当社グループの経営方針、経営環境及び対処するべき課題等は以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、以下の経営理念、経営方針に基づき、当社の顧客や株主・投資家の皆様、当社グループ従業員をはじめとするあらゆるステークホルダーに対して企業活動を通じて社会的責任を果たし、社会にとってなくてはならない企業であり続けることを目指しています。
経営理念
英知を結集して、独自の商品を創造し社会に貢献することにより、心の豊かさと、物の豊かさを達成しよう
経営方針
“木材を活かす”
独自の技術で木材を有効利用し社会に必要とされる会社を目指します
木材を大切にする サステナブルな資源
地球を大切にする 地球環境 / カーボンニュートラル
人を大切にする ステークホルダー
当社グループの事業とかかわりの深い木材の原料である樹木は地球温暖化の主要因とされるCO2を吸収し固定化する性質を持つとともに、樹木自体は循環可能な天然資源であることから、木材の活用を促すことは地球環境の保全への貢献につながると考えています。当社は、創業から一貫して樹木と向き合い、樹木から価値ある木材を生み出す技術を磨いてきました。その技術は人に受け継がれ、技術を核として構築された社会との繋がりを大切に考えています。当社グループは、木材、地球、人を大切に、主力である合板機械および木工機械のメーカーとして独自の技術を提供することで、社会・環境課題へ貢献し、社会から必要とされる企業であり続けることを経営方針としております。
(2)経営戦略等
当社グループは、木材を活かすことでサステナブルな社会に貢献することをテーマに掲げており、世界的な平均気温の上昇に伴う気候変動や人口動態の変化による労働人口の不足をはじめとする社会・環境課題を背景に、それら課題の解決に資する独自の技術開発および普及をもって貢献することを経営戦略の主軸に据えております。また、戦略の遂行に必要なインフラ整備や生産性向上に資する業務改善に取り組むとともに、戦略の進捗における効果的なモニタリングおよび機動的な意思決定を実現するための体制の整備など、強固なガバナンス体制の構築に取り組んでまいります。加えて、本戦略の推進を支えるとともに将来にわたる事業活動の担い手となる当社グループ従業員を価値創造の源泉と捉え、従業員の育成や成長に資する諸活動の支援その他制度の策定等を通じて働きやすい職場環境づくりに取り組んでまいります。これら攻守バランスの取れた戦略を推進することで持続的な成長の実現を目指してまいります。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループでは、経営状態を図る重要指標に主力事業における収益性を示す指標として営業利益を定めるとともに、営業利益率 10%以上を目標として、これを安定的に達成できるよう事業活動に取り組んでおります。
(4)経営環境及び優先的に対処すべき課題
当社グループの事業は、木材需要の動向とかかわりが深く、木材の主要な用途である住宅市場等の動向に大きな影響を受けます。当社を取り巻く事業環境につきましては、人口動態の変化や住宅資材価格の高止まり等を要因に新築住宅着工戸数は減少傾向が継続する見込みであり、これに伴い合単板や集成材をはじめとする木材需要の減少が予想されます。また、同マクロ環境の変化は生産世帯の減少を示していることから、当社および木材の生産現場において慢性的な労働力の不足などが懸念されます。他方、世界的な平均気温の上昇に伴う環境課題の深刻化を背景に、脱炭素社会の実現に向けた取り組みの一環として、政府主導により木質資源の有効活用に資する諸活動が推進されており、中高層ビルなど大型建築物への木質建材の活用促進などに期待を寄せる状況が想定されます。当社は木材加工の機械メーカーとして、これら社会・環境にかかる課題に対し、新たな技術の開発および普及によって貢献することを優先して取り組んでまいります。
(5)対処方針
合板機械事業につきまして、LVLや超厚合板をはじめとする金属等に代わる新たな木質建材への意識の高まりを背景に、それらを効率よく生産するための技術の確立および普及に注力するとともに、既存の主力機械をベースとした利便性の向上、環境負荷の軽減および人手不足に対応する改善など、社会・環境ニーズおよび顧客ニーズに即した技術の開発を推し進めてまいります。また、日本と比較して木材需要が相対的に高い北米エリアを中心に販路の拡大および販売体制の強化を推進してまいります。
木工機械事業につきましては、輸入木材の価格高騰などの影響による国産材を利用した製材および集成材の増加を背景に、IoTの活用や生産ラインにおけるシステム化の追求などにより木材製品の品質向上に加えて生産現場の省人・省力化の実現など生産性の向上に貢献する技術の開発および普及に注力してまいります。
