当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、創業精神である「無から有」をモットーに、「環境性向上」「資産価値の向上」「省力化」「快適」「健康」「安全」「安心」のテーマを柱に、総合建築塗材・新型化学建材の分野を拡大しながら、常にこれらのテーマの実現に努めることが使命であると考えております。
また、全ての面において信頼と誠実の仕事の展開を第一に、あらゆるサービスを一層充実させ、「多くの顧客に利益と喜びを与え、社会に貢献することを最大の使命」とする経営理念や社是・社訓を活かした事業活動を進めております。そして、更なる社内組織体制の充実と国内外の拠点の拡大を図り、オンリーワン・ナンバーワン企業としての躍進を目指し、グローバルな総合化学塗材・建材メーカーとして、今後ますますハイレベルの技術開発力で、日本とアジアの国々の建築文化の創造に貢献してまいります。
(2)経営戦略等
当社グループといたしましては、国内でナンバーワン企業としての地位を占めている建築仕上塗材事業において、様々な機能を有した高付加価値製品の開発や新需要・新規取引の拡大を図るため、限りある経営資源を選択的・効率的に集中投資する戦略を推進しております。なお当社グループが認識している経営戦略は次のとおりであります。
(建築仕上塗材事業)
・塗膜の耐久性の向上(エスケープレミアムシリーズ、セラタイトシリーズ他)
「環境性向上」「資産価値の向上」「快適」
近年の建築構造物の長寿命化、水性化による環境負荷の低減、ライフサイクルコストの低減等により、更なる塗膜の耐久性向上を目指しております。
また、エスケープレミアム無機マイルド、ファインFR-TEX工法等新製品、新工法を開発いたしました。
・装飾・意匠性製品の開発(ベルアートシリ-ズ、エレガンシリーズ他)
「快適」「資産価値の向上」「省力化」
塗料の塗膜では表現が難しい立体感、陰影感、素材感を有する装飾・意匠性に優れた製品の開発により他社との差別化を図ってまいります。
・機能性塗料による安全で快適な生活と環境負荷低減製品の開発(クールタイトシリーズ、水性スマートボーセイ他)
「環境性向上」「省力化」「快適」「安全」「健康」
機能性塗料である遮熱塗料については、「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」(省エネ法)の対策として、工場や倉庫の屋根に遮熱塗料が採用される事例が増えております。
また、環境に配慮した一液化、水性化を軸に環境負荷低減製品の開発を積極的に行っております。
・省力化製品の開発(一液NADシリーズ、水性エコファイン、セラミクリーン他)
「省力化」
慢性的な現場作業員不足、工期短縮に対応した省力化タイプの製品の開発により施工の効率化を図ります。
・内装製品の開発(エコフレッシュシリーズ、セラミフレッシュIN他)
「環境性向上」「健康」「安全」「安心」
VOC(揮発性有機化合物)がほとんど含まれない(1%未満)、人に優しい製品です。また、抗菌性、防かび性を発揮し衛生的な空間を提供します。
・塗床材、屋根材等その他の製品の充実
外装製品だけではなく、錆止め塗料、塗床材、屋根材、防水材、鉄部用塗料等幅広いニーズに応えるため、製品ラインアップの充実化を図ってまいります。
・顧客に対するサービスの向上
当社グループが販売する製品は対象物に塗装され、塗膜となって完成品となります。従って、最終の塗膜になるまでしっかりと係わっていく必要性があります。このため、設計事務所や建設会社、販売店、施工店向けにセミナー等を開催し、製品への理解を深めてもらえるよう積極的に活動を行っております。また、定期的な社内研修会等を通じ、得意先に適切なアドバイスが出来るよう社員教育を行っております。
このように、販売から施工、完成までをフォローし、顧客に対して満足のいく仕上げを提供していくことが、今後の建築仕上塗材需要の拡大に繋がっていくものと考えております。
(耐火断熱材事業)
「安全」「安心」「資産価値の向上」「省力化」
耐火被覆材の業界シェアの大半を占めている吹付ロックウールは、作業員の高齢化、吹付施工時の作業環境から若手作業員の減少等の問題が見られます。
当社グループは、粉塵の発生が少ない湿式のセラタイカ2号、意匠性の高い構造物に施工するSKタイカコート、省力タイプのSKタイカシート、プレコートにより工期短縮と施工環境の改善に貢献するSKタイカコートHS等を中心に環境面・作業面での差別化を図り、販売の拡大を図っております。
不燃断熱材につきましては、一般的な断熱材である吹付ウレタンフォームが可燃性であることに対し、セラミライトエコGは不燃性の断熱材です。不燃材料が指定されるデータセンター等火災リスクへの備えが重要な施設への需要が見込まれます。また、工事施工現場においても火災が発生するリスクが低減される安全性の高い製品です。
(3)経営環境
当社グループは建築塗料業界に属しており、公共投資、民間設備投資及び住宅投資の動向が経営に影響を与える可能性があります。
