第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1) 会社の経営の基本方針

 当社は「よろこびの食文化の創造」即ち「お客様の感動が私たちの喜びとし、日本一質の高い外食企業を目指す」という経営理念を掲げております。

 この経営理念を実現すべく、当社は、「食べる」ということを、単に栄養の摂取というレベルに押しとどめることなく、潤いのある人生の喜びとしてとらえ、ひとつの文化にまで高めたいと考えています。そのために、①食材は常に上質のものを使う、②商品に他店にない特長を持たせる、③落ち着ける店舗をつくる、④常に良いサービスを心がける、⑤お値打ち感のある価格設定をすることにより、多くの人々に外食の楽しさ、人生のよろこびを感じていただけるように全力を注いでいます。

 この経営理念のもとに、当社は外食企業としてさまざまな事業分野に進出して、お客様の多様なニーズにお応えすることとしております。現時点では、しゃぶしゃぶと日本料理の「木曽路」、居酒屋の「素材屋」、焼肉料理の「じゃんじゃん亭」、鶏料理の「とりかく」、和食レストラン「鈴のれん」の各部門、ワイン食堂「ウノ」、九州味巡りの「ここの」、からあげ専門店の「からしげ」、酒場「大穴」、株式会社テン コーポレーションのFCである「天丼てんや」の各店舗及び「外販(しぐれ煮、胡麻だれ類)」を運営しております。

 そして、それぞれの部門が付加価値の高い料理・サービス・商品を手頃な価格で提供することによって、会社の業績進展と企業価値の向上を図ることを基本方針としています。

 

(2) 中長期的な会社の経営戦略

 当事業年度末の部門別の店舗配置状況は、木曽路122店舗、素材屋11店舗、じゃんじゃん亭15店舗、とりかく9店舗、鈴のれん7店舗、ワイン食堂ウノ1店舗、九州味巡りここの2店舗、からしげ4店舗、大穴1店舗、てんや1店舗 合計173店舗(うち業態転換のため1店舗休業中)であります。

 今後も中核部門の「木曽路」を中心に拡大しつつ、各部門それぞれに市場の変化や顧客ニーズの多様化に適合したビジネスモデルの構築に努め、経営基盤の拡充を図っていく方針であります。

 一方、地域別にみた店舗配置は中部地区64店舗、関東地区76店舗、関西地区30店舗、九州地区3店舗と大都市経済圏を中心に店舗網を形成しております。今後の店舗展開につきましては、東海地区の強固な基盤の上に立って、中部・関東・関西の各地区に出店しバランスのとれた経営基盤を形成していく方針であります。

 

(3) 目標とする経営指標

 当社は成長性と収益性の追求を通じて企業価値の向上を実現していく方針であり、売上高成長率及び売上高経常利益率を経営の目標指標として掲げています。その目標指標の向上のために、経営理念を指針として顧客起点経営に徹し、価値感と独自性のある商品・サービスの開発・提供に努めていきます。同時に高い成長性・収益性が期待される事業分野に対して積極的に経営資源を投入していきます。

 (参考) 目標経営指標の推移

 

2016年3月期

2017年3月期

2018年3月期

2019年3月期

2020年3月期

売上高成長率(%)

1.7

0.4

0.2

1.5

△2.6

売上高経常利益率(%)

1.1

2.7

5.1

5.7

3.3

 

 

(4) 会社の対処すべき課題

 外食産業を取り巻く環境は、少子・高齢化を背景とした人口減少により市場規模が縮小し、人件費や原材料費、物流費の高騰が続いております。また、消費者の食意識が成熟することにより嗜好やニーズの多様化が一層進み、価値指向、健康指向、安全指向は一段と強まっています。