住宅建材事業につきましては、昨今の地震災害を背景に耐震性能の高いツーバイフォー工法が見直されるなか、戸建てや集合住宅に加えて福祉・教育に係る施設などの非住宅分野における同工法の需要増加を見込んでおり、営業活動を強化し着実に受注を獲得するとともに、社会ニーズに即した付加価値の高い商材の取り扱いを強化することで、売上および利益の確保に取り組んでまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティに関する基本的な考え
昨今、世界的な平均気温の上昇による気候変動が自然災害の激甚化や水資源の枯渇を加速させるなど、自然環境における問題に加えて、日本国内においては人口動態の変化による労働人口の減少や高い技術を持つ職人の不足が顕在化するなど、社会・環境課題が深刻化しております。
当社グループと関わりの深い木質資源の原材料となる樹木は、成長過程において気候変動の主要因とされる大気中のCO2を吸収し、成長後も燃やさない限りCO2を排出することなく固定化する性質を持つことから、その削減に有効であると考えられています。他方、水資源の確保や生物多様性に資することに加えて、土砂災害や洪水などの自然災害による被害の抑制を通じて人々の生活の安全を守る重要な役割を持つと考えられていることから、樹木を育む豊かな森林環境を維持することは環境課題の解決へ貢献する有効な手段であると考えられています。
我が国は世界有数の森林保有国であり、森林資源(森林を構成する幹の体積)は人工林を中心に増加傾向にあります。林野庁の森林・林業白書によると、森林資源の総蓄積量は、現在約54億㎥と言われておりますが、人工林の半数が植林から約50年以上が経過しており、その多くは主伐期を迎えております。樹木は成熟期を迎えるとCO2を殆ど吸収しなくなる性質を持つことに加えて、主伐期を過ぎた樹木の増加は森林そのものの荒廃に繋がることから、「伐って、使って、植えて、育てる」サイクルが有効に機能する持続的な森林環境を維持する体制の構築が重要であると考えられております。そのためには、樹木を様々な用途に使用できる環境が必要であり、そうした背景から従来の主要な用途である戸建て住宅における建材に加えて、中高層建築物などにおける新たな木質建材の開発および活用の促進など、政府主導で木質資源の有効活用が進められております。
当社グループは、「英知を結集して独自の商品を創造し社会に貢献すること」という経営理念に基づき、創業以来「樹木」を主に住宅用建材に資する「木材」へ加工する技術を磨き、機械の提供を通じて人々の暮らしの根幹となる住宅などの建築物を支えることで社会にとって必要な企業であり続けることを目指してまいりました。当社は“木材を活かす”ことをテーマに掲げ、昨今の社会・環境課題を背景とした木質資源の有効活用に資する新たな木質建材の生産に係る独自の技術や木材の生産ラインにおける省人・省力化に資する技術の開発および普及によって、持続的な森林環境の維持を通じてサステナブルな社会の実現に貢献していくことを使命と考えております。
(2)ガバナンス
当社グループでは、経営理念およびサステナビリティにおける基本的な考え方に基づき、事業活動を通じてサステナブルな社会の実現に貢献するとともに、当社グループの価値創造の源泉である従業員の育成など人的資本への投資を経営上の重要課題として位置付けています。
これら課題等におけるリスク・機会等の検討については取締役会が担っており、具体的な取り組みなどについて経営方針や事業計画等に反映させております。
なお、当社が認識しているリスク・機会(略式)につきましては次の通りであります。
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認 識(マクロ要因) |
影 響(機械需要の減少) |
|
リスク |
自然災害の激甚化等に伴う大規模災害の発生 |
森林資源の喪失および流通の停滞等による市場環境の悪化 |
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人口動態の変化に伴う林業・林産業従事者の減少 |
森林経営の継続困難や木材の生産力低下に伴う市場環境の悪化 |
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認 識(マクロ要因) |
影 響(機械需要の増加) |
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機 会 |
木質資源の有効活用による同資源の多様化 |
木材の活用幅拡大による森林経営の活性化 |
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木質建材の活用における法整備等の進展 |
品質の安定および向上による新建材市場の拡大 |
(3)戦略
