文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループが属する国内人材ビジネス市場環境は、少子高齢化による生産年齢人口の減少や産業構造の変化等による構造的な人手不足が顕在化しており、企業の採用需要は底堅い状況にあるものと認識しております。また近年では各種法改正、企業におけるデジタル化の推進、テレワーク・フリーランスを始めとした働き方の変化、賃上げを始めとする諸制度の改定ならびに整備などダイナミックな市場変化が起きています。それに伴い、求職者においては転職志向の変化による業界を跨いだ転職が促進され、一方、企業においては事業継続にも影響を及ぼす採用競争がより活発化し、結果的に雇用の流動性が高まると同時に二極化が進むものと考えております。
海外における人材ビジネス市場環境は、当社が展開しているインド、ベトナムは共に高い経済成長が見込まれており、人口が多く平均年齢も若いことから、中長期的な視点で人材ビジネスの成長期待が高いと考えております。
足元では各々の国内景気悪化等の影響により、経済活動及び採用活動の縮小及び停滞が見られるものの、IT・テクノロジー分野の市場成長期待及び同分野の人材ニーズは依然として高く、オフショア開発等を含めてインド、ベトナムの成長期待は引き続き高いものとみております。
このような状況を踏まえ、当社は今後、更なる雇用の流動性の高まりに加え、求職者及び採用企業によるサービス利用の多様化とともに一層の選別が進むものと考えております。
当社はパーパス(社会における当社の存在意義)として「誰かのため、社会のために懸命になる人を増やし、世界をよくする」を掲げております。
その実現のために、テクノロジーを活用して質・量ともに担保された求人情報の提供による就業機会の増大を目指してまいります。
また、当社は2027年3月期を最終年度とした「中期経営計画」を推進しており、その中で「engage」「人財プラットフォーム」を投資事業と位置付け、次の事業の柱とするべく積極投資を行い、収益を大きく伸長させる方針であります。既存事業につきましては、大きな転換期を迎えている人材ビジネス市場において、プレゼンスを保ちながら一定の投資を行いつつ高収益な事業として継続させていきます。
「engage」では、従来の求人メディアとは異なるユニークなサービスを提供しております。
企業側は、無料で自社採用ホームページ・求人情報を作成し、多彩な求人ネットワーク連携により求職者への露出を高めることができます。積極的なプロ―モーションによる認知度の高まりや、利便性の高さから求職者ならびに利用企業数が順調に増加し、求人数では既にハローワークの正社員求人数を超える規模となっており、国内トップクラスのサービスに成長しております。今後も引き続きプロモーション投資を継続しつつ、AIなどのテクノロジーを活用するなど最適な求人情報を求職者へ提供、更なる就業機会の増大を目指してまいります。
「人財プラットフォーム」では、今後益々採用需要の増加が見込まれる専門職・管理職など、企業の成長や変革を推進する経営人材や新たなプロフェッショナル人材であるハイクラス層をターゲットに、魅力的な求人情報を提供し、社会的インパクトの大きいポジションや成長産業への適切な労働移動の実現を目指してまいります。
2022年5月12日に公表いたしました中期経営計画の最終年度である2027年3月期では、連結売上高120,000百万円、連結営業利益24,000百万円の達成を目指してまいります。
(特別調査委員会からの報告書受領について)
当社は、2023年3月期の期末監査の期間中に当社の中国における連結子会社(英才網聯(北京)科技有限公司(以下「英才JV」といいます。)において不適切な会計処理が行われていた疑いが判明したため、2023年5月23日より外部の有識者2名及び独立役員である社外取締役監査等委員長からなる特別調査委員会を設置し調査を開始、2023年7月24日に調査チームから調査報告書を受領しております。
本件調査において、英才JVの総経理による関与が認められた不適切な会計処理として、2010年から2016年にわたり、英才JVの預金を私的に流用していたことが確認されました。
次に、本件調査の過程で、英才JVにおける社会保険料等が一部未納となっている可能性が発覚したため、当社が調査主体となり、特別調査委員会及び外部の専門家の協力を得て、事実関係等の調査を行った結果、当社が英才JVへ出資した2006年より、社会保険料等が一部未納となっている事実が確認されました。
当社は、調査結果を確認・精査した結果、本件事案の各期間損益に与える影響が重要ではないと判断し、2019年3月期から2022年3月期の有価証券報告書、2020年3月期から2023年3月期の第1四半期から第3四半期までの四半期報告書について、訂正報告書を提出しておらず、上記の必要な修正は、全て2023年3月期の連結財務諸表に反映いたしました。
