文中の将来に関する事項は、当社グループが当連結会計年度末時点の情報を踏まえ判断したものであり、今後の様々な要因により記載内容と異なる可能性があります。
(1)経営の基本方針
BIPROGYグループは、以下の企業理念に基づき、これからも社会の期待と要請に応えてまいります。
<BIPROGYグループ 企業理念> ・わたしたちが社会に果たすべきこと すべての人たちとともに、人と環境にやさしい社会づくりに貢献します ・わたしたちが目指すこと 社会の期待と要請に対する感性を磨き、そのためにICTが貢献できることを考え抜く集団になります ・わたしたちが大切にすること 1.高品質・高技術の追求 社会に役立つ最新の知識を有するとともに、技量を高めます 2.個人の尊重とチームワークの重視 相手の良い点を見いだし、それを伸ばすことを奨励し合い、互いの強みを活かします 3.社会・お客様・株主・社員にとり魅力ある会社 ステークホルダーの声に真摯に耳を傾け、企業価値向上に努めます
|
(2)経営環境および経営戦略
当社グループを取り巻く事業環境は、デジタル化が急速な進展を見せる中、ICTサービスに対する顧客ニーズの高度化と多様化が進み、さらには異業種参入による競争激化など、益々厳しくなっております。
予測困難で先が見通せない不確実性の高い状況下、持続的成長企業として価値を提供し続けるために、時間軸や環境変化に左右されない企業価値を見つめ直し、Purpose(目的)、Corporate Statement(目的達成に向けたスローガン)およびPrinciples(目的を達成するための原則)を新たに定め、中長期的な視点でPurposeを実現するための視点および目標としてVision2030を策定いたしました。
また、Vision2030の実現に向けて当社グループのサステナビリティへの取り組みを経営に統合していくため、Materiality(重要課題)が経営の長期ビジョンに対応したものとなるよう、Materialityを策定しております。
<Purpose> 先見性と洞察力でテクノロジーの持つ可能性を引き出し、 持続可能な社会を創出します 先見性・洞察力 × テクノロジー × ビジネスエコシステム = 社会的価値創出
<Corporate Statement> Foresight in sight 「先見性」でいち早くキャッチしたお客様や社会の課題を、経験や常識にとらわれない 「洞察力」で深く理解する
<Principles>
<Vision2030> わたしたちは、デジタルコモンズを誰もが幸せに暮らせる 社会づくりを推進するしくみに育てていきます
<Materiality> ■デジタルの力とビジネスエコシステムを活用した課題解決の仕組みづくり ■ゼロエミッション社会の実現に向けた、デジタルを活用した環境貢献と事業活動に ともなう環境負荷の低減 ■バリューチェーン全体で取り組む、安心・安全な製品・サービスの持続可能な調達と提供 ■新たな未来を創る人財の創出・強化とダイバーシティ&インクルージョンの進化 ■コーポレート・ガバナンスの強化とインテグリティの向上
|
PurposeおよびVision2030のもと、社会的価値の創出を追求することを通じて経済的価値の創出を図り、当社グループ全体の企業価値を持続的に向上させる新たなステージに向け、当社グループは新たに経営方針(2024-2026)を策定いたしました。
社会変化に対する先見性・洞察力、ICTを核としたテクノロジー、そして様々なビジネスパートナーとのビジネスエコシステム形成を掛け合わせ、ICTサービス提供だけに留まることなく、近年取り組んできた社会を豊かにする新しい価値の創造と社会課題の解決の取り組みを加速させ、社会的価値創出企業に変革してまいります。
<基本方針>
社会的価値の創出により顧客の持続的成長を支える顧客DXと、様々な業界の顧客、パートナーと共に社会課題解決を進める社会DXの両面からビジネスを推進し、Vision2030の実現を目指してまいります。
また、新たなPurposeに掲げた社会的価値創出企業の実現に向け、コーポレートブランドを刷新し、2022年4月に商号を日本ユニシス株式会社からBIPROGY株式会社へ変更いたしました。
「BIPROGY(ビプロジー)」は、光が屈折・反射した時に見える7色(Blue、Indigo、Purple、Red、Orange、Green、Yellow)の頭文字を使った造語であり、これには様々なビジネスパートナーや多種多様な人々がもつ光彩を掛け合わせ、混とんとした社会の中で新たな道を照らし出すこと、および光彩が状況に応じて変化するように、社会や環境変化に応じて提供する価値を変えていくことの2つの意味を込めています。
ボーダレスな視座で社会的価値を創出する唯一無二のブランドとなることで、多種多様な人々へと働きかけるとともにビジネスエコシステムを形成し、持続可能な社会実現へ向けて取り組んでまいります。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
経営方針(2024-2026)においては、以下の指標を経営上の業績目標としています。
なお、調整後営業利益率は、「売上収益」から「売上原価」並びに「販売費及び一般管理費」の額を減算して得られた金額の「売上収益」に対する比率を指します。
<連結数値目標(IFRS)>
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2024年3月期(実績) |
2027年3月期(目標) |
売上収益 |
3,701億円 |
4,200億円 |
調整後営業利益率 |
9.1% |
11.0% |
ROE |
16.5% |
15.0%目途 |
配当性向 |
39.8% |
40.0%以上※ |
※株価水準を考慮した機動的な自己株式取得を実施
(4)対処すべき課題
当社グループは、新たな経営方針(2024-2026)のもと、ICTサービスの提供に加え、社会を豊かにする新しい価値の創造と社会課題の解決の取り組みを加速させ、社会的価値創出企業に変革するとともに、持続的に企業価値の向上に取り組んでおります。
当社グループ全体におけるESG・SDGsへの積極的な取り組みによるサステナブルな経営をより一層推進するための体制として、SDGs貢献への取り組みおよびサステナビリティ経営戦略の統括責任者であるCSO(チーフ・サステナビリティ・オフィサー)を委員長とする意思決定機関「サステナビリティ委員会」を設置するとともに、下部組織として、環境に関する「環境貢献委員会」と社会・人権に関する「ソーシャル委員会」を設置して、サステナビリティを巡る課題への取り組みにおけるマネジメントとガバナンスの強化を図っています。さらに、2024年度より当社グループのサステナビリティへの取り組みを経営に統合していくために「サステナビリティ推進部」を新設しました。
また、持続可能な社会の実現のために、当社グループがテクノロジーを活用して貢献できる領域は非常に多く、今後も引き続きエネルギーマネジメントシステムや気候変動等の環境問題など、一企業だけでは解決が難しい社会課題をビジネスエコシステムによるイノベーションや新たなサービスで解決してまいります。
<事業活動における取り組み>
■コア事業における「強みある領域の確立」と「提供価値・収益性の向上」
注力領域として、ファイナンシャル、リテール、エネルギー、モビリティ、OTインフラの5つを選定し、経営資源を集中投下することで提供価値と収益性を高めます。また、システムサービスの生産性向上に向け、生成AI等の技術活用やパートナー戦略、リスキリング等の人財育成を推進します。さらに、サービス型ビジネスの拡大に取り組みます。
■成長事業における「提供価値の向上」と「新たな収益基盤の確立」
成長事業においては、「市場開発」「事業開発」「グローバル」の3つの取り組みで新たな収益基盤の確立を目指します。
・「市場開発」:クラウドマネジメントやセキュリティ等のマネージドサービス、データ・AI利活用ビジネス等を展開し、新たなサービス領域の獲得と成長市場におけるシェア獲得を目指します。
・「事業開発」:これまでの取組みで得たエネルギーマネジメントや環境価値の企業間流通等のエネルギー領域の知見を活かして「SX/GX」事業に取り組みます。また、デジタルキャッシュ、物流、スマートシティの取り組みを活かした「スマートライフ」「地域創生」等の領域へもチャレンジを進めます。
・「グローバル」:ASEAN主要国へのビジネス展開に加え、その他マーケットへの参入を見据えたアプローチを実行します。
■経営資源の強化と戦略的な配分
コア事業、成長事業を支えるため、事業戦略と連動した人財戦略/技術戦略/財務・投資戦略を推進します。
・「人財戦略」:ビジネスと技術の両面をリードできる人財、成長事業をけん引できる人財の増強、そしてPurposeを軸とした多様性のあるチーム力を強化します。
・「技術戦略」:先端技術を活用した開発プロセス変革を行い、選定した技術テーマに対する研究開発を進め、新たな技術力を獲得します。
・「財務・投資戦略」:健全な財務基盤のもと、新たな価値を提供するソリューションを生み出すための研究開発投資、当社グループの強みとシナジーを発揮するためのオープンイノベーション投資、企業価値の最大化を目指してM&Aなどの戦略的投資を進めてまいります。
■グループ経営基盤の強化
当社グループのさらなるシナジー強化に向け、事業環境の変化を見据え、柔軟にグループバリューチェーンを進化させ、企業価値最大化を目指します。
なお、当社グループは、持続的な成長を実現するために、よりチャレンジングな事業戦略とそれを支える強固な経営基盤が必要であると考えています。そのため、コーポレート・ガバナンス体制を強化し、グループ会社管理の高度化を進めています。加えて、グループ全体の内部統制システムの継続的な運用改善とコンプライアンス意識のさらなる浸透・徹底を図っております。これにより、引き続き適正な業務運営を実施してまいります。
また、今後の当社グループ内における連携のさらなる強化や、事業の成長に伴うビジネスリスクの多様化などがリスクとして想定されています。当社グループは、現行のビジネスリスクマネジメントをさらに拡充し、対応してまいります。
文中の将来に関する事項は、当社グループが有価証券報告書提出日現在において合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性があります。
(1)サステナビリティ
当社グループは、「人と環境にやさしい社会づくりへの貢献」を掲げる企業理念のもと、Purposeを「先見性と洞察力でテクノロジーの持つ可能性を引き出し、持続可能な社会を創出します」と定めました。その実現に向け、環境・社会・ガバナンスの視点を考慮した企業活動を基本に、さまざまな社会課題解決に取り組んでおります。持続可能な社会づくりを通じて社会的価値と経済的価値を創出し、当社グループの持続的成長サイクルを確立し、サステナブルな企業グループとなることを目指します。そのために当社グループは、一人ひとりが長期的な視野と志を持ち、社会課題解決の実績・知見と、志を共にする人々とのネットワーク、長年の経験に基づくデジタル技術を組み合わせて、「デジタルコモンズ」の社会実装を推進してまいります。
① ガバナンス
当社グループのサステナビリティ課題への取り組みにおいては、マネジメントとガバナンスの強化が重要であるとの考えのもと、推進体制を整備しております。当社取締役会における、サステナビリティに関する取り組みの責任者は、当社グループの「持続可能な開発目標(SDGs)」貢献への取り組みおよびサステナビリティ経営戦略の統括責任者であるチーフ・サステナビリティ・オフィサー(以下、「CSO」)が担当しております。CSOが委員長を務める「サステナビリティ委員会」および下部機関の「環境貢献委員会」「ソーシャル委員会」は、取締役の業務執行に関する個別の経営課題を実務的な観点から審議するために設置した、各種委員会に位置づけられております。これら3つの委員会では、気候変動、人的資本を含む、マテリアリティを中心としたサステナビリティに関する取り組みについて審議・意思決定を行います。さらに、コーポレートとして重要な事項に関しては、経営会議にて審議・意思決定を行います。取締役会では、これらのサステナビリティに関する取り組み状況について、CSOから定期的に報告を受け、審議・議論しております。2023年度においては、「マテリアリティKPI、目標の策定」「サステナビリティ調達への取組み」「社内浸透施策」「主要ESG調査対応と評価の向上」を主要テーマとして、審議を行いました。
■サステナビリティ推進体制図
(2024年3月31日現在)
■委員会概要
組織体 |
役割・機能 |
開催実績 (2023年度) |
構成員 |
|
委員長 (2023年度役職) |
委員 |
|||
サステナビリティ委員会 |
グループのSDGs達成に対する取り組み方針の策定、ESG観点での事業活動全体の適正性判断と活動の推進・評価を総合的に判断し、必要に応じて見直しを要請 |
13回 |
チーフ・サステナビリティ・オフィサー(取締役専務執行役員) |
チーフ・ファイナンシャル・オフィサー、環境貢献委員会委員長、ソーシャル委員会委員長、ユニアデックス社長、コンプライアンス委員会委員長、その他委員長が任命する者 |
環境貢献委員会 |
サステナビリティ委員会の下部機関として、環境貢献に関する対応方針の検討、環境貢献を推進するための仕組みの設計と実行状況を管理、監督 |
7回 |
サステナビリティ委員会委員長が任命(業務執行役員) |
環境貢献委員会委員長がグループ内の関連執行組織の責任者から任命 |
