第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営の基本方針

 当社グループは「今の先鋭が10年後の当たり前を造る A DECADE AHEAD」をミッションに掲げ、我が国が直面する少子高齢化という社会課題への対応を大きな事業機会と捉えた「ライフテックカンパニー」として、AIクラウド&コンサルティングセグメントにおいて不動産/金融/IT/ヘルスケアを主な対象領域に、実務有用性の高いAI/ITソリューションを創出・提供しております。具体的には、労働人口減少に伴う働き手不足に対して業務効率化クラウドサービスや省人化ソリューションを展開するとともに、高齢者人口の増加に対して医療機関の経営/業務支援クラウドサービスや遠隔医療/予防医療ソリューションの創出に取り組んでおります。

 業務効率化クラウドサービスやソリューションを提供するうえで、実業(リアルビジネス)である不動産/金融/IT/ヘルスケア事業を手掛けることでお客様・業界のニーズや改善余地を自ら把握し、実務有用性の高いプロダクトづくりに取り組んでおり、「リアルビジネスを内包したテックプロバイダー」という独自の顧客価値の追求を経営の基本方針としております。

 

(2)経営環境・経営戦略

<AIクラウド&コンサルティングセグメント>

 AIクラウド&コンサルティングセグメントにおいてアプローチしうるマーケットとして、2025年度の金融DX市場3兆9,131億円(株式会社矢野経済研究所2022年7月29日発表『2022 金融機関DX向けソリューション市場の徹底研究』)、同年度のIT/ヘルスケアDX市場約3兆円(デスクトップリサーチを基に当社試算)、同年度の不動産DX市場1兆2,461億円(株式会社矢野経済研究所2021年7月28日発表『2021年版 不動産テック市場の実態と展望』)、合計約8兆円の大きな市場をビジネスポテンシャルと捉えております。

 業務効率化クラウドサービスやソリューションを提供するうえで、当社グループ自身が実業(リアルビジネス)を内包することで実務有用性の磨き込みを行うとともに、クラウドサービスの提供を通じて顧客から獲得することのできる良質なビッグデータを活用し、事業の強みと堅牢性を高めております。具体的には、オープン化されていない各種データを当社固有の学習データとして活用し、不動産価格推定をはじめとする予測/推定AIの精度を高めることで、他社が模倣困難な顧客価値を持続的に向上させています。この強みに支えられ当社サービスの解約率は低水準に抑えられており、LTV(ライフタイムバリュー)の最大化を図っております。また、投資対効果を意識したセールス・マーケティング施策展開による低水準のCAC(カスタマーアクイジションコスト)を両立させることで、同事業の高い収益性を実現しております。

 翌連結会計年度のAIクラウド&コンサルティングセグメントを取り巻く市場環境については、業界横断でAI/ITを活用したビジネスモデルの革新が求められる中、当社事業にとって良好な状況が続くと想定しております。その中で当社グループは、顧客単価および収益性の高いヘルスケア/IT領域へのリソース優先投下により、AIクラウド&コンサルティングセグメント収益における同領域の構成比を高めることで収益ミックスを改善し、増益を伴った高成長SaaSプレイヤーとして前年度比54%増の高いトップライン成長及び41%増の営業利益成長の両立を目指してまいります。加えて、高収益の同セグメントの飛躍的成長により、全体収益のモデルミックスも良化させ、全社の収益性向上を進めてまいります。

 また、リアルビジネスを内包することで実務有用性の高いDXソリューションを創出・提供するユニークなビジネスモデルが優秀な人材を惹きつけ、ケイパビリティが増強されることで事業の成長・拡大が加速するエコシステムを実現しており、このエコシステムを横展開することで隣接領域においても優秀な人材を確保し、中長期的なサステナブルグロースを目指してまいります。

 

<ライフ&プロパティソリューションセグメント>

 ライフ&プロパティソリューションセグメントにおいては、アセットマネジメント事業を通じた当社グループからオフバランスされた不動産私募ファンドの預かり資産早期拡大に注力し、財務リスクを抑えながら安定収益の拡大を進めております。また、マンション/オフィス/ショッピングセンター/ホテル/シニア関連施設等、アセット種別の多様化や、暮らしを豊かにするライフスペースの価値創出に取り組んでおります。同セグメントに係るマーケットとして、不動産私募ファンド市場は、2023年12月末時点で35.0兆円と2022年12月末時点から5.3兆円増加(18%増)となりました(株式会社三井住友トラスト基礎研究所「不動産私募ファンドに関する実態調査 2024年1月 ~調査結果~」)。一方で、不動産仲介事業において取扱い件数の多い首都圏の中古マンション市場は、2023年4月~2024年3月における成約件数は36,595件であり、中古物件取引価格の上昇を伴いながら前年度比3.4%増となりました(公益財団法人東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向(2023年度)」)。スマートプロパティ事業においては、レジデンスのみならずオフィスビルや商業施設、介護施設といった多種多様なアセットに対する投資ニーズの高まりが引き続きみられます。