 このような経営環境のなか、日本一質の高い外食企業を目指して、顧客満足と従業員満足を向上し成長へ繋げるため次の課題に取り組んで参ります。

 第一は、「企業の社会的責任の自覚」であります。食の安全・安心を追求するとともにコンプライアンスを徹底できる体制を構築して参ります。

 第二は、「顧客創造 営業基盤の強化」であります。商品力、接客力の磨き上げ及び既存店の成長確保等により業容の拡大を行って参ります。さらに、顧客視点の改善提案やPDCAの実行とスピードアップ等により生産性の追求と教育、訓練によるレベルアップを図って参ります。

 第三は、「経営基盤の改革」であります。人材が不足するなか、要員確保、定着の仕組み作りや人材育成及び働き方改革の継続を推進します。更に第2、第3の業態を確立すべく新たなビジネスモデルも構築して参ります。

 第四は、「企業構造の改革」であります。中長期ビジョンを策定し、骨子にはM&A・FC・海外事業の研究と推進を据えて、新戦略を立案します。また、IT・AI・インターネット技術の推進により合理化を図って参ります。

(新型コロナウイルス感染症に関するリスク情報)

 新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、一部店舗の営業休止やお客様、従業員等への感染拡大リスクが発生しております。この状態が長期化する場合、当社業績が大きく影響を受ける可能性があります。厳しい環境下ではありますが、引き続き新型コロナウイルス感染症に関する情報収集及び対応を行い、その影響の最小化に努めて参ります。

 当社は政府、自治体による「緊急事態宣言」を受け、2020年4月16日より、店舗の一部(114店)を臨時休業しておりましたが、地域ごとの状況を勘案して時短営業を順次再開しております。また、テイクアウトの需要拡大を受けて店舗でのお弁当販売などの新たな取り組みを始めております。

 さらに当社は、お客様、従業員及び各ステークホルダーの方々の安全と健康を第一に考え、本社における在宅勤務や時差出勤、不要不急の来客・出張等の禁止、全従業員の出社前の検温の徹底とマスクの着用、手洗い・うがいの徹底、従業員の体調管理の把握と感染が疑わしい従業員等の出勤停止、全施設へのアルコール消毒液の設置やこまめな消毒等、さまざまな対策を実施して感染拡大の防止に努めております。

 

2【事業等のリスク】

  (1)業績の季節変動について

 当社の主力商品である「しゃぶしゃぶ」の需要は、年末・年始を含めた冬季に高まるため、当社の売上高及び営業利益は下半期に片寄る傾向があります。

 最近5年間の状況は下表のとおりです。

 

売上高

営業利益

上半期

下半期

通 期

上半期

下半期

通 期

2016年3月期(百万円)

19,741

24,420

44,161

△1,041

1,543

502

構成比(%)

44.7

55.3

100.0

100.0

2017年3月期(百万円)

19,766

24,581

44,347

△1,270

2,341

1,071

構成比(%)

44.6

55.4

100.0

100.0

2018年3月期(百万円)

19,726

24,712

44,438

△307

2,536

2,229

構成比(%)

44.4

55.6

100.0

100.0

2019年3月期(百万円)

19,873

25,213

45,086

△152

2,726

2,573

構成比(%)

44.1

55.9

100.0

100.0

2020年3月期(百万円)

20,074

23,850

43,924

△476

1,902

1,426

構成比(%)

45.70

54.30

100.0

100.0

 (注)今後につきましても、下半期依存型の傾向は続くことが考えられます。

 

    (2) 主力業態への依存

当社の主力業態であるしゃぶしゃぶ・日本料理の木曽路の売上が全体の売上の84.5%(2020年3月期累計実績)を占めています。予期せぬ事情によって主力業態の売上が著しく減少した場合には、他商品の売上で補うことが困難になる可能性があります。

 

   (3) 立地環境の変化

当社は、店舗の建物を中心に有形固定資産に投資をしており、2020年3月31日現在の残高は13,412百万円、総資産の35.1%を占めております。店舗を最小単位として固定資産をグルーピングしていますが、店舗の立地環境が大きく変化し、その結果、店舗の業績が悪化し投下資金の回収が困難になる場合には、減損損失又は店舗撤退に伴う費用が発生する可能性があります。

