第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1) 経営の基本方針

 当社グループでは、「住宅産業の課題を解決する」という経営理念のもと中小住宅事業者への経営支援を事業目的に定めております。住宅産業のなかでも、注文住宅の建設プレイヤーは中小住宅事業者が半数を占めており、DX投資も遅れがちになっております。また、注文住宅はオーダーメイドであるゆえに生産工程が多層・複雑で高コストという課題を持っています。当社グループでは、住宅分野に特化したローン・保険・保証等の金融サービスにITを融合させ、住宅産業のDX化や中古住宅流通活性化のための仕組みづくりを推進しております。

 経営方針としては以下の8つを掲げております。

・顧客幸福に繋がらないことは行わない

・メジャーは目指さない。カテゴリーキラーとしてインディーズであり続ける

・資産は人財

・強くて優しい人と組織であり続ける

・革新的であり続ける。住宅産業を再定義し続ける

・最大のモラル(人格)と最小のルール

・バッド情報ファースト。体裁より中身

・サービスが先、利益は後。健全な投資は短期利益より大事

 

(2)目標とする経営指標

 当社グループでは、ステークホルダーへの責任を果たすためには、増益により投資を継続し、持続的に成長していくことが肝要であるとの価値観から、増収よりも増益に重きを置いております。また当社グループでは、各セグメント及び各サービスによって粗利率が異なり、売上をセグメント共通の指標にしづらいといった側面(注)もあるため、最重要指標を「営業利益」としております。

(注)住宅金融事業の主力サービスである住宅ローンは融資手数料のみを売上として計上し、住宅瑕疵保険等事業の主力サービスである住宅瑕疵(かし)保険は原価を含む総額表示にて計上し、住宅アカデメイア事業の主力サービスである住宅保証サービス等は売上から原価を差し引いた純額表示にて計上している等の差異があります。また、業績への貢献度が最も高い住宅ローンの粗利率が高いことから、連結損益計算書においては、営業収益が小さく相対的に利益率が高くなる傾向にあります。

 

(3)2025年3月期経営戦略

 当社グループでは、恒常化するインフレや米国での金融危機等により、不透明感が極めて高い経営環境であることから中期的な見通しが非常に難しいと認識し、1カ年での見通しとして、「2025年3月期経営戦略」を策定、推進しております。2025年3月期通期においては、短期的な視点での「オンリーワン戦略の推進」及び中長期的な視点での「未来への種まき」の2軸にて、持続的な成長を目指します。

 

① オンリーワン戦略の推進

 当社グループでは、1棟の住宅に住宅ローン、保険や保証等の複数サービスをワンストップで販売・提供する、積上げ型のビジネスモデルに強みを持っており、今後も商品の多角化や住宅事業者へのコンサルティングに力を入れることで、付加価値を高め、縮小市場のなかでの生き残りを図ります。

 住宅金融事業においては、住宅金融というニッチな分野に特化し、多様な金融機関との提携による新商品開発及びポートフォリオの多角化を進め、住宅建設・販売分野における「金融オリジネーター」のポジションを目指します。また金融代理店を軸とした販売チャネルの増強を行い、コンサルティングによる問題解決能力を強化し、当社グループの基幹事業として、営業力を高めてまいります。

 住宅瑕疵保険等事業及び住宅アカデメイア事業においては、住宅事業者の経営課題解決企業としてのポジションをさらに高めるために、住宅事業クラウドシステム「助っ人クラウド」を無償提供することで、住宅事業のDX化や経営合理化の支援を行います。それとともに、シナジーが見込める企業との提携・連携を推進し、住宅事業者に寄り添った専門性の高い商品開発を行い、ワンストップで提供することで、収益積上げを推進してまいります。

 

② 未来への種まき

 住宅事業者を取り巻く経営環境は厳しさを増しており、消費者の住宅購買力低下の影響により受注が減少する一方で、ウッドショック後も続く建材の高騰、建設2024年問題による人件費増加や省エネ基準適合化等を原因とした建設コストの増加が顕著となっております。その結果、住宅事業者の財務内容が悪化し、与信低下から建材流通の停滞に及ぶ等、業界全体に影響が出始めております。

 当社グループではこれらの問題解決のために、中小住宅事業者の生産性改善、消費者の住宅購買力に見合った住宅商品開発、建材流通における複雑な多重構造の解消、工事請負モデルという商習慣の見直し等が必要であると考えており、そのためのサービス開発およびソリューション提供こそが当社グループの中長期的な成長の鍵になると考えております。

 そこで当社グループでは住宅産業のゲームチェンジャーを目指し、住宅産業BIM(Building Information Modeling)、ステーブルコイン等の電子マネー等と当社グループの信用補完サービス「つなぎローン」「完成保証」等と住宅事業クラウドシステム「助っ人クラウド」等を融合することにより、住宅事業者の与信と切り離された建材流通が可能となる「新しい材工分離モデル」のプラットフォームを開発してまいります。プラットフォーム利用者へサービスを提供することで、当社グループサービスの販売拡大に繋げ、将来的なマネタイズを図ってまいります。

 

