文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、2020年5月に発表した「中期経営計画2024」を見直し、2024年度までの3ヵ年を対象とする「中期経営計画2024ローリングプラン」を策定しました。
当社グループでは、2020年度から2024年の5ヵ年を「新たな収益基盤構築のための『変革フェーズ』」と位置付け、建設事業の競争力強化、成長投資を通じた事業ポートフォリオ改革に取組んでまいりました。
一方で、コロナ禍の長期化、物価の高騰、建設投資の停滞等を背景に、計画の前提条件の変化が急速に進んでおります。加えて、2021年7月に発表した「未来ビジョンCX150」の実現に向けた戦略を明らかにし、グループを挙げて取組んでいくことが重要となっております。
このような認識のもと、業績目標について一部見直すとともに、その達成に向けた戦略を強化し、さらなる変革を進めることによって持続的成長を実現してまいります。
1 ローリングプランの基本方針
・未来ビジョンCX150の実現を通じて、全てのステークホルダーに対して真に認められる価値を提供する。
・新TODAビル(2024年竣工予定)、浮体式洋上風力発電事業(2026年運転開始予定)等の成長投資を推進し、事業ポートフォリオを強化する。
未来ビジョンCX150
2021年の創業140周年を機に、さらにその先、2031年の150周年に目指す姿として「未来ビジョンCX150(Corporate Transformation toward TODA Group 150th)」を策定。
事業展開領域:4つの領域において顧客価値を提供し、協創社会の実現に貢献
2 2024年度 グループ業績目標
ローリングプランのポイント
(1) 連結売上高・営業利益等
※ 労働生産性=付加価値額(営業利益+総額人件費)÷社員数(期中平均、派遣社員等を含む)
(2) 事業別売上高・利益
・建築事業について減額修正となるものの、土木・戦略事業における収益成長を通じて業績目標の達成を計画する。
※ 連結売上高・営業利益には連結消去を含む
※ [ ]は利益率
(3) 株主還元
・直接的な利益還元と中長期的な株価上昇による株主還元を目指し、DOE2.5%以上、ただし総還元性向40%以上を方針とする。
※ DOE(自己資本配当率)=配当総額÷自己資本(期中平均)
※ 総還元性向=総株主還元額(配当総額+自社株式取得総額)÷親会社株主に帰属する当期純利益
3 基本戦略
ローリングプランのポイント
(1) 付加価値の向上
① Smart Innovationの推進
・機械化施工、新技術・ICT利活用を通じて、安全性・生産性の向上を図る。
・デジタルトランスフォーメーション(BIM/CIM、i-Construction等)による、
新たなビジネスモデルを創造する。
② 体験価値(顧客エクスペリエンス)の向上
・顧客が建設物を利用するまでの「体験」をデザインし、新たな顧客価値を創出する。
・バリューユニットを基軸とした技術・ソリューション開発(社内・外連携、オープンイノベーション等)を推進する。
※ バリューユニット:各事業展開領域において提供するべき顧客価値(体験価値)の区分
③ 重点管理事業
・重点管理事業として「新TODAビル」「海外事業」「再エネ事業」を特定し、トップマネジメントの積極的関与のもと中長期的成長を目指す。
(2) 投資計画と資本アロケーション(適正配分)
・ROE8%を中長期的に確保するため、成長・無形資産投資を通じた事業ポートフォリオの強化とともに、事業別ROIC(投下資本利益率)を採用し資本効率の向上を図る。
・投資原資として、営業利益の確保(3ヵ年累計800億円以上)をベースに、保有資産の売却(670億円)、政策保有株式の売却(100億円以上/年、時価ベース)、有利子負債の活用(D/Eレシオ0.8倍以下)を推進する。
※ 無形資産投資は一般管理費計上分と資産計上分の合計
(3) ESG経営の強化
・環境・エネルギー事業、脱炭素化への取り組み等を通じ、環境先進企業としてのブランドを確立する。
・社員一人ひとりが成長を実感できる“働き甲斐改革”を推進する。
・リスクマネジメント(環境、労働安全衛生、投資、コンプライアンス等)を強化する。
・取締役会構成の見直し等を通じて監督と執行を分離し、各機能の強化を図る。
※ スコープ1:軽油等の使用により直接排出されるCO2排出量
スコープ2:購入した電気・熱の使用により発電所で間接的に排出されるCO2排出量
スコープ3:スコープ1・2以外の間接排出量
カテゴリ1:建設資材製造時の排出量、カテゴリ11:施工した建物運用期間中の排出量
※ 原単位 スコープ1+2:売上高1億円当たりの排出量
カテゴリ1:取引金額1億円当たり排出量、カテゴリ11:竣工延床面積1㎡当たり排出量
※ 全度数率=全労働災害件数÷延労働時間(100万時間)
度数率=休業4日以上の労働災害件数÷延労働時間(100万時間)
※ 時間当たり労働生産性=付加価値額(営業利益+総額人件費)÷社員数÷平均総実労働時間
(ブランド価値資産向上への取り組み)
当社では、社会的に有用かつ当社グループのブランド力強化に不可欠となる資産をブランド価値資産と定義し、更に無形資産とESG価値に分類した上で、それらの向上に向けた投資を行いました。当事業年度のブランド価値資産に対する投資額は、ソフトウェアやデータベース等の情報化資産、特許・新技術の開発等の革新的資産、及び気候変動対策等の環境分野を中心に、合わせて12,822百万円(前事業年度9,939百万円)となりました。今後も積極的な投資を通じて、ブランド価値資産の向上に努めてまいります。
※ 投資額は各項目における一般管理費と投資(資産計上額)の合計値
(2) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
今後の経済情勢は、緩やかに持ち直していくことが期待されますが、世界的な金融引き締め政策が継続している中で物価上昇及び地政学リスクについては、依然として不透明な状況が続くと予想されます。建設業界においては、官公庁工事及び民間工事の受注高がともに堅調に推移すると見込まれますが、建設資材価格は高止まりしており、その動向には引き続き注視する必要があります。
当社グループをとりまく環境として、今後、建設投資の大きな増加は見込めない中、気候変動、資源不足、人口構造の変化など経営環境の変化は激しさを増してまいります。そのような状況において技術力をもって建設業を極めること、また、新たな領域に挑戦し中長期的な事業基盤を構築することが持続的成長には不可欠であるという認識のもと、上記の「中期経営計画2024ローリングプラン」を推進し、企業戦力と価値の向上、事業活動の活性化を図ってまいります。
(基本方針)
当社グループでは、経営方針において「社会の発展への貢献」「社業の持続的成長」「ステークホルダー価値の向上」を掲げております。従前より、事業活動がお客様、社員、協力会社、地域社会、株主・投資家や地球環境に与える影響に十分に配慮して行動するとともに、対話を通じた信頼関係構築に努めるなど、常にステークホルダーを意識して、サステナビリティの考え方に沿った経営を行ってまいりました。また、TCFDへの賛同、TNFDフォーラムへの参画を通じて気候変動、さらには自然課題に対して、その提言に即した分析及び開示を行っております。
当社グループは、2015年に策定したグローバルビジョンのもと、全てのステークホルダーにとって「”喜び”を実現する」存在であり続けたいと考えて事業を営んでおります。持続可能な社会の実現のため、マテリアリティ(重要課題)を改めて特定し、2050年に向けて目指す経営の姿を「サステナビリティビジョン2050」として定めました。
