文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは『お客様に喜ばれる良質な商品・サービスを、安全・快適に提供し、健全な事業成長のもと、社会の発展に貢献する』ことを、「グループ経営理念」としております。また、「グループ行動指針」として、『安全、接客、成長、企業倫理、環境』の5つの項目を定め、グループ各社の社員に周知しております。
(2) 中長期的な会社の経営戦略
① 長期経営計画
当社グループでは、2022~2030年度の9年間を計画期間とする、長期経営計画「Dプラン」を推進しており、2030年度における当社グループの在るべき姿を、グループビジョンとして以下のとおり定めております。グループビジョン実現に向けて設定した「グループ長期経営課題」に基づき、各重点施策を実行してまいります。
[グループビジョン]
京成グループの事業エリアのみなさまとの共創、及び、日本の玄関口、成田空港の機能強化への寄与を通じ、サステナブルな社会の実現に貢献する。
[グループ長期経営課題]
「安全・安心」を根幹の課題とした上で以下のとおりとする。
■ 日々の暮らし
■ 観光振興
■ 空港輸送
■ ガバナンス
■ 人材
[重点施策]
◎ 安全・安心
・災害対策の強化
・お客様の安全を守る取り組みの強化
・テクノロジーの活用
1 日々の暮らし
・活力が持続するまちづくりの推進
・エコロジカルなまちづくりの推進
2 観光振興
・既存観光エリアの魅力向上
・新たな観光資源やルートの開発
3 空港輸送
・成田空港の更なる機能強化への対応
・更なる利便性の追求
4 ガバナンス
・環境・社会に関する情報開示の充実
・健全な財務体質の維持
・コーポレート・ガバナンスの強化
5 人材
・ダイバーシティの推進
・チャレンジする人材の育成
② 中期経営計画
長期経営計画「Dプラン」の第1段階となる中期経営計画「D1プラン」(2022~2024年度)は、「コロナ禍による低迷から成長軌道へと回帰するとともに、長期ビジョン実現に向けた経営推進体制を整備する」ことを中期経営目標として掲げております。各種施策を着実に推進することで、長期経営計画に掲げる長期グループビジョンの実現に向け体制を整え、再び成長軌道へと回帰することを目指しております。
(3) 目標とする経営指標
中期経営計画「D1プラン」(2022~2024年度)の数値計画を以下のとおり設定しております。2024年度の業績予想は本数値計画に対し未達の予想としておりますが、中長期的な成長を着実に進めるため、中期経営計画における各種施策を一層推進してまいります。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループを取り巻く事業環境は、少子高齢化、国際情勢等の影響により、先行き不透明な状況が続くものと予想されます。このような状況の中で、当社グループでは、「京成グループの事業エリアのみなさまとの共創、及び、日本の玄関口、成田空港の機能強化への寄与を通じ、サステナブルな社会の実現に貢献する」を2030年におけるグループビジョンとし、2024年度に最終年度を迎える中期経営計画「D1プラン」(2022~2024年度)において、「コロナ禍による低迷から成長軌道へと回帰するとともに、長期ビジョン実現に向けた経営推進体制を整備する」を中期経営目標として掲げております。長期ビジョン実現に向け設定した「グループ長期経営課題」として、基本的かつ永続的ニーズである安全・安心を根幹とした上で、長期ビジョン実現に向けた方向性となる①日々の暮らし、②観光振興、③空港輸送、また、基盤整備として④ガバナンス、⑤人材を掲げ、各種施策を運輸業、流通業、不動産業、レジャー・サービス業、建設業、その他の事業の各分野において着実に推進してまいります。
日々の暮らしにおいては、「活力が持続するまちづくりの推進」と「エコロジカルなまちづくりの推進」を重点施策とし、保有資産のリニューアル及び拡充、再開発等を通じた沿線活性化、グループ全体でのCO2排出削減、エネルギー・資源等のロス削減等に取り組んでまいります。北総線及び新京成線沿線の活性化に向け、2026年度に開業予定の新鎌ヶ谷駅前施設の整備を着実に推進するほか、カーボンニュートラルへの取り組みとして、CO2排出量実質ゼロのスカイライナーの運行等、CO2排出の削減に努めてまいります。