③ 2025年3月期連結業績予想

 当社グループの2025年3月期連結業績は、見通しとして営業収益7,256百万円、営業利益1,081百万円、経常利益1,081百万円、親会社株主に帰属する当期純利益723百万円を見込んでおります。

 

(4)対処すべき課題

 当社グループは、住宅産業の課題解決を行うことで、持続的成長と企業価値向上を目指しております。

 

① 当社グループが認識する住宅産業の課題

 デフレからインフレへと経済が大きく変わり、当社グループのターゲットである「注文住宅の建設工事を行う中小規模の住宅事業者」を取り巻く経営環境も厳しさを増しております。

 ウッドショック後も建設資材価格は高止まりを続けており、加えて、建設2024年問題による人件費増加や、省エネ基準適合化による建設コスト増などを原因として、住宅事業者の財務内容が悪化し与信低下するケースが多発し、建材流通が停滞する事態となり、住宅業界全体に大きな影響が及んでいます。一方消費者側も、住宅価格の上昇に実質所得が追い付かず、購入意欲に影響が出始めており、住宅建設・販売の事業モデルそのものが従来のままでは成立しにくい状況へと進んでおります。

 住宅事業者への経営支援を事業目的としている当社グループでは、事業成長の鍵は、住宅産業が抱える課題を解決するソリューション提供にあると考えております。当社グループの強みである金融とITを融合し、住宅事業支援となる住宅金融サービスや保険・保証サービス、コスト削減や生産性向上のためのクラウドプラットフォーム等の開発に力を入れることで、これらの課題解決に取り組んでまいります。

 

② 当社グループの持続的成長における課題

 当社グループは、住宅事業者の経営支援を行うことにより差別性を高め、住宅金融サービスの販売につなげております。現在、注文住宅市場が縮小する等厳しい経営環境にありますが、当社グループの顧客である住宅事業者の経営支援ニーズも高まっていることから、当社グループにとってはチャンスでもあると考えております。

 当社グループにとっては、住宅事業者の課題を解決するソリューションを提供できるかどうかが、中長期的な当社グループの業績に影響します。そこで、当社グループでは新たな商品やソリューションの開発を重要な経営課題と位置付け、商品開発への積極的で健全な投資や人材の育成、企業文化の醸成等に力を入れております。また、住宅産業における様々な企業と提携・連携を進め、ネットワークを活用した営業も推進してまいります。

 これらの取り組みにより、1軒の住宅に対し多くのサービスを販売するクロスセルを推進し、1社の取引先から何度も申し込みを頂くリピート販売ができるクラウドの仕組み構築にも力を入れ、1軒の住宅当たり・1社の住宅事業者当たりの単価を上げ、収益力向上に努めてまいります。

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループでは、住宅事業者への経営支援を通じて、持続可能な住宅産業の仕組みをつくることが使命であると考えております。消費者が安心して住宅を購入し、いずれ売却や賃貸などでその家をお金に換える(=資産として活用できる)ことを、顧客満足を超えた「顧客幸福」であると捉え、住宅がその資産価値を損なうことなく循環していくことで生まれる豊かな社会の実現を目指しています。

 具体的な提供サービスとして、品質の高い住宅を建設するための「住宅性能評価」や、住宅メンテナンスの適切な管理ができる「助っ人クラウド」、住宅性能を維持していくための「延長保証保険」等を通じて、中古住宅が資産価値を損なうことなく社会に流通する仕組みの実現に取り組み、事業を通じてサステナビリティを推進することに力を入れております。

 また当社では、2024年5月に建築物省エネルギー性能表示制度(BELS)におけるZEB Ready認証を取得した建物へと移転しており、社員にとって働きやすい環境の整備を行うとともに、地球環境への配慮を考慮しております。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1)ガバナンス

 当社グループでは、グループ各社の本部長及び部長等で構成するグループ合同会議並びに全常勤役員にて構成する経営会議において、必要に応じてサステナビリティに関する事項の審議や協議を行い、代表取締役社長が推進・管理の指示のうえ、取締役会に報告を行っております。

会議体

開催頻度

役割

責任者

グループ合同会議

1回/週

サステナビリティに関する事項の課題(リスク)及び対策を提案し、審議や協議を行う

代表取締役社長

経営会議

1回/週

グループ合同会議と連携し、重要経営戦略及びサステナビリティ課題に対して、方向性を決定する

代表取締役社長

取締役会

1回/月

サステナビリティ課題に対して適切な対応が行われているかの監督を行う

代表取締役社長

 

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(2)戦略

 当社グループでは「住宅産業の課題を解決する」ことを事業戦略として掲げており、提供サービスを積極的に開発・運用することに取り組む人材が活躍できることを目指し、人材育成・環境整備等の取組を実施しております。

 多様な視点や価値観を持つ人材が活躍できる企業風土の醸成を目的に、専門的な能力や経験を持つ人材のキャリア採用を進めております。また、健康意識・知識向上のサポート、育児や介護と仕事を両立できる各種施策、がん等の疾患を抱える社員の就業継続への施策、定年再雇用社員を中心としたシニア層の活躍促進など、働きやすい職場環境づくりに取り組んでおります。