当連結会計年度は、新型コロナウイルス感染症による制限が緩和されて社会経済活動の正常化が進み、大規模再開発案件や物流施設・データセンターなどの需要は堅調に推移しましたが、民間の戸建住宅等はインフレの影響を受けて消費者マインドにブレーキがかかり、厳しい市場環境が継続しました。
今後は、ロシア・ウクライナ情勢や中東情勢、中国経済の先行き懸念等の世界経済の状況、物価高や為替変動等の国内経済の状況により、国内外の経済環境は先行き不透明な状況が続くと見込まれます。
こうした経済情勢の中、建築塗料業界におきましては、都市部や首都圏を中心とした再開発の需要が見込まれますが、一方、労務者不足、人件費の高騰、物流コストや原材料価格の高騰等経営環境へのリスクも多く、依然としてとても厳しい環境が継続するものと思われます。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
上記の厳しい事業環境の下、当社グループといたしましては、「環境性向上」「資産価値の向上」「省力化」「快適」「健康」「安全」「安心」のテーマの需要開発に努めると共に、「多くの顧客に利益と喜びを与え、社会に貢献することを最大の使命」とする経営理念や社是・社訓に基づいた事業活動を進めております。
今後、高齢化や人口減少が加速していきますが、建造物や住宅のストックは膨大なものがあり、その改修需要を掘り起こすことが重要と考えております。そして、市場構造の変化をいち早く見極め、時代に適応した高付加価値製品や新工法の開発を行い、新規需要の創造に努めてまいります。
また、コーポレートガバナンス体制を重視した社内組織体制の一層の充実を図り、より一段と国内外の新市場の開発に尽力し、会社業績向上に努めてまいります。
財務上の課題につきましては、当社グループは、連結財務諸表作成にあたって、在外子会社の現地通貨建の財務諸表を円換算して取り込んでおります。また、調達及び販売活動を様々な通貨で行っており、外貨建の資産、債権及び債務を有しております。為替予約等対策を必要に応じて講じておりますが、為替が大きく変動した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、売上高、営業利益率を目標の達成状況を判断するための重要な指標の一つと捉えております。当連結会計年度の目標は、売上高1,000億円、営業利益率は10.2%です。
売上高は、当社製品への需要、評判、販売価格の変動といった要因や市場でのシェア、市場環境等の要因によって変化するものであり、市場のトレンドに当社の経営が対応しているかを客観的に測るための指標であります。
営業利益率は、収益性を測る指標であり、新需要、新製品の開発等によって市場競争力を保持し、また新技術の開発や生産の革新、販売管理費の低減等によってコストダウンができているかを判断する指標と考えております。
また、持続的な成長と中長期的な企業価値向上の判断する指標として、自己資本利益率(ROE)8%、株価純資産倍率(PBR)1倍を上回る状態を目標としております。
(1)ガバナンス
当社は、重要なサステナビリティ課題を「気候変動」、「人的資本及び多様性」と定め、サステナビリティ担当役員を代表取締役社長、総務兼人事担当役員、IR兼経理担当役員とし、気候変動、人的資本及び多様性等に関する施策、方針、取組状況について審議・協議を行っております。審議・協議された課題については取締役会に付議・報告されております。取締役会は、重要な経営・事業戦略として議論、方針の決定に加え、実行計画等について監督を行っております。
(2)戦略
・気候変動に関する主なリスク及び機会
当社グループが認識している気候変動に関する主なリスク及び機会は次のとおりであります。
当社グループは、事業活動における温室効果ガス排出量の削減と、環境に配慮した高付加価値製品の開発を課題として取組んでまいります。
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当社グループへの影響 |
当社における対応 |
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移行リスク |
環境問題への対応遅れによるステークホルダーからの信用失墜による受注減少リスク |
SCOPE1及びSCOPE2温室効果ガス排出量を指標として2050年のカーボンニュートラルに向けて削減することを目標 |
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化石燃料価格の高騰による原材料及び物流コスト増加 |
代替原料、原料配分の見直しによるコストダウン及び効率的な製造及び物流拠点の検討 |
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炭素税、温室効果ガス排出を抑制する政策、規制強化によるエネルギーコスト増加 |
