第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針

当社グループは、2006年10月の設立以来、『幼・青・老の共生』をコンセプトに事業子会社である株式会社さわやか倶楽部、株式会社ボナーを通じ、高齢者介護施設の運営、カラオケ・飲食店舗の運営、不動産事業等の事業活動を展開してまいりました。現在は介護事業・カラオケ事業を中心として、地域社会に必要とされる企業となること及び顧客に安心・信頼していただけるサービスの継続的な提供を行うことを経営課題として日々事業活動に取り組んでおります。

 

(2) 経営環境

当連結会計年度における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の分類が5類に移行されたことで徐々に経済活動の正常化が進み、景気は持ち直しの動きがみられましたが、地政学的リスク等による原材料価格・光熱費の高騰の影響により、依然として先行き不透明な状況が続いております。

このような経営環境下におきまして、当社グループでは、介護事業においてICTを活用することでDX化に努め、業務負担軽減およびサービスの質の向上に取り組んでまいりました。また、人的資本への投資として、社内認定資格の充実、研修プログラムの強化を図り、サービスの質の向上と併せて従業員の育成、定着率向上に取り組んでおります。

なお、当社グループのセグメントごとの経営環境の認識は、以下のとおりであります。

介護事業では、高齢化社会を背景に需要が拡大して行くものと認識しております。当社グループが中心として取り組んでいる特定施設につきましては、第8期介護保険事業計画(2021年度~2023年度)のもと、高齢化が進んでいる中核都市以上の都市を中心に公募が出され、選定された事業者による開設が進んでおります。今後当社グループが施設展開を安定的に行っていくためには、第9期介護保険事業計画(2024年度~2026年度)に基づき、対象となる都道府県の計画を早期に把握し、市町村における公募等の情報を適時に把握していくことが必要となっております。また、定期的に実施される介護保険制度改正や報酬改定といった環境変化に大きく影響を受けることとなるため、明確なビジョンを持ち、変化に応じて柔軟な施策が推進できるような体制整備が必要となると考えられます。

カラオケ事業におきましては、カラオケボックス業界の市場規模が縮小傾向にあり、事業者間での競争が激化していると認識しております。今後におきましても、少子化の影響で主要な客層である10代から20代の利用が徐々に縮小していくと考えられますが、一方で団塊世代の定年後の余暇需要がマーケットとして認識される点や、2007年度以降のカラオケ参加人口がほぼ横ばいであることなどを踏まえると、今後も参加人口については現状とほぼ変わらずに推移するのではないかと考えられます。

飲食事業のうち、当社グループが主に参画している居酒屋業界におきましては、長引くデフレや「若者のアルコール離れ」等からの影響で、市場規模が縮小傾向にあると認識しております。今後もこの傾向は継続すると考えられるため、アルコール以外の商品の充実や食品の質・品揃えの向上、接客サービスでの差別化、コンセプトを含めた店舗の特徴などのさらなる充実を図る必要があると考えられます。

このような環境下、当社グループは各事業分野において、課題の対処を強化するとともに新しい生活様式を意識した営業スタイルの確立やビジネスモデル、商品開発等を行い環境の変化に順応していきます。また、当社グループの従来の事業における需要が改めて見直される機会になるとも考えられ、今後さらに従業員教育を徹底し、専門知識の習得とサービスの質の向上により競合他社との差別化を図ってまいります。

 

 

(3)中期経営戦略

当社グループを取り巻く環境は、各セグメントにおいて、その状況にも相違があります。介護事業におきましては、今後日本国内の高齢化が加速して行くと考えられている現状において、これまで以上に利用者、入居者との信頼関係を構築していく必要があると考えられます。また一方でカラオケ事業、飲食事業におきましては、環境は一段と厳しいものになると予想されており、新規出店、既存店リニューアル、不採算店のスクラップによる安定的な成長を目指し、企業間、店舗間における競合への対応が必要となると考えられます。

このような状況の下、当社グループでは、主要となる事業セグメントにおいて、個々の持つ特徴を強く打ち出し差別化を図っていきたいと考えております。

セグメント別には次の目標を掲げております。

①介護事業

有料老人ホームの新規開設を年間5ヵ所程度を目標としております。各事業所の全国展開を確実に推進するため、新たに進出する地域において地域社会との交流を活発に行い、認知度と信頼関係を強化するとともに、高齢者サービスへの需要に対して適時に対応することでビジネスの拡大を図ってまいりたいと考えております。

また、安定した施設開設を行うためにも、物件の情報収集と、行政機関との関係の構築を行ってまいります。

②カラオケ事業

既存店舖におきましては、来店客数の増加を見込むため、アプリ会員や65歳以上のゴールドメンバーを積極的に募集し、リピート率の向上に努めてまいりたいと考えております。

新規出店に関しましては、経済環境及び消費動向等を慎重に見極めて、出店地域や方針などを柔軟に検討していきます。全国展開を進捗させることで企業の認知度、関心、注目度を高めていくことが可能となると考えております。

③飲食事業

既存店の店舗力の強化に注力をして行きたいと考えております。サービスや商品の強化を随時行うことで、顧客の信頼や安心感を高め客数の向上を図るとともに、店舗の個性を磨き、足を運んで頂ける店舗づくりを行うことで、消費環境の変化などの影響を受けない体質へと改善して行きたいと考えております。また、継続して、カラオケ店舗と居酒屋店舗の顧客の回流を促進することで、効率的に収益の向上を図ってまいります。

④不動産事業

主に、賃貸マンションの賃貸・管理業務と不動産物件の売買・仲介業務を行う予定です。また、不動産市況等の情勢を見極め、収益物件の取得および販売用不動産などの調査も適宜行い、迅速に対応してまいります。

 

(参考)中期経営計画(2023年3月期~2025年3月期)

①定量目標

決算年月

 

2023年3月期

2024年3月期

2025年3月期

実績

実績

計画

売上高

(千円)

26,911,561

28,842,902

31,749,762

営業利益又は

営業損失(△)

(千円)

△798,868

589,051

1,500,941

親会社株主に帰属する当期純利益
又は親会社株主に帰属する当期純損失(△)

