第一部 【企業情報】

 

第1 【企業の概況】

 

1 【主要な経営指標等の推移】

(1) 連結経営指標等

 

回次

国際会計基準

移行日

第3期

第4期

決算年月

2022年4月1日

2023年3月

2024年3月

売上収益

(百万円)

24,170

29,792

税引前当期利益

(百万円)

2,877

4,706

親会社の所有者に帰属
する当期利益

(百万円)

1,812

3,545

親会社の所有者に帰属
する当期包括利益

(百万円)

1,729

3,605

親会社の所有者に帰属
する持分

(百万円)

5,144

6,886

10,427

総資産額

(百万円)

17,827

22,725

25,311

1株当たり親会社所有者
帰属持分

(円)

144.44

193.17

292.25

基本的1株当たり
当期利益

(円)

50.85

99.38

希薄化後1株当たり
当期利益

(円)

50.65

99.04

親会社所有者帰属
持分比率

(%)

28.9

30.3

41.2

親会社所有者帰属
持分利益率

(%)

30.1

41.0

株価収益率

(倍)

50.62

21.33

営業活動による
キャッシュ・フロー

(百万円)

4,188

5,389

投資活動による
キャッシュ・フロー

(百万円)

2,995

1,199

財務活動による
キャッシュ・フロー

(百万円)

225

3,383

現金及び現金同等物
の期末残高

(百万円)

2,282

3,700

4,507

従業員数

(名)

3,156

4,137

4,714

〔うち、平均臨時
雇用人員〕

(550)

(848)

(942)

 

(注) 1.第4期より国際会計基準(以下「IFRS」という。)に基づいて連結財務諸表を作成しています。

2.記載金額は百万円未満を四捨五入して表示しています。

3.従業員数は就業人員(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。)であり、平均臨時雇用者数(契約社員・アルバイト)は、年間の平均人員を( )内数で記載しています。

 

 

 

回次

日本基準

第1期

第2期

第3期

第4期

決算年月

2021年3月

2022年3月

2023年3月

2024年3月

売上高

(百万円)

19,737

24,170

29,792

経常利益

(百万円)

2,241

2,809

3,173

親会社株主に帰属する
当期純利益

(百万円)

1,078

1,644

3,098

包括利益

(百万円)

1,078

1,644

3,098

純資産額

(百万円)

5,753

7,407

10,417

総資産額

(百万円)

14,302

18,904

21,190

1株当たり純資産額

(円)

157.42

200.43

291.96

1株当たり当期純利益

(円)

30.32

46.15

86.85

潜在株式調整後
1株当たり当期純利益

(円)

30.16

45.97

86.56

自己資本比率

(%)

39.2

37.8

47.5

自己資本利益率

(%)

19.2

25.8

36.0

株価収益率

(倍)

94.23

55.77

24.41

営業活動による
キャッシュ・フロー

(百万円)

1,692

2,911

3,702

投資活動による
キャッシュ・フロー

(百万円)

2,759

2,995

1,199

財務活動による
キャッシュ・フロー

(百万円)

2,109

1,502

1,697

現金及び現金同等物
の期末残高

(百万円)

2,282

3,700

4,507

従業員数

(人)

3,156

4,137

4,714

(うち、平均臨時雇用者数)

(-)

(550)

(848)

(942)

 

(注) 1.第4期の諸数値につきましては、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査を受けていません。

2.第2期より連結財務諸表を作成しているため、それ以前については記載していません。

3.当社株式は2021年4月1日付で、当社を株式交換完全親会社とし株式会社LITALICOパートナーズ(E32144)(2021年3月30日付で東京証券取引所にて上場廃止)を株式交換完全子会社とする株式交換(特定組織再編成)を行い、東京証券取引所市場第一部にテクニカル上場いたしました。そのため、第1期末日時点では、株式会社LITALICOパートナーズ(E32144)が当社の親会社でありましたので、第1期における連結財務情報等は、株式会社LITALICOパートナーズ(E32144)の第16期有価証券報告書をご参照ください。

4.従業員数は就業人員(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。)であり、平均臨時雇用者数(契約社員・アルバイト)は、年間の平均人員を( )内数で記載しています。

5.当社は2021年10月1日付で普通株式1株につき2株の割合で株式分割を行っていますが、第2期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり当期純利益を算定しています。