組織体 |
役割・機能 |
開催実績 (2023年度) |
構成員 |
|
委員長 (2023年度役職) |
委員 |
|||
ソーシャル委員会 |
サステナビリティ委員会の下部機関として、社会分野に関する対応方針の検討、社会分野への対応を推進するための仕組みの設計と実行状況の管理・監督および懸案事項に関する是正指示等 |
6回 |
サステナビリティ委員会委員長が任命(業務執行役員) |
ソーシャル委員会委員長がグループ内の関連執行組織の責任者から任命 |
報酬については、2021年度から導入した役員報酬制度において、サステナビリティ課題への対応を含む長期業績条件を設定しております。当該条件には「Vision2030」の実現に向けて策定したマテリアリティのKPIである、ESG関連の各種指標を採用しております。取締役会では、独立社外取締役が委員長を務める指名・報酬委員会の答申をもとに議論が行われ、役員報酬を決定しております。
役員報酬制度の詳細については、「
② 戦略
(a)Vision2030実現に向けたマテリアリティ
当社グループは、「Purpose」のもと「「Vision2030」の実現に向けて、サステナビリティへの取り組みを経営に統合していくために戦略的に取り組むべき重要項目を、マテリアリティとして定めております。社会的価値と経済的価値双方の創出を通じた企業価値の向上を図るべく、各々のマテリアリティに対しKPIと目標を設定し、取り組みを推進しております。
■マテリアリティ
分類 |
マテリアリティ |
目指す姿 |
事業成長におけるマテリアリティ |
デジタルの力とビジネスエコシステムを活用した課題解決の仕組みづくり |
多様な業界の顧客およびパートナーと志を共有するコミュニティの形成を通して、「リジェネラティブ」「ゼロエミッション」「レジリエンス」な社会を実現する。 |
事業成長におけるマテリアリティ/事業成長を支える基盤となるマテリアリティ |
ゼロエミッション社会の実現に向けた、デジタルを活用した環境貢献と事業活動にともなう環境負荷の低減 |
カーボンニュートラルやサーキュラー・エコノミーを促進するサービスの提供や脱炭素社会実現に向けた連携・協働を進めるとともに、事業活動にともなう環境負荷を低減することで、温室効果ガス(GHG)排出量削減への貢献を目指す。 |
事業成長を支える基盤となるマテリアリティ |
バリューチェーン全体で取り組む、安心・安全な製品・サービスの 持続可能な調達と提供 |
人権の尊重や環境負荷低減を図ったバリューチェーンを構築・維持し、安心・安全な製品・サービスを調達・提供する。 |
新たな未来を創る人財の創出・強化とダイバーシティ&インクルージョンの進化 |
未来に向けたイノベーションを創出することができる個の多様性、専門性、価値観を認め合い受容する人財・組織・企業風土を醸成する。 |
分類 |
マテリアリティ |
目指す姿 |
事業成長を支える基盤となるマテリアリティ |
コーポレート・ガバナンスの強化とインテグリティの向上 |
透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を可能にするコーポレート・ガバナンス体制を構築し、運用する。 また、信頼性、持続性のある社会インフラとしてのICTサービス、社会的価値を提供できる企業として、国内外の法令を遵守するとともに、高い倫理観のもと、社会規範に則り行動し、もって健全かつ透明なビジネス活動を行う。 |
(b)「経営方針(2021–2023)」における取り組み
当社グループは、「Vision2030」のもと、社会的価値の創出を追求することを通じて経済的価値の創出を図り、グループ全体の企業価値を持続的に向上させる次なるステージに向けた戦略「経営方針(2021–2023)」を策定し、2021年度より取り組んでまいりました。基本方針である、顧客DXの推進「For Customer」と、社会DXの推進「For Society」の2つの視点を定め、ビジネスエコシステム拡大による社会的価値創出への取り組みの推進により、お客様と共に社会課題解決に取り組む企業グループとしての基盤を、この3年間で着実に築いてまいりました。
今後も、経営環境の絶え間ない変化に迅速かつ柔軟に対応し、グループ間の連携を高め、2024年度よりスタートした「経営方針(2024-2026)」を着実に実行してまいります。
※「Purpose」は、当社グループウェブページの以下ご参照。
https://www.biprogy.com/com/purpose_principles.html
※「Vision2030」および「経営方針(2024–2026)」は、当社グループウェブページの以下ご参照。
https://www.biprogy.com/pdf/com/managementpolicy2024-26.pdf
③ リスク管理
当社グループは、サステナビリティ経営の推進に向けたマテリアリティの策定において、当社グループへの影響(リスクと機会)、社会への影響の2つの評価軸により、「Vision2030」の実現に向けて取り組むべき重要項目を抽出し、マテリアリティとして特定しております。各々のマテリアリティに対してKPIと目標を設定し、取締役会および経営のモニタリング・指導のもと、進捗を管理しております。また、サステナビリティに関する国際的な動向や、ステークホルダーの要請、事業環境等の変化を考慮し、サステナビリティ委員会にて見直しに関する審議を年次で実施しております。なお、マテリアリティの進捗評価や見直し等により、サステナビリティ関連の重要リスクとして評価された項目については、サステナビリティ委員会と関連する各種委員会(リスク管理委員会、コンプライアンス委員会、総合セキュリティ委員会等)と連携し、リスク低減を図る体制となっております。
全社的なリスクマネジメントについては、リスクマネジメントに関する国際標準規格ISO 31000を参照しております。当社グループの事業運営に係るリスク管理・業務継続を統括するチーフ・リスク・マネジメント・オフィサー(CRMO)を委員長とする「リスク管理委員会」を設置し、同委員会においてグループ全体のリスクを一元的に把握し、共通で管理するための基盤として「リスク分類体系」を整備しております。
④ 指標及び目標
②戦略(a)に記載のマテリアリティ項目に対するKPI、目標および目標に対する2023年度の実績は以下のとおりです。
■マテリアリティKPIと実績
分類 |
マテリアリティ |
KPIと目標(達成年度) |
2023年度実績 |
事業成長におけるマテリアリティ |
デジタルの力とビジネスエコシステムを活用した課題解決の仕組みづくり |
社会や地球を全体最適で捉えた社会課題解決型ビジネスを創出/拡大。当該案件数を2020年度比200%以上(2023年度) |
137.2% |
事業成長におけるマテリアリティ/事業成長を支える基盤となるマテリアリティ |
ゼロエミッション社会の実現に向けた、デジタルを活用した環境貢献と事業活動にともなう環境負荷の低減 |
環境貢献型製品・サービスの提供を通じたゼロエミッションへの貢献として、ゼロエミッション達成率※1100%以上(2030年度まで年次) |
232.8% |
気候変動シナリオ分析によるビジネス機会とリスク抽出(インパクト評価)およびリスク対応率100%(2030年度まで年次) |
100% |
||
グループの事業所における再生可能エネルギー調達率50%以上(2030年度) |
27.2% |
||
GHG排出量(Scope1+Scope2)削減率(2019年度比)50%以上(2030年度) |
37.5% |
||
事業成長を支える基盤となるマテリアリティ |
バリューチェーン全体で取り組む、 安心・安全な製品・サービスの持続可能な調達と提供 |
Scope3排出量削減に向けて、購入した製品・サービス(カテゴリ1)の調達金額の40%を占めるサプライヤーがSBT(Science-Based Targets)相当の目標を設定する(2027年度) |
19.1% |
BIPROGYグループにおける人権課題への対応着手率100%(2023年度) |
100% |
||
新たな未来を創る人財の創出・強化とダイバーシティ&インクルージョンの進化 |
事業創出に関する専門性を備えた「ビジネスプロデュース人財」数 2021年度比2倍、40人(2023年度) |
57人 |
|
女性管理職比率※218%以上(2026年4月1日時点) |
11.2% (2024年4月1日時点) |
||
障害者雇用率 法定雇用率+0.1%以上 (年次) |
2.89% |
||
エンゲージメント調査における働き方関連項目の加重平均スコア2019、2020年度のスコアを平均した値(3.36)以上(2023年度) |
3.43 |
||
健康診断での血圧リスク者への診療所での診察および保健師による生活習慣指導率 Ⅱ度・Ⅲ度高血圧者への対応100%(2023年度) |
Ⅱ度 100% Ⅲ度 100% |
||
メンタル休職者の総休職日数 2019・2020年度の平均日数比△5%(2023年度) |
年間1.3%増 |
分類 |
マテリアリティ |
KPIと目標(達成年度) |
2023年度実績 |
事業成長を支える基盤となるマテリアリティ |
新たな未来を創る人財の創出・強化とダイバーシティ&インクルージョンの進化 |
社会貢献活動への役職員参加人数 2020年度比20%増(2023年度) |
125%増 |
コーポレート・ガバナンスの強化とインテグリティの向上 |
KPIと目標(達成年度) 取締役会の実効性評価において設定される各年度の対応方針の達成(年次) 2023年度実績 取締役会における議論の深化と資料の充実: 経営戦略等に関する議論の機会や対話も増えたが、より実効的・具体的な議論をしていくために資料や議論の進め方の更なる工夫が必要。 USBメモリー紛失事案をふまえた組織風土改革等の取り組み状況のモニタリング等: 対応・取り組みは適切に行われているが、今後も取り組みとモニタリングを継続する必要がある。 |
||
KPIと目標(達成年度) コンプライアンス・プログラムの改善と高度化(年次) 2023年度実績 コンプライアンス車座会議: グループ各社での「コンプライアンス車座会議」を開催。USBメモリー紛失事案を題材に職場単位で対話を行い、発生事案の振り返りと今後のコンプライアンス実践上の留意点を共有し、グループ全体の意識向上に寄与。 内部通報制度(ホットライン)の改善: ホットラインのアクセス・ルート改善、利用ガイド充実、事案対応実績の開示強化など、安心・安全な内部通報制度の運用に向けた諸施策を実施。 コンプライアンス教育・啓発: コンプライアンス実践の意義を訴求すべく、社外の専門家を招いてグループ役職員を対象とするコンプライアンス講演会を開催。 |
|||
KPIと目標(達成年度) グループ役職員へのインテグリティ意識浸透(年次) 2023年度実績 コンプライアンス意識調査結果: 調査スコアは、4段階の最上位である「良好」となった。調査結果は各組織の責任者と共有し、改善策の実施につなげている。今後も年2回の頻度で意識調査を継続予定。 |
分類 |
マテリアリティ |
KPIと目標(達成年度) |
2023年度実績 |
事業成長を支える基盤となるマテリアリティ |
コーポレート・ガバナンスの強化とインテグリティの向上 |
KPIと目標(達成年度) コンプライアンス事案発生動向(年次) 2023年度実績 懲戒処分: 2023年度の懲戒処分件数は8件。懲戒処分件数は前年度(5件)から増加しており、出勤停止など重い処分に至った事案も発生。各事案について再発防止策を実施。 |
|
重大なセキュリティインシデント発生数 0件(年次) |
1件 |
※1 ゼロエミッション達成率 =(環境貢献型製品・サービスの売上×GHG削減貢献係数)÷(BIPROGYグループのScope1+2GHG排出量)
2 女性管理職比率は、BIPROGY㈱、ユニアデックス㈱、UEL㈱、㈱国際システム、エス・アンド・アイ㈱、ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ㈱、USOLベトナム㈲の7社を対象とし、BIPROGY㈱、ユニアデックス㈱は業務執行役員及び組織長を、他5社は役員・業務執行役員及び組織長相当を集計。
なお、2023年度に実施したマテリアリティの見直しにおいて、「Vision2030」の実現に向けた社会的価値、経済的価値創出への取り組みを、2024年度以降に更に加速させるべく、新たなKPIと目標を設定しました。
2023年度の実績および2024年度に新たに設定したKPIと目標を含む、マテリアリティの詳細については、当社グループの「サステナビリティ」サイトにて2024年7月下旬頃に公開予定です。
https://biprogy.disclosure.site/ja/themes/95
(2)気候変動
当社グループは、気候変動の緩和と適応や循環型経済システムの確立を目指し、環境経営の強化に継続して取り組んでおります。「Vision2030」のもと、事業活動におけるGHG排出量削減と、顧客へのサービス提供や当社グループが構築・参加するデジタルコモンズを通じた環境貢献により、「環境長期ビジョン2050」に掲げるゼロエミッション社会の実現を目指しております。マテリアリティを軸とした取り組みのほか、顧客やパートナーとの協働や、従業員の環境意識向上に向けた教育などの施策を推進しております。また、当社グループは、ゼロエミッション社会の実現には、さまざまなステークホルダーとのエンゲージメントが必要不可欠であるとの認識のもと、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言への賛同(2020年4月)、RE100への加盟(2020年7月)をはじめ、気候変動に関連する国内外の各種パートナーシップやイニシアチブに積極的に参加しております。