(千円)

△400,580

213,915

927,421

親会社株主に帰属する当期純利益率

(%)

△1.5

0.7

2.9

総資産回転率

(回)

0.9

0.9

1.1

財務レバレッジ

(倍)

2.5

2.5

2.0

R O E 

(%)

△3.2

1.7

6.6

 

(注)中期経営計画(2023年3月期~2025年3月期)①定量目標は、2022年5月19日に公表したものであります。

 

 

②定性目標

人財の育成により、これまで以上に高いレベルでの社会貢献を目指す。

企業の成長を通じてステークホルダーの幸せを追求し、様々な課題にチャレンジをする。

  a. 成長戦略

・既存事業に親和性のある新規事業の開発に努める。

・3つの事業の柱を中心に、よりハイレベルなサービス提供を実現し、差別化を図る。

・介護事業を中心にM&A等の情報収集に努め、積極的に取り組む。

 b. ガバナンス体制の強化

・経営に対するチェック機能の充実・意思決定の迅速化による経営効率の向上を図る。

・コンプライアンス委員会を中心として、更なるコンプライアンス管理体制の強化を図る。

 c. 人財教育

・社内教育システムを充実させ、より社会性の高い人財の育成を図る。

・成長をフォローする環境を整え、定着率向上を図る。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

(1)及び(3)に記載の経営方針及び中期経営戦略を実行する上で、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は以下のとおりです。

当社グループは「幼・青・老の共生」をコンセプトとして、「幼年~青年~老年、共に楽しく過ごせる社会作り」を目指し、介護施設やカラオケ店舗の運営を中心とした事業展開を図っております。

今後は、国内外の経済情勢、自然災害、新型コロナウイルス感染症等の影響についても留意しつつ、更なる広域展開を志向し、各事業子会社、各事業セグメントにおける対処すべき課題を適宜精査し、その都度適切な対応策を講じてまいります。

当社グループとして、現在事業の拡大・推進にあたり重要な課題として認識している事項は、以下のとおりであります。

 

(特に優先度の高い対処すべき事業上及び財務上の課題)

新型コロナウイルス感染症の第8波までの感染動向により事業環境への影響を受けたものの、行動制限が緩和されたこと等により、経済活動は緩やかに持ち直しの動きがみられる状況となりました。このような環境の下、当社グループにおいては、状況に応じた感染拡大防止対策を徹底し、安心してご利用いただける施設・店舗環境を整えながら、お客さま、従業員をはじめ全ての方々の安全と健康の確保に努めてまいります。

また、当社グループが取り組むべきの課題といたしましては、不採算店舗の閉店やコスト削減に努めると共に新たな環境に適合し、継続的に成長できるよう各事業における営業スタイルやビジネスモデルの確立、商品開発等に取り組んでおります。

 

(その他の優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題)

(全社)

① 人材育成の方針

当社グループの属する介護事業、カラオケ事業及び飲食事業では慢性的に労働力不足の問題を抱えております。当社グループにおきましては、対応策として採用に力を入れるのはもちろんですが、OJTを中心とした技術指導だけではなく、従業員研修制度に基づく各種取り組みにおいて個々の成長をフォローし、職責や当社グループに対するロイヤリティーを高めることで定着率の安定化を図ってまいります。

② 管理体制の強化

当社グループとして、今後事業規模を拡大していくにあたり、人材の育成とともに管理体制を強化し、企業統治をより機能的に行っていくことが重要であると考えております。当社グループにおいては、管理・統制機能を担う各管理部門及び経営企画室を持株会社である当社に集約し、企業グループとして一体的な管理ラインを構築・運用することで、正確かつ効率的な企業統治に努めております。

 

(介護事業)

① 事業展開地域の拡大

当社グループは、介護事業の中心となっている介護付ホーム(特定施設入居者生活介護)については、介護保険施設等にかかる総量規制の対象となっていることから、従来以上にスピード感をもって新規開設を図るべく、全国の自治体による公募に参加し、開設の認可を得られるように努めると同時に、親和性のある新規事業の開発に関する情報等も積極的に収集するなどして、事業規模拡大の方策を検討してまいります。

② 接遇レベルの向上

当社グループの介護施設の入居者のほとんどの方が要介護認定者であり、そのような方々に快適な生活を提供するためには、自立支援の観点を持ち、過剰なサービスとならないために配慮することが不可欠であり、その見極めには知識や経験、正しい情報が必要となります。それらを適切に行っていくためにも、自社の研修制度を充実させ、それらを通じて、従業員の能力向上を図るとともに、本質的なサービスの質の向上を果たし、少しでも多くの入居者の満足感や信頼が得られるように努めております。

③ 施設レベルの向上

介護施設において、利用者に安心、安全にお過ごし頂くためには、介護職員による接遇レベルの向上のみならず、施設の安全性や信頼性を確保する必要があります。当社グループでは、災害時を想定した防災訓練の実施や、日々のクリンリネスの徹底、厨房の衛生検査の実施などにより、安全、衛生管理に取り組んでおります。また、介護事業においては、介護保険法や老人福祉法をはじめとする関係法令の周知は不可欠であることから、研修委員会等を通じて知識や技術指導を行うとともに、コンプライアンス委員会主導の下、コンプライアンス推進会による法令全般に係る指導の徹底に努めております。

④ 有資格者の確保

介護サービスの提供にあたり、看護師やケアマネジャー、介護福祉士等の有資格者の確保は不可欠であり、法令遵守の観点からも、有資格者の安定した雇用は重要な課題であると考えております。当社グループでは、有資格者の採用にあたって、知識・経験等を十分に考慮するとともに、入社後においても、能力や実績に応じて適宜待遇面の見直しを行うなどして、安定的な採用と定着率の向上を図っております。

 

(カラオケ事業・飲食事業)

① 遠隔店舗の店舗力強化

当社グループのカラオケ事業及び飲食事業は、福岡県を中心とした九州地区から関東まで、広範囲に渡る地域展開を行ってまいりました。今後も全国展開を継続していくためには、各店舗が安定的に収益を生み出すことが必要であり、そのためには、管理体制、教育体制の強化を図り、迅速な問題の把握とその解決に努めなければならないと考えております。WEB会議等を活用し遠隔店舗の情報を迅速に掴むとともに、店舗力の客観評価を行い、適切に改善策、対応策を打ち出すことができる体制の構築に努めてまいります。

