文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社は「人と技術と商品を大切にして、新しい時代にふさわしい美しい都市機能を、世界の国々で世界の人々とともに創ります。」という経営理念を掲げ、昇降機の専業トップメーカーになることを目指しています。
この基本方針の下、持続的な成長と高い収益力によって株主、顧客、ユーザー、取引先、地域住民ならびに社員等当社グループすべてのステークホルダーの満足を追求し、高度な研究開発力、生産・フィールド技術力を養成し、高品質な商品を納入するとともに、保守やモダニゼーションを通じて長期にわたり顧客・ユーザーとの信頼関係を構築しております。このような事業活動を通して、世界の国々の産業振興と経済発展に貢献し、また世界の人々と文明・文化を相互理解することで、全てのステークホルダーと共存共栄を図っていくことを目指しています。この経営理念を、グループ一丸となって実現することこそが企業価値の源泉であり、当社の企業価値および株主共同の利益を確保・向上させることにつながると考えています。
2025年3月期連結ベースで、売上高2,450億円、営業利益181億円、営業利益率7.4%を目指します。
当社は2021年12月に3ヵ年の中期経営計画「Vision24 中期経営計画(2022-2024)」を発表し、2022年3月には「Vision24」の具体的施策・資本政策を説明した追補版を公表しました。「Vision24」に記載した、新設事業とアフターマーケット事業の拡大により、シェア向上を図り、売上拡大とコストダウン推進による収益力向上を確実に実行するとともに、経営の透明性向上に努めてまいりました。
いっぽう、当社を取り巻く事業環境の変化等に鑑み、当社の潜在価値を具現化するための抜本的な企業変革を伴う、5ヵ年の新中期経営計画「中期経営計画2024-2028 “Move On 5”」を2024年5月14日の取締役会において決議しました。新中期経営計画では、「日本の専業メーカーならではの美しさとおもてなしを誰でも実感できる業界トップの信頼のブランドを確立」を長期ビジョンとして掲げ、『不易流行』の精神で新生フジテックとしてエクセレントカンパニーへ進化することを目指してまいります。これにより、お客さまの信頼に応える"安全・安心"な商品を継続的に提供し、持続的成長と企業価値向上を目指します。「Move On 5」の戦略方針は次の通りです。
「不易」…これからも変えずに追求し続ける本質
〇“安全・安心″の追求 :“安全・安心”を徹底する思想に沿った開発、故障・事故の徹底防止
〇品質重視 :最高品質の快適な乗り心地を実現する製品開発
〇人材の育成 :技術と能力を備えたグローバル人材育成と、それを支える企業文化の醸成
「流行」…新たに注力すること
〇選択と集中 :全社マージン改善のための地域事業の明確なセグメント分けと
適切なリソース配分、取り組み方向性の明確化
〇グループ経営の強化 :更なる成長のためのグローバルでの組織基盤の改善
〇ガバナンスとコミュニケーションの充実 :最高水準のコーポレートガバナンスの確立
○“安全・安心”の追求では、以下に取り組みます。
・“安全・安心”を徹底する思想に沿った開発
-地震発生時のエレベータ運行データを自動収集
-復旧ニーズの見える化と迅速な技術者の派遣
-気候変動に関わるアップデートを継続実施し、豪雨等対応可能な災害を増やす
・故障/事故を徹底防止する仕組/体制
-2025年の品質ラボ竣工
-開発から調達、生産、据付に至るまで、様々なコンポーネントのE2Eでの安全試験を実施
○品質重視では、以下の取り組みで、高級ホテルで培った乗り心地をより多くのお客さまに展開することを目指します。
-最高品質の快適な乗り心地を実現する製品開発
-部品解析、故障解析等により品質とコストの両立を追求
○人材の育成では、以下の取り組みにより、“安全・安心”の追求と品質重視を貫きます。
-組織風土であるチャレンジを促し、個々の従業員が成長を実感できる健全な職場環境を提供する
-評価報酬制度を採用し、適宜改善する
-全ての従業員がおもてなしの精神を持ち、顧客満足度を高め、高い信頼を得る
-多種多様な研修を通じ、専門技術者のさらなるスキルアップを図る
○選択と集中では、以下の取り組みにより、全社マージン改善を目指します。
-各地域の戦略的位置付けを明確化し、“着眼点”と“取り組み方向”を策定
-デジタル技術も活用してメンテの生産性/収益性を改善
-サプライチェーン最適化、標準機種・工法の導入によるコスト削減
-業務標準化・効率化とITインフラ刷新、経費抑制によるSG&A比率の改善
○グループ経営の強化では、以下の取り組みにより、強靭な事業基盤を構築します。
-中計を実行するための役割分担・結果責任を明確化した実行/PMO体制の構築
-KPIを設定し事業パフォーマンスと施策の進捗をモニタリング
○ガバナンスとコミュニケーションの充実では、以下の取り組みにより、最高水準のコーポレートガバナンスを目指します。
-多様なバックグラウンドを持つメンバーによる強靭な取締役会