当社といたしましては、財務報告に係る内部統制の重要性を強く認識しており、調査報告書の提言を踏まえ、以下の通り再発防止策を設定・実行し、適切な内部統制の整備・運用を図ってまいります。
① 全ての連結子会社のコンプライアンス意識をさらに高められるような施策を検討し継続的に実施する。
② グローバルホットラインの仕組みを連結グループの全従業員に周知徹底する。
③ 内部監査室の内部監査の対象から長期間外れている連結子会社がないような内部監査計画を立案し実行する。
④ 連結決算財務報告プロセスの決算財務チェックリストを改善し、各勘定科目について入手すべき証憑及び当社のチェック内容を具体的に記述し、全ての連結子会社からチェックリストに沿って十分な証憑を入手し確認するよう当社管理部門の体制を整備し運用する。
当社グループではサステナビリティを巡る課題への対応について、重要な経営課題であると認識しております。取締役会では、基本的な方針として環境基本方針、人権方針及びコンプライアンス基本方針を策定しており、経営資源の配分や経営戦略が企業の持続的な成長に資するよう取り組んでまいります。
当社グループは設立以来「ビジネスを通じた社会課題の解決」に取り組んでおり、マテリアリティとして掲げております。慈善・文化支援活動ではなく、影響力と継続性を兼ね備える「本業」の中で、業界、ひいては社会全体をより良く変革していくという信念を貫いてきました。この信念のもと、サステナビリティに関する取組にも国連で採択されたSDGs (持続可能な開発目標)に照らし合わせ、本業での社会貢献に取り組んでおりますが、特に「働きがいも経済成長も」「質の高い教育をみんなに」の2つは、当社グループの事業との関連性が非常に強い項目であり、入社後の活躍による仕事人生の充実や経済成長、社会人向けの教育サービスの普及や質的向上、さらにAIを活用したマーケティング支援や新しい価値の創出など、非HR領域を含め様々な形でSDGs達成に貢献できると考えております。
[人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針]
当社における人材の育成及び社内環境整備に関する方針は、従業員一人ひとりの「CareerSelectAbility®」を高めることです。CareerSelectAbility®(キャリア自己選択力)とは、当社オリジナルの言葉であり、いかなる状況においても自身が望むキャリアを選べるだけの実力、つまり、仕事内容や働く企業、外部環境が変化しても、活躍を続けられるような普遍的能力を指しています。高いCareerSelectAbility®を有する人材を増やすことは、組織としての変化への適応力を高め、当社の持続的な成長・発展を加速させます。また、従業員個人としての人生の充実・幸福度合いにも影響を与えるものとして、非常に重視している観点です。
そのため、当社においてはCareerSelectAbility®の獲得・発揮度合いを人事評価の基準としており、その獲得・発揮につながる仕事のアサインメントや上司-部下のコミュニケーション促進、また各種人事制度や教育カリキュラムの提供を行なっております。加えて、20代からマネジメントに挑戦できる「チャレンジ管理職制度」や、出産・育児といったライフイベントを経てもキャリアを断絶させない「スマートグロース制度」などを設け、持続的な能力開発を支援しております。
当社では、リスクに機動的に対応できるようリスク管理委員会を設置し、全社重要リスク対応策の立案、実施、評価および改善などを行う、全社リスクマネジメント体制を構築しています。サステナビリティに関連するリスクも全社リスクと統合され、取締役会及び経営会議等にて報告および議論しております。
当社グループの事業の特性上、環境へのインパクトは少ないですが、GHG排出量削減を目的とした数値計測を実施しております。当該指標に関する実績は、次のとおりです。
(注)データはエン・ジャパン単体(主要拠点である、東京・大阪・名古屋オフィスが対象。各契約事業会社の排出係数および入居ビル提供による排出係数をもとに算出)都市ガスは当社オフィスにおいて使用・排出しておりません。
[人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績、指標及び目標]
また、当社では、上記「⑵戦略」において記載した人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針に関する指標として、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりです。
