第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは経営の基本理念に『木を活かし、よりよい暮らしを』を掲げ、地球、社会、人との共生を通じて、豊かで持続可能な社会の実現に貢献する企業であり続けることを目指しております。

「持続可能な森林の木を使う」「木を無駄なく使う」「木を循環して使う」という3つの循環の輪に沿った事業を展開するとともに、地球環境に配慮した製品を開発することにより、社会課題の解決に貢献してまいります。

また、すべての世代の安全と使い勝手に配慮した製品を提供することにより、豊かな住環境を創造するとともに、国際社会の一員として国や地域の多様性を尊重し、雇用の確保や製品の提供等を通じて地域社会の発展に貢献することで、ステークホルダーの皆様に報いてまいりたいと考えております。

 

(2)目標とする経営指標

当社グループは事業の継続性とともに、株主に対する安定配当を持続するためにも収益の確保が最も重要と考え、売上高を増大させながら売上高経常利益率を高めることにより、収益基盤を強化してまいります。

当面の経営指標として売上高経常利益率3%以上を目標とし、業容拡大に取り組んでおります。

 

(3)経営環境

今後のわが国経済は、雇用・所得環境が改善するなか、国内経済は各種政策の効果によって緩やかな回復基調を維持するものの、過度な為替変動や地政学リスクの高まり、海外経済の下振れ懸念など、景気を下押しするリスクに留意が必要な状況が続くと見ております。

住宅業界におきましては、政府による住宅取得支援策が引き続き住宅需要を下支えするものの、住宅価格の上昇や住宅ローン金利の先高観により住宅取得マインドが低下しており、建築コストの上昇が住宅需要を抑制する状況にも大きな変化が見られないことから、新設住宅着工戸数は低調な推移が続くと考えております。さらに、人口減少や単身世帯の増加といった構造的な問題は残されており、特に少子化は当初の想定より速いペースで進行しております。こういった状況を踏まえると、住宅需要の早期回復は困難な状況にありますが、一方では、住宅内装部材においては住宅購入者の年齢層や世帯構成、ライフスタイル等によりニーズの多様化が進んでおり、それらの需要を取り込むための製品開発は、当社グループが事業を拡大するうえで引き続き重要なポイントになると考えております。

このような状況の中、住宅内装部材メーカー各社は、最新のトレンドを反映した色柄やデザイン、機能を取り入れた新製品開発を強化し、新製品の市場投入サイクルを短縮するとともに、生産拠点においては生産能力の強化を図ってきました。こういった企業間の熾烈な競争によって住宅内装部材の需給バランスは供給過多の状況が続いており、原材料や資源・エネルギー価格が高騰、高止まりする昨今の状況においては、想定した期間内に販売価格の改定を浸透させることが難しくなっております。

 

(4)経営計画、経営戦略及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループは、2018年9月の台風被災により大きく悪化した業績を立て直すため、中期経営計画「EIDAI Advance Plan 2023」を策定し、各施策に取り組んでまいりましたが、新型コロナウイルスの感染拡大、ウッドショックといった外部環境の変化への対応が遅れたことから目標達成には至らず、収益力が大きく低下し、業績はさらに悪化する結果となりました。2024年3月期は、主力の住宅資材事業において高付加価値製品の販売拡大に取り組むとともに、適正な販売価格への改定が徐々に市場に浸透した効果もあり、6期ぶりに営業黒字を計上いたしましたが、当社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現するためには、安定した経営基盤の構築と収益力の強化が喫緊の課題と改めて認識しております。一方、2023年2月以降、当社において2件の重大事故が発生するなど、安全衛生管理面の課題が浮き彫りとなりました。このような事故を再発させないよう、全ての従業員が安全に業務を行うことができる職場環境の整備についても課題認識をしております。

当社グループではこのような現状を踏まえ、物流・運送業や建設業における「2024問題」により、物流コストの上昇や建設業の人手不足が顕在化する状況においても、確実に利益を計上することができるよう安定した経営基盤の構築と収益力の強化を図るため、2025年3月期を初年度とする新たな中期経営計画「EIDAI Advance Plan 2026」を策定いたしました。

 

(3)経営環境に記載のとおり、当社グループを取り巻く環境は厳しさを増しておりますが、当社グループでは、お客様にご満足いただける製品品質の維持向上と併せて、資材の安定調達と製品の安定生産、安定供給に引き続き取り組んでまいります。これらの取組を前提として、主力の住宅資材事業では、更なる製造原価の低減や販売価格の適正化、販売構成の改善により収益性の改善を図るとともに、多様なニーズを取り入れた製品開発とライフスタイルの変化に合わせた製品の拡充を図り、SNSを含めたより効果的な販売促進策を通じて、販売拡大に努めてまいります。さらに、リフォーム需要の獲得や非住宅分野での販売を強化することにより、新築依存からの事業構造の転換を進め、事業領域の拡大と収益力の強化を図ります。