 

 

     (4) 店舗物件等に係る敷金、保証金及び建設協力金回収に関するリスク

当社は、当社は賃借による出店を基本としております。店舗用物件等の賃貸借契約の締結に際して賃貸人に敷金・保証金及び建設協力金を差し入れており、2020年3月31日現在の残高は4,641百万円、総資産に占める割合は12.2%となっております。敷金・保証金は契約期間満了等により賃貸借契約を解約する際に返還される契約となっており、また、建設協力金は、賃借料の支払いと相殺することにより契約期間満了時までに全額回収する契約となっております。しかし、敷金、保証金及び建設協力金については、預託先の経済的破綻等によりその一部又は全部が回収不能となる場合や、賃貸借契約に定められた期間満了前に中途解約をした場合には返還されないことがあります。このような事態が生じた場合には、当社業績に影響が及ぶ可能性があります。

 

     (5) 原材料の調達について

当社の原材料仕入額において、肉類、野菜、魚介類が50%以上を占めています。異常気象や大規模災害、安全性問題の発生等により、これらの食材の調達が広範囲かつ長期にわたり阻害された場合には、当社業績に大きな影響が及ぶ可能性があります。

 

     (6) 競合の状況について

外食産業は、比較的参入障壁が低く新規参入が多いこと、また低価格化が進む中、客単価が下がる傾向にあります。さらに国内では少子高齢化が進みマーケットは飽和状態となっております。このような状況下で当社は、日本一質の高い外食企業を目指して、QSC(クオリティ、サービス、クリンリネス)の徹底と、生産性向上の追求や経費の抜本的見直しと効率化等により収益基盤の改革を行っております。しかしながら、お客様のニーズの変化、多様化等により更なる競争激化等が進んだ場合は、事業活動、将来の成長が阻害され当社業績に影響が及ぶ可能性があります。

 

     (7) 出店用地と建設業者及び建築資材の確保

当社はチェーンレストランとして計画的な出店により業容の拡大を図っていますが、競合状況の変化や土地所有者の都合などにより適切な出店用地を確保できない場合や、出店計画にもとづく建設業者の確保と建設資材の入手に遅延等が発生した場合には、出店計画の進捗が遅れ、当社の成長性に影響を及ぼす可能性があります。

 

     (8) 法的規制について

当社は、事業活動を行う上でさまざまな法的規制の適用を受けております。これらの法的規制は新設・変更・廃止される可能性があります。

特に当社は食品衛生法の規制を受けており、食中毒や異物混入等の未然防止策を徹底しておりますが、重大な衛生問題が発生することにより、営業の禁止、一定期間の営業停止等を命ぜられた場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社は食品リサイクル法により食品廃棄物などの再生利用(発生抑制、再生利用、減量)の促進を義務づけられております。そのための設備投資や再生可能品な包材、備品への変更等により、新たな費用が発生する可能性があります。

 

     (9) 人材の確保及び育成について

当社は、積極的な店舗展開を行う方針であるため、人材を確保していく必要があります。特に外食産業の店舗運営における知識、経験を持った人材を確保、育成し、定着させていくことは重要な課題であります。一方で、パートタイマーを確保するために「募集時給の見直し」を行う等、賃率が上昇し、総額人件費の高騰に起因しています。このような状態が長期化し、当社における人材の確保及び育成が出店スピードに追いつかない場合、当社業績に影響が及ぶ可能性があります。

 

     (10)個人情報の管理

当社は多数の顧客情報を有しており、その管理に万全を期していますが、予期せぬ事情によって情報流出や不正使用等が発生した場合には、その対応のために多額の費用が発生する可能性があります。

 

     (11)自然災害、事故災害及び疫病に関するリスク

当社の店舗網は、関東・東海・関西・北九州の大都市圏に集中しています。これらの地域で地震、台風等の自然災害や火災等の事故災害及び疫病が発生した場合、従業員や店舗の設備等が大きな被害を受け、その一部又は全部の営業が中断し、当社業績が大きく影響を受ける可能性があります。また、被害を被った設備等の修復のために多額の費用が発生したが、その後業績が回復せずその投下資金の回収が困難になった場合には、減損損失又は店舗撤退に伴う費用が発生する可能性があります。