 

(2) 提出会社の経営指標等

 

回次

第1期

第2期

第3期

第4期

決算年月

2021年3月

2022年3月

2023年3月

2024年3月

売上高

(百万円)

1,003

4,317

5,891

7,061

経常利益又は経常損失(△)

(百万円)

139

388

1,717

1,936

当期純利益又は当期純損失(△)

(百万円)

122

246

1,914

2,131

資本金

(百万円)

10

428

464

501

発行済株式総数

(株)

200

35,617,112

35,648,812

35,681,112

純資産

(百万円)

171

5,931

7,855

9,905

総資産

(百万円)

910

12,941

16,504

17,871

1株当たり純資産額

(円)

429,374.28

162.39

212.96

268.04

1株当たり配当額

(円)

6.50

8.00

(うち1株当たり中間配当額)

(-)

(-)

(-)

(-)

1株当たり当期純利益又は1株当たり当期純損失(△)

(円)

306,341.98

6.94

53.72

59.73

潜在株式調整後1株当たり当期純利益

(円)

6.91

53.51

59.53

自己資本比率

(%)

18.9

44.7

46.0

53.5

自己資本利益率

(%)

8.29

28.63

24.84

株価収益率

(倍)

411.67

47.92

35.49

配当性向

(%)

12.10

13.39

営業活動によるキャッシュ・フロー

(百万円)

194

投資活動によるキャッシュ・フロー

(百万円)

299

財務活動によるキャッシュ・フロー

(百万円)

593

現金及び現金同等物の期末残高

(百万円)

99

従業員数

(人)

161

972

1,251

1,429

(うち、平均臨時雇用者数)

(27)

(422)

(572)

(655)

株主総利回り

(%)

90.5

74.9

(比較指標:配当込みTOPIX)

(%)

(-)

(-)

(105.8)

(149.6)

最高株価

(円)

4,575

(7,270)

3,245

 

2,852

 

最低株価

(円)

2,188

(4,010)

1,900

 

1,794

 

 

 

(注) 1.当社は、2020年4月1日に株式会社LITALICOパートナーズ(E32144)から新設分割により設立された法人であるため、それ以前に係る記載はしていません。

2.第1期から第2期までの1株当たり配当額及び配当性向については、配当を実施していないため、記載していません

3.従業員数は就業人員(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。)であり、臨時雇用者数(契約社員・アルバイト)は、年間の平均人員を( )内数で記載しています。

4.第1期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在せず、当社株式は第1期末日時点では非上場であったため、期中平均株価が把握できませんので、また、1株当たり当期純損失であるため記載していません。

5.第1期の自己資本利益率は、当期純損失であるため記載していません。

6.第1期の株価収益率は、当社株式は第1期末日時点では非上場であったため、記載していません。

7.当社株式は2021年4月1日付で、当社を株式交換完全親会社とし株式会社LITALICOパートナーズ(E32144)(2021年3月30日付で東京証券取引所にて上場廃止)を株式交換完全子会社とする株式交換(特定組織再編成)を行い、東京証券取引所市場第一部にテクニカル上場いたしました。これにより、第2期の経営指標等は、第1期と比較して大きく変動しています。

8.第2期より連結財務諸表を作成しているため、第2期以降の営業活動によるキャッシュ・フロー、投資活動によるキャッシュ・フロー、財務活動によるキャッシュ・フロー及び現金及び現金同等物の期末残高は記載していません。

9.第1期及び第2期の株主総利回り(比較指標)は、2021年4月1日付で東京証券取引所市場第一部に上場しているため、記載していません。第3期の株主総利回り(比較指標)は2022年3月期末の株価を基準として算定しています。

10.最高・最低株価は、2022年4月3日以前は東京証券取引所市場第一部におけるものであり、2022年4月4日以降は東京証券取引所プライム市場におけるものです。なお、2021年4月1日付で同取引所に上場しているため、それ以前の株価については記載していません。また、2021年10月1日付で普通株式1株につき2株の株式分割を行っており、第2期の最高株価及び最低株価のうち( )書きは株式分割前の最高株価及び最低株価を記載しています。

11.当社は2021年10月1日付で普通株式1株につき2株の割合で株式分割を行っていますが、第1期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、発行済株式総数、1株当たり当期純利益又は1株当たり当期純損失(△)及び1株当たり純資産額を算定しています。

