第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営方針

当社グループは創業以来「社業の発展を通じ社会に貢献する」を社是として経営を行なっております。

お客様である電力業界や多岐に亘る各産業界においては、環境等の社会課題に対しての関心や意志が高まるとともに、継続的な改善等の積み上げと飛躍的な技術革新等を背景にして、たゆまぬ進化・変貌が続いておりますが、当社グループは、こうしたお客様と社会の要請や期待に応えるべく、常に、先進性と多様性を備え、更に、永年培ってきた知見と機能を活かし、産業設備・機器等の商取引を通じ社会に貢献してまいる所存です。

 

(2)グループポリシー、グループ行動規範、グループミッション

当社グループは、結束力やグループ経営を推進していくため、「グループポリシー」、「グループ行動規範」、「グループミッション」を定め、グループに属する各社および、そこで働く社員一人ひとりがこれらを共有し、日々の行動に繋げ、グループ全体で企業価値の向上を目指しております。

 

グループポリシー

私たち西華産業グループは、お互いが連携し、高め合い、公明正大な企業活動を通じて持続可能な社会の発展に貢献します。

グループ行動規範

一人ひとりが法令を遵守すると共に社会から信頼されるよう倫理観を持って行動します。

グループミッション

グループ全体で豊かな社会を実現します。

 

 

(3)長期経営ビジョン

当社グループは、気候変動への対策としてのカーボンニュートラルの取り組みなど「環境」をめぐる変化の流れのなかにこそ、貢献すべきことがあるはずと考え、以下を基本戦略とする2030年に向けた長期経営ビジョン「VIORB 2030」を策定しました。

 

1)当社の存在意義

エネルギーおよび産業のインフラ分野に強みを持つ商社を核とする企業グループとして、地球環境と調和したサステナブルなエネルギー創出・産業活動を支援する

 

2)事業面での重点分野

以下の4点をキーワードとして掲げ、時代の流れに応じたユーザーニーズと技術を的確に捉えて対応することで、ビジネスを創り上げていく。

 

脱炭素のユーザーニーズと技術革新を機敏に捉えビジネス化

省エネ・省資源に関する産業界の恒久ニーズへの支援を拡大

サーキュラーエコノミーの進展・実現の動きへの対応を強化

デジタルトランスフォーメーションを広義に捉え商機を探求

 

3)経営面での主要施策

上述の事業展開を支え、現実性のあるものとするため、経営面では当面の主要施策として以下のことを実行する。

 

キャッシュマネジメントの仕組みの整備による資金余力の最大化

100億円規模の事業投資による既存事業の深化と事業領域の拡張

SDGsに資すると判断される事業や活動を応援するため10億円のファンドを設定

組織スリム化と生産性向上による重点分野への人的リソース投入

グループ各社毎の特性を踏まえた強みを明確にし経営資源を集中

 

 

4)経営数値目標

(連結)

 

2031年3月期

グリーンイノベーション関連商品取扱売上高

2,000 億円

親会社株主に帰属する当期純利益

45 億円

 

 

(4)中期経営計画 VIORB2030 Phase1

2023年4月から2027年3月までの4ヵ年計画として、中期経営計画「VIORB2030 Phase1」を策定し推進しております。

長期経営ビジョン「VIORB 2030」の前半部を担い、当社グループが飛躍的に成長する礎を築くための計画として位置付けております。

なお、本中期経営計画の初年度より、長期的目線で成長のトレースが出来る明確な区分とするため、従来の4セグメントから「エネルギー事業」「産業機械事業」「プロダクト事業」の3セグメントへと変更いたしました。夫々のセグメントで実効性の高い事業戦略を策定してまいります。

 

 

1)成長戦略

以下の基本戦略を軸とし、持続的な収益構造を確立、グループ全体の強靭化を図ります

 

1)営業戦略

・エネルギー事業をベースとする事業基盤強化

・4つの事業重点分野

「脱炭素、省エネ・省人化、サーキュラーエコノミー、DX」の推進による社会課題解決と事業拡大

・戦略的事業投資

取引先と共に成長路線を描き、商権・商材確保を主目的とした事業投資や、イノベーション事業の創出による新たな収益源の開拓

2)人事戦略

・多様な個性が活躍、全ての社員が働き甲斐を持てる人事制度の導入

・エキスパート、エリア、キャリア・リターン等、多種多様な採用を推進

・教育研修の充実化によるレベルアップ

3)事業ポートフォリオの再構築

・各事業体の成長性を見極めによる選択と集中、資産の入替えの実施

 

 

2)経営数値目標

(連結)

 

2027年3月期

営業利益

52 億円

親会社株主に帰属する当期純利益

35 億円

 

 

資本コストや株価を意識した経営の実現を念頭に、資本効率を重視した事業推進によって成長戦略を加速化させ、長期経営ビジョンにおける最終年度連結純利益目標の前倒し達成を目指すとともに、進捗状況によって中期経営計画の数値目標について適宜見直しを行います。