     (12)継続企業の前提に関する重要事象等

当社は、2020年4月7日に政府、自治体による「緊急事態宣言」が発出されたことにより、営業時間の短縮及び一部の店舗の営業を休止しております。この影響に伴い、翌事業年度に売上高が著しく減少する可能性があり、重要な営業損失、経常損失及び当期純損失並びにマイナスの営業キャッシュ・フローを計上する可能性があることから、現時点においては継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。

しかしながら、当社の当事業年度末の現金及び預金の残高に加え、2020年4月末日から2020年5月20日までに新規の借入を実行しており、当面の資金を確保していることから、重要な資金繰りの懸念はありません。従って、当事象の解消ができるものと考えており、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。

 

なお、文中の将来に関する事項の判断につきましては、有価証券報告書提出日現在においてなされたものであります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

①財政状態及び経営成績の状況

 当事業年度(2019年4月1日から2020年3月31日まで)におけるわが国経済は、企業収益や雇用・所得環境の改善に伴い個人消費は持ち直し緩やかな景気回復基調で推移しました。その一方で労働需給のひっ迫による人件費の上昇、また、不確実な海外の政治・経済情勢などから依然先行きは不透明な状況で推移しました。また、当事業年度終盤に発生した新型コロナウイルス感染症拡大による影響の深刻化は世界経済全体に大きな影響を与えました。国内景気においても感染拡大の防止対策として外出自粛やイベントの中止・延期、訪日客の入国・行動制限などによりヒト・モノ・カネの流れが停滞したことで、経済活動は大きく制約されました。

 外食業界におきましては、人件費や原材料費、物流費の高騰が続く中、多様化する消費者ニーズや根強い節約指向、そして、消費増税により税率10%の外食と軽減税率8%の中食などの業種、業態の垣根を越えた競争が激化しております。更に新型コロナウイルス感染症拡大で政府・自治体からの自粛要請により店舗の営業時間の短縮や休業を余儀なくされるなど、厳しい状態が続いております。

 このような経営環境の中で当社は、定期的なTVCMにより季節毎のフェアを告知するとともに、コア商品のブラッシュアップを行いました。費用面においては、ワークスケジュールの管理と機械化により更なる生産性の向上と、経費管理の徹底に努めました。店舗展開、改築・改装につきましては、6店舗の新規出店、1店舗の業態転換、4店舗の改装、3店舗の退店を実施し、その結果、当事業年度末店舗数は173店舗(うち業態転換のため1店舗休業中、前事業年度末比3店舗増加)となりました。

 また、CSR活動といたしまして、前年に引き続き、焼肉の「じゃんじゃん亭」近隣の児童養護施設の児童並びに職員の皆様(27施設、合計1,466名様)をご招待し、お腹いっぱい焼肉をお召し上がり頂きました。

 「よろこびの食文化の創造」を掲げる弊社の活動の一環として、今後も継続して参ります。

 

(財政状態の状況)

 当事業年度末の総資産は381億60百万円で前事業年度末比12億83百万円の減少となりました。これは主に、投資その他の資産が4億58百万円、有形固定資産が2億18百万円増加する一方で、現金及び預金が15億41百万円減少したことによるものであります。

 一方、負債は、89億50百万円で前事業年度末比6億90百万円の減少となりました。これは主に、買掛金が4億68百万円及び未払法人税等が3億60百万円減少したことによるものであります。また、当事業年度末の純資産は292億10百万円で前事業年度末比5億93百万円の減少となりました。主な要因は、当期純利益5億73百万円(増加)、剰余金の配当8億68百万円(減少)であります。

 以上の結果、当事業年度末の自己資本比率は76.5%(前事業年度末は75.6%)、1株当たり純資産は1,144.01円(同 1,167.24円)となりました。

 