 誠実に真摯に仕事を進める当社グループの人材は、当社グループの強みでありますが、今後も従業員一人ひとりの意識向上と能力向上を図り、風通しが良く明るい組織を維持してまいります。

(3)リスク管理

 当社グループは、サステナビリティや人的資本、多様性に関わる重要な事項やリスク管理について、各部門の所管役員が把握し、重要性を見極め、グループ合同会議および経営会議に報告し、必要に応じて審議や協議を行っております。体制は(1)ガバナンスに準じております。

 

(4)指標及び目標

 連結子会社である株式会社ハウスジーメンは、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)並びに次世代育成支援対策推進法(平成15年法律第120号)の規定により、行動計画として、①管理職に占める女性労働者の割合の向上②有給休暇取得率の向上③男性社員の育児休暇・休業の取得促進のため制度の社内周知促進を公表しております。当社並びに連結子会社においては、育児休業等取得の対象者となる男性労働者は大変少ない状況ですが、2024年3月期に対象者となった男性労働者については、取得期間の長短はありますが全員取得をしております。

提出会社及び

連結子会社

2023年3月期実績

2024年3月期実績

目標(2027年3月まで)

管理職に占める女性労働者の割合(%)

有給休暇取得率(%)

管理職に占める女性労働者の割合(%)

有給休暇取得率(%)

管理職に占める女性労働者の割合(%)

有給休暇取得率(%)

日本モーゲージサービス株式会社

19

57

21

61

株式会社ハウスジーメン

行動計画に準拠

株式会社ハウスジーメン

11

76

16

86

20

75%以上

 

連結グループ

2023年3月期実績

2024年3月期実績

目標(2027年3月まで)

管理職に占める女性労働者の割合(%)

有給休暇取得率(%)

管理職に占める女性労働者の割合

有給休暇取得率

管理職に占める女性労働者の割合(%)

有給休暇取得率(%)

グループ全社

13

70

16

78

株式会社ハウスジーメン

行動計画に準拠

(注)有給休暇取得率は、当社並びに連結子会社の就業規則に定める休暇年度(1月1日から12月31日)を対象期間として算出しております。

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、次のとおりです。なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものです。

 

(1) 当社グループの事業環境に関するリスク

① 金利及び住宅市場の動向等の外部環境リスク

 当社グループでは金融サービスを取り扱っており、また主に住宅・不動産関連の業界に属する住宅事業者及び住宅を購入等する消費者を顧客としていることから、金利、住宅の建設・流通、国内の人口等の動向や住宅・不動産に係る税制や消費税の改正等の影響を受けることがあります。住宅ローン金利の上昇、建材・資材価格の上昇、景気悪化等による消費者の住宅取得マインドの低迷、住宅着工・流通戸数の減少等が起きた場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 競合企業との競争リスク

 現在、住宅金融事業におけるフラット35を取り扱う金融機関は複数存在し、また住宅瑕疵保険等事業における住宅瑕疵(かし)保険を取り扱う住宅瑕疵担保責任保険法人は他に4法人存在する等、複数の競合企業が存在いたします。ただし我が国においては、住宅事業者の企業活動に必要なサービスを組み合わせて一体で提供できる会社は他になく、当社グループはこの強みを活かして差別化を推進しており、競合企業に劣らない体制を構築していると認識しております。しかしながら、今後競合企業の競争優位性が高まり、また他企業の新規参入等により競争が激化し、相対的に当社グループの競争優位性が低下した場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 大規模な自然災害、感染症の長期的な流行等によるリスク

 当社グループでは、地震、台風、洪水等の自然災害や火災等の事故、テロ行為や戦争、及び感染症の流行の発生を想定し、必要とされる安全対策や安否確認体制の構築等を行い、事業への影響の回避に努めております。しかしながら、想定を超える大規模な自然災害、事故、感染症の長期的な流行等の事態が発生した場合は、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(2) 当社グループの事業運営に関するリスク

① 法的規制に関するリスク

 当社グループの業務の遂行においては、関係監督省庁から許認可や指定等を受ける必要があるものが含まれます。その主な内容及び関連する法規制等については次のとおりです。

 

法規制等

許認可

番号及び有効期限

所管

住宅金融事業

貸金業法

貸金業者登録

登録年月日:2005年12月15日(東京都知事登録)、2006年3月16日(都知事登録に代えて関東財務局長登録)

登録番号:関東財務局長(6)第01464号

現行登録期限:2024年3月17日~2027年3月16日(3年毎に更新必要)

金融庁

自主規制規則

日本貸金業協会加入承認

加入承認日:2012年11月13日

会員番号:第005752号

日本貸金業協会

銀行法

銀行代理業許可

所属銀行:ソニー銀行株式会社

許可年月日:2018年10月11日

許可番号:関東財務局長(銀代)第343号

有効期限:なし

金融庁

住宅瑕疵保険等事業

特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律(住宅瑕疵担保履行法)

住宅瑕疵担保責任保険法人指定

指定日:2008年10月16日

指定番号:指定番号5

有効期限:なし

国土交通省

役員の選任及び解任の認可

業務規程に関する認可

事業計画の認可

引渡後保険の引受の認可

 