(サステナビリティ推進体制の構築と運用)
サステナビリティ推進の監督・指導を行う「サステナビリティ委員会」を取締役会の諮問機関として設置しております。また、執行側に「サステナビリティ戦略委員会」を設置し、「ESG+B」の4つの観点から取り組むテーマを定め、経営資源の適切な配分のもと事業戦略に反映させるべく議論を深めてまいります(E:環境エネルギー、S:社会活動、G:ガバナンス、B:ベネフィット)。サステナビリティ戦略委員会が特定した課題の解決へ向けた取り組みは、本部・事業部など執行部門が優先順位を決めて実行しております。
(環境課題に対するこれまでの取り組み)
当社では2010年より、作業所の建設機械で使用する燃料や電力から発生するCO2排出量を把握して、それらの脱炭素化に努める活動を継続しております。この活動は「TO-MINICA(低炭素施工システム)」と命名され、全国の作業所で活用されております。その一環として、2022年7月には、作業所の仮設事務所において『ZEB』認証を国内で初めて取得しました。
建物のライフサイクルCO2の観点では、建物の運用時のエネルギー使用によるCO2排出量や、建設資材の製造に関わるCO2排出量の削減が重要であります。2021年には、当社の筑波技術研究所に「グリーンオフィス棟」が竣工しました。この建物は『ZEB』認証を受けており、見学会等を通じてお客様にZEB建設の重要性を実物件としてお伝えしております。それに加えて、建物内で働く人々の健康と、ウェルビーイング(身体的、精神的、社会的に良好であること)を考慮した設計を行い、WELL認証でプラチナを取得しており、快適な空間についてもお客様にご提案しております。
社会的な環境課題の解決には、こうした企業としての対応に加え、個々人の環境意識を高め、行動変容を促すことも重要であります。そのために、当社グループ所属社員及び協力会社を含めて、環境課題解決への優れた取り組みを表彰する制度を運用し、環境を中心として社会課題解決の効果を最大化することを目指しております。
環境意識の向上を目的とした表彰制度等
※ 当社の建設事業における協力会社組織
(1) 気候変動への取り組み
当社グループでは、マテリアリティ(重要課題)のひとつとして「脱炭素社会の実現」を特定しております。
気候変動に関連するリスクを適切に把握、対処して企業としてのレジリエンスを高めていくとともに、事業機会を特定し、それに戦略的に取り組み、脱炭素社会の実現に向けた社会変化が、当社の事業運営に統合されるよう努めております。
当社は気候変動に関連するリスクと機会を「戦略的影響度(影響度と発生可能性)」及び「財務的影響度」から評価しております。当社グループの重要リスクは、これらのリスクと機会の中から、環境エネルギー委員会での議論を経て特定され、サステナビリティ戦略委員会に報告されます。
取締役会はサステナビリティ戦略委員会から気候変動関連の事項について報告を受け、必要に応じてサステナビリティ委員会にて議論を行い、気候変動関連の課題への取り組み状況の監督を行っております。
気候変動に関連する課題への取り組み体制

当社では、気候変動関連のリスクと機会を短期(3年以下)、中期(3~10年)、長期(10年以上)の時間軸で評価し、特定された重要リスクへの対応策の実施を推進しております。
気候変動関連の重要リスクと対応策
また、当社では「カーボンニュートラル実現に向けた行動計画」を策定し、事業活動における脱炭素への取り組みを推進しております。

※ 動力源を抜本的に見直した建設機械(電動・水素・バイオ等)
(指標と目標)
当社は温室効果ガスの削減目標を設定し、SBT(Science Based Targets:科学的根拠に基づく目標)認定を取得しております。また、「中期経営計画2024ローリングプラン」、環境大臣との「エコ・ファーストの約束」においてもSBTに整合した目標を設定しております。
2024年度を目標年とした「中期経営計画2024ローリングプラン」におけるスコープ1+2(総量)の削減目標は、2023年度実績において前倒しで達成する結果となりました。特にスコープ2の削減が進んでおり、事業活動での電力使用における再エネ電力の割合は前連結会計年度より10ポイント向上した72.4%となりました。建設工事は工期が複数年に亘るプロジェクトも多く、工期の中で該当年度に施工している工種が温室効果ガス排出量に影響を及ぼします。2023年度に目標を達成した背景には、当連結会計年度に大量のエネルギーを使用する掘削等の土工事が少なかったこと、そして前連結会計年度と比較して建築工事、土木工事の完成工事高が減少したことも影響しました。そのため、目標年である2024年度に向けては、今後も更なる温室効果ガス削減に取組む必要があると考えております。
2024年度を目標年としたスコープ3(総量)の削減目標についても、2023年度実績において前倒しで達成する結果となりました。これは当社スコープ3の70%以上を占めるカテゴリ11について、引き渡した建物の省エネ性能が向上していることが要因であり、2023年度に引き渡した複数の物流施設で『ZEB』を取得していることも影響しました。今後のスコープ3については、更なる省エネ建物、ZEB設計の推進とともに、低炭素コンクリートに代表される低炭素建材の採用拡大が必要であると考えております。
温室効果ガスの削減目標と実績
再生可能エネルギー利用率の目標と実績
(注) 温室効果ガス排出量及び再生可能エネルギー利用率の算定は、全連結子会社(43社(2024年3月期時点))を対象としたグループ連結で行っております。
M&A等による連結対象範囲の変更については、基準年(2020年度)以降の数値を毎年見直しております。
※1 完成工事高1億円当たりの排出量
※2 建材資材の取引金額当たりの排出量
※3 竣工延床面積1㎡当たりの排出量
(2) 人財の育成及び社内環境整備に関する方針
経営戦略を実現させる主体は「人財(従業員)」に他なりません。ゆえに人財戦略=投資と位置付け、対象領域として人財開発、人事制度刷新、働き甲斐改革、DE&I、グローバリゼーションの5つの領域を定めました。今後、各領域が連動して施策を展開することにより、経営ビジョンを実現できる価値の高い人財(次世代経営人財)を継続的により多く輩出することを目指しております。また、健康と安全に配慮した働きやすい環境を確保するとともに、多様性と人格・個性を尊重し、資質・能力を最大限発揮できる職場環境の実現に向け以下の5つの重点領域に取組んでおります。
※ 関連する指標のデータ管理が、連結グループに属する全ての会社では行われていないため、「人財の育成及び社内環境整備に関する方針」に記載の指標は提出会社単体の数値を記載しております。今後、連結グループ会社全体のデータを分析し、目標を設定した上で連結会社ベースでの開示を行ってまいります。

(人財開発)
① 研修体系(Off-JT)の刷新
人財開発・育成の基本方針を、「多様多彩な人財を育成・確保し、事業基盤を強化する」と定めており、一人ひとりの能力向上促進に向け、OJT(On The Job Training)による育成を主体としております。
Off-JTでの人財育成では、現行職務のスキルアップを主目的とする研修プログラムと、自身のキャリアアップに合わせて選択できる開発プログラムを整備し、中長期的な個人の成長を促しております。
② 次世代経営人財
次世代経営人財候補者が常時50名程度選抜されている状態を実現するために、全社横断的な取り組みを実施しております。毎年度、各本部からポテンシャル人財を選抜し、伴走型コーチングを中心とした効果的な育成施策を展開することにより、経営人財への育成を目指しております(次世代経営人財累計80名)。育成にあたり社内のキャリアコーチによる1on1の定期的・継続的なコーチングを実施しております。