当社グループの事業展開上のリスク要因となる可能性がある主な事項を以下に記載しております。また、必ずしも事業上のリスクに該当しない事項についても、投資判断、あるいは当社グループの事業活動を理解する上で重要と考えられる事項について、投資家及び株主に対する積極的な情報開示の観点から記載しております。当社グループは、これらリスクの発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社グループの経営状況及び将来の事業についての判断は、以下の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
なお、以下の記載は当社株式への投資に関するリスクを全て網羅するものではありません。また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(特に重要なリスク)
(1) 景気の変動、雇用情勢及び感染症について
当社グループの事業は景気動向や雇用情勢等の影響を受けやすいものであり、当社グループの想定を超えた経済環境の変化があった場合は、当社グループの業績に影響を与えうるリスクであると考えております。特に、大規模かつ深刻な感染症が流行した場合は、当社グループの事業活動に影響を及ぼし、当社グループの業績にも影響を与える可能性があります。当社グループでは、感染症拡大に関するリスクへの対応策として、従業員及び顧客企業の安全確保と感染拡大防止策やBCP(事業継続計画)を整備し、有効な防疫対策を講じた上で事業が継続できる体制の構築に努めています。
(2) 個人情報保護について
個人情報の外部漏洩はもちろん、不適切な利用、改ざん等の重大なトラブルの発生は、当社グループの業績に影響を与えうるリスクと考えております。
当社グループは、個人情報の管理を事業運営上の最重要事項と捉え、個人情報を取り扱う際の業務フローや権限、組織体制を明確にし、個人情報保護規程をはじめとした規程や規則等を制定しております。また、従業員を対象としたe-ラーニングなどの社内教育を通じて関連ルールを周知徹底し、個人情報保護法及び関連法令等の法的規制の遵守に努めております。しかしながら、個人情報の流出等の重大なトラブルが発生した場合には、契約内容にかかわらず法的責任を課せられる危険性があります。あるいは、法的責任まで問われない場合でもブランドイメージが毀損し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(3) M&Aについて
当社グループは事業拡大の一環としてM&A等を展開しており、今後も必要に応じて実施してまいります。ただし、M&A等は、将来予測を基に実施するものであり、不確実性が伴います。
当社グループでは、M&A等を実施する場合には、対象企業の財務内容や契約関係等について詳細な事前調査・検討を行い、極力不確実性を排除するように努めております。しかしながら、M&A後に、偶発債務等の発生や事業環境の変化等により計画通りの事業展開を行えなかった場合は、のれんや関係会社株式の減損処理が発生し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(4) 内部管理体制の充実及び法令遵守について
当社グループは国内外において子会社、関係会社が増加しており、それに比例して不正行為等による法令違反の発生可能性が増加することが想定されます。
当社グループは、これらのリスクの低減のため、各種法令・ルールに則った規程等を制定するとともに、その遵守を担保するため、内部統制システムを整備しております。また、代表取締役社長直轄の独立した組織として内部監査室を設置し、国内外を問わず、監査を通じて当社グループ全体における法令・ルール等の遵守状況の確認等を行っております。しかしながら、人的要因及び急激な事業環境の変化により、内部統制に関する制度の構築、運用、モニタリングのいずれかが充分に機能しない場合、様々な事業リスクを適切に管理できず、業績に影響を与える可能性があります。また、内部統制に関する制度が完全にその機能を果たしたとしても、これらは違法行為のすべてを排除することを保証するものではなく、従業員による重大な過失、不正、その他の違法行為等が生じた場合には、訴訟や損害賠償等の発生により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(5) 技術開発に伴うサービスの陳腐化について
インターネット関連事業は技術革新が著しく、新技術、新サービスが常に生み出されております。当社グループ事業はインターネットと深く関わっており、競争力のあるサービスを提供し続けるためには、かかる新技術及び新サービスを適時に提供することが重要になります。