① ガバナンス
気候変動対応を含む、サステナビリティに関する取り組みにおける取締役会の監督、経営の役割と体制、および報酬については「2.サステナビリティに関する考え方及び取組 ①ガバナンス」をご参照ください。
当社グループは、サステナビリティ委員会の下部機関として、気候変動対応をはじめとする環境貢献を専門に取り扱う環境貢献委員会を設置しております。環境貢献委員会では、ISO 14001に準拠したグループ環境マネジメントシステムに則り、当社グループの環境貢献に関する対応方針の検討、環境貢献を推進するための仕組みを設計し、マテリアリティを含む各種取り組みの実行状況および到達度のモニタリング等を実施しております。2023年度におけるサステナビリティ委員会への主な報告事項には、「年度活動方針と活動計画および実績報告」「環境分野のマテリアリティのKPI達成度評価および新KPIと目標」「気候変動シナリオ分析によるビジネス機会とリスクの抽出(インパクト評価)報告」等があります。
② 戦略
当社グループは、気候変動への対応は企業の長期的価値を左右する重要な経営課題と認識しており、不確実な状況変化に対応し得る戦略と柔軟性を持つことが重要であると考えております。2021年に策定した「Vision2030」の実現に向け、マテリアリティを軸としたさまざまな取り組みにより、中長期的な企業価値の向上を目指しております。このような状況のもと、気候変動が将来の環境、社会、経済にもたらす変化と当社グループのビジネスモデルや事業活動等、今後の戦略への影響を把握するため、2021年より環境貢献委員会の活動の一環として、全社横断型のプロジェクトによる、気候関連シナリオ分析によるビジネス機会とリスクの抽出とインパクト評価を継続して実施しております。
2023年度においては、当社グループの気候関連のビジネス機会の最大化とリスク低減を焦点とし、1.5℃と4℃の異なる複数のシナリオを用いて、TCFD提言が示す気候関連リスクと機会の全項目に対するインパクト評価を実施しました。評価の結果、世界的な低炭素経済への移行の進展に伴い、低炭素化への寄与度の高いデジタル・IT領域のサービス需要や市場は、上述の両シナリオ下において今後も拡大を続け、特に1.5℃シナリオにおいて、より当社グループの中長期的価値向上に寄与する成長機会となりうるとの認識に至りました。今後も当社グループの製品・サービスを通じて環境貢献が可能、かつ成長が期待される領域を中心に、機会拡大に向けた各種戦略を推進してまいります。
なお、2023年度のシナリオ分析によるインパクト評価において想定した、2050年のカーボンニュートラル移行に伴う環境・社会の変化と使用シナリオ、特定した気候関連リスクと機会は次の通りです。
■1.5℃シナリオ(使用シナリオ:IEA NZE2050、RCP1.9)
排出規制等、気候変動に関する各種政策・規制の強化。最終エネルギー消費における電力の比率の増加に伴う、2050年までの太陽光・風力産業・バッテリー産業関連の市場規模の大幅な拡大等
■4℃シナリオ(使用シナリオ:RCP8.5)
気候変動の影響による国際秩序の不安定化。市場混乱による経済危機リスクの増大等
表1(気候関連リスク)
分類 |
リスクの内容と発生した場合の潜在的な影響 |
期間 ※ |
対応策 |
|||
移 行 リ ス ク |
技 術 |
低 炭 素 技 術 へ の 移 行 |
低炭素技術の進歩への対応遅れによる技術力、サービス開発力の低下 |
■製品およびサービスに対する需要減少による収益減少 ・低炭素型製品・サービスに対する顧客行動の把握や関連技術の進展に資する技術開発が適切に行われない場合、市場優位性が低下する。 ・市場優位性の低下により売上機会が減少し、開発投資支出を吸収できず、収益性が低下する。
■資本へのアクセス減少 ・低炭素志向の投資家のサステナビリティ関連格付けと、顧客の調達先評価の低下により、収益機会が減少し、資金調達費用が増加する。 |
短期~ 中期 |
■低炭素技術開発に資する研究開発 ・開発投資 ・人財育成 ■顧客ニーズの変化に対応したサービスの提供 ・気候変動緩和や適応に資する環境貢献型サービスの提供 ・顧客エンゲージメントの推進
■信頼される気候関連情報の開示 ・TCFD提言への取り組み ・投資家との建設的な対話の推進
■低炭素な事業活動 ・RE100に加盟し、再生可能エネルギーへの転換を推進 ・バリューチェーンエンゲージメントの推進 |
市 場 |
変 化 す る 顧 客 行 動 |
低炭素型製品・サービスの需要と供給の変化を、適切に自社の製品・サービスへ反映できなかった場合の競争力低下 |
短期~ 中期 |
|||
評 判 |
ス テ | ク ホ ル ダ | の 懸 念 |
低炭素志向の顧客や投資家などのニーズの変化に対応したサービス提供や、情報開示が適切に行われないことによる企業評価の低下 |
短期~ 中期 |
※ 期間の定義:短期(0~3年)、中期(4年~10年)、長期(11年~)
表2(気候関連機会)
分類 |
機会の内容と影響 |
期間 ※ |
対応策 |
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市 場 機 会 |
製 品 ・ サ | ビ ス |
■R&Dおよび技術革新を通じた新製品やサービスの開発による収益増加 低炭素経済への移行に貢献する積極的な技術開発を通じ、新たな製品・サービスを創出する。それにより、新市場や新興市場へ参入し収益が増加する。
■低炭素型製品・サービスの開発や拡張による収益増加 デジタルを活用した低炭素型製品・サービスに対する需要*の増加により売上機会が拡大する。
*当社グループの製品・サービスを通じて環境貢献が可能、かつ成長が期待される領域 ・ITを活用したエネルギー利用効率向上と再生可能エネルギー普及 ・ITによる物の生産・消費の効率化、ロス削減 ・現場に行かずに遠隔判断ができる仕組みづくり ・デジタル技術によるグリーンな都市の仕組みづくり ・デジタル技術による人の移動に頼らない仕組みづくり ・企業のネットゼロ経営の促進に貢献する各種サービス |
短期~ 中期 |
■新たな製品・サービスの開発による新市場、新興市場における収益機会の拡大 ・顧客・パートナー・政策決定者との協働(業務提携、社会実証等) ・気候関連テック企業への出資
■低炭素型製品・サービスの拡張 ・アウトソーシングサービス提供の 推進 ・カーボンニュートラル関連サービスの拡張
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※ 期間の定義:短期(0~3年)、中期(4年~10年)、長期(11年~)
③ リスク管理
当社グループは、気候関連リスクを自社のグループリスクマネジメントシステムへ統合し、管理しております。当マネジメントシステムを統括する「リスク管理委員会」が整備する、グループ全体のリスクを一元的に把握可能な共通管理基盤である「リスク分類体系」に「気候変動リスク」を組み入れております。「気候変動シナリオ分析」で特定された気候関連リスクのうち、当社グループの事業に対し重要度が高いと評価された項目を、管理対象として登録しております。なお、当社グループのリスクマネジメントに関する体制やプロセスは、「リスク管理委員会・事業継続プロジェクト規程」およびその他関連規程にて明文化され、イントラネットなどを通じてグループ内に広く周知されております。
また、2023年度には、気候変動リスクとの関連性の高い、生物多様性ならびに水セキュリティに関するリスク評価に着手しております。
④ 指標及び目標
当社グループは、2021年にマテリアリティで設定したGHG排出量削減などの目標達成に向けた取り組みを着実に進めております。デジタルやICTサービスを事業の中核とする当社グループのGHG排出量の多くは、電気の使用によるものです。そのため、2020年にRE100に加盟し、購入する電気の再生可能エネルギーへの転換を進めており、2023年度末時点の再生可能エネルギー調達率は27.2%に上昇しました。加えて、オフィスや機器の効率利用などによる省エネルギー施策も推進しております。これらの取り組みの結果、2023年度の当社グループのScope1+2(マーケットベース)のGHG排出量は、2019年度と比較して37.5%の削減を実現しました。さらに、当社グループのGHG排出量削減に向けた取り組みがよりパリ協定の目標に沿ったものとなるよう、2022年9月にSBT認定の取得に向けたコミットメントレターを提出しております。
KPIと目標(達成年度) |
2023年度実績と今後の取り組み |
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環境貢献型製品・サービスの提供を通じたゼロエミッションへの貢献として、ゼロエミッション達成率100%以上(2030年度まで年次) |
232.8% |
2022年度に実施した、モニタリング指標「ゼロエミッション達成率※」の算定ロジックと社内管理の仕組みに基づき、継続して事業活動におけるGHG排出量の削減に努めるとともに、環境貢献型製品・サービス提供の拡大を図っていく。 |
気候変動シナリオ分析によるビジネス機会とリスク抽出(インパクト評価)およびリスク対応率100%(2030年度まで年次) |
100% |
全社横断型のプロジェクトによる、気候変動関連のビジネス機会とリスクの抽出とインパクト評価を2021年度より継続して実施。抽出した気候変動リスクをグループリスクマネジメントシステムに統合し、気候関連リスクの対応を継続していく。 |
グループの事業所における再生可能エネルギー調達率50%以上(2030年度) |
27.2% |
2021年度より再生可能エネルギーの調達を開始し、目標の達成に向けて計画通り順調に進捗中。今後も、調達手段の多様化等を考慮し、再生可能エネルギー調達を推進していく。 |
GHG排出量(Scope1+Scope2)削減率(2019年度比)50%以上(2030年度) |
37.5% |
調達電力の再生可能エネルギーへの転換を進めるとともに、テレワークの推進やオフィス・機器の効率利用等による省エネルギー施策を推進した結果、基準年比で37.5%を削減。今後も同様の取り組みを継続し、排出量削減を図っていく。 |
Scope3排出量削減に向けて、購入した製品・サービス(カテゴリ1)の調達金額の40%を占めるサプライヤーがSBT相当の目標を設定する(2027年度) |
19.1% |
サプライヤーへ年次で実施しているESGリスクアセスメント調査において、「SBT相当の目標設定の有無」を質問項目に追加。継続して調査を行うとともに、未設定のサプライヤーに対しては、働きかけを行っていく。 |
※ ゼロエミッション達成率 =(環境貢献型製品・サービスの売上×GHG削減貢献係数)÷(BIPROGYグループのScope1+2GHG排出量)
なお、2023年度のマテリアリティKPIの見直しにおいて、新たなScope3排出量削減目標として「顧客による製品使用段階(カテゴリ11)での排出量を、2030年度までに2021年度比で25%以上とする」を設定しました。2024年度より、目標達成に向けた取り組みに着手しております。
■データ
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2023年度 |
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再生可能エネルギー調達率(%) |
27.2% |
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温室効果ガス排出量 |
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直接的温室効果ガス排出量Scope1(t-CO2e) |
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間接的温室効果ガス排出量Scope2(t-CO2e)(マーケットベース) |
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間接的温室効果ガス排出量Scope2(t-CO2e)(ロケーションベース) |
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間接的温室効果ガス排出量Scope3(t-CO2e) |
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※1 集計範囲は、BIPROGY㈱ほか連結対象の28社(国内外主要拠点)です。
なお、2021年度からGHGプロトコルに準拠して算定しております。Scope2のロケーションベースとマーケットベースは、GHGプロトコルScope2ガイダンス2015年版の定義によります。
2 上記データを含む環境関連データの独立保証声明書につきましては、以下のウェブサイトにて公開しております。
https://sustainability-cms-biprogy-s3.s3.amazonaws.com/pdf/IAS_2024_Environment_ja.pdf
(3)人的資本
