第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

当社グループは、永きにわたり培ってきた専門技術と同様に「人」を大切な財産と考え、ビルメンテナンス・ビルマネジメントを主軸に事業を幅広く展開してまいりました。

前連結会計年度に新たに策定した経営理念『全ての「施設」を快適に、全ての「人」に喜びを。』のもと、建物管理会社として進化し続け、安心・安全・快適な施設づくりで社会に貢献し、全てのステークホルダーから「ハリマで良かった!」と評価される未来を目指してまいる所存であります。

この実現に向け、当社グループが掲げる重点施策は、以下のとおりであります。

・マネジメント力の向上を通じ、高度化、多様化する顧客ニーズにマッチした高品質サービスの提供

・SDGs(持続可能な開発目標)への積極的取り組み

  ・顧客の資産管理の観点に立ったリフォームや設備改修事業の強化

・企画提案力・総合力の最大化による、PFI事業・指定管理者業務をはじめとしたPPP分野への積極展開

 

今後の経営環境につきましては、ロシア・ウクライナや中東情勢の長期化に伴うエネルギー価格や原材料価格の更なる上昇、人手不足による人件費の上昇が懸念されるなど、経営環境は依然として先行き不透明な状況が続くものと予測されます。

ビルメンテナンス業界におきましては、上記に加え、既存物件に係る顧客のコスト削減を目的とした契約価格の見直し・仕様変更の動きが懸念され、厳しい状況が続くものと見込まれます。

このような状況に対処するため、当社は前連結会計年度において、2023年度~2025年度の3ヶ年における経営目標、数値目標を定めた中期経営計画を策定いたしました。本計画は、当社グループが「次のステージにステップアップするための基盤整備」を目的としたものであり、以下の戦略を核として、更なる企業価値向上を目指すものであります。

  根幹戦略:人財の確保・育成と離職低減による地盤強化

当社グループは、本戦略を重要なサステナビリティ項目と認識しており、詳細は「2サステナビリティに関する考え方及び取組(2)戦略」に記載のとおりであります。

  持続戦略:顧客・協力会社との信頼構築による基礎体力強化

以下の施策を通じて、当社グループの基礎体力強化を図ってまいります。

・顧客への提案力強化

・協力会社とのコミュニケーション活性化

・個別案件ごとの収益管理精緻化、厳格化

・現場におけるサービス品質の向上

・DX(デジタルトランスフォーメーション)の活用による業務効率改善

③  成長戦略:将来を見据えた強みの育成とグループ力強化

以下の施策を通じて、当社グループの収益力向上を図ってまいります。

・営業強化による新規物件受託、サービスエリアの拡大

・ロボット、AIの活用による顧客ニーズへの対応力拡大

・建物管理の柱となる設備部門の強化

・子会社との連携強化によるグループ間シナジーの刈り取り

 

今般、当社は、現中期経営計画完了後の2026年度からの10ヶ年における経営目標、数値目標を定めた「長期ビジョン2026-2035」を策定いたしました。本計画は、当社グループの経営理念において掲げている長期ビジョン「周囲から『ハリマで良かった!』が聞こえてくる未来」の実現に向けたロードマップとして位置づけており、①事業エリア拡大、②新規事業開拓、③海外事業展開、④積極的なМ&Aの4施策により「挑戦領域」という新たなステージへの到達を目指すものであります。

 

 

中期経営計画を推進するとともに、長期ビジョン最終年度である2035年度を見据え、当社グループは、引き続き「高度化、多様化する顧客ニーズにマッチしたサービス品質の向上」を優先的に対処すべき課題とし、日々刻々と変化するお客様の状況に柔軟に対応するため、より一層お客様の視点に立った専門性の高いサービスをタイムリーに提供することに努めてまいります。

また、SDGs(持続可能な開発目標)への取組みについても、DXの推進による更なる業務効率向上の実現をはじめ、地域社会との連携強化、地球環境に対する取組みなど、幅広い分野において品質の高いサービスを提供できる「進化し続けるビルメンテナンス」を追求し、社員一人一人が「私たちの仕事はSDGsに直結している」という誇りをもって、お客様へのサービスを通じて社会貢献し続けます。

