第一部 【企業情報】

 

第1 【企業の概況】

(はじめに)

当社の前身である株式会社セルム(原始セルム)は、1995年12月に基本理念を社会における存在意義とし、顧客のニーズを「事業機会」と捉え、様々な事業にチャレンジしていくことを目的として設立されました。2006年3月31日に人材開発事業を承継した株式会社セルム(以下「旧セルム」)を新設分割で設立し、同日付で株式会社セルム・サテライトマネジメントへの商号変更をいたしました。その後、2011年5月27日に株式会社セルムグループ・ホールディングス(以下「セルムグループHD」)に商号を変更いたしました。

 当社はセルムグループHD及び旧セルムを吸収合併しておりますので、その内容をご説明いたします。

 

 当社によるセルムグループHD及び旧セルムの吸収合併について

当社は、2016年8月に当社の実質的な存続会社であるセルムグループHD及び旧セルムの経営陣によるマネジメント・バイ・アウト(MBO)の受け皿会社としてCELM Group and Partners株式会社の商号で設立されました。2016年9月30日にセルムグループHDの既存株主から発行済株式の100%を取得することで完全子会社化した後、2016年11月1日にセルムグループHD及び旧セルムを吸収合併し、同日に商号をCELM Group and Partners株式会社から株式会社セルムに変更しております。

この株式取得や吸収合併は、当社の代表取締役加島禎二が第二創業と位置づけて経営を行っていくことで経営判断スピードを早め、さらなる事業拡大につながることを目的としております。合併時において被合併会社であるセルムグループHD及び旧セルムの営業活動を全面的に継承いたしました。

 

以上、本件を図示いたしますと、次のようになります。

 

 


 

1 【主要な経営指標等の推移】

(1) 連結経営指標等

 

回次

第4期

第5期

第6期

第7期

第8期

決算年月

2020年3月

2021年3月

2022年3月

2023年3月

2024年3月

売上高

(千円)

5,298,706

4,603,441

6,471,894

7,265,657

7,504,627

経常利益

(千円)

588,142

344,380

697,616

919,809

1,006,879

親会社株主に帰属する
当期純利益

(千円)

336,527

148,241

373,542

542,793

631,528

包括利益

(千円)

335,633

144,282

382,615

558,777

640,964

純資産額

(千円)

1,639,766

1,784,049

3,935,971

3,307,577

3,120,342

総資産額

(千円)

3,745,795

3,944,494

6,004,974

5,001,027

4,869,817

1株当たり純資産額

(円)

162.55

176.88

293.66

270.51

262.66

1株当たり当期純利益金額

(円)

33.38

14.71

28.63

43.09

54.43

潜在株式調整後
1株当たり当期純利益金額

(円)

27.26

41.82

52.96

自己資本比率

(%)

43.8

45.2

65.5

65.5

62.4

自己資本利益率

(%)

22.9

8.7

13.1

15.1

20.0

株価収益率

(倍)

16.2

18.7

12.9

営業活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

381,920

360,339

1,106,667

699,735

710,516

投資活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

201,685

30,395

20,895

41,891

372,217

財務活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

374,005

75,332

908,414

1,905,635

206,631

現金及び現金同等物
の期末残高

(千円)

675,032

927,618

2,933,188

1,698,930

1,840,538

従業員数

(名)

163

167

177

174

187

 

(注)1.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第6期の期首から適用しており、第6期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。

  2.潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、潜在株式は存在するものの、第4期及び第5期の当社株式は非上場であったことから、期中平均株価が把握できないため記載しておりません。

  3.第4期及び第5期の株価収益率については、当社株式は非上場であったため記載しておりません。

  4.従業員数は、当社グループから当社グループ外への出向者を除き、当社グループ外から当社グループへの出向者を含む就業人員であり、臨時従業員(パートタイマー及び嘱託契約の従業員を含み、派遣社員を除く。)は、従業員数の100分の10未満のため記載しておりません。

  5.当社は、2019年8月14日付で普通株式1株につき100株の割合で、2022年7月1日付で普通株式1株につき2株の割合で株式分割を行っております。第4期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益金額を算定しております。

 

 

(2) 提出会社の経営指標等

 

回次

第4期

第5期

第6期

第7期

第8期

決算年月

2020年3月

2021年3月

2022年3月

2023年3月

2024年3月

売上高

(千円)