 

(5)会社の対処すべき課題

当社は、中期経営計画において『環境』を事業活動の重点テーマとして掲げており、地球と調和したサステナブルなエネルギーの創出と産業活動を支援するとともに、それを成長ドライバーとして当社自身の持続的成長と企業価値向上に繋げることを最大のミッションとしております。ミッション達成に向けた基本方針として以下の4つを掲げています。

 

 

①資本コストや株価を意識した経営の実現

資本収益性向上への意識を常に持ち、経営の革新、戦略的な資源配分、リスクマネジメント、事業ポートフォリオの最適化、適確な情報開示を行う

 

②グループ経営強化

グループ会社へ本社から積極的・一元的な支援を行うことにより、コーポレート業務の安定化、ガバナンス体制の強化を推進する

 

③人的資本経営の実現

社員の能力や意欲を向上するための施策・研修制度、社員の適切配置による組織能力の最大化等により、人材の価値を最大限に引き出し、企業価値向上に繋げる

 

④事業セグメント毎の戦略・体制強化

各事業セグメントの特性を踏まえた戦略を設定し、事業環境の分析や成長性のモニタリングを効果的に行う体制を整え、中長期的視点での事業最適化を推進する

 

セグメント毎の主要な営業戦略は以下の通りです。

エネルギー事業

インフラ事業の安定的運営と拡充

ユーザーニーズを捉え脱炭素分野の商権拡大

産業機械事業

事業領域・地域両面での「市場」の拡大

サーキュラーエコノミー実現に向けた課題解決

各業界のトレンドやニーズに沿った自動化提案

プロダクト事業

最先端計測、DX関連のニッチトップな商材の拡充

半導体分野の更なる進出

グループ企業でのオリジナル商材の開発

 

 

中長期的な当社の成長戦略は右のモデル図の様に認識しており、
既存事業の基盤強化と新たな収益構造の創生を並行して推し進め、グループ全体の強靭化を図ります。

 


 

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、以下の通りです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

 

(1)基本的な考え方

当社グループは、「地球環境と調和したサステナブルなエネルギー創出・産業活動を支援する」というパーパスを実践し、豊かな社会の実現に貢献するため、2030年に向けた長期経営ビジョン「VIORB 2030」を策定致しました。環境・社会・経済の観点から持続可能な社会にしていくこと、気候変動への取組みを通じて当社が地球環境に貢献できることを追求しながら、企業の成長との両立を進めてまいります。また、当社において最も重要な資本である人材の確保や育成に係る取組みを通じ、その価値を最大限に引き出すことで中長期的な企業価値向上につなげてまいります。

 


 

(2)ガバナンス

サステナビリティに関する基本方針やモニタリング体制の整備など重要事項は経営会議や取締役会に付議・報告し、取締役会の監督のもとで進められています。

個別に設置・対応してきた各部、各委員会・プロジェクトチーム等を、サステナビリティ基本方針に沿って全社網羅的・機能的に運営させること、またそれにより様々な社会的課題を解決することを目的とし、各機関を「環境対応」「人を大切にする経営」「経営品質の向上」の3つのカテゴリーに整理・集約し、それらの取り組み方針を策定し推進するための部会を設置し、モニタリングする上部機関として、サステナビリティ委員会を設置しています。


 

 

(3)戦略

当社グループは、様々な社会課題と当社事業との関連性や影響度合を分析し、優先的に取り組むべき4つの「マテリアリティテーマ」と12の重要課題を特定致しました。

マテリアリティを経営戦略やサステナビリティ委員会の施策と連携させることで、事業活動を通じこれらの課題解決を目指しています。

 


 

(4)リスク管理

当社では、気候変動を中心とした地球環境問題への配慮、従業員の労働環境の整備、地域社会との共存・共栄といったサステナビリティ全般に関する協議、方針決定の場としてサステナビリティ委員会を年4回開催しております。サステナビリティに関するリスクはサステナビリティ委員会で特定・分析を行い、対応策を協議・実施します。また重要なリスクについては、全社リスク管理のプロセスと同様に、経営会議による分析を経てその影響度や管理状況について適宜取締役会への報告を行っています。

 

(5)指標と目標

長期経営ビジョン「VIORB 2030」では、「環境」を事業重点テーマとして掲げ、取引先の温室効果ガス排出削減や産業の持続的成長を支援することをミッションとしております。その成果を測るため、「グリーンイノベーション関連商品」の取扱売上高目標を設定しております。

 

当期における実績および推移は下表のとおりです。

 

2021年度

2022年度

2023年度

2026年度

目標

2030年度

目標

グリーンイノベーション

関連商品取扱売上高

843億円

964億円

1,500億円

1,800億円

2,000億円

 

※ 脱炭素、クリーンエネルギー、省エネ・省資源、公害防止、リサイクル・リユースなど、環境配慮や環境保全に貢献しうる商品の取扱売上高

 