また、連結子会社であるENボード株式会社の事業を早期に軌道に乗せることが喫緊の課題と認識しております。同社のパーティクルボードを、グループ外から調達している合板などの木質材料の代替として住宅資材事業の製品へ積極的に採用するなど、材料から製品までを一貫して生産できる体制を構築し、調達コストと製品供給の安定化を図ってまいります。一方、構造用やフローリング基材用のパーティクルボードは、合板の代替として需要の拡大が見込まれているため、最新鋭の設備を駆使して生産した高品質なパーティクルボードを提案することにより、新たな販売先を開拓してまいります。さらに、パーティクルボードの新たな用途開発を推進し、住宅資材と木質ボードの両事業の相乗効果により、業績と企業価値の向上に取り組んでまいります。

 

<基本方針>

 当社は、「木を活かし、よりよい暮らしを」という基本理念のもと、地球・社会・人との共生を通じて豊かで持続可能な社会の実現に貢献する企業であり続けることを目指しております。さらに、健全で透明性の高い経営とステークホルダーから信頼される事業活動を通じて、サステナビリティを巡る課題に積極的に取り組み、持続可能な社会の実現に貢献するとともに、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に努めてまいります。

 

<数値目標>

 ①当社グループの目標

 

単位

2023年3月期

(実績)

2024年3月期

(実績)

2025年3月期

(計画)

2026年3月期

(計画)

2027年3月期

(計画)

売上高

(百万円)

69,787

71,665

72,000

74,500

76,500

営業利益

(百万円)

△1,143

368

250

800

1,000

経常利益

(百万円)

△1,309

321

50

600

800

親会社株主に帰属する当期純利益

(百万円)

△1,104

3,219

200

500

550

EBITDA(注)

(百万円)

1,473

3,830

3,850

4,500

4,750

売上高経常利益率

(%)

-

0.4

0.1

0.8

1.0

ROE

(%)

-

7.6

0.6

1.4

1.5

PBR

(倍)

0.24

0.29

0.29

0.29

0.34

(注)EBITDA=税金等調整前当期純利益に特別損益、支払利息および減価償却費を加算した値です。

 

 ②資本政策・収益計画の基本方針

  1)資本政策の基本方針

資本政策の基本方針は、株主価値の持続的成長を目指し、事業拡大の機会を迅速、確実に捉えるために必要となる十分な株主資本の水準を保持するとともに、安定した配当を確保しつつ、自己株式の取得を必要に応じて検討することとしております。

 

  2)収益計画に関する目標

2018年9月の台風被災以降は業績の低迷により、株価、ROEともに低い水準で推移しており、PBRは1倍を下回る状況が続いております。当社グループは、中期経営計画の達成による収益力強化を図り、ROE、PBRの向上に努めてまいります。

なお、収益力に関する目標につきましては、将来的に売上高経常利益率3%以上を目指してまいります。

 

<重点施策>

(5つの重点施策(5つの柱))

① 安全についての取り組み

 2023年の2件の重大事故を教訓とし、二度とこのような事故を再発させないよう、グループ一丸となって、従業員の安全意識の高揚を図るとともに、全ての従業員が安全に業務を行えるよう職場環境整備を推進してまいります。

 

② お取引先様及びエンドユーザー様にご満足いただける製品品質とサービスの提供

 当社では、設計、製造から販売に至るまで、「お取引先様及びエンドユーザー様にご満足いただくこと」を最優先とし、お客様の声に耳を傾け、各施策を実行し、製品品質とサービスを高め、供給責任を果たすことにより、さらなる信頼の向上に努めてまいります。

 

③ 住宅資材事業でのシェアアップと新設住宅着工戸数に依存しない事業構造への転換

  1)住宅分野でのシェアアップ

今後も新設住宅着工戸数は低水準での推移が見込まれますが、当社の主力である住宅分野においては、多様なニーズを取り入れた製品開発とライフスタイルの変化に合わせた製品の拡充に取り組み、効果的な販売促進策を通じて、これまで以上のシェアアップと売上の拡大を図ってまいります。

 

  2)新設住宅着工戸数に依存しない事業構造への転換

グローバルリスクによる市況の悪化、さらには人口減少や世帯構成の変化といった構造的な要因により、新設住宅着工戸数は低水準での推移が見込まれますが、当社のさらなる売上の拡大と将来の事業基盤を強固なものとするため、各施策を実行することにより、事業構造の転換を加速し、事業領域の拡大と収益力の強化を図ってまいります。

 

④ 木質ボード事業の強化、拡大及び住宅資材事業との相乗効果の発揮

 ENボード株式会社の事業計画を必達させるとともに、同社を最大限に活用し、各施策を通じて、木質ボード事業の拡大と収益向上を図ってまいります。

 

⑤ サステナブル経営の推進

 「木を活かし、よりよい暮らしを」という基本理念のもと、健全で透明性の高い経営とステークホルダーから信頼される事業活動を通じて、サステナビリティを巡る課題に積極的に取り組み、持続可能な社会の実現に貢献するとともに、中長期的な企業価値の向上に努めてまいります。

 

なお、中期経営計画の詳細につきましては、当社ウェブサイトに掲載しております。

(参考URL https://www.eidai.com/profile/ir/management.html

 