 翌連結会計年度のライフ&プロパティソリューションセグメントを取り巻く市場環境については、国内外の金利動向や不動産市場の先行きに不透明感はあるものの、AIクラウド&コンサルティングセグメントと共同での新規モジュール創出及び積極的な試験導入によりアセットのバリューアップや生産性の持続的向上に取り組むことで、売上水準維持および10%増の営業利益成長を予想しております。また、アセットマネジメント事業におけるAUM70%増を通じてストック収益の拡大を加速させるとともに、多種多様な運用アセットに対するDX化/ESG対応を進めることで、人々の暮らしを豊かにする新しい「ライフ×テクノロジー」の在り方実現を目指してまいります。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、「リアルビジネスを内包したテックプロバイダー」であるユニークなライフテックカンパニーとして持続的成長を目指しており、その中でもAIクラウド&コンサルティングセグメントにおけるストック収入の成長性及び継続安定性を重視しております。そのため、当社グループは、連結の売上高及び営業利益に加えて、ARRを重要な経営指標としてモニタリングしております。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

上記(2)の経営戦略等を実行するために、以下のような課題に対処してまいります。

①「リアルビジネスを内包したテックプロバイダー」の付加価値向上と対象領域拡大

 当社グループがより多くの顧客企業やパートナー企業から提供価値を認められ、持続的に成長していくためには、実業(リアルビジネス)である不動産/金融/IT/ヘルスケア事業とテクノロジーを提供するAIクラウド&コンサルティング事業のシナジー追求による継続的な顧客提供価値の向上及びその領域の拡大が重要であると認識しております。当社グループは、現場からマネジメントレベルまでアウトプット志向のコラボレーションを推進する仕組みを構築し、経営トップ自らがメッセージ発信等の啓蒙を行い、シナジー追求を徹底するとともに、新規事業企画をハンズオンでリードしてまいります。

 

②優秀な人材の確保及び組織体制の強化

 当社グループは、持続的成長の実現に向けて、当社グループのミッションに共感し、高い専門性や技術力を有する優秀な人材の確保及び育成が重要であると認識しております。こうした優秀な人材の確保に経営トップ自らがコミットし積極的な採用活動を継続していくとともに、執務環境の整備やモチベーションを向上させる人事諸制度の導入を行うことで、組織体制を強化してまいります。

 

③情報管理体制の強化

 当社グループは、提供するサービスに関連して多くの顧客企業の機密情報や個人情報等を保有しており、その重要性について十分に認識しております。これらの情報資産を保護するため、社内規程の厳格な運用、定期的な社内教育・監査の実施のほか、情報セキュリティシステムの強化・整備に努めることで、引き続き情報管理体制の強化を図ってまいります。

 

 

④生成AI等、先進的技術の探索と事業活用

 当社グループは、「リアルビジネスを内包したテックプロバイダー」として顧客提供価値を維持/向上し続け、以て持続的成長を実現するためには、先進的なテクノロジーの動向を常に把握し、適切に事業活用することが重要であると認識しております。足許で台頭する生成AI等の先進的な技術及びそれらを取り巻く国際的な制度/方針について、経営トップはじめ経営陣が自ら様々な経路を用いて情報収集するとともに、先進的技術の事業活用におけるオポチュニティとリスクを定型/不定型の経営議論の中で機動的に検討することで、時機を捉えた適切な事業活用を図ってまいります。とくに、クラウドサービスの提供及びリアルビジネスを通じて収集/蓄積できる当社グループ固有のビッグデータを生成AIと組み合わせることで、専門的な知識を有し、かつ他社が模倣困難なAIをこれまで以上に短期間で開発可能になるため、当社グループにとって大きなビジネス機会になるという認識で、具体的なサービスの検討を行ってまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)ガバナンス

① サステナビリティへの取組姿勢

当社グループは、環境、社会、ガバナンスをはじめとするサステナビリティ課題への取組みは企業価値の更なる向上につながる重要な経営課題と捉えており、以下の4つを基本的な柱として各々課題を設定し取り組んでおります。

a.実務有用性の高いテクノロジーの創出・社会実装を通じた少子高齢化等の社会的課題の解決

b.環境・社会貢献をテーマとした「住・生活」環境の提案

c.多様な人材の活用、従業員が会社と共に成長する機会の提供

d.高度なコーポレート・ガバナンス及びコンプライアンス意識の高い組織

 

② サステナビリティの重要課題の審議・報告体制

当社グループのサステナビリティに関する重要な課題(課題の見直し、進捗管理を含む)については、執行役員以上が参加する経営会議にて審議され、サステナビリティについて監督の役割を担っている取締役会へ付議・報告されます。取締役会での審議結果は、経営戦略やリスク管理・評価に反映させる体制としております。

 

③ サステナビリティに関するリスクと機会の監視体制

サステナビリティに関するリスクと機会については、取締役会が監視の役割を担っております(当社グループが想定するリスクと機会は「(3)リスク管理 ② サステナビリティに関するリスク管理のプロセス」に記載しております)。「リスク」については、コントロール策の機能状況(モニタリング)を四半期ごとに開催されるリスク管理委員会(サステナビリティへの取組責任者である取締役が委員長)にて検証・協議し、その結果が経営に還元されるとともに、必要な場合、追加のコントロール策が講じられます。取締役会は、これらの結果について重要なものについては都度、それ以外は少なくとも年1回定例報告を受けることとなっており、重大なリスクの顕在化が確認された場合は速やかに対策を講じることとしております。

