当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、主に自動車及び産業・建設機械等の動力源から発生する熱を効果的に処理する熱交換器及び車体部品の専門メーカーとして、高性能、高品質な製品の提供を通じて「人間尊重を基本に、新たな価値を創造し、信頼される企業として地球に優しい社会造りに貢献する」を経営理念及び基本方針としております。
(2) 目標とする経営指標
当社グループは、収益性を重視する観点から「売上高営業利益率」を経営指標としております。
(3) 中長期的な会社の経営戦略
先進国を中心に動きが加速しているカーボンニュートラル化の影響もあり、今後、主要市場でありますトラック市場、建設機械市場の環境変化が一段と加速していくと想定しております。
このような状況下において国内・外のメガサプライヤーとの競争に勝ち抜き、成長を遂げるためには、QCDD(品質、コスト、納入、開発)で客先の期待に応え信頼を得ていく体制の確立が急務であると考えております。
①競争力を高め、顧客満足度を向上させた価値ある製品の提供
②市場トレンドに基づいた先行開発力の強化
③環境対応製品を中心とした売上高の拡大
④品質レベルの向上による、信頼される製品品質の実現
⑤あらゆるシステムの最適化と人材育成による業務品質の向上
当社におきましては、2021年5月に公表いたしました中期経営計画「TRS Vision-2025」の達成に向けた活動を鋭意進めてまいります。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、「世界最高の製品を提供し、全てのステークホルダーと共に発展し続ける企業となる」をコーポレートビジョンとし、引き続き、取引先のニーズに対応した製品開発に力を入れ、低コスト、高品質の製品供給に努めてまいります。
当社グループの主要市場において、カーボンニュートラル化を含む環境変化が加速していくと想定しております。
当社グループといたしましては、環境変化に順応した経営施策の実行により、企業体質の改善と経営基盤の強化に努めてまいります。具体的な対処すべき課題としては以下のとおりであります。
①製品軸管理による製品競争力向上、将来戦略の実行
②既存拠点、商品を活用した中国、東南アジアへの新規顧客開拓
③xEV、FCVを含む新エネルギー車(NEV)対応商品の開発
④モノづくり力向上施策の実行
⑤SDGs、ESGに対する取り組み
⑥株価や資本コストを意識した経営
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティ
①ガバナンス
当社グループは気候変動に係る対応を経営上の重要課題と認識し、2023年度より当社全執行役員と子会社社長で構成されるサステナビリティ推進委員会を発足させ、この委員会を中心とするガバナンス体制を構築しております。
②戦略
当社グループでは、サステナビリティを巡る取組について基本方針を策定しており、気候変動に係る取組についても、取締役会で承認された中期経営計画「TRS Vision-2025」において公表しており、中期経営計画の進捗状況については取締役会で報告されております。
③リスク管理
気候変動に係るリスクの管理は、経営企画室担当役員を委員長とするサステナビリティ推進委員会にて識別・評価し、定期的な経営レビューを実施してまいります。
④指標および目標
脱炭素社会実現への貢献としては、中期経営計画「TRS Vision-2025」の最終年度にあたる2026年3月期までに、生産に関わるCO₂排出を2019年3月期比で20%削減する事を目指しております。
(2)気候変動
当社は、気候変動対策を重要な経営課題の1つに位置付け、持続可能な社会の実現を目指しています。
2021年には中期経営計画「TRS Vision-2025」のESG目標の1つとして具体的CO₂削減目標を定め取締役会で承認し公表しました。
①ガバナンス
環境管理統括役員を委員長とする環境管理委員会で気候変動対策に関する基本方針や重要事項を検討・審議しています。
当委員会で決定した基本方針に基づき、気候変動に伴う「リスクと機会」を特定し具体的な取組を進め、CO₂削減をはじめとした各指標の進捗をモニタリングしています。
②戦略
当社の事業における気候変動に関する課題は、製品の生産過程を主とした事業活動において発生する温室効果ガスであるCO₂の排出量の削減です。
このCO₂排出量の約80%は電気の使用に由来しており、この現状を踏まえた取組として以下の三つに重点を置くことが重要であると考えます。
a.エネルギー効率を高めた生産工法の確立
b.省エネ設備や自社創電設備の導入
c.再生可能エネルギーへの置換
③リスク管理
当社は気候変動を含めた環境課題に関するリスク及び機会をISO14001環境管理プロセスの中で識別し、目標及び達成するための管理計画策定、運用、評価、環境管理統括役員によるレビューを行っています。
これらのリスクは代表取締役社長が委員長を務めるグローバルリスク管理委員会での審議を経てリスクマップに反映され、影響が特に大きく全社に及ぶリスクを「重大リスク」として重点管理しています。
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リスク・機会の種類 |
リスク |
機会 |
対応策 |
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移 行 リ ス ク |