以上を踏まえ、次期の連結業績につきましては、売上高は275億円(当連結会計年度比3.3%増)、営業利益10億60百万円(同9.9%増)、経常利益11億10百万円(同4.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益8億10百万円(同7.0%増)を見込んでおります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2024年6月27日現在)において当社グループが判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

当社グループは、更なる企業価値向上を目指し、SDGsへの取組みを積極的に推進する体制を構築しております。取組みにあたっては、「人権・社会」「経済(成長)」「環境」といった社会課題の解決につながる活動を、品質管理推進部・経営企画部・人事企画部が中心となり企画・立案、当社経営企画会議へ付議・承認を得たうえで、当該活動状況を社内報や当社ホームページ上で定期的に社内外へ報告する体制としております。当社経営企画会議の統治体制については「第4提出会社の状況 4コーポレート・ガバナンスの状況等(1)コーポレート・ガバナンスの概要」に記載しております。

 

(2)戦略

当社グループにおける、人財の多様性の確保を含む人財の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、以下のとおりであります。

人財育成方針

当社グループは、首都圏を中心に2,300棟以上の施設管理を受注しており、高度化、多様化するお客様のニーズにマッチした高品質なサービスを提供するために、人財の確保・育成を最重要課題と位置付けております。

当該課題は、中期ビジョン「エンゲージメントを高め、共通の目標に向かって常に前向きな挑戦を続ける」のもと、当社グループの地盤強化に向けた根幹戦略として位置付けているほか、2022年4月には透明性・公平性の高い人事制度を導入し、社員一人ひとりの成長を促す仕組みを構築、運用しております。

具体的には、管理職以上の役職員への階層別研修などの教育を充実させるとともに、技術職、営業職の社員には専門性を高めるために、階層別研修に加えて実践的な研修を拡充させ、また外国人財の受け入れにあたっては住居の提供も含めた定着支援策とともに、計画的な技術の習得の促進を図ってまいります。

 

社内環境整備方針

中長期的な企業価値向上のためには、人財の確保・育成と離職低減が根幹であると考えており、以下の施策をすすめることで社内の環境を整備していく方針であります。

採用力強化

・適正な人員配置計画に基づいた効率的な採用活動

・外国人財の受け入れ数や職種の拡大

人財育成強化

・管理職をはじめとした階層別研修の実施による従業員パフォーマンスの向上

・大型現場における責任者育成などの実習を通じた現場管理のキーマン育成

・設備エンジニアをはじめとした技術職向けの育成強化及びキャリアプラン形成支援を通じた、現場力強化

 

働きがい向上

・安定的な利益確保を源泉とした、従業員の待遇改善

・「チャンスは平等、評価は公平」を意識した評価制度の運用による従業員エンゲージメントの向上

・多様な人財の活躍推進につながる社内制度の整備・改定

・ペーパーレス化及びフリーアドレス化推進による労働環境の改善

・テレワークをはじめとしたDX推進の更なる強化に伴う、多様な働き方の実現

健康経営推進

・健康ポイントキャンペーンの実施による、従業員の健康増進

・業務災害防止を目的とした全社統一の仕組み作り、現場巡回の実施

 

(3)リスク管理

当社グループにおいて、全社的なリスク管理は、当社取締役会において行っております。サステナビリティに関するリスクについては、独立したリスク項目として絞り込みをしていないものの、当社グループの営む事業そのものがSDGsに直結するとの考えのもと、常にSDGsの視点をもって、様々なリスクや課題への対応に努めております。

 

(4)指標及び目標

当社グループでは、上記「(2)戦略」において記載した、人財の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、以下の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、以下のとおりであります。

 

指標

目標

実績(当連結会計年度)

人財投資額

2024年3月期から2026年3月期までの3年間で、14億円

430百万円

 