 

 

2 【沿革】

 

年月

概要

2020年4月

株式会社LITALICO(現 株式会社LITALICOパートナーズ(E32144)と表記します。)の福祉領域におけるインターネットプラットフォーム事業を新設分割により分社化し、当社設立。

設立時商号:株式会社LITALICOメディア&ソリューションズ

2020年9月

株式会社LITALICOパートナーズ(E32144)と株式交換契約を締結。

2021年4月

株式交換に伴い、東京証券取引所市場第一部に株式をテクニカル上場するとともに、商号を株式会社LITALICOメディア&ソリューションズから、株式会社LITALICOへ変更する。

2022年3月

介護施設向けソフトウエアを提供する、プラスワンソリューションズ株式会社を100%グループ会社化

2022年4月

東京証券取引所の市場区分の見直しにより、市場第一部からプライム市場に移行。

2023年1月

100%子会社である福祉ソフト株式会社を吸収合併。

2023年1月

介護デイサービス「nagomi」を運営する、株式会社nCSを100%グループ会社化。

2023年2月

訪問看護ステーション「Amu.あむ」及びグループホーム「あむハウス」を運営する、Amu.あむ株式会社を100%グループ会社化。

2023年2月

就労移行支援事業所及び就労継続A型事業所「ヒューマングロー」を運営する、株式会社ヒューマングローを100%グループ会社化。

2023年4月

放課後等デイサービス事業「unico」を運営する、株式会社unicoを100%グループ会社化。

2023年10月

訪問看護ステーション「ぱれっと訪問看護リハビリステーション」を運営する、株式会社VISITを100%グループ会社化。

2024年6月

米国デラウェア州にて100%子会社であるLITALICO Corporationを設立。

2024年6月

米国ネブラスカ州にて強度行動障害者向けグループホーム等を運営するDevelopmental Disability Center of Nebraska, LLC(DDCN社)を100%グループ会社化。

 

(参考情報)

 株式交換により当社の完全子会社となりました株式会社LITALICOパートナーズ(E32144)の沿革は以下の通りです。

年月

概要

2005年12月

障害者の就労促進を目的に宮城県仙台市宮城野区に株式会社イデアルキャリアを設立。

2006年8月

株式会社ウイングルに商号変更。

2008年2月

子会社株式会社ウイングル・ヒューマンサポートを設立し、同年3月より、現在の就労支援事業のうち就労移行支援事業を開始。※当該子会社は2010年5月で吸収合併

2011年6月

東京都目黒区に学習塾Leaf中目黒校(現LITALICOジュニア中目黒教室パーソナルコース)を開設し、現在のLITALICOジュニアパーソナルコースを開始。

2011年10月

東京都目黒区にLeafジュニア中目黒教室(現LITALICOジュニア中目黒教室スタンダードコース)を開設し、現在の児童福祉事業のうち児童発達支援事業を開始。

2013年6月

現在の就労支援事業のうち特定相談支援事業開始。

2013年12月

現在地(東京都目黒区上目黒)に本社機能を移転。

2014年4月

東京都渋谷区にQremo渋谷校(現LITALICOワンダー渋谷)を開設し、現在のLITALICOワンダーを開始。

2014年6月

株式会社LITALICOに商号変更し、登記上の本店所在地を東京都目黒区に移転。

2015年12月

神奈川県川崎市川崎区にLeaf川崎砂子教室(現LITALICOジュニア川崎砂子教室スタンダードコース)を開設し、現在の児童福祉事業のうち放課後等デイサービス事業を開始。

2016年1月

発達障害のある子どもや発達が気になる子どもを持つご家族を対象とするポータルサイトLITALICO発達ナビをオープン。

2016年3月

東京証券取引所マザーズに株式を上場。

2016年8月

サービスブランドをLITALICOに統一。

2017年3月

東京証券取引所市場第一部に株式を上場。

2017年12月

100%子会社株式会社LITALICOライフを設立。

2018年3月

働くことに障害のある方を対象とする就職情報ポータルサイトLITALICO仕事ナビをオープン。

2019年2月

障害福祉分野に特化した就職・転職支援サービスLITALICOキャリアをオープン。

2020年4月

株式会社LITALICOメディア&ソリューションズ(当社)を、新設分割により設立

2021年1月

福祉施設向けソフトウエアを提供する、福祉ソフト株式会社を100%グループ会社化

2021年3月

株式交換に伴う上場の廃止

2021年4月

商号を株式会社LITALICOパートナーズへ変更するとともに、吸収分割により就労支援事業及び児童福祉事業領域以外を、現在の株式会社LITALICOへ承継。

 