政策 |
GHG排出規制強化 炭素税等の導入 |
内燃機関車(ガソリン・軽油)ビジネスの縮小 Co2削減対策による生産コスト増 材料、部品、エネルギー価格の高騰 |
- |
高効率設備、省エネ設備の導入 最適調達、自社創電設備の導入 |
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市場 |
内燃料機関車(ガソリン・軽油)市場の縮小 NEV市場の拡大 |
内燃機関(ガソリン、軽油)用製品の需要減 |
NEV用製品の需要増 |
NEV用製品の開発 |
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技術 |
車両(自動車、トラック、建機)のゼロエミッション化 省エネ生産技術の普及 |
NEV用製品開発の遅れ 設備の省エネ対応、新工法の開発遅れ |
NEV用製品の新規開発、受注拡大 低炭素対応の製造ラインの構築 エネルギー効率を高めた工法の採用 |
NEV用製品の開発 高効率設備、省エネ設備の導入 省エネ工法の開発 |
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評判 |
顧客によるサプライヤー評価の変化 投資家による評価の変化 |
CN化対応遅れによる顧客・投資家からの評判低下による企業価値低下 |
早期CN対応による企業イメージ向上 |
省エネルギー推進 再生可能エネルギーの積極的な導入 |
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物 理 的 リ ス ク |
急性 |
異常気象の発生頻度増加 |
超大型台風、局地的豪雨による被害増 原料、部品、エネルギーの調達停止 |
BCM・BCP対応の強化による顧客の信頼拡大 |
被害想定毎の対策策定と訓練の実施 |
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慢性 |
地球温暖化の進行 |
顧客の製品要求性能アップへの対応遅れ |
製品耐久性、性能の向上(付加価値増)によるビジネス拡大 |
高性能・高耐久製品の開発 |
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※ GHG(Greenhouse Gas):温室効果ガス
NEV(New Energy Vehicle):新エネルギー車
CN(Carbon Neutral):カーボンニュートラル(炭素中立)
BCM(Business Continuity Management):事業継続マネジメント
BCP(Business Continuity Plan):事業継続計画
④指標と目標
a.指標
生産に関わるCO₂削減
b.目標
・2025年目標 2019年3月期比20%削減
・2030年目標 2019年3月期比35%削減
・2050年目標 CO₂排出ゼロ(カーボンニュートラル)
(3)人的資本と多様性
当社グループを取り巻く環境は、大きな構造変化と社会課題に直面しています。特に自動車業界においては、CASEやカーボンニュートラルなど社会課題の解決につながる新たな価値を創造していく必要があります。
そのため当社グループは今後も成長を継続していくために、お客様である自動車メーカーに対して積極的に提案していきたいと考えています。
当社はこれまで、自動車メーカーのニーズに応えるべく、技術開発や品質・コスト・納期の継続的な改善に取組み、成長を続けて来ました。これからは従来の取組に加え、新たな価値やサービスの提供に取組むことで自動車メーカーだけでなく全てのステークホルダーの期待に応えてまいります。
①戦略
このような大きな環境変化の中で、当社グループのさらなる成長を支える人材の育成は最重要のテーマです。経営理念とコーポレートビジョンを実現させるための当社グループの行動指針として『TRSWAY』を掲げ、今後も浸透と徹底を図ってまいります。従業員一人ひとりの意識転換と能力開発を図るとともに、組織全体として風通しの良い、多様な人材が活躍できる明るく前向きな職場風土を築く活動に取組んでいます。
a.人財育成の促進
製造現場の技能力向上、TRSWAYの浸透、360度サーベイ、キャリアプラン(自己申告制度)の充実
b.多様な人材の活躍
女性管理職の登用、キャリア採用、再雇用制度の充実、障がい者雇用
c.働きやすい職場風土
『働き方改革』
メンター制度の充実、テレワーク制度の活用、育児介護の両立支援、有給休暇取得促進、長時間労働の削減
『エンゲージメント』
サーベイ結果による課題の明確化と対策実施、ハラスメント研修の実施
『健康経営』
ヘルスリテラシーの向上、生活習慣病の予防・運動習慣の醸成、受動喫煙防止、禁煙推進
ストレスチェックの実施と職場改善、メンタルヘルス教育の実施、EAPプログラムによる相談体制の整備
②指標と目標
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区分 |
項目 |
2023年度実績 |
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多様な人材の活躍 |
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働きやすい職場風土 |
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(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