② 競争激化と他社との差別化

カラオケ事業及び飲食事業においては、各地域での競合が激しさを増しております。当社グループとしては、競争力のある商品力、サービス力、価格設定等を随時検討するとともに、既存店舗の業態変更やリニューアルを行うなどして、対応策を講じてまいります。

③ 衛生管理の強化

衛生上の事故を予防し、顧客の信頼を保つことは、継続的に運営する上での前提となります。当社グループでは、専任の環境パトロール担当者を設置し、クリンリネスのチェックを行っている他、全店舗において外部業者による定期的な衛生検査を導入しており、客観的な検証を通して衛生管理の精度の向上に努めております。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティに関する考え方

当社グループは、社会、経済および環境の調和を常に重要視し、各事業において安心・安全なサービスを通して人々の喜びを創造することで、地域社会における豊かで快適な生活と経済の発展に努めてまいります。

また、当社グループの各事業において、人材の採用および育成が重要課題と考え、人的資本への投資を行いながら資本の増強を図ることで、社会の課題解決に向けて取り組み、持続可能な社会の実現に貢献します。

 

①ガバナンス

当社グループでは、国内外における社会情勢や環境の変化について正しく認識するとともに、特に事業運営に影響を及ぼす可能性のある外部環境の変化については、取締役会を中心として、内包するリスクや機会を適宜把握し、即応していく体制を構築しております。

これらの取り組みを機動的かつ網羅的に実践するために、代表取締役社長を委員長とするサステナビリティ委員会を設置しており、全社的な連携に努めております。

サステナビリティ委員会は、年に2回程度開催し、目標設定やその進捗について情報の共有と確認を行うものとしております。また、当社及び子会社の取締役が委員を務めることで、取締役会主導での対応の迅速化をはかっております。

 


 

 

②戦略

当社グループにおける、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、以下のとおりであります。

当社グループは、環境負荷を軽減するためにエネルギー効率の改善や再生可能エネルギーの利用、廃棄物の削減やリサイクルなどの取り組みを行うことが重要であると考えており、携わる事業分野それぞれにおいて実現可能な方策を用いて、それらに貢献することに努めております。

また、当社グループにおける、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、以下のとおりであります。

(多様性確保と育成)

当社グループでは、介護事業において特定技能外国人及び技能実習生として、インドネシア人を中心とした外国人人材を採用しております。また、女性の活躍推進を実現するために、女性管理者(課長、施設長、副施設長、センター長、ホーム長、店長、料理長職以上)の割合について目標値を設定しております。また、特に人材の確保および育成が重要と考えられる介護事業におきましては、社内認定資格制度として「認知症ケアリーダー」、「排泄ケア専門士」、「ケアクリエイター」の3項目の資格を構築または外部機関との提携により初任者研修等の資格取得支援を行なっております。社内認定資格においては、従業員が仕事をする上で必要な技術、知識、経験を整理すること、また、特定のスキルやプロセスを共通の基準で評価することでサービスの品質や効率を向上することに繋がります。

今後も、国籍・性別等にとらわれず各個人の能力に基づく公平な採用を進め、それぞれが能力を発揮しやすいインクルーシブな職場文化及びキャリア開発支援などを通じて、多様性を尊重し成長の機会を提供していきます。

(社内環境整備)

社内での会議や研修において、人種、国籍、性別、性的指向等のハラスメントまたは差別についての考え方や、実情を踏まえた問題点について指導を行うなどしております。また、個々が自己の能力を最大限に発揮できるような環境を整えるべく、フレキシブルな勤務体制の構築、それらに対応するモニタリングと評価を行うことで、インクルーシブな職場環境を促進し、多様な人材の活躍を支援していきます。

 

③リスク管理

当社グループでは、気候変動や自然災害などの環境リスクの認識と対策について、サステナビリティ委員会によるリスクアセスメントやシナリオ分析を通じて、事業に与える可能性のある環境リスクを評価し、それに対する適切な対策案、事業計画の見直し案を策定することとしております。

取締役会では、サステナビリティ委員会より報告・提案を受けた内容について精査し、対策の意思決定を行うこととしております。

 

④指標及び目標

当社グループでは、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、女性管理者の育成と任命について目標設定をしております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。

(女性管理者数及び構成比)

 

指標及び目標

2025年度末時点

実績

(当連結会計年度末時点)

株式会社ウチヤマホールディングス

2名(構成比22.0%)

1名(構成比12.5%)

株式会社さわやか倶楽部

100名(構成比50.0%)

66名(構成比38.2%)

株式会社ボナー

21名(構成比30.0%)

7名(構成比18.4%)

 

※管理者は課長、施設長、副施設長、センター長、ホーム長、店長、料理長の役職以上の者。

 

3 【事業等のリスク】

当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。当社は、これらのリスクの発生可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の迅速な対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本項以外の記載内容もあわせて慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。本項記載の将来に関する事項は、当連結会計年度末日現在において当社グループが判断したものであります。

(継続企業の前提に関する重要事象等の解消について)

当社グループは、前連結会計年度において3期連続で営業損失、経常損失及び親会社株主に帰属する当期純損失を計上しており、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しておりました。

このような状況を解消すべく、不採算店舗の閉店や各種固定費の圧縮などコスト削減に努めると共に、新たな環境に適合し、継続的に成長できるよう各事業における営業スタイルやビジネスモデルの確立、商品開発等に取り組みました。

その結果、新型コロナウイルス感染症の影響から回復基調であることも合わせ、当連結会計年度は営業利益589,051千円、経常利益1,189,389千円、親会社株主に帰属する当期純利益213,915千円を計上しています。

また、資金面においても、当社グループの当連結会計年度末日現在の現金及び預金残高10,758,237千円に加え、当座貸越の未実行残高8,265,000千円と当面の資金を確保していることから、重要な資金繰りの懸念はありません。