-経営陣の報酬を重要指標に連動させ、経営陣のコミットメントを確保
-ESG経営の更なる強化
このような状況の中、「新中期経営計画 Move On 5」を確実に実行し、企業価値の向上に努めてまいります。
フジテック・グループでは、「サスナビリティ方針」「企業行動規範」を遵守し、経営理念「フジテックは、人と技術と商品を大切にして、新しい時代にふさわしい、美しい都市機能を、世界の国々で、世界の人々とともに創ります。」を実践することで、持続可能な社会の実現に寄与していきたいと考えています。この考え方は、売り手と買い手が満足するだけではなく社会に貢献できてこそ良い商売と考える、「三方よし」という商人の経営哲学につながっています。このように、社会インフラを担う当社ならではの貢献を通じて、社会的責任を果たしていきます。サステナビリティに向けた取り組みを強力に推進するため、サステナビリティ委員会を設置しています。同委員会では、サステナビリティ方針と経営計画の整合性の確認に加え、サステナビリティを推進するための施策や活動の進捗を管理・監督しています。今後、ESG関連の情報開示を充実させ、取り組みの進捗を適宜報告していきます。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。


当社では、サステナビリティ活動の推進のため、6つのマテリアリティと主要テーマを定めています。

ESG情報開示の対応方針については、次の通りです。今後、更なる開示の充実を進めてまいります。
・マテリアリティに関するKPI設定と情報開示
・TCFDに準拠した長期シナリオ分析及び機会/リスク開示
・開示項目の現状調査と全社モニタリング体制の整備
・統合報告書の作成・開示
(気候変動について)
当社は、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に賛同を表明し、その枠組みに基づき、気候変動に係るリスクおよび機会に関するシナリオ分析などの取り組みについてまとめています。
当社は、経営理念を実践することこそが、社会や自然との共生や、持続可能な社会の実現につながると認識し、ステークホルダーの皆様とともに、“安全・安心”の追求、人材開発、技術の伝承、社会貢献活動、環境活動を含む、さまざまな事業活動に取り組みます。
気候変動に係るリスクおよび機会の分析・管理に関しては、代表取締役社長が管掌するサステナビリティ委員会が、他のサステナビリティ課題・取り組みなどと併せて、経営計画との整合性の確認および施策の管理・監督を行います。また、サステナビリティ委員会は気候変動を含むサステナビリティに関する重要事項について、必要に応じて取締役会への報告を実施します。
気候変動に関する具体的な分析や施策については、サステナビリティ推進室が取締役会、サステナビリティ委員会および環境マテリアリティ・オーナーの監督のもとに実施しています。また、サステナビリティ推進室は当社グループ内の事業部門、本社機構、グループ各社と連携し、気候変動リスクおよび機会の事業戦略への落とし込みや、気候変動関連課題への対応策、管理指標および目標の検討を行い、サステナビリティ委員会へ上申、報告を行います。
(2) 戦略
気候変動が当社事業・業績に与える影響について、TCFDフレームワークに基づいて定性的な分析を行いました。 以下の2つのシナリオに基づきシナリオ分析を実施しました。
• 2℃未満シナリオ(IPCC SSP1-2.6):低炭素経済へ移行するシナリオ
• 4℃シナリオ(IPCC SSP5-8.5):物理的気候変動リスクが高まるシナリオ
対象範囲は、当社および連結子会社を分析対象として選定しています。
気候変動によるリスクと機会の一覧
(人的資本について)
当社グループでは、ダイバーシティとグローバル人材開発を推進していくため、「経営人事理念」のもと、2022年に「人材開発方針」を策定しています。

当社グループにおける、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針は、グローバルな事業展開における新たなステージに向けた基盤として、個々のレベルアップを図り、闊達・溌剌とした人材を育成しています。社内環境整備に関する方針としては、多様性を認め合う価値観の醸成、環境づくりを加速しています。
中期経営計画「Move On 5」では「“安全・安心”の追求」や「品質重視」を貫くには人材こそが最大の財産とし①組織風土であるチャレンジを促し、業務を通じた育成によって個々の従業員が成長を実感できる健全な職場環境を提供すると共に、評価報酬制度を採用・適宜改善 ②全ての従業員がおもてなしの精神を持ち、総合的な満足度を提供。関係者やお客さまから高い信頼を獲得 ③専門技術者のさらなるスキルアップを図る多種多様な研修を通じて、お客さまに信頼される"人"と"技"の調和を追求することを掲げ人材育成を行ってまいります。
当社では、社長を委員長とする「リスクマネジメント委員会」を設置し、事業リスクの低減と倫理・遵法、環境、品質問題など社会的に大きな影響を与えるリスクの根絶を目指し、リスクの早期発見とその対策に取り組んでいます。