 

法規制等

許認可

番号及び有効期限

所管

住宅瑕疵保険等事業

住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)

登録住宅性能評価機関の登録

登録日:2001年4月2日

登録番号:国土交通大臣18

有効期限:2021年3月31日~2026年3月30日(5年毎に更新必要)

(注)2006年3月1日に指定制から登録制に移行

国土交通省

適合証明業務に関する協定書

適合証明業務の受託機関の協定締結

締結日:2007年1月1日

有効期限:なし

国土交通省及び財務省

建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律

BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)に基づく評価の実施機関の登録

登録日:2016年4月1日

登録番号:029(一般社団法人住宅性能評価・表示協会への登録)

有効期限:2021年4月1日~2026年3月31日(5年毎に更新必要)

国土交通省

登録建築物エネルギー消費性能判定機関の登録

登録日:2017年3月28日

登録番号:国土交通大臣22

有効期限:2022年4月1日~2027年3月31日(5年毎に更新必要)

国土交通省

住宅アカデメイア事業

建築士法

建築士事務所の登録

登録日:2021年10月20日

登録番号:一級東京都知事登録 第64642号

有効期限:2021年10月20日~2026年10月19日(5年毎に更新必要)

東京都

旅館業法

簡易宿所の許可

許可日:2023年4月14日

許可番号:長野県佐久保健所指令05佐保第11-4号5号6号

有効期限:なし

長野県佐久保健所

ホテル営業の許可

許可日:2017年4月24日

許可番号:愛知県豊川保健所指令29豊川保第467-1号

有効期限:なし

愛知県豊川保健所

簡易宿所の許可

許可日:2017年7月20日

許可番号:長野県諏訪保健所指令29諏保第10-9号

有効期限:なし

長野県諏訪保健所

資金決済法

第三者型発行者の登録

登録日:2021年10月19日

登録番号:関東財務局長第00754号

有効期限:なし

金融庁

 当社グループでは、法規制等の遵守のために、社内規程や管理体制の構築及び従業員教育を行い、コンプライアンス体制の整備に努めており、現状上記許認可等について取消事由に該当している状況にはありません。

 しかしながら、当社が貸金業法等に対する重大な違反を犯した等の場合は、貸金業者の登録取消しや更新登録不可による住宅金融事業継続不能の事態に陥る可能性があり、また特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律等への重大な違反を犯した場合は、住宅瑕疵担保責任保険法人の指定取消しによる住宅瑕疵保険等事業の継続不能の事態を招く可能性がある等、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 また今後、当該法規制等の改正があった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② システム障害に関するリスク

 住宅瑕疵保険等事業及び住宅アカデメイア事業におけるサービス申込・提供に関する業務及び業務関連データ保管は、Webサイトを含め、当社グループ管理の業務システムに依存しております。また、住宅金融事業においては独立行政法人住宅金融支援機構(以下「機構」)のシステムや当社社内システムを活用して業務を遂行しております。これらのシステムや保管データに関しては、バックアップの二重化や、ファイアウォール、ウィルスチェック等、障害を回避するための対策を講じております。また、構築したアプリケーションソフトの不具合等が発生した場合でも、早急な対応が可能な体制を整えております。

 しかしながら、想定を超えた災害、攻撃、あるいはアクセスの急激な増加、または構築したアプリケーションソフトの不具合等、様々な要因によって、当社グループの業務システム及び保管データに長期間にわたる障害又は問題が生じた場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

③ 個人情報管理に関するリスク

 当社グループでは、事業の性格上多数の個人情報を取得しているため、個人情報の取扱いと管理には細心の注意を払っております。メール送信時の添付書類パスワード自動付加等のシステム面での漏えい防止措置に加え、社内ルール・手続きの明確化・徹底化並びに役職員に対する教育を行い、個人情報の管理に努めております。

 しかしながら個人情報流出の事態が発生した場合は、損害賠償請求や信用低下により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 知的財産権に関するリスク

 当社グループは、第三者の知的財産権を侵害しない体制として、社内教育の実施や顧問弁護士による調査・チェックを実施しておりますが、当社グループが事業を推進する中で第三者の知的財産権を侵害した場合は、当該第三者から損害賠償請求や使用差止請求等の訴訟を提起される可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 紛争・係争に関するリスク

 当社グループでは、コンプライアンスに関する諸規程を制定し、役職員の遵守を徹底し顧問弁護士との密な連携を図り、法令違反等発生リスクの低減に努めております。しかしながら、当社グループ及び役職員の法令違反等の有無に関わらず、ユーザーや顧客、取引先、第三者との間で予期せぬトラブルが発生し、訴訟に発展した場合は、提起された訴訟の内容及び結果又はそれに関連する訴訟費用が発生し、当社グループの企業及びサービスに対するブランドイメージ毀損等の可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(3) 各セグメントの事業運営に関するリスク