また、「機会」(ビジネスチャンス)創出については、実業(リアルビジネス)である不動産や金融、IT/ヘルスケア事業の推進を通じたオペレーション知見と一次データの蓄積により、テクノロジーによる課題解決ソリューションの余地を自ら把握するとともに、ソリューションの磨き込みをグループ内で完結できる体制を構築しております。こうした体制を基に、少子高齢化等の社会的課題に対する実践的な解決機会を常に社内モニタリングしており、モニタリング結果の報告とそれを踏まえた事業機会の企画案の決議は経営会議及び取締役会等で行われます。このようにサステナビリティに関するリスクと機会に関する情報については、全経営陣に共有され、適切に対応しております。

 

(2)戦略

当社グループでは、サステナビリティに関する足下のリスクの中でも特に人材=人的資本の毀損が経営に与える影響が大きいと考え、「人材確保の困難・育成不芳」と「職場環境悪化」(「(3)リスク管理 ② サステナビリティに関するリスク管理のプロセス」参照)を特に留意すべきリスクとして認識し、その回避・低減を経営戦略上の重要な課題の一つとして、以下のとおり取組みを強化してまいります。

① 人材の育成に関する方針

当社グループは、人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出すことが当社グループの持続的な成長、企業価値の更なる向上に不可欠と考えております。

そのためには、多様な人材が十二分に活躍できる企業文化・体制の構築、中でも育成制度の充実が重要と認識しております。

現在、既に、各セクションによる職種別の専門研修参加やセミナー参加の促進及び資格取得支援制度によるスキルアップ促進などの育成制度を設けておりますが、こうした趣旨を踏まえ、先進的な研修制度、プロジェクト参加による実務スキル取得制度など更なる充実を図ってまいります。研修制度等の詳細と目標は「(4)指標及び目標 ① 人材育成に関する目標」に記載しております。

 

② 社内環境整備に関する方針

多様な人材が十二分に活躍するためには、長く活躍できる魅力的な報酬やキャリアパスの構築などの人事制度、福利厚生及び働き方改革など社内環境の整備も重要と考えております。

これまで、健康診断受診項目の拡充や福利厚生を用いた従業員の健康促進を図る制度や確定拠出年金、従業員持株会などの財産形成促進制度などを整備してまいりましたが、処遇の見直しを中心に更なる充実を志向してまいります。具体的な目標は「(4)指標及び目標 ② 社内環境整備に関する目標」に記載しております。

 

(3)リスク管理

当社グループは、環境問題、社会及びガバナンスに関わる様々な問題は、企業の持続的成長を脅かすリスクとなる一方、こうした課題の解決に積極的に取り組むことは、新しいビジネスチャンスにつながると認識しております。

① サステナビリティに関するリスクと機会の識別・評価プロセス

当社グループでは、サステナビリティに関するリスクと機会について、以下の観点から識別し、評価を行っております。

a.サステナビリティのリスクカテゴリーとして「環境」、「社会」及び「ガバナンス」を設定

b.それぞれのカテゴリーに属するリスクを抽出し、中でも経営への影響度が高いものを重要なリスクとして認識

c.経営への影響度は、短期的なものに止まらず中長期の視点で判断

d.リスクの回避・低減への取り組みをビジネスチャンスとしても評価

 

② サステナビリティに関するリスク管理のプロセス

当社グループにおける統合的なリスク管理の手法は、リスクカテゴリーごと(事業環境の変化に伴うリスク、災害等に伴うリスク、法令及び許認可に関するリスク等12のカテゴリーに分類)にリスクを分類し、影響度と発生頻度を把握することでリスク度を評価し、リスク度に応じて適切な対策を事前に講じることで日常的にコントロールしております。

コントロール状況については、モニタリングにより少なくとも四半期ごとにリスク管理委員会にて検証をしており、検証結果は経営会議に報告される仕組みとしております。サステナビリティに関するリスクについても同様に管理することで、総合的なリスク管理に組み入れております。

 

サステナビリティに係るリスクと機会

 

リスク

機会(ビジネスチャンス)

当社への影響

リスク低減策

考えられる機会

対応状況

環境

(地球温暖化)

・環境悪化による既存ビジネスの需要の減少

・GHG排出規制強化による既存ビジネスの停滞

・GHGの定期計測と排出削減

・環境対応型物件開発(ZEB、ZEH等)訴求

テクノロジー活用による環境対応型物件開発(創エネ住宅、パッシブハウス等)

一部開発物件に実装

社会

(少子高齢化)

・既存ビジネスの需要の減少

・人材確保の困難

 

・トップによる新規事業企画推進による事業多角化

・社内業務におけるAI/ITを活用した生産性向上/業務効率化の積極実践

・働き手不足に対する業務効率化クラウドサービスや省人化ソリューションの展開

・高齢者人口増加に対する医療機関の経営/業務支援クラウドサービスや遠隔医療/予防医療ソリューションの提供

・シニア施設でのAIテクノロジー活用による入居者のQOL向上

医療/介護/治療の実業領域における「リアル×テクノロジー」の事業開発を進め、AI/ITプロダクツを順次提供開始

(人材育成不芳)