注)経営計画等の将来に関する記述は、当社が現在入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、その達成を約束する趣旨のものではありません。また、実際の業績等は様々な要因により大きく異なる可能性があります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)基本的な考え方

まず、当社グループの事業の特性として、木質ボード事業の製造拠点においては、国内で発生する建築解体材を主原料としてパーティクルボードに再生していることから、事業活動そのものがマテリアルリサイクルに直結していると考えております。さらに、当社グループが生産する素材パーティクルボードは、住宅や建築物の構造材として耐力壁や床・屋根下地材に、また、表裏に化粧材をラミネートした化粧パーティクルボードは、室内ドアやシューズボックスといった住宅の内装部材に広く使用されております。このため、建築解体材には当社グループが製造・販売した製品が含まれており、これらを主原料としてパーティクルボードに再生する木質ボード事業は、「木材資源を無駄なく利用する」「木材資源の循環を促し、再利用する」という環境に配慮したビジネスモデルとなっております。一方、脱炭素化に資する木材資源の活用が叫ばれる中、2050年のカーボンニュートラルの実現に貢献するために法改正が行われた結果、木材利用促進の対象が公共建築物等から民間建築物を含めた建築物一般に拡大されました。その中で、森林資源の循環利用を進めることが示されており、建築解体材から再生されるパーティクルボードの利用拡大は、こういった国の政策の方向性とも一致しております。

以上のような事業の特性を踏まえ、当社は「木を活かし、よりよい暮らしを」という基本理念に則り、地球・社会・人との共生を通じて豊かで持続可能な社会の実現に貢献する企業であり続けることを目指しており、以下のとおり、サステナビリティ基本方針を制定しております。

 

<サステナビリティ基本方針>

永大産業は、「木を活かし、よりよい暮らしを」という基本理念のもと、健全で透明性の高い経営とステークホルダーから信頼される事業活動を通じて、サステナビリティを巡る課題に積極的に取り組み、持続可能な社会の実現に貢献するとともに、中長期的な企業価値の向上に努めてまいります。

 1)社会・環境問題の解決につながる製品・サービスを通じて新たな価値を創造し、持続可能な社会の実現に貢献します。

 2)事業特性を活かした木材資源の循環的な利用や持続可能な木材調達を推進し、廃棄物の削減や再利用の推進、温室効果ガスの排出抑制など、環境負荷の低減に取り組みます。

 3)ステークホルダーとの対話を尊重し、対話を通じて得られた課題を事業活動に取り入れ、持続可能な社会の実現と企業価値の向上に努めます。

 4)地域社会とのコミュニケーションを積極的に図り、良き企業市民として社会貢献活動を通じて、地域社会の活性化や豊かな生活環境づくりに貢献します。

 5)性別や国籍など個人の属性に関係なく人財の多様性を尊重し、すべての役職員が安全・健康で働きやすい企業風土の醸成に取り組みます。

 6)法令や社会規範を遵守し、取引関係においては健全な商慣習に従い、適切な条件のもとで取引を行い、あらゆる形態の腐敗の防止に努めます。

 

(2)ガバナンス

当社グループは、気候変動を含む様々なサステナビリティ課題への対応を経営の重要課題と捉え、事業管理部及び経営管理部が主体となって社内外の情報を収集したうえで当社の課題を具現化し、それぞれの実行部門の活動を活性化するとともに、取締役会がこれらの活動の監視、監督、決議を行うガバナンス体制としております。

 

(3)リスク管理

当社グループは、リスクが顕在化した際の対応によっては企業経営の根幹に影響を及ぼす恐れがあるため、リスク管理は経営の重要課題と認識しております。経営危機が発生した際の会社の対応や当社グループのあらゆるリスクに備えた損失の未然防止と発生時の被害を極小化させることを目的として「経営危機管理規程」を制定しております。さらに、代表取締役社長が委員長を務める「生産・物流システム改革委員会」においてリスク管理における重要な意思決定を行っており、必要に応じて取締役会に報告する体制としております。

 

(4)戦略

当社グループは、2050年までにカーボンニュートラルを目指すという政府の目標を踏まえ、科学的根拠に基づいた目標設定を行ったうえで、グループ全体で温室効果ガスの排出量の削減に向けた取組を推進するため、SBT(Science Based Targets)認定に向けた申請を完了しております。

 

(5)指標及び目標

当社グループは、前述のSBT認定に向けた申請において温室効果ガスの排出量の算定とスコープごとの目標設定を行っておりますが、現時点では審査中であるため、現在は目標達成に向けた削減策の検討を進めております。

 

(6)人的資本への投資に関する取組

当社グループは、人的資本への投資に関して、従業員が生むアイデアが企業に利益をもたらすという、いわば従業員を人的資本と捉え、適切に投資するという考え方を大切にしております。一方、今後の市場変化に対応し、持続的な成長に挑戦できる組織を実現するためには、経営・マネジメント人材の多様化を図る必要があると考えております。当社グループはこういった観点から、下記のとおり人材育成方針及び社内環境整備方針を策定しており、教育制度の充実やキャリア形成の支援等を通じて、企業価値の向上に貢献する人材の確保、育成に取り組んでまいります。

