文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループは、これまでに展開してきた事業の成長戦略を引き続き実施し、更なる飛躍を遂げるために、課題に取り組んでまいります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、製品開発から顧客サービスまで一貫した優秀なシステム・体制を構築・維持しながら、社会に役立つ製品とサービスを世界中へ提供し、顧客からの信頼・支持を得ることを目標としております。
経営理念に掲げている「創造」「独創」「挑戦」を継続し、「エンドユーザーファースト」精神のもと、製品やサービスを通じて顧客の目の健康を守ることはもちろん、「人にも動物にも環境にも優しい地球企業」を目指します。
(2) 目標とする経営指標
当社グループは、中期経営計画「Vision2030」を策定しております。‘新しい「みる」を世界に’をスローガンに掲げ、五感を通じて人々が幸せや豊かさを実感できるような商品やサービスを提供してまいります。「Vision2030」達成に向けたのマイルストーンとして新たに、2028年3月期において連結売上高1,400億円超、営業利益率12%、ROE12%を目標として定めました。
(3) 中期的な会社の経営戦略
当社グループは、「Vision2030」を実現するため、2つの成長戦略方針として「1DAY戦略方針:独創性のある製品とサービスで、1DAYグローバルトッププレーヤーを目指す」、「オルソケラトロジー関連(近視進行抑制)戦略方針:近視進行抑制に関する新たな価値を創造し、オルソケラトロジー関連(近視進行抑制)のリーディングカンパニーを目指す」を設定しております。
「1DAY戦略方針」のもと、1日使い捨てコンタクトレンズの足元の需要拡大に対応するべく、各務原工場での「1DAYメニコン プレミオ」シリーズや、Menicon Singapore Pte. Ltd.での「Magic」シリーズの新たな生産ラインの稼働を開始いたしました。そして、中長期的に強い成長が見込まれるため、Menicon Malaysia Sdn. Bhd.での新工場建設を進めており、継続して1日使い捨てコンタクトレンズの供給能力の強化を実施してまいります。
「オルソケラトロジー関連(近視進行抑制)戦略方針」のもと、市場の大きいアジアを中心にグローバルでオルソケラトロジーレンズや、オルソケラトロジーレンズに使用されるケア用品の販売を実施してまいりました。オルソケラトロジー関連製品は引き続きグローバルで安定的な成長が見込まれるため、継続して販売の強化を実施してまいります。
(4) 経営環境及び会社の対処すべき課題
1日使い捨てコンタクトレンズを中心としたディスポーザブルコンタクトレンズがグローバルで継続して拡大基調にあります。また、海外市場では、中国を中心としたアジアにおいて、オルソケラトロジーレンズ関連製品の需要が堅調に推移しております。一方で、当社グループを取り巻く環境は、世界情勢の不安定化に起因した資源価格の高騰、物価上昇及び個人消費活動の変化等により、引き続き不透明な状況が続くことが想定されます。
そのような環境の中、グループ一丸となって以下の課題に取り組み、安定的な商品・サービスの供給や新たな価値を提供することにより、中期経営目標の達成に向けて邁進してまいります。
① 新製品の開発と生産能力の向上(ビジョンケア事業)
グローバル市場で様々な顧客ニーズに対応するために、更なる商品ラインアップの拡充が必要であると考えております。継続して早期の製品開発及び市場導入に取り組んでまいります。
また、世界的な近視人口の増加を背景に中長期的にコンタクトレンズ市場の拡大が想定されております。このような状況において、安定的に製品を供給し続ける生産体制を構築するため、継続して需要の増加や市場の拡大が見込まれる1日使い捨てコンタクトレンズ及び、アジアだけではなくグローバルでも徐々に販売が伸びているオルソケラトロジーレンズや、オルソケラトロジーレンズに使用されるケア用品の生産設備への投資を行い、生産能力の増強を図ります。併せて生産性の向上に取り組み、原価低減を実現してまいります。
② 1日使い捨てコンタクトレンズ事業の拡大(ビジョンケア事業)
国内のメルスプランにおいて、当社グループ販売店、メルスプラン加盟施設のネットワークの強化や顧客のライフスタイルやニーズにあったサービスを提供することにより1日使い捨てコンタクトレンズの新規会員の獲得を進め、1日使い捨てコンタクトレンズの会員構成比率の拡大を図ります。欧州及び北米においては、大手量販チェーンへのプライベートブランド導入を進めることによる販売の拡大に取り組んでまいります。また、グローバルな販売活動を推進するための物流機能の強化に取り組んでまいります。
③ オルソケラトロジー関連事業の拡大(ビジョンケア事業)
世界的な近視人口の増加による近視の低年齢化及び強度近視人口の増加が社会課題のひとつとなっており、近視進行抑制効果が期待されるオルソケラトロジーレンズが社会課題の解決に寄与することが期待されます。そのため、近年市場が拡大し安定した需要が見込めるアジアを中心としたグローバルでのオルソケラトロジーレンズと、オルソケラトロジーレンズに使用されるケア用品の販促活動に取り組んでまいります。
④ 事業領域の拡大(ヘルスケア・ライフケア事業)
当社グループはビジョンケア領域を事業の中心に据えておりますが、中期経営計画である「Vision2030」におきましては、事業領域を視覚だけでなく、五感に関するビジネスに拡大することを掲げ、取り組んでまいりました。継続して聴覚、嗅覚、味覚、触覚といったあらゆる感覚器に関連したサービスを展開し、人間の五感を満足させて、人々が幸せや豊かさを実感できるような商品やサービスの提供を推進いたします。
⑤ 持続可能な社会の実現に向けた活動の実施
事業を通じて地球環境や社会の課題に対する新しい価値を創造し、社会の発展に貢献することは、経営上の考慮すべき課題と捉えており、重要課題として、「五感を刺激する生活の提供」「地球環境の負荷低減」「笑顔あふれる社会への貢献」「100年続く企業基盤づくり」を定めております。五感に関する事業ドメインにおいて、ビジョンケア事業を中心に安全・安心にこだわった製品とサービスの提供や、地球環境に配慮した企業活動を通じた環境への負荷低減、グローバルでの社会貢献活動を通じて、地域コミュニティの活性化や芸術・文化・スポーツの振興を行い、誰もが笑顔あふれる社会を目指します。また、それらを実現するために必要となる持続可能な企業基盤の構築は、顧客の安全・安心・信頼を追求した企業活動に加え、職場環境の整備や人材育成、ビジネスパートナーとの関係強化及び人権の尊重を通じて進めてまいります。
⑥ ガバナンス体制の充実とコンプライアンスの強化及びリスクへの対応
当社グループが持続的に成長し、長期的に企業価値を向上していくために、引き続きコーポレート・ガバナンスの強化に取り組んでまいります。また、コンプライアンスの徹底を図ると共に、企業経営に重大な影響を与えると考えられるリスクを想定したリスクマネジメントをすることにより、経営の安定化を図ってまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) サステナビリティ活動方針
目指す姿
健康で心豊かな社会の実現
サステナビリティ方針
当社グループは、社会に役立つ商品やサービスを世界に提供し続けることをMissionとして掲げています。
このMissionを長期的に実現するためにも、地球環境や社会との調和が欠かせません。当社グループは事業を通
じて、地球環境や社会の課題に対する新しい価値を創造し、社会の発展に貢献します。
① 人・社会・地球環境の調和を図り、社会に役立つ商品とサービスの提供を通じて、持続可能な社会の実現を目
指します。
② すべての生命と地球環境に配慮し、これらの保護・保全に向けて積極的に行動します。
③ 各国や地域の文化と歴史に敬意を払い、豊かな生活と社会の発展に貢献します。
④ 社員の個性を尊重し、自己実現できる就労環境の整備により、人財の育成に取り組みます。
⑤ 国内外の法令をはじめとする社会ルールを遵守し、企業倫理を常に向上させ、持続可能な事業活動を
行います。
⑥ ステークホルダーと広く深くコミュニケーションを行うことにより、社会から愛される企業を目指します。
(2) サステナビリティ重要課題
当連結会計年度は、事業を通じて、より良い社会の実現とお客様の快適なライフスタイルに貢献するとともに