当社グループは、「Vision2030」の実現に向けて、「新たな未来を創る人財の創出・進化とダイバーシティ&インクルージョンの進化」を掲げ、競争優位の源泉である「人的資本」の強化を行い、「社会的価値と経済的価値の創出」を推進します。
① ガバナンス
当社グループでは、社会からの要請を考慮して抽出した重要項目をもとに社会や当社グループへの影響度を踏まえ、マテリアリティとして特定し、取り組みを進めております。事業成長を支える基盤となるマテリアリティとして、「未来に向けたイノベーションを創出することができる個の多様性、専門性、価値観を認め合い受容する人財・組織・企業風土を醸成する」ことを目指す姿として全グループで人的資本の強化を推進しております。
また、2023年度に新設した人的資本マネジメント部にて、グループ人財戦略の立案・推進、グループ全体での人財のポートフォリオ管理を引き続き行ってまいります。
② 戦略
当社グループでは、人財は企業における重要な資産(アセット)であり、人財こそが企業の持続的成長と中長期的な企業価値向上の原動力であると捉え、多様な価値観とバックグラウンドを持つ社員が個々の能力を最大限に発揮できる職場や環境づくりに努めるとともに、イノベーションを継続的に創出できる人財改革・風土改革に取り組み、社会的価値創出企業の変革を着実に進めております。
■ROLESを軸とした人的資本サイクル
先見性と洞察力、テクノロジー、ビジネスエコシステムを掛け合わせ、社会課題解決を目指していくには、顧客・パートナーを巻き込み、ビジョンや価値観を共有して、ともに新しい社会価値を創出していける人財が必要です。
当社グループでは、重点施策の一つとして人財戦略に取り組んでおります。「Vision2030」に向けた「経営方針(2021-2023)」では、多様な人財の価値を最大限引き出す人的資本経営をより強化するため、タレントマネジメントシステムの構築・運用と、ROLESを軸とする「HRアーキテクチャ」をもとに、人財マネジメント、人財開発施策を推進してまいりました。ROLESとは当社グループにおける「業務遂行上における役割」のことで、業務内容(JOB)および 業務遂行上必要となる役割やスキルを定義したものであり、経営戦略に基づいた各事業戦略で必要とする人的資本の種類・質・量を可視化する中核概念です。ROLESを人財ポートフォリオ(部門/組織/事業領域/年代別など)として取りまとめ可視化することで、アサインメントやローテーションの促進、育成強化対象者の選出など、組織の人財マネジメントに活用しております。また当社グループでは、持続的なイノベーション創出のため、組織内の人財の多様性に加え、イントラパーソナル・ダイバーシティ(個人内の多様性)を重要視しており、一人が複数の役割(ROLE)を担うことで多様性を広げ、イノベーションを創出できる風土の醸成を目指しております。
「経営方針(2021-2023)」におけるその他主要施策としては、「事業戦略と人財戦略の連動強化・リソースマネジメント」「キャリア自律・リスキリングの促進や人事制度改定など、人財の価値創出を極大化する仕組み・環境づくり」「DX人財やビジネスプロデュース人財など、重点分野をリードする人財の獲得と育成」などに注力してまいりました。今後も経営方針、各事業戦略と人財戦略を連動させ、注力すべき領域に積極的に投資していくとともに、経営リーダーの育成や働き方改革、組織・人財開発、DE&I施策など、従来から取り組んでいる施策についても、継続して推進してまいります。
■ビジネスプロデュース人財
当社グループでは、社会インパクトを自ら創出でき、事業創出に関する専門性を持つ人財を「ビジネスプロデュース人財」と呼び、KPI(マテリアリティ目標として、2021年度から2023年度で対象となるROLESの熟達度が最上位となる社員数を2倍にする)を定めて育成に取り組んでまいりました。2010年度から2022年度まで13年間、事業創出の実践力を習得する育成プログラム「Next Principal」(総受講者数は405人)の実施や、2017年度から毎月1回、始業前の時間に、スタートアップの技術やサービスなどを紹介する場「Morning Challenge」を開催しております。役員から社員まで毎回500人から800人の社員が自主的に参加しており、2023年度からは「Morning Challenge」のスピンオフ会として、昼休みの時間を活用し、よりインタラクティブな対話の場である「モアチャレ」を開始し、毎回100人から150人程度の社員が自主的に参加しております。こうした人財育成プログラムや、コミュニティの創出を通して、確実に社員の意識や行動変容が進んでおり、2021年度から2023年度の目標であるビジネスプロデュース人財は、目標の40名を上回る57名となり、社会課題解決に向けた新規ビジネスの創出につながっております。今後も、より実践力を意識した育成プログラムへの見直しや戦略的な出向等、人財交流スキームの導入などにより、ビジネスプロデュース人財の育成をさらに強化してまいります。
■キャリア自律・リスキリングの促進
当社グループでは、コーポレートステートメントおよびPurposeに掲げる先見性と洞察力を磨き、時代とともに変化する社会課題を解決していくうえで、一人ひとりの個人が主体となって自らのキャリアを構築していくことが不可欠であると考え、社員のスキル・能力開発や組織力強化などに投資し、イノベーションを生み出す多様な人財およびシステム実装力を備えた人財の能力強化を図っております。具体的には、上司と部下による定期的なキャリア面談、「ユアタイム(1on1)」、年代別キャリアデザイン研修、キャリアコンサルタント資格を持つ社員によるキャリア相談等を通じて、主体的なキャリア構築を支援しております。また、自主参加型のプログラム、社内公募制度、社内外の副業、ROLESを軸とした育成プログラム、オンライン型自己学習プログラム等の整備により、今後も社員自らチャレンジできる機会を拡充し、一人ひとりのキャリア・ウェルビーイングの追求を推進してまいります。
■風土改革とエンゲージメント向上
当社グループでは、「Purpose」を軸として、一人ひとりが「個」の多様性を高め、互いの個性を尊重し合い、自らの個性や能力を最大限発揮できる風土醸成を目指しております。
施策推進にあたっては、経営層によるモニタリングを行いながら、以下の「DE&I推進」、「働きがいのある職場づくり」をはじめとした様々な取り組みを行っております。
エンゲージメント向上施策としては、全グループ社員を対象に、2013年度から定期的にエンゲージメントサーベイを実施しており、サーベイの結果は経営陣も含めて分析し、分析結果と外部コンサルタントのアドバイスのもと、各部門の責任者が自組織の課題に対するアクションプランを設定・推進し、組織づくりに取り組んでおります。
■DE&I推進
DE&I推進にあたっては、当社グループの全役職員対象のeラーニングの実施や各種セミナーを通じて、心理的安全性やインクルージョン、エクイティ、対話文化といったDE&I風土醸成に向けた全体的な取り組みを実施するとともに、様々な属性の社員に対する取り組みを両輪で進めております。これらの取り組みが評価され、「D&I AWARD」において2年連続で最高位であるベストワークプレイスを取得しております。
(a)DE&Iダイアローグ
対話文化の醸成そのものがDE&I推進へつながると考え、対話型組織開発の取り組みである、DE&Iダイアローグ活動を2020年度より展開しております。本活動では、コーポレート部門主導ではなく、社員が主体的に自組織や会社をより良くするために、現場部門のトップマネジメント層とその配下メンバーが協力し、対話を軸としたさまざまな取り組みを行っております。開始以降、毎年新規の参加者や取り組みが加わり、活動の参加者が企画した取り組み数は30を超え、延べ500人以上が参加し、現場部門の活動が継続・拡大しております。しかしながら、現場部門での活動は一部の組織に留まっていることから、更なる対話文化醸成に向けて、活動を継続してまいります。
(b)女性活躍推進
当社グループではマテリアリティにおいて、2026年4月1日時点で女性管理職比率を18%以上にするというKPIを設定しております。また、当社単体では、女性活躍推進法に基づく行動計画において、2025年度までに「女性管理職の人数を2020年度の2倍」「女性役員比率20%」の目標を定め、取り組みを進めております。女性社員の主体的なキャリア形成と管理職としてのマインド醸成を課題と捉え、女性向け階層別プログラムや、多様な人財をマネジメントするための管理職向けプログラムを実施しております。さらに、女性の管理職登用に向けて計画的な育成と人財パイプライン形成、グループでの推進強化のため、組織およびグループ各社が策定した管理職登用計画のもと、サステナビリティ委員会や取締役会にてモニタリングや報告の仕組みを構築しております。対外的には、WEPs(Women’s Empowerment Principles)への賛同、日本経済団体連合会の「2030年30%へのチャレンジ」への賛同など、社外イニシアチブに積極的に参加しております。その結果、2024年4月1日時点で、当社グループの女性管理職比率は11.2%、当社単体の女性管理職数は96名、女性役員比率は17.1%となっております。さらに女性活躍を加速させるべく、今後は女性社員の個々の課題に寄り添った育成・登用支援を実施してまいります。
(c)ライフイベントを前提とした両立やキャリア構築支援
育児・介護と仕事を両立するための充実した制度の整備や、セミナーやeラーニング等の施策により、ライフイベントも仕事も充実したキャリアを築き、一人ひとりが能力を最大限に発揮できるよう、両立支援を推進してまいりました。その結果、育児との両立に関しては、女性社員の育児休業(以降、「育休」)の取得率・復職率は10年以上ほぼ100%を継続しております。一方で、男性社員の育休取得率は上昇傾向にあるものの、男女差があることが課題と捉えております。今後は、男女ともに家事や育児に向き合い、育児と仕事を両立していくことを目的として、男性育休取得を推進してまいります。
(d)LGBTQへの理解・支援施策
性的指向や性自認、性表現に関わらず全ての人財が活躍できる環境づくりを目指し、性的マイノリティに関する方針を明文化するとともに、配偶者・家族に関わる制度の同性パートナーへの適用や、全グループ社員向けeラーニング等の施策を実施してまいりました。これらが評価され、PRIDE指標では2021年度から3年連続でゴールドを取得しております。当事者が安心して能力を発揮できるよう、正しい知識の習得と理解浸透に向けた施策を継続して行ってまいります。
(e)障害者雇用の維持・拡大
当社グループでは、障害がある方の採用から入社後のフォローまで、一貫してサポートを行う体制を構築しております。2018年2月にBIPROGYチャレンジド㈱を設立し、ICTを活用したWebアクセシビリティ検査を主業務とした完全在宅型の就業を実現しております。また、障害がある方が農作業を通じて心身の健康を保ち、やりがいのある仕事に取り組んでもらうことを目的に、2020年8月に第一農園、2022年6月に第二農園を開園しました。さらに、2023年4月からは本社内に社員の健康維持・リフレッシュを目的にマッサージルームを開所し、あん摩マッサージ指圧師の国家資格を持つ視覚障害者の雇用を実現する等、今後も積極的にグループ内における職域開拓を進め、障害がある方の雇用促進に努めてまいります。
(f)経験者採用者のオンボーディング
新しい知識や経験、専門性などを獲得する手段として異業種も対象に積極的に経験者採用を行っております。2023年度はBIPROGYで約100名を採用し、全採用者数のうち約5割を占めております。経験者採用者に対しては、企業風土や会社制度の理解促進のため、入社後にフォローアッププログラムを実施しており、早期の組織定着とパフォーマンス発揮を支援しております。2023年度は経験者採用者が気軽に人脈形成が図れる場を提供し、早期の定着を支援する取り組みを行っております。
■働きがいのある職場づくり
多様な人財が、最大限に能力を発揮することができる働きがいのある組織・職場づくりを行うことは、成長と競争力の源泉となると考え、「Purpose浸透」「ユアタイム」「働き方改革」「健康経営」を通じて、これを支えております。
(a)Purpose浸透
2023年度はPurposeの社内浸透度調査を実施し、調査結果を踏まえた施策を展開しました。役員をはじめとする上位マネジメント層約100名に対して、社外の有識者・実践者の講演聴講によるPurpose経営の理解や、マイパーパスの深掘、組織のPurpose作成のワークショップ等を開催した他、ミドルマネジメント層によるPurpose浸透の討議会を半年間実施し、マネジメント層のPurpose経営の理解促進を図りました。今後もエンゲージメントサーベイに併せて浸透度調査を実施し、調査結果を踏まえた効果的な浸透施策を実施してまいります。
(b)ユアタイム
上司と部下との対話を行う「ユアタイム(1on1)」の実践により、リアル、テレワークに関わらず、より深いコミュニケーションの実現に取り組んでおります。管理職に対しては、「ユアタイム」を効果的に進めるスキル(コーチング、ティーチング、フィードバック)の向上と支援を目的として、ユアタイム説明会・ガイドやツールの提供・悩みについて情報交換を行うワークショップなどの施策も実施しております。その結果、2023年度調査ではユアタイムを実施している管理職の約80%が信頼関係の構築や社員の自律と成長といった効果を実感することができております。一方、実践している管理職は全体の約35%に留まっており、新しい人事制度の運用においても「上司部下のコミュニケーションを密にすること」が肝要であることから、新任管理職向けのユアタイム説明会の実施やユアタイムの効果の発信等を継続し、対話文化の醸成に取り組んでまいります。