当社グループでは、“木材を活かす“ことでサステナブルな社会の実現に貢献するべく、木質資源の有効活用を背景に、新たな木質建材の生産にかかる技術に加えて、木材の生産ラインにおける省人化・省力化に資する技術の開発および普及を経営戦略の主軸として位置付けるとともに、当社グループの価値創造の源泉である従業員の育成をはじめ、従業員が心身ともに健康で充実した生活を送ることができるよう組織風土の改革に努めるとともに働きやすい職場環境づくりに取り組んでおります。
<技術開発について>
当社では、“木材を活かす”ことでサステナブルな社会の実現に貢献するため、LVLや超厚合板をはじめとする金属等に代わる新たな木質建材を効率よく生産するための技術や、当社が製造する機械の使用において環境負荷の低減など省人化・省力化に資する技術の開発などをテーマに、それらのニーズに対応した技術の開発および既存機械の改良などに取り組んでおります。
昨今の社会・環境課題におけるニーズおよび顧客のニーズに対応した技術の開発および普及を当社グループの重要な経営戦略に位置付けております。
<人材投資について>
当社グループでは、「私たちの人生を素晴らしいものにしよう」という経営理念および行動指針に基づき、従業員一人ひとりが自主的に行動することに加えて、新たな取り組みに積極的に挑戦できる人材を育成する方針としております。また、昨今の変化の激しい経営環境において、当社グループの更なる成長を支える人材を確保し育成するためには多様な人材の個々を尊重し、それぞれが活躍できる企業風土と仕組みづくりが重要であると認識しております。
私たちの目指す組織風土
・風通しが良く、すぐに行動を起こせる体制を創る
・常に進歩を目指し、迅速に決断する
目指す人物像
・自分でエンジンを持つ人材の育成
・相手の要望を的確に把握、客観的に情報分析し、社内外に発信できる人材の育成
当社は、従業員個々の能力および職務における適正性を重視しており、各職種における専門性を持った人材を適所に配し活躍する環境を整えることで部門の機能充実を図り、もって当社全体の発展につなげる方針です。
当社では、中途採用者および女性の管理職層への登用について実績を有しており、当社従業員の多様性の確保に努めております。
(4)リスク管理
当該戦略等におけるリスク・機会の識別等については、取締役会が主体となり、機会の認識やリスクの発生可能性および重要性を議論し、適宜対応方針等を決定する体制としております。
(5)指標及び目標
当社グループにおいて優先される戦略につきまして、“木材を活かす”ことでサステナブルな社会の実現に向けて、木質資源の有効活用を通じて森林環境の循環に貢献することであります。一方で、当社グループを取り巻く事業環境および事業規模を勘案し、当該戦略等における具体的な目標および指標は定めておりませんが、当社グループの経営に重要な影響を与えることはないと認識しております。
また、人材投資における方針に基づく目標、指標および実績等につきましては、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象でないことに加えて、同方針について具体的な指標を定めておりませんので記載を省略しております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 製造・納品した機械の責任に伴うリスク
当社グループの主力である機械の設計、製造、設置等にあたって、法令等の遵守、安全管理、品質管理等に十分配慮しておりますが、この一連において予期しない欠陥や不良等が生じ、改修や損害賠償等が生じる可能性があります。該当事案の発生は多額の処理費用ならびに当社グループの信用の低下による機会喪失につながり、当社グループの経営成績、財務状況に悪影響をおよぼす可能性があります。
(2) 原材料・部品の供給に係る仕入先への依存リスク
当社の主力である合板機械および木工機械の製造において、仕入先から部品、資材および協力業者等のサービスの供給に依存しており、原油、原材料の高騰による資材価格の高騰や、労働力不足によるサービス単価の高騰は、当社の製造コストの増加に繋がることから利益に大きく影響する恐れがあります。また、一部の部品等については特定の仕入先に依存している状況から、当該仕入先の状況が当社機械の納期等に悪影響をおよぼす可能性があります。
これらの対策として、当社の主要な仕入先で構成した共創会や共成会をはじめとする協力体制を構築し、当社および仕入先相互に部品供給の状況等の共有を実施する等の協力体制を構築し対応を図っております。
(3) 為替相場の変動によるリスク