この下位組織として、「リスクマネジメント運営委員会」を設置して、リスクマネジメントが全社的に機能するよう、情報の収集およびグループ各社・各事業本部への指導・管理を行い、企業を取り巻く潜在的なリスクに対して、迅速かつ的確な対処を行っています。
気候変動に関連する重要なリスクなどについては、全社リスクマネジメント管理のプロセスと同様に、リスクマネジメント委員会がサステナビリティ委員会と経営会議による分析を経て、その影響度や管理状況について適宜取締役会への報告を行っています。

(4) 指標及び目標
当社グループのCO2排出量(以下、CO2排出量)は以下のとおりです。
2022年のスコープ1、2のCO2排出量は、11.2%(基準年2019年比)減少し、23,582トンでした。売上高原単位は、2019年の14.6t/億円から21.9%(基準年2019年比)減少し11.4t/億円に低下しています。当社は環境や社会にやさしい企業として、脱炭素など社会的課題の解決に向けて、社会インフラを担う当社ならではの貢献ができることを検討し、社会的責任を積極的に果たしていきます。
脱炭素の取り組みとしては、今後はサプライチェーンの取引先との情報共有を進めながら、スコープ3温室効果ガス(GHG)排出量の捕捉を進めていきます。

中期経営計画「Move On 5」では新たに「KPIと目標」として2030年までに2019年スコープ1、2比温室効果ガス(GHG)46%削減達成を目標として掲げています。
「気候変動に対応した低炭素社会への貢献」として、エネルギー使用量・温室効果ガス(GHG)排出量・廃棄物管理・削減施策推進、温暖化対策・脱炭素の取り組みへの社内教育徹底による、当事者意識の醸成強化、商品・工法改良による省資源化・廃棄材料削減・リサイクル化推進、水害対策製品・技術の開発と投入などを実施。また「省エネルギー対応力の強化」として環境配慮型商品・サービスの拡充、「商品ライフサイクルマネジメントの実践」パートナー企業と連携した業務効率改善による環境効率向上など積極的にグローバルな環境課題に取り組み、社会へ貢献してまいります。
また、上記「(2) 戦略」において記載した、人材の育成に関する方針および社内環境整備に関する方針に対する当社の取り組みは次のとおりです。
当社グループの人材の育成に関する具体的な取り組み
・世界10ヵ国以上の当社グループの人材が集い、世界の仲間からの刺激を受け、より高みを目指す動機につなげ、フィールド分野のスキルアップを目指すことなどを目的とした「Global Field Engineering Skill Competition」を継続的に開催しました。(直近では2022年12月に開催し13の国と地域の法人から選抜されたフィールド技術者30名が参加)
・フィールドエンジニアのスキル向上など更なる人材育成を推進するため日本(東京・大阪)、シンガポールにエクスペリエンスセンターを設置しています。
海外法人の取り組み
・インドでは、レディース・デーが開催され、社会福祉学助教授の基調講演や永年勤続表彰が行われました。
・韓国では、女性の育児休暇を奨励し、男性の育児休暇の取得者もいます。
・米国では、性別、障がい、年齢など多様な人材を獲得するために、さまざまな採用手法を活用しています。
フジテック株式会社の取り組み
・従来から実施しているグローバルビジネスリーダー育成プログラムや、フィールドエンジニア向け各種実技研修プログラムなどの継続とともに、責任ある業務へのアサインメントを通じて、グローバルな視点を備えたマネジメント人材や、高い専門性を備えたエンジニアの育成を図ります。
・コアタイムのないフレックス勤務、時間単位の有給休暇取得、育児・介護休職/短時間勤務など、各種勤務制度の活用推進に加え、IT環境整備によるリモートワークの適用拡大、現場直行・直帰対応など、柔軟な働き方を可能にする環境を整えています。これにより、場所や時間に縛られない活発なコミュニケーションを促し、組織力の一層の強化に繋げていきます。
・日本国内における外国籍エンジニアの継続的な採用・育成、および積極的な登用を行います。
・新規入社者の2分の1程度がキャリア採用者である現状を基本とし、多様な経験を持つ人材の採用を一層進めます。
・女性・外国人・キャリア採用(中途採用)者の採用を一層推進してまいります。さらに、キャリア採用者については、その経験・スキル・実績等を総合的に評価した上で管理職への登用を進めており、2024年3月末時点の管理職比率は19%となっておりますが、今後も現状以上の比率となるよう積極的に登用を進めます。一方女性ならびに外国人については、2024年3月末時点の女性管理職比率が1.2%、外国人の管理職登用者数が0名であることから、当面の間は前年以上の比率・人数とすることを継続目標として、人材育成ならびに社内環境整備を強化してまいります。
国連グローバル・コンパクト加盟