4,037,598

3,672,178

5,279,145

5,968,766

5,905,258

経常利益

(千円)

511,642

188,792

403,445

779,436

1,135,046

当期純利益

(千円)

351,503

64,950

185,963

427,729

878,004

資本金

(千円)

116,520

116,520

1,001,173

1,014,873

1,026,685

発行済株式総数

(株)

 

 

 

 

 

普通株式

5,041,300

5,041,300

6,700,600

13,620,400

12,909,400

純資産額

(千円)

1,764,012

1,828,963

3,784,233

3,024,791

3,074,596

総資産額

(千円)

3,679,679

3,850,173

5,631,857

4,551,089

4,581,678

1株当たり純資産額

(円)

174.96

181.40

282.38

247.22

258.74

1株当たり配当額
 

(円)

 

 

 

 

 

普通株式

(うち1株当たり中間配当額)

18.00

13.00

19.00

(-)

(-)

(-)

(6.00)

(8.00)

1株当たり当期純利益金額

(円)

34.86

6.44

14.25

33.96

75.67

潜在株式調整後
1株当たり当期純利益金額

(円)

13.57

32.96

73.62

自己資本比率

(%)

47.9

47.5

67.2

65.8

65.3

自己資本利益率

(%)

22.1

3.6

6.6

12.6

29.3

株価収益率

(倍)

32.6

23.7

9.3

配当性向

(%)

63.2

38.3

25.1

従業員数

(名)

122

124

124

136

137

株主総利回り

(%)

178.1

159.8

(比較指標:配当込みTOPIX)

(%)

(-)

(-)

(-)

(138.8)

(196.2)

最高株価

(円)

1,545

853

(1,706)

1,370

最低株価

(円)

684

388

(776)

670

 

(注) 1.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第6期の期首から適用しており、第6期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。

2.当社は、2019年8月14日付で普通株式1株につき100株の割合で株式分割を行っており、発行済株式総数は5,041,300株となっております。また、2022年7月1日付で普通株式1株につき2株の割合で株式分割を行っており、発行済株式総数は13,486,600株となっております。

3.潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、潜在株式は存在するものの、第4期及び第5期の当社株式は非上場であったことから、期中平均株価が把握できないため記載しておりません。

 

4.第4期及び第5期の株価収益率については、当社株式は非上場であったため記載しておりません。

5.従業員数は、当社から他社への出向者を除き、他社から当社への出向者を含む就業人員であり、臨時従業員(パートタイマー及び嘱託契約の従業員を含み、派遣社員を除く。)は、従業員数の100分の10未満のため記載しておりません。

6.当社は、2019年8月14日付で普通株式1株につき100株の割合で株式分割を、2022年7月1日付で普通株式1株につき2株の割合で株式分割を行っております。第4期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益金額を算定しております。

7.第4期及び第5期の株主総利回り及び比較指標は、2021年4月6日に東京証券取引所JASDAQ(スタンダード)に上場したため、記載しておりません。第6期以降の株主総利回り及び比較指標は、2022年3月期末を基準として算定しております。

8.最高株価及び最低株価は2022年4月4日以降は東京証券取引所スタンダード市場、2022年4月3日以前は東京証券取引所JASDAQ(スタンダード)におけるものであります。ただし、当社株式は、2021年4月6日から東京証券取引所JASDAQ(スタンダード)に上場されており、それ以前の株価については該当事項がありません。なお、第7期の株価については株式分割後の最高株価及び最低株価を記載しており、株式分割前の最高株価及び最低株価を括弧内に記載しております。

 

 

2 【沿革】

 当社は、2016年8月に当社の実質的な存続会社であるセルムグループHD及び旧セルムの経営陣によるマネジメント・バイ・アウト(MBO)の受け皿会社としてCELM Group and Partners株式会社の商号で設立されました。2016年9月30日にセルムグループHDの既存株主から発行済株式の100%を取得することで完全子会社化した後、2016年11月1日にセルムグループHD及び旧セルムを吸収合併し、同日に商号をCELM Group and Partners株式会社から株式会社セルムに変更しております。

 

