第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

(社是)

企業は永遠なり、企業は魅力なり

(経営理念)

私たちは、常に新しいサムシングを求め、現場視点でものづくりを発想し、チャレンジし続けることで進化していきます

(経営方針)

深い共感力と接着加工、素材加工、機械設計を駆使し、顧客の真のニーズを知り、応えるソリューションビジネスをグローバルに展開していきます

 

(2)ESG経営

当社グループは、「事業を通じた環境・社会への貢献(社会課題の解決)」と「事業過程における環境・社会への配慮(社会負荷の最小化)」の両面から重点課題を摘出し、ステークホルダーをはじめ地域社会の皆様にも喜んでいただける企業を目指して活動してまいります。

詳細は、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。

 

(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

新型コロナウイルス感染症に対する行動制限が徐々に緩和され需要と供給の両面で経済活動の正常化が進む一方、エネルギーや原材料価格の高騰、インフレの進展、金融引き締めの影響などにより景気の回復には鈍化の傾向が見られます。このような環境の中、当社グループはコア技術である「素材選定」「接着加工」「樹脂加工」「機械設計」を駆使して、以下の課題に対処してまいります。

① ソリューションビジネスモデルの深化

当社事業の原点である現場視点でのソリューション力を今以上に高め、更なる事業発展のため当社の強みである「独自コア技術の組み合わせにより顧客の問題を解決する」というソリューションビジネスモデルを強力に推進してまいります。併せて、ベルト製品の新たなニッチトップ分野の開拓、新規顧客の積極的な開拓、そのためのセールスエンジニアの育成強化を推進してまいります。

 

② 事業のグローバル展開

ベルト関連製品につき、アジアを中心に主力の自動車・鉄鋼業界向けの他、食品・衛生材関連の業界へも販路拡大を図るとともに、紡績向け製品や半導体ウエハ用研磨パッドの営業を強化してまいります。また、海外子会社への技術・管理支援、生産指導を強化いたします。

 

③ 成長事業・新規事業の強化

半導体ウエハ用研磨パッドの市場開拓を積極的に進めてまいります。また、社会課題の解決のテーマとして、有機溶剤を使用しない水系接着剤で生産するベルトの研究を推進します。

 

④ 生産効率の抜本的な向上

新工場立上げに伴う生産性向上を目指し、生産工程の大幅な見直しと製造DXの導入を実施し生産効率の大幅な改善を進めます。また、生産工程の機械化・自動化することにより効率的かつ柔軟な生産体制を構築してまいります。

 

⑤ 共感力の浸透・人材開発の強化

従業員エンゲージメントの一層の向上を図るため、企業理念の社内浸透、部下と上司の対話機会の拡充、教育体系の整備と研修受講の拡大などを図ってまいります。また、社員登用制度の見直し、シニアの活用等を通じて活力のある職場づくりを進めてまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティ基本方針

当社グループは、今後もさらにチャレンジし成長を続ける企業であり続けるために、お客様や社会が抱える課題への対応を重要な経営課題と位置づけ、特定したマテリアリティ(重要課題)を設定し、事業活動を通して持続可能な社会の形成の実現に努めます。

 

(2)具体的な取組み

①ガバナンス

当社グループは外部環境の変化によるリスク及び機会を適宜把握し、取締役会において重要課題(マテリアリティ)を特定し、対策の方向付けをしております。この取組みを関係各部と連携するために「サステナビリティ委員会」を設置しております。当委員会は、代表取締役社長を委員長とし年2回程度、目標の設定、施策の立案、進捗の評価等を行い、その内容が取締役会に報告されることで取締役会の監督が適正に図られる体制となっております。また、主に内部通報制度の運用や法令遵守の社内周知のために「コンプライアンス委員会」を設置しております。当委員会は社外の第三者機関や社内の監査役を窓口とすることで内部牽制機能を担保しております。

②戦略

当社グループは以下の3点を重点項目に取り上げ推進しております。

イ.環境配慮・脱炭素社会への貢献

当社グループは、気候変動を含む環境問題に対し、太陽光発電の設置などを積極的に取組んでまいりました。また、2025年度に完成予定の新工場では、生産ラインの効率化、DX化を強力に進め、ライン長の短縮や紙媒体の大幅な削減を図ることで生産性向上と環境負荷低減を両立させるため新製品の開発を進めてまいります。さらに、有機溶剤を使用しない水系接着剤の新製品の開発に注力しており、有機溶剤の使用量の削減とリサイクル製品への推進を行うことで廃棄物の削減につなげてまいります。