長期的な企業価値を向上させるべく、新たな重要課題を特定しました。
(3) ガバナンス
当社グループは、サステナビリティ全般に関する課題について、サステナビリティ委員会で審議し、基本的な活動 方針を決定しております。サステナビリティ委員会は、代表執行役会長を委員長とし、全執行役と社内取締役、関連部門長などで構成され、年4回以上開催しています。また、より重点的に協議を行うため、重要課題に関する分科会を設置しました。
分科会は、各部門から情報収集を行い、サステナビリティ全般に関するリスクや機会の評価、課題に対する取り組
みなど、サステナビリティ委員会で審議する内容について必要に応じて検討・協議を行っております。サステナビリ
ティ委員会で審議した内容のうち、経営に与える影響の大きい対策や方針などは執行役会や取締役会にて承認を得て
おります。その他の審議内容も定期的に取締役会へ報告し、取締役会の監督のもと、サステナビリティ経営を推進し
ます。
当連結会計年度末現在におけるサステナビリティ推進体制は以下のとおりです。
(4) 戦略
当社グループでは、サステナビリティ委員会にて重要課題を設定し、各々の重要課題に対して戦略の立案等を進
めており、環境、人材については以下の通りとなります。
他の重要課題については開示準備が整い次第、随時公表していく予定です。
① 環境
気候変動に対する取り組みとしてTCFDの枠組みを活用して、ビジネスや戦略に及ぼす影響について、IPCCのシ
ナリオRCP2.6(2℃シナリオ)、RCP8.5(4℃シナリオ)、IEAの持続可能な開発シナリオ(2℃未満シナリオ)
などを参照して重要リスクと機会の特定を行いました。
時間軸は、短期(現在~2025年)、中期(2026~2030年)、長期(2031年以降)で分類しております。
リスク
財務や経営戦略への影響が大きいと考えられるリスクは以下の通りです。
機会
財務や経営戦略への影響が大きいと考えられる機会は以下の通りです。
② 人材
・人材に対する考え方
新たな価値を生み出すために、一人ひとりが主体的に、そして果敢に挑戦できる企業風土づくりに取り組んで
います。個人がいきいきと自分らしく働ける環境を整備するとともに自己成長を支援する制度を拡充していきま
す。多様な個性を活かして、人と企業がともに成長し続けられる未来を創造します。
・人材育成
「一般教育」、「専門教育」、「実践教育」を人材育成の3本柱と位置づけています。
これらの教育を重点的且つ計画的に実施する事で持続的な企業価値向上と企業基盤づくりにつなげます。
a.「一般教育」
当社の経営理念である「創造・独創・挑戦」の精神を持ち、あらゆる業務に果敢に取り組むことのできる、自律した人材の育成を目指しています。
b.「専門教育」
体系的な教育プログラムの開発と実践を通じて、担当領域におけるプロフェッショナルな人材の育成を目指し
ています。
また、社内大学の運営により、グループ経営を牽引できる次世代のリーダー育成も行っています。
c.「実践教育」
新たな業務機会の積極的な提供を通じ、高い視座と広い視野を持った人材の育成を目指しています。
また、上司と部下の対話により、社員一人ひとりの成長の促進を図っています。
・人材の多様性
a.多様な人材の確保
当社グループは、毎年度、事業計画に合わせた採用計画を立案し、すべての職種で国籍や性別を問わない
採用を行っています。Vision2030達成に向けては、グローバル人材の確保、モノづくり人材の強化を図って
います。
b.多様な人材の活躍
当社では社員の個性と能力が十分に発揮できる会社づくりを目指して、年1回実施しているキャリアデザ
イン研修で、女性従業員だけでなく誰もがより活躍できる環境づくりを進めるとともに、外部のキャリアコン
サルタントによるキャリア相談窓口を設置し、キャリア形成を支援しています。
・健康経営
自己実現できる生きがいある就労環境の整備により従業員満足を高め、従業員の心と体の健康を考えた取り
組みにより、健康に優良な企業を目指しています。また、当社グループ内での取り組みのみならず、社会に
対しても積極的に情報を発信し、すべてのステークホルダーの健康増進に貢献いたします。
a. 就労環境づくり
従業員の働きやすい就労環境の整備により、業務の生産性と従業員満足度の向上を目指します。
b. 健康増進
定期的に従業員満足度調査やストレスチェック等により、心身の状態を把握し、必要な対策を講じます。
c. 情報公開
グループで培った喫煙等の健康リスクに関する知見を広く社会に発信します。
当社グループは、リスク管理に関して、損失などを回避または低減して会社資産を保全するとともに、ステークホ
ルダーの安全を確保し、事業の継続を図ることを目的に、リスク管理体制と手順を定めています。
気候関連リスクに関しても全体のリスク管理プロセスの中で管理・モニタリングを行っていきます。
①リスクの特定
サステナビリティ部門は、会社の内部環境及び外部環境変化への対応状況を年1回以上各部門から情報収集を行い、特定されたリスクを整理し、サステナビリティ委員会の審議を経て委員長が重要リスクを決定します。
②リスク対応計画
リスク対応部門は、対応計画を立案します。
③進捗報告
リスク対応部門は、サステナビリティ委員会などで定期的に計画の進捗を報告します。
④見直し
サステナビリティ委員会は、対応計画の進捗度により必要に応じ計画見直しを指示します。
⑤リスクのモニタリング
各部門は、特定されたリスクについて監視し、変化が生じた場合にはサステナビリティ部門に報告します。
① 環境
当社グループは、指標として、2020年度から当社グループの温室効果ガス(GHG)排出量(Scope1+2)の算出
を実施し、2022年度からサプライチェーンの上流・下流における排出量(Scope3)の算出も実施しました。GHG排
出量削減目標については、Scope1+2の2030年、2050年の目標設定とScope3の実数把握に向けて準備を進めて
おります。
GHG排出量
(注)バウンダリーは当社及びグループ会社。
(注)1. バウンダリーは当社、株式会社メニコンネクト、株式会社ダブリュ・アイ・システム、Menicon
Singapore Pte. Ltd.、板橋貿易株式会社及び大連板橋医療器械有限公司。
2. カテゴリ1 購入金額に排出原単位を乗じて計算。
3.カテゴリ2 有形固定資産及び無形固定資産の当期増加金額に排出原単位を乗じて計算。
4.カテゴリ3 Scope1,2算出時に集計する燃料・電気の使用量に排出原単位を乗じて計算。
5.カテゴリ4 下記①+②の合計値にて算出。
①サプライヤーからの物流は、調達物量×輸送距離でトンキロを算出し排出原単位を乗じて計算。
②出荷物流に関しては、輸送距離を平均1,000kmと想定し、出荷量×1,000でトンキロを算出し排出原単位
を乗じて計算。
6.カテゴリ5 全拠点の「産業廃棄物処理費用」及び「一般廃棄物処理費用」を集計し、排出原単位を
乗じて計算。
7.カテゴリ6 移動手段毎の出張旅費金額を集計し、排出原単位を乗じて計算。
8.カテゴリ7 勤務形態ごとの従業員数と出勤日数を集計し、
従業員数(勤務形態、都市区分別)×通勤日数(平均値)×排出量原単位により算定。
9.カテゴリ11 有機肥料の窒素含有量を測定し、出荷数×窒素含有率×排出量原単位により算定。
10.カテゴリ12 製品の包装資材の重量を測定し、出荷数×廃棄重量(種類別)×排出量原単位により算定。
② 人材
当社グループは、人材に関する考え方を設定しましたが、現在社内制度の変更を実施しており、それに合わせた
指標と目標の設定を進めております。
詳細な情報については、
(注)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異についての
実績は、
休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異」
本書に記載した当社グループの事業の状況、経理の状況などに関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、以下の記載のうち将来に関する事項は、別段の記載がない限り、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。
・リスクが顕在化した場合に連結会社の経営成績等の状況に与える影響の内容等