 

3 【事業の内容】

LITALICOグループ(当社及び当社の関係会社であり、以下「当社グループ」とする。)は、「障害のない社会をつくる」というビジョンのもとで社会課題を解決するための事業を、基幹事業として運営しています。

 

当社グループは「障害のない社会をつくる」というビジョンのもと、2005年の創業時より障害福祉領域において事業を展開してまいりました。現在全国300施設以上で就労や学びを支援するサービスを提供しています。加えて、プログラミング等一般教育分野への展開も進めています。さらに、これらの施設運営で培ってきたノウハウを活用し、障害福祉領域におけるインターネットプラットフォームサービスを展開しています。自社運営の施設サービスとインターネットプラットフォーム事業を組み合わせることで、より高品質のサービスをより多くの方々へ提供し、ビジョンの実現を目指しています。

提出日現在、個人向けサービスとしてLITALICOワークス、LITALICOジュニアスタンダードコース、LITALICOジュニアパーソナルコース、LITALICOワンダー、LITALICOライフの5サービスを、また施設や従事者向けのインターネットプラットフォームサービスとしてLITALICO発達ナビ、LITALICO仕事ナビ、LITALICOキャリアの3サービスを中心に運営しています。

内閣府「障害者白書」(令和5年版)によると、日本における障害者数は、身体障害者436万人(人口千人当たり34人)、知的障害者109.4万人(同9人)、精神障害者614.8万人(同49人)であり、およそ国民の9.2%が何らかの障害を有していることになります。

このような状況をうけ、一人ひとりの可能性が最大化され、生きづらさを解消するための問題解決を、以下の事業を通じて実現しています。

 

当社グループのセグメント区分と事業・サービスは下記のとおりです。

なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しています。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記6.セグメント情報」をご参照ください。

 

(1) 就労支援事業

 就労を目指す障害者を対象に就労後の職場定着まで一貫した支援を実施する事業

主要な顧客

概要

就労を目指す障害のある方

 

(就労移行支援事業)

公費による就職するための訓練・就職活動支援

(就労定着支援事業)

公費による就職後の定着支援

(特定相談支援事業)

公費による福祉サービスを利用するための利用計画の作成、モニタリング

(就労継続A型事業)

公費による就業を通じた訓練・就職活動支援

 

 

(2) 児童福祉事業

児童発達支援事業、放課後等デイサービス事業、保育所等訪問支援事業

主要な顧客

概要

発達障害児を中心とした児童

(児童発達支援事業)

行政(市区町村)によってサービス受給者証を発行された未就学児を対象に、公費による学習面・行動面・コミュニケーション面等の指導

(放課後等デイサービス事業)

行政(市区町村)によってサービス受給者証を発行された学齢期の児童を対象に、公費による学習面・行動面・コミュニケーション面等の指導

(保育所等訪問支援事業)

行政(市区町村)によってサービス受給者証を発行された未就学児・小学生・中高生を対象に、公費により、その児童が通う保育所等へ訪問し、学習面・行動面・コミュニケーション面等の指導

 

 

(3) プラットフォーム事業

施設の利用者や従事者向けとしてマッチングメディア運営及び人材紹介サービスを提供し、施設向けSaaS事業として集客や採用支援及び経営支援のプロダクトを提供する事業

主要な顧客

概要

福祉サービス事業所

(ソリューション領域)

施設向けSaaS事業として集客支援及び請求支援ソフト等の経営支援のプロダクトを提供

障害児のご家族

就労を目指す障害のある方

(メディア領域)

障害児のご家族向け及び働くことに障害のある方向け就職情報ポータルサイトの運営等

福祉分野の求職者

福祉分野の求人事業者

及び

障害のある求職者

障害者雇用を目指す事業者

(人材領域)

障害福祉分野に特化した就職・転職支援サービス

障害者雇用に特化した就職・転職支援サービス

求人情報の掲載に加えて、様々な職種に関する情報等の提供

 