当社グループでは、ユーザーやクライアントから寄せられる様々なリクエストを吸い上げ、自社システムに反映することや、新技術を用いた質の高いサービスを提供するため、各企画部門が中心となり関係部署と協議の上、新規サービスを開発する体制をとっております。また、新技術を持ち当社サービスとシナジーが発揮できる企業と、業務資本提携やM&A等を実施することで、技術革新に積極的に対応しております。しかしながら、他社が極めて革新的な新サービスを開発し、かつこれに対抗するためのサービスの提供が遅れた場合には、業界内での競争力の低下を招き、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(重要なリスク)
(1) 第三者との係争について
当社グループは、自らが事業を展開する国又は地域の法令等を遵守しておりますが、事業活動に関して重要な訴訟等が提起され、当社グループに不利な判断がなされた場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(2) 大規模自然災害、ネットワーク障害等について
当社グループの事業はコンピュータシステムを結ぶ通信ネットワークに依存しており、自然災害や電力供給の停止、通信障害等によって通信ネットワークが切断された場合には、当社グループの対象事業を営むことができなくなる可能性があります。また、何らかの原因で一時的な過負荷によって当社グループ又はインターネット・サービス・プロバイダーのサーバーが作動不能に陥ったり、外部からの不正な手段によるサーバーへの侵入等の犯罪や役職員の過誤によるネットワーク障害が発生する可能性があります。これらの障害が発生した場合には当社グループに直接的損害が発生するほか、サーバーの作動不能や欠陥等に起因して、当社グループの信頼が失墜し取引停止等に至ったり、当社グループに対する訴訟や損害賠償請求等が発生することも想定されます。また、大規模なネットワーク障害、大地震等の災害が発生した場合、ユーザーにおける消費活動の萎縮などが生じえます。この場合には当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(3) 特有の法的規制等に係るものについて
当社グループは、自らが事業を展開する国又は地域の法令等を遵守する必要があります。また、一定の事業においては各国・地域の許認可等を取得する必要があります。
当社グループがこれら法令等の違反又は許認可等を失った場合には、対象事業を営むことができなくなる可能性があります。更に、将来当社グループに適用される法令等の新設又は改正、司法・行政解釈等の変更がある場合は、それに応じた体制整備を迫られ、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(4) 海外子会社について
当社グループの中には海外子会社がありますが、海外子会社の運営に際しては為替変動リスクがあるほか、各国及び各地域等の経済情勢、政治情勢、法規制、税制等の変化による影響や、ビジネス慣習の違い等、特有の業務上のリスクがあります。今後、当社グループ内に占める海外子会社の売上、利益の割合が増加し、各国及び各地域等の経済情勢等に変動があった場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(5) 新規事業について
当社グループは、事業規模の拡大と収益源の多様化を実現するために、新規事業を開拓していく方針であります。実施にあたってはリスクを軽減するために必要な情報収集及び検討を実施しておりますが、不確定要素が多く存在する可能性があり、新規事業の展開が予想通りに進まない場合、また、新規事業への取り組みに付随したシステム投資・研究開発費・広告宣伝費・人件費等の追加的な支出が発生した場合や、当初見込んでいた収益が得られなかった場合は、固定資産の減損の兆候に該当する可能性があり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(6) 事業領域について
当社グループは、「人材採用・入社後活躍」を支援する企業としてこれまで培ってきたノウハウ及びブランド力を活用できる領域を中心に事業を推進しております。しかしながら、当該市場規模の縮小や成長鈍化、又は当社グループにおける各種サービスの競争力低下や価格下落等の要因により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(7) 競合について
当社グループが事業を展開する市場では、各分野において多数の競合他社が存在しております。これらの競合他社が当社グループより低い価格で同水準のサービスを展開した場合や、個人ユーザーを取り込む斬新なサービスを提供した場合、当社グループのシェアが下がり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(8) 人的資産について
