてまいります。
そのために、性別・国籍等の多様性の確保を踏まえつつ、当社の持続的成長と価値向上に資する資質・能力・識見を有する人材を積極的に採用してまいります。
研究開発にも積極的に投資を振り向け、知的財産の保護を図りながら、長年培った巻線・要素技術と経験を活かし、Speed(スピード)・Small(省スペース)・Saving(節約)・Smart(情報化)の実現と共に、製品の高品質化によるユーザーの生産効率向上への貢献と、同時に当社資本の充実を図ってまいります。
これら活動を通し、すべてのステークホルダーの価値を持続的に向上させるとともに、持続可能な開発目標(SDGs)における、気候変動、クリーンエネルギーといった「脱炭素化」のキーアイテムとなるコイルやモータ向け生産設備の開発、製造を含めたトータル・ソリューション、技術革新や労働各分野に関わるファクトリーオートメーション化、スマート工場化へのソリューションを通じて、地球環境と国際社会に貢献する企業を目標といたします。
当社グループは、経営の基本方針に基づいて、将来にわたる安定的な収益確保及び企業価値、株主価値、顧客価値の向上のため、売上高500億円、売上高営業利益率15%以上、親会社株主に帰属する当期純利益率10%以上を経営指標として目標に掲げ、その達成に取り組んでまいります。また、資本コストや株価を意識した資本コスト経営を2025年3月期より導入し、加重平均資本コスト(WACC)を6~7%台と設定し、ROIC10%以上、EBITDAマージン15%以上を中期的な目標に掲げ、優秀人材の確保・育成やM&Aを含む生産能力・収益力の増強に取り組み、EVAスプレッドを意識した資本収益力の向上を図ってまいります。
当社は、さまざまな業種の生産技術を代行するため、当社が築き上げた生産システムのプラットフォームに他社の特殊技術を取り入れ、また「ラインビルダー」として一貫生産ラインをスピーディーにグローバルに提供いたします。
モビリティ業界においては、HV/EVなど乗用車の電装化・安全化の進展が継続し、高度化の流れは商用車や二輪車、船舶、建設機械にも広がりを見せています。当社は、モータ・電子部品分野を中心に設備の高度化・高速化・高品質化を推進するとともに、精密技術・搬送技術等を応用し、電池・半導体分野をはじめとする新たな事業領域に向けた各種自動機・システム機への展開を推進いたします。
本年4月に、国内では、自動化専用機械の設計製作メーカーであるアステクノス社を子会社化し、欧州では、電気測定・検査機器関連のノウハウを有するAPI社を欧州現法の子会社とするなど、M&Aに伴うシナジー効果により、ビジネス・業容の拡大を積極的に図ってまいります。
また、事業成長をさらに加速させるためには、さまざまな高い技術を有する即戦力となる人材の中途採用が必要不可欠です。早期成長の実現のため、当社は、既存事業拠点での採用に拘ることなく、求める技術者が希望する勤務地に開発サテライトを新設しております。具体的には、2018年に開設した四国テクニカルセンターに加え、本年5月には鳥取テクニカルセンター、本年6月には滋賀テクニカルセンターを開設し、他エリアへの展開も推進しております。さらに、四国テクニカルセンターは、2026年には製造機能を持った事業所として本格稼働を開始いたします。
当社は地球環境と国際社会の持続的な成長に貢献する「ラインビルダー」として、SDGs、脱炭素、5Gといったデジタル化、グリーン化を目的とするメガトレンドから生じるビジネスチャンスを掴み、大型設備投資や先端の設備投資のニーズに応えてまいります。
今後も継続的な利益の創出を実現し、社会課題の解決を通じた持続可能な社会の実現と企業価値の向上に努めてまいります。
文中の将来に関する記載事項は、当連結会計年度末において、当社グループが判断したものであります。
当社は、経営理念に基づく「持続的経営」を重視し、企業の稼ぐ力とESG(環境・社会・ガバナンス)を両立させる「両利き経営」(サステナビリティ・トランスフォーメーション)への転換を図るべく、ガバナンス委員会を中心にリスク・機会を捉えた重要課題(マテリアリティ)を検討・特定し、取締役会にて対応方針を含め決定しております。
各重要課題に対しては、社員の参画機会の創出と当事者意識の醸成を図りESGに精通した人財の育成・確保により人的資本の価値を高めながら、執行役員を中心とした執行部門において取り組みを進めており、その推進状況は取締役会及びガバナンス委員会が定期的にモニタリングし、評価・助言指導を行っております。
また、持続的経営の推進においては、ステークホルダーとの共存が不可欠であるとの認識のもと、多様な意見を事業に反映させるべく市場をはじめとするステークホルダーとの対話を進めてまいります。
(1)経営理念
(2)サステナビリティ経営推進図

リスク管理及びガバナンスの内容については、「
(3)要因別リスク及び機会と重点課題
(4)重点課題別取り組み