(注) 1 国民健康保険団体連合会等の行政から報酬を得る事業を公費事業(公費)と定めています。

 

(1) 就労支援事業

就労支援事業は、主として就労移行支援事業、就労定着支援事業、特定相談支援事業の3つの公費サービスから構成されています。

① 就労移行支援事業

当サービスは、行政(市区町村)によって障害福祉サービス受給者証を発行された65歳未満の障害者に対して、就労移行支援を行うサービスです。そのサービス内容は、就労を目指す65歳未満の障害者(以下、顧客という)を対象にしたコミュニケーション訓練、PCスキルを向上するための訓練、職場実習等の職業訓練等であり、これらを実施することで、顧客の適性と希望職種のマッチング、応募先企業の開拓や選定時のサポートを行います。また、企業を選定した後には、模擬面接等の面接訓練も行い、さらに就労後6ヶ月間まで定着の支援を行います。

就労移行支援事業所には、障害者総合支援法により一定数のサービス管理責任者や職業指導員等の人員配置が定められています。

a.就職実績

積極的な求人開拓と書類添削や模擬面接、面接同行などの就活支援を実施しており、LITALICOグループ創業以来の就職者数は10,000名を超えています。

b.長く働くための充実したカリキュラム

電話応対、ビジネスコミュニケーション、ストレス対処法など豊富な実践的プログラムやPC訓練にとどまらず、「長く安心して働き続けたい。」顧客のそんな気持ちに応える就労支援サービスを提供しています。自分にあった就職をすることと、ひとりで抱え込まないことなど、「どう働きたいか」「自分らしく働く」を大切に、カリキュラムを構成しています。

c.顧客に即した支援サービスを提供するための採用と育成体制

本セグメントにおける運営施設数の多数を占めるLITALICOワークスでは、入社時に知識として、「就労移行支援の理解」「障害に関する知識の習得」「支援方法の理解」を学びます。その後の6ヶ月間、事業所での実践を踏まえて、知識がスキルとして定着するようフォローアップ研修を行っていきます。研修は単なる座学の提供にとどまらず、テストによる理解度確認や、ロールプレイを通して実践的な理解を促進するなど、支援で求められる知識とスキルを身につけられる内容になっています。

また、スキルアップとして社内で設けている等級制度に則り、スキルアップしていくための研修を実施しています。障害のある方に対しての支援スキルのみならず、雇用側の企業に対してのアプローチ方法や、各種社会資源と連携しながら地域での支援をコーディネートしていくソーシャルワークなど、就労支援における一連の業務を正しく理解、実践していることを、知識の埋め込みだけでなくプレゼンやロールプレイ、さらには実地でのスーパーバイズも交え、実践を重視した研修を行っています。

d.職場定着支援

就職者と就職先企業双方へアプローチを行い、就職者の継続的な就労を6ヶ月間まで支援しています。具体的には、企業と就職者との三者面談や企業との二者面談、就職者との二者面談を行い、就職先での活躍と定着を支援しています。

② 就労定着支援事業

当サービスは、行政(市区町村)によって障害福祉サービス受給者証を発行された65歳未満の就労者に対して、定着支援を行うサービスです。就労後6ヶ月以降から最大3年間利用可能で、月に1回の就職者との面談等を行います。就労定着支援事業所には、障害者総合支援法により一定数のサービス管理責任者や就労定着支援員等の人員配置が定められています。

③ 特定相談支援事業

当サービスは、当社グループの運営する相談支援センターにおいて基本相談支援と計画相談支援を行うサービスです。障害福祉サービスを利用する前に、障害のある方に適した「サービス等利用計画」を作成し、利用計画を作成した後も定期的に障害福祉サービスの利用状況などをモニタリングして、変更が必要な場合には利用計画の改善を行うサービスです。相談支援センターには、障害者総合支援法により一定数の相談支援専門員等の人員配置が定められています。

 