① 住宅金融事業に関するリスク

A.フラット35制度変更等のリスク

 当社の主力商品である「MSJフラット35」は、機構から住宅債権買取契約締結先と認定されることにより、機構が提供する固定金利型の住宅ローンであるフラット35を「MSJフラット35」として住宅資金需要者に貸付けている住宅ローンです。従って、機構における当該商品に係る制度や方針の変更等があった場合は、住宅金融事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

B.フラット35貸付用資金の調達に関するリスク

 フラット35は、当社のようなフラット35取扱機関が住宅資金需要者に貸付を行った後に、機構が当該貸付債権を買い取るスキームとなっております。当社では、貸付のための一時的な資金を民間金融機関から調達して住宅資金需要者に貸付け、その後当該貸付債権を機構へ売却することにより、民間金融機関からの借入を全額返済しております。民間金融機関からの調達金利は、機構による住宅ローン債権買取時に調達利息相当分が機構から支払われるため、当社のリスクは原則として生じません。

 しかしながら、当社業績の大幅な悪化による与信低下や、民間金融機関側の事情による当社との関係縮小等の事態が生じ、当該貸付用資金が予定通りに調達できなくなった等の場合は、住宅金融事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

C.つなぎローン貸付用資金の調達に関するリスク

 つなぎローンとは、住宅資金需要者が住宅ローン実行前に発生する土地購入資金や着工金・上棟金等の支払いに対応するために借入れ、住宅ローン実行の際に全額返済する一時的なロ―ンのことで、当社では住宅資金需要者に「MSJプロパーつなぎローン」を貸付けております。当社は、貸付用資金を民間金融機関から調達しており、調達金利についてはTIBOR(東京オフショア市場での銀行間における為替取引金利)を基準とした利率が適用されております。「MSJプロパーつなぎローン」の融資金利は、短期プライムレート(民間金融機関が優良企業向けの短期貸出に適用する金利)と連動して設定し、当該融資金利にて当該資金調達に関わるコストを賄っております。

 従って、当該貸付用資金の調達金利が急激に上昇する等の変動が発生し直ちに融資金利に全てを転嫁できない、または転嫁できてもそれにより競合企業より融資条件が劣後した等の場合は、住宅金融事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

D.アライアンスパートナーとの取引に関するリスク

 当社は、全国のローン取扱事業会社やコンサルティング会社、建材事業者、保険代理店、住宅建設事業者、宅建事業者等とアライアンスパートナーとして提携を行っております。主としてアライアンスパートナーが当社に住宅資金需要者の紹介・取次等を行い、当社が住宅資金需要者に住宅ローン等を貸付け、当社がアライアンスパートナーに代理店手数料等を支払う仕組みとしており、当社の全国に配置する住宅ローン店舗の大半は、当社の直営店舗ではなくアライアンスパートナーである運営代理店による店舗となっている等、住宅金融事業においてはアライアンスパートナーが重要な位置付けとなっております。

 従って、アライアンスパートナーとの取引に何らかの支障が生じた等の場合は、住宅金融事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

E.住宅ローン債権の流動化取引に関するリスク

 当社の営業貸付金の一部は、特別目的会社を利用した流動化取引を実施しており、連結貸借対照表上ではオフバランス処理されているものが存在します。特別目的会社を利用した流動化取引は、会計処理に当たって会計・法律・金融に関する高度な専門知識を要する分野であるため、当社で新規スキームを導入する際には法律専門家等と慎重に検討のうえ、取引を開始しております。

 しかしながら本取引は金額的重要性が大きいため、会計判断を誤りオンバランス処理すべき営業貸付金や短期借入金をオフバランス処理した場合は、総資本利益率等の財務指標に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 住宅瑕疵保険等事業に関するリスク

A.住宅瑕疵(かし)保険に関する法令変更等のリスク

 住宅瑕疵保険等事業における住宅瑕疵(かし)保険の販売は、当社子会社である株式会社ハウスジーメンが、特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律等に基づき、国土交通大臣から住宅瑕疵担保責任保険法人の指定を受け、行っております。従って、上記法令の変更等により住宅瑕疵担保責任保険制度そのものが法的根拠を失い、住宅瑕疵(かし)保険の販売が困難になる等の事態が生じた場合は、住宅瑕疵保険等事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

B.損害保険会社との再保険等に関するリスク

 住宅瑕疵(かし)保険や地盤保証等は、株式会社ハウスジーメン又は一般社団法人住宅技術協議会が引き受けた責任において、損害保険会社と損害保険契約を締結し、その対価として損害保険会社に保険料の支払いを行う再保険等の仕組みによりリスクを最小化しております。損害保険会社とは良好な関係を構築・維持しておりますが、損害保険会社における方針変更等により保険料の上昇や継続取引が困難となる等の事態が生じた場合は、住宅瑕疵保険等事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

C.想定外の保険事故発生に関するリスク

 住宅瑕疵(かし)保険は、再保険により保険事故が発生した場合のリスクヘッジを行っておりますが、保険金は株式会社ハウスジーメンが一義的に保険契約者に支払うこととなっており、株式会社ハウスジーメンは、法令等に基づき支払備金及び責任準備金等の積立を行っております。しかしながら、保険事故により想定を超える一時的な支出が発生した場合は、住宅瑕疵保険等事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