当社グループが展開するメルスプランは、昨今売上が伸長しているインターネット販売と比較して、定期的な眼科健診の通知及びコンタクトレンズの管理指導といった安全面での優位性があると考えており、メルスプランを普及させることで安全性を維持した独自のシステム構築を図っております。しかしながら、競合他社による販売価格の引き下げやプロモーション活動の強化などにより競争が激化した場合、当社グループを取り巻く経済情勢及び市場の変化が生じた場合、もしくは当社グループの市場予測が十分でなく、顧客のニーズに合致した製品を適時に提供できなかった場合において、シェアを確保することが困難となり当社グループの財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
・リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対策等
現在、1日使い捨てコンタクトレンズを中心としたディスポーザブルコンタクトレンズがコンタクトレンズ市場を牽引しておりますが、生活スタイルの変化等により顧客のニーズが変わる可能性は今後も十分にあると認識しております。また、コンタクトレンズ市場には多くの同業他社が存在し、各社にて市場調査に基づいた様々なプロモーション活動を実施していることから、他社にシェアを奪われる可能性は常にあるものと認識しております。当社グループはこれらのリスク低減を図るため、市場環境の変化に迅速に対応できるよう商品開発体制を強化し、時代を先取りした独創的な製品開発に取り組んでおります。また、高品質なサービスと瞳の安全を同時に提供できるメルスプランの営業を更に推進することで顧客流出の防止を目指してまいります。
・リスクが顕在化した場合に連結会社の経営成績等の状況に与える影響の内容等
当社グループの主要製品であるコンタクトレンズは、医薬品医療機器等法において「高度管理医療機器」に該当しており、コンタクトレンズの製造販売業や販売業は許可制、製造業は登録制となっております。このため当社グループでは、医薬品医療機器等法の規定に基づき、第1種医療機器製造販売業、高度管理医療機器等販売業(店舗ごと)の許可及び製造業の登録を受けたうえで、製造・販売を行っております。また、海外においても、それぞれの国における規制への対応を行っております。
・リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対策等
当社グループは各国の各種法的規制への対応には万全を期しているものの、万が一、法的規制に抵触した場合には、極めて大きな問題に発展する可能性のある重要リスクであると認識しております。当社グループはこれらのリスク低減を図るため、総合統括本部内に専任部署を設け、各国の法的規制の変更等を認識し定期的に報告する場を設けております。また、それらの情報を生産開発統括本部内にて共有することで製品開発に反映させ、新製品開発期間の長期化、開発コストの増大、製造コスト及び設備投資負担の増加を抑えるよう努めております。
(注)医療機器製造販売及び医薬部外品製造販売については製品ごとに承認を取得し、高度管理医療機器等販売業に
ついては事業所ごとに許可を取得するため、取得年月及び有効期限の記載を省略しております。
・リスクが顕在化した場合に連結会社の経営成績等の状況に与える影響の内容等
当社グループは、欧州、北米、アジアにおいてコンタクトレンズ及びケア用品事業を展開しております。今後、国内コンタクトレンズ及びケア用品市場において少子高齢化の進行などにより新規顧客の獲得が難しくなる中で、当社グループが事業の成長性を確保するために海外市場を開拓することは重要であると考えております。かかる見地から、当社グループは海外への事業展開により売上高の増大を図りますが、進出国における政治、経済、社会情勢の変化や、市場、競合他社の動向並びに新製品開発の時期などによっては、当社グループの財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
・リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対策等
昨今の不安定な世界情勢や、海外市場における同業他社との競争を踏まえると、当該リスクが顕在化する可能性は常にあるものと認識しております。当社グループはこれらのリスク低減を図るため、海外統括本部によるリスク調査、各現地法人の販売力強化や営業体制整備を継続的に実施し、それぞれの国や地域に合わせて当社の優位性を活かしながら海外での事業展開に取り組んでおります。また、進出地域の多様化によるリスク分散を進めるべく、海外統括本部内に専門部署を設置しM&Aや業務アライアンスなどによる新たな市場開拓を検討しております。
・リスクが顕在化した場合に連結会社の経営成績等の状況に与える影響の内容等
当社グループの主要製品であるコンタクトレンズは、眼に直接触れるという製品上の特性を持つため、眼に障害が発生する可能性があります。当社グループは厳しい品質管理基準の下で、販売を行う各国の要請する様々な安全基準に準拠した上で、製品の開発・製造・販売を行っておりますが、将来にわたり製品に不備があったことが原因で訴訟等の事態に発展した場合、損害賠償金の支払や社会的信頼の喪失等、当社グループの財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす事象が発生する可能性があります。
・リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対策等
当社グループは品質管理体制には万全を期しているものの、万が一、製品の不備等が発生した場合には、極めて大きな問題に発展する可能性のある重要なリスクであると認識しております。当社グループはこれらのリスク低減を図るため、品質保証に関する監査を定期的に実施し、品質マネジメントシステムを適切な状態に維持することで、当社製品の安全性・品質の維持、向上を図っております。
・リスクが顕在化した場合に連結会社の経営成績等の状況に与える影響の内容等
当社グループが事業を優位に展開する上で、知的財産権は重要な役割を果たしていると考えております。当社グループは保有する知的財産権について適切な保護及び管理を行っておりますが、第三者が当社グループの技術などを使用し、市場において当社グループの競争力に悪影響を与える可能性があります。また、当社グループは第三者の知的財産権を侵害しないように留意し、調査を行っておりますが、万が一、当社グループが第三者の知的財産権を侵害してしまった場合には、対価の支払や損害賠償請求の訴訟など、当社グループの財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす事象が発生する可能性があります。
・リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対策等
第三者が当社グループの技術などを使用する可能性は常にあるものと認識しております。また、当社グループは第三者の知的財産権を侵害しないよう細心の注意を払っておりますが、万が一、当社グループが第三者の知的財産権を侵害してしまった場合には、極めて大きな問題に発展する可能性のある重要なリスクであると認識しております。当社グループはこれらのリスク低減を図るため、自社製品に関する特許を取得することで第三者による侵害を防いでおります。また、社内に知的財産権の専任担当者設置や顧問弁護士との連携を行える体制をとっております。
・リスクが顕在化した場合に連結会社の経営成績等の状況に与える影響の内容等
当社グループでは、製品、販売及び個人情報等の情報をコンピュータにより管理しており、システム上のトラブルなど、万が一の場合に備えて保守・保全の対策を講じるとともに、情報管理体制の徹底に努めております。
しかしながら、システムの脆弱性を利用した外部からの攻撃、不正アクセスやコンピュータウイルス感染などによって情報漏洩が発生した場合には、顧客及び取引先からの損害賠償請求の対象となり、また当該事案に対応するための費用を要する可能性があるほか、当社グループの社会的信用に大きく影響を及ぼす可能性があり、その結果、当社グループの事業、業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは、事業買収等により取得した子会社等を含め、国内外に多数のグループ会社を有しておりますが、かかるグループ会社等に対し、適切なグループガバナンスが及ばず、又は、システム・セキュリティを含む様々なリスクに対するモニタリングやコントロールが十分に及ばないなど、リスクマネジメントが適切に機能しない場合には、当社グループの事業運営や財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
・リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対策等
当社グループにおいて情報管理体制には万全を期しており、当該リスクが顕在化する可能性は低いものの、万が一、情報漏洩が発生した場合には、極めて大きな問題に発展する可能性のある重要なリスクであると認識しております。当社グループはこれらのリスク低減を図るため、メニコングループ情報セキュリティ方針を定めて周知徹底し、子会社においても当社と同等の情報セキュリティ管理規程の整備を行っております。
(7) 感染症の拡大による影響について
・リスクが顕在化した場合に連結会社の経営成績等の状況に与える影響の内容等
世界経済に重要な影響を及ぼす新たな感染症が世界的に拡大し、渡航制限や外出制限など規制が強化された場合、消費者の行動範囲・機会が縮小し、需要に影響を与えることが見込まれます。国内及び海外主要各国において感染拡大が長期間に渡り続いた場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
・リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対策等
当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期を合理的に予見することは困難であるものの、当社グループは感染症拡大時の対策として、製造や販売を行うスタッフは十分な感染対策を講じた上での業務の継続、企画や管理の業務を行うスタッフはテレワーク勤務や時差出勤による業務の継続を可能としております。
(8) 減損について
・リスクが顕在化した場合に連結会社の経営成績等の状況に与える影響の内容等
固定資産の評価について、当社グループは「固定資産の減損に係る会計基準」を適用しております。当社グループが保有している固定資産及び買収によって発生したのれんは、事業収益の著しい低下などに伴い回収可能価額が大きく下落し帳簿価額を下回った場合、減損損失の計上の必要があります。その場合、当社グループの財政状態及び経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
・リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対策等
当社グループは製造及び販売を行っているため、当社及び子会社においてコンタクトレンズ等の製造工場や生産ライン、販売店舗等の固定資産を保有する必要があります。また、事業拡大を目的とした企業買収によりのれんを計上することもあり、当該リスクが顕在化する可能性は相応にあるものと認識しております。当社グループはこれらのリスク低減を図るため、回収可能価額を毎期評価することで事業計画との乖離状況を把握し、必要に応じて事業計画の見直し等を実施することとしております。
(9) 顧客の嗜好変化等について
・リスクが顕在化した場合に連結会社の経営成績等の状況に与える影響の内容等
当社グループは多様化する消費者のニーズに対応するため、ハードコンタクトレンズ、ソフトコンタクトレンズ、ディスポーザブルコンタクトレンズ、さらには新製品の開発と幅広いラインアップで消費者のニーズと眼の形状、健康に合わせた製品を提供しております。しかし、当社グループのシェアが高いハードコンタクトレンズからの急激な消費者嗜好の変化、及び当社グループが想定していない市場の変化が生じた場合、ビジョンケア事業の売上が計画通りに伸長しない可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
・リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対策等
生活スタイルの変化等により顧客のニーズが変わることで、当該リスクが顕在化する可能性は常にあるものと認識しております。当社グループはこれらのリスク低減を図るため、市場環境の変化に迅速に対応できるよう商品開発体制を強化し、時代を先取りした独創的な製品開発に取り組んでおります。
(10) 製品売上構成の変化について
・リスクが顕在化した場合に連結会社の経営成績等の状況に与える影響の内容等
コンタクトレンズ市場においてはハードコンタクトレンズ及びソフトコンタクトレンズが縮小傾向である一方、ディスポーザブルコンタクトレンズの装用人口の増加が市場全体を牽引しております。当社グループはこのディスポーザブルコンタクトレンズの成長機会の獲得に向け、自社製造の1日使い捨てコンタクトレンズ「Magic」、「1DAYメニコン プレミオ」、2週間交換コンタクトレンズ「2WEEKメニコン プレミオ」などの製品展開を進めており、今後も引き続き重点的に販売促進活動に取り組んでまいります。ディスポーザブルコンタクトレンズは創業以来製造してきたハードコンタクトレンズなどに比して原価率が高いですが、生産数量の増加等により製造原価を低減させていく方針です。しかしながら、製造原価の低減が上手くいかず、当社グループ全体の原価率が上昇した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
・リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対策等
1日使い捨てコンタクトレンズを中心としたディスポーザブルコンタクトレンズの需要が世界的に拡大しており、当社としてもこの分野に注力していきディスポーザブルコンタクトレンズの売上構成比を上昇させていくため、当該リスクが顕在化する可能性は相応にあるものと認識しております。当社グループはこれらのリスク低減を図るため、1日使い捨てコンタクトレンズ製造工場である各務原工場及びシンガポール工場の生産能力増強を通じて製造の効率化を図る他、新設するマレーシア工場ではそのノウハウを活かすことで、製造原価を低減させてまいります。
(11) インターネット販売の増加について
・リスクが顕在化した場合に連結会社の経営成績等の状況に与える影響の内容等
コンタクトレンズ販売店舗と競合するインターネット上でのコンタクトレンズ販売高が増加している中、当社グループはメルスプラン会員向けの定期宅配サービスや専用Webサイトによるサービスの実施を対抗策として打ち出しております。しかしながら、インターネット販売の動向によっては店舗販売における新規顧客の獲得が困難になる可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
・リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対策等
コンタクトレンズをインターネット販売にて購入する顧客は一定程度存在しているため、当該リスクが顕在化する可能性は常にあるものと認識しております。当社グループはこれらのリスク低減を図るため、ディスポーザブルコンタクトレンズのメルスプラン会員向け定期宅配サービス「お届けメルスmutan(ムータン)」並びに医師の指示書に基づくWEB販売システム「ClickMiru(クリックミル)」のサービス推進により、顧客に対して利便性を訴求してまいります。
(12) 資金調達に関するリスクについて
① 金利変動リスクについて
・リスクが顕在化した場合に連結会社の経営成績等の状況に与える影響の内容等
当社グループは設備投資に関する資金及び運転資金を社債発行又は金融機関からの借入等により調達しております。資金調達につきましては固定金利での社債発行又は長期借入を主とすること等により短期的な金利上昇リスクへの対応を図っておりますが、金利上昇は支払利息の増加を招き利益を圧迫する要因となるため、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
・リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対策等
金融政策の動向・経済情勢等により市場金利が上昇する可能性は常にあるものと認識しております。当社グループはこれらのリスク低減を図るため、財務健全性の維持に努め、適切な水準の格付を維持することで資金調達コストの最適化を図り、金融機関からの借入や、社債発行により資金調達を行っております。今後も多様な資金調達手法を検討しリスク分散に努めてまいります。
② 転換社債型新株予約権付社債の償還リスクについて
・リスクが顕在化した場合に連結会社の経営成績等の状況に与える影響の内容等