今後、策定したマテリアリティに関連する具体的な取り組みおよびKPIを設定し、その進捗と併せて開示してまいります。

 

 

  (気候変動に関する取り組み)

 

(1)ガバナンス

気候変動に関するガバナンスは、サステナビリティに関するガバナンスに組み込まれており、重要事項は経営会議や取締役会の監督のもとで進めております。気候変動対応推進の実務は企画部・営業部門・子会社等が連携し、気候変動リスク・機会の特定、事業戦略への落とし込み、管理指標および目標の検討などを行い、管掌役員を通じて経営会議や取締役会へ報告しております。

 


 

(2)戦略

気候変動が当社事業・業績に与える影響について、TCFDフレームワークに基づき、以下2つのシナリオ分析を行っております。

 

2℃未満シナリオ:低炭素経済へ移行するシナリオ

4℃シナリオ:物理的気候変動リスクが高まるシナリオ

 

気候変動シナリオはIPCC SSP1-2.6、IPCC SSP5-8.5を使用しています。

なお、分析の時間軸は基本的に移行リスクについては2030年、物理的リスクは2050年を基準としています。

分析対象として、西華産業本社及び連結子会社である日本ダイヤバルブ、敷島機器、セイカダイヤエンジン、Tsurumi(Europe)の計 5 社を選定しています。上記分析対象企業で当社連結売上高、営業利益のそれぞれ 90% 以上を占めています。

特定したリスクと機会に関しては、リスクへの対応や機会の最大化に向けて、中期経営計画で掲げた取組を推進しております。

 

(3)リスク管理

気候変動問題に関して、気候変動等の社会・環境問題に起因する事業環境の変化に適切に対応出来ないことにより事業の持続性が妨げられるリスクを認識し、経営の戦略的判断に活用出来る体制を整えています。

気候変動リスクの対応は、サステナビリティ委員会傘下の「環境対応」部会が主要なリスクの状況をまとめ、定期的に経営会議や取締役会に報告しております。

 

(4)指標と目標

2020年度より西華産業単体のCO2排出量の捕捉を行ってまいりましたが、2023年度より主要グループ企業4社(※1)を含めたScope1、Scope2(※2)の温室効果ガス(GHG)排出量の捕捉を開始致しました。集計したデータを元に排出削減に向けた取り組みおよび目標設定を進めてまいります。加えて、サプライチェーンのお取引先様との情報共有を進めながら、当社グループにおけるScope 3のGHG排出量の捕捉も検討してまいります。

 

2023年度 西華産業グループGHG排出量              (単位:t-CO2)

Scope1

1,006

Scope2

989

 

Scope3(一部※3

32

合計

2,027

 

※1 日本ダイヤバルブ、敷島機器、セイカダイヤエンジン、Tsurumi(Europe)

※2 Scope1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)

     Scope2:他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出

※3 一般廃棄物の処理に伴うCO2換算排出量

 

 (人的資本経営の取り組み)

当社は、人材を最も重要な経営上の資本と捉え、人材価値を最大限に引き出すことで、会社の持続的な成長と企業価値向上につなげていくこととしております。サステナブルな社会の構築に向けた施策を確実に実行し、積極的な人的資本への投資を掛け合わせることでグループの強靭化を図り、その取り組みを次世代につなげてまいります。

 

(1)人材育成の基本方針

社員一人ひとりの個性を尊重し、本人の成長意欲を高めるための環境づくりを推進しております。高度な専門性を伴う実務能力の向上、並びに幅広い知識・能力の習得を目的に、経営戦略の実現を担う人材の育成に取り組んでおります。

 

(2)人材育成プログラム(教育・研修制度)

 階層別研修

入社年次や役職等の各階層で期待される職務遂行能力の習得を目的としたもの

目的別研修

充実したテーマの中から目的に沿った研修やセミナーを自主的に受講できるもの

エンゲージメント向上

座学では学ぶことができない当社に脈々と流れる思想や所作を継承する機会を設け社員のエンゲージメント向上を図るもの

自己啓発

専門知識や教養を高めるために外国語の習得や各種公的資格の取得を支援するもの

グローバル人材育成

当社グループの海外現地法人への研修派遣・出向を通じて国際的に活躍できる人材を育成するもの

経営人材育成プログラム

将来の当社グループの経営を担うに相応しい人物の出現を促すべく、候補人材を育成するもの

サクセッションプラン

経営トップの後継者となり得る、優れた見識や実力、品格を兼ね備えた人物を見出すとともに、能動的かつ計画的に育成を図ることで、経営者としても確実な成長を促すもの

 

 

人材育成に関するパフォーマンス

2021年度

(99期)

2022年度

(100期)

2023年度

(101期)

延べ研修実施時間   ※1

1,880時間

1,935時間

3,350時間

教育・研修費用の総額 ※2

2,600万円

2,800万円

4,700万円

 