当社は2021年4月21日付で国連が提唱する「国連グローバル・コンパクト(以下、UNGC)」に署名し、UNGCに署名している日本企業などで構成される「グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン」に加入いたしました。UNGCは、各企業・団体が責任ある創造的なリーダーシップを発揮することによって、社会の良き一員として行動し、持続可能な成長を実現するための世界的な枠組み作りに参加する自発的な取り組みです。UNGCが定める「人権」「労働」「環境」「腐敗防止」の4分野からなる10原則に賛同し、当社の経営理念である「人と技術と商品を大切にして、新しい時代にふさわしい、美しい都市機能を、世界の国々で、世界の人々とともに創ります」の実現に向けて活動を継続します。

本項では、有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると特定した主要なリスクを記載しております。
なお、本項に記載した将来の事象や想定に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものです。
1. 当社グループのリスクマネジメント体制
当社グループのリスクマネジメントは、リスクおよび機会を踏まえた適切な意思決定を促し、ビジネスの成長を推進することを目的として取り組んでいます。
リスクマネジメント委員会は、経営理念や事業目的などに照らし、利害関係者への影響を含めて、経営に大きな影響を及ぼすリスクを網羅的に識別した上で、重要なリスクを決定し、その活動に積極的に関与しています。
重要なリスクは、その特性から「事業リスク」と「業務リスク」に分類し、さらに業務リスクは「グローバルリスク」「ローカルリスク」に分類して管理しております。
リスクマネジメント委員会は、社長を委員長とし、委員会メンバーはそれぞれの専門領域の知見・知識を活かし、十分な議論のもと、リスクの識別・評価を行っております。
リスクマネジメントのプロセスは、はじめに当社グループの経営理念の実現、中期計画の実行および達成を阻害しうる不確実性をリスクと捉え、当社の全部門および全グループ会社からリスクおよびその対応策を抽出します。
次に、抽出したリスクを、影響度、発生可能性(頻度)の観点から評価し、リスクマネジメント委員会にて議論の上、重要なリスクを決定するとともに、各重要なリスクの責任者(執行役員)およびリスク対応策を決定します。
このように特定された重要なリスクについては、各重要なリスクの責任者(執行役員)の指示の下、実行部門により対応策が実行されます。各重要なリスクの責任者(執行役員)は、対応策の実行状況をモニタリングし、その実効性を測定します。これら一連の取り組みは取締役会に報告され、リスクマネジメントプロセスとその対応策の実効性が確認されます。
また、こうしたボトムアップ型のリスクマネジメントに加え、社内取締役へのインタビューを実施し、経営陣の問題意識も反映させながら、会社のありたい姿を目指してリスクマネジメント活動を展開するため、「リスクマネジメント方針書」の策定についても検討しています。
リスクマネジメント体制図

(注)リスク評価は、当社における多種のリスクを独自に評価したものです。
当連結会計年度における当社グループ(当社および連結子会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要ならびに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において、当社グループが判断したものであります。
また、2022年9月20日に行われたExpress Lifts Limited(現 Fujitec Express Limited)との企業結合について前連結会計年度において暫定的な会計処理を行っておりましたが、当連結会計年度において確定したことに伴い、前連結会計年度については、取得原価の当初配分額の見直しが反映された後の金額を使用しております。
当連結会計年度の世界経済は、地域間で景況感の格差があり、金融引き締め政策、中国経済の低迷などにより、依然として世界的に先行き不透明な状況が継続しました。米国では製造業は低迷したものの、雇用・所得環境が良好で、個人消費は底堅く推移しました。中国では不動産価格の下落が続いた影響で、住宅販売および設備投資が低迷し、景気の減速が継続しました。日本では、個人消費およびインバウンド需要の回復などの影響で非製造業の景況感が改善し、製造業においても物価上昇に伴う価格転嫁により、景気は緩やかに回復しました。
このような状況のもと、当社グループにおいては、2022年度を初年度とする3カ年の中期経営計画“Vision24”の基本戦略に基づき、具体的施策の遂行に努めました。
