当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは『自然との調和を大切に、発酵やバイオの技術を通じて人間の健康的な暮らしと生き生きとした社会づくりに貢献します。』という企業理念のもと、技術力、商品力、ブランド力をさらに向上させ、「和酒・日本食市場」「ライフサイエンス産業」における多様な価値を提供することで、宝グループの国内外での存在感を高めながら、持続的な成長と飛躍を実現することを目指しております。
(2)経営戦略、経営環境、優先的に対処すべき事業上・財務上の課題および経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループを取り巻く環境は、国内での高齢化・人口減少や若年層の飲酒離れによる酒類市場の長期的な縮小や、国内外での人材確保難等による人件費や物流費の増加など、今後も厳しさを増してくることが予想されます。また、地政学的要因を背景としたグローバルなサプライチェーンへの影響等により、原材料価格やエネルギー価格の高騰を起点として、国内外での様々なコストアップが懸念され、安定的な調達に対するリスクも高まっています。さらに、現下のライフサイエンス分野の研究開発アクティビティは、米国・欧州におけるインフレの長期化や政策金利の高止まりや中国における景気低迷を原因としたアカデミア向けの研究補助金の削減の影響などにより世界的に低迷しております。
一方で、ノンアルコール飲料も含めた国内のRTD市場では厳しい競争下ながらも市場の拡大が見込まれ、世界的な和酒・日本食市場は引き続き成長が期待されるほか、ライフサイエンス産業の市場規模は、中長期的には再生・細胞医療・遺伝子治療等を中心に拡大が予想されており、当社グループにとって成長を見込める機会も数多く存在しています。また、気候変動、生物多様性保全、資源保全、人権尊重といった多様な課題への対応が世界的規模で求められており、持続可能な社会づくりに向けた企業の責任はますます大きくなっています。そして、持続的な成長や企業価値の向上に向けては、資本効率性の向上による成長・強化領域への投資の強化や、人的資本やITなどの無形資産への投資の強化と活用がこれまで以上に重要になってきています。
このような状況の中で、当社グループは、2026年3月期を最終年度とする長期経営構想「TaKaRa Group Challenge for the 100th」の実行計画の総仕上げに向けた「宝グループ中期経営計画2025」に取り組んでおります。「宝グループ中期経営計画2025」では、独自のビジネスモデルの確立と事業推進によって、事業の「稼ぐ力」を向上させながら、社会課題の解決に貢献することで、「TaKaRa Group Challenge for the 100th」で掲げるVision「Smiles in Life~笑顔は人生の宝~」の実現を目指してまいります。
「宝グループ中期経営計画2025」の概要は以下のとおりであります。
「宝グループ中期経営計画2025」
経営方針
~成長・強化領域への投資を加速させ、企業価値を高める3年間~
成長・強化領域への投資を加速させ、生産性の向上やイノベーションの創出を働きがいを高めることで実現し、グローバルかつサステナブルな宝独自の2つのビジネスモデル※を確立・強化することで、バランスのとれた事業ポートフォリオでの持続的な成長とVisionの実現を達成する。加えて、コーポレートとしての情報発信とコミュニケーションを強化することで、企業価値を高める。
※宝独自の2つのビジネスモデル
宝酒造・宝酒造インターナショナルグループ
日本食文化(和酒・日本食)の世界浸透推進
タカラバイオグループ
ライフサイエンス産業におけるインフラを担うグローバルプラットフォーマー
定量目標
2026年3月期 宝グループ連結
・売上高 4,200億円以上
・営業利益 380億円以上
・海外売上高比率 60.0%以上(タカラバイオグループを除く海外売上高比率60.0%以上)
・ROE 9.0%以上
・ROIC 7.5%以上
事業方針
<宝酒造>
「グローバル和酒No.1」の源泉として、伸長領域を中心に、高い技術力と「NIPPON品質」に基づいた新たな市場を創造する商品の開発・育成やブランド価値の向上に注力するとともに、宝酒造インターナショナルグループとの協業も加速させ、社会課題の解決に貢献しながら、利益額・率を大きく向上させる。
