当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)経営方針等
当社は、「自然と共に生きる」を経営理念とし、経済と環境が共存する持続可能な社会を実現するために、アグロフォレストリーの恵みを革新的な商品にかえてお客様の美と健康に貢献します。また、お客様の感動と共感によって得られた「消費の力」でアグロフォレストリーの更なる発展に貢献するとともに、地球温暖化対策(CO₂削減)に貢献すべく経済が環境を復元させる「グリーン・エコノミー」の実現を推し進めてまいります。
(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、営業損失の計上により、継続企業の前提に疑義が生じている事から、当社としては売上高の増加と仕入原価及び廃棄率低減による売上総利益の改善を目指すとともに、販売費及び一般管理費の削減にも努めることで、営業利益獲得を目標としております。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題
短期的な見通しといたしましては、第3四半期以降特に顕著に表れている国内需要の盛り上がりに対して、日本におけるアサイーを用いた事業の先駆者として応えるべく、国内アサイー事業にリソースを集中させることで、最大限の供給を行ってまいります。また、「事業計画及び成長可能性に関する事項」にも記載しております成長投資を含む中長期計画に関しては、アサイーの海外事業展開においては、OAKBERRY ACAI, INCとのアサイーのアジア事業開発に向けた協議開始及び覚書の締結後、まずは日本におけるテスト店舗の出店に向けて、ロケーションの選定や商品・オペレーションの確認などを進めております。並びに、サステナブルマッチングプラットフォーム構築については、プラットフォーム開発に関する委託先を絞り込み、要件定義を進めております。まずは国内における安定した供給体制を確保した上で、再度中長期的な成長に向けた取り組みを再開していく予定です。
各部門の取り組みについては、次のとおりであります。
①リテール事業部門
市場の盛り上がりをキャッチアップしつつ、フルッタアサイーシリーズを凍らせることで作れるアサイーボウルレシピや、ヨーグルトと掛け合わせたメニュー提案などを行うことで、今後も継続して既存品を中心とした露出の拡大を図ってまいります。また、既存品に加えて、より利便性の高い新商品を投入することで、手軽にアサイーボウルが食べれる環境を提供してまいります。
②業務用事業部門
外食向け原料販売では、アサイーグロッソアイスを中心に、アサイーボウルやスムージーのベースとして活用されている商品の拡売・収益確保に取り組んでいくと共に、お客様からの要望に応えて、より使いやすい業務用商品の開発を進めてまいります。
メーカー向け原料販売については、今後市場の盛り上がりが他社品へと広がることを想定し、チャンスロスを起こすことのないよう、供給体制の強化に努めてまいります。また、前述の「CO2削減マーク」の他社製品への使用事例を武器に、近年特に重要な課題となっている「責任ある調達(サステナブル調達)」に対応した付加価値型原料としてさらなる拡大に努めてまいります。
③DM事業部門
自社EC、プラットフォームなど販売チャネルごとの役割を明確にし、自社ECにおいては自社でしかできない、気分や栄養素に応じて商品提案できる仕掛け作りや、CO₂削減量可視化をはじめとした環境問題への取り組み強化などを含めたリニューアルにより、EC市場全体での拡売・収益確保に取り組んでまいります。
④海外事業部門
全世界的な原料の不足や価格高騰する現状に対して、当社の特徴である現地生産者と直接繋がっている利点を活かし、アサイーやカカオに限らず様々なフルーツにおいて、当社にしかできないソリューションを提供することで、売上拡大を図ってまいります。また、その先にあるアグロフォレストリーを中心としたサステナブルマッチングプラットフォーム化に向けた取り組みを進めてまいります。
⑤生産管理(サプライチェーンマネジメント)部門
供給面では依然として見通しの立てづらい状況が続く中、対策として複数航路の確保や、出荷時期の調整などを検討してまいります。さらに、在庫の有効活用及び原料調達のコントロールに加え、取引先選定及び停滞在庫の管理強化を徹底してまいります。エネルギー価格高騰の影響による値上げ要請や、物流に関する問題は当社のみならず業界全体が抱えておりますが、原材料の見直しや配送効率の改善により、費用負担の削減を図ってまいります。
⑥開発部門
アサイーの従来の価値訴求に加え、代替肉をはじめとした植物性タンパク質訴求食品における血液代替原料となり得る価値の訴求や、アマゾンフルーツを活用したアプリケーション開発にも力を入れており、翌事業年度のさらなる拡販に向けて準備を進めております。また、引き続きアサイーが持つ可能性を探求し、研究機関と協同で価値向上を促進させるための研究を行い、中長期的な事業拡大の基盤となるエビデンスを積み上げてまいります。
⑦経営管理部門
早期黒字化に向けた収益性の改善を主とした財務体質の改善に努めてまいります。また、企業の競争力の源泉が人材となっている中、経営戦略と人材戦略の連動を図り、企業の進む方向性や戦略を共有し、日々の生産性を上げ、組織体制を構築してまいります。
しかしながら、今後の利益体質への変革を目指した、売上や収益性の改善のための施策の効果には一定程度の時間を要し、今後の経済環境にも左右されることから、現時点では継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められます。
なお、当社の財務諸表は継続企業を前提として作成しており、継続企業の前提に関する重要な不確実性の影響は財務諸表に反映しておりません。
持続可能な社会を創る
アグロフォレストリーの多様性を考えれば、当社がアサイーやアマゾンフルーツを消費するだけでは十分と言えません。アグロフォレストリーの森には、それ以外にもさまざまな産物が眠っています。それらをバランス良く消費していくことが、森の再生と発展にとって極めて重要です。しかし、当社だけではこの多様な産物を使用するのは至難の業です。
ゴムを例にとりますと、当社にゴムを使用した製品はありませんが、自動車メーカーなどではゴムを原材料とすることが可能です。このように、他業界の企業に声をかけ、森の多様な産物をバランス良く消費することで、よりサステナブルに森が再生できるのです。この理想がグリーンアライアンスです。
(1)ガバナンス
当社は、経営者が会社全体の財政状況、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している様々なリスクに対し、経営に関する重要事項について十分に審議のうえ、的確かつ迅速な意思決定ができるよう、原則として月1回の取締役会の開催に加え、取締役(社外取締役を除く)及び社長が指名するゼネラルマネージャー及びシニアマネージャー等により構成された経営会議を週1回開催しております。経営会議では、経営戦略に関わる事項ならびに各部門の重要な執行案件について報告及び審議を行い、経営会議に付議された議案のうち必要なものは取締役会に上程されます。
また、当社では、気候変動問題はサステナビリティに関わる重要な課題の1つと考え、取締役会における監督とサステナビリティ委員会を中心とするガバナンス体制を構築するとともに、サステナビリティに関わるゼネラルマネージャー及びシニアマネージャーで構成された、サステナブルチームを新たに新設いたしました。