観光振興においては、「既存観光エリア(成田、柴又等)の魅力向上」と「新たな観光資源やルートの開発」を重点施策とし、MaaSや企画乗車券等の拡充、外部パートナーや自治体等との協議・人材交流等の推進による連携強化等を進めてまいります。事業エリアの魅力発信のため、社内外のリソースを活用したプロモーションを推進するほか、関東鉄道株式会社において、茨城県・関係自治体等とMaaSに関する協議を推進するなど、観光資源を生かした観光推進・市民の移動手段確保等の施策を展開してまいります。
空港輸送においては、「成田空港の更なる機能強化への対応」と「更なる利便性の追求」を重点施策とし、組織を新設し、成田空港の輸送需要の増加に備え、ハード面の強化を推進するとともに、ダイヤ改正等、利便性向上への取り組みの推進等を実施してまいります。2028年度に完了予定の成田空港の滑走路整備等に向け、線路・駅施設やスカイライナー車両等のハード面の強化に中長期的に取り組んでまいります。
ガバナンスにおいては、「環境・社会に関する情報開示の充実」、「健全な財務体質の維持」及び「コーポレート・ガバナンスの強化」を重点施策とし、SDGsに沿った社会的課題の解決に向けた地域社会との連携強化、ローコスト・オペレーションを通じた財務規律の堅持と健全な財務体質の維持、事業・エリアに応じたグループ会社の再編推進等を実施してまいります。経営の効率化や意思決定の迅速化に向けて、2025年4月1日に新京成電鉄株式会社と合併を行うなど、グループ経営推進体制の最適化を図ってまいります。
人材においては、「ダイバーシティの推進」と「チャレンジする人材の育成」を重点施策とし、成長の原動力となる人材の確保や人への投資を推進してまいります。性別や国籍によらない公正な採用選考、入社後のキャリアパス設定、能力や適性等を総合的に踏まえた管理職登用に取り組むほか、多様な従業員が活躍できる環境の整備をグループ各社において取り組んでまいります。
また、安全・安心においては、「災害対策の強化」、「お客様の安全を守る取り組みの強化」及び「テクノロジーの活用」を重点施策とし、地震・風水害対策、安全に関する設備投資、ICT機器の更なる活用等を推進してまいります。災害対策の強化に向けて、高架橋や駅舎の耐震補強工事等に引き続き取り組むほか、押上線連続立体化事業や本線荒川橋梁架替事業を着実に推進してまいります。
当社グループは、グループ経営理念に基づき、「安全・安心」と、お客様に喜ばれる商品・サービスを提供し、沿線を中心とする地域の発展に寄与してまいります。また、コンプライアンス・リスク管理体制を充実させ、内部統制システムの強化に努めるとともに、常に自然環境との調和に配慮するなど、企業の社会的責任の遂行に取り組んでまいります。さらに、お客様第一主義を徹底し、「BMK(ベストマナー向上)推進運動」を浸透させ、選ばれる京成グループを構築してまいります。
上記施策を通じて企業価値のさらなる向上に努めてまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループでは、法令等の遵守を確実なものとするとともに、事業継続に重大な影響を及ぼす可能性を有するリスクに組織的な対応を図ることを目的として、常勤取締役等で構成され、取締役社長を委員長とするコンプライアンス・リスク管理委員会を当社において設置しております。コンプライアンス・リスク管理委員会では、内部監査計画並びにリスク対応に関する検討や実施結果の報告等を行っております。事業継続に重大な影響を及ぼすリスクを統一的に評価し、対応すべきリスクを選定するとともに、個別のリスク管理体制の活動状況を統括しております。サステナビリティに関連するリスク・機会についても評価し、リスク対応に向け検討を行っております。
(2) 重要なサステナビリティ項目
当社グループにおける重要なサステナビリティ項目は以下のとおりであります。
① 気候変動
② 人的資本
それぞれの項目に係る当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、以下のとおりであります。
① 気候変動
(戦略)
当社グループの中核事業である当社の鉄道事業では、気候変動の観点から、TCFDの枠組みを踏まえ、事業継続に影響をもたらすリスク・機会を洗い出し、評価しております。鉄道事業は長期的な観点から事業運営を行う必要があるため、気候変動進行シナリオ(4℃シナリオ)と脱炭素実現シナリオ(2℃未満シナリオ)を基にシナリオ分析を行い、2050年時点の将来のリスクや機会の影響度を評価しております。