2.多様な人材の活躍については、従前より、様々な職歴をもつキャリアの採用、女性管理職の登用、海外子会社に於ける現地人材の幹部登用など、多様性の確保に努めてきたことから、特段数値目標は掲げておりません。
3.実績値については、各連結子会社の規模・制度の違いから一律記載は困難なため、提出会社のものを記載しております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの経営成績、株価及び財政状況に影響を及ぼすリスクには以下のような事項があります。
当社グループでは下記に記載したリスク発生の可能性を十分認識し、その事前防止に注力するとともに万一発生した場合、的確な対応に努めてまいる所存です。
(1)特定の取引先・製品への依存に係わる影響
当社グループの事業は、熱交換器、車体部品等の製造であり、販売先はトラック、産業・建設機械の特定のメーカー数社に売上の多くを依存しており、景気変動による販売数量の減少によっては、財政状況及び経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(2)トラック、産業・建設機械の市場状況に係わる影響
当社グループの事業は、そのほとんどがトラック、産業・建設機械業界に依存しており、これらの業界は景気変動の影響を受ける度合いが高く、今後の経済状況によっては当社グループの財政状況及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)競争条件、価格変動に係わる影響
当社グループの事業は、製品性能、品質、コスト面において高度な競合状態にあります。現在、当社グループは熱交換器等の製品において比較優位を保っておりますが、将来競合メーカーが新技術を開発し当社グループの優位を覆すことが考えられ、また、市場が高い競争状態にあることから、販売価格の低下により当社グループの財政状況及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)原材料の価格動向に係わる影響
当社グループが購入する原材料のうち、アルミ、ステンレスなどの非鉄金属の購入価格は、非鉄金属市場の市況の影響により変動するリスクがあります。これらの価格の上昇分をすべて販売価格に転嫁できないこともあるため、当社グループの財政状況及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)借入金の金利変動に係わる影響
当社グループは、必要に応じて、銀行借入れにより資金を調達することとしておりますが、借入金が多額となった場合には、これらの金利が将来大幅に上昇すると、当社グループの財政状況及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(6)製品の不具合に係わる影響
当社グループでは、品質不具合が会社の業績のみでなくイメージに大きな影響を及ぼすとの認識から、その維持、向上の推進を図っており、自動車産業向け品質マネージメントシステム(ISO/TS16949)に基づき厳格に生産しております。
しかしながら、将来的にクレームが皆無である保証はなく、重大なクレームが発生した場合、当社グループの財政状況及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(7)海外生産に対するリスク
当社グループでは、中国2社、インドネシア1社、タイ1社の製造子会社を有しておりますが、各国における政治状況、法律、経済的慣習等によっては生産が混乱し、事業計画に支障をきたすことが想定されます。この場合、当社グループの財政状況及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(8)退職給付費用
当社グループは、従業員の退職給付費用及び退職給付債務において、数理計算に使用される前提条件に基づき算定しております。これらの前提条件には割引率、死亡率等重要な見積りが含まれており、実際の結果が、前提条件と異なるあるいは前提条件に変更がなされた場合、損失が発生し、当社グループの財政状況及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(9)火災及び事故に係わる影響
当社グループでは、日頃から安全、衛生に対する社内管理体制の充実、強化を進め、火災及び事故等の防止に努めております。これらの措置により最近10年間をとらえても大きな事故等はありませんが、万一発生した場合、当社グループの財政状況及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(10)地震等の自然災害に係わる影響
当社グループでは、生産を維持するため、計画的に工場はじめ各施設の保守、点検に努めておりますが、地震、風水害などで予想を超える災害が発生した場合には、これら施設に甚大な損害が生じ、これらがもとで、当社グループの財政状況及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(11)公衆安全衛生に係わる影響
当社グループの事業は、サプライヤーはもとより販売先とも密接に連携した国内外のサプライチェーンを構築することにより運営しており、新型伝染病の流行等により、公衆安全衛生の観点から経済活動が制限されることになった場合、当社グループの財政状況及び経営成績に影響を及ぼす場合があります。