当社グループが成長に向けて企業基盤を拡充するためには、営業体制の強化や技術開発が不可欠であると考えていることから、優秀な人材の確保・育成には重点的に取り組んでおります。今後、更なる業容拡大を目指す上で、必要な人材を確保・育成できない場合や事業ノウハウを持った人材が社外へ流出した場合には、当社グループの事業活動及び業績に影響を与える可能性があります。
また、人材の確保・育成が順調に進んだ場合でも、人件費、設備コスト等の固定費が当社グループの想定以上に増加した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(9) ストック・オプション制度による株式価値の希薄化について
当社グループはストック・オプション制度を採用しており、今後ストック・オプションが行使された場合には、株式価値が希薄化する可能性があります。
今後これらストック・オプションが行使された場合には、当社の1株当たりの株式価値が最大で2.91%希薄化する可能性があります。
(10) 検索エンジンへの対応について
インターネットユーザーの多くは、検索サイトを利用して必要な情報を入手しており、当社グループの各サービスにおいても、これら検索サイトから多くの利用者を集客しております。当社グループでは、担当部署を設け検索エンジンの仕様変更等に対応できる体制を整えております。しかしながら、今後、検索エンジン運営者における上位表示方針の変更やシステムトラブル等、何らかの要因によって検索結果の表示が当社グループにとって優位に働かない場合には、当社グループの集客効果は減退し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(11) 特定の取引先業種との取引について
当社グループは特定業種に拘らず幅広い業種・職種を対象として営業活動を行っております。しかし、求人求職サービスの需要はその時々の経済情勢と密接な関係があり、特定の産業に偏るといった結果になることが予想されます。今後も幅広い業種・職種を対象として営業活動を展開する方針ですが、特定業種の好不況が当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(12) 広告宣伝活動について
広告宣伝活動は、一般に効果を予測することが困難であり、過大な広告宣伝費の支出は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。当社グループの事業拡大には、当社グループのブランド認知度を向上させることが重要であり、専門部署による適切な管理のもと、既存媒体を含めた広告宣伝活動を積極的に展開しております。しかしながら、広告宣伝活動の内容によっては費用の増大に繋がるリスクがあります。
(13) 知的財産権侵害等について
当社グループは、提供する各種サービスの名称等における商標権やコンテンツにおける著作権等、多数の知的財産権を保有しております。当社グループは、知的財産権における権利の保護、維持、取得を適正に行っておりますが、第三者との間で知的財産権に関する訴訟の当事者となる可能性があり、その結果、損害賠償等の費用が発生し、当社グループの事業遂行及び業績に影響を与える可能性があります。
逆に、第三者が当社グループのサービスと同一・類似の名称を無断で使用した場合には、ユーザーの誤謬を招いたり、当社グループの評判・信用が毀損され、業績に影響を与える可能性があります。
(14) 代表取締役への依存について
代表取締役社長である鈴木孝二は、当社グループの経営方針や事業戦略全般の策定等、多方面において重要な役割を果たしております。
代表取締役が1名であるため、依存リスクが高いとも考えられますが、当社グループでは、代表取締役に過度に依存しない経営体質の構築を進めており、今後より一層代表取締役に権限集中しない経営体質を目指してまいります。但し、何らかの理由により代表取締役に不測の事態が生じた場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績
当連結会計年度の売上高は、投資事業であるHR-tech engage、人財プラットフォームは高成長となったものの、海外事業が外部環境の影響により減収したことから、67,661百万円(前期比0.1%減)となりました。総費用は、投資事業のHR-tech engageや人財プラットフォームを中心に人員増強を行い人件費は増加しましたが、インドIT派遣事業において売上高減少により原価人件費を減少させた結果、62,500百万円(前期比1.5%減)となりました。