取締役会は、気候変動問題、SDGsの重点課題を含むサステナビリティに関わる取り組みに対し、年1回以上、サステナビリティ委員会より報告を受け、進捗状況の監督・評価を行うとともに、適切に方針・取り組みの見直しを行います。
サステナビリティ委員会は、当社代表取締役社長を委員長とし、気候変動問題をはじめ、サステナビリティに関する最新動向の調査・研究、進捗状況の確認と取り組み方針についての審議を行い、取締役会へ報告・提案を行います。
サステナブルチームは、取締役会やサステナビリティ委員会で決定された方針や取り組みを実行すると共に、サステナビリティレポートを作成し、ステークホルダーの皆様へ向けて開示しております。
(2)戦略
自然環境と共存し、森を再生しながらその恵みを収穫するアグロフォレストリー農業をビジネスと連結させるという発想が、当社の出発点です。アグロフォレストリーは素晴らしい農法ですが、それだけでは販売力が無いため農家の収入につながらず、持続できずに終わってしまいます。その産物を当社が買い上げることで農家は収入を得て、アグロフォレストリーが持続可能になるのです。すなわち、良い農業が持続する(=良い食品が消費者の口に入る)には、良い農業をする人たちに収益がもたらされる必要があります。
当社は経済の力、マーケティングの力でより良い農業の持続発展に貢献します。当社の経営は、より良い農業を実施する現地の人たちにとって、召し上がるお客様にとって、将来の世代にとって、そしてもちろん当社にとって「良い」ものを生み出していくことを目指しております。
活動のテーマとする大きな柱
①市場側からのアグロフォレストリーの普及促進
市場側からアグロフォレストリーの発展を促すことで、生産地の所得格差の緩和、森林破壊の抑制、生物多様性の回復、気候変動への対策などのSDGsの達成に貢献できるよう活動してまいります。
②アサイーやアマゾンフルーツの機能性活用による健康サポート
当社が扱うアサイーやアマゾンフルーツは、天然のサプリメントの如く機能性が期待されるものも多く、日々の体調管理における活用を訴求し人々の健康的な生活の実現を促進しています。
③エコをベースとした取り組み
自社の事業においても、持続可能な原材料の調達や環境負荷の低減などに取り組み、より環境に優しい経営を目指しています。
人的資本経営の取り組み
会社のパーパスと個人のパーパスのすり合わせを行い、仕事の本質を「時間の提供」から「価値の創出」と考える企業文化への転換を目指しております。一人一人の活動の結果、残業時間についても減少傾向となっております。
多様性の推進については、『ダイバーシティ&インクルージョン』を掲げ、組織改革を推進しております。特に「男女」について、女性役職者比率が向上しており、2024年3月期からは新たに「男性の産休取得」と「男女の性別役割分担の見直し」を目標に掲げ、さらに本質的な取り組みにも着手してまいりました。「年代」についても、世代の多様性を受け入れ、当社創業から20年が経過しておりますが、2025年3月期には、平均年齢が下がる見込みとなっております。
当社は、多様な人材を確保し、その多様性を認め合い一体となって働くことを目指しております。
(1)リスク管理
当社において、リスク管理は事業を継続していく上で最重要課題であると共に、最大の機会であると考えております。実際に当事業年度において供給面では、原料供給元でもあるブラジルのアマゾン川や、日本輸入の際の航路となっているパナマ運河の水位が低下し、干ばつが起こる中で、輸入計画にも大きな狂いが生じ、店頭での欠品・品薄が発生する結果となりました。これらの要因となっている急激な気候変動は、我々の事業の根幹でもあるアグロフォレストリーの重要性を改めて感じさせる出来事であり、引き続き経済と環境が共存共栄する持続可能な社会の実現に向けて取り組んでまいります。
前述の出来事以降、当社ではリスクモニタリングを行うなどして、気候変動関連のリスクを含めて、リスクマネジメントを統括して管理しております。一方で、影響度と発生確率でリスクの重要度を判断する従来型のリスク管理手法だけでは、気候変動リスクの把握には十分ではない場合もあると判断し、起こる可能性はわからないものの、起きた場合に事業に極めて大きな影響を与えるリスクについては、シナリオを設定して分析・評価することで、重要リスクを抽出・検討することといたしました。リスク管理のプロセスは、リスクの識別・評価を行い、発生頻度やインパクトから優先順位付けをしたうえで、委員会等で回避・軽減・移転・保有などの対策を決定、進捗管理をし、重要なリスクについては定期的に取締役会に報告しております。
また、当社は、自然に関する企業のリスク管理と開示の枠組みを構築するために設立されたTNFDへの参画をしております。TNFDの考え方に基づき、シナリオ分析を行い、事業活動に与えるリスクと機会を抽出し、経営戦略へ盛り込む活動を実施してまいります。今後も財務への影響を検証するなど充実させる予定であり、サステナビリティ委員会と内部統制委員で、気候関連のリスク(物理リスク及び移行リスク)を管理していきます。
(2)指標及び目標
フルッタフルッタは2030年までにアグロフォレストリー原料の使用を通して累計450,000トン(注1)のCO₂削減を目指します。
フルッタフルッタでは、アグロフォレストリーの多様性栽培に関わることで、これまで経済の通例であったモノカルチャー栽培が如何に自然と逆行する手法であったかを痛感させられてきました。そして、従来の農業が自然資本(注2)を搾取する経済活動であったのに対し、アグロフォレストリーは 自然資本を保全し回復させる未来型の農法といえます。従来の産業を中心としていた資本主義に対し、限りある自然資本を中心に据えたのが「自然資本主義」です。その生産性の改善と回復に重点を置いた新しい資本主義といえます。 私たちは、事業活動を通してアグロフォレストリーの発展に貢献していく中で、アグロフォレストリーの概念ともいえる「自然と共に生きる」を広め、この新しい経済メカニズムを日本国内及び世界に提唱し、経済と環境が共存共栄する持続可能な社会を実現することを目指し、上記目標設定と致しました。
(注1)目標値は、中長期計画で見越している2031年3月期までの売上高(取引高)から算出したアグロフォレストリー原料の調達量に基づき、そこから得られるCO₂削減量を創業時から累計して算出しています。なお、現時点では63,000tを削減している見込みです。
(注2)自然資本:植物、動物、土壌、鉱物、水、大気など、自然によって形成される資源のこと。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
① 事業内容に関するリスク
(a)アマゾンフルーツ仕入のCAMTAへの依存について
当社は2002年12月に初回の締結が行われ、その後2021年10月に最新の更新が行われたCAMTAとの取引基本契約により、CAMTAが生産するアサイー及びその他のフルーツの冷凍パルプの日本における独占販売権及び米国、オーストラリア、中国、韓国、ニュージーランド及びオセアニア諸国において商品を販売する権利を有しております。
当社は同取引基本契約に基づき、当社が扱うアサイーを含むアマゾンフルーツ冷凍パルプについて全てをCAMTAから購入する義務を負っており、当社の製商品のほとんどに、それらアマゾンフルーツ冷凍パルプが用いられております。
当社の製商品にはこれらのアマゾンフルーツに他の果物等を加えるため、2024年3月期の当社の製品売上原価のうち材料費に占めるCAMTAからの仕入金額は7割以上、商品売上原価のうち商品仕入高に占めるCAMTAからの仕入金額は9割以上となっております。