・優秀人材の採用不調による成長の停滞

・人材流出による事業の停滞

・Purpose研修

・新任者研修制度

・専門領域研修

・資格支援制度

・市場を鑑みた処遇の適宜見直し

(更なるリスク低減のための追加施策)

先進的な育成制度の構築(「(4)指標及び目標 ① 人材育成に関する目標」参照)

 

 

 

 

リスク

機会(ビジネスチャンス)

当社グループへの影響

リスク低減策

考えられる機会

対応状況

社会

(職場環境の悪化)

・従業員の健康被害

・生産性低下による事業の停滞

・従業員満足度低下による退職の増加

・フレックスタイム制度

・外部福利厚生、医療相談サービス活用

・健康促進制度の導入

・企業年金制度

・持株会制度

(更なるリスク低減のための追加施策)

職場環境の常なる向上(「(4)指標及び目標 ② 社内環境整備に関する目標」参照)

ガバナンス

(法令、社内規則違反)

・社会的信用の失墜、企業価値の毀損

・モラル低下による事業の停滞

・行政処分

・訴訟

・専担部署の設置、専門人材の配置

・トラブル防止、解決等のための定期会合実施

・コンプライアンスに係る定期研修の実施

・内部通報制度

(リスク低減のための追加施策)

各部署の自律的な検証と研修制度の導入

(コーポレート・ガバナンスの整備遅延)

・コーポレートガバナンスコード(CGC)対応遅延による社会的評価の低下、投資家離れ

・ガバナンスが欠如した社内体制に起因する不正リスクの顕在化

・取締役会でのモニタリング

・コーポレートガバナンス企画・推進専担部署の設置

 

(リスク低減のための継続施策)

CGCへの着実な対応

「エクスプレイン」項目への段階的対応、「コンプライ」項目への更なる深度ある対応

 

(4)指標及び目標

当社グループでは、サステナビリティに関するリスクの中でも特に人材(人的資本)の毀損が経営に与える影響が大きいと考え、「人材確保の困難・育成不芳」と「職場環境悪化」について、その実績を以下のとおり長期的に評価・管理及び監視する対象としております。

① 人材育成に関する目標

指標

目標達成時期

実績

資格取得支援制度の拡充

2023年4月

2023年4月より、一部の資格において支援制度を拡充。今後も職種別支援制度拡充を実施

管理職向け研修の拡充

(目標設定・評価の連動性強化等)

2023年10月

2023年10月より目標設定、管理方法を一新。管理職に向けた目標設定研修及びマニュアル展開を実施

職種ごとのキャリアパスのモデルケース提示

2024年4月

エンジニア職のスキル表を作成し、スキルに応じた処遇や役職の設定を検討

Purpose研修

2024年10月

資格取得支援制度の拡充

2025年4月

 

② 社内環境整備に関する目標

以下を目標と設定し、当面の指標は「目標達成時期」とし、適宜見直しを実施してまいります。

指標

目標達成時期

実績

企業価値増大と従業員処遇の連動(ストックオプション、譲渡制限付株式活用の拡大)によるエンゲージメント促進

2024年4月

2023年11月に第9回ストックオプションを役職員へ新規発行

実力に応じた昇格機会の拡充

2025年4月

健康促進支援制度・施策の拡充

2025年10月

 

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)AI及びIT業界の動向について

AI及びIT業界においては、ITの高度なテクノロジー及びAI技術を応用することで、従来では解決困難であった課題に対するソリューションを提供する企業が増えてきております。当社グループでは、利用者にとって有益なサービスを提供するべく顧客へのヒアリングやサポートを行うことにより新規サービスの開発、既存サービスの利用者拡大等に努めておりますが、これら競合他社との競争が激化した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)技術革新やAI倫理への対応について

AIクラウド&コンサルティング事業においては、技術革新のスピードが速く、既存の技術及び知識の陳腐化が生じやすくなっております。加えて、AIの分野においては、大量の個人情報や機密情報を収集・分析・利用する過程でのプライバシーの侵害、個人情報の流出や悪用、偏見や差別を反映・増幅する等倫理上の問題発生の可能性が高まっております。当社グループでは最先端技術を有する企業とのアライアンス等により絶えず技術及び知識のアップデートを行うよう努めるとともに、サービスの開発提供においてAIを活用する場合、社内で定めたAI倫理規程に則った適正な運用に努めておりますが、技術動向の大幅な変更や代替技術の登場による当社技術及び知識の陳腐化、倫理上の検証の不足で当社サービスの競争力が失われることにより、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)人材の確保について

AIクラウド&コンサルティング事業においては、高度なテクノロジーやAI技術に関する知識を有する人材の確保が最優先事項であると考えております。

当社グループでは、この認識のもと、人材の採用・育成を継続して行っておりますが、人材が十分に確保できない場合や、高い専門性を有する当社グループの役職員が社外に流失した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)システム障害について

クラウドソリューションにおいては、インターネット上でサービスを安定的に提供するために、サーバリソース等の冗長構成や脆弱性への対応等の対策を行っております。また、当社グループでは、サービスが継続的に稼働しているか常時監視しており、障害の発生時には早急に復旧するための体制を整えております。しかし、インフラの障害やシステムエラー、その他インターネットのシステム障害等によりサービスの安定的な提供が行えなくなった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)大手不動産ポータルサイトとの競合について