(1)当社(株式会社セルム)の主な事業の変遷

年月

概要

2016年8月

CELM Group and Partners株式会社を東京都渋谷区に設立 

2016年9月

MBOを目的とした合併を前提として、当社が株式会社セルムグループ・ホールディングス株式を100%取得

2016年11月

株式会社セルムグループ・ホールディングスと株式会社セルムを合併し、商号を株式会社セルムとして事業持株会社に移行

2019年1月

アリストテレスパートナーズ株式会社を設立

2019年2月

HRテック投資事業有限責任組合を設立

2020年9月

株式会社NANAIROを吸収合併

2021年4月

東京証券取引所JASDAQ(スタンダード)に株式を上場

2022年4月

東京証券取引所市場再編により、スタンダード市場へ移行

2023年3月

RISE Japan株式会社を吸収合併

2024年1月

キャリパージャパン株式会社の株式を100%取得し完全子会社化

2024年1月

キャリパージャパン株式会社が、ヒューマンストラテジーズジャパン株式会社に社名を変更

 

 

(2)セルムグループHD及び旧セルムが当社に吸収合併されるまでの主な事業の変遷

年月

概要

1995年12月

基本理念を社会における存在意義とし、顧客のニーズを「事業機会」と捉え、様々な事業にチャレンジしていくことを目的として東京都中央区に株式会社セルムを設立

1997年10月

本社を東京都渋谷区に移転

2000年6月

事業拡大に伴い渋谷区内で本社移転

2002年6月

関西支社を大阪市西区に設立

2002年7月

事業拡大に伴い渋谷区内で本社移転

2005年1月

事業拡大に伴い関西支社を大阪市北区に移転

2006年3月

株式会社セルム・サテライトマネジメントに商号変更

新設分割により、株式会社セルムを設立し、人材開発事業を承継

2006年8月

東京都渋谷区に株式会社ファーストキャリアを設立

2008年11月

中部支社を名古屋市中村区に設立

2011年4月

中国上海市に升励銘企業管理諮詢(上海)有限公司を設立

2011年5月

株式会社セルムグループ・ホールディングスに商号変更

2013年9月

事業拡大に伴い渋谷区内で本社移転

2013年12月

シンガポールにCELM ASIA Pte.Ltd.を設立 

2015年1月

事業拡大に伴い関西支社を大阪市北区内に移転

2015年4月

東京都渋谷区に株式会社NANAIROを設立 

2015年9月

東京都渋谷区にRISE Japan株式会社を設立 

2016年11月

CELM Group and Partners株式会社を存続会社として株式会社セルムグループ・ホールディングスと株式会社セルムを合併し、消滅会社となる

 

 

 

3 【事業の内容】

 当社グループは、当社及び連結子会社6社の計7社により構成されており、「ヒューマネスの力でビジネスをより“らしく”、より”いきいきと”」というパーパスのもと、企業固有の経営課題に「人と組織」の側面からアプローチすることにより、創造性溢れる豊かな社会の実現に向け、企業活動を推進しております。

 近年ますますグローバル化が進む中で、各企業においては、競争優位性を確立して持続的に成長するために不可欠な、「人材・組織基盤の強化」と「優れたリーダーの輩出」のニーズがますます高まっていると認識しております。

 高まるニーズに対し当社グループでは、企業経営やコンサルティングファームでの経験を有するプロフェッショナルタレントと連携し、その様々な領域の知見を活用して、顧客企業と共に本質的な課題を特定し、事業進化、イノベーション、経営高度化のための人材開発・組織開発を支援しております。

 当社グループは、顧客企業における人と組織に関わるコンサルティングや人材の育成と開発を支援する「人材開発・組織開発事業」と「その他事業」の2事業を以下のビジネスモデルを用いて運営しております。

 

 

(1)ビジネスモデルと事業の特長

 当社グループは、企業経営において重要度の高い人材開発並びに組織開発の課題解決を、顧客企業との長期間に亘る強固なパートナーシップに基づいて提供しております。

 

①当社のビジネスモデル

当社のビジネスモデルの特長は以下の3点であります。

i.  企業経営並びにコンサルティングファームでの経験を有する独立したプロフェッショナルタレントを中心とした1,600名超(2024年3月末現在の契約人数、うち2024年3月期の稼働人数570名)のコンサルタントのネットワーク

(注)プロフェッショナルタレントである人材開発サービスを提供している企業については、1法人を1名とカウント。

ⅱ. 経営課題に対して自社固有の解を探求し続ける大手企業との長期に亘るパートナーシップ

ⅲ. 定型の人材開発・組織開発プログラムを持たず、プロフェッショナルタレントとの共創によるテーラーメイド型のプログラム提供

 