このように、現時点での当社の事業活動は、同取引基本契約に基づくCAMTAからのアマゾンフルーツ仕入を前提とし行われております。
同取引基本契約の有効期限は、更新日より5年間(現契約は2026年10月まで)となっております。また、その更新は両者間において更新に異議がない場合は、自動的に5年間の契約延長がなされることとなっており、契約解除条項は存在しません。
当社は創業時よりCAMTAとの絆を大切にしてまいりました。当社は本社から年数回CAMTAを訪問する等CAMTAとの良好な関係維持に努めつつ、品質の確認、生産・財務状況の確認等を行っております。また、アサイー冷凍パルプの購買にあたっては、同取引基本契約に基づいて、毎年個別購買契約を締結し、購入数量の確保及び価格の安定化を図っております。
今後においても、原料の安定確保のためCAMTAとの関係強化を図ってまいりますが、CAMTAとの関係の変化、取引縮小、原料等の価格引き上げ、本地域における自然災害などがあり、CAMTAからアサイー等を計画通りに仕入れることができない場合、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(b)売上高におけるアサイーの依存について
当社の売上高実績に占めるアサイー関連事業の売上高(当社全体の売上高からカカオ豆の卸販売や、アサイー以外の冷凍フルーツパルプの販売といった、アサイーに直接関係しない事業分を除いた売上高)の割合は、2024年3月期において6割以上となっております。
当社としましては、アサイービジネスの一層の拡大に注力する一方、アサイー以外のアマゾンフルーツを用いた商品の開発、販売等にも取り組み、当社全体としての事業の拡大を図っております。世界的な消費者の「健康志向」「本物志向」という潮流の中でアサイー認知度が急激に向上したことなどから、最近においてアサイー関連市場は拡大しましたが、消費者の嗜好の変化等によってアサイー関連市場の大幅な縮小を余儀なくされる等、予期せぬ事態が発生した場合、当社の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(c)アサイーの仕入について
当社は、アサイー及びアサイーを原料とした製品販売を主体としており、安定的なアサイーの確保のための灌水設備等の現地投資や、他のアマゾンフルーツの売上比率の向上などを検討し、リスク低減を図っております。しかしながら、天候不順等によるアサイー価格の高騰、品質劣化等により、アサイーを適正価格で仕入れることができない場合、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(d)食の安全性について
当社の仕入先であるCAMTAは栽培から製造まで一貫して品質管理を行っており、それ以外の原料・外注委託については、当社が品質の確認を行っております。また、表示についても当社で確認するとともに、保健所等の行政機関に対しても確認を依頼しております。しかしながら、万が一大規模な商品回収を実施した場合、もしくは当社の商品に直接の問題がない場合であっても、食品業界全体やブラジル産食品、アサイー等に対する風評などにより当社商品に影響がある場合、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(e) 健康機能性表示取得について
アサイーの造血機能研究は造血に関わるメカニズムを解明し、臨床試験や関与成分の追加研究により、最終的に機能性表示取得を目指していますが、臨床試験や研究結果によっては取得できない可能性があり、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(f)競合について
当社は、“経済が環境を復元させる事業モデルの構築~グリーンエコノミーの実現~”を企業コンセプトとし、アマゾンフルーツをわが国に普及、拡大すべく事業を展開しておりますが、フルーツ飲料を含む飲料市場においては、大手企業を含む多くの企業が事業展開していることもあり、今後有力な競合先が現れる可能性があります。今後、新規参入等により競争が激化した場合には、当社の事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(g)為替相場の変動について
当社は、CAMTA及び海外OEM工場への製商品代金の支払いはドル建てで行っており、為替相場の変動の影響を受けております。直物為替等の活用により、為替リスクを回避する努力を行っておりますが、業容の拡大に応じて適時にすべての為替リスクをヘッジできる保証はなく、為替相場の変動が短期間に乱高下した場合には、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(h)訴訟に関するリスクについて
当社は、研究開発をはじめその事業活動において第三者の知的財産権を侵害することのないように細心の注意を払っております。しかしながら、知的財産権を侵害したとして第三者から不測の訴訟を提起され、その結果によって損失が発生する場合、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(i)情報の漏えい等に関するリスクについて
当社は、事業運営に必要な、お客様を含む個人情報や経営にかかわる重要情報等の機密情報を多数保有しております。当社は、これらの情報管理の重要性を十分認識し、JAPHICマークも取得しております。また、従業員に対する教育の実施など、システム管理を含めた適切な対策を実施しております。しかしながら、現時点で予期しえない不正アクセスやコンピューターウィルスの感染等による機密情報の漏えい、改ざん、消失等が起こった場合は、当社の信用失墜に繋がり、今後の営業活動に影響を及ぼし、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
② 事業体制に関するリスク
(a)代表者への依存について
当社の創業者であり、事業推進者である代表取締役の長澤誠は、経営方針や経営戦略等、当社の事業活動全般において重要な役割を果たしており、同氏に対する当社の依存度は高くなっております。
当社においては、同氏に過度な依存をしない経営体制を構築すべく、執行役員制度の導入等により権限移譲を進めておりますが、何らかの理由で同氏の業務遂行が困難になった場合には、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(b)小規模組織であることについて
当事業年度末現在における当社組織は、取締役3名(うち社外取締役1名)、監査役3名(うち社外監査役2名)、従業員23名の小規模な組織であり、内部管理体制や業務執行体制はこの規模に応じた組織で対応しております。このため、業容拡大に応じた人員を確保できず役職員による業務遂行に支障が生じた場合、あるいは役職員が予期せず退社した場合には、内部管理体制や業務執行体制が有効に機能せず、当社の事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ その他のリスク
株式の希薄化に関するリスク
当社は、2023年11月13日開催の取締役会において、第11回乃至第13回新株予約権並びに第14回及び第15回新株予約権の発行決議を行っており、行使期限を2030年12月17日としており、2024年3月末時点で未行使の新株予約権が合計で878,800個となっております。それまでに本新株予約権の行使による発行株式合計87,880,000株が発行されることとなります。