気候変動進行シナリオや脱炭素実現シナリオが想定している社会像は以下のとおりであります。基本的に、物理リスクについては気候変動進行シナリオ(4℃シナリオ)を、移行リスクや機会については脱炭素実現シナリオ(2℃未満シナリオ)を参照して影響度を評価しております。
(指標及び目標)
日本においては、2050年カーボンニュートラル実現の目標が掲げられております。当社グループは、地球環境に比較的優しい鉄道を中心とした事業を運営しておりますが、気候変動がもたらす様々な影響を鑑み、グループ全体で地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)排出量の削減目標を以下のとおり設定いたしました。今後もエネルギー使用量の効率化を図り、カーボンニュートラル実現に貢献することを目指します。
なお、当社グループの気候変動への対応に関する詳細な情報については、当社ウェブサイトに公表されている「気候変動への対応」をご参照ください。
(当社ウェブサイト:
② 人的資本
(戦略)
当社グループでは、人材の多様性確保のもと、性別や国籍によらない公正な採用選考、入社後のキャリアパス設定、能力や適性など総合的に判断する管理職登用を実施しております。
また、当社グループでは、持続的な成長と生産性の向上に向けて、従業員の能力開発等の人材投資や、定年延長実施等の多様な従業員が活躍できる環境の整備に積極的に取り組んでおります。
(指標及び目標)
当社においては関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取り組みが行われているものの、連結グループに属する全ての会社では行われていないため、次の指標及び目標は、提出会社のものを記載しております。
2016年4月に施行された「女性活躍推進法」に関する取り組みとして、当社では2024年度末までに1事業年度の総採用数における女性比率を15%以上とする目標を掲げております。
当社の2023年度の総採用数における女性比率(中途採用含む)は9.9%、当連結会計年度末現在の女性管理職比率(課長以上)は4.6%となっており、今後も、積極的な女性の採用・育成により管理職候補となる母集団を形成し、管理職登用者の増加につなげてまいります。
また、育児・介護関係の性別によらない諸制度の整備等によるワークライフバランスの実現を目指しております。2024年3月31日現在の当社における男性の育児休業取得率は、37.5%となっております。
(その他)
当社グループでは、前述の人的資本の戦略に基づき、ジョブローテーションや外部企業との人事交流、資格取得支援、社内・社外研修の拡充などを実施し、チャレンジする人材を育成しております。また、サテライトオフィスの設置、時短勤務制度の整備など効率的に業務ができる環境の整備や各種制度の充実を進めております。
現在、当社グループでは、多数の中途採用者、外国人採用者がサービスの第一線で活躍しておりますが、今後も多様な人材が活躍できるよう各種制度や環境の整備を進め、サステナブルな社会の実現に貢献してまいります。
[基本方針]
当社は、常勤取締役・常勤執行役員等で構成され、取締役社長を委員長とするコンプライアンス・リスク管理委員会(原則年2回開催)を設置し、グループ全体の事業継続に影響を及ぼす可能性を有するリスクを組織的に選定・評価し、その影響を把握した上で、適切な対応を図る体制を整備しております。
コンプライアンス・リスク管理委員会では、当社並びに連結子会社等によるコンプライアンス・リスク抽出結果を踏まえ、その発生可能性や売上に対する影響度の評価を行い、その結果を経営会議に報告しております。
<体制図>
<リスク選定・評価結果イメージ>
[当社グループが認識するリスク]
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、以下の将来に関する事項は、2024年4月に開催したコンプライアンス・リスク管理委員会における検討を経て判断したものであり、有価証券報告書提出日(2024年6月27日)時点において変更はありません。
(特に重要なリスク)
(1) 自然災害等