(12)サステナビリティに係わる影響
当社グループは、2023年度よりサステナビリティ推進委員会を発足させ、ESG課題の解決に積極的に取組み、持続可能な社会の実現を図るとともに、中長期的な企業価値の向上に邁進してまいります。
しかしながら、当該活動が十分でない場合、社会的な信用の低下や機会損失等により、当社グループの財政状況及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
a.経営成績の状況
当連結会計年度(2023年4月1日~2024年3月31日)の当社グループ(当社及び連結子会社)の主要市場でありますトラック市場におきましては、半導体不足やその他サプライチェーンの混乱が収束し、日本市場においては需要が堅調に推移しました。
また、産業・建設機械市場におきましては、中国での需要が落ち込みましたが、米国や欧州を中心とした需要の増加に支えられ、堅調に推移しました。
このような状況のもと、当社グループにおいて、日本ではサプライチェーンの正常化に伴い当社製品の需要が引き続き堅調に推移し、前連結会計年度に比べ売上は増加しました。一方、海外において、中国では年初から景気の足踏みがみられ、需要の落ち込みに回復は見られず、前連結会計年度に比べ売上は減少しました。東南アジア地域のタイ・インドネシアにおいても、金利上昇やローン規制強化等の影響から商用車を含む自動車販売市場の不調が続き、前連結会計年度に比べ売上は減少しました。
この結果、当社グループの当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ16億15百万円(5.1%)増加し334億1百万円となりました。
利益面におきましては、材料や調達部品の値上げなどによる原価上昇は続いているものの、生産効率化及び固定費削減活動を推進した結果、営業利益は5億74百万円(69.8%)増加し13億97百万円となり、経常利益は6億99百万円(82.4%)増加し15億48百万円となりました。また、前連結会計年度に発生したリコールに伴う費用に対し、当連結会計年度に調達先から補償金を受け取る合意が成立したこと及び繰延税金資産を計上したこと等により、親会社株主に帰属する当期純利益は23億99百万円改善し16億81百万円となりました。
セグメントの経営成績は、次のとおりであります。
・日本
|
売上高(セグメント間の内部売上高を含む) |
266億16百万円 |
(前連結会計年度は244億55百万円) |
|
セグメント利益 |
8億21百万円 |
(前連結会計年度は13百万円) |
・中国
|
売上高(セグメント間の内部売上高を含む) |
67億13百万円 |
(前連結会計年度は72億20百万円) |
|
セグメント利益 |
2億43百万円 |
(前連結会計年度は4億61百万円) |
・アジア
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売上高(セグメント間の内部売上高を含む) |
36億8百万円 |
(前連結会計年度は37億86百万円) |
|
セグメント利益 |
3億45百万円 |
(前連結会計年度は3億15百万円) |
b.財政状態の状況
当連結会計年度末における総資産は、316億28百万円と前連結会計年度末に比べ24億60百万円の増加となりました。
当連結会計年度末における負債は、97億25百万円と前連結会計年度末に比べ2億93百万円の減少となりました。
当連結会計年度末における純資産は、219億2百万円と前連結会計年度末に比べ27億53百万円の増加となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ37百万円減少し、51億76百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は、13億43百万円(前期比61.6%減)となりました。これは主に売上債権の増加17億89百万円、税金等調整前当期純利益17億43百万円、減価償却費14億37百万円等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、12億61百万円(前期比38.8%増)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出10億67百万円、定期預金の預入による支出1億77百万円等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、3億11百万円(前期比92.2%減)となりました。これは主に配当金の支払1億59百万円、非支配株主への配当金の支払1億14百万円等によるものです。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
生産高(千円) |
前年同期比(%) |
|
日 本 |
24,707,080 |
109.3 |
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中 国 |
4,130,540 |
89.9 |
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アジア |
3,611,965 |
95.7 |
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合 計 |