この特長を活かして、当社グループは、経営的な視点・視座で顧客企業と共にディスカッションを通じて課題を特定し、解決策を顧客企業と共に練り上げ、企画の提案や実行支援を行っております。また、成果を検証し改善策や代替案を提供し続けることで、顧客企業の企業価値向上に貢献していると認識しております。

 


 

 

 

②事業の特長

i.大企業に特化した顧客基盤

   当社グループの取引先は、売上高2,000億円から5,000億円未満の規模を中心とした準大手企業や、複数の事業法人と多くの従業員を国内外拠点に展開し準大手企業以上の売上規模を有する大手企業であり、主要な顧客基盤として日本を代表する大企業との取引関係を有していることが特長であります。

ⅱ.顧客企業との長期に亘る継続取引

 3年以上の継続取引顧客(※)(旧セルムとの取引開始時含む)からの売上が過半です(当社管理システムから2024年3月期実績を集計)。その理由は、顧客企業の経営課題を理解し、解決に向け伴走する存在であると当社グループを捉えていただいているためと認識しております。

(※)継続取引顧客:当年度に当社単体において売上があった顧客のうち、前年度にも売上を計上していた顧客

ⅲ.顧客企業の複数の部門からの取引

 人事部門からの信頼をベースに様々な部門、グループ法人に取引が広がっており、経営企画部門、R&D部門、事業部、グループ関連会社等の人事部門以外とも取引しております。

ⅳ.経営における重要テーマ案件への関与

 主に経営人材育成、ミドルマネジメント革新、理念・ビジョン浸透等、企業経営における重要テーマに関与しております。

ⅴ.顧客と親密な関係を築くための営業体制

 経営戦略や事業戦略に紐づく組織課題に対し、企画・実行・フォローまで、あらゆる場面のプロジェクトマネジメントにセルムのフロントが最初から最後までコミットできるよう、経営陣から複数部署をカバーできる営業体制を組んでおります。

ⅵ.プロフェッショナルタレントのネットワーク

 プロフェッショナルタレントのネットワークは、1,600名を超えています。そのうち、コンサルティングファーム出身者、大手企業の人事部門幹部経験者、企業経営経験者が主であります。(当社管理システムから2024年3月期実績を集計)

 

 

(2)主なサービス

 当社グループは、人材開発・組織開発事業とその他事業の2事業を運営しておりますが、当社グループの提供するサービスの内容及び特長は以下のとおりであります。
 

 

[人材開発・組織開発事業]

 主なサービスとしては、①次期経営幹部人材の発掘・育成支援、②現役員陣等への経営メンタリング(現役員、並びに次期役員候補者を対象とした外部のプロフェッショナルタレントによるマンツーマンOJT)、③ミドルマネジメント革新、④人材開発体系の構築コンサルティング、⑤経営理念・ビジョン浸透/企業風土改革支援、⑥ASEAN・中国における人材開発・組織開発支援、⑦ファーストキャリア事業(内定期間から入社5年目までの体系的な人材開発と人材育成マインドの高い職場風土醸成)、⑧ヒューマンストラテジーズ事業(適性検査・コンピテンシー評価に基づくコンサルティング)、⑨障がい者の雇用・活躍支援等があります。

 

      次期経営幹部人材の発掘育成支援(主要な会社:㈱セルム)

ⅰ.対象 

  次期経営幹部人材(顧客企業の各部門、グループ企業、グローバル拠点等からの選出)

ⅱ.背景・目的

  経営リーダーとしての「軸」の開発を通じた経営幹部育成

ⅲ.特長

 個々人の経営人材としての資質の見極め、強み弱みの把握、その後の困難な課題・役割の付与(修羅場ポジション登用 例:事業部門や関連会社等において経営の実経験をさせること)をトータルで支援する、約1年間に亘るトレーニングプログラムであります。現経営陣、社外取締役、当社が選任するプロフェッショナルタレント陣との真剣な対話や議論を通じて、実施しております。また、トレーニング終了後はプログラム受講生による社内ネットワークが形成され、組織横断プロジェクト等への選任や変革チーム組成の際に大きな役割を果たすと考えております。

 また当社は、各社固有の課題から、経営環境の変化や経営トップの意向をダイレクトに確認しながら毎年経営塾のプログラムを進化させてまいります。同時に、トレーニング対象者一人ひとりのアセスメント(能力や適性の評価)や選定への助言まで踏み込んでいくことも顧客に期待されていると考えております。