「販売戦略」においては、国内市場は、標準機種の更なる拡販と大型エレベータ対応の制御盤交換パッケージの投入などモダニゼーション商品のラインナップ拡販による収益力向上に取り組みました。販売実績では昨年開業した麻布台ヒルズに当社国内プロジェクト過去最多となるエレベータ・エスカレータ合計110台を納入しました。グローバル市場では成熟市場、成長市場など地域ごとの特性に合わせた地域別販売戦略に取り組み、インドでは大規模住宅向けにエレベータ538台を受注し、シンガポールでは1986年に納入した高層ビルに安全性の維持と機能性の向上を目的にエレベータ19台のリニューアルを実施しました。「商品・技術戦略」では、各国市場の成熟度に合わせた戦略機種の開発・投入に加え、ビル管理者向けのウェブサービス、エレベータとロボットの連携による利便性向上などIT、AIをはじめとした新技術の活用でお客さまの課題解決を進めています。「生産・オペレーション戦略」では、更なる商品品質の向上を狙いエレベータ部品解析・評価センター「(仮称)品質ラボ棟計画」の建設に着工し、グローバル調達推進による生産コスト削減に加え、フィールド分野での据付コスト革新に取り組みました。また、海外ではフジテック・インドにおいてエレベータ第二工場が本格稼働するなど、生産能力の増強にも取り組みました。「コーポレート戦略」では、成長フェーズに向けてカナダのStampede Elevator社をはじめとする国内外のM&Aを積極的に推進するとともに、資本政策においては、運転資金の効率化による資産効率向上に取り組みました。ESGの観点では、昨年12月に当社初の「統合報告書」(日英)を発行し、非財務情報の拡充を図るなどサステナビリティ活動を推進しております。また、ダブル連結トラック導入をはじめとした脱炭素化と省人化の推進やいきいきとした職場づくりに向けて全社共通の「労働安全衛生指針」と「健康宣言」を新たに策定しました。ガバナンスの面では、昨年度の臨時株主総会以降、指名・報酬諮問委員会の刷新や臨時株主総会における株主提案に係る取締役候補者らに対する妨害行為に関する第三者委員会による調査結果報告書を受けて、上場企業に求められる最高水準のコーポレートガバナンス確立に向けた具体的な対策を含む当社の対応を12月に開示し、着実に取り組みを進めております。また昨年10月に経営陣と主要部門を統括する執行役員及び社外取締役から構成されるステアリング・コミッティを発足し、当社が中長期で目指すべき方向性や重要戦略の検討を進めた結果、当社を取り巻く事業環境の変化等に鑑み、当社の潜在価値を具現化するための抜本的な企業変革を伴う、5カ年の新中期経営計画を2024年5月14日の取締役会において決議しました。新中期経営計画では、「日本の専業メーカーならではの美しさとおもてなしを誰でも実感できる業界トップの信頼のブランドを確立」を長期ビジョンとして掲げ、『不易流行』の精神で新生フジテックとしてエクセレントカンパニーへ進化することを目指してまいります。
以上の結果、当社グループの当連結会計年度の経営成績の状況は、以下の通りとなりました。
(金額単位:百万円未満切捨て)
国内受注は、新設事業では、材料費・物流費の高騰を反映した価格への転嫁が進み、前期比で大幅に増加となりました。特に共同住宅・店舗向けが大きく伸長しました。アフターマーケット事業では、モダニゼーション工事も新設同様に価格改定効果もあり増加しました。また、昇降機の整備・維持を行う保守では、新規契約率向上に努めた結果、堅調に推移しました。
海外受注は、東アジアでは、中国および台湾で新設事業が減少しましたが、香港では新設事業が増加しました。南アジアでは、シンガポールおよびインドで新設事業が増加し、アフターマーケット事業は全地域で増加しました。米州・欧州では、新設事業は米国およびカナダで減少しましたが、アフターマーケット事業は米国および英国で増加しました。
(金額単位:百万円未満切捨て)
当連結会計年度の業績は、前期比で増収増益となりました。経常利益は、金利上昇による受取利息の増加、貸倒引当金繰入額の減少、税金等調整前当期純利益は、連結子会社の固定資産売却益などで、それぞれ増加しました。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、増加しました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(金額単位:百万円未満切捨て)
前期比で増収増益となりました。売上高は、販売価格の見直しにより新設事業およびアフターマーケット事業のモダニゼーション工事が大きく増加しました。営業利益は、継続的な円安による輸入コスト高などがあったものの、販売価格改定による採算改善の効果が大きく、増益となりました。
(東アジア)
前期比で減収減益となりました。売上高は、香港でのモダニゼーション工事が大口案件の進捗により増加したものの、新設事業が特に中国での不動産不況下での受注減による手持ち案件の減少に加えて、市場価格の下落の影響で減少したことなどにより、減収となりました。営業利益は、新設事業では中国での売上高の減少、香港、台湾、韓国での工事損失引当金の増加の影響により、減益となりました。
(南アジア)
前期比で増収増益となりました。売上高は、新設事業ではシンガポールで減少したものの、インドでの受注の増加により売上が増加し、アフターマーケット事業ではシンガポール、マレーシアでの修理工事の増加により、増収となりました。営業利益は、新設事業では主にインドでコストダウンによる黒字化、アフターマーケット事業ではシンガポール、マレーシアでの売上増加が寄与し、増益となりました。