ロ.人的資本経営の推進

当社グループは、人材の価値を最大限に引き出すことを狙い、3つの施策に取り組んでおります。第一は、個人のキャリアパスを本人と上司が共有し、構想するために対話機会を制度化しました。更に、キャリア形成のために資格取得の支援、階層別研修の整備、計画的ジョブローテーションの実施などを推進しております。第二は、従業員エンゲージメントの向上のために人事評価・賃金制度の見直しを順次導入しております。第三は、女性や高齢者、子育て世代、外国人実習生なども活躍できる、多様で柔軟な働きやすい職場環境を目指しております。

ハ.コーポレートガバナンスの整備

当社は、社外役員を主要メンバーとする「報酬委員会」を設置し、取締役の報酬に係る取締役会の独立性・客観性の確保と説明責任の強化を目的に運営しております。また、年に一度、取締役会の実効性に関するアンケート調査を行い、課題の摘出と運営上の改善を実施しております。

 

(3)リスク管理

当社グループでは、サステナビリティ委員会、コンプライアンス委員会を設置しており、気象関連含むサステナビリティ全般のリスク管理をしております。

リスク管理のプロセスは、リスクの識別、評価を行い、委員会等で審議決定を行っております。また、重要な事項は、取締役会に報告しております。事業活動に関する一般的なリスク及び当社グループ特有のリスクなどを把握し、継続的にモニタリングできる体制を構築しております。

詳細は、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。

 

 

 

(4)指標及び目標

当社グループの環境活動は、サステナビリティ基本方針及び重要課題(マテリアリティ)を策定し、二酸化炭素排出量の削減を進めるため太陽光発電などの再生可能エネルギーの発電設備の活用、営業車のEV、PHV、HVへの乗り換えを推進し、2030年度に2013年度比でCO2排出量▲32%を目指します。また、廃棄物重量においては2030年度に、2023年度比で▲30%削減を目指します。さらに、2024年12月に完成予定の本社工場再開発計画では環境に配慮した設備導入、生産工程など環境に配慮した活動を推進していきます。

女性管理職比率については、社内における候補者の選考・教育を進め、女性管理職の登用を目指してまいります。また、男性の育児休業取得率においても、社内通知や対象者への取得推奨等の活動を取組んでいくことで、政府目標である「25年度に50%、30年度に85%」を目指して、環境整備をはじめとした取り組みを推進してまいります。

詳細は、2024年5月14日発表の「中期経営計画策定に関するお知らせ」をご参照ください。

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来の事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

① 国内市場環境の悪化

当社グループの製品は、国内市場への依存が高く、従って自動車、鉄鋼、食品、ディスプレイ業界に属する主要顧客の国内投資が低迷した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(対策)

事業ポートフォリオの見直し、国内での深耕営業・海外での販路拡大等を図ってまいります。

 

② 原材料価格の高騰

当社グループの主要原料である樹脂は、需給バランスや原産地の経済情勢等により市況価格が変動します。従って、材料歩留の改善及び販売価格への転嫁等によって吸収できない場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(対策)

市況変動を見据えた原料の備蓄、調達方法の改善、代替品の開発などを図ってまいります。

 

③ 特定仕入先への依存

当社グループが使用する原料には、仕入先が限定されるものがあります。特定の仕入先との間で安定供給の契約を締結しておりますが、不測の事態が起きた場合は供給が止まり状況によっては、当社グループの生産活動に支障が生じる可能性があります。

(対策)

該当品目につき、現時点では事業継続に必要な在庫量を確保しておりますが、引き続き調達先の開拓等を図ってまいります。

 

④ 余剰・長期滞留在庫

当社グループの製品は、顧客の個別仕様による受注生産が主体であり、かつ短納期のケースが多いため、原料は予め見込み発注しております。このため個別取引では需要の予測と実際の受注の間にズレが生じ、品種ごとに見ると余剰在庫、長期滞留在庫としてストックされ、評価損として処理せざるをえなくなる可能性があります。

(対策)

該当品目につき、現時点では適正な在庫水準でありますが、引き続き需要予測の精度向上と材料品種の共通化や発注の小ロット化を図ってまいります。

 

