当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 企業理念体系
①経営理念
当社グループの経営理念は以下のとおりであります。
テクノホライゾングループは、映像&IT及びロボティクス事業を核にさまざまな製品とサービスを提供し、グローバルな「人と社会」に貢献することを事業のミッションといたしております。当グループが対象とする市場分野は、「教育」、「安全・生活」、「医療」、「FA」など多様な分野にわたりますが、
・技術を活かすこと
・皆さまのお役に立つこと
・豊かな社会を実現すること
に関しては一貫してその姿勢を貫いております。そして今後さらに、「輝く地平線(ホライゾン)」をめざして着実に前進する所存でございます。
②経営方針
当社グループの経営方針は以下のとおりであります。
当社グループは、企業理念である『グローバルな「人と社会」に貢献する』の達成に向けて、核となる「映像&IT事業」及び「ロボティクス事業」、それを展開させるための「マーケティング力」及び「プロダクト開発」の強化に力を入れ、さらなる「グローバル化」に取り組んでまいります。
また、運営の基本原則として「コンプライアンスの徹底」「顧客満足に徹すること」「公正かつ透明な事業活動を行うこと」などを実行してまいります。
③社是
このような経営理念及び経営方針のもと、テクノホライゾングループは、
をグループ社是と定め、不確実性(VUCA:Volatility、Uncertainty、Complexity、Ambiguity)の時代にあっても、役員・従業員が一丸となって前進してまいります。
VUCAの時代の風が吹く大地を地平線に向かって進むが如く、グループのコア技術である「映像&IT」及び「ロボティクス」を活用し、さまざまな製品とサービスの提供を通じてカスタマーエクスペリエンスの向上を図り続け、持続可能な社会の実現に寄与してまいります。
(2) 経営戦略等
2010年に当社は、1921年に創業した榊商会を源流とする株式会社エルモ社※1と、その親会社で1975年設立した株式会社タイテック※2の2社の純粋持株会社(旧社名:テクノホライゾン・ホールディングス株式会社)として設立されました。それぞれの強みであるオプト(光学)とエレクトロニクス(電子)を掛け合わせて(オプトエレクトロニクス)新たな価値を生み出す、モノづくりのエキスパートを目指して邁進してまいりました。
その後、時代の変化とともに事業ポートフォリオを見直しつつ、企業体質の強化を図りながらオプトエレクトロニクスで事業を展開してまいりました。
そして、2020年10月の社名変更を経て2021年4月には、当社、株式会社エルモ社、株式会社タイテック、及びこの間に主要子会社となった株式会社中日諏訪オプト電子※3の4社で合併・経営統合し、カンパニー制を導入(エルモカンパニー、ファインフィットデザインカンパニー、タイテックカンパニー)しました。この経営統合を機会に、コア技術を「映像&IT」と「ロボティクス」と再定義して事業拡大に注力しています。
※1:株式会社エルモ社(1949年設立):
1921年に創業し、写真用引伸機の製造販売や写真機修理を展開、その後1927年に国産初の16ミリ映写機等を製造・販売した「榊商会」が源流。書画カメラ(実物投影機)、電子黒板などを販売し、近年は経営支援ソリューションなどのソフトの開発・製造・販売にも注力。
※2:株式会社タイテック(1975年設立):
射出成形品の取出機を制御する装置、工作機械用CNC(コンピュータ数値制御)装置やロボットコントローラなどのFA(Factory Automation)関連機器を開発・製造・販売。
※3:株式会社中日諏訪オプト電子(2009年設立、2016年に社名変更):
譲受けたレンズ、光学ユニットや特殊光学機器のほか、業務用車載機器、医療機器、その他の精密光学部品を開発・製造・販売。
この間、事業領域の拡大と企業成長に向けた機会を創造し、経営効率を高め、企業価値の最大化を目指して積極的な事業継承(事業譲受やM&A)を実行しています。2017年以降、本年3月末時点において、2つの事業の譲受けと海外子会社2グループを含む16社・グループが当社グループとして仲間入りし、相互補完しながらグループ一体となって社会課題の解決に資する製品・サービスの提供をしています。
急激な社会変革の時代を迎えるところ、2030年の人間中心の超スマート社会(Society 5.0)や、さらにその先へと持続する社会の実現に向けて、当社グループも貢献し、社会とともに持続的に発展していく所存です。この大きな変化へ的確に対応するため、当社を取り巻く事業環境や事業に関連するメガトレンドを常に注視しながらその時の最適解を検討し、グループ全体で組織体制を柔軟に変化させています。その一環として、本年4月から指揮命令系統を明確にし、意思伝達系統を簡素化することで迅速な業務執行の促進を図るため、事業本部制と執行役員制度を廃止しております。著しい経営環境の変化に対応し、今後も当社グループの持続的発展に注力してまいります。
これまで当社グループは、重点4市場に対して7つの領域に製品・サービスを展開してまいりました。少子高齢化/労働人口減少などの社会課題や急速に進展するデジタル化へ的確に対応するため、7つの領域をより最適と考える6つの領域と、全体をカバーする1つの領域に再定義しております。
そして、当社グループは持続可能な社会を実現するために、2023年度から2025年度の3か年を「Techno Horizon Unicity」をキーワードに、対象領域に横たわるさまざまな課題を解決すべく、技術力に磨きをかけ、グループ力を結集し、社会が必要とする多種多様な製品・サービスを開発・提供してまいります。そのことにより当社グループも企業力を向上させ、社会と共に成長していきます。
当社グループは、企業理念『グローバルな「人と社会」に貢献する』のもと、引き続きコア技術と強いマーケティング力をもってグローバルな事業展開を推進してまいります。