(c)働き方改革
当社グループでは、働き方改革として、社員が自分自身のライフスタイルや社会の環境変化に柔軟に対応しながら、成果を出し続けられる働き方を実現することを目指しております。働き方改革の目的として「社員一人ひとりの最大限のパフォーマンス発揮」と「新たな価値の創出」の2つを設定し、様々な取り組みを展開しております。2022年度には、テレワークをコロナ対策としての一時的措置ではなく多様な社員のパフォーマンス発揮を促す働き方の一つと位置付け、テレワークの制度化を実現しました。これにより、テレワーク実施日数の上限が撤廃されるとともに、テレワーク実施場所の制限も緩和され、テレワーク活用の機会が広がりました。また、通院などによる業務時間内の中抜けを可能とするため、時間単位年休の制度を導入しました。時間単位年休は、介護に加え育児の事由でも取得可能とするなど、柔軟な働き方を工夫しております。2023年4月からは、コロナ対策として設定していた出社比率に関する制限を撤廃し、出社・テレワークのメリット・デメリットを見極めつつ、一方で従業員一人ひとりのワークライフバランス、キャリア形成を意識し、各組織が自律的に働き方を決定する運用へ転換しました。
(d)健康経営
当社グループでは、CEOがチーフ・ヘルス・オフィサー(CHO)となり、社員の健康の保持・増進・管理に取り組んでおります。「生活習慣病予防」「メンタルヘルス対策」の2つをテーマに、「健康増進」「早期発見・対応」の強化による社員の健康増進に取り組んでおり、特に「予防」「早期発見・早期対応」の観点から、特定保健指導対象者および血圧リスク者への対応や、メンタルヘルスを原因とする新規休職者数の減少を目指した取り組みなどを通じて、より積極的に社員の健康増進に寄与していきたいと考えております。
③ 指標及び目標
当社グループでは、マテリアリティとして「新たな未来を創る人財の創出・強化とダイバーシティ&インクルージョンの進化」に関して、KPIと目標を設定し推進を図っております。
KPIと目標(達成年度) |
2023年度実績と今後の取り組み |
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2021年度比2倍、40人 (2023年度) |
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2021年度から着実に新規ビジネスの実践・経験が増え、高熟達度の人財を一定数継続的に排出できる地盤が整いつつあることから、目標値を達成できた。次期中計では成長領域におけるビジネス化との実績連動を可視化する。経験者採用の強化と人財育成を並行して実施。ビジネスプロデュース関連のeラーニング、セミナーを実施。また、実践型の事業創出ハンズオン、伴走型の実践ワークショップを実施。今後は、業務アサインメントの推進および人財のパイプライン化を図る等、さらなる実効性のある仕組みの検討、実施が必要。 |
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(2024年4月1日時点) |
女性の管理職登用に向けて計画的な育成と人財パイプライン形成、グループでの推進強化のため、組織およびグループ各社が策定した管理職登用計画のもと、サステナビリティ委員会や取締役会にてモニタリングや報告の仕組みを構築しており、2024年4月1日時点で、当社グループの女性管理職比率は11.2%となった。今後さらに女性活躍を加速させるべく、管理職登用計画の継続的な運用と女性社員の個々の課題の状況把握および育成・登用支援を実施していく。 |
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障害者雇用施策の推進、特例子会社の活動、グループ会社での雇用促進により雇用目標2.4%(2021年度の法定雇用率2.3%+0.1%)以上を達成。モニタリングの信頼性向上のため、算出値について第三者の独立した保証声明書を取得。 |
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従業員の働きやすさ向上のため各種制度の整備や施策の展開を行い、2023年度6月に実施したエンゲージメントサーベイにおいてスコア3.43となり、目標を達成した。今後もサーベイ結果を踏まえ、各組織におけるアクションプランの立案/実施、また社内へのパーパス浸透を通じて更なるエンゲージメント向上を図る。 |
健康診断での血圧リスク者への診療所での診察 および保健師による生活習慣指導率 Ⅱ度・Ⅲ度 高血圧者への対応100%(2023年度) |
Ⅱ度 100% Ⅲ度 100% |
Ⅱ度およびⅢ度高血圧者への産業医面談、保健指導、診療所での投薬を実施したことにより、2023年度は32名となり、前年度の125名から約75%の減少となった。 また、社員の健康管理意識の醸成のためeラーニング、セミナー・イベント開催、メールマガジン発行などフォローを実施。 但し、対象者にはまだ健康面への意識が低い社員が多く、今後は、定期健康診断と人間ドックを統合した新しい定期健康診断の導入により、健康管理に対する一層の意識向上を図り、健康管理に対する意識向上・行動変容に繋げたい。 |
メンタル休職者の総休職日数 2019・2020年度の平均日数比 △5%(2023年度) |
年間1.3%増 |
カウンセリング利用の啓蒙、セルフケア研修や睡眠を題材としたセミナーの開催、社内マッサージルーム開設等による社員自らのストレスケア対応・環境を構築。組織レベルでのストレスケアを促すラインケア研修、年次の若い社員へのカウンセリングやユアタイム(1on1)の実施を推進したことで、新規休職者は前年同期比17名減少と現在対応中の施策効果は出ているものの、昨年度に増えた新規休職者の影響を解消できず、基準値対比増となった。 今後は、休職を予防する観点から、引き続き新規休職者の発生を抑止するとともに、休職中の社員へは外部Employee Assistance Program(EAP)と連携し、コミュニケーションを活性化することで改善を図る。また、休職者・高ストレス者の詳細分析を行うことで新たな施策創出を試みたい。 |
KPIと目標(達成年度) |
2023年度実績と今後の取り組み |
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社会貢献活動への役職員参加人数 2020年度比20%増 (2023年度) |
125%増 |
社会課題を「知る・気づく」社会貢献プログラムに、新規の参加者 が増加した。社会課題を「知る・気づく」から、「参加する・行動する」社員が増えてきている。スキルや経験を活かして「プロボノ」として継続して活動する社員も出てきた。そして、その社員自らが活動経験を語り、新たなる社員を巻き込んで、社会貢献活動に参加する連鎖が始まっている 。 |
※1 女性管理職比率は、BIPROGY㈱、ユニアデックス㈱、UEL㈱、㈱国際システム、エス・アンド・アイ㈱、ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ㈱、USOLベトナム㈲の7社を対象とし、BIPROGY㈱、ユニアデックス㈱は業務執行役員及び組織長を、他5社は役員・業務執行役員及び組織長相当を集計。
2 上記データを含む社会関連データの独立保証声明書につきましては、以下のウェブサイトにて公開しております。
https://sustainability-cms-biprogy-s3.s3.amazonaws.com/pdf/IAS_2024_Social_ja.pdf
■人権への取り組み~人権デューデリジェンスの実施 近年、人権に関する指針やガイドラインが日本の関連機関や経済団体から示され、日本企業においても人権尊重への取り組みが経営上の必須課題となっております。当社グループは、「世界人権宣言」および「ILO中核的労働基準」等の国際規範を支持し、人権尊重を企業活動における重要な要素と認識しております。 当社グループでは、バリューチェーン全体における人権に関する事業リスクを低減させるため、人権デューデリジェンスを実施しております。2020年6月には、「ビジネスと人権に関する指導原則」をもとに、「BIPROGYグループ人権方針」を公表しました。マテリアリティにおいて「BIPROGYグループにおける人権課題への対応着手率」を2023年度に100%にするKPIを設定しており、2021年度においては、当社グループ全体を対象に、事業に関わる人権リスクについて、現状の把握および特定を行いました。当社グループ共通の人権課題は以下の通りとなり、順次対応策を検討し、着実に取り組みを進めております。
BIPROGYグループ共通の人権課題 ・人権方針の周知徹底 ・責任ある調達とその管理 ・ステークホルダーエンゲージメントの実施 ・外部からの苦情処理メカニズムの整備 ・「表現の自由」への取り組み ・「倫理的/責任あるマーケティング」への取り組み
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有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが判断したものです。
⑴ 経済動向および市場環境による影響について
金融資本市場の変動や海外景気の下振れ等による経済環境の悪化、企業の情報システムへの投資抑制を含む投資戦略の変更、異業種からの参入による競争の激化等により事業環境が悪化した場合、当社グループの経営成績および財政状態は影響を受ける可能性があります。
また、ESGの浸透を背景とした環境意識の高まりや社会意識の急速な変化、それらに伴う世界的な各種規制の強化や災害対策など政府が推進する各種政策の変更により、事業戦略の見直しが発生する可能性があります。外部環境の動向や変化を逐次見極めながら、迅速な対応に努めてまいります。
⑵ 調達について
当社グループは国内外の取引先からハードウェア・ソフトウェアおよびサービスを調達し、お客様に提供しております。このため取引先各社の事業戦略の予期せぬ変更、経営状況の悪化等による製品仕様の変更、製品・サービス供給の遅延や停止、および調達するサービスの不具合やセキュリティインシデント等による重大な障害の発生等が社会的信用やブランドイメージの低下など当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。このような事態を回避するための施策として取引先定期審査や取り扱うサービス商品の品質管理に努めております。
⑶ 知的財産権について
当社グループでは事業の遂行にあたり、自社の技術や製品・サービスに関わる特許権、商標権等の知的財産権を取得することなどにより自社の知的財産の保護を図るとともに、第三者の知的財産権を侵害することのないよう細心の注意を払っております。しかしながら、第三者により当社グループの知的財産権が侵害される可能性があるほか、当社グループの製品やサービスが第三者の知的財産権を侵害しているとの主張に基づき係争に発展し、その結果、費用が発生する可能性があります。
また、当社グループが事業を遂行する上で必要となる知的財産権等の権利につき、当該権利の保有者よりライセンス等を予定どおり受けられなかった場合や第三者との間で知的財産に係る紛争等が発生した場合は、特定の製品またはサービスを提供できなくなる可能性があります。
さらに、オープンイノベーションにむけたスタートアップ企業等との資本提携や業務提携において、相手方企業の知的財産権確保の不備等により、想定していた知的財産権の活用ができないリスクがあります。
これらの結果、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
このため、当社グループでは、知的財産権の取得に加え、提携先企業の知的財産権に関する十分な調査や、提携契約における必要な権利の確保に努めております。
⑷ プロジェクト管理について
当社グループは、従前からの多数のシステム開発に加えて、アウトソーシングビジネス等の多数のプロジェクトに取り組んでおります。市場競争激化の中で、お客様の要求の高度化、案件の複雑化が進んでいるため、プロジェクトにおいて問題が生じた場合、その修復に想定以上の費用や時間を要し、コストオーバーやリリース期日の延伸を引き起こすリスクが高まります。また、取り扱う製品やサービスの多種多様化により、プロジェクトが管理しなければならないセーフティとセキュリティのリスクも高まります。このため、当社グループでは、プロジェクトのリスク内容を多角的にアセスメントし、システム開発およびアウトソーシングビジネスの実行可否を、「ビジネス審査委員会」において評価し、予実を管理する運用に徹底して取り組んでおります。
また、システム開発手法の体系化・標準化による生産性の向上、プロジェクト課題早期発見制度であるプロジェクト検診等の施策も継続して実施しています。問題プロジェクトの振り返りを通して真の原因を見極め、根本対策や再発防止策を打ち出し、改善のためのPDCAサイクルを回すことによってコストオーバーの予防と問題の早期発見に努めております。
⑸ システム障害について