<技術革新・知的財産・サプライチェーン・製品品質>
<環境>
<人的資本(人財)>
(注) 1 人的資本(人財)に係る指標については、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取り組みが行われているものの、連結グループに属する全ての会社では行われてはいないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、当該指標に関する目標及び実績は、提出会社のものを記載しております。
2 当社は、労働者の約8割が技術系・技能系の職種(開発・設計・組立・調達等)であり、当該職種については電気・電子工学、機械工学等の専門知識を有する人材を求めております。これらの人材の母集団は女性の割合が少ないため、当社の採用者数における女性の割合も低くなる傾向がありますが、人的資本(人財)に係る指標の目標達成に向けて各種施策を実施しております。
<人的資本(安全衛生)>
(注) 人的資本(安全衛生)に係る指標については、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取り組みが行われているものの、連結グループに属する全ての会社では行われてはいないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、当該指標に関する目標及び実績は、提出会社のものを記載しております。
<事故災害>
<資産・取引>
<グローバル対応>
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
ただし、以下に記載したリスクは当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、記載されたリスク以外のリスクも存在します。
かかるリスク要因のいずれによっても、投資家の判断に影響を及ぼす可能性があります。
なお、記載内容には、将来に関する事項が含まれておりますが、別段の表示がない限り、当該事項は本有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
世界経済は、世界的なパンデミックが発生した場合、関連業界における設備投資に対する姿勢が慎重となり、また、国内外の各種規制などにより、受注高が減少する可能性があります。さらに、受注済み案件につきましても、国内外の顧客の受入姿勢に応じた立会い検査及び出荷・納品時期の遅れや、生産工場内で従業員に感染者が出た場合、物流が停滞した場合等の生産活動の低下等により、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、感染症に限らず、当社グループや顧客、仕入先において火災、自然災害等の被害に見舞われた際においても、人的・物的被害の規模に応じ受注、調達、生産、販売といった各活動が停滞する場合があり、結果、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社グループにおいては、こうした緊急事態が発生した場合に備え、損害を最小限に抑え、事業の継続や早期復旧を図るための事業継続計画を策定し、日々の事業活動に取り組んでおります。
当社グループの取引先の多くがグローバル企業であり、その生産拠点をさまざまな国に展開しております。それらの国々においてテロ、戦争、政情不安などが生じた場合には、これらに起因して、輸出の停止や発注のキャンセル、代金回収遅延・不能などが生じる可能性があり、また、諸国の政策により安全面や技術面に係る法律の改正などが生じた場合には、生産設備の仕様変更などが生じる可能性があります。
当社グループにおいてはこれらの発生を回避すべく事前に判明している範囲で取引条件を定めておりますが、条件決定後において状況が変化した場合には、顧客との交渉や法的手続きなどに努めるものの、その結果によっては、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、先に掲げた事項に起因して為替変動が生じた場合、当社グループでは取引を原則円建てで行っているため為替損益への影響は軽微でありますが、顧客においては円調達が必要となることから間接的には顧客の設備投資判断に影響することもあり、結果、受注高及び売上高の減少につながり、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、会計基準や税法の改正等が生じた場合においても、適切な会計・税務に基づく処理を行うことにより引当金の計上や税額の変動等、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、これまでにない技術等を要する難易度の高い案件であっても、将来の収益性、成長性の評価がリスクを上回ると判断した場合には、開発及び生産に取り組む方針としております。そのため当初に見込んだ成果が得られない場合や当初見積もりを超える部材費、追加工数等が発生することもあり、この場合、売上計上時期の後ずれや売上原価、開発費用が増加することとなります。