本新株予約権の行使により、当社普通株式の1株当たりの株式価値及び持分割合が希薄化し、当社株価に悪影響を及ぼす可能性があります。
④継続企業の前提に関する重要事象等について
当社は、前事業年度まで継続して営業損失、経常損失、当期純損失を計上しており、当事業年度においても営業損失263,088千円、経常損失306,982千円、当期純損失306,442千円を計上していることから、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。
当該状況を改善・解消すべく、以下の業績並びに財政状況の改善に取組んでまいります。
(a)リテール事業
好調に推移しているアサイー関連商材のさらなる販路拡大に加え、製品へCO2削減マーク記載を武器として、定番採用増につなげてまいります。
(b)業務用事業
外食向け原料販売については、アサイーの代替肉における血液代替原料となり得る価値の訴求を武器として、成功事例を積み上げてまいります。
メーカー向け原料販売については、造血機能研究をフックとして、健康食品向け原料への新規採用を図ってまいります。
(c)DM事業
販売チャネルごとの役割を明確にし、自社ECにおいてはチャネル特性に合った新商品の開発や、CO2削減量可視化の取組の強化など、価格に左右されにくい当社独自の価値提供により、EC市場全体での拡売・収益確保に取り組んでまいります。
(d)海外事業展開への取組み
引き続きCAMTAと協力しながら増産に向けて取り組んでいくと共に、アグロフォレストリーを中心としたサ ステナブルマッチングプラットフォーム構築に向けた取り組みを進めてまいります。また、アジア地域でのアサイー及びアマゾンフルーツ等の原材料販売に取組んでまいります。
(e)機能性分析への取組み
機能性分析による消費者への訴求及び動機付けに起因した売上拡大に取組んでまいります。
(f)財務基盤の安定化について
アサイー原材料の資金化と新規取組みで利益改善を図るとともに、新株予約権の行使等も含めた資本政策により財務基盤安定に取組んでまいります。
当社は、これら事象を解消するため、各施策に取組むものの、現時点においては継続企業の前提に関する重要な不確実性が存在することを否定できないものと認識しております。
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
a 財政状態
当事業年度末の資産の残高は、前事業年度末より443百万円増加して、1,644百万円となりました。
当事業年度末の負債の残高は、前事業年度末より366百万円増加して、668百万円となりました。
当事業年度末の純資産の残高は、前事業年度より76百万円減少して、975百万円となりました。
b 経営成績
当事業年度の事業成績は、売上高、売上総利益、販売管理費を事業成績の指標として掲げておりましたが、各指標において当初の計画を達成し、売上高、売上総利益について、前年比で増収、赤字幅縮小となりました。
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(単位:千円) |
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前事業年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
当事業年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
増減額 |
増減率 |
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売上高 |
804,885 |
1,136,859 |
331,973 |
41.2% |
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売上原価 |
492,626 |
780,455 |
287,829 |
58.4% |
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売上総利益 |
312,259 |
356,404 |
44,144 |
14.1% |
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販売費及び一般管理費 |
624,272 |
619,493 |
△4,778 |
△0.8% |
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営業損失(△) |
△312,012 |
△263,088 |
48,923 |
- |
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経常損失(△) |
△307,346 |
△306,982 |
364 |
- |
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当期純損失(△) |
△308,296 |
△306,442 |
1,853 |
- |
売上高は、前事業年度より331,973千円増加し、1,136,859千円(前年比141.2%)、売上総利益は、原材料在庫の有効活用により、前事業年度に比べ44,144千円改善し356,404千円(前期比114.1%)となりました。営業損失は、販売費及び一般管理費が4,778千円改善したことで、前事業年度に比べ48,923千円改善し263,088千円(前事業年度は営業損失312,012千円)となりました。経常損失は円安の影響により、外貨建債務の為替差損を17,108千円計上したこと、成長投資に必要な資金調達に関する費用を25,926千円計上したことなどにより306,982千円(前事業年度は経常損失307,346千円)、結果、当期純損失は306,442千円(前事業年度は当期純損失308,296千円)となっております。
当社事業の中心であるアサイー関連商品の好調が続く中、輸入の遅れにより、欠品・品薄が続いておりましたが、3月下旬の船の到着後、素早くお客様に商品をお届けできたことが、第4四半期に大きく貢献しました。欠品・品薄の対策として、国内備蓄原材料を有効活用して国内製造の商品に代替し、店頭での品薄を最小限に抑えたことも、売上高好調の要因となっております。中でも、当社の主力品である冷凍アサイーピューレが川の干ばつによって船の航行に支障をきたし、輸入の遅れに見舞われる中、国内製造品であるお家でアサイーボウルや、アサイーグロッソアイスなど、アサイーボウルのベースとなる冷凍商品が特に好調に推移していることからも、以前のアサイーブーム時同様の盛り上がりが見て取れます。加えて、市場の盛り上がりに合わせ、冷凍商品だけではなく、フルッタアサイーシリーズ(ドリンクタイプ)も前年比で126.6%と好調に推移しており、ヨーグルトと掛け合わせた使用法の提案などによって、商品が限られる中でも最大限の供給を行うことで、様々な商品の露出を増やすことに成功いたしました。一方、需要増に対し供給面では、原料供給元でもあるブラジルの状況は徐々に回復しているものの、対策といたしまして、複数航路の確保や出荷時期の調整などを検討しております。