⑤ 海外カントリーリスク

当社グループは、タイ・韓国及び中国において生産・販売を行っております。これら地域において政治・経済・社会環境の変化など通常予期しえない事態が発生し、事業活動に支障が生じたり、事業業績に影響が出る可能性があります。

(対策)

法改正や政策変更など事業遂行にあたり懸念される情報については、現地駐在員や外部コンサルタント等を活用し、前広に収集・分析・対応するように努めております。

 

⑥ パンデミック・自然災害等の異常事態

新型コロナウイルス感染拡大のようなパンデミックによるロックダウン及び大規模な自然災害が想定を超える規模で発生した場合、当社グループの各拠点ないし拠点間の活動が停止・停滞し事業活動に支障が生じたり、事業業績に影響が出る可能性があります。

(対策)

工場や事務所の分散化、代替生産を想定したブリッジ体制の構築、有事に備えた防災・耐震対策、緊急時対応規程の整備などBCPの策定を図っております。

 

⑦ 製品の品質不良

当社グループが製造販売した製品の品質に重大な瑕疵や不備等が発生した場合には、当社ブランドの信頼失墜や損害賠償の発生により当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(対策)

材料受入検査、工程内検査、出荷検査など各段階で品質基準に基づく厳格なチェックを行うとともに、客先クレームがあれば毎月の品質会議の中で徹底した原因追求と再発防止策を実施しております。重大な品質問題の賠償責任を確実にカバーするため賠償責任保険を付保しております。

 

⑧ 技術の社外流出

当社グループが蓄積している技術ノウハウや生産技術を関係者が移籍・退職する際に社外へ持ち出した場合、当社グループの競争優位性や事業業績に影響を及ぼす可能性があります。

(対策)

生産技術に係る機密事項の外部流出を防ぐため、製造現場の機密管理の徹底や社員退職時の機密保持契約の締結など対策を講じております。

 

⑨ 特定販売先への依存

当社グループ売上に占めるAGCグループの割合は、当連結会計年度で20.7%を占めます。従来から共同開発や共同海外進出など、安定的な取引関係を継続していますが、今後の発注動向によっては当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。特に、AGCグループの海外生産戦略の変更 (縮小・移転・撤退)は、当社の海外子会社の業績に影響する可能性があります。

 

⑩ 流通株式の時価総額

当社の流通株式時価総額は、スタンダード市場上場維持基準 (10億円以上)に照らしてみた場合、現時点では基準を満たすものの、今後とも流動性を高めることが課題となっております。そのため事業拡大による企業価値の向上、積極的なIR活動による流通株式数の増大に取り組んでまいります。

 

⑪ 人材難・職場力低下

当社グループにとって、優秀な人材の継続的な確保・育成は重要課題の一つであります。今後の少子高齢化や労働市場の流動化を背景に必要な人材を確保できない場合、当社の持続的な成長に影響が出る可能性があります。

(対策)

人的資本経営を掲げ、個人のキャリア形成や組織の職場力向上が事業発展につながるよう、人事施策を推進、人材育成プログラムの拡充を図ってまいります。

 

⑫ システム障害

当社グループは、基幹システムを導入して業務運営を行っておりますが、不正アクセス、通信障害、大規模災害による停電など予期せぬトラブルが発生し復旧に時間を要した場合、事業継続に影響が出る可能性があります。

(対策)

緊急対応マニュアルの作成、データのバックアップ、システムのクラウド化を含め、不測の事態による事業停止からの早期復旧について対策を講じてまいります。

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症に対する行動制限が徐々に緩和され、需要と供給の両面で経済活動の正常化が進みました。一方で、エネルギーや原材料価格の高騰、インフレの進展、金融引き締めの影響などにより景気回復のペースは鈍化しました。わが国経済は、持ち直しの傾向を示すも、円安を背景とした物価高により消費が伸び悩みました。

このような状況の下、当社グループは、原材料価格高騰分の販売価格への一部転嫁、歩留向上による材料コスト増加の圧縮、生産性改善による労務コストの低減などによって収益向上を図ってまいりました。