(2) 児童福祉事業

児童福祉事業は、主として児童発達支援事業、放課後等デイサービス事業、保育所等訪問支援事業の3つのサービスから構成されています。全サービスともに以下の特徴を有しています。

a.個別最適で多様性を持つ教育

児童一人ひとりの発達段階に沿った指導計画を用いることで、児童が持つ多様な可能性を拡げる個別最適な指導の実践しています。小さな成功体験を繰り返し積むことで、児童が徐々に目標に到達できるように指導計画を工夫しています。

b.保護者・地域社会とのコミュニケーションの充実

児童に対する教育は、教室の中だけではなく家庭においても重要ですので、保護者が教室内での授業を、外からモニタで見学できるITシステムを導入し、保護者に対して授業内容のフィードバックや教育ノウハウの個別アドバイスも実施しています。また、家庭だけではなく児童が生活する地域社会への働きかけも重視しており、保育園や幼稚園、医療機関と連携した指導計画の策定を行っています。このように、児童とその家庭だけではなく、地域社会そのものへの働きかけを行うことも特徴の一つです。

c.教室スタッフの専門性

本セグメントにおける運営施設数の多数を占めるLITALICOジュニアスタンダードコースでは、教室スタッフは、健常児だけの教室や、障害児だけの教室のスタッフにはない教育スキルや、保護者とのコミュニケーション能力が必要となりますので、それを可能とする教室スタッフの採用や育成に注力しています。採用においては、実務経験の有無だけでなく、高度なコミュニケーション能力を備えているか、児童の成長により良い影響を与えられる人材であるか、といった側面も重視して選考しています。育成においては専門の部門を設置しており、新入スタッフは入社時に1ヶ月間の研修を受けています。また研修部門では、既存スタッフの能力練磨も担っており、人事制度と連携させることでスタッフの成長意欲を亢進させています。研修部門の講師には国内外から有識者、経験者を募り、体系的な学問に基づく独自の教育体系を構築しています。

d.教室の内装と立地

児童や保護者が教室に通うことへの抵抗感を減らし、楽しんで通いたくなる教室を目指して、所謂「施設」のイメージではなく遊び心のあるポップな家具や内装にしています。教室の出店は原則的に沿線・地域に沿ってドミナント展開することで、保護者間の口コミや関係機関との信頼構築にも有利に働いており、新規出店時の顧客獲得も容易となるなど、新規出店後数ヶ月を待たずに定員に達する傾向にあります。

① 児童発達支援事業

当サービスは、行政(市区町村)によってサービス受給者証を発行された未就学児に対し、日常生活における基本的な動作の指導、知識技能の付与、集団生活への適応訓練等を提供するサービスです。児童発達支援事業には、児童福祉法により一定数の児童発達支援管理責任者や指導員等の人員配置が定められています。

② 放課後等デイサービス事業

当サービスは、行政(市区町村)によってサービス受給者証を発行された学齢期の児童を中心に、授業の終了後又は休業日に、生活能力の向上のために必要な訓練、社会との交流の促進その他の便宜を提供するサービスです。放課後等デイサービス事業には、児童福祉法により一定数の児童発達支援管理責任者や指導員等の人員配置が定められています。

③ 保育所等訪問支援事業

当サービスは、行政(市区町村)によってサービス受給者証を発行された児童に対し、その児童が通う保育所、幼稚園、小学校等の施設へ指導員が訪問し、集団生活への適応訓練等を提供するサービスです。保育所等訪問支援事業には、児童福祉法により一定数の児童発達支援管理責任者や訪問支援員等の人員配置が定められています。

 

(3) プラットフォーム事業

LITALICO発達ナビ、LITALICO仕事ナビ、LITALICOキャリア及びその他請求管理システムの各サービスから構成されています。

① LITALICO発達ナビ

当サービスは、発達障害児や発達が気になる子どもを持つご家族を対象とするポータルサイト『LITALICO発達ナビ』を通して、サイトユーザーに向けてユーザー同士が質問し合えるSNS機能や、地域の施設情報の口コミ情報、療育事例、その他発達障害児の子育てに関する情報を提供しています。

また、障害児を対象とした障害福祉サービスの事業所(児童発達支援、放課後等デイサービス)に向けて、『LITALICO発達ナビ』上に施設情報を掲出し、サイトユーザーからの問い合わせが獲得できるサービスと、手軽にオンライン上で研修を受けたり、利用したい教材を検索しダウンロードできる研修・教材サービス、そして事務作業を一元管理できる運営支援サービスを提供しています。