当社グループが提供するシステムや各種サービスは、お客様の業務の基幹システムや、金融や電力などの社会インフラに関わるものから、決済サービスやEC(Electronic Commerce:電子商取引)などコンシューマー向けのサービスまで多様化しています。これらシステムや各種サービスにおいて、システムの不具合やサイバー攻撃等により重大な障害が発生した場合、その影響範囲は当社グループのお客様にとどまらずサービスをご利用いただくコンシューマーまで広範囲に及ぶため、当社グループの社会的信用やブランドイメージの低下といったレピュテーションリスクと、発生した損害に対する賠償金の支払等により、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
このため当社グループでは、システム障害による計画外のサービス停止時間の品質目標を設定しているほか、システム開発時の品質保証レビュー等によって、機密性・障害許容性・回復性・安定性といった品質特性の向上に努めております。また、本番稼働後にシステム障害が発生した際には、障害管理システムによる社内関係部門への情報展開によって、迅速な対応とリスク顕在化防止にも努めております。
⑹ 情報セキュリティについて
当社グループは、事業活動を通じ、当社グループ自身の情報はもとより、情報システムの開発、提供、運用にあたり、多くのお客様の秘密情報、お客様が保有する個人情報に接する機会を有しております。そのため、個人情報をはじめとする情報管理はICT産業に身をおく当社グループの最重要課題と認識しております。一方、サイバー攻撃は日々高度化、巧妙化しており、サイバーセキュリティリスクは重要な経営課題となっております。そのような中、マルウェアや不正アクセス等のサイバー攻撃、人為的過失などにより、情報システムの停止や情報漏洩、改ざん、不正利用等が発生した場合には、当社グループの社会的信用やブランドイメージの低下といったレピュテーションリスク、および発生した事故に対する対応費用等により、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
このため、当社グループでは個人情報をはじめとする情報管理体制の維持・見直しと、当社グループ全役職員および委託先協力会社に対する教育・指導に努めております。
また、情報セキュリティ基本方針においてサイバー攻撃を重大な経営リスクとして位置づけ、グループ全体の情報セキュリティマネジメントを統括する総合セキュリティ委員会のもとに、サイバーセキュリティリスクに対応するための戦略を策定し推進するプロジェクト体制を構築しております。当社グループのサイバーセキュリティ戦略では、サイバーセキュリティ経営を継続的に実践するためビジョン、目標、活動計画等を定め、ゼロトラストアーキテクチャの考え方に基づくセキュリティ対策基盤の強化など広範囲かつ多様なセキュリティ施策を実施しております。
加えて、サイバー攻撃の未然防止と事故対応を専門とする技術対応チームCSIRT(Computer Security Incident Response Team)を対象としたサイバーセキュリティ演習、ならびにグループ内のネットワーク、サーバ等に対する脅威監視や分析を行うグループ内SOC(Security Operation Center)の監視範囲拡大など、インシデント検知・対応能力の強化を図っております。
さらに、万が一の予期せぬ事態による情報流出に対応するため、一定額までの保険を付保しております。
⑺ 人財について
国際競争の激化や急速な少子高齢化による労働人口の減少、デジタルトランスフォーメーションの進展により、IT人財の獲得競争は厳しさを増しております。また、ビジネスを取り巻く外部環境や企業に対する要請の変化は著しく、技術力に加え、持続的なイノベーション創発や多様化する社会課題・顧客ニーズに対応可能な人財を確保することは重要な課題となっております。当社グループが必要とする人財を確保できない場合、持続的な成長力の維持に影響を与える可能性があります。
そのため、当社グループでは、経営戦略に基づいた人財の獲得・育成のため、中長期視点での新卒採用・第二新卒などのポテンシャル人財や即戦力となるキャリア採用などの経験者採用を実施し、人財がより高度なスキルを習得できるよう、研修・制度の充実を図るなど、各種人財育成施策を展開しております。加えて、女性やシニア・外国籍・障害者等多様な人財の活躍支援、柔軟な働き方を実現させる人事制度やテクノロジーの活用等による職場環境の整備、ROLES(業務遂行上における役割)定義による役職員の個人内多様性「イントラパーソナル・ダイバーシティ」の確立、そのデータを活用した人財の流動性の促進など人財・働き方の多様化と人的資本の可視化を進めております。
また、定期的に役職員サーベイを実施し、分析とフィードバックに基づくアクションにより、エンゲージメント向上に取り組んでおります。
さらに、人財を含む社会分野のマテリアリティに関する意思決定機関としてソーシャル委員会を設置し、人財に関するリスクを軽減し、サステナビリティ経営を推進するための対策を講じております。
⑻ 投資について
当社グループは、顧客価値を向上させる開発および新たな収益基盤の確立のため、新しい製品・サービスの提供を目的とする積極的な投資を行っております。
また、先端技術や知見を有するパートナーに対するグローバルを含めた出資やM&A、ならびに、スタートアップやファンドへの出資を継続・拡大しております。
これらの投資に際しては、投資に対する十分なリターンが常に保証されるわけではなく、パートナーとの経営戦略の不一致や、当初の想定どおりに事業が成長しないことにより、経営成績に影響を与える可能性があります。
このため当社グループでは、投資案件ごとに投資委員会および上位機関である経営会議において、事業計画の妥当性等を慎重に検討し、投資判断によるリスクを最小限にするよう努めております。
⑼ コンプライアンスについて
新たなビジネスの創出などに伴い、コンプライアンスに関するリスクの多様化・複雑化が予想されます。長時間労働やパワーハラスメント、セクシャル・ハラスメントなどの人事・労務問題に加え、今後、データ利活用ビジネスやサービス提供型ビジネスが増加していく中で、データの取り扱いに不備があった場合や、その他重大なコンプライアンス違反の発生により、当社グループの社会的信用の低下や、発生した損害に対する賠償金の支払い、重要取引先からの取引見直しなどに至った場合、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
このようなリスクを回避するため、当社グループでは、「企業行動憲章」、「グループコンプライアンス基本規程」および「グループ役職員行動規範」を策定し、コンプライアンス推進体制を構築することで、グループ全役職員の法令、社会規範および社内規則の遵守ならびに倫理的な活動の実践に努めております。
⑽ 災害・感染症等について
地震等の自然災害やテロにより社会インフラや当社グループの主要な事業所等が壊滅的な損害を被った場合、その対応には巨額の費用を要することが余儀なくされます。また、感染症の発生等により、取引先・従業員の多くが安全確保・健康維持・感染拡大防止のために行動が制限される場合には、サービス提供等事業活動に大きな影響が生じるため、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、地震や感染症等による事業継続リスクに対応するため、「事業継続プロジェクト」にて、安全確保、社内業務復旧、顧客対応の各観点から事業継続計画(BCP)の策定と継続的な見直し・改善を実施しております。また、災害発生時に備え、社員、組織長、災害対策本部メンバーを対象とした安否確認訓練や具体的な発生事象のシナリオに沿って被災状況報告、対応指示、対応状況報告を役割ごとに実施する総合シミュレーション訓練などの訓練・演習を計画的に実施しております。
なお、先般の新型コロナウイルス感染症の流行に対し、以前より策定済みの「新型インフルエンザ対策行動計画」に準じ、当社グループ社員・協力会社社員・お客様をはじめとした社会全体の感染拡大防止に努めつつ事業継続に取り組んでまいりました。新たな感染症の流行・拡大に際しても、新型コロナウイルス感染症への対応で得られた知見を活かし、お客様、パートナー、社員の安心と安全を最優先に事業継続に努めてまいります。
⑾ 技術革新について
IT関連のみならず、顧客・社会課題を解決するための手段は日々刻々と進化しており、新規技術・知財獲得の遅れや、社内アセットやノウハウの陳腐化により、市場競争力の低下や顧客満足度の低下を引き起こす可能性があります。
当社グループでは、これまでに培ってきた当社グループの強みと事業時間軸を踏まえ、技術ポートフォリオを再構築し、コア事業の開発DXを進めるとともに、市場開発領域の高付加価値化・高度化を加速する技術力強化に注力します。また、先端技術・次世代技術の発掘・獲得・実装により、持続的な事業成長を目指しております。これらの活動を通じて、新規技術のキャッチアップや知財獲得、既存技術の最適な利活用を戦略的に進めるとともに、これらの活動に必要となる人財育成やスタートアップと連携した取り組みも積極的に推進しております。
⑿ 気候変動について
深刻化する気候変動を背景とした世界的な環境規制やイノベーション、投資家や社会からの情報開示要請の強化等に適切に対応できなかった場合、サービス開発力、市場競争力および評判の低下等が生じ、経営成績に影響を与える可能性があります。
これらにかかる気候変動リスクへの対応として、TCFD提言が示す「移行リスク」と「物理リスク」の全ての項目に対し、シナリオ分析によるインパクト評価を、全社横断プロジェクトとして実施しております。さらにシナリオ分析で特定された気候関連リスクは、グループリスクマネジメントシステムへ統合し、管理しており、気候変動に関する動向や事業環境の変化を見極めながら、迅速な対応に努めております。
(1)経営成績等の状況の概要
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要については「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」に含めて記載しております。
②生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年4月 1日 至 2024年3月31日) |
前期比(%) |
システムサービス(百万円) |
127,137 |
10.7 |
ソフトウェア(百万円) |
14,385 |
△5.5 |
合計(百万円) |
141,523 |
8.8 |
(注)1.ソフトウェアには、ソフトウェア製品マスター制作までの研究開発費に該当する金額を含んでおります。
2.システムサービスの金額は、販売価格によっております。
3.上記の金額には、消費税等を含んでおりません。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称 |
受注高 (百万円) |
前期比 (%) |
受注残高 (百万円) |
前期比 (%) |
システムサービス |
127,624 |
7.3 |
36,993 |
1.6 |
サポートサービス |
57,191 |
5.3 |
48,091 |
5.0 |
アウトソーシング |
90,050 |
18.5 |
172,742 |
8.5 |
ソフトウェア |
39,379 |
4.4 |
9,128 |
13.0 |
ハードウェア |
57,561 |
△8.8 |
16,625 |
△14.9 |
その他 |
14,297 |
19.2 |
6,260 |
30.5 |
合計 |
386,104 |
6.6 |
289,842 |
5.8 |
(注)上記の金額には、消費税等を含んでおりません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年4月 1日 至 2024年3月31日) |
前期比(%) |
システムサービス(百万円) |
127,039 |
9.8 |
サポートサービス(百万円) |
54,881 |
4.7 |
アウトソーシング(百万円) |
76,582 |
14.8 |
ソフトウェア(百万円) |
38,330 |
2.5 |
ハードウェア(百万円) |
60,471 |
6.7 |
その他(百万円) |
12,836 |
17.1 |
合計(百万円) |
370,142 |
8.9 |
(注)上記の金額には、消費税等を含んでおりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに基づき作成されています。なお、詳細につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記」の「3.重要性がある会計方針」および「4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載の通りです。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
当社グループは、経営方針(2021-2023)の最終年度である2024年3月期の数値目標として、調整後営業利益率10%以上、売上収益3,400億円(うち、アウトソーシング1,000億円)を掲げ、ROEは15%、連結配当性向は40%を目途としてまいりました。
当期の連結業績は、調整後営業利益率9.2%、売上収益3,680億円(うち、アウトソーシング750億円)の計画※に対し、実績は調整後営業利益率9.1%、売上収益3,701億円(うち、アウトソーシング766億円)となり、調整後営業利益率は計画を下回ったものの、売上収益は計画を上回りました。またROEは16.5%、連結配当性向は39.8%となりました。
