文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、公正な競争原理のもと、良質な人材、資金と組織を作ることで、「お客様第一主義」に基づいた事業活動によりお客様、株主様、お取引先様、従業員とともに成長し社会に貢献することを経営理念としております。
スポーツ、ファッション商品を通して、お客様の求める最高の商品価値を創造、提供できる商品開発とショッピングそのものの楽しさやサービスを提供できる店舗づくりを継続的に実現し、「オンリーワン」企業になることを経営の基本方針として、日々努力を重ねてまいります。
(2) 経営戦略等
当社グループは、中長期的に予測される経営環境の変化と、短期的なマーケット動向に対応しながら、お客様との様々な接点を通じて「スポーツの新しい価値」を提案し、新しいスポーツビジネスの創造に取組んでいくことで、中長期的に企業価値を高めるとともに、社会貢献を果たしていくという企業理念を実現するために、以下の取組みを実施しております。
グループ内での経営理念の共有と浸透を進め、グループ各社ごとの企業カルチャーを尊重しつつ、それぞれが競争優位性を有する事業に特化し人材を育成することで、専門性の確保と相互補完、及び連携によるシナジーを創造するグループ運営を目指しております。また、コスト競争力を強化するためにグループ内での機能集約を進める一方で、成長領域への事業拡大に向けて、国内外の有力企業との協業や提携、相乗効果が期待できる事業や企業の買収などのM&A戦略に積極的に取組み、新たな人材やノウハウといったグループアセットの増強を努めております。
中核事業であるスポーツ小売事業においては、市場環境と立地特性により「スーパースポーツ」、「スポーツエクスプレス」、「ヴィクトリア」、「ヴィクトリアゴルフ」、「エルブレス」、「ゴルフパートナー」、「ネクサス」、「タケダスポーツ」などのそれぞれの業態が持つ「強み」と「特色」を活かした新規出店や店舗の再配置、及びEC機能の併設を進めることにより、収益性と生産性を備えた店舗網の整備を進めております。商品面では、お客様との接点である店頭での販売情報や社会情勢の変化、及びファッショントレンドをベースとして、店舗ごとの商品構成の精度向上と、お取引先様との連携や取組みの拡大による商品での差別化を継続的に実施しています。また、小売事業の成長を促進するために物流と情報システム整備に関しては継続的に投資を行ってまいります。
そして、中長期的な社会構造の変化に合わせた国内小売事業の持続的な発展のために、既存事業の改革と新たな成長戦略の立案と推進、各種の業態改革の推進、及びグローバルな価値観の変貌やガバナンス強化に向けた経営インフラと体制の整備を同時に進めてまいります。
① 新たな事業モデルの創造
コロナ禍を経た市場の変化、主要スポーツメーカー各社の流通戦略の変化、お客様の購買行動におけるオンライン販売とリアル店舗の目的と機能別に使い分ける流れなどに対応して、既存のスポーツ小売事業の事業モデルの刷新が最重要課題となっています。そのためには、マーケティングの発想を起点とした商品構成の修正と、お客様一人一人が最適な商品を選択していただけるような店舗環境とサービスを充実させた業態の刷新により、商品の基本価値だけでなく、使用価値、感動価値の最大化を進めてまいります。オンライン販売に関しては、急拡大から安定成長の局面に入り、規模の拡大と並行して、地域格差に応じた配送能力の設定によるコストコントロールを進めることで、お客様のニーズに沿ったチャネルとして育成してまいります。
また、競合環境が激化するなかで、他社との差別化のためには当社が指定する仕様での独占販売商品の取扱い拡大や、当社独自でのオリジナル商品の開発と調達が重要になります。前者に関しては、お取引先様への協業に向けた提案力を強化し、後者に関しては、商品開発とそれに向けた人材開発への取組み強化や、差別化商品を取扱う企業との提携や連携により新たな商品調達ルートの確保を進めてまいります。
人材面では各種の用品用具に関する専門知識や販売スキルを備えた外部人材の確保と、経験やノウハウの伝承による人材開発に向けた取組みを強化することで、専門店ならではの情報とサービスの提供を追求してまいります。さらに、グループシナジーを有効に発揮させるために、グループ内アセットの利用と連携だけでなく、外部のスタートアップ企業との連携強化を推進してまいります。
② 事業や店舗のスクラップ&ビルドと新たな業態変革
スポーツ小売事業において多様化するニーズにお客様起点で対応するためには、マーケティング視点での事業運営のための抜本的な業務改革が必要となります。商品管理の細分化と販売時期の売上の波動に応じた定数コントロールの強化を行うためには、本社業務の抜本的な改革と業務の標準化、及びそれを定着させるための教育体制の再構築を進めてまいります。また、地域ごとに異なるスポーツ事情を踏まえた店舗におけるエリア特性への対応の重要性が高まっており、その観点からも本社と店舗間の有機的なコミュニケーションの充実が鍵となりますので、その環境整備と業務フローの改革を推進してまいります。
コロナによる行動制限が解除され、外出需要の拡大に伴うリアル店舗の価値が見直されつつある中、店舗の業態進化とマーケット市場の変化に伴う店舗網の再配置が急務となっています。また、オンライン販売については成長過程にありますが、リアル店舗とオンライン販売を融合した、お客様第一主義に基づくOMO戦略に特化してシェアアップを図ることが必要と考えております。また、コスト上昇圧力と人材に関連する課題への対応としては、既存事業における標準化によりコロナ禍前より少ない労働時間での店舗運営を可能にするための業務改善に加え、人材育成を強化することで、収益性と販売効率を向上させる必要があります。物流に関しては、労働時間の見直しに伴う店舗間の商品移動コストの上昇が予想される中、各店舗の商品在庫見直しを進めていくと同時に、ECサービスの店頭受取などの取り組みを開始し、お客様満足度向上と経費率の引き下げを目指して改革をしてまいります。そのために、グループ全体の運営方法の統一推進とシステム投資の拡大により、中期的なコスト上昇対策と生産性向上を進めてまいります。
海外事業では、日本国内と同様にスポーツやレジャーに関するコロナ禍の影響を受けて、ゴルフ事業に関しては堅調に売上を拡大してきましたが、最近では、日本国内と同様に一旦の落ち着きを見せております。今後は、グループの海外事業としての業容の充実に向けて、傘下の海外子会社に対するガバナンスの強化と経営基盤の強化という形での経営改革を進めてまいります。
(3) 経営環境
当社グループは、国内外におけるスポーツ、レジャー用品の小売、及び卸売を主たる事業としておりますが、連結売上高の9割以上が国内におけるスポーツ用品・用具の販売となっています。具体的な事業内容につきましては、商品部門別販売実績、及び地域別売上高に示しています。
① 市場環境