また、現在、外部の専門家によるアドバイスを受け、新たな人事戦略の策定に取り組んでおり、従業員のみならず当社グループへの入社を検討している方々にもより魅力を感じて頂ける職場となることを目指してまいります。

なお、人的資本への投資に関連する指標につきましては、「5 従業員の状況 (4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異」に記載しております。

 

 <人材育成方針>

従業員がお互いに共感できる価値観や課題をもち、連帯感の強い組織づくりを目指します。社内の各分野においては、プロ意識と専門性を持った人材育成を図り、役割・責任・実力・成果等に見合った評価制度と報酬制度の運用を図ります。また、従業員各人のキャリア自律を尊重し、自己成長を支援する施策に継続的に取り組みます。これらの取組みにより、働く場としての魅力を高め、優秀な人材の確保と定着に努めます。

 

 <社内環境整備方針>

    1)ダイバーシティ

今後の市場変化に対応し、持続的な成長に挑戦できる組織を実現するためには、経営・マネジメント人材の多様化を図ります。人材に対して多様性・公平性・包括性を取り入れ、公平な機会のもと互いに尊重し合い、力を発揮する環境を目指します。

    2)健康・安全

従業員の心身の健康・安全への配慮に努め、定期的にリスクを抽出する仕組みによる問題発生の予防と問題発生時に迅速に対応・改善できる組織体制づくりを推進します。

    3)労働慣行

従業員を最重要のステークホルダーと位置付けて、労使間の円滑なコミュニケーションにより、協調的な労使関係の維持に努めます。

    4)コンプライアンス/倫理

企業行動憲章を制定し、コンプライアンスに対する考え方や基本姿勢を社内外に宣言しています。また、グループ全体でコンプライアンスを推進するため、マニュアルを定めて、役員や従業員の果たすべき役割を明示しているほか、推進体制や従業員等からの相談または通報に対して適正な処理の仕組みを定めています。

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。また、当社グループとして必ずしも事業上のリスクと考えていない事項についても、当社グループの事業活動を理解いただくうえで重要と考えられる事項については、積極的な情報開示の観点から記載しております。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 新設住宅着工戸数について

当社グループは住宅用の木質建材と内装部材及び設備機器の製造販売を主たる事業としているため、当社グループの売上は新設住宅着工戸数の増減に強い影響を受けます。新設住宅着工戸数は景気動向、金利動向、税制変更等に左右されやすく、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、文教施設や宿泊施設、医療施設等の非住宅分野や安定した需要が見込まれているリフォーム分野に対する販売を強化し、新設住宅着工戸数に依存しない事業構造への転換に取り組んでおります。

 

(2) 原材料価格と為替相場の変動について

当社グループはフローリング用基材となる合板の一部や接着剤の原材料等を海外から調達しております。これらは国際市場価格及び為替相場の変動に大きく影響され、かつ、仕入先の切り替えが困難なものや、特定少数の仕入先から入手せざるを得ないものもあります。また、原油価格の高騰は接着剤などの価格を押し上げる要因となります。これらの動向によっては、生産に必要な原材料が十分に調達できなくなる可能性や、調達に多額の資金が必要になるなど、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、主力製品であるフローリングの基材については、国産材化を積極的に進めるとともに、パーティクルボードの活用に向けた研究開発を進めており、国際市場価格の高騰や為替相場の変動が業績に及ぼす影響を抑制するよう努めております。

 

(3) 価格競争激化による販売価格低下の影響について

新設住宅着工戸数は、今後も人口減少や世帯構成の変化といった構造的な要因等により、さらに減少していくことが見込まれます。縮小するマーケットにおいては、販売先であるハウスメーカー等の価格競争は熾烈を極め、住宅資材メーカーにおける受注競争も激化することが考えられます。こういった状況は当社の販売価格の下落圧力となり、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、長年培ってきた木質材料の加工技術を活かした競争優位性のある新製品を市場に投入することにより、販売価格の下落リスクを抑制するよう努めております。

 

(4) 製品の品質問題について

当社グループの製品において、製品事故の発生や製品の品質上の問題、とりわけ、製造物責任の対象となる製品の欠陥に起因する損害に対しては、当社グループのブランド価値の低下を招くとともに、損害賠償請求の発生など、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、中期経営計画の基本方針の1つに「お取引先様及びエンドユーザー様に満足いただける製品品質とサービスの提供」を掲げており、検査の自動化や二次元コードの活用による誤配送の防止に取り組むなど、生産から販売に至る各プロセスにおいて品質管理体制の徹底強化を図っております。

 

(5) 自然災害等について

大地震等の大規模な自然災害が発生した場合は、生産活動の停止や配送の遅延、また、損害を被った事業所や保有設備の復旧等に多額の費用が発生し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

とりわけ、近年は大型台風の襲来や大規模な地震の発生が相次ぐなど、自然災害のリスクが高まっております。当社グループにおきましても、2018年の台風被災により当社大阪事業所(堺市西区)が極めて甚大な被害を受け、全面的な復旧に長期間を要したため、業績が大きく悪化しました。当社グループでは、このような状況を二度と発生させないため、台風被災の影響を詳細に分析し、事業継続計画の刷新、生産拠点の複数化、物流・情報システムの改革を推し進めることにより、事業継続態勢の強化を図っております。