当社グループでは北米圏や東南アジア圏へ事業を展開していることから為替変動による影響を受ける可能性があり、急激な為替変動は顧客の設備投資計画そのものに影響をおよぼす可能性があります。これらの影響を勘案し、国外案件については円建てによる契約を基本としております。国外通貨建ての契約が発生した際は為替予約取引やデリバティブ取引を活用する等為替変動リスクの回避を図る一方で、事業年度末の為替、金利の情勢によってはデリバティブ取引等に伴う評価損益が発生し経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益に影響をおよぼす可能性があります。なお、顧客の設備投資計画に影響をおよぼす為替相場の想定につきましては、顧客と情報共有を実施し想定レートの参考にする等見通しを立てております。
(4) 人材等におけるリスク
当社グループでは主力の木材加工機械における技術は従業員にこそ継承されるものとする考え方から、従業員こそ当社グループの価値創造の源泉であると考えており、従業員の育成や労働環境の整備など従業員が誇りを持ち業務に集中できるよう企業風土の醸成に取り組んでおります。一方で、昨今の労働世代の減少等によって人材の確保が難航する状況や社外流出等による人材の不足が発生し、当社グループの事業活動および業績に悪影響をおよぼす可能性があります。
(5) 大規模災害によるリスク
当社グループの主力生産拠点は愛知県、大阪府、岐阜県であり、南海トラフを震源とする地震等の大規模災害が発生した場合には、生産拠点に悪影響をおよぼす可能性があります。これら万一の災害時に備え、生産拠点の耐震性能の強化や太陽光発電システムの導入などによって対策を強化しております。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の第5類移行に伴い社会経済活動は継続的に正常化の動きがみられた一方、長期化するロシア・ウクライナ情勢や中東地域をめぐる情勢の深刻化に加えて記録的な円安の進行などによる原材料価格やエネルギー価格をはじめとする物価の上昇や、国内における政策金利の引き上げなど、依然として先行きの不透明な状況が続きました。
林産業の動向につきましては、新築住宅着工戸数の減少に伴う木質の住宅建材需要減少の影響などにより、当社グループの事業活動と関わりの深い合単板生産量および集成材生産量ともに緩やかな減少傾向で推移するなか、政府主導で推進されている木質資源の有効活用を背景にLVLやCLTなどの新建材需要の動向に引き続き期待をよせる状況が続きました。
このような状況のなか、当社は国内外への受注活動に加えて当社ブランドおよび機械認知度の向上に向けた取り組みを積極的に推進するとともに、既存機械の省人・省力化に資する改善や新建材の製造に係る新たな技術の開発に取り組んでまいりました。
これらの結果、当連結会計年度における売上高は、8,843百万円(前年同期比37.4%増)となりました。売上高のうち輸出は、1,389百万円(前年同期は810百万円)で輸出比率は15.71%となりました。損益面につきましては、当社従業員の安定的な生活を補助する目的で実施したインフレ手当ての支給などによる人件費増加に加えて、国内外への展示会出展などに伴う広告宣伝費計上の影響もあり販売費・一般管理費は増加したものの、営業利益は1,432百万円(前年同期比92.8%増)、経常利益は1,432百万円(前年同期比86.3%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は1,065百万円(前年同期比56.0%増)となりました。
財政状態は、総資産12,032百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,105百万円増加しました。その主なものは、有価証券の増加500百万円、契約資産の増加444百万円、売掛金の増加386百万円、現金及び預金の増加380百万円、投資有価証券の増加218百万円、流動資産のその他の増加192百万円、仕掛品の減少216百万円によるものであります。
負債につきましては、5,178百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,097百万円増加しました。その主なものは、前受金の増加564百万円、支払手形及び買掛金の増加451百万円によるものであります。
純資産につきましては、6,853百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,008百万円増加しました。その主なものは、利益剰余金の増加912百万円によるものであります。
セグメントの経営成績は次のとおりであります。
ア.合板機械事業
合板機械事業につきましては、足元の受注案件における機械製造および設置は概ね順調に進むとともに、既設機械のメンテナンスや改善の提案活動および海外の受注活動において一定の成果が上がったことに加えて、特殊要因による大型受注の影響もあり売上高は6,592百万円(前年同期比54.3%増)、営業利益は1,561百万円(前年同期比130.4%増)となりました。