国内のスポーツ、レジャー市場は、少子高齢化の進行による若年層の減少、及び地球温暖化の影響による降雪の減少といった社会情勢の変化を受けた長期的なトレンドのなかで、内容は変化しながらも、安定的に成長を続けております。そのような中、2019年12月以降、新型コロナウイルスが世界的に感染拡大したことによりスポーツ活動が大きく制約され、スポーツ用品販売業界でも、部活動やランニング需要が縮小する一方で、ゴルフやアウトドア需要が大きく拡大するなど、一時的に大きな変化が発生しました。2023年5月には新型コロナウイルスによる行動制限が解除され、外出需要の本格的な回復や訪日外国人の増加などによるインバウンド需要の活発化等がみられ、シューズやアパレル商品の需要が大きく回復に向かいました。一方で、コロナ禍に拡大したゴルフ・アウトドアのビギナー需要については一巡し、また、暖冬の影響でウインター商品市場は縮小しました。今後のスポーツ用品販売業界につきましては、コロナ禍を経て、新たな生活様式や価値観が芽生えたことや、超高齢化社会の根底にある健康志向の高まり、更には、ファミリーレジャーの需要拡大の動きと相まって、成長市場として拡大していくことが予想されます。
② 顧客動向
お客様や部活生の動向は、国内での各種競技スポーツのプロリーグ化による盛り上がりや、グローバルなスポーツ大会での競技種目の変更や追加、日本人プレーヤーの活躍などに影響され、競技種目ごとの販売状況は緩やかに変化していきます。新型コロナの行動制限が解除されて以降、シューズ、一般スポーツ、トレッキングなどの需要回復がみられ、外出需要が回復したことにより、リアル店舗の価値も再認識されてきております。また、お客様が商品や店舗を選択する際の基準が、店舗ロケーションや商品の機能、提供されるサービス内容だけでなく、企業や商品の環境問題への取組み姿勢などに変化するなど、購買行動と価値観が変化しています。さらには、近年のウクライナ紛争等の世界情勢の影響によるエネルギーを含む各種の物価上昇は続き、雇用・所得環境の改善はみられるものの、実質所得水準の引上げまでには至らないなか、お客様の生活防衛意識は高まっており、商品調達や販売手法の修正や変更をする必要があります。
③ 販売チャネル
コロナが収束したことにより、オンライン取引も急拡大から安定成長に変化し、お客様側でもリアル店舗の利用を重視する揺り戻しが起きております。しかし、中長期的にはオンライン販売の比率は上昇していくことが予想されているため、リアル店舗ではお客様が最適な商品を選択できることと、実体験ができるための役割を備える必要があり、それを支えるためのITやデジタル関連の投資の重要性が高まっています。また、大手メーカー各社の流通ルートの選別が拡大した影響で、競合する専門店では商品調達が困難になり、業界内での商流や取引関係に新たな動きが起きつつあり、専門店からの要請を受けて、同業者への卸売りを開始しています。従来の中古ゴルフクラブ販売事業でのフランチャイジーへの卸売りのノウハウを活用しながら、今後も他の事業者への卸売りによる実質的なシェアアップの可能性が出てきています。
④ 競合環境
多くの取扱商品が共通する大手メーカー各社の商品であること、同業他社における業態や出店戦略の同質化が加速しています。また、カジュアル衣料専門店やホームセンター、及び日用雑貨店などにおけるスポーツ衣料やレジャー関連商品の取扱拡大のような周辺領域からの進出が継続しています。さらには、メーカー各社が自社ウェブサイトでのオンラインでの直販を強化する流れは変わらず、競合環境は日を追うごとに厳しくなっています。
⑤ 事業運営環境
店舗で働く人材の確保や人材流動化の加速、及びスポーツ種目のトレンド変化に対応してそれぞれの専門人材を確保し、教育・育成すること、及び多様化する価値観に対応しながら働きやすい環境を整備することの重要性が高まっています。また、近年の地政学リスクなどに起因する急速な物価上昇を除いても、オンライン販売増加を支える物流関連でのコストアップや、情報処理と発信におけるITやデジタルに関連する設備投資の拡大、及び人件費単価の上昇など、事業におけるコスト上昇圧力は増大しています。また、各種の営業施策を変化させるなかでのコンプライアンスやガバナンス強化のための管理コストは増加する傾向にあります。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
新型コロナウイルスの感染拡大は、当社グループの主たる事業領域である国内外のスポーツ用品販売事業の経営環境に大きな変化をもたらしましたが、2023年5月の行動制限の解除以降、その影響は解消に向かい、今後は、コロナ禍に確立された新たな生活様式を踏まえた対応を進めていくことが必要となっています。当社グループとしては、これらの急激な環境変化への対応と、従来から継続しております中長期的な社会構造の変化に合わせた取り組みを同時に進めていくことが必要になっています。短期的には、更なる拡大が見込まれるスポーツ・シューズ需要やダウントレンドの歯止めが必要なゴルフやキャンプ用品の需要を喚起し、お客様の利用目的に応じてリアル店舗とオンラインでシームレスに獲得できる体制を整える必要があります。また、中長期的な社会構造の変化や市場の変化に対しては、スポーツ事業の様々な可能性をビジネスとして成立させて行く事が重要であるとともに、人口減少が進む地域の同業者や規模の拡大が難しい専門店はスポーツのすそ野を維持するために、その存続にむけた取組みが必要となります。更には、各種の業態開発の推進にも取り組むことで、シェアアップとトップライン水準の引き上げによる総資産回転率と各種の利益率を改善し、安定的な営業キャッシュ・フローを確保するとともに、資本コストや株価を意識した経営の実現に向けて、ROEの向上などの財務面での改善という課題に取り組んで参ります。
① 資本コストと資本収益性についての現状分析
当社グループの2023年度の業績におけるROEは2.1%であり、2023年度末の当社グループの株主資本コスト6.6%に対して低位となっています。その現状を踏まえて、スポーツ用品小売市場の持続的成長を前提にした適切なキャピタルアロケーションのもと、市場変化に対応するための成長投資と事業基盤の整備、及び株主還元の強化により、株主資本コストに見合うROEの維持向上を目指します。
② 資本コストや株価を意識した経営実現に向けた取り組み
適切なキャピタルアロケーションのもと、ROE向上に向けて、資本コストや株価を意識した経営実現に向けた取り組みを推進してまいります。
具体的には、新規出店や既存店活性化、事業インフラ整備などへの成長投資を軸とした「コア事業の深化」、事業ごとの定量・定性評価の高度化と低効率事業の縮小・撤退を推進する「事業ポートフォリオマネジメント」、坪売上高及び商品回転の向上や保有資産の流動化等による「投下資本の圧縮」、機動的な自己株式取得と長期安定配当の継続による「株主還元の強化」、更には、それらを着実に推進するための「サステナビリティ経営の実現」と「人的資本投資と人材育成」に取り組んでまいります。