32,449,586 |
104.7 |
(注) 金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
b.受注実績
当社グループは、各納入先の生産計画に基づき見込み生産を行っております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
販売高(千円) |
前年同期比(%) |
|
日 本 |
25,742,194 |
109.7 |
|
中 国 |
4,053,032 |
89.4 |
|
アジア |
3,605,776 |
95.2 |
|
合 計 |
33,401,003 |
105.1 |
(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 前連結会計年度及び当連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
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相手先 |
前連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
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販売高(千円) |
割合(%) |
販売高(千円) |
割合(%) |
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いすゞ自動車株式会社 |
15,063,901 |
47.4 |
15,784,190 |
47.3 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する分析・検討内容
a.財政状態の分析
・資産
当連結会計年度末における総資産は、316億28百万円と前連結会計年度末に比べ24億60百万円の増加となりました。
また、流動資産は198億89百万円と前連結会計年度末に比べ17億38百万円の増加となり、固定資産は117億39百万円と前連結会計年度末に比べ7億21百万円の増加となりました。
流動資産増加は主として、原材料及び貯蔵品が3億43百万円減少したものの、電子記録債権が19億2百万円、現金及び預金が1億75百万円増加したこと等によるものです。
固定資産増加は主として、有形固定資産が1億86百万円減少したものの、投資有価証券が4億97百万円、退職給付に係る資産が4億49百万円増加したこと等によるものです。
・負債
当連結会計年度末における負債は、97億25百万円と前連結会計年度末に比べ2億93百万円の減少となりました。
また、流動負債は84億90百万円と前連結会計年度末に比べ2億73百万円の減少となり、固定負債は12億34百万円と前連結会計年度末に比べ20百万円の減少となりました。
流動負債減少は主として、電子記録債務が2億22百万円、その他流動負債が1億85百万円増加したものの、特別クレーム損失引当金が3億29百万円、支払手形及び買掛金が2億88百万円、営業外電子記録債務が1億54百万円減少したこと等によるものです。
固定負債減少は主として、その他の固定負債が1億32百万円増加したものの、退職給付に係る負債が1億6百万円、繰延税金負債が46百万円減少したこと等によるものです。
・純資産
当連結会計年度末における純資産は、219億2百万円と前連結会計年度末に比べ27億53百万円の増加となりました。
純資産増加は主として、親会社株主に帰属する当期純利益16億81百万円の計上及び利益剰余金の配当1億59百万円との純額で利益剰余金が15億21百万円、為替換算調整勘定が4億37百万円、退職給付に係る調整累計額が3億52百万円、その他有価証券評価差額金が3億14百万円、非支配株主持分が1億27百万円増加したこと等によるものです。
b.経営成績の分析
・売上高
日本ではサプライチェーンの正常化に伴い当社製品の需要が引き続き堅調に推移し、前連結会計年度に比べ売上は増加しました。一方、海外において、中国では年初から景気の足踏みがみられ、需要の落ち込みに回復は見られず、前連結会計年度に比べ売上は減少しました。東南アジア地域のタイ・インドネシアにおいても、金利上昇やローン規制強化等の影響から商用車を含む自動車販売市場の不調が続き、前連結会計年度に比べ売上は減少しました。この結果、当社グループの当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ16億15百万円(5.1%)増加し334億1百万円となりました。
・売上原価、販売費及び一般管理費
材料や調達部品の値上げなどによる原価上昇は続いているものの、生産効率化及び固定費削減活動を推進しました。この結果、売上原価は、288億87百万円(前連結会計年度は280億33百万円)、販売費及び一般管理費は、31億15百万円(前年同期は29億29百万円)となりました。
・営業利益
上記の結果、69.8%増の13億97百万円(前連結会計年度は8億23百万円)となりました。
・営業外収益、営業外費用
営業外収益は、2億29百万円(前連結会計年度は2億47百万円)となり、営業外費用は、78百万円(前連結会計年度は2億21百万円)となりました。
・経常利益
上記の結果、82.4%増の15億48百万円(前連結会計年度は8億49百万円)となりました。
・特別利益、特別損失