イ.木工機械事業
木工機械事業につきましては、主力機械であるフィンガージョイントラインやスキャナー関連を中心とした受注活動に加えて顧客ニーズを捉えた機械の開発に注力いたしました。2023年10月開催の日本木工機械展におきまして、デジタル技術によって完成品の品質管理等に大きく貢献する次世代型スキャナー「T-Scanner DX」を出展し、技術優秀賞を受賞いたしました。当該事業の売上高は1,410百万円(前年同期比32.8%増)となりました。営業利益は、人件費が増加したことに加え部材調達コストが想定以上に増加したことなどにより39百万円(前年同期比72.8%減)に留まりました。
ウ.住宅建材事業
住宅建材事業につきましては、当社の得意とするツーバイフォーに係る新築住宅の受注獲得および木質建材販売等の営業活動に注力いたしましたが、新築住宅市場の冷え込みに伴う建材需要の減少等もあり、売上高は 840百万円(前年同期比23.9%減)に留まりました。損益面につきましては、物価上昇に伴う荷造り運賃の増加に加えて取引先企業の倒産に伴う貸倒損失の影響もあり、営業損失62百万円(前年同期は19百万円の営業利益)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は4,416百万円となり、前連結会計年度末と比べ、44百万円増加しました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、獲得した資金は、1,693百万円(前年同期は1,438百万円の獲得)となりました。これは主に、売上債権の増加及び契約資産の増加による資金の減少を税金等調整前当期純利益の増加及び前受金の増加による資金の増加が上回ったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は、1,170百万円(前年同期は787百万円の使用)となりました。これは主に、定期預金の払戻による資金の増加及び有価証券の売却及び償還による資金の増加を有価証券の取得による資金の減少、定期預金の預入による資金の減少及び投資有価証券の取得による資金の減少が上回ったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、使用した資金は、479百万円(前年同期は164百万円の使用)となりました。これは主に、長期借入金の返済による資金の減少及び配当金の支払いによるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
ア.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
合板機械事業(千円) |
6,433,239 |
148.0 |
|
木工機械事業(千円) |
1,353,021 |
119.1 |
|
住宅建材事業(千円) |
840,616 |
74.9 |
|
合計(千円) |
8,626,878 |
130.6 |
(注)1.金額は販売価格で算出しており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.外注加工による生産を含んでおります。
イ.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
|
合板機械事業 |
4,647,924 |
52.7 |
4,588,848 |
70.2 |
|
木工機械事業 |
1,818,760 |
211.3 |
706,293 |
237.3 |
|
住宅建材事業 |
863,205 |
81.4 |
82,288 |
138.5 |
|
合計 |
7,329,889 |
68.2 |
5,377,429 |
78.0 |
(注)1.金額は販売価格で算出しており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.当連結会計年度において、木工機械事業セグメントにおいて受注高および受注残高に著しい変動がありました。主な要因は、フィンガージョイントラインおよびスキャナー関連の受注が増加したことによるものです。
ウ.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
合板機械事業(千円) |
6,592,922 |
154.3 |
|
木工機械事業(千円) |
1,410,158 |
132.8 |
|
住宅建材事業(千円) |
840,348 |
76.1 |
|
合計(千円) |
8,843,428 |
137.4 |