※1 当該年度において実施した「階層別研修」および「目的別研修」の延べ実施時間を合算

※2 人材育成プログラムにおける各種費用(外部機関への研修委託料、セミナー受講料、各種公的資格受験料およびこれらに付随する諸費用)の合計金額

 

2024 年度(102 期)においても充分な育成予算を投じるとともに、教育・研修プログラムの更なる充実化を図ってまいります。

 

 

(3)新人事制度の導入

「社員の能力・意欲の向上」と「適材適所による組織の能力・機能の最大化」を図ることを目的に、等級・評価・報酬制度のそれぞれについて、以下のコンセプトをベースとした新人事制度を2024 年4 月より導入しております。

等級制度

・年功的な運用からの脱却、また、総合職や一般職といった職掌区分をなくすことで、人材の早期抜擢や適材適所な配置ができるよう、シンプルな職掌と等級の構成にする

評価制度

・評価結果のフィードバックを徹底し、課題意識、処遇の納得感、動機づけを与えることで個人の成長を促す

・目標管理と評価の仕組みを見直し、個人の目標達成度を公平・公正に評価し処遇に反映させる

報酬制度

・年功的色彩を排除し、昇給や賞与は評価によりメリハリをつけ、個人の行動や成果を報酬に反映させる

・等級間の水準差を明確にし、昇格意欲を喚起する

 

 

2024 年度(102 期)においては、新制度が目指す効果を得るために、制度の重要要素である個人の目標管理と評価のフィードバック徹底が全社的に確実に実行されるよう、所管部署である総務・人事部を中心に支援を行いながら、組織力の更なる向上を図ってまいります。

 

 (4)採用
各事業セグメントに必要となる人材要件を明確にしたうえで、定期的な採用に加え、専門性やエリア性によるキャリア採用のほか、当社への勤務経験があり能力や経験、人柄について把握できている人材向けのキャリア・リターン採用など、以下の方針のもと、中長期かつ各事業の特徴を考慮した多様な視点での採用を推進しております。

1.当社グループの持続的成長を担い、その事業を強靭化するために必要な人材を採用する

2.足元の人的需要だけではなく、中長期的な事業の成長を見据える

3.事業の急拡大や想定外の離職による人員不足へ対処できるよう、エネルギー事業等の基礎収益事業向けを中心に、中長期的な視野で、計画的に人材を採用する

4.グループ経営の高度化を図るため、コーポレート部門の機能に必要な人材は、専門性や職種への適合性を考慮のうえ採用する

 

エキスパート

各事業の特性により固有に要求される高い専門性や経験を備える人材を積極的に採用

エリア(地域限定)

各事業の特性や地域性等の事業環境に合わせて、各拠点での事業継続性を担保し、且つ、社員の働き方の多様性に対応するため、各拠点に勤務地域を限定する人材を積極的に採用

キャリア・リターン

これまでに当社の社員として働いたことがあり、自己都合により退職した方を対象とした採用

グループ人材活用

グループ会社間における人事(求人・離職)情報の連携を深め、優秀な人材のグループ企業内における最適配置を図る取組み

 

 

 

(5)給与テーブルのベースアップ、新卒初任給の引上げ

社員のモチベーションアップと働き甲斐を持てる環境づくりに取り組んでおります。昨今の物価上昇等社会情勢を鑑みるとともに、優秀な人材の確保を目的として、2023 年度給与における給与テーブルのベースアップと新卒初任給の引上げに続き、2024 年度給与においても社員一律12,000 円の定額ベースアップを実施いたしました。新人事制度による給与テーブル改定および定期昇給相当分を含めると、平均して約7%の賃上げとなります。
また、給与テーブル改定に伴い、新卒初任給を大学卒で12,000 円、大学院卒で12,200 円それぞれ引上げを実施いたしました。

 

 

2022 年度

2023 年度

2024 年度

 新卒初任給
(大学卒)

215,900 円

 250,000 円
(+15.8%)

 262,000 円
(+4.8%)

 新卒初任給
(大学院卒)

254,800 円

 274,800 円
(+7.8%)

 287,000 円
(+4.4%)

 

 

人材への「投資」は最重要課題の一つと捉えており、今回の新人事制度の導入や給与テーブルのベースアップはその方針を施策として具体化したものです。

 

(6)次世代法・女性活躍推進法に基づく行動計画

2023 年4月より、次世代法・女性活躍推進法に基づく3 ヵ年の行動計画を推進しております。今後も育児や介護と仕事を両立しながら、その能力や適性を発揮できるよう、更なる職場環境の整備を行うとともに、積極的に女性の活躍を推進し、社員がより生き生きと働ける環境の構築に努めてまいります。

(計画期間:2023年4月1日~2026年3月31日までの3年間)