これらの状況から、当社グループとしては、当連結会計年度において、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる事象又は状況は解消したと判断しております。

 

 

1.介護事業について

(1) 介護保険制度について

当社グループの介護事業については、介護保険制度に基づき行われるサービスが中心であり、サービス内容、報酬、事業所展開及び運営、その他事業全般に関して、介護保険法及び各関連法令等による法的規制を受けております。

介護保険制度については、5年ごとの制度の見直し及び改定が、また、3年ごとに介護報酬の改定が行われることになっております。今後も、法令及び制度の変更により何らかの規制強化等が生じた場合には、サービス内容の変更や各種対応が必要となるほか、当社グループの事業展開に影響を及ぼす可能性があり、また、介護報酬の改定に際しては、当該事業の収益又は採算性等に影響を及ぼす可能性があり、これらの要因に起因して当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

特に、少子高齢化による保険料負担の状況や介護保険財政等の問題から、将来においてその枠組み等に大幅な変更が生じた場合には、当社グループの事業展開に重大な影響が生じる可能性があります。

 

(2) 有資格者及び人員の確保について

介護事業において提供する各種サービスについては、介護保険法に基づく事業者として有資格者の配置を含む一定の人員基準等が定められております。当社グループにおいては、当該基準を満たすため、有資格者等を含む人材獲得及び自社教育等による人材育成に努めております。

当社グループは、現時点において人員確保に関して重大な支障は生じていないものと認識しておりますが、今後の事業展開及び拡大に際して十分な人員確保が困難となった場合又は既存人員の流出等が生じた場合には、サービス品質の低下や介護報酬の減算、介護サービスの継続提供が困難となる可能性があるほか、人員確保のための待遇の見直しや求人のためのコスト負担増加等が生じる可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 高齢者介護における安全衛生管理について

介護事業における入居者及び利用者の大半は、要支援又は要介護認定を受けている高齢者であり、各介護サービスにおいて転倒・転落事故、食中毒、集団感染等が発生する可能性があります。

当社グループにおいては、施設人員の十分な配置、接遇・サービスにかかる教育研修や各種マニュアルの整備及び徹底、衛生管理及び設備等にかかる安全管理等について一層の強化に努めておりますが、上記事項等にかかる不測の事態が生じた場合、その要因等により当社グループの過失責任が問われる可能性があり、損害賠償請求や行政による指導又は処分が生じる可能性があるほか、当社グループの事業所運営に対する著しい信頼低下等が生じ、当社グループの事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 介護施設の展開方針について

当社グループの介護事業においては、介護付ホームを中心として新規事業所の開設を行っていく方針であります。

介護付ホームは、2006年4月より介護保険施設等にかかる総量規制の対象となり、各地域における新規施設の開設等は、各自治体の介護保険事業計画に基づく公募等により決定されております。このことから、展開する地域や居室数等について中期的な展開が想定し難い状況があり、また、公募において選定されない可能性があることから、当社グループにおいて必ずしも希望に沿った事業所展開が実現できる保証はなく、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 競合について

介護保険制度の開始以降、介護サービス利用者は増加傾向にあり、今後も少子高齢化の進展に伴い利用者は増加基調が続いていくものと予想されております。また、介護関連サービス市場の拡大が予測されており、比較的に参入障壁が低いこともあり、医療法人や社会福祉法人及び各種事業会社等が参入し競合が生じております。今後において新規参入等により一層の競争激化が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 地域関係機関との連携について

介護事業における各施設は、地域に密着した事業運営を行っており、各地域における行政機関や医療機関等の各関係機関、ケアマネジャーやソーシャルワーカー等との連携が必要であり、その信頼関係が事業展開において重要な要素であるものと考えております。当社グループのサービスや施設運営等における対応不備や、事故やトラブルの発生、その他の何らかの要因により信頼が低下した場合には、当社グループの施設運営、サービス提供、利用者獲得等に支障が生じ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 風評等の影響について

介護事業においては、利用者やその家族等による当社グループ及び施設等に対する評判や信用等は、施設運営に対して大きな影響力を有しております。当社グループは、利用者ニーズに対応したサービス品質等の向上に努めておりますが、何らかの要因により当社グループ及び施設等に関して評判が著しく低下する又はネガティブな風評が生じる等の状況が発生した場合、新規利用者の獲得や施設稼働率の維持が困難となり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) コンプライアンスについて

介護業界は、前述のとおり各種法令等による規制を受けており、これら法令等を遵守するため、強固なコンプライアンス体制の構築が求められております。当社グループにおいては、事業所運営における法令遵守の徹底、業務上の人為的ミス及び不正行為等を防ぐため業務管理体制及び内部牽制機能の強化に努めております。今後の事業展開において、これら体制が十分に機能しなかった場合、業務管理上の問題が生じ、当社グループの事業運営に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 介護施設の賃借について

当社グループの介護施設のうち大半は賃借方式(自社開発施設のセールアンドリースバック案件を含む)であり、施設ごとに家主との間で賃貸借契約を締結しております。契約期間は主に20年~30年(更新あり)であり、賃料は主に2年~5年ごとに協議の上で改定することとしております。

当社グループは、比較的長期間の契約を結ぶことにより施設運営の安定的な継続を確保しておりますが、一方で、当該契約については短期間における施設閉鎖や賃料改定が困難であることから、各施設において稼働率の著しい低下や近隣の賃料相場の低下等が生じた場合には採算悪化等が生じ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)「さわやか」の名称について

当社グループの介護事業においては、「さわやか」の名称を社名及び施設名として使用しております。「さわやか」については、一般名称とされ商標登録の対象とすることが困難であることから、当社グループは、施設名(例えば、「さわやか螢風館」等)による商標登録を行っております。

一方、既に全国に「さわやか」の名称を使用した介護施設等が多数存在しており、当社グループ以外のこれら施設等において事故や不祥事等が発生した場合、当社グループの施設と誤認される可能性があり、当社グループの介護事業に予期せぬ風評被害等が発生する可能性があります。

 