当社は2021年1月29日に2025年満期ユーロ円建転換社債型新株予約権付社債(以下「本新株予約権付社債」といいます)(額面総額230億円)を発行しております。当社株価が今後様々な要因から転換価額を下回る水準で推移する等により、本新株予約権付社債の株式への転換が進まなかった場合には、満期(2025年1月29日)において残存する本新株予約権付社債につき額面での一括償還が必要となり、他の手法を含めた資金調達によるリファイナンス等の対応が必要となる可能性があります。
・リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対策等
株価は様々な要因により変動することから、当該リスクが顕在化する可能性は相応にあるものと認識しています。当社グループはこれらのリスク低減を図るため、償還が発生した場合に備え、資金調達の多様化に努めてまいります。
(13) 為替変動リスクについて
・リスクが顕在化した場合に連結会社の経営成績等の状況に与える影響の内容等
当社グループは海外事業展開を進めており、日本円以外の通貨を用いて販売及び仕入取引を行っております。為替リスク低減を目的とした為替予約の実行など対応策を講じておりますが、前年度と比較して急激な為替レートの変動が起こった場合は外貨建て売上高及び仕入高を日本円に換算する際に増減するため、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
・リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対策等
当社グループは海外への事業展開により売上高の増大を図ることから、当該リスクが顕在化する可能性は常にあるものと認識しております。当社グループはこれらのリスク低減を図るため、外貨建取引について為替予約を実行すること等で相対的に為替変動を抑えるよう努めております。
(14) 将来販売計画変更リスクについて
・リスクが顕在化した場合に連結会社の経営成績等の状況に与える影響の内容等
当社グループは一部のコンタクトレンズを製造する上で特殊技術を第三者より譲り受けており、その対価として一定期間に渡りロイヤリティを支払う旨の契約を締結しております。同契約の中でロイヤリティは特殊技術を用いた製品の販売高に一定率を乗じた金額を支払う内容になっており、当社グループは毎期上記に基づいて算定されたロイヤリティを支払うとともに毎期末同製品の将来販売高に基づいたロイヤリティの金額を算定し未払金として計上しております。
しかしながら、もし何らかの理由により将来の販売計画に変更が生じた場合は、既に計上している未払金の金額を見直す必要が生じるため、当社グループの財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
・リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対策等
当社グループは上述のコンタクトレンズを今後も販売していくことから、当該リスクが顕在化する可能性は相応にあるものと認識しております。当社グループはこれらのリスク低減を図るため、同製品の販売計画の精度を向上させ、既に計上している未払金の金額から大きく乖離しないように努めることで当該リスクを軽減することができるものと認識しております。
(15) 棚卸資産の収益性低下のリスクについて
・リスクが顕在化した場合に連結会社の経営成績等の状況に与える影響の内容等
当社グループ製品には有効期限を設定しており、製品により違いはありますが有効期限日の一定期間前を過ぎた製品は出荷せず廃棄しております。そのため、当社グループを取り巻く市場環境の急変及び販売見込みの相違などの理由で滞留在庫を抱えた場合、もしくは販売価額が大幅に下落した場合は棚卸資産評価損を計上しなければならないため、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
・リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対策等
当社グループ製品を販売するためにはある程度の在庫を保有する必要があることから、当該リスクが顕在化する可能性は相応にあるものと認識しております。当社グループはこれらのリスク低減を図るため、販売計画の精度向上を図り、その販売計画に基づいた生産を行うことで適正な在庫となるよう努めております。
(16) 研究開発について
・リスクが顕在化した場合に連結会社の経営成績等の状況に与える影響の内容等
近年は研究開発の面においても競合他社との競争が激化しており、研究開発戦略及び特許戦略の重要性が高まりつつあります。こうした状況においてコンタクトレンズ業界は研究開発のスピードが直接的に企業競争力へ影響する構造となっており、当社グループはいち早い製品化が全事業共通の重要な経営課題と認識しております。したがって、今後は個別の開発テーマに注力するだけでなく、研究開発プロセスそのものの抜本的な見直しが不可欠と考えており、開発マネジメントシステムの迅速化、外部技術導入の積極化を図っていく方針であります。しかしながら、コンタクトレンズの開発においては、基礎研究から臨床試験、実用化まで医薬品と同程度に長期の時間を必要とするため、研究開発投資で想定した成果を得られない場合には当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
・リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対策等
コンタクトレンズの製品間の競争は激しく、当該リスクが顕在化する可能性は相応にあるものと認識しております。当社グループはこれらのリスク低減を図るため、製品の研究開発プロセスにおける安全性及び有効性の確認だけではなく、SDGsの1つである環境保全や、より高い衛生管理を意識したパッケージ等の開発においても、市場調査等により開発品の競争力の確認に努めております。
(17) コンタクトレンズの販売に関する規制などについて
・リスクが顕在化した場合に連結会社の経営成績等の状況に与える影響の内容等
① コンタクトレンズの販売態様
コンタクトレンズの販売について医師による指示書の発行は法律上必要とされておりませんが、当社グループは、顧客の眼への安全性を重視して医師が発行する指示書に基づき、顧客の眼の健康状態に適合したコンタクトレンズを販売するものとしております。そのため、当社グループは、コンタクトレンズ販売店近隣に位置する眼科診療所を運営する医師又は医療法人と提携し、顧客が当該眼科診療所において医師の診療を受けた上で発行される指示書に基づき、コンタクトレンズの販売を行っております。
しかしながら、万一、当該眼科診療所の医師において医療ミスが生じた場合、当社グループの信用が低下し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは、コンタクトレンズ販売店の出店に応じて、提携先の医師又は医療法人に対して眼科診療所の開設を誘致する場合があります。しかしながら、眼科診療所の開設を誘致できない場合又は開設後に何らかの理由により眼科診療所の運営が終了した場合には、当社グループの出店計画や財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 医行為の禁止
コンタクトレンズを使用させるために行う検眼、指示書の発行及び装用の指導などは、厚生省(現 厚生労働省)医務局長通知によれば、医行為と解釈されており、医師法第17条の規定に基づく医師でなければできない行為とされております。そのため、当社グループは、自ら医行為の提供は行わず、専ら医師が発行した指示書に基づきコンタクトレンズを販売するものとしております。
なお、当社グループでは、従業員を提携先の医師又は医療法人が運営する眼科診療所に出向させており、当該従業員が受付業務等の医行為以外の事務業務を行うことがあります。当社グループは、当該出向に係る契約上において当社グループの従業員が医行為を行わないことを明示しており、また、各従業員に対する研修において医行為を行わないよう周知徹底させております。
しかしながら、今後、法令、諸規則の改正やその解釈の変更により、上記事務業務が医行為に該当する可能性が生じ、当社グループにおいて何らかの対応を講じる必要が生じた場合、事業運営や財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 非営利性の確保