(経営成績の状況)

 当事業年度の売上高は439億24百万円(前事業年度比 2.6%減少)、営業利益は14億26百万円(同44.6%減少)、経常利益は14億46百万円(同 43.6%減少)、当期純利益は5億73百万円(同 65.4%減少)を計上しました。1株当たり当期純利益は22.45円(前事業年度は1株当たり当期純利益64.98円)となりました。

 当事業年度におけるセグメント別の概況については、当社の事業は単一セグメントでありますので、その概況を部門別に示すと次のとおりであります。

 

木曽路部門

 しゃぶしゃぶ・日本料理の「木曽路」部門は、2店舗の改装、3店舗の新規出店により、当事業年度末店舗数は122店舗(前事業年度末比 3店舗増加)となりました。

 営業面では新規顧客の獲得、来店動機づくりにTVCMを引き続き実施するとともに、ご来店のお客様へ新元号に因んだクーポンの配布など、再来店を促すことで客数増に努めました。そして、木曽路の強みであるハレの日需要へのアプローチを引き続き実施し、最適なおもてなしの提供に注力してまいりました。その結果、売上高は371億18百万円(前事業年度比 2.5%減少)となりました。

 

居酒屋部門

 2019年9月1日付で営業力強化、業務効率化、及び人員の最適配置等のため、「素材屋」「とりかく」「ウノ」「ここの」を「居酒屋」部門に統合しました。「居酒屋」部門は1店舗の改装と1店舗の退店、1店舗の業態転換(「素材屋」から新業態酒場「大穴」(ダイアナ)への転換)を実施し、当事業年度末店舗数は24店舗(前事業年度末比 1店舗減少)となりました。

 営業面において、「素材屋」では味噌串かつ・手羽先の唐揚げなどの名古屋めしやこだわりの串焼き、また自家製の惣菜料理や旬の食材を活かした季節メニューの販売、焼酎一升瓶のお値打ち販売を実施するとともに、少人数から大人数まで様々な宴会でご利用いただける店舗として営業活動を行いました。「とりかく」では引き続き「手作り」、「鶏」にこだわった料理と旬の逸品料理の販売を行うとともに、ハイボールフェアなどを定期的に開催しました。その他、ワイン食堂の「ウノ」、九州味巡りの「ここの」についても宴会需要を中心に販売促進活動を行いました。その結果、売上高は32億30百万円(同 8.7%減少)となりました。

 

じゃんじゃん亭部門

 焼肉の「じゃんじゃん亭」部門は、1店舗の改装と1店舗の新規出店により、当事業年度末店舗数は15店舗(前事業年度末比 1店舗増加)となりました。

 営業面では、サラダバーやデザートバーを設置するなど新たなコンセプトでファミリー層を中心とした顧客獲得を目指し1店舗の改装と12月に「じゃん亭岐阜六条店」をオープンしました。既存店舗においては、食べ放題メニューの拡販とスピード提供、先手のサービスに取り組み、インスタグラムのハッシュタグキャンペーンや学生応援企画の実施などの販促により予約獲得に努めました。しかし、1店舗の改装休業及び既存店の客数の減少などにより、その結果、売上高は21億64百万円(同 4.5%減少)となりました。

 

鈴のれん部門

 和食 しゃぶしゃぶの「鈴のれん」部門は、店舗の異動はなく、当事業年度末店舗数は7店舗(うち業態転換のため1店舗休業中)であります。

 営業面では、「しゃぶしゃぶ祭り」や生ビール・ハイボールの平日半額販売を実施しました。御膳料理を充実させるとともに慶弔などのお集まりに対応したメニューと個室、送迎バスをアピールし、来店客数の増加に努めました。その結果、売上高は9億62百万円(同 2.6%増加)となりました。