育児・介護関連制度の充実

社員がより一層育児に参画できるよう、出生時育児休業など各種制度の周知活動を積極的に実施するとともに、休業等の制度を利用しやすい職場環境の改善に努めております。

また、介護に関しても制度の拡充を進めております。

新たな働き方への挑戦

Business Process Outsourcing(BPO)推進により、業務効率化と組織・体制の最適化を図り、より高度な業務への挑戦の具現化を目指しております。
また、職業生活と家庭生活の両立を支援するためにフレックスタイム制の更なる推進を図り、現状の使用率70%から80%への向
上を目指します。

女性が活躍できる制度の整備 ※3

新人事制度の導入により従前の等級制度を見直し、社員の役割の幅を拡大するとともに、評価・考課結果のフィードバック内容を充実させることで、キャリアプランの構築の支援や、多様な働き方の選択肢を提供し、女性が活躍できる制度の整備を進めております。
また、正社員、契約社員ともに能力向上に向けた研修内容を充実させ、女性社員の研修受講率100%を目指しております。

経営幹部による討議・検討

経営幹部と女性社員および次世代を担う若手社員が定期的に意見交換をする場を設け、育児・介護に関する事項を含めた働き方全般についてニーズを汲み取ったうえで、取締役会および経営会議等にて具体的な行動計画の更なる充実のための討議・検討を行っております。

 

※3 2024 年度(102 期)においては、従来の経営人材育成プログラムに繋がる取り組みとして、女性社員の管理職への登用を目的とした、社長直轄の育成プロジェクトを追加導入しております。

 

(7)職場環境整備への取組み

働き方改革の推進

部門別・職種別の休暇取得状況の傾向を把握しながら、積極的な休暇の取得を推奨しております。加えて、有給休暇取得率向上につながる新たな施策を検討しております。
また、フレックスタイム制、プレミアムフライデーなどの柔軟な勤務形態の導入により社員のワークライフバランスの充実を図ります。

従業員満足度調査

従業員にとって働きやすい職場環境を実現するため、毎年全社員を対象とした「従業員満足度調査」を実施し、改善施策の検討・ 実施と指標推移のモニタリングを行っています。
2022 年度の調査結果は、満足度79%と前回より8.5%改善し、2023年度の調査結果も満足度79%と業界平均(約50%前後)を大きく上回る水準を維持しております。2021 年度に取り組みを開始したタウンホールミーティング によって従業員と向き合う経営陣の姿勢、経営陣の言動への共感が高まり 改善の効果に結びついたと考えています。

労働安全衛生

 社員の健康維持・増進の観点から、福利厚生として法定健康診断に加えて30 歳以上の従業員および役員に生活習慣 病または人間ドック実施や腫瘍マーカー検査やインフルエンザ予防接種費用の全額負担などを行っています。 また、定期健康診断の一環として全従業員を対象にストレス診断を実施しております。また、診断結果について従業員の希望 に応じて医師との面談を実施し、医師の助言の基に 改善対策を講じています。

 

 

(8)その他

人的資本経営の取り組みについては、規模や制度の違いにより、連結グループに属する全ての会社では行われていないため、連結ベースでの記載が困難であります。このため、前述の指標に関する目標および実績は、当社単体における情報を記載しております。

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、財務の状況等に関する事項のうち、経営者が企業の業績、財務状況および資金繰りに甚大な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)事業投資に伴うリスク

当社グループは、新たな商権の獲得や取引先との関係強化を目的とした事業投資による収益の拡大にも取り組んでおります。法規制や市場の変化、競争の激化などによって事業投資先の価値が低下した場合は投入リソースに対するリターンが充分に得られず、また事業撤退に伴うコストや損失が発生した場合は当社グループの業績にも影響を及ぼす可能性があります。事業投資管理体制を整備し、適切な管理を行う事でリスクの低減に努めております。

 

(2)債権回収のリスク

当社グループは、国内外の取引先に対して信用を供与することにより販売を行っており、その取引先の経営破綻や予期せぬ事態の発生によって債権回収が困難となった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。定期的に取引先の信用状況を確認し、与信額が基準を超過する取引先においては経営会議等で信用供与の可否を審議することにより、リスクの低減に努めております。

 

(3)気候変動に関するリスク

世界的な気候変動とその対策に関わる動向により、温室効果ガス排出削減のための法的規制の強化や、仕入取引先や顧客を含むサプライチェーンとしての影響なども含め、当社グループの事業活動上の特別な配慮または対応が必要となる場合が想定されます。また、気候変動によって営業活動や生産活動に支障が生じた場合、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)自然災害等に関するリスク

地震、台風、火災、感染症の流行等の災害発生により、当社グループの事務所・設備・システム・サプライチェーン・役員並びに社員などに対する被害が発生し、営業・生産活動に支障が生じる可能性があります。このような事態に備え、当社では、社員の安否確認システムの導入や、大規模災害発生対策要領の策定、コンピュータシステムの分散およびデータのバックアップ、防災訓練などの対策を講じておりますが、完全にリスクを回避することは難しく、被害が発生した場合には当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)特定の取引先への依存に関するリスク