グループ内シナジーを発揮するために、コア技術の「映像&IT」及び「ロボティクス」を活用した共同研究開発活動を精力的に進めることで企業や人々に役立つ商品・サービスを積極的に展開し、「ベンチャー企業の機動力」と「大手企業の力強さ」を兼ね備えた他社にはできないことに取り組む企業体とすることで、事業ミッションを実現してまいります。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
企業成長及び企業価値を測る指標として当社が重視している経営指標は、会社の本業の収益力を示す代表的な指標である売上高営業利益率と株主資本の効率化を測る代表的な指標である自己資本当期純利益率とし、その向上に努めております。
(4) 経営環境
当社グループを取り巻く経営環境は、世界的な半導体不足や為替変動、原材料価格の高騰のほか、更にはウクライナ情勢の長期化による世界的なサプライチェーンの混乱が予想されるなど、不確実性の高まりによりますます厳しくなっていくものと予想されます。このような状況に適切に対応するため、当社はグループ企業を含めた積極的な組織最適化などを実施しております。また、更なる事業強化を通じて経営体質を強化するために積極的なM&Aを実施しております。
「映像&IT」及び「ロボティクス」を活用して「教育」「安全・生活」「医療」「FA」の重点4市場に商品・サービスを展開しつつ、新たな市場価値創造をすることで事業を発展させ、グローバルな「人と社会」に貢献してまいります。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の対処すべき課題
当社グループの技術領域である「映像&IT」と「ロボティクス」は技術革新のスピードが速く、特に近年では変化の激しさが増しています。この変化の激しい時代であるからこそ、デジタル化/自動化/省人化に対応する製品やサービスを提供する当社グループにとってビジネスのチャンスは広がっていると考えております。コア技術である「映像&IT」及び「ロボティクス」を磨き、カスタマーエクスペリエンスを実現してまいります。
具体的には、以下に掲げる経営課題に取り組んでまいります。
① 事業の強化及び買収先企業のシナジーの追求
1) 「教育」「安全・生活」「医療」「FA」を重点市場とし、「映像&IT」及び「ロボティクス」を活用して企業や人々に役立つ商品・サービスを積極的に展開してまいります。
2) 映像&IT事業では、ICT(Information and Communication Technology)教育機器への関心と、企業におけるDX化需要の高まりなどに対し、スピーディーに対応できるように、グローバルなマーケティング力の強化と商品の開発に力を入れてまいります。
ロボティクス事業では、人手不足解消や生産性向上のためにロボット機器や工場改善ソリューション商品を強化し、より現場に密着したサービスをグローバルに展開してまいります。
3) 当社グループが持続的な成長を遂げるためにM&Aを進めてまいりました。これにより短期間で新しい商圏に参入でき、またサービス・商品の提供が可能となり、より充実したお客様目線の活動ができる様になります。今後ともグループ入りした企業の強みを伸ばし、グループ内でのシナジー効果の追求に努めてまいります。
4) CSRに積極的に取り組み、未来を創造する企業として、従業員・お客様、社会の求める満足感に充分応えられるよう、コンプライアンスの徹底、ステークホルダーへの積極的な情報開示、環境への配慮など、具体的に実践してまいります。
② 最適な生産体制及びDX化の推進
1) 当社グループの生産体制は、国内及び中国で生産を行う一方、アジア地域の協力工場も活用しております。国内工場と海外工場との役割分担を適宜見直し、グループ全体の生産体制の効率化を図ります。また、昨今の半導体の供給不足の深刻化や電子部品の価格上昇に対応すべく、購買部門の強化を図ります。
2) 社内インフラを強化してDX化(経費精算、ERP、人材マネジメント、予実管理等)を推進することで、仕事の効率化とともに働き方を改革します。
③ グローバル化の加速
当社グループは、早くからアメリカ、ヨーロッパ、中国に現地法人を設立し、海外販売に注力してまいりました。これに加えて成長市揚であるASEAN全域に拠点を有し、シンガポールに本社を置くESCO Pte. Ltd.及びPacific Tech Pte. Ltd.がグループ入りしたことで、欧米のみならずASEAN地域での事業拡大に努め、グローバル化を加速してまいります。
④ 人材の確保と育成
当社グループは、事業の急速な拡大に伴い、従業員の増加が見込まれます。開発、製造、営業、管理等の各部門において組織力や現場力の強化が必要であり、人材の確保育成が急務です。研修体制を充実させるとともに、グループ入りした企業の人材を積極的に登用しています。また外部の専門家を招聘してプロジェクトを発足させ、ダイバーシティ&インクルージョンを推進してまいります。
⑤ コーポレート・ガバナンス体制の充実
1) 当社グループは、コーポレート・ガバナンス体制を強化しております。見識の高い人材を社外取締役や顧問として積極的に登用し、取締役会の実効性や透明性を高めてまいります。
2) 企業の持続的な成長には、適切なリスクへの対応が必要です。当社では「リスク管理委員会」を設置して、当社グループの経営に関するリスクを網羅的に洗い出し、定量的なリスク評価及びその対応をしています。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであり、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
なお、当社は2024年4月から業務執行体制を強化した新しい組織体制に移行しており、「(1)ESG関連」の項目は2024年4月以降の組織体制に基づき記載しております。
