当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、時の課題を敏感に受け止め、独創的な技術により価値ある製品を提供し、社会文化の豊かさに貢献することを使命としています。グローバルな競争環境の中で、社会・株主・顧客・従業員など全てのステークホルダーにとって企業価値を創造し続ける企業を目指しています。
(2) 中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、2023年度から2025年度までの3年間の事業戦略や数値目標を定めた、第7次中期経営計画(「グローバルニッチ No.1」の柱を増やす)を2023年5月12日付けで発表しております。第7次中期経営計画では、自動車産業の電動化、SDGs・カーボンニュートラルなどの社会課題への対応が求められる中、これまでに培った強みを活かし、グローバルニッチNo.1製品数のさらなる拡大と新事業による新たな収益源の育成を目指し、以下の3つの項目を重点施策として取り組んでまいります。
① 経営基盤の強化
② 「グローバルニッチNo.1」製品のさらなる拡大と充実
③ 安永ならではの価値の提供による新事業の創造
(3) 経営環境
当連結会計年度におけるわが国経済は、コロナ禍から社会経済活動の正常化が進む一方、ロシアのウクライナ侵攻や円安傾向の継続等により依然として先行き不透明な状況が続いております。
当社グループの主要販売先である自動車業界は、半導体や部品不足の供給制約の緩和を受け、緩やかな回復が続きましたが、日本国内においては年度末にかけて生産が減速しました。
今後の見通しとしましては、ロシア・ウクライナ情勢の長期化や円安傾向の継続等、先行きは依然として不透明な状況が続くものと予想しております。このような事業環境のもと、エンジン部品事業につきましては、海外生産は堅調に推移すると予想されますが、一方、国内においては前期にあった一部顧客からのエネルギー・原材料費上昇分の回収等が今期はないことや一部量産製品の生産終了等の影響により、売上、利益とも減少する見通しです。機械装置事業につきましては、景況による変動はあるものの、メーカー各社のエンジン関連投資は様子見の段階であり、依然として需要は低く売上、利益とも減少する見通しです。環境機器事業につきましては、住宅着工戸数は減少傾向にあるものの、新型ディスポーザ投入やシステム販売の回復により、売上、利益とも微増となる見通しです。
(4) 対処すべき課題
当社グループは企業理念のもと、『安永にしかできないこと グローバルニッチNo.1』を目指し、イノベーションを通じて事業活動に取組み、企業価値の向上とサステナブルな成長を遂げていくべく以下の項目を重点施策として取り組んでまいります。
① 経営基盤の強化
・「技術で世の中を驚かせてやろう!」「何か新しいことに挑戦しよう!」という価値観を全社へ広げ、挑戦的な
企業風土のさらなる浸透を図ります。
・健全な議論が活発に行われる風土へ変革し、激動と混迷の時代を生き抜く企業を目指していきます。
「働きがい」「働きやすさ」を感じられる職場環境づくりを目指していきます。
またDXの加速による全社的な生産性の向上、SDGs、カーボンニュートラルへの対応にも取り組んでまいります。
② 「グローバルニッチNo.1」製品のさらなる拡大と充実
エンジン部品
・自動車メーカーの需要への対応によるさらなる売上・シェア拡大
・建機、農機、産機、マリン・レジャー用エンジン部品の受注拡大
・革新的な取り組み(IoT、ロボット活用)による生産性向上
・海外での生産拡大、自動車メーカーの現地調達・現地生産の需要取り込み
機械装置
・エンジン部品向け工作機械:エンジン部品事業との連携で商品力のアップ、工作機械づくりのDNA継承
・ワイヤソー、検査装置:成長が期待できる電子部品・半導体産業への取り組み強化、各要素技術の先鋭化による
更なる製品力の向上
・構造改革とポートフォリオ見直しによる高付加価値製品へのリソースの重点配分
環境機器
・エアーポンプ・ディスポーザシステムの利益強化とシェア拡大、材料費高騰や為替変動の影響を受けにくい体制
づくり
・海外販売の拡充
・コア技術を活かした新製品・サービスの創出
③ 安永ならではの価値の提供による新事業の創造
・二次電池、熱電発電素子関連製品の市場投入とビジネスモデル確立
・新事業からの収益獲得、さらなる新事業育成に向けた基盤強化
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)ガバナンス
当社では、CSR委員会が全社のリスクを横断的に総括し、必要に応じて支援・提言を行っております。具体的には、年1回、管理本部にてリスクの洗い出しと評価を行い、CSR委員会、取締役会において協議、承認されております。また、重要なリスクについては有価証券報告書で開示しております。さらには、全取締役出席の下、年2回開催されるグループ全社の年度計画のヒヤリングや月例の取締役会において、各事業体からビジネス環境の変化を踏まえたリスクと機会についても報告されております。
これらの報告の中で気候変動に関連するリスクや機会についても取上げられ、適宜議論されております。
なお、TCFD提言に沿った戦略、リスク管理、指標と目標等に対するガバナンス体制は、今後社内で検討していきます。
(2)戦略
気候変動関連を含むリスクと機会については、CSR委員会、年度計画ヒヤリング、取締役会等において報告・議論されておりますが、TCFD提言に沿ったシナリオ分析等については今後の課題と考えております。
今後、リスクと機会の重要性評価・分析を行ったうえで優先順位の高いものを特定し、全社または事業部の戦略、取組みに反映させることを検討していきます。