(注)求人費、研修費、寮・社宅関連費用など、外国人技能実習生を含む人財の確保、育成及び福利厚生に係る投資であります。

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるものとして識別した主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、リスク管理体制の整備状況は、「第4提出会社の状況 4コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要」に記載のとおりであり、リスク管理委員会がリスクの識別及び評価並びに対応策の整備を行い、定期的にリスク管理状況を取締役会に報告し確認を受けております。

文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2024年6月27日)現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 人材不足や採用難

当社グループはビルメンテナンスを主な事業とした労働集約型のサービス業であり、売上高に占める人件費の割合は約50%、連結従業員数約5,800名であり、その多くが顧客施設で清掃や設備保守管理等の業務を行っております。

少子高齢化などによる人手不足や採用難がさらに厳しくなった場合には、賃金や人材募集コストの上昇に留まらず、人手不足により各顧客施設での業務継続が困難になることで、売上高の減少など業績に悪影響を与える可能性があります。

当社グループは、その対応策として、外国人技能実習生の受入れや特定技能制度の活用を行っており、また、経営企画本部内に採用専門部署を設け、一元的で機動的な採用戦略を実行することで、効率的な人材確保に努めております。

 

 

(2) 短時間労働者に関する法改正

当社グループは、従業員に占める短時間労働者の比率が高いため、短時間労働者のための法令や規則等の改正が生じた場合、新たな費用が発生する可能性があり、当社グループの事業展開や業績に影響を及ぼすことがあります。

特に最低賃金の引き上げによる影響は大きく、短時間労働者の時間給平均単価は毎年上昇し続けております。

当社グループは、その対応策として、時間給の上昇に対して応分の契約価格の引き上げ交渉を必要に応じて顧客に対して行うとともに、清掃ロボットの活用などを含めた作業効率化による作業原価低減に取り組んでおります。

 

(3) 感染症の拡大や大規模自然災害等

地震などの大規模自然災害等により、収益の基盤である管理物件の損壊、交通機関麻痺による出勤不能、管理会社としての業務を遂行するための対応費用が発生する場合や、新型コロナウイルス等の感染症の拡大により業務に支障が生じた場合には、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。

こうした事態に備え、事業継続計画(BCP)を策定し、事業の継続を図り社会的責任を果たす取り組みを行っております。

 

(4) 経営環境

当社グループはビルメンテナンスを主な事業としており、主として契約期間及び契約価格をあらかじめ定めた業務委託契約に基づいて業務を行っております。したがって、契約を一度締結することにより一定期間安定した収益を確保できるメリットがありますが、反面、人件費や資機材価格の上昇に見合った契約価格の引き上げが必要でありながら、顧客にとってその費用は固定費となるため常に経費削減の対象になるという側面があります。

このようなビルメンテナンス事業にとって、空室率の上昇やテナント賃料の下落は、既存顧客であるビルオーナーからの契約価格の値下げ要求や解約の動きを急増させる恐れがあります。

随時契約を締結して行う臨時業務は、売上高の16%を占めておりますが、その受注高には変動リスクがあり、今後の景気低迷による顧客マインドの減退などにより、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。

また、売上高の2%を占めるPFI長期修繕業務では合理的な長期修繕計画の策定が必要であり、想定を上回る修繕の発生があった場合には業績に悪影響を与える可能性があります。

当社グループは、主にビルメンテナンス事業を行うなかでも、民間事業会社やマンション管理組合、官公庁などひとつの属性に偏らない顧客基盤とPFI事業・指定管理者業務をはじめとしたPPP分野や省エネ、環境分野、空気環境対策製品の製造販売などにも事業展開することでリスクの軽減を図っております。

 

(5) 法令違反等による社会的制裁

当社グループの主な事業であるビルメンテナンス事業は、建設業法、警備業法、消防法、マンション管理適正化法をはじめ多くの関係法規等の規制を受けており、また各種許可、登録ならびに認定を受けております。

当社グループが、これらの関係法規等を含む法令違反や個人情報の漏えい等の事故を起こした場合には、業務停止や入札指名停止、顧客からの契約解除を受けること、その他の社会的制裁により当社グループの業績等に広範囲な影響を与える可能性があります。