また、アサイーに関しては、食品業界に先駆けてアグロフォレストリー原料使用による二酸化炭素削減量の可視化を実現させた「CO₂削減マーク」の記載が進む中、サステナブルフードとして大手流通企業への採用実績も出てきており、当社事業の根幹であるアグロフォレストリーに対する関心が高まっていることがうかがえます。この背景の一部にも、前述のアサイー人気の火付け役と同じく、自らの行動で環境や社会課題の解決に貢献するといった志向が強いZ世代のサステナブル・エシカル消費が関係しており、消費のあり方を変えようとする力が、当社ビジネスの後押しとなっております。今後もこれらの盛り上がりを見せる国内需要を確実に捉えつつ、主力商品であるアサイーの拡販、事業の根幹であるアグロフォレストリーのプラットフォーム化に向けて、コアビジネスの強化・拡大を図ってまいります。
売上原価及び売上総利益においては、想定以上の円安による影響と、欠品・品薄の対策として立ち上げた国内製造による加工費の増加により、売上高の伸長率と比べると、売上総利益の伸長率は鈍化する結果となりました。特に、この円安基調は今後も当面続くと考えられるため、対策といたしまして、価格改定やアサイーボウルやスムージーなどの価格に左右されにくい付加価値の高い商品の提案強化により、為替の影響を最小限に抑え、適正な売上総利益の確保に努めてまいります。
販売費及び一般管理費につきましては、売上高増加に伴い物流コスト(倉庫料、荷造運賃発送費)が49,666千円の増加となっておりますが、物流コストの上昇が続く中で、在庫回転率の上昇に伴い倉庫料を圧縮することができたことにより、売上高伸長率に比例した一定の率内に抑えることができております。また、人件費・業務委託費合計で60,762千円減少したことなどにより、前事業年度より4,778千円の減少(前年比99.2%)となりました。
②成長戦略概況
当事業年度、当社は短・中期的な成長戦略の柱として、① アサイーの事業展開、② サステナブルマッチングプラットフォームの2つの成長戦略を掲げて取り組みを進めてまいりました。2024年6月●日に公表した「事業計画及び成長可能性に関する事項成長戦略」の計画に沿って実施しております。
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短中期成長戦略 |
主要取組みの内容(一部抜粋) |
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1 アサイーの事業展開 |
アサイーのアジアを中心とした海外事業展開 |
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2 サステナブルマッチングプラットフォーム構築 |
プラットフォームの開発、プロモーション |
(a) アサイーの事業展開
2036年にアジア太平洋地域におけるアサイーの市場規模が10億米ドル(1,500億円)に成長すると予測されていること、及び、アサイーの世界市場規模は約12.5%の年平均成長率で成長すると予測されていることから、アジア太平洋地域におけるアサイーの市場規模は、2030年時点で5億米ドル(740億円)に到達すると想定しております。アジア市場に対して、すでに海外専業メーカーも参入を図っていますが、当社は、日本におけるアサイーの先駆者として、創業時の事業でもある多店舗展開による市場開発を進めてまいります。
当社は、2024年1月9日付「OAKBERRY ACAI, INCとのアサイーのアジア事業開発に向けた協議開始及び覚書締結のお知らせ」で開示しましたとおり、アサイーの世界的ブランドであるブラジルのOAKBERRY ACAI, INC(以下「Oakberry」といいます。)との間で、Oakberryのブランド力やノウハウを活かした店舗展開を目的とする覚書(以下「本覚書」といいます。)を締結しております。当社は、本覚書に基づき、アサイーの事業展開関連費用(出店費用)の一部を充当して、2024年夏以降、日本国内で最大5店舗のOakberryブランドのテスト店舗を出店することを計画しており、テスト店舗の出店後、更なる店舗展開を検討いたします。
(b) サステナブルマッチングプラットフォーム構築
アグロフォレストリーを 「ネイチャーポジティブ」と「CO₂削減」を両立させるソリューションと位置づけ、事業を通じて課題解決に向け貢献してまいります。その一環として、アグロフォレストリーで栽培された作物をはじめとした、サステナブル商材に特化して取引するサステナブルマッチングプラットフォームの開発を行う予定です。プラットフォーム内では、現状当社が取り扱っております約40品の商材だけでなく、プロモーションを行い他社にもプラットフォームで出店していただくことで、サステナブルに関連する他社の商材も取り揃えることを想定しており、最終的には「サステナブルに関連するものはここに来れば揃う」と認識されるプラットフォームとしていくことを目指しております。COP30が2025年12月にブラジルのパラ州の州都ベレンでの開催されることが決まり、アグロフォレストリーがサステナブルソーシングとして国際的に注目される可能性も高くなっている中で、民間企業として、サステナブルマッチングプラットフォームの構築及び稼働 を実現させることで、海外においては2030年に7,294億ドル(約102兆円)に達する見通しとなっている海外エシカル食品市場において約500億円、国内においては2030年には2兆6,556億円~6兆円に達する見通しとなっている国内サステナブルフード市場において約200億円の合計約700億円の取引高を2031年3月期までに達成することを目標とし、その取引高から得られるプラットフォーム利用料を収益としていきたいと考えております。
③資本政策の進捗
当社は、上場以来続く営業損失等の計上により、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在するとして、継続企業の前提に関する注記を記載しております。しかしながら、EVO FUND(Cayman Islands、代表者:マイケル・ラーチ、リチャード・チゾム)との資本政策をすすめたことで、新株予約権の行使等も含めた資本政策により財務基盤の安定化に取り組んでまいります。今後も引き続き有効と考えられる施策につきましては、積極的に実施してまいります。
④事業別の取組み
当社は輸入食品製造販売事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。事業別の売上高は次のとおりであります。
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(単位;千円) |
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前事業年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
当事業年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
増減額 |
増減率 |
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リテール事業部門 |
371,597 |
548,788 |
177,190 |
47.7% |
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業務用事業部門 |
293,451 |
417,665 |
124,213 |
42.3% |
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DM事業部門(注1) |
122,233 |
151,676 |