また、事業活動において生ずる知的財産権に関しても、その保護、使用において不測の事態などが生じた場合、補償あるいは訴訟費用等、当初想定を上回る費用や損害金が発生することがあります。
なお、こうした開発に係る活動は、知識、経験値として当社グループに蓄積され、当社の技術力、現場力としてグローバルニッチトップの強みとなり、事業に活かされておりますが、対象となる製品や部品が大きく変化し、例えばモータに代わる駆動デバイスが開発されるなど他社の技術領域に属する大きな技術革新があった場合においては、業績及び財政状態に大きく影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、顧客の要請に応じたさまざまな顧客専用設備を受注、生産しており、社内基準などに基づき厳格な品質管理を実施した設備を顧客の生産計画にあわせ納品しておりますが、不測の事態により製品の契約不適合や納期の遅延が生じ、顧客の生産活動に支障をきたした場合には、発生した損害について賠償を求められ、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
これら損害賠償については、万が一の発生に備え、損失補填できるよう可能な限り付保しておりますが、対象とならない事象もあるため、生産・品質管理部門を中心に発生を抑制する仕組みを構築しております。
また、当社グループでは、国内外のさまざまな取引先に対する売掛金、前渡金などの信用供与を行っておりますが、取引先において財政状態の悪化や経営破綻等が生じた場合、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社グループでは、信用調査や信用リスクに応じた取引限度額の設定など、信用リスクの管理のための施策を講じて発生防止に努めております。
当社グループでは、継続的な技術開発や技術領域を拡げることを目的として、投資、出資、企業買収、事業の譲渡・譲受等を実施する場合があり、また、新事業や新市場への展開を目的に新会社等を設立する場合がありますが、この場合においても期待した成果を得ることができず、投資損失等が発生し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、営業活動によるキャッシュ・フローを高め、研究開発や企業買収等のための資金を、可能な限り自己資金で賄う経営方針としております。そうした中、これまでに掲げたリスクにより財務状況が逼迫した場合には、取引金融機関からの借入を行うこととしておりますが、資金調達コストが上昇した場合や当該取引金融機関において融資の停止が決定された場合においては、さらに経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また現在、一部の資金を投資有価証券等の元本変動リスクを伴う金融資産にて運用しておりますが、株式相場の変動などの要因により評価損、売却損が発生することがあり、その場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループにおける有形固定資産は、残高の約8割を生産工場及び本社に係る建物及び構築物、土地が占めており、各種要因によりこれらの時価が著しく下落した場合のほか、何らかの要因によってこれらに係る事業の収益性が著しく悪化し、且つこれらの資産が十分な将来キャッシュ・フローを生み出さない場合には、減損損失を認識する必要性が生じ、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、事業活動から生じた営業上・技術上の機密情報や取引先から提供を受けた機密情報及び個人情報等を有しておりますが、想定を超えるサイバー攻撃、不正アクセス、コンピューターウィルス侵入等により、情報の流出、データの破壊、改ざん、システム停止等が生じた場合には、当社グループの信用低下や業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループではIT部門を中心に、これら情報に関する管理体制の強化と社員に対するセキュリティ教育を徹底し、情報システムのハード面・ソフト面を含めた適切なセキュリティ対策を講じております。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する記載事項は、当連結会計年度末において、当社グループが判断したものであります。
当連結会計年度(2023年4月1日~2024年3月31日)における世界経済の情勢は、ウクライナ情勢の長期化や中東情勢の緊迫化に伴う地政学的リスクの高まり、不動産不況等に伴う中国経済の低迷、資源・エネルギー価格の上昇、世界的なインフレ圧力の残存といった影響が懸念される中、回復ペースが鈍化し、不確実性が高い状況で推移いたしました。