また、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針を以下のとおり掲げています。
①人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針
当社は、人材の多様性とそれらの人材育成が中長期的な企業価値向上に繋がるものと考え、女性・外国人・
中途採用者を積極的に採用し、引き続き多様性の確保に努めていきます。
②社内環境整備に関する方針
当社は、2024年3月11日、経済産業省と日本健康会議が共同で実施する「健康経営優良法人2024」の認定を
受けました。「当社にとって社員一人ひとりの健康は最も大切な経営資源の一つである」の基本的な考えのも
と、引き続き心と身体の健康づくりの取り組みを強化し、より健康でいきいきと働ける社員を増やしていくよ
う取組んでいきます。
また、当社は優良な「子育てサポート企業」として、2021年10月に厚生労働省より、次世代育成支援対策推
進法の特例認定マーク「プラチナくるみん」、同時に「くるみん」の2回目の認定も受けました。今後も、積
極的に仕事と家庭の両立支援に取組み、それぞれの社員がより働きやすく、能力を発揮しやすい環境づくりに
取組んでいきます。
(3)リスク管理
現状、「(1)ガバナンス」の項に記載した通り、年1回、管理本部にて戦略リスク、財務リスク、ハザードリスク、オペレーショナルリスクについて評価し、CSR委員会、取締役会において協議、承認されております。具体的には、発生頻度、損害影響度により以下の項目についてリスク評価しております。
なお、結果については、「
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区分 |
リスク項目 |
リスク内容 |
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戦略リスク |
ビジネス戦略 |
新規事業・設備投資、研究開発、企業買収、業界の景気動向、主要顧客の取引方針、業務提携・共同開発など |
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マーケティング |
技術の陳腐化・パラダイムシフト、競合会社の台頭、市場ニーズの変化、価格戦略の失敗、情報技術革新、商習慣など |
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人事制度 |
従業員の高齢化・雇用調整、年金資産の運用、集団離職、人材流出・人材不足、人材の育成・確保など |
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政治 |
法律の制定・制度改革、税制改革、国際問題(貿易・通商)、戦争(地域紛争)・政変・テロなど |
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経済 |
経済危機、景気変動、原料・資材の高騰など |
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社会 |
風評、地域住民とのトラブル、反社会的勢力による脅迫など |
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メディア |
インターネットでの批判・中傷、マスコミによる批判・中傷、メディア対応の失敗など |
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財務リスク |
資本・負債 |
金融支援の停止、不良在庫・過剰在庫など |
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決済 |
取引先倒産(不良債権)、為替変動、金利変動など |
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ハザードリスク |
自然災害 |
地震、台風・竜巻・水害・落雷、異常気象など |
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事故・故障 |
火災・爆発、設備故障、交通事故、航空機・列車・船舶事故、労災事故、停電・断水、盗難など |
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情報システム |
ネットワークの断絶、コンピューターウイルス、ハードウェア障害、オンラインシステム障害、メール障害、改ざん・書き換え、サイバー攻撃、ソフトウェア使用許諾違反など |
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オペレーショナルリスク |
製品・サービス |
製品欠陥、個人情報・顧客情報漏えい、機密情報漏えい、在庫不足・納入遅延、顧客対応の不備、物流、取引先(仕入先)倒産・被買収など |
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法務・倫理 |
知的財産侵害、特許紛争、環境規制違反、公正取引違反(下請法、カルテル)、役員従業員の不正・不法行為、インサイダー取引、企業倫理違反・問題情報隠ぺい、役員賠償責任・株主代表訴訟、子会社ガバナンスに係るリスクなど |
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環境 |
環境規制強化、電力制限(節電)、環境汚染・土壌汚染、廃棄物処理など |
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労務人事 |