(1) ESG関連
テクノホライゾングループは、グループのコア技術である「映像&IT」及び「ロボティクス」を活用して、さまざまな製品とサービスを提供し、『グローバルな「人と社会」に貢献する』ことを事業ミッションとしております。
この事業ミッションを実現することで社会と当社グループのサステナビリティに貢献していく所存です。そのためには、長期視点に基づいた当社グループの社会的な存在意義、重要課題の特定、価値創造ストーリーの策定が必要であり、その対応が今後の課題であると認識しております。
①ガバナンス
当社は、社会から信頼され持続的に成長していく企業として、経営の透明性・健全性及びステークホルダーの利益を重視し、かつ長期的・継続的に企業価値を高めることが極めて重要な課題であると認識しております。
重要課題等は取締役会に報告され、取締役及び監査役が有する知見に基づき、自由闊達な意見交換が行われ、業務執行に反映すべき事項は執行サイドへとフィードバックされます。
また、当社グループは、事業領域の拡大と企業成長に向けた機会を創造するとともに、経営効率を高め、企業価値の最大化を目指して積極的な事業継承(事業譲受やM&A)を実行しています。取締役会には、担当取締役から継承したい事業内容や当社が事業を継承する意義、事業シナジーなどが事前共有され、取締役及び監査役により自由闊達な意見交換が行われ、最終的に実施の判断をしています。事業継承後も定期報告などにより、PMIやシナジー創出などの進捗状況を監督しています。
当社はリスク管理委員会(委員長:代表取締役社長)と、その下に3つの分科会(委員長:本部長等)を設置し、四半期に一度以上開催し(旧組織体制下における当事業年度の開催回数は7回)、定期的にモニタリングすることとしています。その活動内容は取締役会に報告し、議論しております。
②戦略
当社グループは、気候変動リスクへの対応を経営における重要な課題と認識しております。
環境規制の強化や炭素税の導入、取引先からの脱炭素要求、ユーザーの消費行動の変化などの移行リスクへの対応や、本邦のみならず地球規模での自然災害や平均気温の上昇といった物理リスクへの具体的な貢献が必要となってきます。当該リスクへの対応は、中長期的には当社グループの製品設計の見直しによる環境負荷の少ない製品やサービスの提供、製品ライフサイクルの延長、技術革新、カスタマーサクセスを実現する好機であるとも認識しています。この機会を的確に捉え、カーボンニュートラルの実現と企業価値向上に努めてまいります。
③リスク管理
当社及びグループ企業のリスクの評価・リスクへの対応等、リスクマネジメント体制の充実を図ることを目的として、当社及びグループ企業のリスク管理全体を統括する経営の諮問委員会としてリスク管理委員会と、その下に3つの分科会を当社に設置しております。
本有価証券報告書の「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載する項目につき、評価者(本部長以上、グループ企業:代表取締役社長)がリスクの発生可能性や発生した場合の当社グループ業績への影響度について5段階評価し、当社グループ全体のリスクの評価と対応方針、進捗状況等について定期的にモニタリングを行っています。気候変動のリスクも、当該リスク管理委員会で管理しています。
影響度が大きなリスクと機会は、各本部が対応方針等を検討・実行し、戦略会議で管理がなされています。
④指標及び目標
気温上昇シナリオに基づく気候変動リスクへの長期的かつ具体的な指標及び目標の設定が課題であると認識しております。当社は、ISO14001に基づく製造時の廃材リサイクルや省エネ設備投資などを通じて、CO2排出量の削減に取り組んでいます。また、Scope1,2に基づく温室効果ガス(GHG)排出量のモニタリングを実施しております。長期的な視点に基づき、製品製造時のGHG排出量の抑制や、環境負荷の少ない製品やサービスの提供などバリューチェーン全体で環境に配慮した、実効性のある対策を検討していきます。
また顧客のCO2削減にも貢献していきます。
当社は、「顧客現場の最適化」の実現を掲げており、長年にわたり数多くのサーボモーターの開発受託を手掛けてきた経験とノウハウを活かし、自動化ロボットの動きを最適化する支援を行っております。これにより顧客の経済的損失を低減し、間接的にCO2排出量の削減(CO2削減貢献量の増大)に貢献しています。自動化ロボットや協働ロボット等の需要は今後も高まることが予想されることから、このような機会を的確にとらえ、顧客現場の最適化に貢献し、CO2排出貢献量の増大を実現してまいります。
(2) 人的資本
「人」は会社にとっての最大の資産です。多様な人財が集い、社員一人ひとりが持つ無限の可能性を引き出し、大きな活力を生み出すとともに、その活力を組織として最大限に生かす人的資本経営を進めています。仕事の達成や社会への貢献を通じて、個人と企業がともに成長する環境と風土づくりを推進しています。
なお、当社グループは、当社を除き規模の小さな企業から形成されていることから、本項目の「②戦略」と「④指標及び目標」は、事業主体である当社に関する事項を記載しております。
①ガバナンス
経営トップと常務執行役員および人事部門が直接具体的な課題や施策(重要な組織の新設・改編、主要ポジションの任免、人員・人件費に関する計画等)に関する検討と決裁、進捗状況の共有を行っています。
②戦略
性別、年齢、人種を問わず、社員一人ひとりが持つ無限の可能性を引き出し、心身ともに健全で、成長できる環境構築を進めています。
1)ダイバーシティの推進
・意思決定層の多様性の実現
企業の持続的成長には多様な考え方を取り入れることが重要であると認識しており、その施策の一つとして、意思決定層の多様性の実現のために女性管理職を増やし、女性がチャレンジできる環境づくりに取り組みます。
・キャリアアップ支援