29,443 |
24.1% |
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海外事業部門 |
17,603 |
18,729 |
1,126 |
6.4% |
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合計 |
804,885 |
1,136,859 |
331,973 |
41.2% |
ⅰ.リテール事業部門
スーパーマーケットを中心とした小売店について、上半期は楊枝甘露(ヨンジーガムロ)や台湾フルーツティーなどの新商品が好調に推移する一方で、下半期においては冷凍アサイーピューレやお家でアサイーボウル、フルッタアサイーシリーズが好調に推移し、売上高に大きく貢献しました。中でも、フルッタアサイーシリーズにおいては、前述の凍らせることで作れるアサイーボウルレシピや、ヨーグルトと掛け合わせたメニュー提案などを行うことで、商品が限られる中でも最大限の供給を行うことにより、露出を増やすことに成功しました。また、冷凍アサイーピューレ、お家でアサイーボウルにおいては、市場の盛り上がりによる後押しもあり、小売業からの問い合わせも多く、露出面が増えております。今後も継続して既存品の露出強化を図ると共に、より利便性の高い新商品を計画しており、手軽にアサイーボウルが食べられる環境を提供してまいります。一方で、大手会員制倉庫型店においては、前年から引き続き楊枝甘露(ヨンジーガムロ)の拡売に加え、新商品のカシューフルーツミックススムージーを発売したことで、当事業年度通期で堅調に推移しております。
この結果、当事業年度のリテール事業部門全体の売上高は548,788千円(前年比147.7%)となりました。
ⅱ.業務用事業部門
外食向け原料販売では、アサイーグロッソアイスを中心に、アサイーボウルやスムージーのベースとして活用されている商品が、第3四半期にも増して、個店向けの業務用通販サイトBIZWEBにおいて広がり、新規顧客が大幅に増加したことで、売上高を中心に大きく貢献いたしました。当事業年度末時点で、BIZWEBへ登録されている企業数は、前年比145.0%と大幅に増加しております。また、弊社原料を使用しております、タリーズコーヒージャパン株式会社の商品「ヨーグルト&アサイー」においても、SNS上で話題となり、売り切れる店舗が現れるほどにまで盛り上がっております。今後はお客様からの要望に応えて、より使いやすい業務用商品を開発することで、新たな業務用の軸を確立させたいと考えております。
また、アサイーの代替肉をはじめとした植物性タンパク質訴求食品における血液代替原料となり得る価値の訴求についても、ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス株式会社のプライベートブランド『GREEN GROWERS Meal(グリーングロワーズミール)』において、第2弾となる「キーマカレー」が発売され、売上に貢献すると共に、CO2吸収量を一製品あたりの削減量として換算した「CO2削減マーク」の他社製品への初の使用事例であり、ブランドコンセプトとの親和性の高さからこの度の採用に至りました。
メーカー向け原料販売については、前述のアサイーの盛り上がりに連動して、徐々に新規案件が増えてきており、アサイー5倍濃縮エキスや、フリーズドライパウダーなどが好調に推移しております。今後、市場の盛り上がりは自社品から他社品へと広がることが予想されるため、チャンスロスを起こすことのないよう、供給体制の強化に努めてまいります。一方で、サステナブル原料に関する問い合わせは日に日に増加しており、前述の「CO2削減マーク」の他社製品への使用事例を武器に、近年特に重要な課題となっている「責任ある調達(サステナブル調達)」に対応した付加価値型原料としてさらなる拡大に努めてまいります。
この結果、当事業年度の業務用事業部門の売上高は417,665千円(前年比142.3%)となりました。
ⅲ.ダイレクト・マーケティング事業部門(DM事業部門)
ECチャネルにおいては、前述のアサイーの盛り上がりにおける火付け役となっているZ世代の購入チャネルとして、プラットフォームを中心に好調に推移しております。現在も一部商品においては、出荷制限を設けながらの販売となっており、供給体制の早期安定により、多くのお客様へ商品を届けられるよう努めてまいります。一方で、プラットフォームを拡大したことにより、一部自社ECなどへ自社競合が発生する結果となっており、今後は販売チャネルごとの役割を明確にし、自社ECにおいては自社でしかできない、気分や栄養素に応じて商品提案できる仕掛け作りや、CO₂削減量可視化をはじめとした環境問題への取り組み強化などを含めたリニューアルにより、EC市場全体での拡売・収益確保に取り組んでまいります。
この結果、当事業年度のダイレクトマーケティング事業部門全体の売上高は151,676千円(前年比124.1%)となりました。
ⅳ.海外事業部門
主力のカカオ豆について、第4四半期につきましては、前年に比べて出荷タイミングが遅くなったことや、米ドルでの取引を行っていることで為替による好影響を受けたことにより、前年を大幅に上回る結果となりました。当事業年度通期では、物量としては前年と比べて減少しているものの、売上高としては前述の為替の影響もあり微増となっております。当社のカカオビジネスはCO₂削減量の観点からも大きな役割を担っているため、引き続きCAMTAと協力しながら増産に向けて取り組んでまいります。近年、次世代型食料供給産業に注目が集まる中で、近い将来、アグロフォレストリーが国際機関の目指す「温暖化ガス削減」や「ネイチャーポジティブ」の数少ない成功事例となり得ることを鑑み、アグロフォレストリーを中心としたサステナブルマッチングプラットフォーム化に向けた取り組みを進めております。当社にしかできないソリューションを提供することで、売上拡大を図ってまいります。
この結果、当事業年度の海外事業部門の売上高は18,729千円(前年比106.4%)となりました。
⑤キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ127,717千円増加し、当事業年度末には377,724千円になりました。
なお、当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において営業活動の結果使用した資金は248,809千円(前事業年度は310,775千円の使用)となりました。
これは主に、仕入債務の増加145,560千円がある一方で、売上債権の増加87,676千円及び棚卸資産の増加39,648千円と税引前当期純損失305,492千円の計上があったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において投資活動の結果得られた資金は35,659千円(前事業年度は744千円の使用)となりました。
これは主に、投資有価証券の売却による収入36,403千円があったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において財務活動の結果得られた資金は339,447千円(前事業年度は240千円の使用)となりました。
これは主に、長期借入金の返済による支出100,000千円及び資金調達費用の支払いによる支出18,444千円がある一方で、社債の発行による収入300,000千円及び新株予約権の行使による株式の発行による収入154,767千円があったこと等によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