※2024年2月1日発表の2024年3月期第3四半期決算短信にて、連結業績予想等を修正しており、修正後の業績予想数値を記載しております。
b.経営成績等の状況に関する経営者の視点による認識・分析・検討(事業全体)
当連結会計年度におけるわが国経済は、個人消費や企業の設備投資の持ち直し等により、穏やかな回復基調が続きました。
情報サービス産業においては、デジタルトランスフォーメーション(DX)領域を中心に企業の強い投資意欲が継続しております。
一方で、世界的な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など海外景気の下振れが国内景気を下押しするリスクがあることに加え、物価上昇、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動などが、今後の企業の投資意欲に影響を及ぼす可能性があります。
このような環境下、当社グループが目指す「Vision2030注1」の実現に向けて、「経営方針(2021-2023)」に基づく取り組みを推進してまいりました。基本方針としては、お客様の持続的成長に貢献する顧客DXの推進「For Customer」と、各業種・業界のお客様、パートナーと共に社会課題解決を進める社会DXの推進「For Society」を定め、価値創出力を強化するための「風土改革」も推進してまいりました。
当社グループは、これまで培ってきたビジネス構想力とエンジニアリング力に加え、システム開発やソリューション提供を通じて得られた幅広い業種・業界での知見を有しており、多くのお客様との信頼関係やパートナーとの強いつながりを活かし、社会課題解決に取り組み、社会的価値と経済的価値の創出を目指しています。
当連結会計年度におきましても、これまでに獲得した幅広い知見をもとに、「For Customer」、「For Society」視点での取り組みが拡大しております。
金融分野では、オープン環境/パブリッククラウドでのフルバンキングシステム「BankVision®」、共同利用型勘定系サービス「OptBAE®」の売上収益が拡大しております。
当社グループは、金融機関向けにフロントからバック業務まで幅広い領域でサービスやソリューションを提供しており、FinTech、XTechなどの新規プレイヤーとも多くの協業実績があります。これらの業務知見、技術力、連携力を活かし、金融サービスを機能単位で提供する新しいプラットフォームサービス「ファイナンシャル・サービスプラットフォーム」構想注2を進めております。この取り組みの一環として、地域金融機関向け共同利用型バンキングアプリ「#tsumuGO_mobile®注3」を2024年3月に提供開始しました。すでに複数の金融機関に採用を決定いただいており、今後も「いつでも」「どこでも」「だれでも」気軽に使える機能を拡充し、地域活性化と住みやすい街づくりを支援してまいります。
流通分野では、人手不足が課題となっている小売業向け店舗DXとして、店舗業務の大幅な効率化につながる「電子棚札ソリューション注4」の採用が拡大しております。2024年2月には、電子棚札に特化したクラウドサービス「BIPROGY ESL SaaS™」の提供を開始しました。本サービスは、システム構築から運用保守、業務活用までトータルで提供するため、手軽に電子棚札を導入できるようになります。すでに複数の食品スーパーに採用を決定いただいており、システムの拡張性や柔軟性、維持管理なども持続的にサポートすることで、小売業界のDX化を支援してまいります。
製造分野では、当社グループが長年培ってきたCAD、CG技術を活かして2022年に設立した子会社V-Drive Technologiesが手掛ける「自動運転シミュレーションプラットフォーム(DIVP®注5)」の引き合いが拡大し、導入社数も順調に増えております。国内外での自動運転車の社会実装が進む中で、自動車メーカーやサプライヤ―、大学、自治体とともに、交通事故や運転手不足等の社会課題解決につながる自動運転社会の実現に貢献してまいります。
公共分野では、カーボンニュートラル実現に向けて、取引量の増加が見込まれるカーボンオフセット注6に係る業務の負担を軽減する環境価値管理サービス「Re:lvis®(リルビス)」や、AIにより太陽光発電の余剰電力量を予測する「太陽光余剰予測サービス」を提供しております。企業の目的や課題に合わせた提案・サービス提供を幅広く行うことで、カーボンニュートラル実現に貢献してまいります。
また、AIを活用した顧客DXへの取り組みも加速しております。
生成AIに対する期待の高まりを受け、企業向け「ChatGPT」利用環境構築サービス「Azure OpenAI ServiceスターターセットPlus注7」の導入が拡大しております。本サービスは、セキュアな生成AI環境構築と生成AI活用シナリオの作成を伴走型で支援します。
流通業向けには、AI需要予測による発注自動化サービス「AI‐Order Foresight®」の適用が拡大しています。製造業向けには、台湾のProfet AI社と提携し、スマートファクトリーや製造DXを推進しており、生産技術部門を中心に多くの引き合いがあります。
当社グループのユニアデックス株式会社では、長年蓄積した豊富な運用実績データを元に、障害調査の自動化などAIを活用して運用業務の自立化を支援する新たなマネージドサービスの開発に着手しております。データとAIを融合してビジネスを繋ぎ、企業の課題解決や新しい価値の創出を支援してまいります。
「経営方針(2021-2023)」では、社会の期待や要請に対する対応力を高めていくことでステークホルダーの皆様から信頼され、期待され続ける企業グループになることを目指してきました。社会課題解決の実現に向けて推進していく社員自らがイニシアティブをとって社会に働きかけ、さまざまなステークホルダーを巻き込み解決に向けてチャレンジしていけるよう、当社グループではさらなる風土改革を推進してまいります。
これまでVision2030実現に向けて、当社グループ一体となって取り組んでまいりました。今後も新たに定めた経営方針(2024-2026)のもと、目標達成に向けた取り組みをより一層加速してまいります。
(注)
1. Vision2030については、当社グループウェブページの以下ご参照。
https://www.biprogy.com/com/management_policy.html
2. ファイナンシャル・サービスプラットフォーム構想については、当社グループウェブページの以下ご参照。
https://www.biprogy.com/solution/service/fsp.html
3. #tsumuGO_mobileについては、当社グループウェブページの以下ご参照。
https://www.biprogy.com/solution/service/tsumugo.html
4. 電子棚札ソリューションについては、当社グループウェブページの以下ご参照。
https://www.biprogy.com/solution/service/shelf-tag.html
5. DIVP:Driving Intelligence Validation Platformの略称で、実現象と一致性の高いシミュレーションモデルに基づいた仮想空間における、さまざまな交通環境下で再現性の高い安全評価を行うためのプラットフォームのこと。DIVPは、学校法人幾徳学園の登録商標です。
6. カーボンオフセット:非化石証書などの環境価値で発生させた温室効果ガスの埋め合わせを行うこと。
7. Azure OpenAI ServiceスターターセットPlusについては、当社グループウェブページの以下ご参照。
https://www.biprogy.com/solution/service/rinzatalkplus.html
8. 記載の会社名および商品名は、各社の商標または登録商標です。
当連結会計年度の売上収益は、お客様からのIT投資に対する旺盛な需要を背景に、システムサービスやアウトソーシングを中心に全てのセグメントで増加し、前期に比べ302億44百万円増収の3,701億42百万円(前期比8.9%増)となりました。
利益面につきましては、投資強化などによる販売費及び一般管理費の増加を、増収による売上総利益の増益分でカバーし、営業利益は、前期に比べ36億14百万円増加の332億87百万円(前期比12.2%増)となりました。また、親会社の所有者に帰属する当期利益は、営業増益や法人所得税の減少により、前期に比べ50億43百万円増加の252億46百万円(前期比25.0%増)となりました。
なお、当社グループが業績管理指標として採用している調整後営業利益※につきましては、前期に比べ44億18百万円増加の338億12百万円(前期比15.0%増)となりました。
※調整後営業利益は、売上収益から売上原価と販売費及び一般管理費を控除して算出しております。
財政状態
当連結会計年度末の総資産の状況につきましては、現金及び現金同等物、無形資産並びに繰延税金資産の増加等により、前連結会計年度末比338億22百万円増加の3,142億19百万円となりました。
負債につきましては、リース負債が減少した一方、契約負債等が増加したことにより、前連結会計年度末比71億6百万円増加の1,459億5百万円となりました。
資本につきましては、1,683億14百万円となり、親会社所有者帰属持分比率は53.0%と前連結会計年度末比3.1ポイント上昇しました。
c.資本の財源及び資金の流動性について
財務政策
当社グループの資金需要は、営業活動に関する資金需要として、システムサービスおよびサポートサービスなどの外注費、販売用のコンピュータおよびソフトウェアの仕入の他、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものがあります。営業費用の主なものは人件費および営業支援費、新規サービスの開発等に向けた研究開発費です。また投資活動に関する資金需要として、新たなビジネス創出に向けた、事業会社、スタートアップ、ファンドへの戦略投資、既存ビジネス遂行のための設備投資などがあります。経営方針(2021-2023)においては、投資戦略を重要な施策の一つとしており、2024年3月期までの3ヵ年累計で601億円の実績となりました。経営方針(2024-2026)においても、投資を重要な施策と位置づけており、先端テクノロジー活用やイノベーションの持続的な創出、注力領域を中心とした国内外でのM&A等の実行を目指し、戦略投資を加速させていく計画です。
必要な資金については、既存のICT領域や今後成長が見込まれるサービス型ビジネスから創出されるキャッシュ・フローおよび手許資金等でまかなうことを基本としており、2025年3月期においても、この方針に変更はありません。
投資実績 |
(単位:億円) |
||||
|
2022年3月期 |
2023年3月期 |
2024年3月期 |
3ヵ年合計 |
|
戦略投資 |
39 |
35 |
36 |
109 |
|
サービス開発投資 |
研究開発投資 |
41 |
40 |
45 |
126 |
設備投資 |
91 |
147 |
128 |
366 |
|
合計 |
171 |
221 |
209 |
601 |
また、機動的な資金調達と安定性の確保を狙いとし、従来、主要取引金融機関と総額105億円の貸出コミットメントライン契約を締結しております。なお、当連結会計年度において当該契約に基づく借入実行はありません。
株主還元については業績連動による配分を基本として、キャッシュ・フローの状況や成長に向けた投資とのバランス、経営環境などを総合的に考慮して利益還元方針を定めており、経営方針(2021-2023)においては連結配当性向40%を目処とする利益還元方針を定めておりました。この方針に沿って当連結会計年度においては、1株当たり100円(連結配当性向39.8%)の配当を実施しております。
キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末比156億18百万円増加の592億63百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金につきましては、税引前当期利益341億64百万円に加え、非現金支出項目である減価償却費及び償却費178億60百万円等の収入加算要素および、棚卸資産の増加28億48百万円、営業債権及びその他の債権の増加23億75百万円等の収入減算要素により、416億93百万円の収入(前期比132億73百万円収入増)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により支出した資金につきましては、主に営業用コンピュータ等の有形固定資産の取得による支出21億76百万円、アウトソーシング用ソフトウェアに対する投資を中心とした無形資産の取得による支出105億93百万円、政策保有株式を中心とした投資有価証券の売却による収入75億16百万円等により、85億50百万円の支出(前期比69億86百万円支出減)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により支出した資金につきましては、リース負債の返済による支出90億48百万円、配当金の支払額85億42百万円等により、176億21百万円の支出(前期比4億21百万円支出減)となりました。
d.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
システムサービス