特別利益は、前連結会計年度に発生したリコールに伴う費用に対し、当連結会計年度に調達先から補償金を受け取る合意が成立したこと等により、3億57百万円(前連結会計年度は0百万円)となり、特別損失は、固定資産除却損等により、1億62百万円(前連結会計年度は9億50百万円)となりました。
・法人税等
法人税等は、当社において現時点での将来の課税所得を見積り、繰延税金資産の回収可能性を検討した結果、回収可能性が見込まれる部分について繰延税金資産を計上したこと等により、△68百万円(前連結会計年度は4億85百万円)となりました。
・親会社株主に帰属する当期純利益又は当期純損失
上記の結果、16億81百万円の親会社株主に帰属する当期純利益(前連結会計年度は7億18百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
c.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、収益性を重視する観点から「売上高営業利益率」を経営指標としており、中期的な目標数値を2025年度5%とし、持続的な成長を目指して参ります。
今後、市場環境の変化に順応した施策を実行し、xEV、FCVを含む新エネルギー車(NEV)対応商品の開発、既存環境対応製品を主とした熱交換器製品の新規顧客開拓による売上高の拡大、当社グループで連携した原価低減活動を推進し、持続的な成長の実現に向けて取り組んでまいります。
② キャッシュ・フローの状況・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.資本の財源及び資金の流動性についての分析
資本政策につきましては、企業体質の強化や将来の事業展開に備えるため内部留保の充実等を勘案しつつ、株主に対する安定的な配当を継続することを基本としています。
内部留保につきましては、不測の事態に備えるための十分な額を勘案しつつ、次世代製品開発を始めとした事業戦略を実践し、中期経営計画である「TRS Vision-2025」に向けた目標を加速していくために、今後も相当程度の継続投資を行っていく予定であります。
当連結会計年度の設備投資については、ラジエーター製造設備・EGRクーラー製造設備等の新設・更新、現有設備の改修・更新、生産性の向上及び次世代製品開発を目的とした設備投資を行いました。この結果、当連結会計年度における有形固定資産の取得による支出は10億67百万円となりました。
これらの投資のための所要資金は、自己資金にて賄っております。
なお、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は51億76百万円となっております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
経営上の重要な契約等については、全て提出会社が契約しているものであり、連結子会社には記載すべき契約はありません。
技術援助契約
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会社名 |
契約内容 |
契約期間 |
対価 |
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THAI RADIATOR MFG,CO.,LTD (タイ) |
ラジエーター、燃料 タンクの製造技術 |
1982年5月1日から 2025年4月30日まで |
一定率のロイヤリティー受取 |
|
PT.SELAMAT SEMPURNA (インドネシア) |
ラジエーター、燃料 タンクの製造技術 |
1979年4月11日から 2025年4月10日まで |
一定率のロイヤリティー受取 |
(注) 契約期間につきましては、原則として1年間の自動更新契約であります。
トラックを中心とした商用車、乗用車及び産業・建設機械向け部品が主力製品であり、その中には地球環境保全関連部品が多数あり、地球環境保全への対応が当社に与えられた最重要課題であると認識の下、世界の法規制、市場動向及び顧客ニーズに適合した製品開発を行い、環境にやさしく、豊かな社会の発展に貢献することを目標に研究開発活動を行っております。
最近の地球規模での温暖化問題が深刻化するなかで、カーボンニュートラル達成のための対象セグメントとして、商用車・乗用車・建設機械等からのCO2排出量の削減は必須の課題となっております。それらの主要パワートレインであるディーゼルエンジン、ガソリンエンジンから排出されるCO2、NOx低減の為、EGRクーラー、インタークーラー・ラジエーター等の熱交換器においては、益々小型、高性能、高効率化が求められ、これらに対応した製品開発を行い、国内外のお客様のご要求される性能を満足する製品を提案・供給を開始致しております。
また、脱炭素パワートレインへの移行ニーズの高まりに対して、2021年4月に研究開発体制を見直し、New Energy Vehicle向け開発に特化した部署を新設しております。
その新組織においては、お客様のご要求に応えられる新技術・新商品開発を推進し、カーボンニュートラル達成へのキーポイントとなる電気自動車向け及び燃料電池車向け専用の熱交換器を開発し、新たな研究開発を開発・加速させております。日本国内向けでは電気自動車用として開発したラジエーターモジュールを2023年より量産開始、また海外向けでは燃料電池車用として開発したラジエーターモジュールを2022年より量産開始しております。
なお、当連結会計年度における研究開発は主に熱交換器関係で、金額は