③ 財務課題への取組み
これらの短期、中期的な課題を認識しながら、グループシナジーの創出とガバナンス強化による企業価値向上のために、以下の経営指標に注目しながら、財務の改善を推進してまいります。なお、EBITDA、平均運転資本及び坪当たり売上高は中核事業の収益性と生産性の観点で注目しております。
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2022年3月期 |
2023年3月期 |
2024年3月期 |
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EBITDA(百万円) |
8,915 |
12,174 |
8,881 |
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平均運転資本(百万円) |
45,280 |
49,788 |
53,346 |
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坪当たり売上高(千円/坪) |
1,118 |
1,198 |
1,207 |
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ROE(%) |
3.3 |
4.5 |
2.1 |
各指標の計算方式は、連結貸借対照表と連結損益計算書における以下の数値で算出しています。
・EBITDA=営業利益+減価償却費+のれん償却費
・平均運転資本=売上債権+商品-仕入債務の前期末と当期末の残高の平均
・坪当たり売上高=売上高÷売り場面積の期首時点と期末時点の平均坪数
・ROE=親会社株主に帰属する当期純利益÷自己資本の前期末と当期末の残高の平均
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
<サステナビリティの基本方針>
-「希望に満ちた明るい未来」の実現-
当社グループは、スポーツの持続的発展に寄与し、地域社会への貢献を行い、身近にスポーツがある健康的で充実した豊かな世界を創造することをミッションに、その実現に取り組んでいます。
その根底にある-Xebio Philosophy-をもとに、私たちゼビオグループは、スポーツを通じて「希望に満ちた明るい未来」の実現に取り組んでいきます。
(1)ガバナンス
サステナビリティに関連する重要なリスク・機会の特定及び対応に関わる年度計画の作成、重要課題への取組の推進、進捗状況のモニタリング、実績の確認を行うため、「サステナビリティ委員会」(以下、委員会)を設置しています。
委員会では、副社長執行役員が委員長を務め、年2回、委員会の下部組織であるサステナビリティ推進室からの報告による進捗管理を行うとともに、課題解決のための意見交換や議論を行っています。そして委員会の活動内容に関する取締役会への半期ごとの定期報告を通じて検討された活動や施策は、グループ各社・各部門の方針・施策として業務計画に落とし込んでいます。
-5つのマテリアリティ(重要課題)-
当社グループは、持続可能な社会を実現していくためのテーマとして、5つの「マテリアリティ」を特定し、事業活動を通じてこれらの解決に取り組んでいます。
この5つの「マテリアリティ」は、ゼビオグループミッション「スポーツの持続的発展に寄与し、地域社会への貢献を行い、身近にスポーツがある健康的で充実した豊かな世界を創造すること」を具現化するとともに、「ゼビオグループの目指す姿」の重要な羅針盤であり、マテリアリティの特定と対応を通じて持続可能な社会の実現を目指していきます。
(2)戦略
<気候変動への対応>
当社グループでは、私たちの生活環境や次世代の福祉にも深刻な影響を与えかねない地球規模の環境問題である気候変動に取り組むことを、経営の重要課題と位置づけています。当社グループミッションとして掲げている「スポーツの持続的発展に寄与し、地域社会への貢献を行い、身近にスポーツがある健康的で充実した豊かな世界を創造すること」を具現化するため、店舗照明のLED化等の環境に配慮した行動計画を策定し、持続可能な事業展開に取り組んでいます。
<持続可能なサプライチェーンへの対応>
当社グループでは、生産工場を含む第2次サプライヤー以降も含めたサプライヤー全体における定期調査を行い、サプライチェーンにおける法令遵守、人権・労働、安全衛生、環境、倫理の実態把握に努め、自社開発商品における生産性の向上と持続可能なサプライチェーンの実現に取り組んでいます。
[持続可能なサプライチェーン方針]
1.法令遵守
国内外の法令を遵守し、社会規範を尊重します。
2.オープン・公正な取引
公正で自由な企業間競争のもと、全てのお取引先様と適正な取引を行います。
3.健全な取引関係の構築
お取引先様との相互理解と信頼関係を大切にし、健全な取引関係の構築を目指します。
4.適正な価格・品質と安定的な購買
購買品に対する知識を高め、市場調査を怠ることなく、優れた物品並びにサプライヤーの開拓に努めます。
5.CSR(企業の社会的責任)調達の推進
環境や人権など社会面に配慮した責任ある調達活動を行います。
<多様性の確保に向けた人材育成に関する方針及び社内環境整備>
当社グループにおける、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は以下のとおりです。
[人的資本に関する対応]
当社を取り巻く環境はますます予測のできない変化の様相を呈しており、異業種や海外からの参入、少子高齢化や購買チャネルの変化など中長期的なマーケットの変貌に継続的に対応していくことが求められています。新たな可能性を拓く業態開発、差別化された商品開発、さらに感動価値を提供する顧客接点など、我々の目指す未来に向け、全ての領域に人材の成長と優位性が必要なのは明らかです。
当社グループは、全ての人々が様々な形でスポーツを通して明るい未来を創造することを目指します。様々な変化や問題を自ら実感として受け止め、自由な発想と独創性により新しい価値を創出することが未来の新たな発展につながると考えています。
<方針>
当社グループでは、人材を事業活動における価値創造の源泉、最大の資産と改めて位置づけ、その成長のための育成と能力開発、また社内環境の整備に継続的に取り組むことで、経営戦略・事業戦略の達成とグループの持続的な成長を実現していきます。
(3)リスク管理
当社グループでは、前述したサステナビリティ委員会において、サステナビリティに関連する重要なリスク・機会の特定及び対応に関わる年度計画の作成、重要課題への取り組みの推進、進捗状況のモニタリング、実績の確認が行われ、半期ごとに当社取締役会に報告されます。サステナビリティ委員会で検討された活動方針や施策は、グループ各社・各部門の方針・施策として実行されます。
(4)指標及び目標
<脱炭素社会の実現に関する目標>