当社グループは、運輸業を中心に、東京都東部、千葉県北西部を中心とした一定の地域に事業を展開しております。感染症が著しく流行した場合には、外出自粛による需要減退や、従業員や顧客の感染予防策構築などに伴う収益の減少及び新たな経営コストの発生により、当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。また、同地域において大地震・台風及び大雪等の自然災害が発生した場合、あるいは当社グループの施設を対象としたテロ行為、様々な事故、電力等の供給制限が発生した場合、顧客や従業員の罹災、固定資産や棚卸資産へ被害が及ぶこともあり、また、消費意欲の低下による収益の減少や復旧改善コストの増加により、当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。
(2) 少子・高齢化
わが国は少子・高齢化が進展しており、生産年齢人口が将来にわたり減少することが推測されております。当社グループの事業エリアは全国平均からは遅行するものの、人口の減少や構造の変化等社会情勢及び経済情勢の変化により、当社グループが提供する商品・サービスの需要が低下した場合、労働力の確保並びに人材の育成が困難となった場合には、収益の減少及び経営コストの増加により、当社グループの経営成績が影響を受ける可能性があります。
(3) 国際情勢等
当社グループの事業エリア内には成田国際空港があり、運輸業における空港利用者に係る営業収益の依存度は比較的高い状況にあります。このため、海外において重大なテロ行為や国際紛争、感染症流行等が発生した場合、空港利用客の大幅な減少により収益が減少する可能性があるほか、市場や為替相場の動向による原油及び原材料価格が高騰した場合、電気料金及び商品・原材料調達コストの増加等により、当社グループの経営成績が影響を受ける可能性があります。
(重要なリスク)
(1) 法的規制等
当社グループは、鉄道事業、バス事業等の運輸業を主たる事業としております。これらの事業を営む上で、施設等の新設や保全、運賃・料金の設定等には鉄道事業法、道路運送法等の法的な規制を受けております。そのほか当社グループの各事業は所管法令による規制を受けており、法的規制の新設又は適用基準の重大な変更がなされた場合、企業活動の制限又は法令上の規制に対応するための経営コストの増加等により、当社グループの経営成績が影響を受ける可能性があります。
当社グループが提供する商品・サービスの品質管理には万全を期しておりますが、施工販売物件における瑕疵、取扱商品に重大な商品事故が発生した場合、又は運輸業において重大な有責事故が発生した場合には、当社グループの経営成績が影響を受ける可能性があります。
当社グループでは、内部統制システムの維持、向上に取り組んでおりますが、内部統制の重大な不備等により不適切な財務報告等が発生した場合、また、反社会的勢力に対する不適切な対応等が行われた場合には、社会的信用が失墜する可能性があります。
(2) システム障害
当社グループでは、決算業務処理や列車運行、座席予約システム等各事業において情報システムを使用しております。これらのハードウェア、ソフトウェア又はネットワークに、自然災害や人為的ミス、妨害行為等により重大な障害が発生した場合、業務に支障を来し開示情報等の遅延による社会的信用の失墜の惧れがあるほか、復旧並びに改善に長期を要する場合、収益の減少や復旧改善コストの増加により、当社グループの経営成績が影響を受ける可能性があります。
(3) 金利変動
当連結会計年度末の当社グループの借入金等の有利子負債残高は4,013億円であり、今後とも有利子負債の抑制に努めていく方針であります。当社グループとしては可能な限り有利子負債の固定金利化を進め、金利の変動リスクの抑制に努めておりますが、今後、金利が大幅に変動した場合、当社グループの経営成績が影響を受ける可能性があります。
(4) 情報漏洩
当社グループでは、各事業において個人情報等業務上の機密情報を保有しております。「情報セキュリティ方針」や「個人情報保護方針」、「内部者取引防止規則」等を制定し、役員や従業員への啓蒙活動、マニュアル類の整備等機密情報の管理体制の整備・強化に努めておりますが、不測の事故等により機密情報が外部へ漏洩するような事態が発生した場合、損害賠償請求や社会的信用の失墜等により、当社グループの経営成績が影響を受ける可能性があります。
(5) その他
羽田空港の更なる機能強化により、相対的に成田国際空港の旅客需要が低下した場合、当社グループの経営成績が影響を受ける可能性があります。不適切なお客様対応を行った場合、又は情報開示を適時適正に実施しなかった場合、当社グループの社会的信用が失墜する惧れがあります。重要な提携先や取引先において不測の事故や事件が発生し、又は経営が悪化した場合、当社グループの事業に支障を来す惧れがあります。関係会社の業績が悪化した場合、当社グループの経営成績が影響を受ける可能性があります。