② LITALICO仕事ナビ

当サービスは、働くことに障害のある方を対象とする就職情報ポータルサイト『LITALICO仕事ナビ』を通して、サイトユーザーに向けて地域の就労支援施設が検索できる機能や、就職に関する情報を提供しています。

また、障害者の就労を支援する障害福祉サービスの事業所に向けて、『LITALICO仕事ナビ』上に施設情報を掲出し、サイトユーザーからの問い合わせが獲得できるサービスを提供しています。

③ LITALICOキャリア

当サービスは、障害福祉分野に特化した就職・転職支援サービス『LITALICOキャリア』を通じて、求人情報の掲載だけでなく、障害福祉分野の様々な職種等の情報を提供しています。

④ かんたん請求ソフト、かんたん介護ソフト及びナーシングネットプラスワン

当サービスは、かんたん請求ソフト、かんたん介護ソフト(当社)及びナーシングネットプラスワン(プラスワンソリューションズ株式会社)として、障害福祉施設や介護施設向け請求管理システムを提供しています。

 

  (4) その他

その他セグメント区分は、LITALICOジュニアパーソナルコース、LITALICOワンダー、LITALICOライフ及びその他新規事業の各サービスから構成されています。

① LITALICOジュニアパーソナルコース

当サービスは、サービス受給者証未発行ながら発達障害がある、もしくは、発達障害の可能性がある児童を中心に、生活に必要な力となる身辺自立やコミュニケーションスキルの体得、基礎的な力となる読み書きや、集団行動スキルの体得支援等の教育サービスを提供しており、特に短期集中型の手厚い指導に特化した教育プログラムを提供しています。

② LITALICOワンダー

当サービスは、未就学児(主に年長)から高校生まで幅広い年代の子どもたちを対象に、プログラミングやロボット、3Dプリンターを活用したデジタルファブリケーション、デザインなど、最先端のデジタルものづくりを通じた教育を提供するサービスです。

当社グループの持つ一人ひとりの個性に合わせるヒューマンサービスのノウハウを活かし、個々人に合わせたプログラミング・ロボット開発など「IT×ものづくり」を通して、子どもの興味・関心をベースとした自主的な学びを引き出し、子どもたちの考える力、作る力、伝える力を育みます。

③ LITALICOライフ

当サービスは、障害児を持つご家族を対象に、ライフプランの作成を支援するサービスです。障害分野の専門性を活かして、障害児の特性を考慮した進路、就労等の相談に乗りながらライフプランの作成を支援します。また、ファイナンスの専門性を活かして、プラン実現のための財務シミュレーションや家計の見直しをサポート、必要がある場合は保険の見直し販売を行います。

④ その他新規事業

新規事業として、障害児童生徒の特性に応じた指導を学校教育機関(特別支援学級中心)に展開するための提供するサービス「LITALICO教育ソフト」(当社)、公費サービスである「nagomi」(株式会社nCS)、「あむ訪問看護ステーション/あむハウス」(Amu.あむ株式会社)、「ぱれっと訪問看護リハビリステーション」(株式会社VISIT)の各サービスを提供しています。

 

就労支援事業及び児童福祉事業(その他の公費事業を含む)


※1 原則的な報酬の計算方法は次のとおりです。

  「顧客人数(注1)×単価(注2)=報酬額」

  (注1)  顧客人数は上限となる定員数が定められています。

  (注2)  単価基準は各法令により定められています。

      例えば、就労移行支援(障害者総合支援法)においては、概して以下の計算によります。

      「(基本報酬単価+各種加算)×(1+処遇改善加算)×地区単位」

※2 所得水準に応じて自己負担を免除される顧客が存在します。

※3 訪問看護の領域では医療保険として健康保険法等が適用される場合もございます。

 

 プラットフォーム事業


 

 その他


 

 


 

 

(用語の補足)

用語

意味・内容

精神障害

統合失調症、精神作用物質による急性中毒又はその依存症、精神病質その他の精神疾患等を有する者をいう。

通級による指導

小学校、中学校及び高等学校の通常の学級に在籍している障害のある児童生徒を対象として、その障害の状態に応じ個別指導を中心とした特別の指導を通級指導教室という特別な指導の場で行うもの。