ハラスメント(パワハラ・セクハラ・マタハラ・スメハラ・モラハラ他)、労働時間問題(サービス残業)、労働争議・ストライキ、人件費の高騰、差別(性・国籍など)、海外駐在員の安全、伝染病・インフルエンザ、外国人の不法労働、言語、突然の退職など |
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経営者 |
経営者の死亡・執務不能、粉飾決算、役員のスキャンダルなど |
また、気候変動に関する重要なリスクの管理プロセスについては検討中であり、今後開示を検討していきます。
(4)指標及び目標
気候変動の評価指標に関しては今後検討していきます。また今後、温室効果ガス排出量等について実績値や目標値の開示を検討していく予定です。
また、当社では、「(2)戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標値の開示は今後検討していきます。なお、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取組みが行われているものの、連結グループに属する全ての会社では行われていないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、次の指標に関する実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。
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指標 |
実績(当事業年度) |
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当社グループの経営成績、財政状態等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。
(1) 経済及び業界等の動向
当社グループの経営成績は、各製品を生産・販売している国・地域の経済状況の変動や取引先が属する産業の景気変動の影響を受ける可能性があります。
また、当社グループのエンジン部品事業や機械装置事業の一部である工作機械は、自動車業界の生産及び設備投資等の動向や取引先メーカーの取引方針の影響を受けます。あわせて自動車の動力源が内燃機関を有さないものに変更された場合、自動車業界の生産や設備投資等の動向に関わらず影響を受ける可能性があります。機械装置事業のワイヤソーや検査測定装置は、電子・半導体業界等の設備投資動向の影響を受けます。環境機器事業は、住宅着工件数や浄化槽設置動向の影響を受けます。
なお、2024年3月期における主な販売相手先別の総販売実績に対する割合は、Toyota Daihatsu Engineering & Manufacturing Co., Ltd. 13.4%、General Motors Campany 10.2%となっております。
当社グループは、自動車関連に軸足を置きつつ、電子・半導体関連、住宅関連等多方面に事業を展開し、各業界と進出先各国の景気変動の影響を考慮して、グループ全体のバランスをとりながら事業を行っております。
(2) 技術革新及び競合
当社グループの事業は、技術的な進歩や技術革新の影響を受けます。そのため、社会や市場での新技術の開発、新方式の採用、新製品の出現、ニーズの変化等により、当社取扱製品の急速な陳腐化や市場性の低下を招き、当社の経営成績に影響を与える可能性があります。
また、当社は高い技術力と高品質で高付加価値の製品を送り出すメーカーの一社であると考えておりますが、競合会社の台頭により、将来においても有効に競争できるという保証はありません。競合会社が競合製品をより低価格で導入し、市場におけるさらなる競争の激化が続く可能性があり、価格面での圧力又は激化する価格低減競争の環境下で収益性を保つことができない可能性があります。
なお、当社グループは、主力事業であるエンジン部品事業とエンジン部品の加工専用機を手掛ける機械装置事業とのシナジー効果による新技術の導入やコスト低減、さらに研究開発部署による基礎研究や新技術・新事業創出に積極的に取り組んでおります。
(3) 製品の不具合
当社グループで生産する全ての製品に欠陥がなく、将来にリコールが発生しないという保証はありません。万一欠陥やリコールが発生した場合に備え、製造物責任保険に加入しておりますが、この保険が最終的に負担する賠償額を十分にカバーできるという保証はありません。したがって、大規模な製品の欠陥は、当社グループの経営成績及び財政状態を悪化させる可能性があります。
なお、当社グループは、「全世界に通用する最高品質を追求します」をグループ基本方針の一つとし、総力をあげて品質課題に取り組んでおります。
(4) 原材料の調達
当社グループは、原材料・部品を複数のグループ外会社より調達しております。市況の変動による品不足さらには調達先の突発的な事故や経営問題などにより、原材料・部品の不足が生じないという保証はありません。このような場合、当社グループの生産に支障をきたす可能性があります。また、価格変動による原価の上昇は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、それら調達先と取引基本契約を結び、安定的な調達を図るよう努めております。また、突発的な事態に備え、同等品を複数の会社から調達できる体制整備に努めております。
(5) 為替変動及び金利変動
当社グループは、グローバルに取引を展開しており、事業を行う各地域の通貨価値の変動は、各地域における生産・調達・物流等のコストを増加させる可能性があり、コストの増加は、当社グループの価格競争力を低下させる可能性があります。また、海外関係会社の財務諸表を連結する際の円換算後の価値が、換算時の為替レート変動の影響を受ける可能性もあります。