当社グループを取り巻く事業環境においては、緩和的な金融環境が民間需要の下支えとなる中、SDGsに関連したGHG削減、省人化・DX化、サプライチェーンの強靭化、モビリティの電動化・電装化・安全化にあっては、それらに必要な製品開発・製造はもとよりその生産システムまでトータルに取り組むことが必要になり、生産設備の自動化・高度化・高品質化のための最先端の設備投資が世界的な黎明期を迎えております。
当社は、ユーザーごとの生産ラインの効率化や要求された品質を実現させる「ラインビルダー」として、ユーザーの生産システム全体の設計・構築に技術・アイデアを提供しております。また、グローバル人材の育成により、海外拠点の営業・生産・サービス提供レベルを向上させ、ユーザーのニーズ・ウォンツを的確に捉えた「生産技術の代行」と、ユーザー・サプライヤーとの協業・協創を推進いたしました。
また当期は、フィリピン現地法人の新設や、ベトナム現地法人の支店をホーチミンに開設するなど、東南アジアを中心に海外拠点のサービスサポート体制を充実させました。
近年は、SDGs対応やESG経営が求められるようになったことから、当社は省資源・省材料・省電力・省スペース・高生産性・高安全性等を実現する生産システムをユーザーに提供しており、地球環境や国際社会への貢献にも努めております。
これらの結果、経営成績では、売上高は308億3百万円(前期比4.6%増)、営業利益は41億64百万円(前期比34.5%増)、経常利益は42億80百万円(前期比37.2%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は27億44百万円(前期比23.4%増)となりました。
財政状態では、流動資産は、前連結会計年度末対比70億91百万円増加し、391億93百万円となりました。固定資産は、前連結会計年度末対比20億18百万円増加し、175億91百万円となりました。資産合計は、前連結会計年度末対比91億9百万円増加し、567億85百万円となりました。流動負債は、前連結会計年度末対比30億50百万円増加し、135億23百万円となりました。固定負債は、前連結会計年度末対比23億13百万円増加し、34億91百万円となりました。負債合計は、前連結会計年度末対比53億64百万円増加し、170億14百万円となりました。純資産は、前連結会計年度末対比37億45百万円増加し、397億70百万円となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。
当社は、搬送システム上に巻線・ハンドリング・組立・検査等の工程を搭載し、独自開発のOSにより高機能多軸同期制御が可能な生産システムを提供することで、世界市場におけるユーザーの競争優位性の向上に資するビジネスモデルを追求しております。ユーザーごとに創出される固有のニーズやウォンツにスピーディーに対応し、オープンイノベーションによるユーザー・サプライヤーとの協業・協創を推進する「ブルーレイク戦略」をグローバルに推進することによって、既存領域の深化に留まらず、周辺事業領域の探索を積極的に進めております。この成果として、自動車向けのコンデンサやモジュールの組立ライン等、巻線工程を含まないメカトロニクス事業の領域が広がっております。
昨今の急速なデジタル化の進展によるデバイスやツール等の高性能化・高度化に伴い、当事業においては、当社は従来の「生産設備メーカー」から、ユーザーの生産システム全体の設計・構築に技術・アイデアを提供し、巻線の前後工程を含む工程全体の生産効率化や品質向上に貢献する「ラインビルダー」へと変化を遂げております。生産システムの大型化・複雑化に伴い、近年は高額かつ新規要素を多く含む案件の受注が増加していることから、採算性にも配慮が必要となりますが、当期においては、技術ノウハウの蓄積、受注時の精緻な擦り合わせ、生産効率化、原価低減、付加価値向上等により、こうした案件についても利益確保が実現でき、また加えて、外貨建て案件において為替影響がプラスに働きました。
これらの結果、全売上高の約92%を占めるワインディングシステム&メカトロニクス事業においては、連結売上高は、283億65百万円(前期比6.0%増)、セグメント利益(営業利益)は、44億8百万円(前期比36.7%増)となりました。なお、当社個別ベースでの受注高は、183億46百万円(前期比22.9%減)、売上高は、197億2百万円(前期比0.5%減)、当期末の受注残高は、185億80百万円(前期比6.8%減)となりました。
当期においては、非接触ICカードの売上高は堅調に推移した一方で、生産ライン管理用のFAタグや電池タグの売上高は、当期は前期に比べ一服感が見られました。