管理職を対象に労務管理やマネジメントなど管理監督者として必要なスキルの習得を目的とした研修などの取り組みを進めています。
・障がい者雇用推進
自分らしさで働ける職場・働きやすい職場づくりを進め、法的雇用率以上の雇用率を目指しています。
・新卒の継続採用
将来の幹部候補として新卒採用を継続し、若手からの育成を目指します。後輩の採用が既存社員のモチベーションと指導力のアップの好循環を生み出す文化を大切にすることにより組織力全体の向上を図ります。
2)健全な成長の推進
・心身ともに健全の実現
社員一人ひとりが心身ともに、安全で生き生きと働ける環境づくりを行います。
③リスク管理
会社の事業活動において、多様な人財が集い、一人ひとりが持てる能力と個性を最大限発揮できることが重要です。人材の流動性が高まる中、採用競争力が低下して計画通りの人材獲得が進まなくなること、健康障害により組織の総合力が低下することがリスクと考えています。社員に成長と健康の機会を提供し、活躍しやすい環境を整えることで、リスク低減に努めています。
④指標及び目標
上記「②戦略」の各項目に対応する指標及び目標は以下のとおりです。
1)ダイバーシティの推進
・意思決定層の多様性の実現
女性の課長以下の役職者(課長・係長・主務)比率の向上※(2021年10月時点:12.0%→2024年3月時点:15.9%)
※「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(女性活躍推進法)の規定に基づき、当社が公表している行動計画に定めた指標
若手労働者を対象とした仕事と家庭の両立を前提としたキャリアイメージ形成に向けた取組みとして研修
及び説明会の実施(2025年度目標 実施回数:1回以上、参加率95%以上)
・キャリアアップ支援:
管理職研修等の実施
・障がい者雇用推進
障がい者雇用率(2021年10月時点:1.8%→2024年3月時点:2.6%→以後毎年目標:2.7%)
・新卒の継続採用
新卒採用人数(2021年度実績:16名→2024年度実績:6名→2025年度目標:31名)
2)健全な成長の推進
・心身ともに健康の実現
健康診断受診率(100.0%) 2023年度実績 100.0%
健康診断再検査受診率(90.0%以上) 2023年度実績 60.0%
ストレスチェック受診率(100.0%) 2023年度実績 89.1%
高ストレス者率(10.0%未満) 2023年度実績 14.1%
休業災害率(0%) 2023年度実績 0%
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 市場環境の変化
当社グループは「教育」「安全・生活」「医療」「FA」の4つの市場に対し、技術基盤である「映像&IT」と「ロボティクス」により、持続可能で豊かな社会を実現するための仕組みやソリューションを提供することで事業の拡大をはかっておりますが、新規並びに拡大化の戦略におきましては、市場の需要動向、競合他社の戦略・施策が大きく影響いたします。さらに異業種企業が市場参入することにより新しい概念に基づいた技術原理や差別化技術等によって、より優れた商品を投入してくる可能性も否定することは出来ません。こうした場合、当社グループの業績に大きな影響を与える可能性があります。
(2) 特定事業・製品並びに受託先企業の業績への依存
映像&IT事業においては、特に市場占有率の高い書画カメラや光学ユニットにおいて、当該市場全体の需要動向並びに競合他社の戦略・施策が当社グループの業績に大きく影響を及ぼす可能性があります。
また、ロボティクス事業では開発受託先企業が多岐にわたっております。当社グループの業績は、顧客企業の業績不振、予期しない契約打ち切り、方針の変化、値下げ要請など、顧客企業の業績や当社グループにおいて管理できない要因により大きな影響を受けます。
(3) 業績変動要因
映像&IT事業の主要製品のうち書画カメラの売上は、主たる販売先である文教市場の予算執行時期にあたる夏休みや年度末に偏る傾向があります。また、車載関連の売上は、製品ライフサイクルや当社製品採用の有無により当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
ロボティクス事業では、主に工作機械業界及びエレクトロニクス業界の企業を顧客とし、事業を展開しております。工作機械業界及びエレクトロニクス業界の需要縮小は、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(4) 研究開発活動及び人材育成
当社グループが持続的成長を実現するには常に新しい差別化技術を開発し、その技術に基づく製品を市場投入して行かねばなりませんが、研究開発の成果は不確実なものであります。また、技術スキルの高い人材の確保と育成ができなかった場合には、当社グループの業績並びに成長に対し大きな影響を及ぼす可能性があります。
(5) 新製品の開発
新製品の開発が予定どおりに進捗しない場合や現行製品から新製品への移行が適切に行えない場合には、競争力の低下により当社グループの業績並びに成長に対し大きな影響を及ぼす可能性があります。
(6) 原材料の調達
当社グループは、半導体含め多数の外部取引先から原材料、部品等を調達しておりますが、重要部品が何らかの理由により当社グループが計画していた数量や価格で入手できず、予定していた数量の生産が出来ない場合等には、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(7) 競争の激化
国内外のメーカーとの価格競争の激化により、販売価格が著しく下落する可能性があります。また、高シェア商品でも将来も優位に立てる保証はありません。他社新製品の開発により販売数量が減少するなど、当社グループの業績に大きな影響を及ぼすおそれがあります。
(8) 製品の品質