D.取次店との取引に関するリスク

 株式会社ハウスジーメンは、全国の建材事業者、住宅フランチャイズ本部等、住宅事業者とのネットワークを有する企業等と取次店として提携を行っており、顧客である住宅事業者に対する営業活動の一端を取次店が担っております。従って、取次店との取引に何らかの支障が生じた等の場合は、住宅瑕疵保険等事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

E.外部委託先に関するリスク

 住宅瑕疵保険等事業における「新築住宅かし保険」や「住宅性能評価」等のサービスは、建築士資格を有する検査員による検査・審査を行うこととなっており、この検査業務に関して外部の検査会社又は検査員等に委託しております。また「地盤保証」は登録地盤会社に地盤調査・解析・地盤改良工事等の委託を行っております。従って、これら委託先となる検査会社や地盤会社との取引に何らかの支障が生じ、代替対応が遅れるような事態が発生した場合は、住宅瑕疵保険等事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 住宅アカデメイア事業に関するリスク

A.損害保険会社との保険に関するリスク

 「住宅設備延長修理保証」等の住宅保証サービスは、株式会社住宅アカデメイアが住宅事業者と保証制度管理契約を締結し、アドミニストレーターとして制度運営を行っております。事故発生等の保証金支払いリスクに対しては、損害保険会社と損害保険契約を締結し、その対価として損害保険会社に保険料の支払いを行う仕組みによりリスクを最小化しております。損害保険会社とは良好な関係を構築・維持しておりますが、損害保険会社における方針変更等により保険料の上昇や継続取引が困難となる等の事態が生じた場合は、住宅アカデメイア事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

B.クラウドシステムの優位性持続に関するリスク

 住宅事業クラウドシステム「助っ人クラウド」は、株式会社住宅アカデメイアが独自に開発したサービスであり、ベースとなるシステム等は既に一定の開発を終えておりますが、追加機能の開発を継続しております。当クラウドシステムは当社グループの差別化推進等を目的として住宅事業者に無償で提供しているため、直接的な営業収益・営業利益に寄与しておりませんが、住宅保証サービスの制度運営において当クラウドシステムの仕組みを活用しております。

 従って、急速に技術革新が進み、株式会社住宅アカデメイアによる対応や追加機能の開発が大幅に遅延し、優位性が損なわれるような事態が発生した場合は、住宅アカデメイア事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。また、「新築住宅かし保険」等他セグメントのサービス販売においても当クラウドシステムの仕組みを一部活用しているため、他セグメントの業績にも影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況は次のとおりです。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度(2023年4月1日~2024年3月31日)における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症に対する行動制限がなくなり、経済活動の正常化が進みましたが、その一方で、資源価格の上昇や円安により企業収益の二極化が進行し、物価上昇により消費者の実質賃金はマイナスが続きました。世界経済においても、ウクライナ情勢や米中対立の長期化により地政学リスクが高まり、各国で金融引き締め政策が行われ景気減速懸念が浮上する等、我が国経済への影響が不透明な状況が続きました。

 当社グループが属する住宅業界におきましては、政府の住宅取得支援策が実施され、変動型住宅ローン金利が低水準で推移したものの、円安等による建築資材をはじめとした建設コスト上昇により、住宅価格が購買力を超えて高止まりし、住宅ローン金利上昇の懸念も消費者の住宅取得への行動に影響を与えました。国土交通省発表による全国新設住宅着工戸数では、持家(注文住宅)が依然として前年同月比マイナスで推移する等、当社グループの顧客層である全国の中小住宅事業者(工務店・ビルダー)の経営環境は厳しい状況が続き、与信が低下し、資金繰りが悪化するケースが増加しました。

 また、当社の主要セグメントである住宅金融事業が属する全国の住宅ローン市場におきましては、変動金利が過去最低の金利水準で推移したことに加え、住宅価格の上昇等により毎月返済額等の負担がより軽い変動金利シェアの増加傾向が継続しました。

 このような事業環境のもと、当社グループは創業当時から掲げる「住宅事業者の経営を支援し、住宅産業の課題を解決する」という基本方針に基づき、グループ一体となり差別化を訴求する営業活動や、住宅事業者のサポート業務、住宅事業者の多角化経営を支援するための中古住宅向け戦略商品の開発検討等に注力し、各事業を推進いたしました。

 この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は次のとおりとなりました。

 

A.財政状態

 当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末と比較して966,191千円減少し、21,241,399千円となりました。

 当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末と比較して1,532,642千円減少し、13,146,960千円となりました。

 当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末と比較して566,450千円増加し、8,094,439千円となりました。

 

B.経営成績

 当連結会計年度の経営成績は、営業収益7,110,821千円(前年同期比2.9%減)、営業利益1,398,062千円(同5.0%減)、経常利益1,398,196千円(同5.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益874,460千円(同12.7%減)となりました。

 

 セグメントごとの経営成績は次のとおりです。

(A) 住宅金融事業

 住宅金融事業におきましては、事業の継続的成長に向け、幅広い商品ラインナップやコンサルティング力等の強みを活かし、住宅事業者への経営支援やサポートを推進いたしました。営業拠点に関しましては、当連結会計年度において新規に7店舗を開設いたしました。