大手不動産ポータルサイトのビジネスモデルは、不動産を購入することを検討しているユーザー向けに、不動産の広告情報を掲載する広告ビジネスであり、不動産取引のプロセス全般に対してサービスを提供しておりません。当社グループは、当社グループのユニークな立ち位置に安住することなく、様々な新規サービスを提供していく予定ですが、今後、大手不動産ポータルサイトが、当社グループのクラウドソリューションのように、不動産取引のプロセス全般に対してサービスの提供を開始した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)委託先への依存について

当社グループは、少数精鋭による効率的な事業運営を行うため、AIクラウド&コンサルティング事業の開発及び保守業務の一部について外部への委託を行っております。委託先については細心の注意を払って選定し、業務を委託した業者とは良好な関係を保つよう努めておりますが、委託先を十分確保できなかったり、委託先の倒産、委託先からの個人情報の漏洩等不測の事態が起きた場合には、円滑な事業運営が困難となり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(7)不動産に係る税制の変更や市場金利の上昇について

当社グループがサービスを提供している不動産市場においては、税制面では住宅ローン減税や住宅取得における贈与税の非課税枠等優遇措置が実施されていることに加え、金融緩和政策により住宅ローン金利が低位に抑えられておりますが、それら税制の変更、金融政策の変更による市場金利の上昇等により不動産市況が落ち込んだ場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)業法について

当社グループが行っている事業においては、宅地建物取引業法や金融商品取引法等の不動産取引や金融商品取引に関する各種法令を遵守する義務を負っております。

当社グループは、これら法令を遵守して業務を行っており、現在まで行政処分や指導を受けたことはなく、また事業継続に支障を来たす要因は発生しておりません。しかし、今後偶発的な事象等により、これら業法違反を犯したとして許認可の取消・更新拒絶や営業停止の処分を受け、社会的信用の低下等により当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

また、今後、関連する法令が新たに制定又は既存の法令が改廃された場合には、当社グループの事業の一部が制約を受け、対応のために追加的な費用がかかるなど、当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。なお、現在当社グループが取得している許認可等は以下のとおりであります。

 

 

許認可等の名称

免許証番号

有効期限

主な許認可取消事由

宅地建物取引業者免許

国土交通大臣(2)第9297号

2028年1月11日

・不正な手段により当該登録を受けた場合や役員等の欠格条項違反等に該当した場合は免許の取消(宅地建物取引業法第66条)。

・不正又は著しく不当な行為があった場合は業務停止(宅地建物取引業法第65条)

賃貸住宅管理業者登録

国土交通大臣(01)第004007号

2027年2月28日

・賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律上の監督処分事由に該当した場合の業務停止処分及び業務改善命令等

金融商品取引業登録

関東財務局長(金商)第3179号

・登録拒否要件に該当するとき(金融犯罪の罰金刑執行後5年を経過しない、役員等が制限能力者や破産者等になった、金商業を適格に遂行するに足りる人的構成を有しない等)(金商法第52条第1項第1号)

・不正手段で登録を受けたとき(金商法第52条第1項第6号)

・金融商品取引業に関し、不正又は著しく不当な行為をした場合で、情状が特に重いとき(金商法第52条第1項第10号)

銀行代理業許可

関東財務局長(銀代)第418号

・銀行法上の許可取消事由への該当

電気通信事業届出

A-06-21725

・電気通信事業法上の処分事由に該当した場合の業務改善命令等

 

 

(9)不動産の表示に関する公正競争規約等について

当社グループが提供しているサービスにおいては、「不動産の表示に関する公正競争規約」及び「不当景品類及び不当表示防止法」により、広告宣伝活動の制約を受けております。当社グループは、効率的な集客のためインターネット上の広告等を積極的に行っており、広告等については事業部門及び法務部門で法令適合性を確認しておりますが、これらの広告が上記制約に違反した場合には、許認可の取消・更新拒絶や営業停止の処分を受け、社会的信用の低下等により当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)スマートプロパティにおける土地の仕入れについて

当社グループが提供しているスマートプロパティにおいては、資産価値、利用価値の高い不動産物件の仕入れが不可欠であります。当社グループは、このような仕入れを持続的に行うために、資金調達先の十分な確保、当社グループ会社組成のファンドを活用した不動産の証券化、不動産業界におけるネットワークの確保等に努めておりますが、こうした不動産物件の仕入れが十分に行えない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)スマートプロパティにおける在庫について

当社グループが提供しているスマートプロパティにおいては、不動産市場が悪化した場合には、在庫の不動産を販売できずに滞留在庫になり原価割れで販売する、あるいは評価減を計上しなければならないというリスクがあります。当社グループではこのような事態に備え、複数の出口オプションを検討して物件を選定する等リスクの低減を図っておりますが、それでも吸収できないダウンサイドが発生した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)スマートプロパティにおける契約不適合責任について