③ 協力会社の集う力を高める活動
サプライチェーン全体で建設業の担い手不足を解消し、協力会社連携・外国人採用など「協力会社の集う力」を高めていく人財の育成を行っております。
また、2022年7月に制定した戸田建設グループ人権方針に基づき、当社社員及び協力会社の社員の人権の尊重に対し取組んでおります。
(働き甲斐改革)
① 働きやすさ・やりがい
従業員一人ひとりが日々の仕事に働き甲斐を感じ、チャレンジ精神を持って臨むことで新しい価値が生み出されます。また、従業員一人ひとりが思い描く理想の「ライフ(人生)」を実現する手段のひとつとして「ワーク(仕事)」を考え、家族や趣味、学びなども手段として捉え、これらが連鎖しながら充実した働き方を選択するWork in Lifeの推進に注力しております。従業員が当社で働きやすさを追求でき、それにより、仕事のモチベーションが高まり、自身の仕事に対しやりがいを感じ生産性が向上します。Work in Lifeと生産性向上を両立させることを「働き甲斐改革」として追求してまいります。
② 健康経営の推進
当社が持続的に成長し続けていくためには従業員が心身ともに「健康」であり続けることが必要不可欠であります。当社グループは重要施策として「健康経営の推進」を掲げ、トップメッセージにより心身ともに健康で成長と働き甲斐が実感できる職場環境を醸成する各種取り組みを実施した結果、健康経営優良法人2024(ホワイト500)に認定されました。また各種施策を通して抽出された健康課題達成に向けた重要指標(KPI)を設定し、健康経営推進ワーキングによる活動を中心に各種取り組みを実施しております。
(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)の推進)
経営戦略上の位置付けとして、2031年の創業150周年に向けて「未来ビジョンCX150」を策定し、「多様性を力に」を掲げ、価値のゲートキーパーとして、協創社会を実現することを目指し歩みを進めております。
そして持続可能な社会と企業の長期的な成長の実現のため、DE&Iを推進し、全ての従業員が能力を発揮できる様々な取り組みを行っております。
① 就業環境・制度の整備(フレックスタイム制度、テレワーク制度、両立支援制度の拡充)
・フレックスタイム制度
2018年よりフレックスタイム制度を導入し、ライフスタイルに合った柔軟な働き方を選択可能とすることで、労働生産性の向上にも繋げております。
・テレワーク制度
2021年に育児・介護等の用途に限定していた在宅勤務制度を全面的に見直し、社内外のサテライトオフィスでの勤務も可とするなど、多様な働き方への対応により、より働きやすい環境整備を行っております。
・両立支援制度
育児休業を取得する女性の復職を支援するため、企業主導型保育園の契約や「ならし保育休暇制度」などを導入し、復職後も柔軟な働き方を推進し、長期的なキャリア形成をサポートしております。また、2020年度より4年連続、男性育児休業取得率100%を達成しており、男性の積極的な育児への参加を可能とする社内風土を醸成してまいりました。さらに2022年の法改正に伴い男性の「産後パパ育休制度」を導入し、28日間を特別休暇(有給)とするなど、より利用しやすい育児休業制度の整備を実施しました。
定年延長(選択定年)制度によりシニア職の増加が見込まれることから、介護休業制度の充実や介護のハンドブックの活用により利用しやすい環境を整備しております。
② 心理的安全性の確保
課長職以上にアンコンシャス・バイアス研修を実施して、心理的安全性の高い組織の醸成を図っております(2023年度までに約1,100名受講)。
③ 女性活躍
女性の「キャリア形成」のため、女性経営者育成研修、大学講座等への派遣を行っております。当社の女性管理職比率は2023年度には4.3%を超える水準まで上昇しました。また、次代の課長代理級を担う主任級の比率も年々上昇して2023年度に19.9%となり、女性活躍推進の基盤に厚みが増しつつあります。
④ LGBTQに関する取り組み
LGBTQ+(性的マイノリティ)が働きやすい制度・環境の整備として、「同性パートナーシップ制度」の導入やLGBTQ+ガイドブック発行、研修の実施など、取り組みを推進しております。またALLY(理解者)の輪を広げ、誰もが安心して働くことができる職場風土づくりのため、オリジナルALLYシールを希望者に配布しております(2023年度までに1,205名に配布)。
また2023年度は全従業員を対象に無記名でLGBTQ+について意識調査と研修を実施し、LGBTQ+への理解を深めております(3,345名受講)。このような取り組みが評価され、セクシュアル・マイノリティへの取り組みの評価指標「PRIDE指標」においてシルバーを獲得しております。
(人事諸制度の刷新)
若手からシニア層に至る従業員一人ひとりが、働き甲斐を実感でき、前向きに自己実現を図り、エンゲージメントが向上することにより経営戦略の実現や企業価値の向上に資するよう、納得性、公平性の向上を図るため導入した役職と連動した等級・報酬制度を2023年度に導入しております。同時に定年延長(選択定年)制度、役職定年制度を導入しておりますが、引き続き下記コンセプトを念頭に、将来に向けて持続的な企業価値向上の基盤となる制度の整備を進めております。
「コンセプト」
社内外環境・就労観変化への対応、優秀人財への適切な処遇、処遇の市場競争力
グローバル人財の育成
海外事業のさらなる拡大の担い手となる外国人従業員について、当社は2024年度末までに従業員比率1.5%以上に高めることを「中期経営計画2024ローリングプラン」での目標としております。そのために、当社グループとしては、外国人留学生のほか、海外事業の知見の高い優秀な人財を日本以外からも積極的に採用しております。また、国内人財に対する英語教育や海外法人へのローテーション異動と戦略的配置により、グローバル人財の育成・確保に取り組むほか、多様な人財・文化を通じた知と経験の組み合わせによる個と組織の活性化を目指しております。
当社グループの事業に関する経営成績及び、財務状況等に影響を及ぼす可能性のある主なリスク事項には以下のようなものがあり、これらの顕在化する可能性の時期や影響度合を認識した上で、発生回避と発生した場合の対策を以下のように考えております。また、当社におけるリスク管理の体制と枠組みについては、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要 ③ 企業統治に関するその他の事項」に記載しております。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2024年6月27日)現在において当社グループが判断したものであります。
(注) ※印はリスクとなる事象が既に発生しつつあり、徐々に影響度合が高まっていくことを認識しております。
事業等のリスク(リスクマップ) ※( )内は(発生頻度,影響度)

当社グループ事業においては、少子高齢化のさらなる進行による就業者数の減少と高齢化「働き方改革関連法」適用によって予想される労働力不足、資材高騰などの影響が強まっていることから、各種施策の実施により業績への影響の最小化に取組んでおります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
ア.財政状態の状況