省エネによる炭素排出の削減 |
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物理的リスク |
自然災害による事業所の損害、生産の中断及び販売休業による収益減少リスク |
BCP整備による事業所のレジリエンス強化 |
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異常気象の影響での施工時間の制限や中断・再施工による完成遅延リスク、施工コスト増加リスク |
新製品・新工法の開発、既存製品・施工技術の改善改良 |
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工事現場における熱中症等の労働災害の増加リスク |
セミナーの実施、施工マニュアルの周知徹底による現場管理・指導の強化 |
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機会 |
リニューアル市場の需要拡大 サステナビリティ・省エネ関連製品の需要拡大 |
環境を意識した製品の需要拡大 (水性塗料、塗膜の耐久性向上等) 省エネ関連製品の需要拡大 (遮熱塗料、断熱材等) |
・当社グループの人材育成方針
当社グループの人材育成方針は、経営戦略と連動した人材戦略を執行するにあたり、多様化する顧客ニーズに応える適切な人材を配置・育成することにあります。
当社グループの主要な取引先は、販売代理店、建設会社、住宅メーカー等であり、設計事務所に提案活動を行うこともあります。製造及び販売拠点は、日本国内に約60か所、海外は東南アジアを中心に6か国に存在しており、それぞれの市場規模や建築文化に応じた事業展開を行っております。
そのため、各事業拠点の顧客ニーズに応じたOJTを中心とした社員教育と定期的な社内研修を行っております。また、専門スキルを保有している人材のキャリア採用についても積極的に行っており、必要なスキルを保有している人材については、管理職として登用しております。
当社の内部監査室は、毎年全国の事業拠点に内部監査を行っており、内部監査の内容は、代表取締役社長、総務兼人事担当役員、担当役員及び所属長に報告されており、必要に応じて改善策を講じることで社内人材育成の役割も果たしております。
・社内環境整備方針
当社は、建築業界に属しているため、従業員及び管理職は男性の比率が高くなる傾向にあります(当事業年度末の女性比率25.2%)。しかし近年では、女性の営業職や工事管理職も増加しているため、女性の管理職(課長職以上)が当事業年度において存在していないこと及び男性労働者の育児休業取得率が低いことは今後の課題であると認識しております。
また、労働者の男女の賃金の差異につきましては、勤続年数等により差異が生じたものであり、職能等級や成果が同じであれば、人事処遇制度上、性差により差異が生じることはありません。
女性従業員のキャリア形成支援については、産前・産後休暇、育児・看護休暇、短時間勤務等職場に復帰しやすい環境の整備を行っております。効率化業務の推進や有給休暇取得の推進等働き方の改革も引き続き行い、今後一層、人材育成及び社内環境の整備に努めてまいります。
(3)リスク管理
気候変動、人的資本及び多様性については、当社グループの事業活動に大きな影響を及ぼすため、IR兼経理担当役員が、取締役会で協議されたサステナビリティに係る課題を重点課題として年度計画及び中長期の戦略に織り込み、進捗状況を四半期毎に取締役会に報告しております。
(4)指標及び目標
・気候変動に関する指標と目標
当社グループは、気候変動の指標をSCOPE1及びSCOPE2温室効果ガス排出量とし、2050年のカーボンニュートラルに向けて削減してまいります。具体的な目標値は、今後の動向を踏まえて検討してまいります。
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2021年度 実績(t-CO₂) |
2022年度 実績(t-CO₂) |
2023年度 実績(t-CO₂) |
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SCOPE1及びSCOPE2 温室効果ガス排出量 |
(単体)7,251 (連結) |
(単体)6,492 (連結) |
(単体)6,467 (連結) |
SCOPE1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、ガソリン)
SCOPE2:他社から供給された電気の使用に伴う間接排出
・人的資本及び多様性に関する指標と目標
当社は、人的資本の指標を管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率、労働者の男女の賃金の差異とします。管理職に占める女性労働者の割合及び労働者の男女の賃金の差異については、女性管理職の育成・登用を促進すること、男性労働者の育児休業取得率については、社内環境の整備に努めることで改善を図ってまいります。具体的な目標値は、今後の動向を踏まえて検討してまいります。