当社グループが提供しているスマートプロパティにおいては、当社グループが購入した不動産に権利、構造、環境等に関する欠陥・契約不適合があった場合、原則として売主に契約不適合責任を追及できますが、必ずしも金銭的な補償を完全に得られるとは限りません。その結果、取得した不動産の修復などの追加費用等が発生する場合があります。

また、当社グループにおいては建物建設時に厳格な施工管理を実施しておりますが、当社グループが販売した不動産に契約不適合があった場合には、買主より契約解除、損害賠償請求及び追完請求等を受け、修復などの追加費用が発生する場合があり、これらの追加費用等が当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)不動産開発について

当社グループが不動産開発等を行う場合、地価や開発コストの高騰、工事の不備等の外的要因により計画の遅延や計画変更を余儀なくされる可能性があります。この場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(14)個人情報等の情報管理について

当社グループの事業遂行過程で、顧客の個人情報や秘密情報を取得する場合があります。情報の取扱いについては、紙ベースの情報は施錠できるキャビネットでの保管を、また、データ情報についてはパスワードを付したうえでアクセス制限のかかったフォルダへ保管することを義務付けており、情報漏えいには細心の注意を払っておりますが、不測の事態によりこれらの情報が外部に漏えいした場合には、当社グループの信用低下や損害賠償等の発生により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(15)訴訟の可能性について

当社グループが提供する各種クラウドソリューションやアナリティクス&トランスフォームの利用状況やクオリティ、当社グループが管理する物件における管理状況や入退去時の状況、当社グループが販売した物件における契約不適合の発生等を原因とするクレーム又は訴訟その他の請求が発生する可能性があります。これらの訴訟等の内容及び結果によっては、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(16)M&A及び業務提携について

当社グループは、同業他社等に対するM&A及び業務提携を実施することにより、当社グループの事業を補完・強化するのみならず、非連続的かつ飛躍的な成長が可能であると考えており、M&A及び業務提携を積極的に検討しております。その際、対象企業や事業の財務、税務、法務及びビジネス等について詳細なデューデリジェンスを行う等、意思決定のために必要かつ十分な情報収集、精査、検討をすることにより、可能な限りリスク回避に努めておりますが、M&A及び業務提携後において、当社グループが認識していない問題が明らかとなった場合や、市場環境や競合状況の変化及び何らかの事由により事業展開が計画どおりに進まない場合、対象企業の株式価値や譲り受けた事業資産の減損処理を行う必要を及ぼす等、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(17)新株予約権の行使による株式価値の希薄化について

当社グループでは、株主価値の向上を意識した経営の推進を図るとともに、役員及び従業員の業績向上に対する意欲や士気を一層高めることを目的として、役員及び従業員に対して新株予約権を付与しております。当連結会計年度末現在における新株予約権による潜在株式数は457,395株であり、発行済株式総数16,194,895株の2.82%に相当いたします。権利行使についての条件が満たされ、これらの新株予約権が行使された場合には、将来的に当社株式の株式価値の希薄化や株式売買需給への影響をもたらし、当社の株価形成に影響を及ぼす可能性があります。

 

(18)ソニーグループ各社との関係について

当社グループは、不動産、金融、IT、ヘルスケアの各領域をリアルビジネス(実業)として内包することで、実務有用性の高いDX支援を顧客に提供できるAI SaaSプロバイダーであり、ソニーグループ各社との事業における競合は生じておりません。ただし、将来的にソニーグループ各社の経営方針に変更が生じた場合等には、ソニーグループ各社との事業の競合により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(19)経営上の重要な契約等

 当社グループの経営上の重要な契約等は、「第2 事業の状況 5 経営上の重要な契約等」に記載のとおりであります。これらの契約が、事業環境の変化、契約の相手方の方針の変更その他、不測の理由で終了したり、契約の履行に支障が生じたりした場合には、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態の状況

資産、負債及び純資産の状況

(資産)

 当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ2,060,650千円増加し、24,017,080千円となりました。

 流動資産は、前連結会計年度末より1,995,510千円増加し、20,606,841千円となりました。これは主に、売掛金及び契約資産が367,261千円、棚卸資産が1,739,032千円増加したことによるものであります。

 固定資産は、前連結会計年度末より116,755千円増加し、3,410,239千円となりました。これは主に、売却により関係会社株式が236,188千円減少した一方、ソフトウエアが77,573千円、繰延税金資産が113,358千円、投資その他の資産のその他が126,051千円増加したことによるものであります。

(負債)

 当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ916,448千円増加し、11,556,615千円となりました。

 流動負債は、前連結会計年度末より2,073,335千円減少し、3,889,384千円となりました。これは主に、買掛金が534,624千円、未払法人税等が239,145千円増加した一方で、短期借入金が3,135,973千円減少したことによるものであります。

 固定負債は、前連結会計年度末より2,989,783千円増加し、7,667,231千円となりました。これは主に、長期借入金が2,885,676千円増加したことによるものであります。

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,144,201千円増加し、12,460,464千円となりました。これは主に、自己株式が190,944千円増加したことにより純資産が減少した一方で、利益剰余金が1,389,010千円増加したことによるものであります。

 なお、自己資本比率は50.6%となっております。

 