当連結会計年度末の資産合計は、受取手形・完成工事未収入金等が減少しましたが、販売用不動産、建設仮勘定及び投資有価証券が増加したことなどにより、前連結会計年度末と比較して565億円増加の8,720億円(6.9%増)となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、支払手形・工事未払金等が減少しましたが、有利子負債及び繰延税金負債が増加したことなどにより、前連結会計年度末と比較して242億円増加の5,165億円(4.9%増)となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、自己株式が増加しましたが、その他有価証券評価差額金及び為替換算調整勘定の増加並びに親会社株主に帰属する当期純利益の計上などにより、前連結会計年度末と比較して322億円増加の3,555億円(10.0%増)となり、自己資本比率は40.0%となりました。
イ.経営成績の状況
当連結会計年度の連結売上高については、前連結会計年度比4.5%減の5,224億円となりました。
営業損益については、販売費及び一般管理費が476億円と前連結会計年度比10.4%増加しましたが、売上総利益が655億円と前連結会計年度比14.4%増加したことにより、営業利益は179億円と前連結会計年度比26.7%の増加となりました。
経常利益については、254億円と前連結会計年度比33.9%の増加となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益については、161億円と前連結会計年度比46.4%の増加となりました。
各セグメントにおける業績は以下のとおりであり、各セグメントの業績については、セグメント間の内部売上高又は振替高を含めて記載しております。
なお、当社グループは当連結会計年度より報告セグメントの変更を行っており、前連結会計年度との比較及び分析は、変更後のセグメント区分に基づいております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (セグメント情報等) 1 報告セグメントの概要」をご参照ください。
売上高は3,255億円(前連結会計年度比2.1%減)となり、セグメント利益(営業利益)は65億円(前連結会計年度は14億円のセグメント損失)となりました。
当社個別の受注高については、国内官公庁工事が前事業年度比22.0%、国内民間工事が前事業年度比32.8%増加したことにより、3,778億円と前事業年度比31.9%の増加となりました。
売上高は1,199億円(前連結会計年度比15.3%減)となり、セグメント利益(営業利益)は75億円(前連結会計年度比32.1%減)となりました。
当社個別の受注高については、国内民間工事が前事業年度比92.1%増加しましたが、国内官公庁工事が前事業年度比43.6%減少したことにより、1,229億円と前事業年度比12.4%の減少となりました。
売上高は232億円(前連結会計年度比19.4%増)となり、セグメント利益(営業利益)は39億円(前連結会計年度比19.3%増)となりました。
売上高は537億円(前連結会計年度比2.6%増)となり、セグメント利益(営業利益)は19億円(前連結会計年度比2.8%減)となりました。
(海外グループ会社)
売上高は488億円(前連結会計年度比28.7%増)となり、セグメント利益(営業利益)は14億円(前連結会計年度比23.0%減)となりました。
(環境・エネルギー)
売上高は13億円(前連結会計年度比10.9%減)となり、セグメント損失(営業損失)は4億円(前連結会計年度は48百万円のセグメント利益)となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較して172億円増加し、1,131億円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、621億円の資金増加(前連結会計年度は308億円の資金減少)となりました。不動産開発案件の進捗に伴う不動産事業支出金の増加により87億円、工事未払金などの仕入債務減少により150億円の資金が減少しましたが、税金等調整前当期純利益が282億円、大型工事の債権回収などに伴う売上債権の減少により619億円、政策保有株式からの配当などにより63億円の資金が増加したことが主な要因です。
投資活動によるキャッシュ・フローは、488億円の資金減少(前連結会計年度は261億円の資金減少)となりました。政策保有株式の売却を進めたことなどに伴い178億円の資金が増加しましたが、新TODAビルの建設、並びに浮体式洋上風力発電事業及びブラジル連邦共和国における陸上風力発電事業の推進などに伴う有形固定資産の取得により550億円、関連会社への貸付けなどにより61億円の資金が減少したことが主な要因です。
財務活動によるキャッシュ・フローは、10億円の資金増加(前連結会計年度は225億円の資金増加)となりました。配当金の支払により85億円、自己株式の取得により50億円の資金が減少しましたが、成長投資の推進などに伴う資金調達と返済の収支差が148億円と収入超過となったことが主な要因です。
当社グループが営む事業の大部分を占める建築事業及び土木事業(以下「建設事業」という。)並びに国内投資開発事業においては生産実績を定義することが困難であり、かつ建設事業においては請負形態をとっているため販売実績という定義は実態にそぐいません。また、連結子会社が営む事業(国内グループ会社事業、海外グループ会社事業及び環境・エネルギー事業)においては受注生産形態をとっていない事業もあるため、当該事業においては生産実績及び受注実績を示すことができません。
よって、「生産、受注及び販売の状況」に記載すべき項目は可能な限り、「① 財政状態及び経営成績の状況」において、セグメントごとに記載しております。
なお、当社グループの営む事業の大部分を占める、提出会社の建設事業の状況は次のとおりであります。
(注) 1 前期以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注工事高にその増減額を含みます。したがって、当期完成工事高にもかかる増減額が含まれます。
2 次期繰越工事高は(前期繰越工事高+当期受注工事高―当期完成工事高)に一致します。
(注) 1 百分比は請負金額比であります。
2 前事業年度における海外の受注工事高はマイナスであるため、比率は記載しておりません。
ウ.完成工事高
(注) 完成工事のうち主なものは、次のとおりであります。
前事業年度の完成工事のうち請負金額20億円以上の主なもの
当事業年度の完成工事のうち請負金額20億円以上の主なもの
3 完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高及びその割合は、次のとおりであります。
前事業年度
完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先はありません。
当事業年度
完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先はありません。
④ 次期繰越工事高(2024年3月31日現在)
(注) 次期繰越工事のうち請負金額20億円以上の主なものは、次のとおりであります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