なお、当社グループでは為替レート変動の影響を限定的にするため、その取引の大半を邦貨による取引としております。
また、当社は主に金融機関からの借入により資金調達をしております。金利上昇は支払利息の増加を招き、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(6) 海外事業展開
当社グループは海外に成長機会を求め、現在5ヶ国、6拠点と海外拠点を拡大してきました。
これらの海外での事業展開には、各国・地域の経済環境や景気の動向、予期しない法律又は規則の変更、経済安全保障政策の動向、移転価格税制等の国際税務問題、人材の確保、政変、地域紛争、災害の発生及び現地駐在員の安全確保等のリスクがあり、これらの事象が発生した場合に、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
リスクへの対応に当たっては、外務省、現地領事館等からの情報を適時入手し、本社と海外拠点において情報を共有し、安全確保に努めております。
なお、ロシア・ウクライナをめぐる国際情勢について、ロシアへの経済制裁等に基づく営業活動への影響は一部であるものの、当社グループの経営成績や財政状態に与える影響は軽微であります。また、資源価格の上昇による原材料や電力、物流価格の高騰等、想定されるリスクに対しては必要な対策を行ってまいります。
(7) 災害等の発生
当社グループは、地震等の自然災害の発生により生産拠点が損害を受ける可能性があります。万一、予想される南海トラフ巨大地震が発生した場合、国内生産拠点が三重県内に集中していることもあり、操業の中断、多額の復旧費用等により当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、被害の影響を最小限に抑えるため、建物・設備等の耐震対策を完了し、さらに緊急地震速報システム及び携帯安否確認システムも導入しております。また、大規模地震の発生等を想定したBCP(事業継続計画)を策定し、重要事業の継続と復旧にかかる体制整備を図っております。
(8) 人材の育成・確保
当社グループが今後も継続的に成長していくためには、人材の育成・確保は最重要課題の一つであると考えております。
グローバルな事業活動を一層進める中で、グローバルに活躍できる人材の育成・確保が急務であります。また、従業員の高齢化に伴う生産性の低下や健康リスクへの対応、さらには技術やノウハウを継承する若手人材の育成も重要と考えております。これらが計画通りに進まなかった場合、長期的な視点から、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
そのため当社では、積極的な採用活動、社員教育の充実、適材適所の人員配置、職場環境の改善等、社員の成長支援や働きやすい職場づくりに取り組んでおります。
(9) 情報セキュリティ
年々巧妙化するサイバー攻撃等の不正行為により、情報システム障害の発生や機密情報及び個人情報が外部に流出する可能性があります。その場合、事業活動の停止や社会的信用の低下等により当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、企業活動を通じて得た情報資産を重要な経営資源と位置づけ、的確に管理運用するとともに、情報資産の安全性・信頼性を確保することが重要な責務であるとの認識に立ち、当社グループの情報セキュリティポリシーに基づき情報セキュリティ対策に継続的に取組んでおります。また、当社グループの情報セキュリティを確保するため、情報セキュリティ委員会を設け、全社的なマネジメント体制を整えるとともに、社員に対しては、標的型攻撃メールへの対応等の情報セキュリティ教育を実施しております。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。
(1) 経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、コロナ禍から社会経済活動の正常化が進む一方、ロシアのウクライナ侵攻や円安傾向の継続等により依然として先行き不透明な状況が続いております。
当社グループの主要販売先である自動車業界は、半導体や部品不足の供給制約の緩和を受け、緩やかな回復が続きましたが、日本国内においては年度末にかけて生産が減速しました。
このような企業環境下、当連結会計年度の業績は、売上高319億46百万円(前年同期比4.0%減少)、営業利益6億45百万円(前年同期比46.2%減少)、経常利益5億67百万円(前年同期比57.8%減少)、親会社株主に帰属する当期純利益6億7百万円(前年同期比53.0%減少)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(エンジン部品事業)
半導体不足などの供給制約が緩和され、自動車生産は持ち直してきましたが、年明け以降、北米市場における生産調整や国内車両生産の一時的な変動もあり、売上は微増となりました。一方、利益面ではエネルギー・原材料費上昇分の一部価格転嫁、原価低減等を推し進めてきましたが、労務費等の固定費負担増加により利益は減少しました。その結果、売上高242億89百万円(前年同期比5.3%増加)、営業利益8億4百万円(前年同期比10.3%減少)となりました。
(機械装置事業)
顧客の景気動向の見極めによる設備投資の延期や中止、またエンジン関連事業への新規設備投資縮小等の影響により、機械装置事業は減収減益となりました。その結果、売上高31億76百万円(前年同期比44.7%減少)、営業損失2億6百万円(前年同期は営業利益45百万円)となりました。