なお、上記は当社グループの事業等について予想される主なリスクを具体的に例示したものであり、当社グループの全てのリスクを網羅したものではありません。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の状況
資産合計は、前期末比986億2千8百万円(10.2%)増の1兆642億2百万円となりました。これは、設備投資により、「有形固定資産」が増加したことによるものです。
負債合計は、前期末比404億1千7百万円(7.3%)増の5,950億4千4百万円となりました。これは、「未払法人税等」が増加したことによるものです。
純資産合計は、前期末比582億1千1百万円(14.2%)増の4,691億5千7百万円となりました。これは、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により「利益剰余金」が増加したことによるものです。
(連結貸借対照表)
当連結会計年度におけるわが国経済は、5月に新型コロナウイルス感染症の感染症法上の分類が5類に移行し、企業収益の改善や個人消費の持ち直しがみられるものの、雇用環境の変化に加え、円安や物価上昇の影響もあり、緩やかな回復となりました。
このような状況の中で、当社グループは、中期経営計画「D1プラン」(2022~2024年度)において、「コロナ禍による低迷から成長軌道へと回帰するとともに、長期ビジョン実現に向けた経営推進体制を整備する」を中期経営目標として掲げ、諸施策を推進してまいりました。
また、2025年4月1日を効力発生日とし、当社を存続会社、新京成電鉄株式会社を消滅会社とする合併契約を10月31日付で締結いたしました。
以上の結果、営業収益は2,965億9百万円(前期比17.5%増)となり、営業利益は252億4千1百万円(前期比146.8%増)となりました。経常利益は、持分法による投資利益の増加等により、515億9千1百万円(前期比92.8%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は、関係会社株式売却益の計上により、876億5千7百万円(前期比225.5%増)となりました。
(連結損益計算書)
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(運輸業)
鉄道事業では、ホームドア等の整備を推進するため、3月より「鉄道駅バリアフリー料金制度」に基づく料金収受を開始いたしました。安全輸送確保の取り組みとして、異常時対応等のさらなる迅速化を図るため、デジタル方式の列車無線へ完全移行したほか、押上駅にホームドアを設置いたしました。また、高架橋及び駅の耐震補強工事等を進めました。
大規模工事については、葛飾区内の押上線連続立体化事業において、京成立石駅仮駅舎新設工事を推進したほか、本線荒川橋梁架替事業等、各種工事を推進いたしました。また、成田空港の機能強化に伴う輸送力の強化に向けて、宗吾車両基地の新工場建設に向けた準備工事を実施し、2024年4月に起工式を行いました。
営業面では、11月にダイヤ改正を実施し、LCC等夜間到着便をご利用のお客様の利便性向上のため、成田空港を深夜時間帯に出発するスカイライナーを1本増発いたしました。また、海外旅行博への出展による訪日外国人旅客の誘致等、海外プロモーションの強化を実施したほか、韓国等海外の航空会社や鉄道会社と連携した各種施策やWeChatを用いたスカイライナーチケットの販売開始等、海外における営業強化に取り組みました。さらに、仙台等の各都市において、スカイライナー周知を行ったほか、「スカイライナーご利用4500万人達成記念式典」を開催いたしました。
バス事業では、高速バス路線において、成田空港発着の路線を中心に減便していた路線の運行を再開したほか、繁忙期等において臨時便の運行を積極的に行うなど、需要の取り込みを図りました。また、ミチノテラス豊洲(ラビスタ東京ベイ)~羽田空港間で新規路線の運行を開始いたしました。一般乗合バス路線においては、東京BRT株式会社及び京成バス株式会社において、晴海五丁目地区と都心部を結ぶ新たなルートの運行を開始したほか、需要の変化に応じたダイヤ改正等を実施いたしました。また、カーボンニュートラル実現に向けた取り組みとして、関東鉄道株式会社及び京成バス株式会社において、EV(電気自動車)車両を導入いたしました。