②   現役員陣等への経営メンタリング(主要な会社:㈱セルム)

ⅰ.対象 

  現役員や次期役員候補者

ⅱ.背景・目的

  経営者に求められる視野・視点の獲得と意識変革の促進

ⅲ.特長

 プロフェッショナルタレントとの対話を繰り返す中で、経営リーダーとしての意識、言葉、行動について、プロフェッショナルタレントが対象者へ実践的な指導と助言を行うものであります。役員レベルへの登用前後に導入することで、当人のパフォーマンス向上のみならず、事業・組織変革の動きを加速させることができると考えております。

③   ミドルマネジメント革新(主要な会社:㈱セルム)

ⅰ.対象 

  経営トップ層と現場をつなぐミドルマネジメント層

ⅱ.背景・目的

 事業変革やイノベーションの要請、ダイバーシティの推進、働き方改革等、組織が断続的な変化にさらされる中で成長期待が益々高まっているミドルマネジメント層の育成

ⅲ.特長

 現在では管理職昇格前後の一定期間をマネジメント育成期間と位置付け、集合トレーニングとオンラインのグループで行うコーチング、アセスメント等を組み合わせた、計画的なトレーニングが当社顧客から求められており、この動きは今後大きく広がるものと思われます。経営の一員として高い視座をもって職務にあたる意識の改革、組織能力向上のためのリーダーシップ強化、働く価値観やキャリア観の多様化に対応するピープルマネジメント力(*)等、ミドルマネジメント層の育成目標を各社固有の課題に合わせて定め、テーラーメイドで育成体系とプログラムを立案、実行支援しております。トレーニングを一過性のものに終わらせないために、トレーニングプログラム前後やトレーニング期間中に、職場での実践と上司や同僚からのフィードバックを促すプログラムを組み込む工夫もしております。これにより学びと気づきを実践し続ける行動習慣を身につけることがよりできるようになると考えております。また、当社は、経営塾を提供するプロセスの中で、顧客企業の経営トップ層と対話をするため、経営トップ層の持つ問題意識や価値観を理解しやすいと考えております。上述の理解により、最適なプロフェッショナルタレントの選任と効果的なプログラムの設計が可能となり、人材育成の投資対効果を向上できると考えております。

④   人材開発体系の構築コンサルティング(主要な会社:㈱セルム)

ⅰ.対象 

  主に人事部門、経営戦略部門

ⅱ.背景・目的

 顧客企業の経営理念と戦略に同期した、戦略実行を担う人材を継続的に開発していくための人材開発体系の構築

ⅲ.特長

 顧客企業の中長期的な経営シナリオや事業環境の変化を鑑みて、人材の要件を定義し、開発目標を定め、各種育成施策と投資計画に反映させていくコンサルティングを、当社の組織人材開発コンサルタントが提供いたします。当社の組織人材開発コンサルタントが顧客企業のプロジェクトチームを支援・進行する形で行います。本サービスは、中長期ビジョンの見直し、基本戦略の変更、人事制度の改変等、企業経営の節目にニーズが発生する上に、その提供プロセスにおいて、経営トップとのインタビュー、役員陣のワークショップ、現場へのヒアリング等、多岐に渡る活動を行うため、顧客企業との信頼関係が一気に深まる契機となると当社は考えております。また、本サービスは体系構築から個別の育成施策(トレーニングプログラム、アセスメント、メンタリング等)の支援へとつながっていくため、顧客企業との長期的なパートナーシップを更に深め、当社内に知見を蓄え続けていくことができると考えております。

⑤   経営理念・ビジョン浸透/企業風土改革支援(主要な会社:㈱セルム)

ⅰ.対象

主に人事部門、経営戦略部門

ⅱ.背景・目的

 組織の一体感、求心力、健全性を高め、顧客企業の経営理念、ビジョン、行動指針(Value)の浸透

ⅲ.特長

 これまで蓄積してきた人材開発・組織開発のノウハウを活かし、経営トップ、事業トップと社員との対話や、現在の組織の状態や職場風土と真摯に向き合う場を設定しております。

 企業のM&A施策に伴う組織再編や経営トップの交代のような大きな経営改革時、及び不祥事発生後のタイミングでのニーズが多く、パートナーシップによる企業理解と信頼をベースに、各社固有の課題に合わせたプログラムの設計を実施しております。

⑥   ASEAN・中国における人材開発・組織開発支援(主要な会社:升励銘企業管理諮詢(上海)有限公司、CELM ASIA Pte. Ltd.)