当社グループでは、内部統制システムの整備・コンプライアンス体制の整備・リスク管理体制の整備を通してこれらの法令遵守を図っており、また、ISMSを取得のうえ個人情報の適正な管理に努めております。

 

(6) 事故

当社グループは、業務実施にあたっての安全管理・事故防止に万全を期しておりますが、業務を行う施設において不慮の事故により顧客に対して損害を与えてしまうことがあります。この事態に備え、損害賠償責任保険を付保しているものの、その補償限度額を超える損害が生じた場合には、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。

 

(7) サイバーセキュリティに関するリスク

パソコン・スマートデバイス等の紛失・盗難、操作上の錯誤、システム障害等の内部要因及びコンピュータウイルス感染やサイバーテロ等の外部要因により、当社グループや顧客の機密情報・個人情報等の流出やシステムダウンが発生する場合には、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。

当社グループでは、その対応策として以下の取り組みを行っております。

・プライバシーポリシーや情報セキュリティポリシーの制定

・ウィルス対策ソフトによるリアルタイム監視とEDRによる挙動監視

・データバックアップ体制の整備

・基幹システムへのファイアウォールによる外部アクセスの遮断

・標的型テストメールを使った抜き打ち迷惑メール訓練

・必要に応じたサイバー保険の付保

 

(8) 減損会計の適用

当社グループは、賃貸用不動産や事務所などの事業用資産を所有しております。今後、当社グループの収益性に中長期的な低下が見込まれる状況に陥った場合や不動産の市場価格が大きく下落した場合には、減損会計の適用に伴う減損損失計上により、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(経営成績等の状況の概要)

(1) 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度の当社グループの売上高は、大型新規物件の本格稼働に伴う売上寄与などにより、連結売上高合計は、前年同期比13億2百万円(5.1%)増加の266億18百万円となりました。

利益面におきましては、上記大型物件をはじめとした新規物件や既存顧客への契約更改活動による利益確保などにより、営業利益は前年同期比1億51百万円(18.6%)増加の9億64百万円、経常利益は同33百万円(3.3%)増加の10億58百万円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は同20百万円(2.8%)増加の7億56百万円となりました。

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末比16億40百万円増加の141億25百万円となりました。これは、現金及び預金の2億71百万円の増加、受取手形及び売掛金の5億円の増加、土地の2億2百万円の増加、建物及び構築物の3億70百万円の増加が主な要因となっております。

これらのうち、土地の増加は人材確保を目的とした当社従業員向け社員寮として活用するための共同住宅の新たな取得によるものであります。

また、建物及び構築物の増加は、主に前連結会計年度に取得した当社従業員向け社員寮におけるリノベーション工事への支出によるものであります。

負債は、前連結会計年度末比8億84百万円増加の56億2百万円となりました。これは、契約負債の2億1百万円の増加、流動負債のその他(未払金、預り金など)の1億22百万円の増加が主な要因となっております。

純資産は、利益剰余金の増加などにより、前連結会計年度末比7億56百万円増加の85億22百万円となり、自己資本比率は59.9%となりました。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における「現金及び現金同等物」は、前連結会計年度末比2億71百万円増加の36億14百万円となりました。

当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、11億78百万円の増加(前連結会計年度は9億66百万円の増加)となりました。

これは主に、増加として税金等調整前当期純利益10億58百万円、契約負債の増加額2億1百万円、減少として売上債権の増加額5億円によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、8億49百万円の減少(前連結会計年度は3億59百万円の減少)となりました。

これは主に、減少として有形固定資産の取得による支出6億44百万円、投資有価証券の取得による支出1億50百万円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、58百万円の減少(前年連結会計年度は5億95百万円の減少)となりました。

これは主に、増加として長期借入れによる収入6億円、減少として長期借入金の返済による支出5億36百万円、配当金の支払額1億8百万円によるものであります。

 

(生産、受注及び販売の状況)