当社は、品質マネジメントシステム(ISO9001)、環境マネジメントシステム(ISO14001)並びに医療機器における品質マネジメントシステム(ISO13485)を取得して、品質面で万全を期すよう体制を整えておりますが、欠陥が発生しない保証はありません。製造物責任賠償保険に加入しておりますが、製造物責任賠償につながるような製品の欠陥は、そのコストや当社グループに対する評価を著しく低下させ、売上高の減少などにより当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(9) 第三者所有の知的財産権への抵触
当社グループは、新製品開発や生産・販売活動において当社グループ所有もしくは適法に使用許諾を受けた知的財産権を使用しております。しかしながら、認識の範囲外で第三者より知的財産権の侵害を主張される可能性は否定できず、他社から特許権侵害訴訟を受け、当社グループの製品が先行特許を侵害する判決となった場合は、開発断念や発売中止、販売の差し止め・損害賠償の責任を負うことがあります。その場合に、当社グループの業績に大きな影響を及ぼすおそれがあります。
(10)海外での事業展開
当社グループは、欧米及びASEAN諸国において現地法人並びに販社を通じて海外で販売活動を行っております。また製品の製造を中国の現地法人で行っているほか、多くの部品の仕入調達を主にアジア諸国に依存しております。こうした海外での事業展開においては、予期しない法律・規制の変更、政治体制・経済環境の変動、テロ・戦争・感染症等による社会の混乱、水・電力や通信網等インフラストラクチャーの障害、人材の採用・確保の難しさ等のリスクにより事業活動に障害が生じる可能性があります。
(11)為替相場の変動
項目(10)に示したとおり、当社グループは海外においても事業展開を実施しており、外国為替レートの大きな変動は、当社グループの外貨建てで取引されている売上高並びに仕入高に影響し、結果として当社グループの業績に大きな影響を与えます。
(12)環境規制
当社グループは、廃棄物削減、地球温暖化や大気汚染防止、有害物質の処理等に関して様々な環境規制の適用を受けております。当社グループは、環境整備活動を重要な方針の一つとして掲げ、工場の環境整備を進めております。しかしながら、事故や自然災害により不測の環境汚染が生じる場合、当社グループが現在稼働させている工場用地等において汚染物質が発見された場合、新たな環境規制の施行によって多額の費用が発生した場合、環境規制を遵守できない場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。
(13)企業買収
当社グループは成長戦略の一つとして、企業買収を積極的に行っております。その結果、のれん及び無形固定資産が増加しております。のれん及び無形固定資産につきましては、将来の収益力が低下した等により減損が必要になった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループ会社において経営環境の著しい悪化や収益状況の悪化等が将来にわたって見込まれる場合、当社が保有する関係会社株式の評価に影響を及ぼすなど、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(14)繰延税金資産
当社グループは、事業計画より見積られた将来の課税所得に基づき、繰延税金資産を計上しております。課税所得が生じる時期および金額は、将来の経済状況の変動によって影響を受ける可能性があり、実際の発生時期および金額が見積りと異なった場合には、繰延税金資産の金額が変動し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(15)自然災害、および感染症蔓延のリスク
大規模地震の発生や、気候変動などに起因する自然災害の発生、感染症の蔓延などにより、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
業績等の概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりであります。
1) 財政状態
当連結会計年度末における総資産は36,092百万円となり、前連結会計年度末に比べ810百万円減少いたしました。
流動資産は26,360百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,025百万円減少いたしました。これは主に仕掛品が113百万円増加した一方で、現金及び預金が492百万円、受取手形及び売掛金が271百万円、電子記録債権が58百万円、商品及び製品が593百万円、原材料及び貯蔵品が228百万円減少したことによるものであります。固定資産は9,731百万円となり、前連結会計年度末に比べ214百万円増加いたしました。これは主に無形固定資産が255百万円、投資その他の資産が136百万円減少した一方で、有形固定資産が607百万円増加したことによるものであります。
流動負債は21,127百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,631百万円減少いたしました。これは主に支払手形及び買掛金が2,305百万円、短期借入金が414百万円減少したことによるものであります。固定負債は5,151百万円となり、前連結会計年度末に比べ282百万円減少いたしました。これは主に長期借入金が486百万円減少したことによるものであります。
純資産合計は9,813百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,102百万円増加いたしました。これは主に利益剰余金が943百万円、為替換算調整勘定が179百万円増加したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は27.2%(前連結会計年度末は23.6%)となりました。