 

(6) 法的規制等について

当社グループの事業に関係する法規制には、建築基準法や住宅品質確保促進法、個人情報保護法など様々な規制があり、関係する法規制の改廃や新たな法規制の制定が行われた場合、さらには、物流・運送業における2024問題のように、当社グループのサプライチェーンを構成する企業が法規制強化の対象となった場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、関係する法規制の動向を注視し、改廃時には社内で情報共有を行うなど、事業運営の中でこれらの法規制の遵守に努めております。

 

(7) 情報セキュリティについて

当社グループが事業活動を継続していくなかで、予測できないコンピュータウイルスの侵入等により、情報が外部に漏洩した場合、損害賠償等の発生や当社グループのブランド価値の低下を招くなど、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、情報セキュリティ規程をはじめとする社内規程を整備し、従業員等への教育を徹底しております。さらに、情報セキュリティ規程を補完するパソコンや電子メール、インターネット等の利用基準を制定するなど、情報管理の強化を図っております。

 

(8) 重篤な感染症の流行について

重篤な感染症流行時における対策は講じていた場合であっても、感染症による被害は完全に回避できるものではなく、想定規模を超える被害発生時には当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、重篤な感染症の流行に際しては、感染拡大を防止するために社内ガイドラインを制定し、全従業員に周知しております。感染症の拡大状況によっては、政府及び地方自治体からの様々な要請が想定されますが、必要に応じて国内外の出張禁止、不要不急の外出の自粛、在宅勤務や時差出勤の拡大、Web会議の活用などの取組を実施し、感染リスクの低減に努めることとしております。

 

(9) 気候変動に関する規制について

地球温暖化対策をはじめとする気候変動を抑制するための法令等が強化されることにより、当社グループの事業活動において燃料や諸資材の置換、さらには設備の更新等の対応費用が増加した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、住宅内装部材の素材から製品に至るまで幅広い事業を展開するとともに、環境に配慮した製品開発を推進しております。素材であるパーティクルボードの製造においては、不用となった木質製品のマテリアルリサイクルを行っており、フローリングをはじめとする製品の基材にはサステナブルな森林資源を使用するなど、木を活かした製品づくりを通じて環境問題に取り組み、社会課題の解決に貢献する事業を展開しております。

 

(10)固定資産の減損損失について

固定資産について減損会計を適用しており、固定資産の減損に係る会計基準により、定期的に減損損失の認識、測定を行っておりますが、将来の環境変化により将来キャッシュ・フロー総額が減少した場合には、減損損失を計上することとなり、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、設備投資をはじめとする固定資産の取得に際しては、費用対効果を厳格に精査したうえで、投資判断を行っております。

 

(11)繰延税金資産の取崩について

当社グループでは、将来発生し得る課税所得の時期及び金額を合理的に見積り、未使用の税務上の繰越欠損金および将来減算一時差異のうち回収可能と判断される金額を繰延税金資産として計上しております。実際に発生した課税所得の時期及び金額が見積りと異なった場合には、繰延税金資産の取崩を行うこととなり、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)継続企業の前提に関する重要事象等について

当社グループは、前連結会計年度において5期連続で営業損失を計上したことにより、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在していると認識しておりました。

当該事象を解消すべく、当社グループは、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4) 経営計画、経営戦略及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載の<基本方針>を実行するとともに、全社を挙げて生産性の向上や経費削減の取組、また、適正な販売価格への改定を行った結果、当連結会計年度において、368百万円の営業利益を計上しており、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象又は状況は解消したものと判断しております。

 

(13)ウッドショックについて

木材の需要と供給のバランスが崩れることによって国内の木材価格が高騰するウッドショックは、直近では世界的に木材需要が異常に高まり、流通量が減少した2022年3月期から顕在化し始め、2023年3月期も木材を主要材料とする企業の業績に大きな影響を及ぼしました。ウッドショックは、国内の木材価格の高騰や新設住宅着工戸数の減少に直結するため、影響が長期化した場合は、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、急激な原材料価格の高騰に対しては、生産性の改善など様々な手法によるコスト低減に加え、原材料価格の高騰に見合った販売価格の改定をお客様にお願いすることにより業績に及ぼす影響を抑制するよう努めております。さらに、ENボード株式会社の高品質なパーティクルボードを、グループ外から調達している合板などの木質材料の代替として住宅資材事業の製品へ積極的に採用するなど、材料から製品までを一貫して生産できる体制を構築し、調達コストと製品供給の安定化を図ってまいります。

 

(14)重大事故の発生について

当社グループは、安全衛生管理を最重要課題として捉え、安全及び衛生管理の徹底を図り、事故の未然防止に努めております。しかしながら、何らかの不測の事由から重大な設備事故や労働災害等が発生する可能性があります。これらの重大事故が発生した場合、生産活動の停止や設備の復旧等に多額の費用が発生する可能性があります。また、訴訟問題や重大事故等に起因した行政処分に発展した場合には、損害賠償請求が生じる可能性があるほか、当社グループの社会的な信用及び顧客の信頼を失うことにも繋がり、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、製造設備の定期的な点検や設備の保守、第三者によるサーベイランス等も含めた安全活動の推進、定期的な訓練の実施とともに、生産拠点の複数化等を推し進めることにより、事業継続態勢の強化を図っております。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の概要