(1) 生産実績

該当事項はありません。

 

(2) 受注実績

セグメントの名称

前連結会計年度

(自  2022年4月1日

至  2023年3月31日)

当連結会計年度

(自  2023年4月1日

至  2024年3月31日)

建築物総合サービス事業

その他(営繕工事)

受注高(千円)

1,527,067

受注高(千円)

1,718,707

受注残高(千円)

232,967

受注残高(千円)

234,441

 

 

(3) 販売実績

販売実績をセグメント毎に示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

前連結会計年度

(自  2022年4月1日

至  2023年3月31日)

当連結会計年度

(自  2023年4月1日

至  2024年3月31日)

売上高(千円)

構成比(%)

売上高(千円)

構成比(%)

建築物総合サービス事業

25,273,932

99.8

26,618,066

100.0

清掃業務

9,243,775

36.5

9,592,676

36.0

設備保守管理業務

2,846,549

11.2

2,834,226

10.7

警備業務

2,440,870

9.6

2,259,842

8.5

工営業務

5,060,265

20.0

6,141,609

23.1

その他

5,682,470

22.5

5,789,711

21.7

その他の事業

42,129

0.2

合計

25,316,061

100.0

26,618,066

100.0

 

(注) その他の事業のトナー販売業は、前第3四半期連結会計期間において事業を終了しております。

 

(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)

(1) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

当連結会計年度における我が国経済は、ポストコロナの状況下において行動制限が緩和されたことなどにより、経済活動の正常化が進みました。また、円安の進行によるインバウンド需要の回復などにより、個人消費には持ち直しの動きがみられました。その一方で、ロシア・ウクライナや中東情勢などの地政学的リスクに起因したエネルギー価格や原材料価格の高騰に加え、世界的な金融引締め等を背景とした海外景気の下振れなど依然として先行きの不透明な状況が続いております。

ビルメンテナンス業界におきましては、安全で快適な環境維持と省エネルギーに対する顧客の関心が高まっておりますが、今後の景気を見極めようとする動きなどから顧客の施設維持管理コストの削減意識は依然として高く、厳しい状況が続いております。

当社グループは、そうした顧客ニーズに応えるべく、「1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の経営方針に従い、より一層顧客の視点に立った専門性の高いサービスをタイムリーに提供することに努め、大型新規物件の受注や提案活動による採算改善を図ってまいりました。

この結果、当連結会計年度の当社グループの売上高は266億18百万円(前年同期比5.1%増)となり、前連結会計年度に続き、過去最高の売上収益を更新するとともに、増収増益で中期経営計画の初年度計画を達成いたしました。

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「3事業等のリスク」に記載しております。

 

(2) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

①キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

当連結会計年度末における「現金及び現金同等物」は前連結会計年度末に比べ2億71百万円増加しましたが、これは主に、営業活動によるキャッシュ・フローの増加によるものであります。

上記のほか、各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因については、「(経営成績等の状況の概要)(2)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

②資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、賃金給与の支払のほか、外注作業代金の支払などの営業費用であります。これらに係る資金フローは通常の循環の範囲内にあり、安定的に資本の財源が確保されております。

また、賞与などのための短期運転資金及び設備投資などに要する長期運転資金については自己資金及び金融機関からの借入を基本としており、事業運営上必要な資金の流動性は確保されております。

当連結会計年度については、上記社員寮への設備投資、業務DXロボットの開発を手掛けるugo株式会社への出資、横浜市サステナビリティボンドへの投資など、中期経営計画に則った投資活動を推進してきた一方で、営業活動に伴うキャッシュ・フローが10億円を超えたことなどから、例年以上に安定的な資本財源及び資金流動性を確保することができました。

 

   (3) 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。

 この連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は、「第5経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

 なお、繰延税金資産や引当金等の見積りの評価については、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

5 【経営上の重要な契約等】

 当社は、2024年4月1日開催の臨時取締役会において、株式会社TECサービスを子会社化することを決議し、同日付で株式譲渡契約を締結いたしました。

 詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりであります。

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。