これらの結果、連結売上高は、24億37百万円(前期比10.0%減)、セグメント利益(営業利益)は、7億86百万円(前期比2.5%増)となりました。なお、当社個別ベースでの受注高は、20億60百万円(前期比15.3%減)、売上高は、24億37百万円(前期比10.0%減)、当期末の受注残高は、5億93百万円(前期比38.9%減)となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末対比24億79百万円増加し、145億3百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
営業活動の結果得られた資金は5億25百万円(前連結会計年度は12億46百万円の収入)となりました。これは主として、税金等調整前当期純利益が42億80百万円、減価償却費が9億34百万円、契約負債の増加が14億62百万円あったものの、売上債権の増加が24億44百万円、棚卸資産の増加が29億40百万円あったことによるものです。
投資活動の結果得られた資金は1億16百万円(前連結会計年度は3億92百万円の支出)となりました。これは主として、定期預金の払戻による収入が21億21百万円、保険積立金の払戻による収入が5億61百万円あったものの、定期預金の預入による支出が9億49百万円、有形固定資産の取得による支出が6億65百万円、保険積立金の積立による支出が6億11百万円あったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は11億95百万円(前連結会計年度は8億48百万円の支出)となりました。これは主として、長期借入れによる収入が20億円あったものの、配当金の支払が5億78百万円あったことによるものです。
当社グループ(当社及び当社の関係会社)の生産・販売品目は多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことが適当ではないと判断し、当社個別ベースの数字を示しております。
このため、生産及び受注の状況については、「① 財政状態及び経営成績の状況」における各セグメントの業績に関連づけて、当社個別ベースの数字で示しております。
また、販売の状況については「① 財政状態及び経営成績の状況」における各セグメントの業績に同じく関連づけて、従来どおり連結ベースの数字で示しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は、以下のとおりであります。
イ 経営成績の分析
(売上高・営業利益)
当連結会計年度のセグメントごとの売上高、営業利益の概況につきましては「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
(売上原価・売上総利益)
当連結会計年度は、リピート案件比率の増加等により、売上原価率は前連結会計年度の73.0%から67.8%(5.2ポイント減少)と改善し、当連結会計年度の売上総利益は99億29百万円(前期比24.7%増)となりました。
(販売費及び一般管理費)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、主に人員増加に伴う給与手当・賞与の増加により、57億64百万円(前期比18.4%増)となりました。
(営業外収益及び営業外費用)
営業外収益は、受取利息1億1百万円、受取配当金62百万円などがあり2億90百万円、営業外費用は、為替差損91百万円、支払利息32百万円などがあり1億74百万円となりました。この結果、営業外損益は1億15百万円の収益となり、経常利益は42億80百万円(前期比37.2%増)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
以上の要因により、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は27億44百万円(前期比23.4%増)となりました。
ロ 財政状態の分析
(資産)
流動資産は前連結会計年度末対比70億91百万円増加し、391億93百万円となりました。これは主として、仕掛品が23億41百万円、受取手形及び売掛金が19億35百万円、現金及び預金が11億86百万円増加したことによります。
固定資産は前連結会計年度末対比20億18百万円増加し、175億91百万円となりました。これは主として、投資有価証券が8億78百万円、建物及び構築物(純額)が5億82百万円、機械装置及び運搬具(純額)が1億70百万円増加したことによります。
これらの結果、資産合計は前連結会計年度末対比91億9百万円増加し、567億85百万円となりました。
(負債)
流動負債は前連結会計年度末対比30億50百万円増加し、135億23百万円となりました。これは主として、契約負債が16億64百万円、未払法人税等が10億4百万円増加したことによります。