2.カラオケ事業及び飲食事業について 

(1) 外部環境について

経済の先行きへの懸念に伴う消費意欲の落ち込みや、多数の事業者間の競合状態に起因する価格競争の激化などの要因から、レジャー市場及び外食市場はいずれも縮小傾向にあり、当社グループのカラオケ事業及び飲食事業を取り巻く経営環境は厳しい状態が続いております。

当社グループでは、カラオケ事業におけるコースメニューやサービスプランの拡充、飲食事業における低価格商品の品揃え強化、既存店舗の業態変更やリニューアル等によって顧客満足度の維持・向上に努めております。

なお、これらの施策が顧客に受け入れられない場合、あるいは同業他社による新規参入等による競合環境が深刻化した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 出店政策等について

当社グループは、現在、カラオケ事業及び飲食事業において、都市型店舗の展開を志向し、繁華街を中心とした出店を強化しております。新規店舗については、不動産業者や取引先金融機関等からの情報をもとに、積極的に物件の確保に努めていく方針ですが、賃料や商圏人口あるいは競合他社の状況の観点から、必ずしも当社の希望する条件に合致する物件が確保できる保証はありません。また、実際の出店にあたっては慎重に検討を重ねておりますが、仮に当社グループの計画に見合った物件を確保した場合においても、当初想定した収益の確保が困難となる可能性もあり、これらの要因により当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

なお、カラオケ事業及び飲食事業における店舗はその大半を賃借する方式を基本としておりますが、これに係る差入保証金に関して、賃貸人の財政状態が悪化するなどの要因により回収不能となった場合又はその他賃貸人の理由により返還されない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 食材仕入について

近年、輸入食品による健康被害や、食品の偽装表示、あるいは牛肉の生食に起因する食中毒の発生等、消費者の「食の安全性」に対する信頼を損なう問題が頻発しております。当社グループでは、カラオケ事業・飲食事業における料理の提供に加え、介護事業においても給食を扱っており、安全な食材の安定的な確保に向けて、仕入先との一層の協力関係構築を行ってまいりますが、今後も同様の事件・事故が発生し、消費者の不安心理が高まるなどの事態が生じた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、天候不順や災害等の外的要因による米や野菜等の農作物の不作や、仕入先の環境変化等に伴う食材価格の高騰があった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(4) 衛生管理について

当社グループのカラオケ事業及び飲食事業の店舗は、食品衛生法の定めに基づいて、食品衛生管理者を置き、管轄保健所を通じて営業許可を取得しております。当社グループでは、各店舗における衛生管理に係るマニュアル等の整備及び従業員に対する教育指導の徹底に加え、外部の専門業者による各種衛生検査を定期的に実施するなど衛生対策の強化に努めておりますが、万一、当社グループの店舗にて、食中毒などの衛生問題が発生した場合は、一定期間の営業停止等の処分を受ける恐れがある他、企業イメージの低下による顧客離れが起こり得ることから、当社グループの事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 法的規制について

当社グループの運営する店舗には、福岡県における「青少年健全育成条例」をはじめとした、各都道府県の制定する規制を受けているものがあります。当社グループでは、法令遵守の観点のもと、顧客の年齢確認の実施及び不適切な飲酒・喫煙あるいは深夜帯利用の防止等に努めておりますが、万一、当社グループがこれらの規制に違反した場合には、当社グループへの信頼が損なわれ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、条例の改正等に伴い規制の強化がなされた場合には、事業展開上の制約が発生し、何らかの対応が必要になり得ることから、当社グループの事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

3.当社グループの営業地域について

当社グループは、各事業セグメントにおきまして、九州地区を中心に展開しております。これらのことから、現状において、九州地区における景気及び消費動向並びに高齢者人口の推移その他の影響を受けております。

また、当社グループの営業地域において地震・台風等の自然災害やその他大規模災害の発生や新型コロナウイルス感染症等が拡大した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

4.事業体制について

(1) 持株会社における管理体制について

当社グループは、持株会社形態を採用しており、持株会社である当社において事業子会社の経営指導を行うとともに各社の管理業務を集約・統括する体制を構築しております。

今後における事業展開及び拡大に際して、当該管理体制の一層の強化を図っていく方針でありますが、人材確保及び育成、各種管理機能の強化等に支障が生じた場合、当社グループの事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 労務管理について

当社グループにおいては、各事業の運営において多くの人員が必要であり、正社員及びパート・アルバイト等の臨時従業員を多く抱えております。また、介護事業及びカラオケ事業についてはともに24時間の就業体制が必要となることから、当社グループにおいては、これら事業運営に必要な人員の確保及び育成を図るとともに、労働関連法令を遵守した勤務形態・労働環境の確保及び管理に努めております。何らかの要因により問題が生じた場合には、当社グループの事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 顧客情報管理について

当社グループの介護事業及びカラオケ事業においては、顧客の個人情報を取り扱っております。これら個人情報の管理にあたっては、本社をはじめとする各事業所における書類の管理体制を強化、また、機微情報を含むデータについては、外部よりアクセスを遮断し、担当部門における一元管理を徹底するなど、細心の注意を払い、関連諸法令遵守に努め、情報漏洩防止に取り組んでおります。しかしながら、何らかの要因により顧客の個人情報が外部に漏洩する事態が発生した場合には、当社グループの情報管理能力に対する批判や責任追及を受ける恐れがある他、当社グループに対する顧客からの信頼が損なわれる可能性があり、当社グループの事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

5.経営成績及び財政状態について

(1) 介護施設の新規開設による影響について

介護事業における介護施設の新規開設については、開設後の入居者・利用者の獲得に相応の期間を有するものであり、開設後においては入居者数及び利用者数が一定水準に至るまでの期間において費用負担が先行する傾向があります。これらのことから、介護施設の新設は短期的には当社グループの利益を圧迫する場合もあり、また、新規施設において入居者及び利用者の獲得に長期間を要する又は困難となる状況が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 介護施設にかかわるオフバランススキームの活用について

当社グループは、介護施設にかかる設備投資負担を軽減させる一つの方法としてセールアンドリースバック取引を活用しております。代表的なスキームは、自社開発した介護施設を国内外投資ファンド等が出資するSPCへ売却すると同時にリースバックするものであります。