ⅰ.対象

 日本企業のASEAN・中国における現地スタッフ(主に経営幹部クラス)

ⅱ.背景・目的

 人材流動化・人材争奪戦が激しく人材マネジメント課題が多い地域と当社が考えるASEAN・中国における、顧客企業の現地での事業成長と組織発展のためのサポート

ⅲ.特長

 上記の目的のため、現地スタッフを対象として人材開発や、組織風土改革等の組織開発を支援しております。人材開発においては、幹部候補になり得る人材を発掘、戦略策定力やリーダーシップ力を開発するプログラムを提供しております。さらには、「タレントマネジメント(国・地域ごとのリーダー人材の把握、アサインメント、評価、育成の一貫した仕組み)」を支援しております。

 組織開発においては、自社の経営理念や行動指針の浸透と、チームワークによる問題解決の組織風土づくりを支援しております。

 特長としては、以下の3点であると認識しております。

・各国のビジネス環境を理解したプロフェッショナルタレントのネットワークを構築していること

・現地の経営トップとの人脈形成や実践事例共有のための異業種交流ネットワークを構築していること

・現地の実情やリーダーの想いと、日本本社関係者の意図や課題認識の両方を深く理解した日本本社とASEAN及び中国拠点のブリッジパーソン(架け橋となる役割)としての役割を担えていること

⑦   ファーストキャリア事業(主要な会社:㈱ファーストキャリア)

ⅰ.対象 

 入社前の内定者から入社後5年目までの若手社員(育つ側)に対するトレーニングプログラムの提供、社員育成を管理する顧客企業人事部(育てる側)への育成体系の構築・コンサルティング支援

ⅱ.背景・目的

 入社後5年目までの社員の早期戦力化・早期離職の防止は、顧客企業の人材育成方針において、年々課題意識が高まっているため

ⅲ.特長

入社5年目までの時期(ファーストキャリア期)における一貫した人材開発体系の構築支援、各種トレーニングプログラムの企画・開発・実行を支援しております。

⑧   ヒューマンストラテジーズ事業(主要な会社:ヒューマンストラテジーズ㈱)

ⅰ.対象 

データ分析を通じて適切な人材と職務のマッチングを確認し、「次世代経営人材の抜擢」、「社員のキャリア開発」などのテーマで戦略的に組織力を向上させたい経営者、事業責任者、人事責任者

ⅱ.背景・目的

 個人のモチベーションや潜在的な能力と仕事で求められる成果行動(コンピテンシー)をマッチングさせることで、高い成果を生む人員の抜擢、異動等が実現できる蓋然性が高まるため

ⅲ.特長

人が持つ「コンピテンシー(内的動機)に着目した独自の適性検査・コンピテンシー評価に基づくコンサルティングを通じ、顧客企業の人材組織開発の構築支援をしております。

⑨   障がい者の雇用・活躍支援(主要な会社:㈱セルム)

ⅰ.対象

 人事部門及び障がい者受入部門

ⅱ.背景・目的

 障がい者が活躍できる職域開発、採用、定着支援

ⅲ.特長

 企業における障がい者の雇用・定着・活躍支援を、人材開発と組織開発双方の視点からトータルにアプローチしております。障がい者の個々人の持ち味や能力特性を積極的に活かしていくべく、主に2つのサービスを提供しております。

 [障がい者の人材紹介サービス]

  複数の企業と障がい者が参加する合同面接会を通じて、企業側の職場風土・受け入れ体制と障がい者のパーソナリティ・経験の双方を確認しあう機会を提供し、双方にとって納得感ある人材紹介サービスを提供しております。さらに、就職後の定着支援も行っております。

[障がい者の定着・活躍支援の組織開発サービス]

障がい者の定着に関するアドバイスや、受け入れ側の職場の社員の意識醸成のためのプログラム提供、障がい者が働きやすい業務設計コンサルティング等、採用後の長期的な定着のためのサービスを提供しております。
 

[その他事業]

⑩  コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)事業(主要な会社:アリストテレスパートナーズ㈱、HRテック投資事業有限責任組合)