2) 経営成績
当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症が指定感染症5類に移行したことでコロナ禍からの脱却が進みました。また訪日外国人の増加によりインバウンド需要が回復する等、経済活動の正常化が加速しました。一方で、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化により資源エネルギー高や円安の進行、世界的なインフレは続いており先行き不透明な状況が続いています。
このような経済状況のもと、当社グループは、「教育」「安全・生活」「医療」「FA」の重点4市場に対し、コア技術である「映像&IT」と「ロボティクス」により、持続可能で豊かな社会を実現するための仕組みやソリューションを提供しています。また、引き続き注力分野の事業強化を目的としたM&Aや、事業・組織の最適化を推進することで、企業価値の最大化を推進しております。
当社グループの業績は、シンガポール2社(オフィス用AVシステムを販売するESCO Pte. Ltd.及びサイバーセキュリティ関連商社Pacific Tech Pte. Ltd.)の売上高が大幅に伸長しました。また、新たに連結範囲に含まれた子会社が貢献したこと等により、売上高は48,623百万円(前期比11.1%増)と大幅な増収となりました。営業利益では、半導体等の電子部材入手難の緩和から工場の生産性が改善し、経費の削減も進んだことにより1,036百万円(前期は営業損失530百万円)となりました。さらに、為替環境が当初の想定よりも大きく円安に推移したことで為替差益を532百万円計上しました。その結果、経常利益は1,709百万円(前期は経常損失405百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,001百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失1,553百万円)となりました。
セグメントごとの業績は、次のとおりであります。
(映像&IT事業)
教育市場向けの書画カメラや電子黒板の販売は、国内やアメリカでの需要が想定より弱く計画を下回りました。一方で、業務用車載機器(ドライブレコーダー、デジタルタコグラフ)において電子部品の供給不足が穏やかに解消し出荷が進みました。また、シンガポールの子会社2社の販売が堅調に推移し売上高は大幅に伸長しました。
これらの結果、映像&IT事業における当連結会計年度の売上高は39,909百万円(前期比14.9%増)、営業利益は615百万円(前期は営業損失585百万円)となりました。
(ロボティクス事業)
FA関連機器や子会社のはんだ付けロボットなどの工場自動化システムの販売は堅調に推移しました。一方で中国市場では、景気後退から工場の設備投資市況悪化の影響を受け計画を下回りました。
これらの結果、ロボティクス事業における当連結会計年度の売上高は8,714百万円(前期比3.6%減)、営業利益は423百万円(前期比764.7%増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ492百万円減少し、3,191百万円となりました。当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は1,368百万円(前年同期は営業活動により支出した資金1,271百万円)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益1,402百万円、減価償却費916百万円、減損損失71百万円、のれん償却額523百万円、為替差益304百万円、売上債権の減少額1,801百万円、棚卸資産の減少額1,677百万円、前払費用の増加額322百万円、仕入債務の減少額3,420百万円、法人税等の支払額551百万円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により支出した資金は835百万円(前年同期比3.4%減)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出609百万円、無形固定資産の取得による支出9百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出257百万円、関係会社株式の取得による支出55百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により支出した資金は1,505百万円(前年同期は財務活動により得られた資金1,524百万円)となりました。これは主に、短期借入金の純減少額236百万円、長期借入れによる収入1,900百万円、長期借入金の返済による支出2,779百万円、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出127百万円等によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
1) 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
生産高(千円) |
前年同期比(%) |
映像&IT事業 |
8,735,625 |
+33.0 |
ロボティクス事業 |
8,381,883 |
△2.6 |
合計 |
17,117,508 |
+12.8 |
(注)金額は販売価格によっております。
2) 受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
映像&IT事業 |
11,939,302 |
△23.5 |
4,411,163 |
△18.6 |
ロボティクス事業 |
7,086,439 |
△34.0 |
2,983,634 |
△28.3 |
合計 |