当連結会計年度におけるわが国経済は、2023年5月に新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが「5類感染症」に移行されたことを受け、社会生活や経済活動の更なる正常化が図られました。一方、ウクライナ情勢の長期化や中東情勢の緊張等に伴う原材料や資源・エネルギー価格の高騰に加え、世界的な金融引き締めを背景とした海外景気の下振れ、さらには為替相場の急激な変動等に留意が必要な状況が続いており、先行きは不透明な状況で推移しました。

住宅業界におきましては、住宅資材価格や人件費等の高騰による住宅価格の上昇に加え、住宅ローン金利の先高観により住宅取得マインドが低下するなか、新設住宅着工戸数は弱含みで推移しており、当社グループの業績と相関関係が強い持家や分譲戸建は前年を下回る状況が続いております。一方、ウッドショックによる木材価格の高騰はピークを過ぎたものの、ウッドショック前の水準には程遠い状況で推移しており、さらに、電力費や燃料費、物流経費、副資材等においては、単価が大幅に上昇するなど、企業収益を圧迫する状況が続いております。

このような状況下、当社グループでは、2024年3月期を最終年度とする中期経営計画「EIDAI Advance Plan 2023」の実現に向けて、本計画の基本方針に基づく各施策を推し進めるとともに、電力費や燃料費をはじめとする様々なコストの上昇や高止まりによる損益への影響を抑制するため、全社を挙げて生産性の向上や経費削減の取組を継続してまいりました。さらに、販売部門におきましては、お客様に対して適正な販売価格への改定をお願いしつつ、メーカーとしての供給責任を果たすことを最優先に考え、資材の安定調達と製品の安定生産、安定供給に取り組んでまいりました。しかしながら、2023年5月13日に当社敦賀事業所のパーティクルボード工場の素材工程(以下、敦賀PB工場素材工程)及び連結子会社であるENボード株式会社のボイラー周辺設備において火災事故が発生しました。ENボード株式会社は6月26日に生産を再開しましたが、火災事故以降、生産を停止していた敦賀PB工場素材工程につきましては、大きく損傷した建屋や設備の復旧にかかる期間や投資額を含めた投資採算性、当社グループとしての市場への供給体制等について検討を重ねた結果、誠に残念ながら復旧を断念し、8月9日に開催した取締役会におきまして敦賀PB工場素材工程の閉鎖を決定いたしました。なお、素材PBに化粧貼りを行う化粧工程につきましては、火災事故の影響を受けていないため、ENボード株式会社を中心に外部から素材PBを効率的に調達し、生産を継続することといたしました。

これらの結果、当連結会計年度の売上高は、主力の住宅資材事業が引き続き堅調に推移し、71,665百万円(前年同期比2.7%増)となりました。

 

損益面では、木質ボード事業は、火災事故によって生産が滞るなか、お客様への供給責任を果たすべく、急遽、外部から調達した素材PBを販売したこと、さらには、それらを基材として生産した化粧PBの販売が製造原価の押し上げ要因となりましたが、生産停止期間の経費等については、災害による損失として特別損失に計上いたしました。一方、住宅資材事業は、高付加価値製品の販売拡大に取り組むとともに、適正な販売価格への改定が徐々に市場に浸透したこともあり、木質ボード事業の損益悪化を補う形で堅調に推移いたしました。これらの結果、営業利益は368百万円(前年同期は営業損失1,143百万円)、経常利益は321百万円(前年同期は経常損失1,309百万円)となりました。また、災害による損失として1,289百万円を特別損失に計上するとともに、受取保険金3,250百万円を特別利益に計上したこと、さらには、繰延税金資産の回収可能性を慎重に検討した結果、法人税等調整額(益)1,073百万円を計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は3,219百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失1,104百万円)となりました。

また、中期的な経営指標として売上高経常利益率5%以上を目標に取り組んでおりましたが、前述のとおり、原材料価格の高騰や資源・エネルギー価格の上昇、さらには急激な円安の進行による調達コストの増加等が大きく影響し、目標は未達となっております。

 

セグメント別の経営成績は次のとおりであります。

(住宅資材事業)

住宅資材事業におきましては、引き続き、フローリング、室内階段、室内ドア、収納等の色柄・デザインを体系化した基軸ブランド「Skism(スキスム)」の販売拡大に注力しました。また、当社ウェブサイト及びSNSへの施工例サイトの立ち上げやTVドラマへの美術協力等を通して、認知度の向上に努めております。

このほか、各分野別の取組は以下のとおりであります。

建材分野では、シートでありながらモチーフとなる素材に応じて質感をリアルに再現したフローリング「コンカーボ」を発売しました。一方、室内階段においては、シンプルな単色表現に加え、今までにないカラーバリエーションによりコーディネートの幅を広げた「ユニカラーセレクション」の拡販に努めました。さらに、フローリングや室内階段において品揃えを充実させてきた「銘樹ブランド」の各製品の販売強化を図りました。