② 経営成績の状況

 当社グループは「今の先鋭が10年後の当たり前を造る A DECADE AHEAD」をミッションに掲げ、大きく2つの事業を展開してまいりました。1つ目の事業は、不動産/金融業界からIT/ヘルスケア領域まで様々な業界のDXに向けて、機械学習等のテクノロジーを活用したモジュールをベースに、パッケージ型クラウドツールやテーラーメイド型アルゴリズムを提供する「AIクラウド&コンサルティング」事業であります。2つ目の事業は、お客様への確かな価値提供とテクノロジーの積極活用の両立を目指すアセットマネジメント、売買仲介コンサルティング、デベロップメント/インベストメント事業を展開する「ライフ&プロパティソリューション」事業であります。

 実業(リアルビジネス)である不動産や金融、IT/ヘルスケア事業を自ら手掛け、業務上の非効率や課題に直面することで、機械学習等の高度なテクノロジーの活用の可能性を見出し、当社グループの内部オペレーションにそのテクノロジーを取り込み、競争力・効率性の改善を図っております。同時に、リアルビジネスのテック化により効果が検証された業務推進・効率化ツールは、当社自身がユーザーとして使い勝手をフィードバックすることで実務有用性を磨き込み、同業他社のお客様に提供しております。加えて、こうした実績から様々な企業との提携が進み、ソリューション共同開発に取り組んでおります。

 実業(リアルビジネス)を手掛けることが、実務有用性の高いAIソリューション・クラウドツールの顧客への提供に密接かつ効果的に機能しており、この「リアルビジネスを内包したテックプロバイダー」という独自の顧客提供価値の追求が、様々な業界のDXや事業拡大に貢献しております。

 当社グループが手掛けるAIクラウド&コンサルティング事業の業務環境をみれば、コロナ禍からの社会経済活動の正常化が進む一方で、専門人材不足などの課題が深刻化しております。そのため、省人化や利益拡大を見据えた取り組みをテクノロジーの活用を通じて進める業界横断的なDX気運の高止まりが随所にみられ、実務有用性の高いDXソリューションを提供する当社事業においても追い風となっております。ライフ&プロパティソリューション事業の業務環境をみれば、様々なアセット種別に対する投資ニーズの高まりが引き続き見られます。一方、金利動向の不透明感が継続していますが、新築マンション価格上昇により中古マンションへの関心が高まったことで、首都圏の中古マンションの売買成約件数が昨年と比較して持ち直しの動きがみられます。

 

 このような業務環境の下、当社グループは従来の不動産領域に加えて、金融やIT/ヘルスケア領域においても事業成長を着実に進捗させ、その他産業に向けても自社の持つAIモジュールを活かしたDXソリューションを提供してまいりました。具体的には、不動産領域において当社グループ独自の一次データを学習させた生成AIを組込んだ業界初となる査定組込型AIチャットボットを開発し、またヘルスケア領域においても集患/ナーチャリング等のクリニック経営課題に対応したDXソリューションを提供開始し、収益の複線化を着実に進捗させました。加えて、霞ヶ関キャピタルやロイヤルホールディングス、双日などの大手企業とのソリューション/プラットフォームサービスの共同開発を物流/飲食領域において進め、「リアル×テクノロジー」の横展開を着実に拡大しております。

 以上の結果、当連結会計年度の経営成績につきましては、クラウドソリューション(CS)・アナリティクス&トランスフォーム(A&T)ともに顧客獲得が着実に進み、ARR(アニュアルリカーリングレベニュー)を積み上げた他、アセットマネジメント&コンサルティング等も計画どおりに進捗したことで、売上高24,218,849千円(対前期比5,676,918千円増(30.6%増))、営業利益2,212,504千円(対前期比526,192千円増(31.2%増))、経常利益2,058,616千円(対前期比518,365千円増(33.7%増))、親会社株主に帰属する当期純利益1,388,514千円(対前期比240,301千円増(20.9%増))、と増収増益となりました。

 

当連結会計年度のセグメント別の経営成績は、次のとおりであります。

なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分及び名称を変更しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりであります。

 

<AIクラウド&コンサルティングセグメント>

 クラウドソリューション(CS:不動産価格推定エンジンなどのディープラーニング技術を核とするパッケージ化されたAIを用いたクラウドサービス)は、開発/販売面の体制強化を進め、顧客基盤の拡大とともにストック収入を着実に積み上げ、解約率も非常に低い水準を維持してまいりました。また、不動産分野特化型のAIチャットボットおよびクリニックDXソリューションの開発・外販を進め、顧客単価の高い金融/IT/ヘルスケア領域を中心にARRの更なる積み上げを進捗させるとともに、新規プロダクトや新機能の追加開発/実装も複数進めております。

 アナリティクス&トランスフォーム(A&T:幅広い業界における顧客企業の様々な経営課題に対して、将来予測分析ツールを用いた解決策若しくはシステムの提供又は共同ビジネス開発を行うサービス)は、様々な産業知見を持つコンサルタント・データサイエンティストの参画に加えて、当社独自のAIモジュール等を活かして差異化されたコンサルティングの提供により、霞ヶ関キャピタルやロイヤルホールディングス、双日などの業界大手企業とのソリューション/プラットフォームサービスの共同開発案件を受注できたことから、新規クラウドソリューションの仕込みが進捗しました。さらに、一部ロイヤルカスタマーのリピート案件獲得を拡大し、着実に事業を拡大させてまいりました。