<宝酒造インターナショナルグループ>
宝酒造や国内外のグループ会社との協業を加速し、現地のニーズを捉えた輸出・現地生産の商品ポートフォリオ拡充と、和酒に強みを持った日本食材卸としてのプレゼンスの向上によって、和酒と日本食の相乗効果を最大限に発揮した「日本食文化の世界浸透」を推進し、社会課題の解決に貢献しながらグローバル和酒・日本食材No.1企業を目指す。
宝酒造と宝酒造インターナショナルグループにおいては、両社の協業をこれまで以上に推進し、国内外のニーズやトレンドを捉えて、スパークリング日本酒「澪」のグローバルブランド化を中心に、トラディショナル、イノベーティブの両面から和酒の開発とブランド育成を進めることで、世界の市場に和酒を拡大し、グローバル和酒No.1企業としてのプレゼンスを高める。
<タカラバイオグループ>
試薬・機器の新製品やCDMOメニューの開発および新モダリティを創出する基盤技術の開発に向けてR&D費用を積極的に投下することで、臨床・創薬分野への事業領域拡大を加速させながら、「ライフサイエンス産業におけるインフラを提供するグローバルプラットフォーマー」としての存在感を高める。
<コーポレート部門>
“事業と一体”となって、グローバルでサステナブルなビジネスモデルを強固に支えるグループ経営機能を強化するとともに、グループ全体の生産性の向上やイノベーションの創出の実現に向けた「働きがい」のある環境を構築しながら、コーポレートとしての情報発信とコミュニケーションを強化し、社内外のステークホルダーからの宝グループの評価を向上させる。
財務方針
・健全な財務体質の維持をベースとして、成長・強化領域への投資を加速するために、グローバルなキャッシュマネジメントを強化するとともに、資産の効率性の向上や、政策保有株式の売却等によりキャッシュフローを創出する。
・利益水準に応じた適切な株主還元(配当性向35%を目途)を実施する。
当社グループは「Smiles in Life~笑顔は人生の宝~」をありたい姿(Vision)として掲げ、世界中の暮らしを、命を、人生を、笑顔で満たすために挑戦し続けることを宣言しています。そして、事業活動を通じた社会的価値の創造を将来にわたって実現し続けていくためには、様々な社会課題の解決にこれまで以上に取り組む必要があるという認識のもと、「宝グループ・サステナビリティ・ポリシー」を策定しています。
「宝グループ・サステナビリティ・ポリシー」では、当社グループを取り巻く社会課題について、「安全・安心」をはじめとする10の重要課題(マテリアリティ)を取り上げ、各々についての取り組み方針を示しており、さらに、その方針に基づく具体的な中長期目標を設定した「宝グループ・サステナビリティ・ビジョン」を策定しています。
当社グループは、これからも事業活動を通じた社会的価値の創造により、ステークホルダーの皆様から信頼される企業グループを目指すとともに、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
記載の数値目標は、当連結会計年度末時点で入手可能な情報および合理的であると判断する一定の前提に基づいており、その達成を保証するものではありません。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) サステナビリティ
①ガバナンス
当社グループでは、取締役会の監督のもと、宝ホールディングス代表取締役社長を委員長とした「宝グループ・サステナビリティ推進委員会」を設置しています。また、宝グループ・サステナビリティ推進委員会の下部組織として「サステナビリティ推進事務局」を設置しています。サステナビリティ推進事務局は、サステナビリティ推進委員会の決定に基づいて、グループ各社の具体的活動の設定、実行を推進します。
これらのサステナビリティへの取り組みは、宝グループ・サステナビリティ推進委員会が取締役会に報告します。
②戦略
当社グループを取り巻く社会環境は急速に変化し、気候変動、生物多様性保全、資源保全、人権尊重といった多様な課題への対応が世界的規模で求められており、持続可能な社会づくりに向けた企業の責任はますます大きくなっています。当社グループが事業活動を通じた社会的価値の創造を将来にわたって実現し続けていくためには、様々な社会課題の解決にこれまで以上に取り組む必要があるという認識のもと、「宝グループ・サステナビリティ・ポリシー」を策定、ステークホルダーからの期待度と当社グループの事業への影響度を考慮し、下記の10の重要課題(マテリアリティ)を取り上げ、各々についての取り組み方針を示すとともに、取締役会の監督のもと、宝グループ・サステナビリティ推進委員会がマテリアリティごとに設定した重点テーマにおける戦略の立案・実行を推進しています。