(米州・欧州)
前期比で増収減益となりました。売上高は、新設事業が米国、英国で増加し、アフターマーケット事業は、主に米国でのモダニゼーション工事が増加し、さらにメキシコ子会社の連結加入により増加しました。営業利益は、アフターマーケット事業では米国での保守台数の増加および保守単価の増額による売上増加などの影響で増加しましたが、新設事業はカナダでの材料費および人件費の増加による採算低下の影響で減少したことにより、減益となりました。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 金額は平均販売価格によっています。
2 調整額△14,192百万円は、セグメント間の内部振替額です。
当社グループは、主として受注生産を行っていますが、一部見込み生産を行っています。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 受注高の調整額△15,383百万円および受注残高の調整額△5,213百万円は、それぞれセグメント間の内部振替額です。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 相手先別の販売実績が、総販売実績に対し10%以上のものはありません。
2 調整額△14,826百万円は、セグメント間の内部振替額です。
当連結会計年度末における総資産額は、2,564億2百万円となり、前連結会計年度末に比べ263億4百万円増加しました。これは主に、現金及び預金、受取手形、売掛金及び契約資産が増加したことによります。
負債合計は、前連結会計年度末に比べ52億45百万円増加し、912億25百万円となりました。これは主に、未払法人税等、工事損失引当金が増加したことによります。
純資産額は、1,651億77百万円となり、前連結会計年度末に比べ210億59百万円増加しました。これは、配当金の支払い58億52百万円に対し、親会社株主に帰属する当期純利益の増加178億30百万円、為替換算調整勘定の増加53億75百万円、その他有価証券評価差額金の増加23億79百万円によります。また、当連結会計年度末の自己資本比率は57.9%(前連結会計年度末比2.3ポイント増)となり、1株当たり純資産額は1,901.28円(同260.99円増)となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、389億87百万円となり、前連結会計年度末に比べ75億23百万円増加しました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
固定資産除売却損益の純額53億40百万円、売上債権の増加53億23百万円に対し、税金等調整前当期純利益239億16百万円、減価償却費44億21百万円などで、174億98百万円の収入(前期23億46百万円の支出)となりました。その主な要因は、固定資産除売却損益で前期比53億66百万円の減少に対し、棚卸資産が同53億48百万円減少、税金等調整前当期純利益が同114億81万円、工事損失引当金が同35億66百万円、増加したことによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
定期預金の純増額39億61百万円、有形固定資産の取得29億70百万円に対し、無形固定資産の売却による収入54億5百万円、利息及び配当金の受取額21億61百万円などにより、4億33百万円の収入(前期比15億15百万円の収入減)となりました。その主な要因は、投資有価証券の取得による支出が前期比16億76百万円、連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が同12億28百万円の減少、無形固定資産の売却による収入が同54億5百万円の増加に対し、定期預金の預入れ・払戻しの純支出額が同123億38万円増加したことによります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
短期借入金の純減額44億57百万円、配当金の支払などにより、121億4百万円の支出(前期比14億33百万円の支出増)となりました。その主な要因は、自己株式の取得による支出が前期比85億58百万円の減少に対し、短期借入金の純増減額が同102億33百万円減少したことによります。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されています。連結財務諸表の作成は、決算日における資産、負債の計上金額および報告期間における収益・費用の計上金額に影響を与える見積り、判断、仮定を必要とします。当社グループは、過去の実績や状況に応じて合理的と判断される範囲での様々な仮定に基づき、継続的に見積りの検証を行っています。これらの見積りには不確実性があるため、実際の結果と異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表に与える影響が大きいと考えられる見積り項目は以下のとおりです。