当社グループでは、このようなオフバランススキームの活用にあたり、会計士等専門家の判断を仰ぎ、その段階で適正と考えられる方式を採用しておりますが、会計基準の変更等、オフバランスが認められなくなる判断がなされた場合には、連結貸借対照表において介護施設及び未経過リース料の計上により総資産が増加し、自己資本比率が大幅に悪化する等、当社グループの財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 介護施設のオフバランススキームによる業績等への影響について

当社グループは、前述のとおり、介護施設に関してオフバランススキームを活用しております。

当該スキームによるリースバック取引については、自社保有時と比較して減価償却負担が軽減される一方で、施設賃借にかかるコストが発生し、介護施設にかかるコストは増加する傾向にあります。

当社グループは、今後も事業所展開や財政状態等を考慮の上で、当該オフバランススキームを活用していく方針でありますが、介護事業を取り巻く外部環境や契約相手先との売却及び賃借にかかる諸条件等の状況によっては当社グループが企図する対応が推進できる保証はありません。

 

(4) 有利子負債への依存について

当社グループは、介護事業における新規施設開設資金の一部、カラオケ事業及び飲食事業における出店資金、不動産事業における収益不動産の取得資金及び建築資金の多くを金融機関借入等により調達しております。2024年3月期連結会計年度末における連結有利子負債残高(注)は、13,637百万円であり、総資産額に占める比率は43.8%の水準であります。当社グループは、今後の新規施設・新規出店計画等においても、主として金融機関借入等による資金調達により賄う計画であり、今後において大幅な金利変動が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、金融情勢の変化その他により取引金融機関の当社グループに対する融資姿勢に変化が生じた場合には、出店計画及び事業展開等に影響を受ける可能性があります。

(注) 有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としています。

 

(5) 減損会計について

当社グループの各事業においては、事業環境の変化や経済的要因等により、事業所・店舗ごとの採算性が低下し損失計上が継続した場合には減損損失を認識する必要があり、当該状況により当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

6.訴訟リスクについて

当社グループの各事業においてサービス提供又はその他取引に関連して予期せぬトラブル・問題が生じた場合には、当社グループの契約不適合に関わらずこれらに起因する損害賠償を請求される、あるいは訴訟を提起される可能性があります。

これらの訴訟内容や損害賠償額及びその進展又は結果によっては、当社グループの経営成績及び財政状態並びに社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 経営成績の状況

当連結会計年度における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の分類が5類に移行されたことで徐々に経済活動の正常化が進み、景気は持ち直しの動きがみられましたが、地政学的リスク等による原材料価格・光熱費の高騰の影響により、依然として先行き不透明な状況が続いております。

このような経営環境下におきまして、当社グループでは、介護事業においてICTを活用することでDX化に努め、業務負担軽減およびサービスの質の向上に取り組んでまいりました。また、人的資本への投資として、社内認定資格の充実、研修プログラムの強化を図り、サービスの質の向上と併せて従業員の育成、定着率向上に取り組んでおります。

経費面におきましても、コスト削減を進めることで経営の効率化を行い業績の安定化を図りました。

この結果、当連結会計年度の売上高は28,842,902千円(前年同期比7.2%増)、営業利益は589,051千円(前年同期は営業損失798,868千円)、経常利益は1,189,389千円(前年同期は経常損失139,255千円)、親会社株主に帰属する当期純利益は213,915千円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失400,580千円)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 a. 介護事業

介護事業におきましては、介護付きホームを1カ所、デイサービスセンターを1カ所新規開設しております。また、小規模多機能型居宅介護、放課後等デイサービスをそれぞれ1カ所閉鎖しており、当連結会計年度末時点での営業拠点は120カ所197事業所となりました。

なお、当連結会計年度での既存施設の平均入居率は91.5%(前年同期既存平均入居率92.3%)と安定的に推移しました。

それらの結果、売上高は22,830,141千円(前年同期比6.4%増)、セグメント利益は1,585,512千円(同84.2%増)となりました。

 b. カラオケ事業

カラオケ事業におきましては、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の分類が5類に移行されたことにより行動制限が緩和されましたが、資源価格の高騰や円安の進行、物価高等による個人の節約志向が強まる中、売上高は回復基調にはありますが、深夜帯や二次会需要の低迷により緩やかな回復となりました。

それらの結果、売上高は4,940,141千円(前年同期比16.1%増)、セグメント損失は324,471千円(前年同期はセグメント損失769,497千円)となりました。

なお、当連結会計年度において新規開店を行っておらず退店を4店舗行ったことから、当連結会計年度末時点での店舗数は76店舗(前年同期80店舖)となりました。

   c.飲食事業

飲食事業におきましては、経済活動の正常化に伴いコロナ禍以前と比べ、完全な回復には至っておりませんが、順調な回復となりました。この結果、売上高は658,466千円(前年同期比31.9%増)、セグメント利益は18,255千円(前年同期はセグメント損失64,915千円)となりました。

なお、当連結会計年度において新規出店を1店舗、退店を1店舗行ったことにより、当連結会計年度末時点での店舗数は10店舗となりました。

   d.不動産事業

不動産事業におきましては、当連結会計年度においては、販売用不動産の売買及び賃貸不動産の仲介業務等を中心に行っております。前連結会計年度に投資した賃貸用不動産及び収益不動産が、堅調に収益を確保することができており、今後も当該事業においては情報収集の強化と積極的な展開を検討してまいります。

この結果、売上高は350,270千円(前年同期比33.6%減)、セグメント利益は128,628千円(同12.1%減)となりました。

 

   e.その他

その他におきましては、前連結会計年度より有料職業紹介事業の許可の取得および特定技能外国人材の支援業務の委託を受けることができる登録支援機関として登録されたことにより、有料職業紹介事業において外部への特定技能外国人材の紹介および登録支援機関として支援業務に注力しております。

また、グループ内の特定技能外国人材の支援業務についても内製化することでコスト削減に取り組んでおります。

この結果、売上高は63,882千円(前年同期比62.5%減)、セグメント利益は38,088千円(前年同期はセグメント損失97,572千円)となりました。

 