その他

 その他部門は、からあげ専門店の「からしげ」、天丼の「てんや」、外販(しぐれ煮、胡麻だれ類)、不動産賃貸
等であります。

 前事業年度の「からしげ」、「てんや」の新規出店により、売上高は4億48百万円(同 62.9%増加)となりまし
た。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当事業年度のキャッシュ・フローは、営業活動から得られたキャッシュ・フローは、19億64百万円の流入超過(前
事業年度は20億73百万円の流入超過)となりました。主な内容は、税引前当期純利益10億94百万円、減価償却費13億
9百万円及び売上債権5億50百万円に対し、仕入債務の減少4億68百万円及び法人税等の支払額9億23百万円などで
あります。

 投資活動に使用されたキャッシュ・フローは24億2百万円の流出超過(同 13億円の流出超過)となりました。主
な内容は、有形固定資産の取得による支出14億78百万円及び投資有価証券取得による支出5億17百万円に対し、店舗
退店に伴う差入保証金の回収による収入1億32百万円などであります。

 財務活動に使用されたキャッシュ・フローは、11億3百万円の流出超過(同 7億62百万円の流出超過)となりま
した。主な内容は、配当金の支払額8億68百万円などであります。

 以上の結果、当事業年度末の現金及び現金同等物の残高は、前事業年度末に比べ15億41百万円減少し、138億93百
万円となりました。

③販売及び仕入の実績

イ.販売実績

   当社の事業は飲食店としての事業がほとんどを占める単一セグメントであります。当事業年度における販売実績の内訳を部門別・地域別に示すと次のとおりであります。

  ・部門別販売実績

部門別

当事業年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

前事業年度比(%)

木曽路(百万円)

37,118

97.5

居酒屋(百万円)

3,230

91.2

じゃんじゃん亭(百万円)

2,164

95.5

鈴のれん(百万円)

962

102.6

その他(百万円)

448

162.9

合計(百万円)

43,924

97.4

   (注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2.総販売実績に対し、10%以上に該当する販売先はありません。

 

  ・地域別販売実績

地域別

当事業年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

前事業年度比(%)

愛知県(百万円)

13,026

98.5

岐阜県(百万円)

867

95.9

三重県(百万円)

824

98.2

静岡県(百万円)

349

95.8

東京都(百万円)

11,512

93.7

神奈川県(百万円)

2,941

94.4

埼玉県(百万円)

3,337

102.3

千葉県(百万円)

1,341

97.9

茨城県(百万円)

274

96.4

群馬県(百万円)

279

98.4

栃木県(百万円)

384

128.9

奈良県(百万円)

467

171.1

和歌山県(百万円)

269

95.4

大阪府(百万円)

5,217

98.6

兵庫県(百万円)

2,024

93.6

福岡県(百万円)

806

95.5

合計(百万円)

43,924

97.4

   (注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

ロ.仕入実績

項目別

当事業年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

前事業年度比(%)

原材料

肉類(百万円)

4,060

94.2

 

野菜類(百万円)

1,275

92.1

 

魚介類(百万円)

2,649

97.8

 

調理済加工食品(百万円)

2,403

97.9

 

飲料(百万円)

1,511

92.7

 

米・パン類(百万円)

501

103.6

 

乳製品(百万円)

168

98.5

小計(百万円)

12,570

95.6

商品

店頭商品(百万円)

108

60.9

合計(百万円)

12,678

95.2

   (注)1.店頭商品とは菓子類及び胡麻だれ等であります。

  2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社は適切な成長性と収益性の確保を通じて着実な業容拡充と企業価値の向上を図ることを経営目標としております。そのために、売上高成長率及び売上高経常利益率を目標指標としています。業績の中期的展望については、当面は、過去最高業績水準である、売上高500億円、営業利益・経常利益30億円、利益率6.0%を業績目標としています。この中期的展望を元に、単年度の売上高、営業利益・経常利益、及び同利益率の目標値を設定し、目標達成に向けた施策や目標との乖離原因等について分析・検討してまいります。

 