 全国の住宅ローン市場においては、固定金利型住宅ローンと変動金利型住宅ローンの金利差が拡大したこと等により、独立行政法人住宅金融支援機構と民間金融機関との提携による固定金利型住宅ローン「フラット35」の市場が大きく低迷し、住宅ローンを専業とするモーゲージバンクの経営環境は厳しい状況となりました。このような環境において、当社では、前連結会計年度に取扱いを開始したプロパーローン商品をはじめ、従前より進めてまいりました住宅ローン商品の多角化を進めました。当連結会計年度における融資実行件数(銀行代理ローン商品及び提携ローン商品を除く)は、前年同期比で22.3%の減少となりましたが、その中で融資手数料率を維持すると共に、新商品による地道な収益積上げにより利息等が増加し、業績に貢献いたしました。

 この結果、当連結会計年度の業績は、営業収益3,330,591千円(前年同期比3.1%増)、営業利益956,987千円(同7.2%増)となりました。

 

(B) 住宅瑕疵保険等事業

 住宅瑕疵保険等事業におきましては、主力商品である戸建住宅及び共同住宅の「新築住宅かし保険」の販売を推進するため、従前より注力しております住宅事業クラウドシステム「助っ人クラウド」及び「地盤保証」の同時提案による差別化を前面に打ち出した積極的な営業活動を展開・継続し、複数商品のクロス販売を推進いたしました。

 住宅業界においては、当セグメントの主力市場である持家(注文住宅)の全国新設住宅着工戸数が前年同月比マイナスで推移し、「新築住宅かし保険」等が大きな影響を受けました。政府が推進する省エネ基準適合住宅の普及施策により「住宅性能評価」等の関連サービスが健闘したものの、当連結会計年度における保険証券・保証書・評価書・適合証等の発行件数(時限的な経済政策に対応するものは除く)は、前年同期比で6.6%の減少となりました。

 この結果、当連結会計年度の業績は、営業収益3,172,415千円(前年同期比8.7%減)、営業利益366,755千円(同26.1%減)となりました。

 

(C) 住宅アカデメイア事業

 住宅アカデメイア事業におきましては、住宅事業クラウドシステム「助っ人クラウド」及びこれに連動する「住宅メンテナンス保証」「住宅設備延長修理保証」等の住宅保証サービスの提供を推進し、グループ戦略として「助っ人クラウド」の追加機能開発に注力いたしました。

 住宅アカデメイア事業では、助っ人クラウドを利用する住宅事業者に向けた住宅メンテナンス保証等のクロスセル提案や、省エネ基準適合住宅政策に関連した設計サポートサービス(「住宅フルフィルメント・サービス」)を推進いたしましたが、住宅市況の落ち込みの影響を受け、戸建住宅やマンションの第4四半期の引渡数が減少し、当連結会計年度における住宅保証サービス件数は前年同期比で0.9%の増加にとどまりました。

 この結果、当連結会計年度の業績は、営業収益607,813千円(前年同期比2.1%減)、営業利益73,479千円(同10.1%減)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)の残高は、4,674,505千円と前連結会計年度末に比べ255,864千円増加となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において営業活動により増加した資金は、1,596,984千円(前連結会計年度は912,547千円の収入)となりました。主な収入要因は、税金等調整前当期純利益1,327,600千円、減価償却費121,602千円、営業未収入金の減少1,825,280千円であり、主な支出要因は、営業預り金の減少801,750千円、営業貸付金の増加560,079千円、法人税等の支払額469,987千円によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において投資活動により減少した資金は、38,336千円(前連結会計年度は184,259千円の支出)となりました。主な支出要因は、有形固定資産の取得による支出4,229千円、無形固定資産の取得による支出32,738千円によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において財務活動により減少した資金は、1,302,783千円(前連結会計年度は1,332,749千円の支出)となりました。主な収入要因は、長期借入れによる収入510,480千円であり、主な支出要因は、短期借入金の減少1,518,360千円、配当金の支払額294,138千円によるものです。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

A.生産実績

 当社グループは生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

B.受注実績

 当社グループの事業の性格上、受注状況の記載に馴染まないため、記載しておりません。

 

C.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

前年同期比(%)

 住宅金融事業            (千円)

3,330,591

103.1

 住宅瑕疵保険等事業         (千円)

3,172,415

91.3

 住宅アカデメイア事業        (千円)

607,813

97.9

合計(千円)

7,110,821

97.1

(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

① 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりましては後述の「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」をご参照ください。

 なお、経営者は、過去の実績や状況に応じ、合理的と考えられる様々な要因に基づき見積り及び判断を行っております。しかしながら、これらの見積り及び判断は不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

A.経営成績等

(A) 財政状態

(資産)

 当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末と比較して966,191千円減少し、21,241,399千円となりました。主な要因は、現金及び預金が250,680千円、売掛金が61,607千円、営業貸付金が560,079千円増加する一方、営業未収入金が1,825,280千円減少したことによるものです。

 

(負債)