固定負債は前連結会計年度末対比23億13百万円増加し、34億91百万円となりました。これは主として、長期借入金が15億84百万円、繰延税金負債が4億83百万円増加したことによります。
これらの結果、負債合計は前連結会計年度末対比53億64百万円増加し、170億14百万円となりました。
(純資産)
純資産合計は前連結会計年度末対比37億45百万円増加し、397億70百万円となりました。また、自己資本比率は69.4%(前連結会計年度末は74.9%)となりました。
(キャッシュ・フローの状況の分析)
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(資本の財源及び資金の流動性)
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料の仕入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資、子会社株式の取得等によるものであります。また、株主還元については、財務の健全性等に留意しつつ、配当政策に基づき実施してまいります。運転資金及び投資資金並びに株主還元等については、主として営業活動から得られるキャッシュ・フローを源泉とする内部資金を基本としております。
資金の流動性は、営業活動により得られた資金は5億25百万円となり、配当金の支払に5億78百万円を使用するなどした結果、現金及び現金同等物の増減額は24億79百万円の増加となり、145億3百万円の期末残高となりました。当社グループは、今後も営業活動によるキャッシュ・フローの確保に向けて努力してまいります。
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成においては、連結会計年度末日における資産・負債及び偶発債務の開示並びに連結会計年度における収益・費用の適正な計上を行うため、会計上の見積りや前提が必要となりますが、当社グループは、過去の実績や現状等を勘案し、最も合理的と判断される前提に基づき見積りを実施しております。ただし、実際の結果は、見積り特有の不確実性が存在するため、これらの見積りと異なる可能性があります。
前述の将来の業績に関する予想、計画、見通しなどは、現在入手可能な情報に基づき当社の経営者が合理的と判断したものであります。実際の業績はさまざまな要因の変化により、本資料の予想、計画、見通しとは大きく異なることがありうることをあらかじめご理解ください。そのような要因としては、主要市場の経済状況及び製品需要の変動、為替相場の変動及び国内外の各種規制並びに会計基準・慣行等の変更などが考えられます。
なお、ウクライナ情勢や中東情勢の影響等、不確実性が大きく将来事業計画等の見込数値に反映させることが難しい要素もありますが、期末時点で入手可能な情報を基に検証等を行っております。
重要な会計方針については、「第5 経理の状況」の「1 連結財務諸表等 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」及び「2 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (重要な会計方針)」に記載しております。
当社は、2024年3月1日開催の取締役会において、2024年4月1日を効力発生日として、株式会社アステクノス(静岡県静岡市)の株式を取得し子会社化することを決議し、2024年3月4日付けで株式譲渡契約を締結しております。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」の(重要な後発事象)をご参照ください。
モビリティ業界においては、HV/EVなど乗用車の電装化・安全化の進展が継続し、高度化の流れは商用車や二輪車、船舶、建設機械にも広がりを見せており、モータ・電子部品分野では、設備の高度化・高速化・高品質化が求められております。
これらのニーズに応えるためには、生産対象である製品の材料や要素まで踏み込んだ物理や化学の見識、研究が必要であり、それら要素技術のみならず、工法開発にかかる制御やソフトといった電子分野、その他、広範な領域にわたって、摺り合わせ技術が必要となります。
また、技術の進化が非常に早く、スピード感のある開発が求められ、今、必要な技術にとどまらず、将来必要になる技術の開発にも取り組むことで、グローバルニッチトップ企業として世界の持続的成長の原動力となることが会社と従業員のパーパスとなるよう努めてまいります。
(ワインディングシステム&メカトロニクス事業)
当連結会計年度の研究開発活動は、ワインディングシステム&メカトロニクス事業セグメントのみでその総額は
当連結会計年度の研究開発活動は、「ラインビルダー」として一貫生産ラインを提供するための技術開発を中心に、搬送システム、制御システム、機構、要素の開発などを進めました。