19,025,742 |
△27.8 |
7,394,798 |
△22.8 |
(注)1.金額は販売価格によっております。
2.映像&IT事業のうち、光学ユニット等の精密光学部品については受注生産を行っております。
3) 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
販売高(千円) |
前年同期比(%) |
映像&IT事業 |
39,909,269 |
+14.9 |
ロボティクス事業 |
8,714,455 |
△3.6 |
合計 |
48,623,725 |
+11.1 |
(注)最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績は、当該販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満であるため記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成にあたっては、主として連結会計年度末現在の判断に基づく見積りによるものがあります。
当社グループは、特に以下の重要な会計方針が連結財務諸表作成において行われる重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。
詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
1) 棚卸資産
当社グループは、棚卸資産の評価基準について原価法(収益性の低下による簿価切下げの方法)を採用しており、個別に簿価の切下げを行うほか、入庫から一定期間を経過した在庫について、期間の経過に応じ規則的に簿価の切下げを行うなど、状況に応じ適時に棚卸資産の評価減を実施しております。ただし、他社新製品の開発により当社グループの販売数量が減少した場合や、当社グループにおいて管理できない要因など、見積り及びその基礎となる仮定とは異なる結果が生じた場合には、追加の評価減が必要となる可能性があります。
2) のれん
当社グループは、新たな成長戦略の一つとして、企業買収を行っています。企業買収により発生したのれんは、投資効果の発現する期間を個別に見積り均等償却しておりますが、投資先の将来の収益力の低下などが発生した場合には、のれんの減損処理が必要となる可能性があります。
3) 繰延税金資産
当社グループは、事業計画に基づき将来の課税所得を見積ったうえで、繰延税金資産の回収可能性を判断しております。
4) 関係会社株式
当社は、関係会社株式について、実質価額が取得原価に比べて50%以上低下した場合には、事業計画をもとに回復可能性を検討しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は次のとおりであります。
1) 経営成績の状況
当社グループは、「教育」「安全・生活」「医療」「FA」分野を重点市場とし、映像&IT事業とロボティクス事業をグローバルに展開しております。
新型コロナウイルス感染症が指定感染症5類に移行したことでコロナ禍からの脱却が進みました。また訪日外国人の増加によりインバウンド需要が回復する等、経済活動の正常化が加速しました。一方で、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化による資源・エネルギー高や円安進行、世界的なインフレなどにより、先行き不透明な状況が続いています。
このような経済状況のもと、当社グループは、「教育」「安全・生活」「医療」「FA」の重点4市場に対し、コア技術である「映像&IT」と「ロボティクス」により、持続可能で豊かな社会を実現するための仕組みやソリューションを提供しています。また、引き続き注力分野の事業強化を目的としたM&Aや、事業・組織の最適化を推進することで、企業価値の最大化に取り組んでおります。
教育市場では、主力である書画カメラと電子黒板を中心とした教育のデジタル化を支援するICT機器を提供しております。今後本格化する誰もが・いつでも・どこでも・誰とでも学べる「教育のデジタル化」社会の実現に向けて、販売したプロダクトと連動するデジタルコンテンツやDXソリューション等の提供に向けた施策を講じています。また、お客様の声を反映してプロダクトをアップデートし、経営支援ソフト等と組み合わせてビジネス向けに展開することで新たな市場の開拓を進めております。このような戦略を進めるために当社は注力分野の事業を強化するためにM&Aを積極的に推進しています。このグループ経営戦略の効果が発揮されつつあり、シンガポールの子会社2社(アジア地域でのサイバーセキュリティ商品やオフィスなどのAVシステム)の販売が堅調に推移するなど、当該事業全体の売上高は伸長しました。
安全・生活市場では、業務用車載器等に加え、市街地、企業内、家庭、工場現場といった様々なシチュエーションで活用される監視カメラや、決済端末の開発を行っています。機器で取得したデータをAI解析し、新たな価値を提供するシステムの開発等も進めております。
医療市場では、超高齢化社会の到来により介護人口の増加や対応する人手不足といった介護業界が抱える課題に対し、当社のセンシング技術を利用して開発した睡眠見守りシステムや電子黒板・DXソリューションと、当該業界の課題解決に資する他社の製品と連携して当該課題の解決に向けたトータルソリューションの展開を行っております。また、当社グループがこれまで蓄積してきた画像解析のノウハウを活用して、高度化する医療の課題解決のため、大学法人との共同研究を継続して実施しております。
FA市場では、既存顧客への新たな提案や新規顧客を開拓すべく国内外の展示会へ出展して露出を増やすとともに、当社のマシンビジョン技術とグループ企業の画像解析技術、AIなどを組み合わせた新たなコンセプトの製品開発を進めています。中国現地法人では、引き続き現地企業との取引拡大に注力しております。