ア.財政状態の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度末の資産合計は、受取手形・完成工事未収入金等が602億円減少しましたが、現金預金が169億円、資産の保有目的変更により販売用不動産が202億円、新TODAビルの建設、並びに浮体式洋上風力発電事業及びブラジル連邦共和国における陸上風力発電事業の推進により建設仮勘定が447億円、政策保有株式の時価上昇に伴い投資有価証券が231億円、関連会社への貸付けにより長期貸付金が57億円増加したことなどにより、前連結会計年度末と比較して565億円増加の8,720億円(6.9%増)となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、支払手形・工事未払金等が141億円、前連結会計年度以前に受注した不採算工事の進捗及び採算性の改善により工事損失引当金が53億円減少しましたが、未成工事受入金が47億円、成長投資の推進などに伴う資金調達により有利子負債が150億円、繰延税金負債が123億円増加したことなどにより、前連結会計年度末と比較して242億円増加の5,165億円(4.9%増)となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、自己株式取得により50億円の計上(純資産減)、配当金の支払により利益剰余金が85億円減少しましたが、政策保有株式の時価上昇に伴うその他有価証券評価差額金の増加200億円、円安に伴う為替換算調整勘定の増加47億円、親会社株主に帰属する当期純利益を161億円計上したことなどにより、前連結会計年度末と比較して322億円増加の3,555億円(10.0%増)となり、自己資本比率は40.0%となりました。
イ.経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の連結売上高については、前連結会計年度においてPT Tatamulia Nusantara Indah及び同社の子会社7社を連結子会社にしたことにより海外グループ会社事業の売上高が増加し、また販売用不動産の売却が増加したことにより国内投資開発事業の売上高が増加しましたが、大型工事の進捗が想定より至らなかったことにより建築事業及び土木事業の売上高が減少したことから、5,224億円と前連結会計年度比4.5%の減少となりました。
営業損益については、前連結会計年度に建築事業において複数件の工事で工事損失引当金を計上しましたが、当連結会計年度において工事の採算性が向上したことなどにより、売上総利益は655億円と前連結会計年度比14.4%の増加となりました。販売費及び一般管理費は、人件費及び研究開発費などが増加し476億円と前連結会計年度比10.4%の増加となりました。その結果、営業利益は179億円と前連結会計年度比26.7%の増加となりました。
経常利益については、受取利息の増加及び円安に伴う為替差益など営業外収益が増加したことにより、254億円と前連結会計年度比33.9%の増加となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益については、環境・エネルギー事業において減損損失及び将来発生すると見込まれる損失を計上しましたが、政策保有株式の売却を進めたことによる投資有価証券売却益の計上により、161億円と前連結会計年度比46.4%の増加となりました。
各セグメントの状況及び分析は、以下のとおりとなります。
なお、売上高にはセグメント間の内部売上高等を含めて記載しております。また、セグメント利益欄の( )はセグメント利益率を示しております。
(建築)
当連結会計年度は、売上高が3,255億円と前連結会計年度より2.1%減少しましたが、セグメント利益は65億円となりました。前連結会計年度に複数件の工事で工事損失引当金を計上しましたが、当連結会計年度において工事の採算性が向上したことなどにより、セグメント利益は前連結会計年度より向上する結果となりました。
当連結会計年度の主な取り組みとしては、資材価格の高騰や人手不足による労務逼迫の影響が続く中で、適正工期の確保や採算性をより重視してまいりました。また、2024年4月からの時間外労働の上限規制適用を踏まえ、施工キャパシティが限られる中で「選択と集中」による受注ポートフォリオ戦略が求められると認識しております。さらには、建設技能労働者が減少する中で、生産プロセス変革は必要不可欠であり、省人化及び機械化施工の技術開発を進めるとともに、BIMを基盤としたDXの取組みを本格化させております。今後、こうした取組みをさらに推進して生産性と収益性を高めながら、建設ライフサイクル全体を通した顧客価値の向上に努めてまいります。
(土木)
当連結会計年度は、売上高が1,199億円と前連結会計年度より15.3%減少し、セグメント利益が75億円と前連結会計年度より32.1%減少しました。いずれも大型工事の進捗が遅れた影響により前連結会計年度より下回っております。
当連結会計年度の主な取り組みとしては、当社が得意とするトンネルやシールド工事における技術開発を行うとともに施工における活用を進めてまいりました。また、再生可能エネルギー需要が高まる中で、当社においても陸上風力発電所を中心とした再エネ関連工事の受注割合が高まっております。さらに、市場規模の拡大が見込まれる洋上風力発電設備の建設工事を担うため、15MW級超の大型洋上風力発電設備に対応可能な自己昇降式作業台船(SEP船)を当社を含む6社で共同保有しました。今後は、再エネ関連需要のほか、老朽インフラの更新需要をはじめ国土強靱化に向けた公共投資に対応するため、積極的な人材採用、若手技術者の育成、及び生産性向上に向けた作業所支援の仕組みにより、さらなる施工体制の強化に取組んでまいります。
(国内投資開発)
当連結会計年度は、売上高が232億円と前連結会計年度より19.4%増加し、セグメント利益が39億円と前連結会計年度より19.3%増加しました。販売用不動産の売却の増加により売上高は増加し、不動産賃貸利益の向上によりセグメント利益は増加しております。
当連結会計年度の主な取り組みとしては、新規不動産の取得や保有不動産の有効活用や売却を行い、複数のマルチテナント型物流倉庫の開発にも着手しております。現在建設中の新TODAビルは2024年9月に竣工する予定です。国内トップレベルの耐震性能を有し、日本で初めて超高層複合用途ビルにおける建物全体で「ZEB Ready」認証を取得するなど高い環境性能をもった建物となります。その他、芸術文化をまちづくりの中心とした京橋彩区エリアマネジメントや高い地域防災機能など、そのポテンシャルを多方面に展開していくことで差別化及びブランド価値の獲得に繋げてまいります。
(国内グループ会社)
当連結会計年度は、売上高が537億円と前連結会計年度より2.6%増加し、セグメント利益が19億円と前連結会計年度より2.8%減少しました。
当連結会計年度の主な取り組みとしては、当社グループの人材確保と当社グループ外への人材派遣事業の充実を目的として、2023年12月26日付で人材派遣会社であるグリーン・サポート・システムズ株式会社(本社:東京都中央区)を完全子会社化しました。さらに、同社の人材紹介業のノウハウ活用によるグループ事業強化の一環として、2024年4月1日付けで、当社の完全子会社である戸田スタッフサービス株式会社を存続会社、グリーン・サポート・システムズ株式会社及び千代田建工株式会社を消滅会社とする吸収合併を実施し、商号をTGCゼネラルサービス株式会社(本社:東京都中央区)に変更しました。今後も、M&Aやグループ会社再編等により、当社グループ全体の力を高めてまいります。
(海外グループ会社)
当連結会計年度は、売上高が488億円と前連結会計年度より28.7%増加し、セグメント利益が14億円と前連結会計年度より23.0%減少しました。前連結会計年度においてPT Tatamulia Nusantara Indah及び同社の子会社7社を連結子会社にしたことにより売上高は増加し、販売用不動産の評価損を計上したことによりセグメント利益は減少しております。