当社グループでは、重要課題の一つとして「脱炭素社会の実現」を掲げ、事業活動(Scope1、2)におけるCO2排出量の削減目標の達成に向けた取組を進めています。2023年度までの進捗は、以下のとおりです。
<目標及び実績推移>
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CO2排出量 (※1)(※2) |
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目標 |
実績(2018年度) |
実績(2023年度) |
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Scope1、2(t-CO2) (※3) |
2030年度までに 46%削減 2050年度までに 実質ゼロ (2018年度比) |
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(※1)CO2排出量の算定にあたっては、㈱三井住友銀行が提供するCO2排出量算定・削減支援クラウドサービス「Sustana」(SGSジャパン株式会社より計算式と排出計数DBの妥当性確認済み)を利用しています。
(※2)主要な事業会社であるゼビオ㈱、㈱ヴィクトリア、㈱ゴルフパートナーのCO2排出量となります。
(※3)事業活動における電気使用量から算出する排出量のみの実績となります。
<人材の多様性・育成等の指標に関する目標及び実績>
当社グループでは、上記「(2)戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いています。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりです。
<取組>
上記方針の実現に向け、グループの中核である国内小売事業各社を中心に以下のような取組を推進しております。
・公募・登用
多様なお客様への対応が事業の優位性に繋がるという考えのもと、「出る杭制度」と名付けた社内公募・登用制度を導入し、組織・社員の活性化に取り組んでいます。雇用形態・年齢・社歴・性別・国籍・居住地といった個人の属性に関わらず、実力ある人材を役職者へ登用することで、人材の多様性と組織の活性化を推進していきます。
一方で、地域を限定した勤務を希望する人材に対しては、エリア限定地域社員の職制を設定し、個人の求める多様な働き方に対応した制度を設計・運用しています。
指標:公募制度応募者数 2023年度 352名 ⇒ 2025年度 500名程度
・女性管理職
チェーンストアとして、小さな本部・多数の店舗を持つ事業が主体であることから、女性管理職の登用目標は店長職をメインとして設定しています。今後に向けてさらに対象ポスト及び登用人数を拡大していきます。
指標:女性店長比率 2023年度末時点 9% ⇒ 2025年度 20%程度
・キャリア採用
全国に展開している店舗にて採用活動を行い、ここから、店長登用、本部での専門職登用を積極的に進めています。今後さらに全国でのキャリア採用の比率を拡大し、多様な人材が活躍する土壌を整えていくことを目指しています。
指標:キャリア採用比率 2023年度末時点 58% ⇒ 2025年度 63%程度
・教育体系
集合/オンライン研修、社内動画共有ツール、外部e-learningを活用し、階層別研修、商品研修、その他コンプライアンス等分野別教育を体系的に実施しています。また外部への教育出向、大学等への派遣も積極的に推進しており、当社グループ内での教育では実現できない、基礎教育水準の向上、専門スキルの習得、業務上の連携強化、多様性のある外部人脈、ベンチャースピリッツの維持、自己啓発カルチャーの定着の実現を目指して取組んでいます。
指標:一人当たり年間教育研修時間 2023年度 11時間 ⇒ 2025年度 30時間程度
・ダイバーシティ
「Xebio Diversity Project」を組成し、多様性に重点を置く経営実現に向けて以下の具体的施策に取り組んでいます。
1.女性活躍推進‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥女性管理職の登用、女性目線での商品構成、商品開発、売場作り
2.外国人・外国籍人材の活用推進‥‥‥‥‥海外生産、商品調達に向けて雇用拡大、教育環境の整備
3.障がい者雇用拡大と活躍推進‥‥‥‥‥‥特別支援学校との提携、雇用の拡大、障がいの程度に応じた業務抽出、サポート体制作り
4.その他の多様性に関する取組について‥‥育児休業短時間勤務制度を小学校入学時まで拡大、カムバック制度導入による再雇用機会の提供
経営環境の変化が著しいなか、当社は事業活動に関わるリスクを的確且つタイムリーに把握するために、各事業会社における毎月の取締役会とコンプライアンス委員会による定期的なモニタリングによる短期的なリスクの把握のほか、当社代表取締役と社外取締役及び社外監査役によるガバナンス委員会と各種委員会による中長期的な事業価値向上とリスク把握を行っています。
事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2024年6月27日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1)事業リスク
①国内の経済環境、社会情勢に伴うリスク
当社グループは主に日本国内において事業展開を行っており、国内景気や個人消費の動向など経済環境により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。スポーツやレジャーは、既にお客様のライフスタイルのなかで重要なポジションを占めていますが、いわゆる生活必需品という位置づけにならないため、景気動向や雇用環境が悪化した場合には、当社グループ内での小売事業における販売の不振や、クレジットカード事業における消費者向け売上債権の回収における貸倒れリスク増加という形で、グループの業績に影響を与える可能性があります。
少子化に伴う人口減少の進行は、就学時の部活動の規模が縮小されるだけでなく、将来にわたって、スポーツ市場が縮小することが懸念されることから、中長期的に当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
②天候不順や異常気象に関するリスク
近年の異常な気温上昇や降雪の減少、ゲリラ豪雨や冷夏などの想定外の異常気象といった天候要因は、アスレチックスポーツや、ゴルフ、キャンプ、スキーやスノーボードなどのレジャー用品の使用機会減少や、衣料品の消費動向に反映されるため、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
③人材の確保に関するリスク