サービス受給者証

正式名称は障害福祉サービス受給者証。障害福祉サービスを利用する際、必要になる証明書。住所のある市区町村に申請して交付を受ける。

発達障害

発達障害とは先天的な様々な要因によって、主に乳児期から幼児期にかけてその特性が現れる発達遅延であり、自閉症スペクトラム(ASD)や学習障害(LD)、注意欠陥・多動性障害(ADHD)等の種類がある。

 

 

 

4 【関係会社の状況】

 

名称

住所

資本金
(百万円)

主要な事業
の内容

議決権の所有
(又は被所有)
割合(%)

関係内容

(連結子会社)

 

 

 

 

 

株式会社LITALICOパートナーズ

(注)1、2

東京都目黒区

100

就労支援事業

児童福祉事業

100

営業支援及びサービス利用者の相互紹介等

役員の兼任・・・有

資金援助・・・・有

その他 7社

 

 

 

 

 

 

(注) 1.特定子会社です。

2.株式会社LITALICOパートナーズ(E32144)は、売上高の連結売上高に占める割合が10%を超えています。

主要な損益の状況

会社名

売上高

(百万円)

経常利益

(百万円)

当期純利益

(百万円)

純資産額

(百万円)

総資産額

(百万円)

株式会社LITALICOパートナーズ

19,372

2,994

2,155

3,060

8,178

 

 

5 【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

2024年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(人)

就労支援事業

1,232

(56)

児童福祉事業

1,589

(76)

プラットフォーム事業

303

(69)

報告セグメント計

3,124

(201)

その他

1,169

(655)

全社(共通)

421

(86)

合計

4,714

942

 

(注)1.従業員数は就業人員(当社グループからグループ外への出向者を除き、グループ外から当社グループへの出向者を含む。)であり、臨時雇用者数(アルバイトを含む。)は、( )内に年間平均従業員数(小数点以下を四捨五入)を内数で記載しています。

2.全社(共通)として、記載されている従業員数は、管理部門に所属しているものです。

 

(2) 提出会社の状況

2024年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

1,429

(655)

34.1

4.4

5,762

 

 

セグメントの名称

従業員数(人)

プラットフォーム事業

303

(69)

その他

705

(500)

全社(共通)

421

(86)

合計

1,429

(655)

 

(注)1.従業員数は、以下の通り集計しています。

① 就業人員数であり、臨時雇用者数(アルバイトを含みます。)は、( )内に従業員数(小数点以下を四捨五入)を内数で記載することを原則としています。

② 当社からの出向者を除き、当社外からの出向受入者を含みます。

2.平均年齢は正社員、契約社員にて算出しています。

3.平均勤続年数は、株式会社LITALICOパートナーズ(E32144)との株式交換を通じて、株式会社LITALICOパートナーズ(E32144)での勤続期間は実質的に継続しているものとして取り扱うこととし、その勤続年数を通算しています。

4.平均年間給与は以下の総額をもって集計しています。

① 給与・賞与・確定拠出年金制度に関するライフプラン手当の総額を従業員数(正社員、契約社員)で除して得た額

② 株式報酬費用の本事業年度で計上額を、従業員数(正社員、契約社員)で除して得た額

 

(3) 労働組合の状況

労働組合は結成されていませんが、労使関係は良好です。

 

(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

①提出会社(当事業年度)

管理職に占める女性労働者の割合

(注2)

サービス管理責任者等を含む広義の管理職

(注3)

男性労働者の育児休業取得率

(注4)

労働者の男女の賃金の差異

(注2)

LITALICOワークスセグメント及びLITALICOジュニアセグメントにおける、広義の管理職を除いた労働者の男女の賃金の差異(注5)

全労働者

正規雇用

パート・

有期雇用

32.5%

51.7%

77%

88.8%

75.6%

150.8%

99.3%

 

(注)1.当社からの出向者を含み、当社外からの出向受入者を除きます。

2.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出

3.施設長、サービス管理責任者、児童発達支援管理責任者等を含む

4.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出

5.パートタイム及び時短勤務等労働時間の長短による影響を除くため、等級区分に応じた基準年収で算出

 

②連結子会社(当事業年度)

対象会社

管理職に占める女性労働者の割合

男性労働者の育児休業取得率

労働者の男女の賃金の差異

(注1)

全労働者

正規雇用

パート・

有期雇用

株式会社nCS

-

-

63.4%

82%

153.6%

 

(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出