以上の結果、当連結会計年度の売上高は過去最高値となる3,589百万円(前年同期比0.7%増)となりました。また、営業利益は317百万円(前年同期比13.7%減)、経常利益は345百万円(前年同期比9.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は185百万円(前年同期比27.5%減)となりました。各利益項目の減益は、主に上記の基盤整備に伴う費用増および旧工場棟の解体費用によるものであります。

 

各セグメントの経営成績は、次のとおりであります。

 

(総合接着・樹脂加工)

ベルト関連製品は、主に自動車・鉄鋼業界向けの需要が底堅く推移いたしました。研磨関連製品は、次世代半導体用の研磨パッドの売上が拡大しました。その一方で、ディスプレイ用の研磨部材においては需要回復の遅れに加え、得意先が在庫調整に入った影響で減少いたしました。地域別では、国内は研磨部材の減少により、前年同期比1.1%減となりました。

アジア地域では、中国の景気低迷の影響をもあり、前年同期比1.0%減となりました。

以上の結果、当セグメントの売上高は2,924百万円(前年同期比0.9%減)となりました。

 

(特殊設計機械)

特殊設計機械につきましては、国内全般の設備投資が依然として伸び悩むなか、当社グループは、主に食品向け加工機、メカニカルシールなどで新規顧客を積極的な開拓した結果、受注が増え売上高は664百万円(前年同期比8.0%増)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて383百万円減少し、834百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は、前年同期に比べ243百万円増加し、456百万円となりました。これは主に、棚卸資産の増減額の減少123百万円、仕入債務の増減額の増加82百万円によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果支出した資金は、前年同期に比べ622百万円増加し、765百万円となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出額の増加587百万円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果支出した資金は、前年同期に比べ0百万円減少し、96百万円となりました。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年4月 1日

至 2024年3月31日)

生産高(千円)

前年同期比(%)

総合接着・樹脂加工

2,719,196

98.9

特殊設計機械

517,228

93.1

合計

3,236,425

98.0

(注)金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

 

b.受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年4月 1日

至 2024年3月31日)

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

総合接着・樹脂加工

2,927,403

101.1

282,861

103.3

特殊設計機械

665,352

115.6

103,060

100.4

合計

3,592,755

103.5

385,922

102.5

(注)1.金額は販売価格によっております。

2.セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

c.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年4月 1日

至 2024年3月31日)

販売高(千円)

前年同期比(%)

総合接着・樹脂加工

2,924,812

99.1

特殊設計機械

664,898

108.0

合計

3,589,710

100.7

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2022年4月 1日

至 2023年3月31日)

当連結会計年度

(自 2023年4月 1日

至 2024年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

AGC株式会社

543,905

15.3

417,148

11.6

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりましては、資産、負債、収益及び費用に影響を与える見積り、判断及び仮定を必要としております。

当社グループは連結財務諸表作成の基礎となる見積り、判断及び仮定を過去の実績を参考に合理的と考えられる判断を行った上で計上しております。しかしながら、これらの見積り、判断及び仮定は不確実性を伴うため、実際の結果とは異なる場合があります。

なお、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

財政状態の分析

(資産)

資産につきましては、前連結会計年度末に比べて224百万円増加し、6,877百万円となりました。これは主に、現金及び預金が383百万円減少し、建物及び構築物が429百万円、土地が127百万円増加したことによるものであります。

 

(負債)

負債につきましては、前連結会計年度末に比べて40百万円増加し、1,150百万円となりました。これは主に、支払手形及び買掛金が35百万円増加したことによるものであります。

 

(純資産)

純資産につきましては、前連結会計年度末に比べて183百万円増加し、5,726百万円となりました。これは主に、利益剰余金が89百万円増加したことによるものであります。

 

 

経営成績の分析

(売上高)

当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べて23百万円増加し、3,589百万円となりました。

これは、ベルト関連製品は、主に自動車・鉄鋼業界向けの需要が底堅く推移し、研磨関連製品は、次世代半導体用の研磨パッドの売上が拡大した一方で、ディスプレイ用の研磨部材においては需要回復の遅れに加え、得意先が在庫調整に入った影響で減少したことによるものであります。

 

(営業利益)

当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度に比べて50百万円減少し、317百万円となりました。

これは、将来に向けた基盤整備として約8億円を投じて新工場棟の建替えや製造DXの導入を、当初工期より6ヵ月前倒しで実施した影響による費用増によるものであります。

 

(経常利益)