当社グループの事業と成長には、販売現場に勤務する従業員(当社グループでは「スポーツナビゲーター(Sports Navigator)」と呼びます)の安定的な確保が重要な要素となっています。スポーツに携わることに喜びを感じながら接客販売や用品の加工業務に携わる人材の確保が想定どおり進まない場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
④取扱商品の瑕疵に関するリスク
当社グループは、お取引先様を含めた一貫した商品管理の徹底、チェック体制の確立など、お客様に安全な商品と正確な情報をお伝えするよう努めております。しかしながら、異物混入や健康被害を与える可能性のある商品、表示不良品の流通など、予想を超える重大な品質問題が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤情報システムに関するリスク
当社グループは店舗POSシステムをはじめとして、商品の発注、営業の管理等の業務において、内部及び外部の情報並びに技術的システム、ネットワークを活用しております。当社グループが使用しております技術的システム及びネットワークに、自然災害、人為的過誤、停電、コンピューターウイルス、ハッカー等により障害等が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥フランチャイズ展開についてのリスク
当社グループは、「ゴルフパートナー」業態をフランチャイズ方式で展開しています。当社グループでは加盟店に対する商材や販売ノウハウのほか、下取り価格の査定システムなどを提供することで、加盟店との信頼関係の上で相互メリットを享受しています。従って、加盟店企業の業績や出退店動向によって、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑦海外での事業展開に関するリスク
当社グループは、海外において小売と卸売事業を展開しております。海外市場における文化的・宗教的な違い、政情不安や経済動向の不確実性、現地のお取引先様との関係構築や売掛金回収などの商慣習の違い、特有の法制度や投資規制、税制変更、労使問題、テロ、戦争、伝染病の発生、その他の政治情勢を要因とする社会的混乱といった障害に直面する可能性があり、こうした様々な海外におけるリスクは、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)事業継続に関するリスク
①自然災害リスク
当社グループは、日本全国での商品販売を主たる事業として展開していますが、それを支える本社機能はゼビオ株式会社の本社がある福島県郡山市と、株式会社ヴィクトリアと株式会社ゴルフパートナーの本社がある東京都内に集中しています。大規模な地震や台風などの自然災害、或いは火災や停電、通信ネットワーク障害、原子力発電事故等が発生し、本社の施設等に損害が生じて本社機能が停止した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
②サプライチェーンリスク
当社グループで販売する商品は、多数のお取引先様からのナショナルブランド商品と自社が工場に生産を発注する開発商品で構成されていますが、多くの商品はアジアを中心とした海外の工場で生産され、各社の物流ルートを経由して、店舗や倉庫に納品されています。従いまして、生産国での政治情勢やテロ、及び大規模な自然災害の発生などにより商品調達やサプライチェーンの寸断が発生する場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
③感染症等によるパンデミックリスク
当社グループは、主に日本国内において店舗、物流施設等を使用して事業展開を行っておりますが、新型コロナウイルスの感染再拡大や、同じような感染症等によるパンデミックや異常事態が発生し、政府や自治体による外出自粛や営業制限、休業要請等が実施される場合には、部活動やスポーツ観戦への影響に伴うスポーツ用品需要の変化や減少、或いは店舗の休業や営業時間短縮に起因した客数の減少などが発生することが考えられます。この場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)財務リスク
①敷金・保証金の貸倒れリスク
当社グループは出店に際して、店舗賃借先に対して相当額の敷金並びに保証金を預託する形式が主体となっています。契約に際しては、相手先の信用状態を十分判断した上で出店の意思決定をいたしますが、その後の経済環境の変化や契約先の信用状態の悪化により差し入れた敷金・保証金の貸倒れリスクがあります。
②為替リスク
当社グループは、スポーツ用品・用具や衣料の一部を海外から直接輸入しており、間接的な輸入を含め、輸入商品が多く含まれるため、一般的には円高になれば仕入価格は逓減傾向になり、円安になれば仕入価格は逓増傾向にあります。これにより、売上総利益率は変動を受けるリスクがあり、為替相場等の変動による一般的な市場リスクを当社グループは有しております。
③店舗をはじめとする営業施設等の減損リスク
実質的価値が下落した当社グループの保有資産(投資有価証券を含む)や、収益性の低い店舗等について減損処理が必要となった場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)コンプライアンスリスク
①個人情報の取扱いに関するリスク
当社グループでは、「ゼビオカード」でのクレジットカード事業のほか、小売各社におけるポイントカード会員、デジタルポイント会員関連での個人情報を保有しております。個人情報保護については、経済産業省のガイドラインに沿い、方針・規程の整備、従業員の教育、個人情報の漏洩防止対策等の安全対策をとっておりますが、外部からの不正アクセスや人為的なミスや委託先の管理不備などにより、万一、個人情報が流出した場合には、その対応に当社グループの信用が低下し、損害賠償の請求を受けるなど、業績に影響を及ぼす可能性があります。
②下請法に関するリスク
当社グループでは、一部の商品調達において当社グループ会社が発注者(親事業者)となり、当社オリジナルの商品の生産を委託などで、下請法規制対象の業務を委託する場合があります。商品発注に関しては、システム上で下請法区分を設けた登録を行ってチェックを行い、従業員に対して下請法に関する教育を行っていますが、双方が合意した取引条件でも下請法に禁止されている行為となっている場合には、重要性の如何では公正取引委員会から勧告を受け、企業名の開示などが行われることで、社会的信用を失墜し、業績に影響を及ぼす可能性があります。
③労務管理リスク
当社グループは法令に基づく適正な労務管理などにより、労務関連のリスクの低減に取り組んでいますが、労務関連の各種コンプライアンス違反(雇用問題、ハラスメント、人権侵害等)が発生した場合、当社グループの企業イメージ低下や争訟の発生等、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
④係争・訴訟に関するリスク