(注)1.金額は販売価格で算出しており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.当連結会計年度において、合板機械事業セグメントの販売実績に著しい変動がありました。主な要因は、特殊要因による大型受注によるものです。
3.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。なお、前連結会計年度における新秋木工業株式会社および島根県合板協同組合の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合については、当該割合が100分の10未満であるため記載を省略しております。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
新秋木工業株式会社 |
- |
- |
1,606,617 |
18.2 |
|
株式会社日新 |
1,266,356 |
19.7 |
1,502,786 |
17.0 |
|
島根県合板協同組合 |
- |
- |
963,272 |
10.9 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績等につきましては、売上高は前期に比べ37.4%増加し8,843百万円、営業利益は92.8%増加し1,432百万円となりました。
なお、当社の経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標を、本来の収益性を示す売上高営業利益率としており、重要な項目と捉えております。
売上高営業利益率の目標としては、10%以上を安定的に達成できることを目指しておりますが、当期の営業利益率は16.2%となりました。
この主な要因としては、住宅建材事業は市場の冷え込みから売上・利益ともに減少しましたが、合板機械事業および木工機械事業において、昨年から好調に推移しておりました受注に加え、特殊要因による大型案件の生産進捗率が進んだことによりグループ全体の売上高が増加しました。利益におきましても、人件費の上昇や木工機械事業において想定以上の部材調達コストの上昇はありましたが、生産量増加に伴う効率化の影響が大きく上回った結果、目標利益率を大幅に達成しました。
一方、足元においては新築住宅着工戸数の減少傾向の継続が見込まれるなか、合板機械事業において特殊要因による大型受注が一巡したことにより収益性が低下する要因がありますが、LVLや超厚合板など木質建材を有効に活用できる機械の開発に引き続き取り組むとともに、北米エリアを中心とした海外販路の拡大に努め、安定的に10%以上の営業利益を達成できるよう取り組んでまいります。
その他、当連結会計年度における経営成績等につきましては(1)経営成績等の状況の概要①財政状態及び経営成績の状況に記載のとおりであります。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況の分析
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、第2「事業の状況」の4「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の(1)経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローの状況に記載のとおりであります。
資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保する事を基本方針としております。
運転資金需要のうち主なものは製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であり、資金調達は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としております。
資金の効率化により生じた余裕資金は借入金返済等の原資とし、財務体質の強化を図ってまいります。
ここ数年の業績により手元資金に余裕が生まれている状況ではありますが、現在開発中の機械が商品化された際に予想される必要設備や太陽光発電システムの設備投資、検討中である主要な工場棟の老朽化や生産性の向上等に資する建替または移転に対する資金の担保や、リーマンショック級の景気後退に伴う業績悪化時にも耐えうる財務体質を確保するため、一定の余裕資金を確保しておく必要があると考えており、安全性の高い金融商品である合同運用指定金銭信託など、元本を毀損するリスクが限りなく低い金融商品にて余裕資金を運用しております。また、安定的な財務状況を維持し、経済環境の変動に柔軟に対応できるよう、新型コロナウイルス感染症特別貸付制度による資金調達を実施しております。