当事業年度の実績は、「
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
当社グループにおいては、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に最大限の努力を行ってまいります。しかし、予想を超える事態が生じた場合には、当社グループの経営成績等に重大な影響を与える可能性があります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではありません。
(1)建築塗料業界について
当社グループは、建築塗料業界に属しておりますが、公共投資、民間設備投資及び住宅投資の動向、少子高齢化や人口の減少が売上高等に少なからず影響を与える可能性があります。経済情勢や市場構造の変化を見極めて、新築市場だけでなく、膨大な住宅等のストックを有するリニューアル市場において改修需要を創造していくことで対応に努めてまいります。
(2)価格競争について
当社グループが販売しております汎用製品におきましては、価格競争が厳しく、その対応によりましては販売単価の低下等によって経営成績等に大きな影響を与える可能性があります。当社グループは、数多くの特許技術を用いた製品やオリジナル製品で差別化を図るほか、新製品の開発・改良、原材料のコストダウンによって対応してまいります。
(3)製造物賠償責任について
当社グループは、各種の品質管理基準に従って製品を製造しております。しかし、全ての製品について将来に亘って欠陥が発生しないという保証はありません。また、製造物賠償責任については保険に加入しておりますが、賠償額を充分カバーできるとは限りません。大規模な製品の欠陥が発生した場合は経営成績等に大きな影響を与える可能性があります。
(4)海外における事業展開について
当社グループは、中国をはじめとしてアジアに進出しておりますが、進出先において、予期しない法律または規制の変更、不利な政治または経済要因、テロ・戦争その他の要因による社会的混乱等が発生した場合には、製造・販売の事業活動の停止・制限等により、経営成績等に大きな影響を与える可能性があります。
(5)為替変動について
当連結会計年度における当社グループの海外売上高の割合は連結売上高の15.9%を占めており、為替変動の影響を受けております。為替予約等対策も必要に応じて講じておりますが、これにより当該リスクを回避できる保証はなく、為替が大きく変動した場合には経営成績等に大きな影響を与える可能性があります。
(6)産業事故・自然災害について
当社グループは、生産活動の中断により生じる損害を最小限に抑えるため、製造設備に対し定期的な防災点検及び設備保守、また、安全のための設備投資等を行っております。しかしながら、突発的に発生する災害や天災、不慮の事故等の影響で製造設備等が損害を被った場合には、生産能力に影響を与え、経営成績等に大きな影響を与える可能性があります。
(7)気候変動について
当社グループは、温室効果ガス排出量(SCOPE1及び2)を指標として、省エネによる炭素排出の削減、新製品・新工法の開発、既存製品・施工技術の改善改良等を行っております。しかし、近年の環境問題への意識の高まりから、環境問題への対応遅れによるステークホルダーからの信用失墜による受注減少、化石燃料価格の高騰による原材料及び物流コスト増加、炭素税や温室効果ガス排出を抑制する政策、規制強化によるエネルギーコスト増加等のリスクがあり、経営成績等に大きな影響を与える可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症による制限が緩和され、社会経済活動の正常化が進んだことから、景気は緩やかな回復基調となりました。しかしながら、国際情勢に起因する資源価格の高騰や物価の上昇に加え、世界的な金融引き締め等が続く中で、中国経済の減速など海外景気の下振れが国内景気に影響を及ぼすことが懸念され、依然として先行きは不透明な状況が続いております。
建築塗料業界におきましては、都市部や首都圏を中心とした大規模再開発案件や物流施設・データセンターなどの需要が堅調に推移致しました。一方、戸建住宅等の需要はインフレの影響を受け、消費者マインドにブレーキがかかりました。また、慢性的な人材不足による現場技術者及び現場作業員の確保と育成が大きな課題であり、建築費・人件費の高騰、人材の高齢化等厳しい市場環境にあります。