 その結果、CS・A&Tともに顧客獲得が着実に進み、第4四半期連結会計期間ベースのARRが4,280百万円と、大きくストック収入を積み上げたことで、当連結会計年度におけるAIクラウド&コンサルティングセグメントの売上高は4,874,088千円(対前期比1,848,976千円増(61.1%増))、営業利益は1,705,553千円(対前期比497,781千円増(41.2%増))となっております。

 

<ライフ&プロパティソリューションセグメント>

 当社テクノロジーを活用したアセットマネジメントや売買仲介コンサルティングを提供するとともに、スマートプロパティとして、IoT技術やESG対応を施したマンション/オフィス/ショッピングセンター/ホテル/シニア関連施設等の開発・投資及び投資家向けの販売を計画に沿って実施しております。また、アセットマネジメント事業の拡大に向けて、当社において開発した物件のファンドに対する継続的な売却及び市場からの外部調達を行い、棚卸資産を過剰に保有することなく収益性に優れたリカーリングフィーを積み上げる積層型ビジネスモデルへの転換を進めております。当社グループは、これらの事業においてテクノロジーを活用したDX化を推進するとともに、その中で生まれた気づきを幅広いお客様に提供するAIソリューションに反映しております。

 その結果、アセットマネジメント事業における運用ファンドのAUM(アセットアンダーマネジメント)が当連結会計年度末時点で648億円と大きく積み上げるとともに、当連結会計年度におけるライフ&プロパティソリューションセグメントの売上高は20,170,950千円(対前期比3,927,926千円増(24.2%増))、営業利益は866,246千円(対前期比222,603千円増(34.6%増))となっております。

 

 

<その他セグメント>

 本セグメントでは、中長期的なサステナブルグロースに向けて試験的にリアルビジネスを手掛けつつ新規プロダクト開発を行っており、「リアルビジネスを内包した実務有用性の高いテクノロジー」の創出に取り組んでおります。

 その結果、当連結会計年度におけるその他セグメントの売上高は、リアルビジネス運営により75,408千円、セグメント損失は新規プロダクト開発投資により171,606千円となっております。

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ477,987千円減少し、3,329,547千円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果獲得した資金は452,638千円(前期は4,360,461千円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益2,056,867千円等の資金増加要因が、棚卸資産の増加額1,739,032千円等の資金減少要因を上回ったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は376,364千円(前期は427,073千円の使用)となりました。これは主に、関係会社株式の売却による収入108,172千円の資金増加要因が、有形固定資産の取得による支出50,234千円、無形固定資産の取得による支出328,573千円等の資金減少要因を下回ったことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は554,262千円(前期は3,125,001千円の使用)となりました。これは主に、長期借入れによる収入9,228,485千円等の資金増加要因が、長期借入金の返済による支出9,419,860千円等の資金減少要因を下回ったことによるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

b.受注実績

当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

 

c.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

前年同期比(%)

AIクラウド&コンサルティング(千円)

3,975,174

169.1

ライフ&プロパティソリューション

(千円)

20,168,266

124.6

その他(千円)

75,408

合計(千円)

24,218,849

130.6

(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。

2.その他セグメントは当連結会計年度より新たに追加したセグメントのため、前年同期比は「-」として記載しております。

3.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。なお、最近2連結会計年度の主要な相手先別の販売実績のうち、当該販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満の相手先につきましては記載を省略しております。

相手先

前連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

芙蓉総合リース株式会社

2,377,000

12.8

赤坂インベストメント・ツー合同会社

4,716,091

25.4

エムエル・エステート株式会社

1,882,888

10.2

個人

2,204,578

11.9

赤坂インベストメント・スリー合同会社

8,749,260

36.1

赤坂インベストメント・フォー合同会社

3,349,603

13.8

4.成約した案件は守秘義務があるため個人の氏名の公表は控えさせて頂きます。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。また、経営成績等に重要な影響を与える要因については、「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社の資金需要は、継続的な事業成長実現に向けた人件費、採用費、業務委託費、広告宣伝費、AIクラウド&コンサルティング事業の開発費、及びIoTスマートホーム物件取得に係る借入金の返済や営業用不動産の取得費用となります。財政状態等を勘案しながら、自己資金、金融機関からの借入及びエクイティファイナンス等による資金調達を考えております。

流動資産と流動負債のバランスを注視し、財政状態の健全性を評価しており、当連結会計年度末時点で健全な財務体制であると判断しております。

 

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成にあたって、資産及び負債又は損益の状況に影響を与える会計上の見積りは、過去の実績等の連結財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

5【経営上の重要な契約等】

(1)株式譲渡契約

当社は、2024年3月7日開催の取締役会において、株式会社メディックスの全株式を取得し、子会社化することについて決議し、同日付で株式譲渡契約を締結いたしました。

詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりであります。

 

6【研究開発活動】

 当社グループは主にAIクラウド&コンサルティング事業において利用するソフトウエアの開発等を行っており、当連結会計年度の研究開発費の総額は386,185千円、対売上高比率は1.8%であります。