当連結会計年度の主な取り組みとしては、当社グループが海外事業の基軸と捉えているアジア・オセアニア地域の事業を統轄管理する目的でToda Asia Pacific Pte. Ltd.(本社:シンガポール共和国)を設立しました。関連して、同社が株式引受契約に基づき2024年5月15日付で株式を取得したため、ニュージーランドにおいてホテル事業を営んでいるCoherent Hotel Ltd.は当社の孫会社となりました。今後も成長する市場において収益拡大を図っていくために、現地企業のM&A・アライアンス強化も選択肢に入れながら、各国の市場動向を踏まえたビジネスモデルを構築してまいります。
(環境・エネルギー)
当連結会計年度は、売上高が13億円と前連結会計年度より10.9%減少し、セグメント損失が4億円となりました。売電収入の減少により売上高は減少し、ブラジル連邦共和国における陸上風力発電事業及び長崎県五島市沖における浮体式洋上風力発電事業に係る費用が先行していることによりセグメント損失を計上しております。
当連結会計年度の主な取り組みとしては、立地の良い条件で陸上風力発電事業を展開するため、開発権を保有するUsina Eolica Casqueira A Ltda.及びUsina Eolica Casqueira B Ltda.(本社:ブラジル連邦共和国)の株式を当社の孫会社であるTODA Energia 2 Ltda.(本社:ブラジル連邦共和国)が取得しました。
今後は、同国における陸上風力発電事業及び浮体式洋上風力発電事業に加え、営農型太陽光発電や小水力発電事業の推進及び事業化を図り、再エネ事業への取り組みを強化してまいります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については以下のとおりであります。
(キャッシュ・フローの状況)
「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
(資金需要)
当社グループにおける主な資金需要は、運転資金として工事施工に要する外注費等の工事費用、販売費及び一般管理費、並びに設備投資資金です。
設備投資の概況については「第3 設備の状況 1 設備投資等の概要」をご参照ください。
(資金の流動性)
当社グループは、主要な連結子会社にキャッシュ・マネジメント・システム(CMS)を導入し、日本国内のグループ内資金を一元管理しております。各グループ会社のキャッシュ・フローを集中することにより資金の流動性を確保し、また、機動的かつ効率的にグループ内で配分することにより、リスク管理の強化及び金融負債の極小化を図っております。
(資金調達の状況)
主に自己資金の活用又は金融機関等からの借入金、コマーシャル・ペーパー及び社債の発行により資金を調達しております。重要な設備投資に係る資金調達方法については、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」をご参照ください。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
特記事項はありません。
当社グループは、社会、顧客及び社内各部門のニーズやCSRに的確に応えるため、技術開発統轄部を中心に技術部門の総力を結集して、基礎的研究から新製品開発までの幅広い研究開発活動を行っております。特に重要なテーマについては「技術研究開発プロジェクト」を起こし、全社的な取り組みで短期間に開発を行い着実に成果を上げております。また、西松建設㈱との共同研究をはじめ、公的機関、大学、異業種企業、同業他社との技術交流、共同開発を積極的に推進して、多様な分野での研究開発の効率化を図っております。
当連結会計年度における研究開発費の総額は
また、セグメントごとの研究開発活動は以下のとおりであります。
(建築及び土木)
(1) 建築環境関連技術
ZEB(ネット・ゼロエネルギー・ビル)を達成した上で、緑化や木材の利用などによるCO2の吸収・固定化などによりライフサイクルにおけるCO2収支をマイナスとすることを目指し運用を開始した技術研究所の「グリーンオフィス棟では、エネルギー消費量を計画値と比較して約25%低減し、実績としても『ZEB』を達成しました。また、緑化によるCO2の吸収量の算定に関しては千葉大学との共同研究で取組んでおります。さらに新たな創・畜・省エネルギー技術を検討しており、ネットゼロ社会への加速に向け、さらなる技術開発にチャレンジしております。
さらに、技術研究所においては、構造・施工実験棟屋上に4種類の太陽光パネルを設置し、所内の省エネルギーを図るとともに、発電効率、天候や気温による性能、パネルの経年劣化、ライフサイクルコストの違いなどの比較検討を進めております。これらの活動により、環境省が「30by30」目標達成に向け推進する「自然共生サイト」に、2023年10月に認定されました。
また、グリーンオフィス棟の壁面緑化が、(公財)都市緑化機構が主催する「屋上・壁面緑化技術コンクール」で、日本経済新聞社賞に選出されました。
当社ではZEBの普及を目指すことで、当社が引き渡した建物の運用中のエネルギー使用量及びCO2排出量の削減に取組んでおります。
(2) 生物多様性関連技術
生産性向上の観点から、バイオフィリックデザインを取り入れた緑が豊かな環境をオフィス内に配置する設計手法に関して、印象評価の実証実験を実施し、研究に取組んでおります。
技術研究所の緑地では、2015年に関東・水と緑のネットワーク百選に選出され、その後、2018年からは、全ての植物に地域性在来植物を採用するととともにトレーサビリティ認証を取得したビオトープ「つくば再生の里」を造成しました。これら敷地全体の緑化を対象に、SEGESそだてる緑(シージェス:社会・環境貢献緑地評価システム)の認定を2022年8月に取得しました。
今後も多様な緑地の整備や維持管理に取り組み、得られた知見を緑の価値向上、及び地域の生物多様性の向上に繋げてまいります。
(3) 放射性廃棄物処分の関連技術
放射性廃棄物処分関連技術としては、地下深部での地震動測定と耐震性評価、ベントナイトに関する技術の開発に取組んでおります。また、海外情報調査、新規制基準制定に伴う学会標準改定の業務、原子力発電所の廃炉に関する調査実績があります。
(4) 超高層建物構工法関連技術
超高層RC造では、SuperHRCシステムを積極的に採用し、建設中を含めて延べ60棟に適用しております。2016年2月に竣工した55階建て超高層集合住宅では設計基準強度200N/mm2の超高強度コンクリートを採用しました。また、現在施工中の35階建て超高層集合住宅では、西松建設㈱と共同開発したコンクリート強度打ち分けプレキャスト梁工法(フュージョンビーム工法)を採用し、施工の効率化を図っております。また、一部をプレキャスト化した高強度コンクリート連層耐震壁(コアウォール)を開発し、弊社保有の端部RC中央S梁工法と組み合わせて、広い執務空間を有する超高層事務所ビル構築技術を確立し、施工中の新TODAビルに採用しております。
コンクリート充填鋼管(CFT)造では、鉄筋を内蔵した鋼管に高強度のコンクリートを充填した高強度Super CFT造を開発し、構造評定を取得しました。設計施工で高さ178mの複合ビルや設計中の案件を含めて100棟以上の実績があります。また、充填コンクリート強度150N/mm2のCFT柱を新TODAビルに採用しております。
(5) 木造架構関連技術