内装システム分野では、主力製品である「スキスムT」の品揃えを充実させ、ブランド力の強化を図りました。また、カラーバリエーション豊かな室内ドア「インクジェットデザイン」に収納製品を加え、ブランド名を「デコルシェ」として新たに発売しました。さらに、「セーフケアプラス」製品群に事務所・店舗向け製品を追加するなど、非住宅向けの品揃えの充実を図りました。

住設分野では、システムキッチン「ラフィーナ ネオ」をリニューアルし、石目柄のキッチン扉「リアリスタシリーズ」などの新柄をラインナップしました。また、シンプルで開放感のある造作風洗面「アクアージュフロート」を発売するなど、水回り製品の販売強化に努めました。

これらの結果、電力費や燃料費をはじめとする様々なコストの上昇や高止まりが続きましたが、高付加価値製品の販売拡大に取り組むとともに、適正な販売価格への改定が徐々に市場に浸透した効果もあり、売上高は63,201百万円(前年同期比2.3%増)、セグメント利益は3,539百万円(同153.6%増)となりました。

 

(木質ボード事業)

木質ボード事業におきましては、前述のとおり、2023年5月13日に敦賀PB工場素材工程及び連結子会社であるENボード株式会社において火災事故が発生し、ENボード株式会社は6月26日に生産を再開しましたが、敦賀PB工場素材工程は復旧を断念し、8月9日に開催した取締役会におきまして閉鎖することを決定いたしました。なお、火災事故の影響を受けていない化粧工程につきましては、ENボード株式会社をはじめとするグループ各社を含めた外部から素材PBを効率的に調達し、生産を継続することといたしました。

これらの結果、売上高は2022年11月にENボード株式会社が商用生産を開始したことにより、8,338百万円(前年同期比5.5%増)と前年同期比で増加したものの、火災事故による生産停止の影響や外部調達による製造原価の押し上げに加え、ENボード株式会社における生産性の改善が遅れているため、計画から下振れしており、セグメント損失は1,387百万円(前年同期はセグメント損失874百万円)となりました

 

(その他事業)

当社グループは、上記事業のほか、不動産有効活用事業、太陽光発電事業を推進しております。

当期の売上高は125百万円(前年同期比0.8%減)、セグメント利益は72百万円(同3.5%減)となりました。

 

(2)中期経営計画の達成状況

当社グループは、2024年3月期を最終年度とする中期経営計画「EIDAI Advance Plan 2023」の実現に向けて、本計画の基本方針に基づく各施策を進めてまいりました。最終年度となる2024年3月期の売上高は、主力の住宅資材事業が引き続き堅調に推移しましたが、木質ボード事業が火災事故の影響により苦戦したため71,665百万円となり、数値計画の75,000百万円には至りませんでした。一方、各利益指標は、住宅資材事業において高付加価値製品の販売拡大に取り組むとともに、適正な販売価格への改定が徐々に市場に浸透したこともあり、木質ボード事業の損益悪化を補う形で堅調に推移したため、営業利益は数値計画の▲100百万円に対して368百万円、経常利益は同▲300百万円に対して321百万円、EBITDAは同3,650百万円に対して3,830百万円の実績となり、数値計画を上回る結果となりました。

「EIDAI Advance Plan 2023」は前述のとおり2024年3月期が最終年度であるため、2025年3月期を初年度とする新たな中期経営計画「EIDAI Advance Plan 2026」を策定しております。

詳細につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)経営計画、経営戦略及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(3)生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  2023年4月1日

至  2024年3月31日)

前年同期比(%)

住宅資材事業(百万円)

31,560

96.9

木質ボード事業(百万円)

10,379

121.2

報告セグメント計(百万円)

41,939

102.0

その他(百万円)

14

101.4

合計(百万円)

41,954

102.0

 

b.仕入実績

当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  2023年4月1日

至  2024年3月31日)

前年同期比(%)

住宅資材事業(百万円)

15,249

98.4

木質ボード事業(百万円)

524

256.7

報告セグメント計(百万円)

15,774

100.4

その他(百万円)

合計(百万円)

15,774

100.4

 

c.受注実績

当社グループ(当社及び連結子会社)は概ね見込生産を行っております。内装システム分野では主として受注生産を行っておりますが、その多くが短期間で販売されるため、記載を省略しております。

 

d.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  2023年4月1日

至  2024年3月31日)

前年同期比(%)

住宅資材事業(百万円)

63,201

102.3

木質ボード事業(百万円)

8,338

105.5

報告セグメント計(百万円)

71,539

102.7

その他(百万円)

125

99.2

合計(百万円)

71,665

102.7

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自  2022年4月1日

至  2023年3月31日)

当連結会計年度

(自  2023年4月1日

至  2024年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

住友林業株式会社

13,187

18.9

13,100

18.3

SMB建材株式会社

10,329

14.8

10,410

14.5

 

(4)財政状態の概要

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ3,140百万円増加し、96,118百万円となりました。主な要因は、棚卸資産、有形固定資産及び売上債権がそれぞれ減少したものの、現金及び預金、投資有価証券がそれぞれ増加したことによるものです。