このように、重点4市場に対する施策を実行したことにより売上高が大幅に伸長しました。売上高の伸長や経費の削減が進んだことに加え、為替環境が想定以上に円安に推移したことが利益面を押上げました。
この結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高は48,623百万円、営業利益は1,036百万円、経常利益は1,709百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は1,001百万円となりました。経営上の目標の指標である売上高営業利益率は2.1%、自己資本当期純利益率は10.8%となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(映像&IT事業)
教育市場では、教育市場向けの書画カメラや電子黒板の販売は、国内市場や欧米市場で競争が激化する中、需要は想定より弱く計画を下回りました。一方で、シンガポールの子会社2社(アジア地域でのサイバーセキュリティ製品の卸売及びオフィス機器やAVシステムの販売)の売上が堅調に推移し、当該事業全体の売上高は伸長しました。新製品の投入やソフトウェア販売を強化し、新規及び更新需要の掘り起こしに努め収益力の強化を図ります。
営業損益につきましては、競争激化に伴い利幅が縮小したほか、物価上昇や円安に伴うエネルギー及び輸入製品価格の高騰、部品調達難に伴う生産効率の低下などにより売上原価が上昇し、期首の想定以上に利益の下押し圧力が強まりました。また、更なる事業の拡大・顧客満足度の向上を目指して営業組織を強化したことにより活動費用や管理費用が増加しました。
これらの結果、映像&IT事業における当連結会計年度の売上高は39,909百万円(前年同期比14.9%増)、営業利益は615百万円(前期は営業損失585百万円)となりました。
(ロボティクス事業)
FA関連機器は、国内市場では工場の省力化ニーズは底堅く推移しました。一方、中国市場では景気減速による設備投資抑制から計画を下回りました。また、買収した子会社(はんだ付けロボットなど工場自動化システム)の販売が国内外ともに堅調に推移し、当該事業全体の売上高は伸長しました。
営業損益につきましては、映像&IT事業と同様に、グループ入りした子会社が貢献しており、部品価格高騰等に伴う生産効率の低下を受けておりますが、経費の削減が進みました。
これらの結果、ロボティクス事業における当連結会計年度の売上高は8,714百万円(前年同期比3.6%減)、営業利益は423百万円(前年同期比764.7%増)となりました。
2) 資本の財源及び資金の流動性
(キャッシュ・フローの状況)
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
(財務政策)
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、当社グループの運転資金需要のうち主なものは、電子機器や部品の購入費用、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、新製品生産に伴うライン設備及び金型やソフトウエア等によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入金を基本としており、設備資金、長期運転資金、M&A資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。なお、当連結会計年度末における有利子負債の残高は15,683百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は3,191百万円となっております。
当社グループは、今後も営業活動により得られるキャッシュ・フローを基本に将来必要な運転資金及び設備投資資金を調達していく考えであります。
3) 経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当社は、2024年5月24日付で株式会社ブイキューブのエンタープライズDX事業の一部である緊急対策とフィールドワークの専門領域に特化したDX支援を行うプロフェッショナルワーク事業の事業譲受に関する契約を締結いたしました。
なお、詳細につきましては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 重要な後発事象」に記載しております。
当社グループは、「グローバルな人と社会に貢献する」を企業理念とし、『「教育」「安全・生活」「医療」「FA」の重点4市場に対し、「映像&IT」と「ロボティクス」により、持続可能で豊かな社会を実現するための仕組みやソリューションを提供する』という事業目的を実現するため、研究開発活動もこの方針に基づき長期的観点をもって行い、社会に役立つ製品づくりを目指した活動に注力しております。
当社グループの研究開発活動は、「映像&IT」事業におきましては、ELMOジャパン事業本部、ELMOイメージングソリューション事業本部、ELMOヘルスケア事業本部、画像・検査機器開発事業本部、ELMOオプティクス事業本部の開発設計部門並びに関係会社において、「ロボティクス」事業におきましては、タイテックロボット制御事業本部の開発設計部門及び関係会社において、グループ各社のマーケティング活動に基づき、顧客ニーズを先取りした独自性のある高品質なサービスや製品の開発を目指し、研究活動を行っております。
当連結会計年度における当社グループの研究開発費の総額は、
セグメントごとの研究開発活動は、次のとおりであります。
映像&IT事業におきましては、教育市場向け書画カメラや電子黒板、業務用車載機器、医療機器等の開発を行いました。これらの研究開発費の総額は
ロボティクス事業におきましては、FA関連機器等の開発を行いました。これらの研究開発費の総額は