当社は、三菱重工業株式会社ならびに三菱重工グループ各社の代理人として国内電力会社などに発電設備を納入するとともに、当社の顧客としての取引関係にもあることで、三菱重工グループが当社業績に対して安定的かつ大きな割合を占めております。そうしたなか、仮に三菱重工グループ製品の需給動向に大きな変化が生じる、同社側の特定事業からの撤退、または三菱重工グループ各社との関係性が損なわれた場合、当社グループの信用や業績に甚大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)カントリーリスク

当社グループは世界12か国において124の拠点を有しています。各国の情勢や動向を踏まえて事業運営を行っておりますが、政策・法規制の変更、政治的要因など予測不能な事態が発生した場合、当社グループの業績にも影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(7)情報セキュリティに関するリスク

当社グループは、サイバー攻撃や脅威への備え、情報セキュリティの維持・向上を目的とし、情報セキュリティの基本方針を定め、各情報システムや関連規定の継続的な改善を行うとともに、情報セキュリティ研修など社内啓蒙活動を実施し、コンピューターウィルスや不正アクセスによる被害を抑えるための対策を講じております。ただし万が一、想定を超えた事態により、重要情報の外部漏洩や情報システムの継続利用への支障をきたす事態が発生した場合は、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(業績等の概要)

(1) 業績

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナ禍の終息により経済活動の正常化が見られる一方で、地政学的リスクの高まり・顕在化、資源・原材料等価格の高止まり、各国の金融引き締めに伴う経済への影響懸念など、先行きの不透明感が払拭されない状況で推移いたしました。

このような経済環境のもと、当連結会計年度における当社グループの業績につきましては、売上高は、当社単体において前連結会計年度に大型案件の受渡しがあったことの反動から、前期比7.0%減867億85百万円となりました。利益面では、当社単体の事業拡大に伴う体制拡充等による先行した販管費の増加があったものの、国内外の連結子会社での顕著な増益があったことを主因として、営業利益が前期比20.3%増55億80百万円となりました。一方、前連結会計年度において持分法適用会社化に繋がる株式取得に伴う負ののれんの計上や当連結会計年度以上の政策保有株式の縮減に伴う売却益の計上があったことの反動から、経常利益が前期比0.5%減62億55百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が前期比10.2%減44億89百万円となりました。

 

(2) セグメント別の状況

各セグメントの状況は以下のとおりです。

なお、当連結会計年度より事業セグメントの区分方法を見直し、従来の「電力事業」「化学・エネルギー事業」「産業機械事業」「グローバル事業」から、「エネルギー事業」「産業機械事業」「プロダクト事業」の3区分に変更いたしました。当連結会計年度における前期比較は、変更後の区分に基づいております。

 

「エネルギー事業」

西日本各地区の電力会社発電所向け、首都圏・関西ほかの一般産業の自家発電向けともに発電設備のメンテナンス案件は順調ながら、前連結会計年度に大型の新設案件の受渡しがあったことの反動で、売上高は前期比5.0%減297億1百万円、上述の当社単体における体制拡充等に伴い先行した販管費の増加などにより、セグメント利益は前期比3.5%減19億84百万円となりました。

 

「産業機械事業」

当社単体において前連結会計年度に大型案件の受渡しがあったことの反動により、売上高は前期比20.9%減276億4百万円となった一方で、新型コロナ禍により活動が大きく制約されてきた一部の海外連結子会社の事業活動および業績が通常に戻ったことなどが寄与し、セグメント利益は1億50百万円(前連結会計年度は0百万円の利益)となりました。

 

「プロダクト事業」

当社単体における計測機器事業の堅調な業績推移に加え、欧州各国で工事用水中ポンプを主として取り扱うTsurumi(Europe) GmbHグループや、ダイヤフラム弁を中心とするバルブを製造・販売する日本ダイヤバルブ株式会社に代表されるグループ各社の業績が好調を維持していることを主因に、売上高は前期比8.5%増294億78百万円、セグメント利益は前期比29.5%増33億78百万円となりました。

 

なお、当社グループの海外売上高は、前期比12.2%増168億36百万円であり、当社グループ全体の売上高に占める割合は19.4%となりました。

 

 

(3) 目標とする経営指標の達成状況等

当社グループにおける中期経営計画VIORB2030 Phase1の中で目標とする経営指標および経営数値目標は、最終年度(2027年3月期)の連結「営業利益」52億円および「親会社株主に帰属する当期純利益」35億円としており、2024年3月期の実績は連結営業利益55億80百万円、連結当期純利益44億89百万円となりました。

 

(4) 財政状態

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ385億52百万円48.2%)増加し、1,185億43百万円となりました。

当連結会計年度末の負債の合計は、前連結会計年度末に比べ311億8百万円70.3%)増加し、753億62百万円となりました。

当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ74億43百万円20.8%)増加し、431億80百万円となりました。