このような状況下、当社グループは、販売価格の見直しを行い、経費削減に努めるとともに、引き続き新築市場だけではなく膨大なストックを有するリニューアル市場において、当社の技術革新による製品、超耐久・超低汚染塗料、地球温暖化現象に対応した省エネタイプの遮熱塗料、新型省力化建材、オリジナルの高意匠性塗材や耐火被覆材・断熱材等の拡販に努めてまいりました。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ140億32百万円増加し、1,830億76百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ23億90百万円増加し、304億66百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ116億42百万円増加し、1,526億10百万円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高1,008億83百万円(前年同期比5.5%増)、営業利益120億85百万円(同21.6%増)、経常利益170億58百万円(同33.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益118億25百万円(同30.9%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
建築仕上塗材事業は、売上高896億41百万円(同4.7%増)、セグメント利益131億48百万円(同18.1%増)となりました。
耐火断熱材事業は、売上高94億61百万円(同22.7%増)、セグメント利益13億93百万円(同56.2%増)となりました。
その他の事業は、売上高17億80百万円(同22.2%減)、セグメント利益1億27百万円(同18.2%増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ7億60百万円減少(前年同期比1.3%減)し、580億18百万円となりました。
営業活動により得られた資金は91億76百万円(同28.3%増)、投資活動の結果使用した資金は95億64百万円(同53.4%減)、財務活動の結果使用した資金は、12億33百万円(同8.3%減)となりました。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
前年同期比(%) |
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建築仕上塗材(百万円) |
89,939 |
105.0 |
|
耐火断熱材(百万円) |
9,493 |
122.1 |
|
報告セグメント計(百万円) |
99,432 |
106.5 |
|
その他(百万円) |
1,764 |
78.2 |
|
合計(百万円) |
101,196 |
105.8 |
(注)1.金額は販売価格によっております。
2.上記の金額には、特殊仕上工事及び耐火断熱工事の施工実績を含めております。
b.受注実績
当社グループの製品は受注から納品までの期間が短いため、受注残高はほとんどなく、受注高も販売実績と大きな差異はないので、受注高並びに受注残高については記載を省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
前年同期比(%) |
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建築仕上塗材(百万円) |
89,641 |
104.7 |
|
耐火断熱材(百万円) |
9,461 |
122.7 |
|
報告セグメント計(百万円) |
99,103 |
106.2 |
|
その他(百万円) |
1,780 |
77.8 |
|
合計(百万円) |
100,883 |
105.5 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.総売上の10%以上を占める販売先はありません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は、次のとおりであります。
a.財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ140億32百万円増加し、1,830億76百万円(前年同期比8.3%増)となりました。増加した主なものは、現金及び預金63億90百万円(同6.4%増)、受取手形及び売掛金10億47百万円(同5.9%増)、長期預金49億43百万円(同32.8%増)であります。
負債につきましては、前連結会計年度末に比べ23億90百万円増加し、304億66百万円(同8.5%増)となりました。増加した主なものは、未払法人税等13億12百万円(同64.3%増)、未払金6億75百万円(同11.4%増)、流動負債のその他6億53百万円(同35.5%増)、減少した主なものは、支払手形及び買掛金7億70百万円(同8.1%減)であります。