システムサービスは、ソフトウェアの請負開発業務、SEサービス、コンサルティング等からなり、売上収益は1,270億39百万円(前期比9.8%増)、セグメント利益は441億37百万円(前期比11.4%増)となりました。金融機関や製造業、サービス業等、様々なお客様におけるデジタルトランスフォーメーション案件が活況となり、増収増益となりました。収益性も高水準を維持しております。また、受注高につきましても、医薬品関連行政機関向け大型案件や製造業、金融機関向けデジタルトランスフォーメーション案件の計上等により、前期比で増加しております。システムサービスを通じて獲得した知財を活用し、将来のプラットフォームサービスを創出していくことにより、付加価値の高いサービス型ビジネスへと繋げてまいります。
サポートサービス
サポートサービスは、ソフトウェア・ハードウェアの保守サービス、導入支援等からなり、売上収益は548億81百万円(前期比4.7%増)、セグメント利益は167億43百万円(前期比4.1%増)と増収増益となりました。引き続き収益性の維持・改善に取り組んでまいります。
アウトソーシング
アウトソーシングは、情報システムの運用受託やサービス型ビジネス等からなり、売上収益は765億82百万円(前期比14.8%増)、セグメント利益は169億8百万円(前期比0.8%減)となりました。リモートワーク関連などの他社クラウドサービスの売上増加や、サービス型ビジネスの利用拡大などにより増収となったものの、地域金融機関向け共同利用型勘定系サービス「OptBAE」への移行に伴う、従来の信金向けアウトソーシングサービスの採算性悪化や、物価上昇によるコスト増加などにより、減益となりました。今後、他社クラウドサービスと自社サービスを組み合わせた付加価値の高いマネージドサービスを提供していくとともに、運用効率のさらなる改善や収益性の高いサービス型ビジネスの拡大に取り組むことで、収益性向上を目指してまいります。
ソフトウェア
ソフトウェアは、ソフトウェアの使用許諾契約によるソフトウェアの提供等からなり、売上収益は383億30百万円(前期比2.5%増)、セグメント利益は58億53百万円(前期比14.8%増)となりました。前期に比べ収益性の低い他社製ソフトウェア案件が減少した一方、大型から小口まで幅広い案件を獲得したことにより、増収増益となりました。
ハードウェア
ハードウェアは、機器の売買契約、賃貸借契約によるハードウェアの提供等からなり、売上収益は604億71百万円(前期比6.7%増)、セグメント利益は105億44百万円(前期比16.6%増)となりました。ネットワーク機器販売案件等の中小型案件が増加したことや前期に比べ採算性の高い案件が増加した影響等により、増収増益となりました。
その他
その他は、報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、回線サービス及び設備工事等を含み、売上高は128億36百万円(前期比17.1%増)、セグメント利益は29億86百万円(前期比20.1%増)となりました。
(注)セグメント利益は、当社グループが業績管理指標として採用している調整後営業利益と調整を行っており、上記の全てのセグメント利益合計971億73百万円から、各報告セグメントに配賦していない販売費及び一般管理費を含む調整額633億60百万円を差し引いた338億12百万円(前期比15.0%増)が調整後営業利益となります。
契約の名称 |
相手方の 名称 |
契約締結日 |
契約 期間 |
契約内容 |
代理店契約 |
ユニシス・ コーポレーション(米国) |
1987年12月(1991年3月および2005年10月に一部改定) |
1988年 4月より 期間の 定めなし |
ユニシス製コンピュータの日本における総代理店契約。 主な内容は、以下のとおり。 ①日本におけるユニシス製コンピュータの輸入販売、保守 ②技術情報・技術援助の提供および商標使用権の設定 |
業務提携等に 関する契約 |
大日本印刷 株式会社 |
2012年8月9日 |
契約締結日より 期間の 定めなし |
「クラウド事業」、「新プラットフォームサービス事業」、「マーケティング・販売連携」の各分野における業務提携。 |
当社グループは2030年に向けて、先見性と洞察力でテクノロジーの持つ可能性を引き出し、持続可能な社会を創出する社会的価値創出企業への変革を進めることを「Purpose」として掲げ、さまざまなサービスやノウハウをデジタルの力でつなぎ合わせ、社会の共有財であるデジタルコモンズとして創造し提供する企業となることを目指した「Vision2030」を定めました。
また、「Vision2030」の実現に向けて、顧客の持続的成長に貢献する顧客DXの推進「For Customer」と、様々な業種業界のお客様、パートナーと共に社会課題解決を進める社会DXの推進「For Society」の2つの視点で経営方針(2021-2023)を定め、研究開発活動に取り組んでまいりました。
経営方針(2024-2026)では、持続性のある新たな事業ポートフォリオを生み出していくために、企業価値増大に向けた積極的な投資の推進により、研究開発費を更に拡充してまいります。
当連結会計年度の研究開発費の総額は、
(1)主なサービス・商品等の開発
①当連結会計年度に開発が完了し、商品リリース、サービス開始した開発案件
・AIを活用して電気自動車(以下、EV)の最適な充放電計画を作成し、遠隔で自動制御を行う「EV充放電サービス」の提供を開始。脱炭素社会の実現に向けた取り組みの一環として、自治体や企業の公用車や営業車などをEVシフトする動きが加速する中、電力コストや運用管理などの課題が顕在化している。「EV充放電サービス」は、AIによる最適な充放電計画を作成し、需要家(EVユーザー)が所有するEVを“動く蓄電池”のようにエネルギーリソースとして用いることができ、放電による電気料金削減(ピークカット)や災害時のBCP対策などにEVを活用させることが可能になる。
・働く女性が抱える健康課題やライフプランの悩みを同じ悩みを抱える女性や専門家との対話を通して解決に導くデジタルサードプレイスとして、企業横断型のコミュニティーサービス「marbleMe®」を提供開始。働く女性が直面するさまざまな健康課題による経済インパクトは年間6兆円を超えると言われており、大きな社会課題となっている。企業の人事担当者は、「marbleMe」を通じて、労働生産性向上、女性活躍、ダイバーシティ推進、および、福利厚生の充実に向けた施策を検討することができる。
・国内の酒蔵と海外の輸入事業者をつなぎ、日本酒のクロスボーダー取引を支援するプラットフォーム「J’s Marketplace®」を販売開始。酒蔵や輸入事業者は「J’s Marketplace」を通じて、デジタル取引を行うと同時に輸送や通関に関する手続きを行うことができる。また、輸出経験が少ない酒蔵でも、日本語で注文を受け、簡単に輸出の取引ができるようになると同時に、輸入業者は、英語で酒蔵へ発注ができる。酒蔵や米農家の地域活性化、および、日本酒に代表される価値ある特産物の輸出バリューチェーンのDXを推進する。
・電子棚札の導入に伴うシステム構築、インフラ、運用・保守などトータルで支援するクラウドサービス「BIPROGY ESL SaaS」を提供開始。近年小売業界では、労働生産性の向上や作業効率化のため、電子棚札を導入する企業が増加している。「BIPROGY ESL SaaS」は、手軽に電子棚札を導入でき、従来のシステム構築・運用に必要であった設備投資や人員確保、育成の負担を軽減するほか、システムの拡張性や柔軟性、維持管理なども持続的にサポートし、小売業界の業務効率化を支援する。
・デジタルトランスフォーメーション(DX)につながるクラウド活用を検討されているお客さまに対し、解決策の提示、構築・移行、サポート・運用までをワンストップで提供する「クラウドDXセンター」を設立。パブリッククラウドへのシフトを進めDXを実現するお客さまを支援するためのアセスメント、要件確認から導入・構築、サポート/運用といった導入プロセスにおいて一貫したサービスを提供する。
・企業ユーザー様向けのクラウドサービス利用を支援するサービス体系「CLOUDForesight®」を提供。当社がこれまで培ってきたシステム構築ノウハウを活かしてクラウドサービス利用を支援する。サービスの提供は、Microsoft Azureおよびアマゾンウェブサービスが対象。
・情報管理統制を高めることによりお客さまの負担を低減し、効率的に生成AIの業務利用を可能にする利用環境構築サービス「Azure OpenAI Service スターターセット Plus」を提供。「CLOUDForesight®」により、Azure OpenAI Serviceのお客さま利用環境に合わせた最適化、安定した運用を実現する。また、自然言語処理技術を活用した「RinzaTalk®」により、利用者の利便性の拡大とコンプライアンス対策を両立した運用を行う。
・アプリケーション開発/運用における技術・経験を統合したサービス「AlesInfiny®(アレスインフィニ)」を提供開始。DXを目指す企業に、クラウド時代の最新アーキテクチャと生成AI技術で、変化に強いアプリケーションの開発と運用を実現し、デジタル技術を活用したビジネス変革をお客様と共に推進することで、持続可能な社会の実現に貢献する。
・お客様のデータAI活用を支援するサービス体系「Rinza®」を提供。長年蓄積した様々な業種業態の業務知見に根差したデータ分析技術と、データを安全に蓄積し繋ぐ技術を基に、意思決定を支援することで、企業の課題解決や新しい価値の創出を支援する。
・スポーツビジネスにおける潜在的なファンをNFTにより識別し、永続的な関係性を構築する取組みなど、NFTをコミュニティへのコミットメントやメンバーシップとする新たなファンマーケティング、web3により台頭するコミュニティ・エコノミーに関連するサービスを企画開発。
②次年度以降の商品リリース、サービス開始に向けた開発案件
・高品質なデータ分析から、分析基盤の構築、データサイエンティストの育成まで組織全体にデータAI活用による意思決定を浸透させるサービスの開発を継続。従来、情報システム・IT部門向けが主流だったサービスに加え、業界や業種の特性に合わせて、生成AIなどの先進テクノロジーを活用し、事業部門が直面するさまざまな業務課題に対する新たなソリューションの取り揃えを強化する。
(2)新技術に関する研究・開発
①当連結会計年度に研究開発が完了した案件
該当事項なし。
②次年度以降も研究開発を継続する案件
・未来における社会変化と技術活用の予測および先端技術の探索マップ整備、技術動向調査と事業機会の探索、技術全体のポートフォリオの整備・評価・運用。
・当社および顧客のサービスビジネスにおいて、市場や顧客のビジネス要求の変化に対し、迅速且つ安全なサービスを開発・提供・運用するための、DevOpsの採用技術の調査・セキュア環境基盤の開発。
・当社サービスビジネスの開発・運用に必要な指針や規約、ガイドドキュメントの開発、および、前提となるクラウドネイティブ開発領域の採用技術の調査・研究開発。
・AI応用領域(画像解析、対話支援、予測)とビッグデータ基盤技術を活かした顧客行動データモデルの分析基盤の開発、データマネジメント関連技術および分析ノウハウの調査・研究。生成AI技術のビジネス活用に向けた応用技術の開発と実装。
・web3関連技術の調査、パブリックチェーンにおけるウォレット、NFT/SBTの安全な運用方法の研究、分散型経済を実現する新たなビジネスモデルの試行。
・組合せ最適化の領域で実用化に向けた研究を進展させ、古典AI技術と量子アニーリング技術のハイブリッドによる問題解決手法の調査、検証。
(3)基盤となる技術や先端技術等の研究・開発
①当連結会計年度に研究開発が終了した案件
該当事項なし。
②当連結会計年度に研究開発を開始した案件
・現実世界の現象をモデリングして仮想空間に取り込み、数理的な解析やシミュレーションによって、現象の解明や理解を促進することで課題解決につなげる手法の研究開発
③次年度以降も研究開発を継続する案件
・システム工学を土台とする、分野や業界を横断する複雑化した社会システム全体の見取り図となる社会システムアーキテクチャの研究開発。
・日常の当たり前を認識するAI、機械学習と言語学に基づく複合的な自然言語処理、発想や意思決定をサポートする技術の研究開発。
・仮想と現実の融合に関して、空間の認識および空間に情報を表現するための画像処理・画像認識を含むセンシング技術、直感的かつシンプルなインタフェース技術の研究開発。
・当社が培ってきたCAD・CG技術を発展させた、設計データと二次元画像・三次元点群データを利用した物体認識技術の研究開発。
・想定困難な事故が発生するリスクの高まりを見据え、信頼性・安全性を検証するための多面的な特性である“トラストワージネス(Trustworthiness)”に着目した、新たな安全分析手法の研究開発。
・データが不完全な(矛盾、曖昧さ、欠損を含む)場合であっても不合理な判断を引き起こさずに、適切な帰結を得ることができる新たな推論システムの研究開発。
・人の“思考”“動作”“心理”“身体”に基づいた、自らの可能性を知り、より良い選択ができるための技術の研究開発。
・社会課題解決、経済活動活発化等につながる、人の行動変容を導く技術の研究開発、施策立案者の意思決定の質をあげるデータ活用基盤の研究開発。
・その他、量子コンピューターの本格的なビジネス利用に備えた、量子ソフトウェア開発における高水準プログラム言語とそれを用いた開発方法論やツールとその活用についての調査・研究。