収益及び費用の計上
当社グループでは、一定の要件を満たす特定の工事請負契約については、進捗度に応じて一定の期間にわたり収益を認識しています。進捗度は、契約内容や過去の同一機種の原価実績など、入手可能な情報から工事原価総額等を見積り、発生した工事原価が工事原価総額等に占める割合に基づいて算定します。算定に用いる仮定は、契約の変更、施工条件および資材・外注価格の動向など様々な要因により変動するため、継続的に検証し、見積りの改訂を行います。これらの改訂により工事の進捗率が変動することで、当社グループの業績に影響する可能性があります。
工事損失引当金
当社グループでは、連結会計年度末における未引渡工事のうち、損失の発生が見込まれ、かつ、その金額を合理的に見積ることが可能な工事について、損失見込額を計上しています。損失見込額は、契約内容や過去の同一機種の原価実績など、入手可能な情報から見積った工事原価総額等により算定します。算定に用いる仮定は、契約の変更、施工条件および資材・外注価格の動向など様々な要因により変動するため、継続的に検証し、見積りの改訂を行います。これらの改訂により、工事損失引当金が増額または減額すること、また工事の進捗率が変動することで、当社グループの業績に影響する可能性があります。
貸倒引当金
当社グループでは、売掛金等の貸倒損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しています。
将来、顧客の財務状態が悪化し支払能力が低下した場合は、追加の引当を行うことで、当社グループ業績に影響する可能性があります。
固定資産の減損
当社グループでは、各社ごとに資産のグルーピングを行い、収益性が著しく低下したグループについては、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、減損損失を計上しています。固定資産の回収可能価額は、経営計画や割引率などを前提条件として算定する将来キャッシュ・フローおよび時価などに基づく正味売却価額を用いて見積ります。当初想定していた収益が見込めない場合や時価の変動などにより前提条件が変化した場合は、回収可能価額の見積りを変更します。将来、見積りの変更により減損処理が必要となった場合は、減損損失の計上を行うことで、当社グループの業績に影響する可能性があります。
繰延税金資産
当社グループでは、繰延税金資産について定期的に回収可能性を検討し、その結果回収の実現が困難と考えられる資産については、評価性引当金を計上しております。回収可能性の判断については、経営計画や将来減算(加算)一時差異の解消スケジュールなどを検討して課税所得見込額を予測し、実現可能性を評価しています。課税所得の予測は、市場動向や当社グループの業績などの影響を受けるため、それらの要因の変化により、繰延税金資産の回収が困難になったと判断した場合は、評価性引当金の計上を行うことで、当社グループの業績に影響する可能性があります。
退職給付債務および退職給付費用
当社グループでは、従業員の退職給付に備えるため、連結会計年度末における見込額に基づき、退職給付債務から年金資産を控除した金額を計上しています。退職給付債務および退職給付費用は、割引率や年金資産の長期期待運用収益率などの前提条件に基づき算定します。実際の運用結果が想定と異なる場合や割引率などの前提条件が変更された場合、その計算上の差異は将来に渡って規則的に認識され、当社グループの業績に影響する可能性があります。
投資有価証券
当社グループでは、投資有価証券を保有しております。市場価格のない株式等以外のものは決算日の市場価格等による時価法を、市場価格のない株式等は移動平均法による原価法により評価しています。市場価格のない株式等以外のものの連結会計年度末の時価が、取得原価に比べ50%以上下落した場合は原則減損処理を行い、30%から50%未満下落した場合は、回収可能性等を考慮して必要な額を減損しています。また、市場価格のない株式等については、実質価額が取得原価に比べ50%以上下落した場合は、回収可能性等を考慮して減損処理を行います。将来、市況悪化や投資先の業績悪化などの状況変化により減損処理が必要と判断した場合には、減損損失の計上を行うことで、当社グループの業績に影響する可能性があります。
売上高
当連結会計年度の売上高は、前期比218億12百万円増加して、2,294億1百万円となりました。これは主に、日本が前期比105億64百万円、南アジアが同68億72百万円、米州・欧州が同94億14百万円、増加したことによります。この結果、海外売上高の連結売上高に占める割合は、前期63.9%から1.2ポイント減少して、62.7%となりました。
売上原価、販売費及び一般管理費
売上原価は、前期比155億63百万円増加して、1,809億94百万円となりました。売上原価率は同0.8ポイント減少し、78.9%となりました。
販売費及び一般管理費は、前期比32億95百万円増加して、338億35百万円となり、売上高に対する割合(売上高販管費率)は前期と同じく、14.7%となりました。