これらの結果、営業利益は5,161百万円(前期比21.4%増)、経常利益は5,369百万円(前期比31.8%増)となりました。また、特別利益で当社のフリーランス管理ツールpasture事業をフリー株式会社へ会社分割により継承させた結果、事業譲渡益803百万円の計上、特別損失で特別調査費用295百万円の計上などがあったことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は4,196百万円(前期比55.7%増)となりました。
(単位:百万円)
① 売上高
売上高は、投資事業であるHR-tech engage、人財プラットフォームは高成長となったものの、海外事業が外部環境により減収したことから、前期比0.1%減の67,661百万円となりました。
② 売上原価、販売費及び一般管理費
売上原価は、インドIT派遣事業にて売上高が減少したことに伴い、派遣人員の労務費及び業務委託費が減少し、前期比15.7%減の13,705百万円となりました。
販売費及び一般管理費は、投資事業のHR-tech engage、人財プラットフォームを中心に人員増強による人件費の増加などから前期比3.3%増の48,794百万円となりました。
③ 営業利益
売上高が微減となったものの、売上原価が減少したことにより、営業利益は前期比21.4%増の5,161百万円となりました。
④ 経常利益
営業利益の増加に加え、受取利息の増加から、経常利益は前期比31.8%増の5,369百万円となりました。
⑤ 親会社株主に帰属する当期純利益
経常利益の増加に加え、特別利益で事業譲渡益803百万円の計上、特別損失で特別調査費用295百万円の計上などがあったことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比55.7%増の4,196百万円となりました。
主要な事業の概況
(単位:百万円)
※各事業の売上高合算と連結売上高との差異は、事業間調整及び連結調整等によるものであります。
(HR-Tech engage)
中期経営計画の基本方針に基づき、求職者獲得を目的とした広告宣伝費投資を積極的に実施し、結果、会員数は374万人(昨年対比+147万人)と大きく増加しました。会員数が増えたことで利用企業も増え、総利用アカウント数は61万件、公開求人数は165万件と国内トップクラスの採用サービスとして成長を続けております。会員数と応募総数の増加により、利用企業からのengageへの期待の高まりから大口企業を中心に利用が伸長し、有料求人数が増加したことで売上高が大幅に伸びました。
これらの結果、HR-Tech engageの売上高は前期比89.9%増の7,193百万円となりました。
(人財プラットフォーム)
中期経営計画の基本方針に基づき、求職者獲得を目的とした広告宣伝費投資を積極的に実施した結果、会員数は382万人(昨年対比+61万人)に増加しました。AMBI・ミドルともにハイキャリア層の採用需要は継続して高く、ダイレクトリクルーティング手法の浸透に伴い、人材紹介会社、一般企業ともに利用企業が増加したことで売上高は大きく伸長しました。
これらの結果、人財プラットフォームの売上高は前期比14.1%増の7,091百万円となりました。
(国内求人サイト)
エン転職は予算の大きい企業を中心に取引を強化し、新サービスのエン転職ダイレクトやengageの併売を進めた結果、顧客単価が上昇しました。派遣会社向け求人サイトでは大手派遣企業の出稿抑制の影響もあり、売上高が微減となりました。一方、フリーランスエンジニア向けの求人サイトはフリーランス需要の高まりを背景に売上増加となりました。
これらの結果、国内求人サイトの売上高は前期比0.5%増の29,396百万円となりました。
(国内人材紹介)
エンエージェントは採用需要の高いミドルクラスの採用決定数が増加し、売上高が伸長しました。
エンワールド・ジャパンでは課題であったコンサルタントの採用は実現できたものの生産性が上がらず、売上高が減少しました。
これらの結果、国内人材紹介の売上高は前期比1.6%減の9,871百万円となりました。
(海外事業)
インドIT派遣は米国大手IT企業の人員削減の影響を受けて売上高が減少しました。
ベトナムは国内でトップシェアである求人サイトをメイン事業としておりますが、国内の景況感悪化により売上高が減少しました。
これらの結果、海外事業の売上高は前期比28.4%減の11,616百万円となりました。
当社グループの主たるサービスは、求人サイトの運営及び人材紹介であるため、生産に該当する事項がありません。よって、生産実績に関する記載はしておりません。
当連結会計年度における受注実績を示すと、次のとおりであります。
(注)1.当社グループの事業は単一セグメントであります。
2.関係会社間取引については相殺消去をしております。
3.派遣形態は、サービスの提供量に応じて対価を得るため受注実績には含まれておりません。
当連結会計年度における販売実績を示すと、次のとおりであります。