タクシー事業では、回復した需要の着実な取り込みを図りました。また、京成タクシー市川株式会社及び株式会社舞浜リゾートキャブにおいて、EV(電気自動車)車両を導入するなど、各種施策を実施いたしました。
以上に加え、移動需要の回復及び新京成電鉄株式会社の業績が通期寄与したことにより、営業収益は1,803億6千万円(前期比22.0%増)となり、営業利益は119億6千7百万円(前期は営業利益7億8千4百万円)となりました。
(事業別内訳)
(当社鉄道事業運輸成績表)
(流通業)
ストア業では、株式会社京成ストアにおいて、フランチャイズ契約に基づき「業務スーパー八街店」等の2店舗をオープンしたほか、一部店舗において太陽光発電設備を導入いたしました。また、株式会社コミュニティー京成において、「ファミリーマート印旛日本医大駅店」をオープンしたほか、「PRONTO ららテラスTOKYO-BAY店」等の2店舗の運営を引き継ぎました。さらに、新京成リテーリングネット株式会社において、「セブン-イレブン浦安舞浜店」の運営を引き継ぐなど、収益の拡大に努めました。
その他流通業では、京成バラ園芸株式会社において、期間限定でいちご狩り施設をオープンするなど、集客に努めました。
以上に加え、ストア業における空港店等の回復により、営業収益は562億9千2百万円(前期比9.8%増)となり、営業利益は4億4千5百万円(前期は営業損失4億2千9百万円)となりました。
(事業別内訳)
(不動産業)
不動産賃貸業では、収益の拡大及び事業基盤の拡充に向け、積極的な投資を行いました。足立区千住河原町において賃貸住宅の建設工事を推進したほか、葛飾区金町、船橋市本町、柏市末広町の賃貸施設を取得いたしました。また、沿線活性化に向け、都内エリアの18物件等賃貸住宅の取得・建設工事を推進いたしました。
不動産販売業では、中高層住宅「パークホームズ千葉」及び「サングランデ千葉 都賀テラス」の全戸引き渡しを完了したほか、来年度に引き渡し予定の中高層住宅「プレミスト千葉公園」を販売いたしました。また、中高層住宅予定地として、流山市南流山等の土地を取得いたしました。
このほか、複合施設予定地として、鎌ケ谷市新鎌ヶ谷駅前県有地を取得いたしました。
以上に加え、新京成電鉄株式会社の業績が通期寄与したことにより、営業収益は335億2千5百万円(前期比15.8%増)となり、営業利益は100億7千7百万円(前期比2.9%増)となりました。
(事業別内訳)
(レジャー・サービス業)
レジャー・サービス業では、ホテル・レストラン等の施設においてインバウンドを中心に回復した需要の着実な取り込みを図りました。また、京成ホテルミラマーレにおいて、営業運転を終了した鉄道車両の一部を再利用し、コンセプトルームを新設するなど新規顧客の獲得に努めました。さらに、京成トラベルサービス株式会社において、鉄道会社やバス会社と連携した多様な旅行商品の企画・催行により、収益の確保に努めました。このほか、業務効率化等を目的に、京成グループ各社の定型業務等について株式会社We京成に集約いたしました。
以上の結果、営業収益は170億4千7百万円(前期比35.5%増)となり、営業利益は7億1千6百万円(前期は営業損失8億2千4百万円)となりました。
(建設業)
建設業では、鉄道施設改良工事等を実施したほか、共同企業体による大規模工事への参入や当社グループ外への積極的な営業活動により、受注拡大に努めました。
以上の結果、営業収益は314億1千4百万円(前期比12.4%増)となり、営業利益は18億2千6百万円(前期比68.9%増)となりました。
(その他の事業)
その他の事業では、営業収益は100億6千1百万円(前期比10.0%増)となり、営業利益は2億2千8百万円(前期比300.6%増)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益に減価償却費等を調整した結果、600億4千5百万円の収入となり、前連結会計年度と比べ128億6百万円の収入増となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、関係会社株式の売却による収入等により281億3千7百万円の収入となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得による支出等により402億6千4百万円の支出となり、前連結会計年度と比べ193億4千7百万円の支出増となりました。