今後におきましては、資本コストや資本収益性、株価・時価総額の状況を検証し、中長期的な企業価値向上に向けた活用についても検討を進めてまいります。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成されております。この連結財務諸表の作成において、損益又は資産の状況に影響を与える見積りの判断は、一定の会計基準の範囲内において過去の実績やその時点での入手可能な情報に基づき合理的に行っておりますが、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。なお、当社グループの連結財務諸表作成にあたり採用した会計方針は、第5「経理の状況」(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)4.会計方針に関する事項に記載のとおりでありますが、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすものと考えております。
a)完成工事補償引当金
顧客に納入した製品に対して発生したクレームに係る費用に備えるため、製品売上高に対して将来予想される補償費用を一定の比率で算定するとともに、個別に発生見込の高い費用を完成工事補償引当金として計上しております。
引当金の見積りにおいて想定していなかった製品の不具合による義務の発生や、引当の額を超えて費用が発生する場合は、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。一方、実際の費用が引当金の額を下回った場合は引当金戻入益を計上することになります。
b)一定の期間にわたり充足される履行義務について認識した収益
一定の期間にわたり充足される履行義務について認識した収益に際して用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
c)繰延税金資産の回収可能性
当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
該当事項はありません。
当社グループの事業活動と関わりの深い樹木は、循環可能な天然資源であり、樹木を加工して作られる木材製品は相対的に環境負荷の少ない資材としてその有効活用の促進に期待が寄せられております。加えて、国内では人口動態の変化に伴う労働人口の減少を背景に、木材の生産現場において省人化・省力化を主軸とした生産性の向上に資する技術の重要性が高まりを見せております。当社では、これらの社会・環境ニーズにお応えする技術の開発を研究開発活動における最重要課題として捉え、新機種の開発および既存機種の改良・改善に取り組んでおります。当社の研究開発活動は、主に合板機械事業、木工機械事業において専門の部門を設置して推進しております。
当社グループにおける当連結会計年度の研究開発費の総額は
なお、当連結会計年度におけるセグメント別の研究開発の目的、主要な課題、成果および研究開発に係る費用は次のとおりであります。
(1)合板機械事業
当社の主力かつ既存機であるアコーディオンプレス、ロールジェットドライヤーおよびアルテサ(研磨機)において社会・環境ニーズへの対応を主として、顧客の利便性に資する改良・改善等に取り組むとともに、木材の有効活用に資する新たな木質建材における生産技術の確立等に向けて、高周波プレス機等の開発に取り組んでおります。
これらの結果、当連結会計年度の合板機械事業に係る研究開発費は
なお、当連結会計年度における研究開発活動において、大きな変更はありません。
(2)木工機械事業
木材資源の有効活用や国産木材を利用した建築構造部材としての安定利用が課題となっております。
集成材の性能保証、生産性向上が叫ばれる中、木材を有効に歩留まり良く活用するために、集成材工場におけるシステム化の提案として、スキャナーの開発や、高精度・高能力フィンガージョイントシステムの開発に取り組み成果をあげております。
現在注力しておりますのは、スキャナーシステムでの商品判定の精度向上、処理能力向上の開発に取り組んでおります。また、非住宅木材化が進んで行くことが予想されるため、中厚物切断装置の開発にも取り組んでおります。これらの結果、当連結会計年度の木工機械事業に係る研究開発費は
なお、当連結会計年度における研究開発活動において、大きな変更はありません。
(3)住宅建材事業
当社の子会社である太平ハウジング株式会社は、ツーバイフォー工法住宅の構造躯体(パネル)の製造販売を行い、構造図設計から建て方施工、現場指導、構造躯体の検査等、一貫システムの運営をしております。
現在も構造躯体の他に建材製品の開発に取り組むなど、より付加価値の高い製品を提供することを進めております。また、頻発する地震により耐震・免振への意識が高まっていることから、地震発生装置を製作し当社製品の耐震評価向上に取り組んでおります。
なお、当連結会計年度の住宅建材事業に係る研究開発費は