純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ116億42百万円増加し、1,526億10百万円(同8.3%増)となり自己資本比率は83.4%となりました。増加した主なものは、親会社株主に帰属する当期純利益118億25百万円(同30.9%増)を含む利益剰余金107億47百万円(同7.6%増)であります。
b.経営成績
当連結会計年度における当社グループの経営成績は、建築仕上塗材事業におきましては、戸建住宅等の民間の需要はインフレの影響を受けてブレーキがかかりましたが、大規模再開発案件や物流施設、データセンター等の需要は堅調に推移しました。
このような状況下、建物の長寿命化、環境負荷低減に対応した主力の超耐久・超低汚染のエスケープレミアムシリーズ及びセラタイトシリーズ、装飾・意匠性に優れたベルアートシリーズ、エレガンシリーズが貢献しております。
耐火断熱材事業におきましては、物流施設、データセンター等の需要が継続しており、売上高が増加しました。都市部や首都圏を中心とした大規模再開発物件には、仕上がりが薄く意匠性に優れるセラタイカ2号及びSKタイカコート等が多く採用されております。
この結果、売上高は、1,008億83百万円(前年同期比5.5%増)となりました。利益面におきましては、原材料の高騰を受けて製品価格の値上げを行い、営業利益は、120億85百万円(同21.6%増)となり、経常利益は、為替変動の影響等により170億58百万円(同33.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は、118億25百万円(同30.9%増)となりました。
当社グループは、売上高、営業利益率を目標の達成状況を判断するための重要な指標と考えております。当連結会計年度の売上高の目標1,000億円に対して実績1,008億83百万円、営業利益率の目標10.2%に対して実績12.0%となりました。また、持続的な成長と中長期的な企業価値向上の判断する指標として、自己資本利益率及び株価純資産倍率を安定的に維持することも重要と考えております。当連結会計年度における自己資本利益率は8.1%、株価純資産倍率は0.7倍となりました。引き続き当該指標が改善されるよう取り組んでまいります。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
建築仕上塗材事業
建築仕上塗材事業におきましては、特にリニューアル市場において超耐久性塗料や超低汚染機能で差別化した省エネタイプの遮熱塗料等の販売を行ない、売上高は896億41百万円(同4.7%増)と前連結会計年度に比べて40億58百万円の増収となりました。セグメント利益は131億48百万円(同18.1%増)と前連結会計年度に比べて20億16百万円の増益となりました。セグメント資産は前連結会計年度末に比べて12億95百万円増加し、1,040億43百万円となりました。
耐火断熱材事業
耐火断熱材事業におきましては、都市部の再開発事業における受注は続いており、売上高は94億61百万円(同22.7%増)と前連結会計年度に比べて17億50百万円の増収となりました。セグメント利益は、13億93百万円(同56.2%増)と前連結会計年度に比べて5億1百万円の増益となりました。セグメント資産は前連結会計年度末に比べて13億2百万円増加し、99億28百万円となりました。
その他の事業
その他の事業におきましては、売上高は17億80百万円(同22.2%減)と前連結会計年度に比べて5億6百万円の減収となりました。セグメント利益は1億27百万円(同18.2%増)と前連結会計年度に比べて19百万円の増益となりました。セグメント資産は前連結会計年度末に比べて6億6百万円減少し、18億62百万円となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、次のとおりであります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ7億60百万円減少(前年同期比1.3%減)し580億18百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は、91億76百万円(同28.3%増)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益170億58百万円(同33.2%増)、法人税等の支払額40億53百万円(同5.9%減)、為替差益34億20百万円(同70.0%増)によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、95億64百万円(同53.4%減)となりました。これは主に定期預金の預入による支出510億51百万円(同10.0%減)、定期預金の払戻による収入421億15百万円(同14.4%増)、固定資産の取得による支出6億71百万円(同186.2%増)によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、12億33百万円(同8.3%減)となりました。これは主に配当金の支払額10億76百万円(同0.1%減)によるものであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。