当連結会計年度において、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす係争・訴訟は提起されておりません。しかしながら、業績に影響を及ぼす訴訟や社会的影響の大きな訴訟等が発生し、当社グループに不利な判断がなされた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
|
|
(単位 百万円) |
|
連結 |
売上高 |
経常利益 |
親会社株主に帰属する 当期純利益 |
|
2024年3月期 |
242,433 |
5,405 |
2,592 |
|
2023年3月期 |
239,293 |
9,242 |
5,397 |
|
前期比 |
1.3% |
△41.5% |
△52.0% |
|
個別 |
営業収益 |
経常利益 |
当期純利益 |
|
2024年3月期 |
11,503 |
4,035 |
3,168 |
|
2023年3月期 |
10,081 |
4,461 |
3,801 |
|
前期比 |
14.1% |
△9.6% |
△16.6% |
当連結会計年度における国内経済は、新型コロナウイルス感染症の影響による行動制限の解除により、社会・経済活動の正常化が進み、雇用・所得環境にも改善が見られたことから、景気は緩やかな回復基調となりました。しかしながら、不安定な国際情勢に起因するエネルギーコストや原材料価格の高騰、為替の変動等による国内物価の上昇が、消費マインド・企業活動に影響を及ぼしており、先行きについては依然として不透明な状況が続いております。
スポーツ用品販売業界におきましては、部活動やスポーツイベントの正常化による一般競技スポーツ商品需要の回復に加えて、アフターコロナへの移行が進む中で、シューズ、バッグなどのライフスタイル商品の需要拡大も見られました。一方で、コロナ禍で市場拡大してきたゴルフやキャンプなどの屋外スポーツ商品の需要は一巡し、また、暖冬の影響により、ウィンタースポーツ商品や防寒衣料関連の需要は大きく減退しました。
このような状況の中、当社グループは、市場シェア拡大に向けた新規出店、既存店改装及び接客サービス力の向上を図り、リアル店舗ならではの付加価値提供による客単価の向上と部活動市場でのカテゴリー毎の需要変化に対応するとともに、気候変動を見据えた売れ筋商品への注力や商品構成の見直し、更に、コロナ前を超える勢いで伸長するインバウンド需要の獲得などに注力しました。また、中期的な視点での低効率店舗の閉鎖とコロナ禍のサプライチェーン混乱の影響が残る一部商品の処分も継続しながら、商品の鮮度向上に努めております。これらの行動制限の解除に伴う一般スポーツ用品需要の段階的な回復を受け、売上高は前年同期比で微増となりました。一方で、新規出店や既存店の改装などの設備投資と、人件費や店舗関連費用、EC事業関連コスト、システム開発費用等が嵩み、販売費及び一般管理費は増加しました。
新規出店及び閉店につきましては、当連結会計年度では47店舗を出店し35店舗を閉店しました。これらにより、当連結会計年度末におけるグループの総店舗数は895店舗となり、グループ合計の売場面積は前連結会計年度末に比べて3,963坪増加し202,701坪となりました。
以上の結果、当連結会計年度における連結業績は、売上高2,424億33百万円(前年同期比1.3%増)、 営業利益42億4百万円(前年同期比49.5%減)、経常利益54億5百万円(前年同期比41.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益25億92百万円(前年同期比52.0%減)となりました。
なお、2023年度末の当社グループの株主資本コスト6.6%に対し、ROEは2.1%に留まりますが、スポーツ用品小売市場の持続的成長を前提にした適切なキャピタルアロケーションのもと、市場変化に対応するための成長投資と事業基盤の整備、及び株主還元の強化により、株主資本コストに見合うROEの維持向上を目指します。
〔主な商品部門別の営業概況〕
<ウィンタースポーツ部門>
ウィンタースポーツ部門では、暖冬による雪不足を要因に商品需要が大きく減退しました。以上の結果、ウィンタースポーツ部門の売上高は、前年同期比22.0%の減少となりました。
<ゴルフ部門>
ゴルフ部門では、クラブは新商品の発売もあり堅調に推移したものの、コロナ禍でのビギナー層を中心とした市場拡大が一服し、ゴルフ衣料は低調に推移しました。以上の結果、ゴルフ部門の売上高は、前年同期比2.1%の減少となりました。
<一般競技スポーツ・シューズ部門>
一般競技スポーツ・シューズ部門では、部活動やスポーツイベントの正常化により、需要が回復しました。また、外出や行楽需要の拡大に伴うタウンシューズやランニングシューズが好調に推移し、前年を上回りました。以上の結果、一般競技スポーツ・シューズ部門の売上高は、前年同期比10.1%の増加となりました。
<スポーツアパレル部門>
スポーツアパレル部門では、一般競技スポーツの需要回復を受け、前年を上回りました。以上の結果、スポーツアパレル部門の売上高は、前年同期比1.8%の増加となりました。
<アウトドア・その他部門>
アウトドア・その他部門では、トレッキングや外出需要が回復したことにより、アクセサリー関連が堅調に推移しました。一方で、ビギナー層を中心にキャンプ需要が一服しました。以上の結果、アウトドア・その他部門の売上高は、前年同期比3.3%の減少となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
|
|
(単位 百万円) |
|
項目 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
|
営業活動によるキャッシュ・フロー |
7,020 |
4,274 |
|
投資活動によるキャッシュ・フロー |
△5,477 |
△8,041 |
|
財務活動によるキャッシュ・フロー |
△7,911 |
△4,138 |
|
現金及び現金同等物に係る換算差額 |
△634 |
△43 |
|
現金及び現金同等物の増減額(△は減少) |
△7,003 |
△7,949 |
|
現金及び現金同等物の期首残高 |
39,893 |
32,890 |
|
現金及び現金同等物の期末残高 |
32,890 |
24,941 |
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の期末残高は、249億41百万円となり、前連結会計年度末に比べて79億49百万円減少しました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、42億74百万円となりました。主な要因は、税金等調整前当期純利益を45億21百万円計上したこと、棚卸資産の増加による資金の減少額が20億37百万円、売上債権の減少による資金の増加額が9億63百万円であります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、△80億41百万円となりました。主な要因は、有形固定資産の取得による支出が43億25百万円、無形固定資産の取得による支出が28億7百万円であります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、△41億38百万円となりました。主な要因は、配当金の支払額が13億36百万円、長期借入金の返済による支出が18億36百万円であります。