(環境機器事業)
エアーポンプ、ディスポーザシステム販売の減少に加え、労務費等の固定費負担増加により、環境機器事業は減収減益となりました。その結果、売上高41億91百万円(前年同期比0.5%減少)、営業利益25百万円(前年同期比88.2%減少)となりました。
(その他の事業)
当セグメントには、運輸事業及びサービス事業を含んでおります。
売上高2億88百万円(前年同期比7.6%増加)、営業利益13百万円(前年同期比10.6%増加)となりました。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
生産高(百万円) |
前年同期比(%) |
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エンジン部品 |
23,378 |
△0.2 |
|
機械装置 |
3,505 |
△28.3 |
|
環境機器 |
4,225 |
△1.1 |
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合計 |
31,110 |
△4.5 |
(注)1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2 金額は、販売価格によっております。
3 その他の事業については、生産に該当する事項がないため、生産実績に関する記載はしておりません。
② 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
受注高 (百万円) |
前年同期比 (%) |
受注残高 (百万円) |
前年同期比 (%) |
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エンジン部品 |
23,632 |
+0.0 |
1,914 |
△25.5 |
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機械装置 |
3,140 |
△27.0 |
1,750 |
△2.0 |
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環境機器 |
1,637 |
+32.3 |
683 |
+49.7 |
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合計 |
28,410 |
△2.6 |
4,348 |
△9.6 |
(注)1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2 環境機器事業のうち見込生産をしているものについては、上記の金額には含めておりません。
3 その他の事業については、役務又は商品等の受注から完了又は納品等までの所要時間が短いため、常に受注残高は僅少であり、期中の受注高と販売実績とがほぼ同額であるため記載を省略しております。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
販売高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
エンジン部品 |
24,289 |
+5.3 |
|
機械装置 |
3,176 |
△44.7 |
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環境機器 |
4,191 |
△0.5 |
|
その他 |
288 |
+7.6 |
|
合計 |
31,946 |
△4.0 |
(注)1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2 最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
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相手先 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
||
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販売高 (百万円) |
割合(%) |
販売高 (百万円) |
割合(%) |
|
|
Toyota Daihatsu Engineering & Manufacturing Co., Ltd. |
3,944 |
11.9 |
4,278 |
13.4 |
|
General Motors Campany |
3,245 |
9.8 |
3,251 |
10.2 |
|
トヨタ自動車㈱ |
3,323 |
10.0 |
2,821 |
8.8 |
(2) 財政状態
当連結会計年度末における総資産の残高は、前連結会計年度末に比べ14億8百万円(前年同期比4.2%)増加し、351億11百万円となりました。
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は、前連結会計年度末に比べ1億42百万円(前年同期比0.7%)減少し、198億73百万円となりました。
この減少の主な要因は、売掛金の減少14億97百万円や現金及び預金の増加11億11百万円等によるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は、前連結会計年度末に比べ15億50百万円(前年同期比11.3%)増加し、152億37百万円となりました。
この増加の主な要因は、有形固定資産の増加11億58百万円等によるものであります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は、前連結会計年度末に比べ7億7百万円(前年同期比4.1%)増加し、178億83百万円となりました。