当社は輸入食品製造販売事業の単一セグメントのため、セグメント情報の記載を省略しております。また、当社は、複数の事業部門で同一種類の商品を取り扱うため、生産実績及び商品仕入実績については、商品群別に記載をしております。
(a)生産実績
当事業年度の生産実績を商品群別に示すと次のとおりであります。
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商品群の名称 |
当事業年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
前事業年度比(%) |
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チルド商品(千円) |
439,104 |
148.6 |
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冷凍商品(千円) |
124,974 |
280.9 |
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常温商品(千円) |
33,862 |
137.3 |
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合計(千円) |
597,941 |
164.0 |
(b)商品仕入実績
当事業年度の商品仕入実績を商品群別に示すと次のとおりであります。
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商品群の名称 |
当事業年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
前事業年度比(%) |
|
チルド商品(千円) |
- |
- |
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冷凍商品(千円) |
148,648 |
133.6 |
|
常温商品(千円) |
30 |
55.3 |
|
合計(千円) |
148,679 |
133.6 |
(c)受注実績
当社は見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
(d)販売実績
当事業年度の販売実績を事業部門別に示すと、次のとおりであります。
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事業部門の名称 |
当事業年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
前事業年度比(%) |
|
リテール事業部門(千円) |
548,788 |
147.7 |
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業務用事業部門(千円) |
417,665 |
142.3 |
|
DM事業部門(千円)(注1) |
151,676 |
124.1 |
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海外事業部門(千円) |
18,729 |
106.4 |
|
合計(千円) |
1,136,859 |
141.2 |
(注1)ダイレクト・マーケティング事業部門
当事業年度の販売実績を商品群別に示すと次のとおりであります。
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商品群の名称 |
当事業年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
前事業年度比(%) |
|
チルド商品(千円) |
584,145 |
129.3 |
|
冷凍商品(千円) |
474,115 |
163.5 |
|
常温商品(千円) |
78,598 |
124.3 |
|
合計(千円) |
1,136,859 |
141.2 |
(注)1.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります
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相手先 |
前事業年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
当事業年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
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金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
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|
㈱日本アクセス |
64,293 |
8.0 |
152,778 |
13.44 |
|
三菱食品㈱ |
60,939 |
7.6 |
132,238 |
11.63 |
2.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用後の数値としております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討の内容は以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表はわが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたり、見積りが必要となる事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。その詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。その作成は、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案して合理的に見積りを行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。
②当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社の当事業年度の経営成績は、以下のとおりであります。
経営成績の分析
(売上高)
当事業年度の売上高は1,136,859千円(前事業年度比41.2%増)となりました。
主な要因として、全ての事業部門で売上高が増加したことによるものであります。
また、各事業部門の当社売上高に占める割合は、リテール事業部門が48.2%、業務用事業部門が36.7%、
DM事業部門が13.3%、海外事業部門が1.6%となっております。
(売上総利益)
当事業年度の売上総利益は、前事業年度より44,144千円増加し、売上総利益356,404千円となり、売上総利益率は前事業年度より7.4ポイント低下し、31.3%となりました。
主な要因として、当事業年度においては、想定以上の円安による影響と、欠品・品薄の対策として立ち上げた国内製造による加工費の増加により、売上高の伸長率と比べると、売上総利益の伸長率は鈍化したことで低下しました。
(営業利益)