この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の43.7%から35.7%となりました。

 

(5) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ2億24百万円減少104億28百万円となりました。

なお、当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

当連結会計年度における営業活動によって、資金は、25億41百万円増加(前連結会計年度7億31百万円の減少)しております。

当連結会計年度における投資活動によって、資金は、88百万円減少(前連結会計年度10億68百万円)しております。

当連結会計年度における財務活動によって、資金は、34億62百万円減少(前連結会計年度48億16百万円)しております。

 

(生産、受注及び販売の状況)

(1) 生産実績

当連結会計年度において、生産実績に著しい変動はありません。

 

(2) 受注状況

当連結会計年度の受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメント

受注高(百万円)

前期比(%)

受注残高(百万円)

前期比(%)

エネルギー事業

34,342

4.1

24,404

6.1

産業機械事業

25,959

△2.7

19,309

1.3

プロダクト事業

31,283

2.2

13,550

△0.6

合   計

91,585

1.5

57,265

2.8

 

(注) 上記記載の金額は、百万円未満を切り捨てて表示しております。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

エネルギー事業

29,701

△5.0

産業機械事業

27,604

△20.9

プロダクト事業

29,478

8.5

合   計

86,785

△7.0

 

(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は総販売実績

    の100分の10未満であるため記載を省略しております。

(注)2.上記記載の金額は、百万円未満を切り捨てて表示しております。

 

 

(財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析)

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社および連結子会社)が判断したものであります。

 

(1) 財政状態

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ385億52百万円48.2%)増加し、1,185億43百万円となりました。これは、流動資産が341億70百万円、固定資産が43億82百万円増加したことによるものであります。流動資産の増加は、商品及び製品が4億11百万円減少した一方で、受取手形、売掛金及び契約資産が176億65百万円、前渡金が173億2百万円増加したこと等によるものであります。また、固定資産の増加は、投資有価証券が43億61百万円増加したこと等によるものであります。

当連結会計年度末の負債の合計は、前連結会計年度末に比べ311億8百万円70.3%)増加し、753億62百万円となりました。これは、短期借入金が19億99百万円減少した一方で、前受金が176億40百万円、支払手形及び買掛金が131億71百万円、繰延税金負債が13億93百万円増加したこと等によるものであります。

当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ74億43百万円20.8%)増加し、431億80百万円となりました。これは、株主資本が31億98百万円、その他の包括利益累計額が40億71百万円増加したこと等によるものであります。 

株主資本の増加は、利益剰余金が31億78百万円増加したこと等によるものであります。利益剰余金の増加は、剰余金の配当13億88百万円による減少と、親会社株主に帰属する当期純利益44億89百万円を計上したこと等によるものであります。

その他の包括利益累計額の増加は、その他有価証券評価差額金が33億69百万円、為替換算調整勘定が6億78百万円増加したこと等によるものであります。

この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の43.7%から35.7%となりました。

 

(2) 当連結会計年度の経営成績の分析

当連結会計年度における当社グループの業績につきましては、売上高は、当社単体において前連結会計年度に大型案件の受渡しがあったことの反動から、前期比7.0%減867億85百万円となりました。利益面では、当社単体の事業拡大に伴う体制拡充等による先行した販管費の増加があったものの、国内外の連結子会社での顕著な増益があったことを主因として、営業利益が前期比20.3%増55億80百万円となりました。一方、前連結会計年度において持分法適用会社化に繋がる株式取得に伴う負ののれんの計上や当連結会計年度以上の政策保有株式の縮減に伴う売却益の計上があったことの反動から、経常利益が前期比0.5%減62億55百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が前期比10.2%減44億89百万円となりました。

 

(3) 経営成績に重要な影響を与える要因について

感染症による行動制限が緩和され、経済の持ち直しの傾向がみられるものの、急激な円安の進行や、ロシア・ウクライナ情勢の長期化、それに伴うエネルギー資源等の高騰、国内外におけるビジネス環境は厳しさを増していくことが予想されます。一方で、今般のエネルギー危機に対し低炭素化や再エネ投資の需要が拡大する中で、当社の基礎収益分野であるエネルギー事業においては、原子力発電関連業務の他、火力発電の高効率化や再エネ商材の取扱い拡大等の営業機会拡大が期待されます。

 

 

(4) 資本の財源及び資金の流動性について

当社グループは、主たる資金需要として、営業活動上の運転資金に加えて長期経営ビジョン「VIORB 2030」遂行のための資金投資や、配当支払等を見込んでおります。

 
当社においては、換金性の高い金融資産を相当量保有していることに加え、当社および主要な国内グループ会社間でキャッシュ・マネジメント・システム(CMS)を導入しており、グループ内の資金効率化に努めております。また、金融機関との間で総額50億のコミットメントライン契約の締結並びに総額111億円の当座貸越枠の設定をしていることから、将来の当社グループの資金需要に対して不足が生じる懸念は極めて少ないものと認識しております。