共同開発により中高層木造建築架構技術を開発し、10階建ての木造共同住宅をモデルプランとして日本建築センターの個別プラン構造評定を取得(2022年10月14日)しました。本技術は、建物の柱・梁・耐震壁に木材を使用した環境配慮型木質架構を構築する技術で、10階程度の高層建物に適用できます。共同開発はさらに進み、現在は中高層事務所ビルに適した2方向ラーメン架構の開発を継続して実施しており、2024年度中に11階建事務所ビルの構造評定を取得する予定であります。また、CLT材を耐震壁として使用する技術を開発中であります。
(6) 免震・制振技術
地震の揺れに応じて減衰性能を電気的に切り換え、小中地震から大地震まで幅広い範囲で揺れを抑えることが可能な「セミアクティブダンパー」(2021年4月1日大臣認定取得)、電源を用いず減衰のON/OFFを切り換える「自己復元型トリガー機構」(2022年9月9日日本建築センター評定取得)を開発しました。また、想定外の大地震に対して免震建物が周囲の擁壁などと衝突した場合の安全対策、津波や洪水などに対する免震構造の水害対策技術の開発も実施しており、水害対策作技術については現在施工中の建物に採用しております。
精密生産施設の微振動対策技術では、「オイルダンパー付き弾性すべり支承」を開発し、2016年2月に生産施設に採用しております。また、環境振動対策として、OAフロア下に収納可能な小型AMDを開発し、製品化し、事務所ビルに採用しております。
(7) BCP関連技術
東日本大震災の教訓を受け、地震後の建物の損傷を迅速かつ的確に評価可能な地震モニタリングシステム「ユレかんち」を、BCPのためのソリューション技術として展開しております。「ユレかんち」はIoT技術を応用したローコストなシステムであり、遠隔地から事務所、工場等の複数建物の一括監視を可能にしております。社内物件26棟、自社施工物件25棟、外販として61棟に採用しております。
(8) 天井脱落対策技術
在来工法天井の落下・脱落防止対策として、特定天井にも適用可能な高い耐震性能を有する「ペアロッククリップ」を開発し、2016年9月より当社の施工現場で標準的に採用されております。
また、天井内に多数設置される斜め材の代わりに、門型の抵抗部材を集約して設置し、天井内に多くのスペースを確保しながら、高い耐震性能を実現する「門天工法」を開発しました。「門天工法」は、日本建築センターの評定を取得(2017年12月11日)し、現在2物件での採用実績があります。
(9) 基礎・地盤関連技術
場所打ちコンクリート杭について、常時及び地震時における支持力及び引抜き抵抗を向上させ基礎構造の減量化・合理化を図るための「Me-A工法」を開発し、高層建物への適用など水平展開を進めております。2024年3月時点で共研他社も含めて767件を超える実績があります。
山留め壁の本設利用技術である「RCS合成壁/杭工法の剛性構造としての性能(TO-SCW工法)」及び「PSPⅡ工法-芯材を有するソイルセメント改良体工法-」を改良し、ベターリビングの評定及び日本建築総合試験所の性能証明を取得しました。現在改良後3物件で採用しております。
(10) 建築仕上げ材料関連技術
脱炭素化に向けた取り組みとして、古紙を原料としたパルプモールド製の内装材を開発し、不燃認定を取得しました。また、木質材料の利用拡大を目指し、積極的に技術研究所内に採用するとともに、耐久性評価などの研究開発を進めております。
臭気対策として「オドキャッチャー(ゼオライト配合消臭塗料)」を開発し、医療施設等に展開しております。
美術館・博物館における工期短縮に寄与する技術として、「アルカリ汚染対策工法」を開発し、実績を増やすととともに、有機酸類も含めた空気質管理のデータを蓄積し文化施設の品質向上に取組んでおります。
(11) 建築生産システム関連技術
次世代の施工技術では、施工中の新TODAビルで以下の技術の実証施工を行いました。BIMデータを活用した「鉄骨柱自動計測・調整システム」、BIMや衛星測位を利用した「タワークレーン3次元自動誘導システム」及び「タワークレーンの遠隔操作システム」、さらに「仮ボルト不要接合工法」や「吊荷旋回制御装置」と連動した「鉄骨自動化システム」。そのほかにも、本設エレベーターを工事期間中より使用可能とすることで、仮設エレベーターを早期撤去し、仕上げダメ工事の早期着手を目指した、「本設エレベーター仮設利用システム」の実証施工。ロボット技術では、SLAM技術を用いた自律搬送ロボと工事用エレベータが連動する「垂直・水平自動搬送システム」を採用しました。以上の技術については、今後着工が控えている高層ビル建設に採用すべく、さらに技術を改良してまいります。
解体技術としては、鉄筋コンクリート造の鉄筋に直流電源を通電することで加熱し、鉄筋の熱膨張とコンクリートとの付着力低下を利用して構造物を脆弱化する「マスホット工法」を、道路橋の床板架け替え工事における道路封鎖期間の短縮に貢献する技術として、実現場で実証試験を行う予定です。
その他の開発済み施工技術では、水の凍結膨張圧を利用した現場造成杭の杭頭余盛り部の静的破砕処理工法「しずかちゃん」の社内実績が、2024年4月時点で871本となりました。社外での採用実績についても、5件100本となっております(社内実績との合計は971本)。社内外ともに、積極的に情報を発信するため「しずかちゃん ホームページ」を開設しております。
今後も、建設現場における生産性の向上とともに、現場周辺環境への配慮やCO2排出量低減に寄与する技術開発を進めてまいります。
(12) ICT施工管理関連技術
ICT及びIoT技術を活用し、現場の安全・品質の向上、施工効率を高めることを目的に、様々なシステム開発を実施しております。
まず、建設現場の作業者に対する熱中症の防止などを目的として㈱村田製作所と共同で開発した、生体情報や周囲環境(作業環境)をヘルメット取り付け型センサデバイスでリアルタイムに監視する「作業者安全モニタリングシステム」に、「危険エリア検知」「ヒヤリハット検知」などの新たな機能を追加するとともに、更なる展開を図っております。
品質向上、生産性向上については、鉄筋の立体配置を認識する「配筋検査システム(AIカメラと専用アプリ)」を、PLT(Prime Life Technologies)とともに21社の建設会社と共同で進めており、2024年4月より導入を開始しました。建物内通信環境の整備については、「ウエーブガイドLANシステム」を工事期間中の仮設通信環境として活用する他、これまで電波が届かなかったELVシャフト内に設置することで、引渡し後の建物への本設通信環境整備として、Wi-Fi環境を切れ目なく提供し、スマートフォン通信のほか、サービスロボットが階をまたいで動作できる通信技術として設置を始めております。
その他、建設工事中のCO2排出量削減を目的とした、カーボンニュートラルに向けた技術開発、及びAR・MR等の画像処理技術を活用したコンテンツやシステムの開発にも、引き続き取組んでおります。
(13) 音響・遮音関連技術
ホールなどの大空間における音楽・講演等をより快適に聴くことのできる空間を提供する室内音響関連技術、交通騒音や隣室騒音等の聞きたくない音を低減する遮音関連技術の双方の研究開発を実施し、多くの実物件で採用しております。
防音壁などの先端部に取り付けることで大きな騒音低減効果が得られるエッジ効果抑制パネル「エッジサイレンサー」を開発し、工事中の騒音対策だけでなく本設にも採用し、日本音響学会技術開発賞を受賞しました。
集合住宅で問題となる重量床衝撃音に対して、天井内に敷設するだけで低減できる、床衝撃音低減材「サイレント・ドロップ」をフクビ化学工業㈱と共同開発し、建材設備大賞を受賞しました。