以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比べ479億1千8百万円増加し、823億2千8百万円となりました。
(連結キャッシュ・フロー計算書)
当社グループの事業内容は、役務の提供を主たる事業としており、生産、受注及び販売の状況について、金額あるいは数量で示すことはしておりません。
そのため、生産、受注及び販売の状況については、「② 経営成績の状況」におけるセグメントごとに業績に関連付けて示しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループでは、長期経営計画「Dプラン」(2022~2030年度)を策定し、現在はその第1段階となる中期経営計画「D1プラン」(2022~2024年度)を推進しております。詳細は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
当連結会計年度は、中期経営計画「D1プラン」に基づき、成田空港アクセスの利便性向上、収益賃貸物件の開発・取得等を実施しました。その結果、前期比で増収増益となりました。
(経営指標)
(注) EBITDA倍率=有利子負債残高÷(営業利益+減価償却費)
② 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループは、運転資金及び設備投資資金について、営業活動によるキャッシュ・フローに加え、金融機関からの借入及び社債の発行等により調達することとし、事業運営上必要な流動性の確保と安定的な調達を基本方針としております。なお、鉄道車両等については、総支払コストの有利性や費用の平準化に鑑み、主にリースにより調達しております。また、複数の金融機関との間で震災対応型コミットメントライン契約等を締結し、安定的な資金調達に備えております。
有利子負債残高については、収益力強化や事業選別の徹底等により、有利子負債の増加を抑制する所存であります。
設備投資については、当社グループの持続的成長に資する中長期的な収益拡大に向けた投資を継続的に実行してまいります。特にコア事業である運輸業、不動産賃貸業に経営資源を集中的に投下し、安全の確保と競争力の強化により収益拡大を目指してまいります。
当連結会計年度においては、鉄道設備の改修及び収益賃貸物件の取得等の、将来の収益拡大に向けた投資に充当いたしました。
株主還元については、連結配当性向10%以上を目標として、安定的かつ継続的に利益還元してまいります。なお、当連結会計年度の連結配当性向は7.4%となりました。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
当社は、2023年10月31日開催の取締役会において、当社の完全子会社である新京成電鉄株式会社(以下「新京成電鉄」)を吸収合併することを決議し、同日付で新京成電鉄との間で合併契約を締結しました。
1 合併の目的
新京成電鉄は、千葉県北西部を主な営業エリアとして、運輸業・不動産業を展開しております。当社は、「千葉県北西部における事業基盤の強化及び地域活性化」、「経営資源の相互活用による競争力強化及び事業規模の拡大」、「スケールメリットを活かした効率的な協働体制の実現」といったシナジー効果の発揮を目的に、2022年9月1日に新京成電鉄の全株式を取得し完全子会社化いたしました。このたび、さらなる経営の効率化・意思決定の迅速化を図ることで、経営資源を最大限活用し、これらのシナジー効果をより早期かつ確実に発揮するため、当社を存続会社、新京成電鉄を消滅会社とする吸収合併を行うことといたしました。
2 合併の要旨
(1) 合併の方法
当社を存続会社、新京成電鉄を消滅会社とする吸収合併
(2) 合併の日程
決定日 2023年10月31日
合併契約締結日 2023年10月31日
合併の効力発生日 2025年4月1日(予定)
(3) 合併に係る割当ての内容
新京成電鉄は当社の完全子会社であるため、本合併による株式その他の金銭等の割当てはありません。
(4) 引継資産・負債の状況(2024年3月31日現在)
資産合計 64,190百万円
負債合計 20,452百万円
(5) 吸収合併存続会社となる会社の概要(2024年3月31日現在)
名称 京成電鉄株式会社
資本金 36,803百万円
事業内容 運輸業及び不動産業
該当事項はありません。