この増加の主な要因は、短期借入金の増加11億50百万円や支払手形及び買掛金の減少5億45百万円等によるものであります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は、前連結会計年度末に比べ52百万円(前年同期比0.8%)減少し、63億10百万円となりました。
この減少の主な要因は、長期借入金の減少5億50百万円や長期リース債務の増加2億80百万円、繰延税金負債の増加1億82百万円等によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の残高は、前連結会計年度末に比べ7億52百万円(前年同期比7.4%)増加し、109億17百万円となりました。
この増加の主な要因は、自己株式の取得による自己株式の増加11億86百万円や為替換算調整勘定の増加10億39百万円、利益剰余金の増加4億52百万円等によるものであります。
この結果、自己資本比率は31.1%(前期は30.2%)、ROEは5.8%(前期は14.1%)となりました。当社グループでは、今後はさらなる健全な財務体質の維持、向上に努めてまいります。
(3) キャッシュ・フロー
当社グループの当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ11億11百万円増加し、62億28百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果増加した資金は、32億13百万円(前年同期は20億24百万円の増加)となりました。これは主に、減価償却費18億26百万円、売上債権の減少額14億41百万円等の増加要因によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果減少した資金は、12億2百万円(前年同期は12億42百万円の減少)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出16億4百万円等の減少要因によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果減少した資金は、11億58百万円(前年同期は4億13百万円の減少)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出29億94百万円等の減少要因、長期借入れによる収入22億円等の増加要因によるものであります。
(4) 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要は主に、仕入のほか、製造費用、販売費及び一般管理費の営業費用であります。また、設備投資資金需要は主に、新設設備等の固定資産への設備投資であります。
運転資金及び設備投資資金につきましては、営業活動によって得られた自己資金及び金融機関からの借入を基本としております。また、グループの資金は、当社が一括管理を行っており、グループ全体の資金効率向上に努めております。
(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
また、連結財務諸表の作成にあたっては、重要な会計方針に関する見積り(繰延税金資産、退職給付に係る負債及び資産、固定資産の減損、引当金、及び棚卸資産の評価等)及び判断を行っております。これらの見積りは、過去の実績や当該事象の状況を勘案して、合理的と考えられる方法に基づき行い、必要に応じて見直しを行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性によって異なる場合があります。
該当事項はありません。
当社グループ(当社及び連結子会社)における研究開発につきましては、当社及び安永エアポンプ㈱が行っており、事業戦略上急務となっているものを研究課題として、専門性を強化する技術開発や製品開発を効果的に進めております。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は
(1) エンジン部品事業
当社のエンジン部品事業ではエンジン部品の切削加工に関する技術開発を行っております。
なお、当連結会計年度における当事業に係る研究開発費は
(2) 機械装置事業
当社の機械装置事業では、工作機械関連、組立機械関連、検査装置関連及びワイヤソー装置関連の開発を行っております。当連結会計年度における研究開発活動は次のとおりであり、当事業に係る研究開発費は
① クルマの電動化に関わる組立機械の開発
② 半導体デバイス用外観検査装置および高精度検査技術の開発
③ パワー半導体材料切断用ワイヤソーの開発
④ クランク穴ラインボーリング専用機械の自動工具交換装置の開発
⑤ マイクロフィニッシャー専用機械の改良開発
⑥ AI・IoT技術の活用を主としたデジタルトランスフォーメーションに関する技術開発
(3) 環境機器事業
安永エアポンプ㈱の開発グループが浄化槽用、医療健康機器用及び燃料電池用等の各種エアーポンプ、家庭用生ゴミ処理装置「ディスポーザ」等の開発と用途開発を行っております。
なお、当連結会計年度における当事業に係る研究開発費は
(4) その他の事業
該当事項はありません。
上記以外にセグメントに関連づけられない研究開発として、当社の技術本部に於いて微細金型形成技術や熱電発電素子製造技術などの要素技術開発を行うと共に、開発された要素技術を用いて二次電池市場や熱マネージメント市場向けの商品開発を行っております。
なお、当連結会計年度における研究開発費は230百万円であります。