当事業年度の販売費及び一般管理費は、前事業年度より4,778千円減少し、619,493千円(前事業年度比0.8%減)となり、売上高販管費率については、23.0ポイント減少し、54.4%となりました。
主な要因として、売上高増加に伴い物流コスト(倉庫料、荷造運賃発送費)が49,666千円の増加となっておりますが、物流コストの上昇が続く中で、在庫回転率の上昇に伴い倉庫料を圧縮することができたことにより、売上高伸長率に比例した一定の率内に抑えることができております。また、人件費・業務委託費合計で60,762千円減少したことなどによるものであります。
結果として、営業損失は263,088千円(前事業年度は営業損失312,012千円)となりました。
(経常利益)
当事業年度における営業外収益は、前事業年度より3,789千円減少し、2,116千円(前事業年度比64.1%減)となりました。営業外費用は、前事業年度より44,769千円増加し46,009千円(前事業年度比3,710.4%増)となりました。
主な要因として、円安の影響による外貨建債務の為替差損を17,108千円計上したこと、成長投資に必要な資金調達に関する費用を25,926千円計上したことなどによるものであります。
結果として、経常損失306,982千円(前事業年度は経常損失307,346千円)となりました。
(当期純利益)
当事業年度の当期純損失は、前事業年度より1,853千円減少し、当期純損失306,442千円(前事業年度は当期純損失308,296千円)となりました。
財政状態の分析
ⅰ 資産
当事業年度末における総資産の残高は、前事業年度末より443,152千円増加して、1,644,552千円となりました。
(流動資産)
当事業年度末における流動資産の残高は、251,229千円増加して、1,015,536千円となりました。
この主な要因は、現金及び預金が127,717千円、売掛金が87,676千円及び原材料及び貯蔵品が18,843千円増加したこと等によるものであります。
(固定資産)
当事業年度末における固定資産の残高は、191,922千円増加して、629,016千円となりました。
この主な要因は、当社が保有している株式会社REVOLUTION株式の投資有価証券が190,426千円増加したこと等によるものであります。
ⅱ 負債
当事業年度末における負債の残高は、前事業年度末より366,684千円増加して、668,775千円となりました。
(流動負債)
当事業年度末における流動負債の残高は、366,675千円増加して、665,020千円となりました。
この主な要因は、買掛金が145,560千円及び未払金が25,814千円増加したこと等によるものであります。
(固定負債)
当事業年度末における固定負債の残高は、3,755千円となりました。
ⅲ 純資産
当事業年度末における純資産の残高は、前事業年度末より76,467千円増加して、975,777千円となりました。
この主な要因は、当期純損失306,442千円の計上をした一方で、資本金が77,637千円、資本剰余金が77,637千円及びその他有価証券評価差額金が226,508千円増加したこと等によるものであります。
以上の結果、自己資本比率は59.1%(前事業年度末は74.8%)となりました。
キャッシュ・フローの分析
当事業年度のキャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社の資本の財源及び資金の流動性については、当社業績より、営業活動によるキュッシュ・フローがマイナスという状況より金融機関からの新たな借入については、厳しい状況ではありますが、第1回無担保社債により、運転資金及び成長投資資金を賄うこととしております。
また、引続き当社としては、原材料在庫の資金化を進め、今後の資本の財源及び資金の流動性を図ることとしております。
当社の当事業年度末の資金は、前事業年度末に比べて127,717千円増加して377,724千円となりました。
当事業年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、仕入債務の増加145,560千円がある一方で、売上債権の増加87,676千円及び棚卸資産の増加39,648千円と税引前当期純損失305,492千円の計上があったこと等で、248,809千円の使用(前事業年度は310,775千円の使用)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却による収入36,403千円があったこと等で35,659千円の獲得(前事業年度は744千円の使用)となりました。
財務活動によるキュッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出100,000千円及び資金調達費用の支払いによる支出18,444千円がある一方で、社債の発行による収入300,000千円及び新株予約権の行使による株式の発行による収入154,767千円があったこと等で339,447千円の獲得(前事業年度は240千円の使用)となりました。
当社の経営上重要な契約は、以下のとおりであります。
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相手先 |
国名 |
契約の名称 |
契約の主な内容 |
契約年月日 |
有効期限 |
|
トメアス総合農業協同組合 (CAMTA) |
ブラジル |
BASIC SALES AGREEMENT |
アサイー及びその他のフルーツの冷凍パルプの日本における独占販売契約、及び米国、オーストラリア、中国、韓国、ニュージーランド及びオセアニア諸国において商品を販売する販売契約 |
2011年10月 |
契約締結日より5年 契約期間5年間満了後、異議のない場合自動更新 |
|
EVO FUND
|
イギリス |
第1回無担保社債 |
(1)割当先:EVO FUND (2)発行総額:300百万円 (3)期間:2023年4月7日~2025年4月6日 (4)金利 年率1% |
2023年4月 |
契約締結より2年
|
当社は、フルッタアサイーブランドの強化及びアサイーの再認知を主たるテーマとし、研究開発に取り組んでおります。各商品の原料別に強調できる栄養素に注力し、分析を進めております。
当事業年度の主な研究内容と開発商品は次のとおりであります。なお、当社は、輸入食品製造販売事業の単一セグメントのため、セグメント別の記載はしておりません。当事業年度の研究開発費総額は、
1.アサイーの機能性研究
①造血機能研究
今までの研究結果で、マウスにアサイーを摂取させた結果、造血ホルモンのエリスロポエチン(EPO)の分泌が促され、赤血球数が増加することが判明しております。今後、原因物質を特定し、商品の付加価値へと繋げていく予定です。
②アサイーは「森の血液」。
代替肉の品質改善を目的とした有効成分に関する特許出願を行いました。この発明により、アサイーはフルーツや嗜好品に留まらない「一般食材」として発展する可能性が見いだされ、用途が飛躍的に拡大することを目的としております。
2.アサイーをはじめとするアマゾンフルーツピューレ販売強化への取組み
①アサイーをはじめとするアマゾンフルーツの原料の栄養素や機能を多くの方に知っていただき、ご提案させて頂く機能を開発本部内に導入致しました。
最適な使用方法を研究し、メニュー開発を行っております。
②アサイーピューレやアサイーオイル、クラリファイなどの新たな栄養訴求ができるよう、詳細な栄養成分の分析を進めております。
また、その他アマゾンフルーツも同様に進めて行く予定です。