医療法の規定により、医行為を提供する医師又は医療法人の経営上の独立性や非営利性の確保が必要となります。
なお、当社グループは、提携先である医師又は医療法人に対し、顧客に対するコンタクトレンズの正しい使用方法の指導、使用に伴う健康異常に関する注意事項の説明及び当社グループの従業員に対して患者に生じる健康異常などに関する対応の指導などの業務を委託しております。また、提携先の医師又は医療法人に対して眼科診療所を開設する場合等に要する資金の貸付、眼科診療所に対する当社グループの従業員の派遣出向、個人で眼科診療所を運営する医師に対して当社グループの会員プランの紹介を患者に対して行うことを委託しております。その上で、当該患者が会員となった場合などに当社グループが当該医師に一定手数料を支払うなどの取引を行っております。
当社グループにおいては、法令及び保健所の指導等に基づき眼科診療所と良好な関係を築いており、現状の眼科診療所との関係について法令上の疑義が及ぶことはないものと認識しております。しかしながら、今後、法令、諸規則改正やその解釈の変更により、当社グループと眼科診療所を運営する医師又は医療法人の関係において何らかの対応を講じる必要が生じた場合、事業運営や財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
・リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対策等
コンタクトレンズを安全にご使用いただくため、眼科診療所の医師の診療を受けた上で発行される指示書に基づき、コンタクトレンズの販売を行っております。当社グループは法令、諸規則への対応には万全を期しており、当該リスクが顕在化する可能性は低いものの、万が一、法令や諸規則に違反した場合には、極めて大きな問題に発展する可能性のある重要なリスクであると認識しております。当社グループはこれらのリスク低減を図るため、法令、諸規則に関する課題や経営に影響を与えるようなリスクに対して、執行役、品質保証部門、監査部門、法務部門、営業部門、開発部門等が横断的に対策を協議する委員会を定期的に開催しております。また、メーカーとして、コンタクトレンズに関する適切な情報提供を行う等、眼科診療所との良好な関係を築くよう努めております。
(18) 新規事業について
・リスクが顕在化した場合に連結会社の経営成績等の状況に与える影響の内容等
当社グループは、ヘルスケア・ライフケア事業において、優位性、独自性のある技術、ノウハウを核とした事業モデルを構築し、新しい市場を創造することを目的としております。今後においても、既存製品の事業規模の拡大を図るとともに、新たな製品の開発を進めることによりこれからの新規事業を安定的に拡大発展させ、当社グループの第2の事業基盤とする方針であります。しかしながら、必ずしも当社グループが順調な事業拡大を果たせるとはいえず、一定の研究開発やビジネス試行を行った後に、これらの新規事業の業績を伸ばせずに事業縮小や撤退を決断した場合、当社グループの事業運営や財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
・リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対策等
当社グループは第2の事業基盤として今後も新規事業拡大のために投資を行っていくため、当該リスクが顕在化する可能性は相応にあるものと認識しております。当社グループはこれらのリスク低減を図るため、社内で定めている撤退基準に基づいて事業縮小や撤退の決断を行ってまいります。
(19) 急激な物価上昇について
・リスクが顕在化した場合に連結会社の経営成績等の状況に与える影響の内容等
当社グループの主要なサービスであるメルスプランは定額制の会員システムであるため、メルスプランを普及させることで、顧客の固定化及び安定したキャッシュ・フローの創出が可能となります。当社グループは、メルスプランの拡大を重要課題のひとつと位置付け、メルスプラン会員数の更なる増加を図る方針であります。しかしながら、今後急激な物価上昇が進行した場合、メルスプラン会員から受領する月会費は予め一定額と定められていることから速やかな価格転嫁は困難であるため、急激な物価上昇に起因する仕入原価の上昇などを吸収することができず、当社グループの事業運営や財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
・リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対策等
メルスプランは定額制であるため、速やかな月会費への価格転嫁が困難であることから、当該リスクが顕在化する可能性は常にあるものと認識しております。当社グループはこれらのリスク低減を図るため、常に経済動向を分析し、またコンタクトレンズ市場でのマーケティング調査を実施することで価格変動の把握に努めており、将来の変動予測についても実施しております。これらの分析を踏まえて、新製品の導入時には合理的な価格設定をしております。併せて、需要に合わせた製品の統廃合による効率化を図ることで価格変動に対するリスク軽減を行っております。
(20) 原材料の調達について
・リスクが顕在化した場合に連結会社の経営成績等の状況に与える影響の内容等
当社グループの主要製品であるコンタクトレンズには、主に石油由来のプラスチック原材料やパッケージにアルミシートを使用しています。これら原材料のサプライヤーに倒産、被災等が発生、あるいは人権侵害等が発覚した場合、原材料の調達が困難となる可能性があります。代替品が調達できず当社グループ内の在庫が切れると、当該原材料を使用した製品の生産停止などにより、当社グループの財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
・リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対策等
(21) 自然災害について
・リスクが顕在化した場合に連結会社の経営成績等の状況に与える影響の内容等
当社グループは岐阜県内にコンタクトレンズの生産拠点として関工場と各務原工場を、ケア用品の生産拠点として郡上工場を展開しております。将来、発生が予想されている南海トラフ地震や火災、風水害等の自然災害が発生した場合、生産活動に影響を及ぼす可能性があります。
・リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対策等
大規模な自然災害の発生により当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期を合理的に予見することは困難であ ります。当社グループは、生産拠点の分散を進めるとともに、これら災害が発生した場合への事業への影響を最小限にとどめるため「メニコン事業継続計画」を策定、毎年見直しを図っております。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、中期経営計画「Vision2030」のスローガン‘新しい「みる」を世界に’を実現するため、この度2つの成長戦略方針として「1DAY戦略方針:独創性のある製品とサービスで、1DAYグローバルトッププレーヤーを目指す」、「オルソケラトロジー関連(近視進行抑制)戦略方針:近視進行抑制に関する新たな価値を創造し、オルソケラトロジー関連(近視進行抑制)のリーディングカンパニーを目指す」を設定いたしました。
「1DAY戦略方針」のもと、1日使い捨てコンタクトレンズの足元の需要拡大に対応するべく、各務原工場での「1DAYメニコン プレミオ」シリーズや、Menicon Singapore Pte. Ltd.での「Magic」シリーズの新たな生産ラインの稼働を開始いたしました。そして、中長期的に強い成長が見込まれるため、Menicon Malaysia Sdn. Bhd.での新工場建設を進めており、継続して1日使い捨てコンタクトレンズの供給能力の強化を実施してまいります。
「オルソケラトロジー関連(近視進行抑制)戦略方針」のもと、市場の大きいアジアを中心にグローバルでオルソケラトロジーレンズと、オルソケラトロジーレンズに使用されるケア用品の販売を実施してまいりました。オルソケラトロジー関連製品は引き続きグローバルで安定的な成長が見込まれるため、継続して販売の強化を実施してまいります。
各事業の状況は、以下になります。
[国内ビジョンケア事業]