技術研究所内では音に関する様々な事象を高精度に体験できる音場シミュレーターを拡張・更新しております。また、敷地境界における騒音予測システムの開発や、雨水流水音の低減対策仕様の標準化など関連技術の社内展開を図っております。
(14) シールド関連技術
シールド工法の分野では、狭隘な都市域において発進立坑用地の確保を容易にするために開発した「省面積立坑システム」は、当社施工28件、他社施工分を含めると47件の現場採用実績を持ちます。地盤変状の抑制を目的に開発した「掘進停止時裏込め注入システム」、気泡シールドで使用する安全性・経済性に優れる新たなる気泡剤「LT2」及びシールドの発進到達の効率化を図った「バサルト繊維を用いた仮壁直接切削技術」に関しては実用化を図るとともに、効率化・品質向上を図る目的でAIを活用した「AI Transformシールド」の開発も進めております。また、推進工法の分野では、呼び径3500を超える超大口径推進工事の実績を積み上げるとともに、推進工法を応用した「交差点アンダーパス工法」、「非開削トンネル構築工法(さくさくJAWS工法)」等の技術を開発し、営業展開、現場適用に取組んでおります。
(15) 山岳トンネル技術
増加基調の山岳トンネル工事に対応する技術として、覆工品質の向上、支保・補助工法技術の改良、調査計測技術の高度化、環境負荷低減、自動化・高速施工などに係る技術開発及び現場採用に積極的に取組んでおります。
覆工品質の向上については、覆工コンクリートの充填センサである「ジュウテンミエルカ」の開発が完了し、打設状況の可視化ツールとして一般販売を開始しました。支保・補助工法技術については、吹付けリバウンドが低減できる「Me吹付けコンクリート」、ロックボルト軸力が可視化できる「Eye Washer」、防水シートの損傷防止に寄与する「突起レスロックボルト」、脚部補強工の「NT-Support」の現場適用に取組んでおります。調査計測における切羽前方地山の可視化ツールとして開発した「DRiスコープ」は、2017岩の力学連合会フロンティア賞を受賞し、さらなる現場採用を推進するとともに、新たな調査技術として近赤外線カメラを活用した岩盤評価の開発を進めております。環境負荷低減技術についても、帯電ミストを用いた粉じん抑制技術や発破低周波音抑制技術の開発を行い現場採用に取組んでおります。また、生産性向上を目指した自動化・高速施工技術としては、各工種の自動化システム(発破装薬、ずり出し、吹付け、鋼製支保工建て込み、ロックボルト打設、覆工打設及び覆工プレキャスト化など)やコンピュータジャンボの穿孔データとAI技術を活用した地山評価及び発破設計のシステム開発に取組んでおります。
(16) コンクリート技術
設計基準強度200N/mm2の超高強度コンクリートや、収縮を低減させることでひび割れを防止し高耐久化を図るコンクリート(低収縮コンクリート)の開発・現場で採用しております。さらに、収縮をほとんどゼロにした極低収縮コンクリートを共同開発し、複数の現場で採用しておりますが、2020年度にはBSL-4(バイオセーフティレベル4)を要求する高気密性実験施設の実験室躯体にも採用しました。また、コンクリート工事の生産性及び品質を向上する高機能性流動化剤を開発し、全国並びにグループ会社に展開しております。
環境配慮型コンクリート(低炭素性)に関する技術を西松建設と共同開発し、2023年に建設審査証明(建築)を取得致しました。これにより全国の工事現場への展開が可能になりました。
品質管理に関して、コンクリートの現場受入時の品質管理システムやコンクリート施工時の打重ね時間管理システムを構築しました。また、(独)土木研究所との共同研究である「ボス供試体によるコンクリート構造物の品質検査法」については、JIS規格として制定され、国土交通省地方整備局の橋梁直轄工事に採用されております。
既設コンクリート構造物の健全度評価技術として、透気・透水試験器を用いた評価方法を開発し、実際の調査・点検業務に展開しております。
(17) インフラ再生技術
既設トンネル等の補修補強工法として、新しい無機系繊維材料を用いた「BFP修繕工法」を開発しました。本工法は連続繊維をプレート状に加工し、トンネル覆工内面に設置することで耐荷性や変形性能を向上させる工法であり、鉄道トンネルを主体として現場展開しております。また、高速道路等の「既設床版架替えに係る新型継手工法」を開発中であり、今後、老朽化したインフラ再生技術の開発について積極的に取組んでまいります。
(18) 社会基盤整備関連技術
わが国の持続的発展を図る上で、社会基盤整備は急務の課題であり、それらを支援するために各種の技術提案及び開発を実施しております。山岳トンネルにおける「発破装薬自動化技術(バルクエマルジョン爆薬)」、「鋼製支保工建て込み切羽無人化システム」、「吹付ナビゲーションシステム」などの自動化に向けた技術の開発と提案を積極的に展開しております。非開削トンネル構築技術「さくさくJAWS工法」、液状化対策技術「ハイグリップグラウト工法」、排泥量削減を目指した地盤改良技術「ハイブラストジェット工法」を現場展開している他、環境負荷の低減を可能とした地盤掘削技術「気泡掘削工法」及び「特殊ポリマー安定液工法」など、持続可能で災害に強い基盤整備に資する施工技術が採用されております。また、大深度、長距離の都市トンネルの構築及び施工の自動化を可能とするシールド関連技術、大規模加速器計画などの地下岩盤利用分野についても積極的に取組んでおります。
(19) 医療施設関連技術
病院内の臭気対策として「オドキャッチャー(ゼオライト配合消臭塗料)」を開発しております。また、無線通信技術を利用した次世代病院向け照明システム「スマートホスピタルライティングシステム」や、病室向けにコンパクト設計で施工の省力化も図れる「システム洗面ユニット」を開発し、複数の病院に採用いただいております。
さらに、新型コロナウイルス感染症による感染拡大対策として、医療施設において、簡易にゾーニング(区画)変更を実現する「感染対策ユニット」を開発・実用化しました。今後も「安全・安心」な空間を提供してまいります。
(20) 農業関連技術
茨城県常総市内に農業実証ハウス「TODA農房」を建設し、土地整備関連事業等における提案技術の一つとして、主に施設園芸農業の事業化や園芸ハウスの建設等に関する技術開発を開始しました。また、筑波技術研究所内に人工光栽培実験室を増設し、各種環境条件が植物の生育に与える影響等に関する技術開発を開始しました。
(21) 再生可能エネルギー関連技術
環境省の浮体式洋上風力発電実証事業委託業務において、2013年に長崎県五島市沖に鋼とコンクリートを複合利用した2,000kW級のスパー型浮体式洋上風力発電設備の設置に成功し、2016年には「国内初の実用化」を実現しました。また、2021年には五島市沖における再エネ海域利用法に基づく国内で初めての事業者に選定され、2022年には国内初の「浮体式洋上ウィンドファーム認証」を取得し、浮体設備の建造・施工を実施しております。
さらに、2050年カーボンニュートラルの実現に向け、2022年からは国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が助成するグリーンイノベーション基金事業における洋上風力発電の低コスト化プロジェクトを活用し、大型風車に適合かつ量産化に対応した浮体構造物の開発、大水深に対応した係留システムの開発及びDigital Twin・AI技術による生産予防保全技術の開発など、「設計、施工、O&Mを一貫した技術開発」に取組んでおります。
(国内投資開発、国内グループ会社、海外グループ会社及び環境・エネルギー)
研究開発活動は特段行われておりません。