当連結会計年度における営業活動上の運転資金を除く主な資金使途としては、当社において短期の銀行借入金20億円の返済を実施しております。
また、当社における配当につきましては、当連結会計年度において1株当たり年間115円、総額13億88百万円の配当の支払を実施しました。更に、2024年6月26日に開催された当社の定時株主総会において2024年3月31日現在の株主に対し、2024年6月27日に1株当たり90円、総額10億86百万円の期末配当を実施することが承認されました。
 
当連結会計年度末の流動資産は955億99百万円と、前連結会計年度末に対し341億70百万円増加し、また、流動負債は701億46百万円と、前連結会計年度末に対し296億73百万円増加しております。これは主に、大口の発電設備設置工事等の受注に伴う前渡金並びに前受金が増加したこと等によります。(詳細は、前述の「(1) 財政状態」を参照下さい。)その結果、流動比率は136.3%と前連結会計年度末に対し15.5ポイント減少となっておりますが、引続き健全な財務状態を維持しております。
 
以上の結果、翌連結会計年度においても、営業活動から得られるキャッシュ・フロー、金融機関からの借入等により、当社グループの資金需要に対応できると考えております。
 

次に、当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。

 

  (営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動によって、資金は25億41百万円増加(前連結会計年度7億31百万円の減少)しております。これは、売上債権の増加176億11百万円(前連結会計年度3億89百万円の減少)、前渡金の増加172億67百万円(前連結会計年度248億39百万円の減少)等の資金の減少があった一方で、税金等調整前当期純利益64億45百万円(前連結会計年度69億98百万円)の計上、仕入債務の増加133億47百万円(前連結会計年度2億34百万円の減少)、前受金の増加175億95百万円(前連結会計年度262億32百万円の減少)等による資金の増加があったことによるものです。

 

  (投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動によって、資金は88百万円減少(前連結会計年度10億68百万円)しております。これは、投資有価証券売却による収入4億65百万円(前連結会計年度14億60百万円)等の資金の増加があった一方で、有形固定資産の取得による支出5億19百万円(前連結会計年度23億56百万円)等の資金の減少があったことによるものです。

 

  (財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動によって、資金は34億62百万円減少(前連結会計年度48億16百万円)しております。これは、短期借入金の純減少20億7百万円(前連結会計年度35億6百万円)、配当金の支払額13億84百万円(前連結会計年度8億98百万円)等の資金の減少があったことによるものです。

 

 

(5) 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益、費用の報告数値および開示に影響を与える見積り、判断および仮定を使用することが必要となります。当社グループの経営陣は過去の実績や状況に応じた合理的な見積り、判断および仮定により継続的に検証し、意思決定を行っております。しかしながら、これらの見積り、判断および仮定は不確実性を伴うため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表において採用する重要な会計方針および見積りは、「第5 経理の状況」に記載しておりますが、特に次の重要な会計方針が、当社の連結財務諸表の作成に重要な影響を及ぼすと考えております。

 

① 貸倒引当金
債権の貸倒れによる損失にそなえるため、一般債権については、貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については、個別に回収可能性を検討して、回収不能見込額を計上しております。
将来、債務者の財務状況が悪化し支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上または貸倒損失が発生する可能性があります。

② 繰延税金資産の回収可能性の評価
繰延税金資産の回収可能性の判断に際しては、将来の課税所得を合理的に見積もっております。繰延税金資産の回収可能性は、将来の課税所得の見積りに依存するため、将来において当社グループを取り巻く環境に大きな変化があった場合など、その見積り額が変動した場合は、繰延税金資産の回収可能性が変動する可能性があります。

③ 固定資産の減損処理
固定資産については、資産グループの回収可能価額が帳簿価額を下回った場合に、その差額を減損損失に計上しておりますが、回収可能価額は、資産グループの正味売却価額と割引後将来キャッシュ・フローとして算定される使用価値のいずれか大きい方としていることから、将来、固定資産の使用方法を変更した場合または資産グループを使用している事業の損益の悪化が見られ、短期的にその状況が回復しない場合には、新たに減損損失が発生する可能性があります。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

 

当社は、2024年6月7日開催の取締役会において、日本フェンオール株式会社の普通株式を同社の株主6名から取得し、本株式取得を前提として、日本フェンオール株式会社との間で資本業務提携を行い、同社を持分法適用関連会社とすることを決議し、同日付で株式譲渡契約および資本業務提携契約を締結いたしました。

詳細は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 注記事項(重要な後発事象)」をご覧ください。

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループにおいては、主としてプロダクト事業に属する日本ダイヤバルブ(株)にて研究開発活動を行っております。同社は、ダイヤフラム弁・ボール弁・バタフライ弁を主体とするメーカーとして、新製品開発および改良による競争力の維持に努めており、当連結会計年度における研究開発費の総額は142百万円であります。