(注)1.当社グループの事業は単一セグメントであります。
2.関係会社間取引については相殺消去をしております。
(2) 財政状態
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ2,993百万円減少し、48,974百万円となりました。
このうち流動資産は4,923百万円減少し、31,060百万円となりました。これは現金及び預金が107百万円、受取手形、売掛金及び契約資産が450百万円、預け金が4,127百万円減少したこと等によるものであります。また、固定資産は1,930百万円増加し、17,914百万円となりました。これは、ソフトウエアが1,813百万円、関係会社株式が380百万円増加したこと等によるものであります。
(負債)
負債合計につきましては、前連結会計年度末に比べ28百万円減少し、16,813百万円となりました。
このうち流動負債は749百万円減少し、14,129百万円となりました。これは未払法人税等が707百万円、前受金が313百万円増加し、未払金が2,086百万円が減少したこと等によるものであります。また、固定負債は721百万円増加し、2,683百万円となりました。
(純資産)
純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ2,964百万円減少し、32,161百万円となりました。これは主に自己株式の増加による減少4,112百万円、配当金の支払3,143百万円、親会社株主に帰属する当期純利益の計上4,196百万円、為替換算調整勘定が266百万円増加したこと等によるものです。
なお、当社グループでは各セグメントの資産情報を資源配分や業績評価のために使用することはないことから、セグメント別資産情報は作成しておりません。
(3) キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度に比べて5,206百万円減少し、19,178百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
① キャッシュ・フローの状況
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、6,430百万円のプラス(前連結会計年度は4,447百万円のプラス)となりました。これは、税金等調整前当期純利益5,919百万円、減価償却費2,368百万円、売上債権の減少による増加628百万円、未払金の減少額2,139百万円、前受金の増加額370百万円、法人税等の支払額1,026百万円があったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、4,060百万円のマイナス(前連結会計年度は4,220百万円のマイナス)となりました。これは、無形固定資産の取得による支出3,887百万円、定期預金の預入による支出4,254百万円、定期預金の払戻による収入3,351百万円があったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、7,855百万円のマイナス(前連結会計年度は9,246百万円のマイナス)となりました。これは、自己株式の取得による支出4,130百万円、配当金の支払額3,143百万円があったこと等によるものであります。
当社グループでは、主として営業活動によるキャッシュ・フローにより、必要とする資金を調達しております。また、取引銀行1行と当座貸越契約(極度額1,000百万円)を締結しておりますが、当連結会計年度末における借入実行残高はありません。
なお、重要な設備の新設等の計画はありません。
② 財務方針
当社グループは、財務の安全性を担保した上で中長期的な利益成長の観点から、事業ステージに応じた適切な投資を図りつつ、M&Aや出資など戦略的な投資も行っていくことを基本方針としております。これとともに、株主価値向上に資する投資及び株主還元を強化することを掲げ、中期経営計画に定めた投資先行期間である2025年3月期までの期間を、1株あたりの年間配当額を70円10銭の固定配当とする基本方針としております。
なお、2026年3月期以降につきましては、先行投資の成果による利益増加フェーズとなるため、配当性向50%を基本方針とし、配当額につきましても大幅な増加を見込んでおります。
③ 資金使途
主に人件費及び広告宣伝費を中心とした運転資金、法人税の支払い、配当金の支払いに資金を充当しております。また、テクノロジー分野を中心としたM&A及び出資を強化する方針に基づき、資金を充当しております。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
該当事項はありません。
該当事項はありません。