(3)生産、受注及び販売の実績
①生産、受注実績
該当事項はありません。
②商品部門別仕入実績
当社グループは、一般小売事業の単一セグメントとみなしておりますが、商品部門別に示すと次のとおりであります。
|
部門 |
前連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
||
|
金額(百万円) |
構成比(%) |
金額(百万円) |
構成比(%) |
|
|
ウィンタースポーツ |
6,819 |
4.4 |
6,061 |
4.0 |
|
ゴルフ |
57,844 |
37.4 |
55,898 |
36.5 |
|
一般競技スポーツ・シューズ |
43,887 |
28.4 |
48,305 |
31.6 |
|
スポーツアパレル |
17,764 |
11.5 |
17,050 |
11.1 |
|
アウトドア・その他 |
20,674 |
13.4 |
17,000 |
11.1 |
|
スポーツ用品・用具計 |
146,991 |
95.1 |
144,316 |
94.3 |
|
その他 |
7,594 |
4.9 |
8,783 |
5.7 |
|
合計 |
154,586 |
100.0 |
153,100 |
100.0 |
(注)「その他」は、食品等の仕入を含んでおります。
③商品部門別販売実績
当社グループは、一般小売事業の単一セグメントとみなしておりますが、商品部門別に示すと次のとおりであります。
|
部門 |
前連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
||
|
金額(百万円) |
構成比(%) |
金額(百万円) |
構成比(%) |
|
|
ウィンタースポーツ |
10,444 |
4.4 |
8,146 |
3.4 |
|
ゴルフ |
84,072 |
35.1 |
82,320 |
34.0 |
|
一般競技スポーツ・シューズ |
71,499 |
29.9 |
78,688 |
32.5 |
|
スポーツアパレル |
27,813 |
11.6 |
28,310 |
11.7 |
|
アウトドア・その他 |
32,579 |
13.6 |
31,519 |
13.0 |
|
スポーツ用品・用具計 |
226,408 |
94.6 |
228,986 |
94.5 |
|
その他 |
12,885 |
5.4 |
13,447 |
5.5 |
|
合計 |
239,293 |
100.0 |
242,433 |
100.0 |
(注)「その他」は、食品等の販売、宿泊事業等を含んでおります。
④地域別売上高
|
地域別 |
売上金額(百万円) |
構成比(%) |
期末事業所数 |
|
北海道 |
12,119 |
5.0 |
21 |
|
青森県 |
5,277 |
2.2 |
16 |
|
岩手県 |
4,528 |
1.9 |
19 |
|
宮城県 |
5,374 |
2.2 |
8 |
|
秋田県 |
3,279 |
1.4 |
13 |
|
山形県 |
3,204 |
1.3 |
10 |
|
福島県 |
18,106 |
7.5 |
31 |
|
茨城県 |
10,107 |
4.2 |
23 |
|
栃木県 |
4,537 |
1.9 |
8 |
|
群馬県 |
2,462 |
1.0 |
10 |
|
埼玉県 |
10,256 |
4.2 |
26 |
|
千葉県 |
9,578 |
4.0 |
39 |
|
東京都 |
55,948 |
23.1 |
85 |
|
神奈川県 |
10,403 |
4.3 |
33 |
|
新潟県 |
4,401 |
1.8 |
12 |
|
富山県 |
1,164 |
0.5 |
2 |
|
石川県 |
2,044 |
0.8 |
6 |
|
福井県 |
573 |
0.2 |
1 |
|
山梨県 |
45 |
0.0 |
1 |
|
長野県 |
4,794 |
2.0 |
7 |
|
岐阜県 |
723 |
0.3 |
3 |
|
静岡県 |
3,615 |
1.5 |
7 |
|
愛知県 |
7,043 |
2.9 |
21 |
|
三重県 |
2,320 |
1.0 |
9 |
|
滋賀県 |
1,009 |
0.4 |
2 |
|
京都府 |
1,635 |
0.7 |
2 |
|
大阪府 |
10,984 |
4.5 |
28 |
|
兵庫県 |
2,992 |
1.2 |
9 |
|
奈良県 |
2,135 |
0.9 |
5 |
|
和歌山県 |
943 |
0.4 |
2 |
|
島根県 |
1,220 |
0.5 |
2 |
|
岡山県 |
1,237 |
0.5 |
3 |
|
広島県 |
3,233 |
1.3 |
8 |
|
山口県 |
1,111 |
0.5 |
6 |
|
徳島県 |
706 |
0.3 |
2 |
|
香川県 |
862 |
0.4 |
2 |
|
愛媛県 |
1,941 |
0.8 |
3 |
|
高知県 |
676 |
0.3 |
1 |
|
福岡県 |
8,257 |
3.4 |
22 |
|
佐賀県 |
1,266 |
0.5 |
2 |
|
長崎県 |
629 |
0.3 |
2 |
|
熊本県 |
3,129 |
1.3 |
7 |
|
大分県 |
1,839 |
0.8 |
3 |
|
宮崎県 |
1,622 |
0.7 |
4 |
|
鹿児島県 |
1,395 |
0.6 |
3 |
|
沖縄県 |
2,826 |
1.2 |
8 |
|
小計 |
233,569 |
96.3 |
537 |
|
海外 |
8,864 |
3.7 |
56 |
|
合計 |
242,433 |
100.0 |
593 |
(4)財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりまして、将来事象の結果に依存するため確定できない金額については、仮定の適切性、情報の適切性及び金額の妥当性に留意した上で会計上の見積りを行っておりますが、実際の結果は、特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
②当連結会計年度の財政状態の分析
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ17億69百万円減少し、2,095億30百万円となりました。