 当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末と比較して1,532,642千円減少し、13,146,960千円となりました。主な要因は、長期借入金が510,480千円、未払金が109,084千円増加する一方、短期借入金が1,518,360千円、営業預り金が801,750千円減少したことによるものです。

 

(純資産)

 当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末と比較して566,450千円増加し、8,094,439千円となりました。主な要因は、当連結会計年度において、利益剰余金が580,420千円増加したことによるものです。

 

(B) 経営成績

(営業収益)

 営業収益は、住宅金融事業において増加したものの、経営環境が厳しい住宅瑕疵保険等事業、住宅アカデメイア事業において減少したことにより、前連結会計年度と比較して215,110千円減少し、7,110,821千円(前年同期比2.9%減)となりました。

 

(営業原価、販売費及び一般管理費)

 営業原価は、営業収益が増収の住宅金融事業において増加したものの、住宅瑕疵保険等事業、住宅アカデメイア事業において、営業収益が減少したことにより、前連結会計年度と比較して108,082千円減少し、2,085,138千円(同4.9%減)となりました。

 販売費及び一般管理費は、住宅金融事業において融資実行件数減少に伴う代理店手数料の減少、住宅瑕疵保険等事業において取次店手数料の減少により、前連結会計年度と比較して33,771千円減少し、3,627,620千円(同0.9%減)となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 親会社株主に帰属する当期純利益は、経常利益が減少したことに加え、事務所移転費用等の特別損失が70,406千円増加したことにより、前連結会計年度と比較して127,754千円減少し、874,460千円(同12.7%減)となりました。

 

(C) キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

 

B.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループは、金融サービスを取り扱っており、また主に住宅・不動産関連の業界に属する住宅事業者及び住宅を購入等する消費者を顧客としていることから、金利、住宅の建設・流通、国内の人口等の動向や不動産に関わる税制や消費税法の改正等の影響を受けることがあります。

 例えば、現在のような極めて低い水準の住宅ローン金利が上昇に転じた場合や、建材・資材価格の急激な上昇、景気悪化等による消費者の住宅取得マインドが低迷した場合、住宅着工・流通戸数が急激に減少した場合等は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 また、我が国の人口・世帯数は減少し続けることが予想されており、中長期的には新設住宅着工戸数も減少傾向が続くと予想されていることから、当社グループが新築住宅向けの住宅ローンや住宅瑕疵(かし)保険の販売に過度に依存し続けた場合、将来の経営成績に重要な影響を与える可能性があります。

 

C.資本の財源及び資金の流動性

 当社グループのセグメントのうち、住宅金融事業では、住宅ローンの貸付に必要な資金を銀行より借入れることにより調達しております。当社は顧客への貸付を行うと同時に、当該貸付債権を独立行政法人住宅金融支援機構に譲渡し、この譲渡代金を銀行からの借入金返済に充てております。

 住宅瑕疵保険等事業では、当該事業の柱である瑕疵検査業務、及び瑕疵保険業務において、営業収益である検査料収入、瑕疵保険料収入はそれぞれ住宅事業者から前受で受取り、この資金をもって営業原価である検査員への検査料、損害保険会社への再保険料を支出しており、その他の必要資金は自己資金で賄っております。従って住宅金融事業、住宅瑕疵保険等事業においては、特に運転資金の調達は必要としておりません。

 住宅アカデメイア事業では、住宅保証サービス提供業務等において、基本的に売掛金の回収と買掛金の支払いはほぼ同時に行われます。また設備投資資金については、当社からの投融資で賄っております。

 

D.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループでは、長期利益の実現を目指し、「堅実で持続的な増益」を最も重要な経営目標としております。増収も主要な目標のひとつと考えておりますが、顧客・投資家・株主・従業員・社会等のステークホルダーに対する責任を果たすためには、健全で積極的な投資を継続し持続的に成長していくことが肝要であるとの価値観から、増収よりも増益に重きを置き、「営業利益」を重要な指標として位置付けております。

 当連結会計年度における「営業利益」は1,398,062千円となり、前連結会計年度と比較して5.0%の減益となりました。

 

5【経営上の重要な契約等】

日本モーゲージサービス株式会社

契約先

契約名称

契約内容

契約期間

住宅金融公庫(2007年4月より、独立行政法人住宅金融支援機構。以下同じ)

住宅ローン債権売買基本契約

当社が債務者との間で締結した金銭消費貸借契約に基づき有する住宅ローン債権を、独立行政法人住宅金融支援機構に譲渡する取引についての契約

2006年7月1日から

2007年3月31日まで

以降1年毎の自動更新

株式会社三井住友銀行

つなぎ融資債権及び譲渡代金債権信託契約書

つなぎ融資債権及び譲渡代金債権の流動化等に関する契約

当初信託設定日から信託終了日まで(契約締結日は2018年3月30日)

三菱UFJ信託銀行株式会社

住宅ローン債権及び金銭に関する包括信託基本契約書

住宅ローン債権の流動化等に関する契約

各信託個別契約設定日から信託終了日まで(契約締結日は2020年12月28日)

 

6【研究開発活動】

 該当事項はありません。