事業運営上必要な資金は、自己資金より充当することを基本としております。
運転資金需要のうち主なものは、製品を製造するための材料仕入、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資資金需要は、生産設備の購入等によるものであります。
資金の流動性について、当連結会計年度末の資金の残高は580億18百万円となっておりますが、これは主に普通預金、預入期間が3ヶ月以下の定期預金であり、当社グループの事業活動に必要な流動性を十分に満たしていると認識しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたっては、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行っておりますが、この見積りや判断における前提や状況が変化した場合には、最終的な結果が異なるものとなる可能性があります。
なお、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、その他の重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
当連結会計年度において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。
当社研究技術開発グループは、建築用、住宅用、建材用等の各分野において、材料の基礎研究、先進技術をベースに材料の高機能化、高級化による付加価値向上、さらには省力化を目指した新製品、新工法の開発を推進し、新市場への需要開発を進めております。
当連結会計年度の研究開発活動は、当社において、従来の技術開発を主に行う第一技術研究所と耐火被覆材、高機能材料等の新規分野の研究開発を行う第二技術研究所が相互に連携し合い、各種建築仕上材料の開発を中心に各分野の開発を推進しております。
当連結会計年度における各事業分野の研究の目的、主要課題、研究開発成果及び研究開発費は次のとおりであります。なお、当連結会計年度中に支出した研究開発費の総額は、
(1)建築仕上塗材事業
主力分野である建築仕上塗材事業では、世界的な資材・物流問題が継続する中、製品の安定供給を最優先に取組むとともに、近年のトレンドである「快適・健康・安心・安全・環境」をコンセプトに製品開発に注力してまいりました。
継続して「リニューアル市場を拡大する高耐候・環境対応製品」をテーマに、戸建住宅向けにこれまでに汚れ難く優れた耐候性を示す無機複合反応硬化形水性ハイブリッドシリコン樹脂塗料を上市してきましたが、外壁・鉄部・付帯部用に弱溶剤タイプをラインアップに加え、メンテナンスサイクルの延長化に努めてまいりました。また、砂壁調・土壁調意匠性塗材の塗替え用に新築時の素材感をそのまま活かした超耐候性塗替え用仕上塗材を、高耐候サイディングの塗替え用には超耐候性水性多彩模様塗料をそれぞれ上市し、メンテナンスサイクルの延長化に努めるとともに、いずれの製品もローラー施工が可能であり、環境負荷低減化に努めてまいりました。
引き続き建築仕上材分野における新築及び改修分野において顧客満足度を高め、シェアアップ、資産価値向上に対応してまいります。
当事業に係る研究開発費は、
(2)耐火断熱材事業
耐火断熱材事業では、施工省力化や工期短縮、ならびに建物の高耐久化など、顧客要望に応える研究に取り組み、継続的な防耐火材料の応用開発を推進してまいりました。
速乾性、厚膜塗装などを特徴とした高耐久速硬型耐火塗料は、梁、柱(鋼管柱、鉄骨柱)について、多くの耐火認定を取得し、低層から高層ビル、複合施設、あるいは物流倉庫や冷蔵、冷凍倉庫など様々な鉄骨建造物に対して適用可能となり、多くの施工実績を積み重ねてまいりました。更に今期は、防火被覆30分耐火、そして2023年4月に改正された建築基準法に対し、中層階エリアでメリットの得られる90分耐火認定取得にもいち早く取り組み、より多くの要望に応える仕様、工法開発を進めてまいりました。
薄膜シート状耐火被覆材においては、乾式材料として優れたハンドリング性、クリーンな環境負荷低減効果を有する特徴から、益々、多方面からの引き合いを受け、鉄部材に拘らず、異種素材、構造への複合化による防火性、耐火性付与の研究を進めております。本材料については、今後の需要拡大が期待されることから、引き続き、注力してまいります。
今後とも新規材料の調査、基礎研究、ならびに新工法、新仕様の開発に取り組み、更なる技術力向上を図ることで多様化する防耐火被覆材料の用途拡大に向け、より一層、市場ニーズを的確に捉え、人命にかかわる建物の耐火断熱分野において貢献してまいります。
当事業に係る研究開発費は、