 テクノロジーの進化による生産性向上が進む中、企業の人事部門におけるテクノロジーの導入はまだ始まったばかりと認識しており、成功事例が出てくるのは数年先だと当社グループは考えております。その中でも人材開発・組織開発の分野はまだ実験段階にあると判断しております。そこで当社グループの顧客企業の人材開発・組織開発の投資対効果をより向上させるため、国内外のHRテックベンチャー企業(HRテック:人事領域でのテクノロジー活用)への投資と成長支援を行います。当社グループが持つ豊富な顧客基盤を活かして、従来の当社グループのサービスにHRテックベンチャー企業の技術を加えた新たなソリューションを顧客企業に提供することで新たな収益機会の創出を図っております。

 

  [事業系統図]


(注) 当社グループでは、顧客企業のニーズに対し、プロフェッショナルタレントと連携して人材開発・組織開発を支援しております。上記のプロフェッショナルタレントには、当社の関連当事者であるウィルコムズ有限会社を含んでおり、関連当事者取引について関連当事者情報に記載してあります。

 

 

4 【関係会社の状況】

 

名称

住所

資本金又は 

出資金

主要な事業
の内容

議決権の所有
又は被所有
割合(%)

関係内容

(連結子会社)

 

 

 

 

 

㈱ファーストキャリア

(注)2、5

東京都渋谷区

42,340千円

人材開発・組織開発事業

100.0

コーポレート業務委託

営業取引

役員の兼任 2名

ヒューマンストラテジーズジャパン㈱

東京都千代田区

10,000千円

人材開発・組織開発事業

100.0

コーポレート業務委託

営業取引

資金の貸付

役員の兼任 2名

升励銘企業管理諮詢(上海)有限公司(注)2

中国上海市

7,952千元

人材開発・組織開発事業

100.0

コーポレート業務委託

資金の貸付

CELM ASIA Pte. Ltd.

シンガポール

500千SGD

人材開発・組織開発事業

100.0

コーポレート業務委託

アリストテレスパートナーズ㈱

東京都渋谷区

10,000千円

その他事業

100.0

コーポレート業務委託

役員の兼任 1名

HRテック投資事業有限責任組合(注)2

東京都渋谷区

253,000千円

その他事業

99.6

(0.4)

 

(注)1.「主要な事業の内容」欄には、セグメント情報に記載された名称を記載しております。

2.特定子会社であります。

3.議決権の所有又は被所有割合の欄の(内書)は間接所有であります。

4.有価証券届出書又は有価証券報告書を提出している会社はありません。

5.㈱ファーストキャリアについては、売上高(連結会社相互間の内部売上高を除く)の連結売上高に占める割合が10%を超えております。

  主要な損益情報等  ①  売上高            1,353,146千円

                      ②  経常利益             353,339〃

                      ③  当期純利益            241,901〃

                      ④  純資産額              540,192〃

                      ⑤  総資産額              752,381〃

 

 

5 【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

 

2024年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(名)

人材開発・組織開発事業

169

全社(共通)

18

合計

187

 

(注) 1.従業員数は、当社グループから当社グループ外への出向者を除き、当社グループ外から当社グループへの出向者を含む就業人員数であり、臨時従業員(パートタイマー及び嘱託契約の従業員を含み、派遣社員を除く。)は、従業員数の100分の10未満のため記載しておりません。

2.全社(共通)は、総務及び経理等の管理部門の従業員であります。

3.CVC事業の従業員に関しては、取締役のみで構成されているため記載しておりません。

 

(2) 提出会社の状況

 

 

 

2024年3月31日現在

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

137

37.5

5.91

6,805

 

(注) 1.従業員数は、当社から他社への出向者を除き、他社から当社への出向者を含む就業人員数であり、臨時従業員(パートタイマー及び嘱託契約の従業員を含み、派遣社員を除く。)は、従業員数の100分の10未満のため記載しておりません。

2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

3.当社の事業は単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

 

(3) 労働組合の状況

当社グループにおいて労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満であり、特記すべき事項はありません。

 

(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

 ① 提出会社

当事業年度

管理職に

占める

女性労働者

の割合(%)

(注1)

男性労働者の

育児休業

取得率(%)

(注2)

労働者の男女の

賃金の差異(%)(注1)

全労働者

正規雇用

労働者

パート・

有期労働者

20.0

55.9

57.1

37.7

 

(注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。