② 財政状態の状況

当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末と比べ1,055,468千円増加し、31,123,160千円となりました。

流動資産は、前連結会計年度末より1,468,549千円増加し、14,996,786千円となりました。主な要因は、現金及び預金が1,312,200千円、売掛金が140,042千円、有価証券が100,000千円増加し、販売用不動産が62,349千円減少したこと等によるものです。

固定資産は、前連結会計年度末より413,081千円減少し、16,126,374千円となりました。主な要因は、建物及び構築物が144,139千円、土地が156,304千円、その他(投資その他の資産)が84,027千円減少したこと等によるものです。

当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末と比べ950,641千円増加し、18,755,950千円となりました。

流動負債は、前連結会計年度末より927,197千円増加し、9,263,470千円となりました。主な要因は、買掛金が67,934千円、未払法人税等が514,354千円、その他(流動負債)が359,703千円増加したこと等によるものです。

固定負債は前連結会計年度末より23,443千円増加し、9,492,480千円となりました。主な要因は、資産除去債務(固定負債)が94,382千円増加し、繰延税金負債が67,498千円減少したこと等によるものです。

当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末より104,827千円増加し、12,367,209千円となりました。主な要因は、その他の包括利益累計額が71,157千円増加したこと等によるものです。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて1,039,159千円増加し、10,093,700千円となりました。

各キャッシュ・フローの状況については下記のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は1,986,306千円(前年同期は7,277千円の収入)となりました。収入の主な内訳は税金等調整前当期純利益が820,597千円、減価償却費の計上が645,639千円、減損損失の計上が524,056千円であり、支出の主な内訳は法人税等の支払額が246,202千円であります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、708,820千円(前年同期は2,591,997千円の支出)となりました。支出の主な内訳は有形固定資産の取得による支出が862,704千円、定期預金の預入による支出が825,575千円であり、収入の主な内訳は有形固定資産の売却による収入が362,921千円、定期預金の払戻による収入が564,488千円であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は、255,610千円(前年同期は20,177千円の支出)となりました。支出の主な内訳は長期借入金の返済による支出が3,265,832千円、配当金の支払額が193,800千円であり、収入の主な内訳は、長期借入れによる収入が3,327,000千円であります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績

該当事項はありません。

 

b. 受注実績

該当事項はありません。

 

c. 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高

(千円)

前年同期比(%)

介護事業

22,830,141

6.4

カラオケ事業

4,940,141

16.1

飲食事業

658,466

31.9

不動産事業

350,270

△33.6

その他

63,882

△62.5

合計

28,842,902

7.2

 

(注)1  セグメント間取引については相殺消去しております。

2  当連結会計年度のその他は、介護事業・カラオケ事業・飲食事業・不動産事業以外の合計であり、株式会社ウチヤマホールディングスの有料職業紹介事業、特定技能外国人材等への支援業務及び合弁会社PT. Sawayaka Fujindo Indonesiaの職業訓練事業等が該当します。

3  前連結会計年度及び当連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

福岡県国民健康保険団体連合会

4,814,280

17.9

4,883,777

16.9

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

 ① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績等は、以下のとおりであります。

a.経営成績の分析

(売上高)

売上高につきましては、28,842,902千円(前年同期比7.2%増)となりました。介護事業におきましては、前期開設した施設の入居者が増加したこと、また当期において介護付きホームを1カ所等の新規施設開設を行ったことにより、売上高は順調に推移いたしました。カラオケ事業及び飲食事業におきましては、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の分類が5類に移行されたことにより行動制限が緩和され、前年同期の売上高を上回りました。

セグメントごとの経営成績の状況に関する認識並びに分析・検討内容は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載のとおりであります。

(売上総利益)

売上総利益につきましては、エネルギー価格の高騰に伴い光熱費及び原材料価格の高騰等により厳しい環境が続いておりますが、売上高が順調に推移したことにより2,102,119千円(前年同期比178.5%増)となりました。

(営業利益)

販売費及び一般管理費につきましては、コスト削減を進めた結果、1,513,067千円(前年同期比2.6%減)となりました。主な内容は人件費及び租税公課となります。この結果、営業利益は、589,051千円(前年同期は営業損失798,868千円)となりました。

(経常利益)

営業外収益につきましては、受取保険金及び補助金収入が減少したことにより、721,018千円(前年同期比12.0%減)となりました。営業外費用につきましては、災害損失が減少したことにより、120,680千円(前年同期比24.5%減)となりました。この結果、経常利益は、1,189,389千円(前年同期は経常損失139,255千円)となりました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

特別利益につきましては、前連結会計年度より助成金収入が減少したことにより、192,209千円(前年同期比33.8%減)となりました。特別損失につきましては、介護事業において5施設、カラオケ事業において52店舗、飲食事業において6店舗、不動産事業において賃貸等不動産1物件等の減損損失を計上したことから、561,001千円(前年同期比108.7%増)となりました。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、213,915千円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失400,580千円)となりました。

 

b.財政状態の分析

当連結会計年度の財政状態につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載のとおりであります。

 

 ② 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況  3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

 

 ③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フローの状況の分析

当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

なお、当社グループのキャッシュ・フロー関連指標の推移は次のとおりであります。

 

2020年3月

2021年3月

2022年3月

2023年3月

2024年3月

自己資本比率(%)

54.3

46.0

42.1

40.8

39.7

時価ベースの自己資本比率(%)

20.9

25.5

20.6

17.4

23.0

キャッシュ・フロー対有利子
負債比率(年)

3.2

7.8

1,878.4

6.9

インタレスト・カバレッジ・
レシオ(倍)

49.8

28.5

0.1

33.0

 

自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利息の支払額

(注) 1 いずれも連結ベースの財務数値により計算しています。

2 キャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローを利用しています。

3 株式時価総額は、期末株価×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。

4 有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としています。

5 2021年3月期の営業キャッシュ・フローがマイナスのため、キャッシュ・フロー対有利子負債比率並びにインタレスト・カバレッジ・レシオは算定しておりません。

 

b.資本の財源及び資金の流動性に関する情報

当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、当連結会計年度におきましては、1,018,465千円の設備投資を行い、その主なものは、介護事業における介護施設の新設によるものです。これらの設備投資においては、借入金及び自己資金等で賄っております。また、資金の流動性については、当連結会計年度における流動比率は、161.9%となっており、今後、十分な流動性を確保するために、比率を高めてまいります。