流動資産は、新規出店と部活動やスポーツイベントの正常化に伴う品揃え強化により商品が22億29百万円増加しました。一方で、現金及び預金は長期借入金の返済により79億49百万円減少しました。以上の結果、前連結会計年度末に比べ58億36百万円減少し1,399億69百万円となりました。固定資産は、店舗向け投資やシステム投資により40億66百万円増加し、695億61百万円となりました。
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ40億15百万円減少し、847億17百万円となりました。冬物商品の仕入に対する支払手形及び買掛金並びに電子記録債務が19億60百万円減少しました。一方で、長期借入金を18億36百万円返済しました。
当連結会計年度末の純資産は、利益剰余金の増加などにより、前連結会計年度末に比べ22億45百万円増加し1,248億13百万円となりました。
③当連結会計年度の経営成績の分析
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、以下のとおりであります。
ⅰ 売上高の状況
当連結会計年度の連結売上高は、新型コロナウイルスによる行動制限の解除により、社会・経済活動の正常化が進み、スポーツ用品販売業界におきましても、部活動やスポーツイベントの正常化による一般スポーツ商品需要の回復に加え、シューズ、バッグなどのライフスタイル商品の需要拡大も見られました。そのような中、当社グループは、市場シェア拡大に向けた新規出店、既存店改装及び接客サービス力の向上を図り、リアル店舗ならではの付加価値提供による客単価の向上と部活動市場でのカテゴリー毎の需要変化に対応するとともに、気候変動を見据えた売れ筋商品への注力や商品構成の見直し、更に、コロナ前を超える勢いで伸長するインバウンド需要の獲得などに注力しました。一方で、ゴルフ、キャンプ市場は、コロナ禍でのビギナー層を中心とした市場拡大が一服し、また、暖冬による雪不足を要因に、ウィンタースポーツ商品は大幅な減収となりました。
これらにより、前連結会計年度比31億40百万円(1.3%)増加の2,424億33百万円となりました。翌連結会計年度以降に関しては、2024年7月からパリで夏季オリンピック・パラリンピック競技大会の開催が予定され、世界的にもスポーツ全般における大きな関心の高まりが見込まれ、一般競技スポーツの需要回復を中心とした実店舗の客数増加及び成長を続けるEC事業の拡大により、市場環境は改善されることが期待されます。
新たな業態開発や事業モデルの創造、「スポーツポイント」によるオンラインとオフライン双方の当社グループアセットの活用や、当社グループEC受取拠点の大幅な拡充等のサービス機能強化により、お客様第一主義に基づくOMO戦略を、より一層推進していきます。
ⅱ 販売費及び一般管理費
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、外出需要の回復に向けたプロモーション活動再開による広告宣伝費、EC拡大に伴う配送コストや出店手数料をはじめとした販売費及び管理費が増加しました。また、賃金上昇や採用活動強化により人件費も増加しました。
以上により、販売費及び一般管理費は前連結会計年度比52億36百万円(6.3%)増加の886億82百万円となりました。
翌連結会計年度以降に関しても、資材高騰及びエネルギー価格の上昇も織り込みながら、事業/店舗のスクラップ&ビルドと新たな業態変革に重点を置き、前向きな経費支出を計画しております。
ⅲ 営業利益
当連結会計年度は、上記の通り、売上の増加以上に販売費及び一般管理費が大幅に増加したため、営業利益は前連結会計年度比41億22百万円減少し、42億4百万円となりました。
ⅳ 営業外損益、特別損益
営業外収益は、不動産賃貸料7億47百万円、為替差益5億55百万円、業務受託料3億89百万円などにより22億32百万円となりました。
また、営業外費用は、不動産賃貸費用4億53百万円、業務受託費用3億21百万円などにより10億31百万円となりました。
これらにより、経常利益は54億5百万円(前連結会計年度比38億36百万円減少)となりました。
特別利益は、受取保険金40百万円、受取移転補償金45百万円などにより93百万円となりました。
特別損失は減損損失6億94百万円、ポイント制度変更に伴う損失1億6百万円、固定資産除却損30百万円計上などにより、9億77百万円となりました。
ⅴ 親会社株主に帰属する当期純利益
上記の結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は25億92百万円(前連結会計年度比52.0%減、28億5百万円減少)となりました。
④当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
なお、キャッシュ・フロー関連指標の推移は、下記のとおりであります。
|
|
2022年3月期 |
2023年3月期 |
2024年3月期 |
|
自己資本比率(%) |
56.8 |
57.7 |
59.2 |
|
時価ベースの自己資本比率(%) |
20.1 |
21.9 |
20.9 |
(注)1.自己資本比率:自己資本/総資産
2.時価ベースの自己資本比率:株式時価総額(自己株式は除く)/総資産
3.キャッシュ・フロー対有利子負債比率及びインタレスト・カバレッジ・レシオは有利子負債、利払いが僅少又はないため表示を省略しております。
⑤資本の財源及び資金の流動性
(資金需要)
当社グループの運転資金需要は、主に商品の仕入と販売に関する立替資金と、販売費一般管理費等の費用であります。投資を目的とした資金需要は、新規出店や既存店舗の改装、及びソフトウェア投資といったスポーツ小売事業に関するものに加えて、周辺領域に関する固定資産投資やM&A等によるものであります。
(財政政策)
当社グループは、キャッシュ・フロー経営による手元資金での小売事業運営を基本方針としつつ、事業活動の維持拡大に一時的に必要となる資金を、国内外で安定的に確保するために、資金の性格に応じて金融機関からの借入等で資金調達を行っております。
経常的な運転資金は、主なお取引金融機関各行で設定している当座貸越枠内での調達を中心としていますが、長期資金需要がある場合には、対象事業の事業計画に基づく資金需要や、金利動向、返済見込み等を考慮しつつ、長期借入金での調達を適宜判断して実施しております。また、グループ内での資金調達に関しては、原則として、当社からのグループファイナンスで対応しております。
投資判断における財務方針としては、企業価値の向上に資するために、投資のリスク分類に応じて資本コストのリスクプレミアムを加算したリターンを確保するキャッシュ・フロー創出が必要であるという考え方を採用しております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は、109億65百万円となっております。
該当事項はありません。
該当事項はありません。