国内コンタクトレンズ市場は、近視人口の増加や行動制限の緩和に伴う外出機会の増加等を背景に需要が伸長しております。特に、毎日のケアが不要で利便性に優れている1日使い捨てコンタクトレンズや、コンタクトレンズ使用者の年齢層の拡大により遠近両用コンタクトレンズの需要が拡大しております。
国内ビジョンケア事業では、1日使い捨てコンタクトレンズのシェア拡大、メルスプラン会員数の拡大及び顧客のロイヤルカスタマー化を方針として活動しております。
メルスプランにおきましては、需要期ごとのキャンペーン及び会員様からのご紹介により新規入会を促す紹介キャンペーンを実施しました。また、メルスプランの月額費用の改定による収益性改善のための取り組みを行う一方で、シリコーンハイドロゲル素材で酸素透過性の高いメルスプラン専用1ヵ月交換コンタクトレンズ「1MONTHメニコン メルスミー」や、「1DAYメニコン Rei」の新色などラインアップの拡充により顧客満足度を向上させる取り組みを進めました。
ケア用品におきましては、過酸化水素タイプのソフトコンタクトレンズ用消毒剤「エピカ スマートクリーン」の販売を開始し、堅調に販売が推移しました。過酸化水素タイプの消毒剤は市場における使用割合が年々高まっており、今後も成長が期待されるため、当社ケア用品の主力製品の一つとしてより一層の販売拡大に努めてまいります。
[海外ビジョンケア事業]
海外コンタクトレンズ市場は、世界的なインフレの長期化、景気動向並びにサプライチェーンの不安定化の影響を受けながらも、市場全体での需要は拡大しております。
海外ビジョンケア事業では、地域ごとに異なるニーズに適した企業活動に取り組むことを方針として、売上高の拡大を推し進めております。
中国では、新型コロナウイルス感染症の影響は徐々に緩和されたものの、景気停滞の影響によりオルソケラトロジーレンズ及びケア用品を含むコンタクトレンズ関連商品の市場の成長は緩やかになっております。同地域では、競合他社も増加しつつある競争環境のもと、オルソケラトロジーレンズとケア用品の販売強化を主な方針とし、営業体制の強化や主要都市において医療関係者や販売代理店向けの新製品発表会を開催する等、販売拡大に向けた取り組みを進めました。
欧州及び北米では、コンタクトレンズ及びケア用品の需要は拡大が継続しております。同地域では、販売チャネルの新規開拓及び関係強化を推進し、大手量販チェーンに対してプライベートブランドの導入や他社商品からの切替促進企画を実施する等、ディスポーザブルコンタクトレンズ並びにケア用品の販売拡大に取り組みました。
[その他]
ヘルスケア・ライフケア事業では、五感を通じて人々の健康サポートや喜びを創出する新領域への挑戦を方針として活動しております。
食品ビジネス並びに堆肥化関連ビジネスにおいては、海外を中心とした販路拡大に取り組みました。動物医療ビジネスにおいては、犬・猫用サプリメントの販路拡大を目的として動物病院や動物医薬品卸業者への販売に加えて、一般消費者向けセグメントでの販売を開始しました。また、サプリメントビジネスにおいては、フェムテック関連をはじめとするヘルスケア領域に注力した新製品を追加する等、積極的な拡販に努めました。
このような取り組みの結果、当社グループの当期の経営成績は以下のとおりです。
売上高は、主に欧州及び北米を中心とした海外での販売が堅調に推移したことにより116,192百万円(前期比5.4%増)となりました。営業利益は、新工場の稼働準備や新製品開発強化及びグローバルでの人的補強を含む営業体制強化のための投資費用の増加や、国内の価格改定対応等の一時的な費用の発生等により8,951百万円(前期比25.8%減)、経常利益は、支払利息及び社債発行費の増加等により8,225百万円(前期比30.0%減)となりました。
特別損益につきましては、固定資産の売却等に伴い106百万円の特別利益を計上した一方、食品事業においてALPS処理水排出に起因して中国の取引先の財政状態及び経営成績が悪化したことによる債権の回収不能見込額を貸倒引当金繰入額として計上したこと及び株式給付信託終了に伴う債務保証損失引当金繰入額を計上したこと等により1,215百万円の特別損失を計上しました。
以上の要因により親会社株主に帰属する当期純利益は4,538百万円(前期比38.5%減)となりました。
セグメントの業績は以下のとおりです。
① ビジョンケア事業
ビジョンケア事業の売上高は106,887百万円(前期比5.1%増)、セグメント利益は15,488百万円(前期比11.5%減)となりました。詳細は以下のとおりです。
ビジョンケア事業の売上高は前期と比較して5,234百万円増加いたしました。海外売上高は、主に欧州及び北米でのディスポーザブルコンタクトレンズ及びケア用品の販売が堅調に推移したことにより、3,322百万円増加しております。国内売上高は、価格を改定したこと及びメルスプランにおいて平均顧客単価の高い1日使い捨てコンタクトレンズの会員数構成比率の上昇等により、1,912百万円増加しております。
セグメント利益につきましては、主に新工場の稼働準備や新製品開発強化及びグローバルでの人的補強を含む営業体制強化のための投資費用の増加や、国内の価格改定対応等の一時的な費用の発生等により、前期と比較して2,005百万円減少しております。これら投資費用の増加は、当社グループの「Vision2030」の実現と長期的な競争力の強化に資するものであります。
② その他
その他の事業は、主に食品ビジネスの海外販売が増加し、売上高は9,304百万円(前期比8.9%増)となりました。セグメント損失は875百万円(前期セグメント損失は775百万円)となりました。
経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、中期経営計画「Vision2030」を策定し、‘新しい「みる」を世界に’をスローガンに掲げ、五感を通じて人々が幸せや豊かさを実感できるような商品やサービスの提供を目指しております。当該中期経営計画では、持続的な成長、効率的な経営及び株主価値の向上のために、具体的な数値目標として2028年3月期において連結売上高1,400億円超、営業利益率12%、ROE12%の達成をマイルストーンと定め活動しております。
当期の各指標の達成状況につきましては、連結売上高が116,192百万円、営業利益率が7.7%、ROEが6.0%となっております。
(Vision2030 成果指標の推移)
なお、上記指標達成のための具体的な対策は、「第一部 第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の「(4)経営環境及び会社の対処すべき課題」に記載のとおりであります。
当社グループでは、2028年3月期のマイルストーン達成に向けた成長戦略目標として、同年度における1日使い捨てコンタクトレンズの売上高の目標を420億円、グローバルでのオルソケラトロジーレンズ及びアジアでのケア用品を合計したオルソケラトロジー関連の売上高の目標を200億円と定めております。
(1日使い捨てコンタクトレンズ及びオルソケラトロジー関連の売上高推移)
(2) 生産、受注及び販売
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1. 金額は製造原価によっております。
2. 「1DAYメニコン プレミオ」シリーズ及び海外向けケア用品の生産を拡大しました。
当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1. 金額は仕入実績によっております。
2. 当連結会計年度において、「その他」の商品仕入実績の変動は、海外市場における食品ビジネスの販売が堅調に推移したことによるものであります。
当社グループは、需要予測に基づく見込生産を行っているため、該当事項はありません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1. セグメント間取引については、相殺消去しております。
2. 当連結会計年度における「ビジョンケア事業」の販売実績の変動は、主に欧州及び北米を中心とした海外での販売が堅調に推移したことによるものであります。
3. 当連結会計年度における「その他」の販売実績の変動は、海外市場における食品ビジネスの販売が堅調に推移したことによるものであります。
(資産の部)