 

 ④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

 ⑤ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成の状況を判断するための客観的な指標

当社グループは、2022年5月19日に公表した「中期経営計画」(2023年3月期~2025年3月期の3ヵ年)において「成長戦略」をこれからのテーマの中心におき、既存事業の充実に加えて、介護事業を中心としたM&Aや、新規事業の開発などを積極的に検討し、将来の企業の成長に向けての体制強化に取り組んでおります。

ただし、ワクチン接種の進行により経済活動への制限は徐々に緩和されておりますが、新型コロナウイルス感染症の影響は今後も一定期間継続するものの、売上高は徐々に回復すると見込んでおります。そのような環境下にあるため、財務目標としては、2025年3月期においてROEは6.6%以上を確保できるよう努めてまいります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

当社グループの介護事業にかかる介護施設については、当社連結子会社である株式会社さわやか倶楽部が家主より賃借する形態があるほか、同社が自社開発した介護施設を国内外投資ファンド等が出資するSPCへ売却すると同時に賃貸借契約を締結しリースバックを行う形態があります。

また、同社所有の介護施設について、信託会社もしくは信託銀行との信託契約により取得した信託受益権をSPCに譲渡すると同時に、信託会社等との間で賃貸借契約を締結しリースバックを行う形態も活用しております。

当連結会計年度末現在において、SPCもしくは信託会社、信託銀行等と当社グループの介護施設が締結している賃貸借契約は以下のとおりであります。

なお、これら賃貸借契約における契約期間は20年間(当該期間終了後は10年間の延長が可能)の長期契約であり、賃料は主に2年~5年ごとに協議の上で改定することとしております。また、各スキームにおいて関連するSPCに対する当社グループの出資はありません。

 

(1)当連結会計年度に新たに締結した介護施設のセールアンドリースバック取引にかかる賃貸借契約の締結について

 該当事項はありません。

 

(2) 当連結会計年度以前にセールアンドリースバック取引を行った介護施設の現在の賃貸借契約の状況について

賃貸人

施設名

契約期間

ヘルスケア&メディカル投資法人

さわやか立花館

2008年1月30日~2028年1月29日

ヘルスケア&メディカル投資法人

さわやか和布刈館

2008年1月30日~2028年1月29日

ヘルスケア&メディカル投資法人

さわやか田川館

2008年1月30日~2028年1月29日

合同会社SAMURAI

さわやか桜館

2010年6月9日~2030年6月8日

合同会社SAMURAI

さわやか大畠壱番館

2010年6月9日~2030年6月8日

合同会社SAMURAI2

さわやか直方館

2010年6月9日~2030年6月8日

合同会社SAMURAI3

さわやか新門司館

2010年6月9日~2030年6月8日

合同会社SAMURAI5

さわやか大畠弐番館

2010年6月9日~2030年6月8日

合同会社SAMURAI4

さわやか福ふく館

2011年1月21日~2031年1月20日

合同会社SAMURAI6

さわやか東神楽館

2012年3月6日~2032年3月5日

合同会社SAMURAI7 

さわやか新居浜館

2013年9月30日~2033年9月29日

合同会社SAMURAI7 

さわやかシーサイド鳥羽

2013年9月30日~2033年9月29日

合同会社SAMURAI8

さわやか清田館

2013年9月30日~2033年9月29日

合同会社SAMURAI8

さわやか和布刈弐番館

2013年9月30日~2033年9月29日

合同会社SAMURAI8

さわやかみなと館

2013年9月30日~2033年9月29日

合同会社
ジーテン・ジャパン・ワン

さわやか大畠参番館

2014年9月11日~2034年11月30日

合同会社
ジーテン・ジャパン・ワン

さわやかリバーサイド栗の木

2014年9月11日~2034年11月30日

大和証券リビング投資法人

さわやか日の出館

2014年9月11日~2034年11月30日

大和証券リビング投資法人

さわやか海響館

2014年3月28日~2034年3月27日

大和証券リビング投資法人

さわやか鳴水館

2014年3月28日~2034年3月27日

大和証券リビング投資法人

さわやかはーとらいふ西京極

2014年3月28日~2034年3月27日

 

 

賃貸人

施設名

契約期間

ケネディクス不動産投資顧問
株式会社

さわやか桜弐番館

2013年3月27日~2033年3月27日

 

LyciaML合同会社

さわやか野方館

2010年6月9日~2030年6月8日

LyciaML合同会社

さわやかパークサイド新川

2012年3月6日~2032年3月5日

LyciaML合同会社

さわやか枚方館

2012年3月6日~2032年3月5日

LyciaML合同会社

さわやかなんよう館

2015年2月26日~2035年2月25日

LyciaML合同会社

さわやか成田館

2015年2月26日~2035年2月25日

LyciaML合同会社

さわやかリバーサイド西脇

2015年2月26日~2035年2月25日

LyciaML合同会社

さわやか室蘭館

2015年9月30日~2035年9月29日

LyciaML合同会社

さわやか行橋弐番館

2015年12月25日~2035年12月24日

イシカリML Trust合同会社

さわやか笠寺館

2016年3月31日~2036年3月30日

イシカリML Trust合同会社

さわやかなすしおばら館

2016年3月31日~2036年3月30日

イシカリML Trust合同会社

さわやか柏館

2017年12月21日~2037年12月20日

株式会社SMBC信託銀行

さわやかシーサイドくきのうみ

2018年3月29日~2038年3月28日

株式会社SMBC信託銀行

さわやかいなざわ館

2018年12月7日~2038年12月6日

株式会社SMBC信託銀行

さわやかおかざき館

2018年12月7日~2038年12月6日

株式会社SMBC信託銀行

さわやかひがしおおさか館

2019年3月28日~2039年3月27日

株式会社SMBC信託銀行

さわやかひめじ館

2019年3月28日~2039年3月27日

 

 

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。