 今後の見通しにつきましては、米中貿易摩擦や世界各地で相次ぐ自然災害など国際情勢の不確実性が増すなか、新型コロナウイルス感染症拡大により世界経済がほぼ停止した状態になり、サプライチェーンも分断され製造業にも多大な影響が出ています。我が国においても経済成長率がマイナスに転ずる予測もあり、不透明な経済環境が続くと想定されます。

 このような経営環境の中で、当社は、第一にお客様の食の安全・安心を追求するとともにコンプライアンスを徹底して参ります。そして、組織の在り方を見直し、教育体系を整備し、新規出店や新事業開発で企業規模の拡大を目指して参ります。新世代の木曽路へ魅力のある企業づくりを行い、人材の確保、定着、育成へとつなげて参ります。既存店においては、お客様の嗜好の変化に対応すべくコンセプトを見直し、新商品開発や販売促進活動とともにQSC(クオリティ・サービス・クリンリネス)の向上に努め、来店客数の増加を図ります。

 また、ワークスケジュールの精度向上、機械化・IT化によるオペレーションの見直しを推進し生産性向上に繋げるとともにムリ・ムダ・ムラを排除し経費削減に努めて参ります。

 以上のような事業活動を進めてまいりますが、新型コロナウイルス感染症の影響は世界的に拡大し、いまだ終息の目処が立たない状況にあります。当社におきましては、政府より発令された「緊急事態宣言」を受け、店舗の営業時間短縮や臨時休業を実施しております。こうした営業状況を踏まえ、現時点では業績に与える不確定要素が多く、業績予想を合理的に算定することが困難と判断したことから、2021年3月期の業績予想については未定としております。業績予想の開示が可能となった段階で速やかに公表いたします。

 

(3)資本の財源及び資金の流動性

 当社の運転資金需要は原材料及び人件費を主とした、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、新規出店、店舗の改築・改装、名古屋工場設備改修及び情報システム関連投資等によるものであります。

 当社の事業活動拡大に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用及び金融機関からの借入と社債の発行等による資金調達を基本的な方針としており、今後の調達の安定性と低コスト調達を実現するために調達方法の多様化も進めてまいります。

 なお、当事業年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は19億67百万円となっており、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は138億93百万円となっております。

 当社は将来の資金需要に円滑な調達を進めるため、株式会社日本格付研究所より、発行体格付け「BBB」を取得しております。

(4)重要な会計上の見積及び当該見積に用いた仮定

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積もり及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。なお、新型コロナウイルス感染症の拡大に係る当事業年度の会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 〔注記事項〕 (追加情報)」に記載のとおりであります。

 

①店舗資産に対する減損会計の適用

 店舗資産に対する減損会計の適用にあたっては、本社費等の共通費を配賦した後に営業損益が2期連続で赤字となり業績の悪化が認められる店舗等について、減損の兆候を識別しております。

また、減損損失の認識の要否は、周辺地域の競合店の状況、来店客数や客単価の見積もり、店舗人員数及び将来の設備投資の見積もり等を勘案した店舗別の将来キャッシュ・フロー予測等に基づいて判定しており、将来キャッシュ・フローによって店舗資産の帳簿価額を回収不能と判断した場合には、固定資産の減損損失を測定しております。なお、店舗の将来キャッシュ・フロー予測は当社の取締役会で承認された来期予算に基づいております。

 この点、業績の悪化が認められる店舗については、収益性確保のための各種施策等を講じており、当社が期待する効果を将来キャッシュ・フロー予測に一定程度織り込んでいますが、想定した効果が得られなかった場合には、結果として店舗資産に関する減損損失の認識額が増加する可能性があります。

 

②繰延税金資産の回収可能性

 繰延税金資産は、来期予算等に基づいて課税所得の発生時期及び金額を見積り、回収可能性が高いと判断した金額を計上しております。今後、経営環境の変化に伴い将来発生する課税所得の見通しが変化する場合には、繰延税金資産の計上額が変動し、損益へ影響を与える可能性があります。

 

4【経営上の重要な契約等】

  該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

  特記すべき事項はありません。