当連結会計年度の営業外収益につきましては、前連結会計年度に比べて14百万円増加し、37百万円となりました。これは主に、補助金収入が10百万円増加したことによるものであります。

営業外費用につきましては、前連結会計年度に比べて1百万円増加し、9百万円となりました。

この結果、当連結会計年度の経常利益は、前連結会計年度と比較して37百万円減少し、345百万円となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益及び1株当たり当期純利益金額)

当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べて70百万円減少し、185百万円となりました。これは主に、固定資産除却損が38百万円増加、減損損失が15百万円増加したことによるものであります。

この結果、1株当たり当期純利益金額は、前連結会計年度97円23銭から26円75銭減の70円48銭となりました。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性

資本政策につきましては、当社は未だ成長途上であることから、内部留保の充実を図るとともに、経営基盤の長期安定に向けた財務体質の強化及び事業の継続的な拡大発展を実現させることと、株主様への利益還元との最適なバランスを考慮し、実施していくこととしております。

また、当社における資金需要の主なものは、既存事業の持続的成長の投資資金や原材料費・労務費・外注費・販売費及び一般管理費等の事業に係る運転資金であります。

当社は、必要となった資金については、主として内部留保資金及び営業活動によるキャッシュ・フローによるものを活用しております。

 

④ 経営戦略の現状と見通し

企業を取り巻く環境は、経済活動の正常化への流れは継続したものの、地域紛争の長期化、各国の政策金利引き上げ、中国経済の先行き懸念などの要因が回復のペースを減速させました。日本国内においても原材料・エネルギー価格の高止まり、賃金上昇によるインフレの進展、円安の進行など、依然として不透明な状況が続いております。

当社グループとしましては、総合接着・樹脂加工では、日本国内においては、主に食品、自動車、建材業界向けベルトの販路拡大に取り組みます。また、次世代半導体ウエハ用の研磨パッド等の改良及び拡販を進めてまいります。併せて、新工場の建替えと製造DXの導入により生産効率を最大限効率化してまいります。

アジア地域では、中国及びタイを中心に、自動車・鉄鋼業界向けの拡販に加え、食品・衛生材関連の業界向けにもベルト関連製品の販路開拓を目指します。

特殊設計機械では、グループ内連携により既存顧客の深耕を図ります。なお引き続き、生産設備の拡充および生産工程の合理化に係る減価償却費負担の増加を計画に織り込んでおります。

 

 

5【経営上の重要な契約等】

会社名

相手先

契約の名称

契約締結日

契約内容

契約期間

当社

AGC株式会社

外注取引・物品取引基本契約書

2009年

11月30日

継続的外注取引・物品取引に関する基本的事項を定めたもの

自 2009年11月30日

至 2010年11月29日

(以降1年毎の自動更新)

 

 

 

6【研究開発活動】

当社グループは、独自の「素材選定技術」「接着技術」「樹脂加工技術」をコア技術としてお客様のニーズはもとより、環境・社会からの要請など多種様々な課題にワンストップで応えるためのソリューション型プロセス開発を行っております。

 

当連結会計年度においては、開発部門では主に研磨パッドの研究を推進しております。

今後、半導体の用途がAI、電動車両・充電器、パワーグリッド、ミニ/マイクロLED等へと拡大していく流れの中で、現在主流であるシリコンウエハから、より一層 高効率・高耐久なウエハに置き換わったパワー半導体の需要が伸びると想定しており、当社グループはこうした将来の需要にいち早く応えるため、難加工な素材にも対応しうる研磨パッドの開発を進めております。また現在は、主にファーストポリッシュ工程でご利用頂いている研磨パッドですが、今後は、ファイナルポリッシュ工程にも展開していくため、新たな開発を手掛けております。

 

技術部門では、既存のコンベアベルトに関して、低コスト化生産技術の開発、自然環境や従業員の健康に配慮した材料の採用、国内外で要請が高まっている脱VOC(揮発性有機化合物)技術の実用化に取り組んでおります。特に、環境に配慮した材料と工法の集大成としてサステナブルベルトの製品化を目指しております。

 

なお、当連結会計年度における研究開発費は22百万円で、すべて総合接着・樹脂加工事業に関するものであります。当社グループにおける研究開発活動は、顧客の多種多様なニーズに対応するため、当社技術部にて市場情報の収集から開発、試作及び生産のフォローアップを行っております。