当連結会計年度末における総資産は179,812百万円となり、前連結会計年度末に比べ27,289百万円の増加となりました。流動資産は、主に社債の発行により現金及び預金が増加したことから、8,070百万円増加し85,771百万円となりました。また、固定資産は、主に1日使い捨てコンタクトレンズの生産能力の増強を目的とした、Menicon Malaysia Sdn. Bhd.における製造工場建設に係る製造設備投資、Menicon Singapore Pte. Ltd.における製造設備投資の他、メニコンネクトにおけるケア用品の製造設備投資により、19,219百万円増加し94,040百万円となりました。
(負債及び純資産の部)
負債は主に社債の発行により、前連結会計年度末に比べ20,150百万円増加し98,007百万円となりました。
純資産は主に親会社株主に帰属する当期純利益の計上や、円安による在外子会社に係る為替換算調整勘定の増加等により、7,139百万円増加し81,804百万円となりました。
この結果、自己資本比率は44.1%となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ6,048百万円増加し46,713百万円(前連結会計年度比14.9%増加)となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、主に税金等調整前当期純利益及び減価償却費の計上により、11,866百万円の収入(前連結会計年度は12,749百万円の収入)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、主に1日使い捨てコンタクトレンズの生産能力の増強を目的とした、Menicon Malaysia Sdn. Bhd.における製造工場建設に係る製造設備投資、Menicon Singapore Pte. Ltd.における製造設備投資の他、メニコンネクトにおけるケア用品の製造設備投資により、21,575百万円の支出(前連結会計年度は13,776百万円の支出)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、主に社債の発行により、14,554百万円の収入(前連結会計年度は8,900百万円の収入)となりました。
当社グループの資金需要のうち運転資金及び研究開発投資は、主に自己資金を財源としますが、外部からの資金調達が必要な場合は、金融機関からの借入や社債発行等の負債により調達することとしております。一方、設備投資や事業買収、その他の投資資金は金融機関からの借入や社債発行等の負債及び資本による調達を基本としております。資金調達を行う際は、期間や市場金利動向等、また自己資本比率、ネットDEレシオやROEといった財務指標への影響度等を総合的に勘案しながら、最適な調達を実施します。主要な取引先金融機関とは良好な取引関係を維持しており、また本報告書提出日時点における株式会社格付投資情報センターからの発行体格付は「A-」(安定的)であることから、安定的な資金調達が随時実施可能であると考えております。
加えて、複数の取引銀行とコミットメントライン契約及び当座貸越契約を締結しており、資金調達の機動性及び安定性を確保しております。
(5)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、「第一部 第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。
(繰延税金資産)
当社グループは、将来の事業計画に基づく課税所得及び将来減算一時差異の回収可能性をふまえ繰延税金資産を計上しております。
事業環境の変化等による将来課税所得の見積りに変更が生じた場合は、繰延税金資産の取り崩しに伴う税金費用を計上する可能性があります。
(固定資産)
当社グループは、固定資産(買収によって発生したのれんを含む)の減損会計の適用にあたり、概ね独立したキャッシュ・フローを生み出す最小単位によって資産のグルーピングを行っており、原則として管理会計上の区分を基準にグルーピングを行っております。収益性が著しく低下した資産グループに関しては、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。
事業環境の変化等による将来キャッシュ・フロー等、固定資産の回収可能価額計算の前提条件に変更が生じた場合は、固定資産の減損損失を計上する可能性があります。
(長期未払金)
当社グループは、一部のコンタクトレンズを製造する上で特殊技術を第三者より譲り受けており、その対価として一定期間に渡りロイヤリティを支払う旨の契約を締結しております。同契約の中でロイヤリティは特殊技術を用いた製品の販売高に一定率を乗じた金額を支払う内容になっており、当社グループは毎期上記に基づいて算定されたロイヤリティを支払うとともに毎期末同製品の将来販売高に基づいたロイヤリティの金額を算定し未払金として計上しております。
事業環境の変化等による同製品の将来販売高に変更が生じた場合は、未払金計上金額の評価替えに伴う費用収益を計上する可能性があります。
(棚卸資産)
当社グループは、棚卸資産を取得原価で測定しておりますが、連結会計年度末における正味実現可能価額が取得価額より著しく下落している場合には、当該正味実現可能価額で測定し、取得価額との差額を原則として売上原価に計上しております。また営業循環過程から外れて滞留する棚卸資産については、将来の事業環境を反映し正味実現可能価額を算定しております。
事業環境の変化等による正味実現可能価額の著しい下落が生じた場合は、棚卸資産の評価損を計上する可能性があります。
(貸倒引当金)
当社グループは、債権の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については、個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。将来、取引先の財務状況等が悪化し支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上又は貸倒損失が発生する可能性があります。
(注)本契約について、2023年2月22日にアーンアウト条項の支払条件を一部変更する「変更覚書」を締結しております。
当社グループにおける研究開発活動は、①安全を最優先に考えた信頼性の高い製品の開発と、②創造型開発企業として時代を先取りした独創的な製品の開発を基本方針として、取り組んでおります。
当社グループは主に、コンタクトレンズ材料などの素材等を研究開発する総合研究所、生産技術を研究開発するテクノステーション、そして瞳への安全性と製品の有効性を臨床評価する臨床研究所等において研究開発活動を行っております。これらの各機能が密接かつ有機的に連携しながら、素材開発から安全性の評価、さらには生産技術開発までを自社で一貫して行える研究開発体制が当社グループの特徴となっております。
なお、当連結会計年度における当社グループが支出した研究開発費の総額は
セグメントごとの研究開発活動を示すと次のとおりであります。
① ビジョンケア事業
コンタクトレンズにつきましては、1日使い捨てコンタクトレンズの需要が世界的に拡大していることから、この分野における製品ラインアップの拡充及び生産能力の拡大に注力しております。当期におきましても前期同様、シリコーンハイドロゲルタイプの1日使い捨てコンタクトレンズ「1DAYメニコン プレミオ」シリーズの生産能力増強のため各務原工場の生産ラインの改良及び増設を行いました。また、更なる生産能力拡大に備えて、マレーシアの新工場建設及び諸準備を進めました。
当社グループは、視力に関わる世界共通の課題となりつつある近視人口の増加に対しても、長年研究開発に取り組んでおります。その成果として、2019年5月に欧州において近視進行抑制用オルソケラトロジーレンズとして世界で初めて「Menicon Bloom Night」のCEマーク認証を取得したことに続き、その他の地域においても薬事承認の取得を進めております。
ケア用品につきましては、機能向上及びユーザーの利便性向上の見地より、継続的に製品開発と改善に取り組んでおります。当事業年度においては、中国向けの新たなケア用品の治験が完了し、販売開始に向けて申請業務を進めております。
当事業に係る研究開発費の金額は
② その他
ヘルスケア・ライフケア事業関連の研究開発活動として、ライフサポート事業においては当社オリジナルの自己集合性ペプチドゲルの医療機器としての応用開発を継続して推進しています。環境・バイオ事業では、新たな未利用資源再生ビジネスの可能性についての情報収集や研究開発を継続して実施しています。
当事業に係る研究開発費の金額は