負債は、前連結会計年度末に比べ150百万円減少し、53,306百万円となりました。主な要因は、借入金、支払手形及び買掛金がそれぞれ減少したものの、未払金、未払法人税等及び未払消費税等がそれぞれ増加したことによるものです。

純資産は、前連結会計年度末に比べ3,291百万円増加し、42,811百万円となりました。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上によるものです。

 

(5)キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動で9,948百万円の資金を獲得し、投資活動に1,775百万円、財務活動に1,700百万円の資金を使用したことにより、前連結会計年度末に比べ6,469百万円増加し、当連結会計年度末には12,797百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは9,948百万円の増加(前年同期は263百万円の増加)となりました。主な要因は、減少要因として仕入債務の減少1,452百万円、増加要因として保険金の受取額3,250百万円、減価償却費3,148百万円、棚卸資産の減少1,670百万円、未払金の増加1,374百万円、売上債権の減少1,155百万円などによるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは1,775百万円の減少(前年同四半期は662百万円の減少)となりました。主な要因は、有形固定資産の取得による支出1,519百万円によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは1,700百万円の減少(前年同期は915百万円の増加)となりました。主な要因は、長期借入れによる収入350百万円、短期借入れによる収入175百万円があったものの、長期借入金の返済による支出1,466百万円、配当金の支払441百万円があったことによるものです。

 

(6)資本の財源及び資金の流動性について

「(5)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。なお、当社グループは製品製造のための原材料の調達、経費等の支払いを始めとした運転資金のほか、安定した製品の生産を行うための設備投資資金、ソフト開発資金の需要があります。これらの資金需要に対し、自己資金並びに外部からの資金調達も含め柔軟に対応することを基本としております。また、当連結会計年度末において、金融機関と総額5,000百万円の融資枠を設定し流動性リスクに備えております(当連結会計年度末において借入未実行)。

なお、当連結会計年度末の借入金残高21,951百万円は、ENボード株式会社の設備投資資金に係るものであります。

 

(7)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

当社グループでは顧客、市場のニーズに的確に応えるため、デザイン・機能・価格の3要素を常に意識し、徹底したマーケティングリサーチに基づいて、「見て、施工して、使って違いの分かる」製品の開発を基本としております。また、顧客ニーズを創り出すという視点を重視し、品質・コスト・サービスなど、顧客満足度を高める新製品の開発に取り組んでおります。

強みとする「木質材料加工技術」と「ステンレス加工技術」を最大限活かし、「環境への配慮」、「健康と安心・安全性の重視」、「独自性のある製品の追求」を最重要項目に掲げ、研究活動を行っております。

特に「環境への配慮」に関しては、持続可能な森林資源を使用した基材や国産材を積極的に利用した製品の開発、さらにはマテリアルリサイクルを通じて地球温暖化防止に寄与しているパーティクルボードの新たな用途開発に力を注いでおります。

当社の研究開発体制は、基礎研究・応用研究を担当する総合研究所、具体的な新製品の開発及び生産技術を担当する各事業部の傘下の開発部門で構成されます。総合研究所では新基材や木質ボードの研究に加え、新たなデザインや加工技術、化粧技術、さらには環境対応技術の研究など、中長期にわたるテーマに基づいて活動しております。一方、各事業部の傘下の開発部門では市場ニーズに沿った新製品の発案、製品設計やデザインの研究、既存製品の改良から具体的な製品化、量産化のための生産技術や生産工程の研究・開発を行っております。

当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は582百万円であります。なお、研究開発費については、各事業部門に配分できない基礎研究費用190百万円が含まれております。

なお、当連結会計年度における各セグメント別の研究開発活動は次のとおりであります。

 

(1)住宅資材事業

住宅資材事業では、フローリング、室内階段、室内ドア、収納等の色柄、デザインを体系化し、それらを組み合わせたインテリアスタイルが特長である基軸ブランド「Skism(スキスム)」の商品構成の更なる充実を図りました。

分野別では、建材関連製品としてシートでありながらモチーフとなる素材に応じて質感をリアルに再現したフローリング「コンカーボ」を発売するとともに、室内階段も含めた「銘樹ブランド」の品揃えを充実させました。また、内装システム関連製品では、「スキスムT」の品揃えを充実させるとともに、カラーバリエーション豊かな室内ドア「インクジェットデザイン」に収納製品を加え、ブランド名を「デコルシェ」として新たに発売しました。さらに、住設関連製品では、システムキッチン「ラフィーナ ネオ」をリニューアルし、石目柄のキッチン扉「リアリスタシリーズ」などの新柄をラインナップするとともに、シンプルで開放感のある造作風洗面「アクアージュフロート」を発売しました。

当セグメントに係る研究開発費は、345百万円であります。

 

(2)木質ボード事業

パーティクルボード分野では、ENボード株式会社の稼働に合わせた新たな用途開発に加え、生産性の向上や品質をより安定させるための製造技術面の改善に取り組みました。

当セグメントに係る研究開発費は、46百万円であります。