以上の結果、営業利益は、145億71百万円(前期比25.4%増)となりました。
営業外損益
営業外損益は、前期の17億12百万円の利益(純額)から、24億33百万円増加して、41億45百万円の利益(純額)となりました。これは主として、受取利息の増加および貸倒引当金繰入額の減少によるものです。
この結果、経常利益は、187億17百万円(前期比40.4%増)となりました。
特別損益
特別損益は、前期の8億95百万円の損失(純額)から51億99百万円の利益(純額)となり、前期に比べ、利益が55億34百万円増加、損失が5億59百万円減少しました。これは主に、減損損失が減少し、固定資産売却益が増加したことによります。
以上の要因を反映して、税金等調整前当期純利益は、239億16百万円(前期比92.3%増)となりました。
法人税等(法人税等調整額を含む。)
法人税等は、前期に比べ25億32百万円増加、非支配株主に帰属する当期純利益は4億48百万円減少しました。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、178億30百万円(前期比111.4%増)となりました。これにより、1株当たり当期純利益は、前期の106.67円から121.88円増加して、228.55円となりました。
当社グループは、運転資金および設備投資資金については、内部資金または借入により調達しています。このうち、運転資金の借入による調達は、期限が一年以内の短期借入金で、各々の連結会社が運転資金として使用する現地通貨で調達することが一般的であります。2024年3月31日現在、短期借入金残高は57億33百万円であります。これに対して、生産設備などの長期資金の借入による調達は、原則として、長期借入金で行っています。2024年3月31日現在、長期借入金残高は1億28百万円であります。
当社グループは、営業活動から得られるキャッシュ・フローおよび借入、必要に応じて資本市場等よりの調達により、当社グループの成長を維持するために将来必要な運転資金および生産設備などの長期資金を調達することが可能と考えています。
当連結会計年度の財政状態の分析につきましては、「第2事業の状況、4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析、(1)経営成績等の状況の概要、②財政状態の状況」に記載のとおりです。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2事業の状況、4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析、(1)経営成績等の状況の概要、③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
当社グループは、重要な経営指標として、営業利益率9.4%、ROE10.7%の達成を中長期的な目標として設定しております。
当連結会計年度は、売上高2,230億円、営業利益134億円、営業利益率6.0%を目標としてスタートしましたが、当初の想定より、日本のモダニゼーション工事、南アジアのインドでの新設事業の増加、米国での新設事業およびモダニゼーション工事が増加したことで売上高が増加し、日本およびインドでの採算改善から、2024年2月8日付で、目標を売上高2,300億円、営業利益145億円、営業利益率6.3%に修正いたしました。
当連結会計年度における修正目標に対する達成状況は、売上高は修正目標比0.3%減の2,294億1百万円、営業利益は同71百万円増の145億71百万円、営業利益率は同0.1ポイント上昇して6.4%となりました。ROEにつきましては、当連結会計年度末では12.9%となっています。
当社グループの経営目標および経営戦略につきましては、「第2 事業の状況、1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の「(2)目標とする経営指標」および「(3)中長期的な会社の経営戦略および対処すべき課題」に記載のとおりです。
該当事項はありません。
当連結会計年度の研究開発活動としては、当社グループ間でエレベータ主要機器の共通化を推進し、各地域に展開しています。商品開発では、当社製の大型エレベータ向け「制御盤交換パッケージ」を2023年7月に販売開始しました。これにより、大型エレベータの機種においても、短工期・低コストかつ、環境負荷の少ない工法でリニューアルが可能となりました。本商品の販売開始により、すべての当社製エレベータに「制御盤交換パッケージ」が対応できるようになりました。また、滋賀県彦根市の本社と兵庫県豊岡市の拠点にて、エレベータと連携したロボットによる自動配送システムを実用化しました。ロボットがエレベータを使用し、自律的に階層の異なるフロアへ移動・走行して、オフィスの書類集配や工場の部品運搬を行います。定型業務をロボットが代行することによって省人化が図れるとともに、当社の事例を通じて、導入を検討されているビルオーナー様がその実用性を確認できるようになりました。
当連結会計年度における研究開発費の総額は、