・宝グループ・サステナビリティ・ポリシーで取り組む10の重要課題(マテリアリティ)
③リスク管理
当社グループは「宝グループ・サステナビリティ推進委員会」を設置しサステナビリティに関するリスク・機会の評価や戦略の策定、目標などについて審議を進めています。特定されたリスク・機会の内容とその対応策は、宝グループ・サステナビリティ推進委員会が取締役会へ報告します。
④指標と目標
重要課題(マテリアリティ)についてサステナビリティ・ビジョンで指標及び目標を設定しています。
・「宝グループ・サステナビリティ・ビジョン」指標・目標
|
取り組みテーマ |
具体的施策 |
目標 |
|
マテリアリティ:安全・安心 |
||
|
宝酒造における安全・安心な品質の確保 |
食品安全マネジメントシステム(FSSC22000 国内自社工場6拠点)の維持 |
[宝酒造] ・自社工場全6拠点*のFSSC22000を維持する。 (*松戸工場、楠工場、伏見工場、白壁蔵、黒壁蔵、島原工場) |
|
宝酒造の安全な商品づくり ・設計段階における関連法令・自主基準への適合性審査 ・安全性を確認した原料の安定調達 ・安全かつ安定した品質を作り込む製造ラインの維持・向上 |
[宝酒造] ・商品設計、原料調達、製造の各段階における安全品質の確認を徹底し、品質管理体制をいっそう強化させる。 ・新規委託先及び新規原料サプライヤーへの監査と品質管理評価の実施率100%を維持する。 ・品質保証書による原材料の安全性確認100%を維持する。 |
|
|
お客様満足の追求(ISO10002) |
[宝酒造] 苦情対応プロセス及び対応部門の知識を向上させる。 a)お客様相談室スタッフの知識向上に向け、品質管理部門による講習を年1回以上行う。 b)お客様訪問時における対応品質向上に向け、訪問時マニュアルに対する理解度テストを実施する。(テスト実施率100%達成) |
|
|
タカラバイオグループにおける安全・安心な品質の確保 |
タカラバイオグループの品質マネジメントシステム(ISO9001ほか)の維持 |
[タカラバイオグループ] ・すでにISO認証を取得した事業所におけるISO認証を維持し、品質向上及び顧客満足度の向上に努める。必要に応じて、ISO認証取得範囲の拡大に努める。 ・事業に必要な業許可・登録等を維持する。 |
|
GMP/GCTP(※1)等の各種品質・製造・安全基準、第三者認証制度への適合・維持 |
||
|
製品情報の適切な開示 |
[タカラバイオグループ] 自社製品(試薬)に関し、2025年度までに、SDS(セーフティー・データ・シート ※2)を多様な言語(日、英、中)で情報提供を行う。 |
|
|
宝酒造インターナショナルグループにおける安全・安心な品質の確保 |
グローバルな品質保証体制構築に向けた取り組み ・海外の食品安全法規情報の把握と遵守 ・主な海外グループ会社の食品安全に関する認証取得推進 |
[宝酒造インターナショナルグループ] ・輸出対象国の食品法規適合率100%を継続する。 ・2025年度までに海外グループ会社への品質監査を実施し、品質リスクとなる要素が発見された場合は適切に是正する。 |
|
マテリアリティ:健康 |
||
|
世界のライフサイエンス研究と発展への支援
|
ライフサイエンス研究・産業の発展を幅広く支援 |
[タカラバイオグループ] 安定的な製品供給にむけて、日本・中国・米国・欧州等の主要拠点の製造施設の整備を進め、最適化を図ることで、ライフサイエンス研究の発展をグローバルで支援する。 |
|
ライフサイエンスコミュニティへの貢献 |
[タカラバイオグループ] ・セミナー・ワークショップ開催を通じ、バイオテクノロジーの基礎から最新技術の普及を図る。 ・オープンイノベーションを通じ、アカデミアシーズの事業化を推進する。 ・バイオテクノロジーの社会的理解の促進に努める。 |
|
|
取り組みテーマ |
具体的施策 |
目標 |
|
遺伝子解析技術の検査や診断への応用 |
ウイルス等の検査・診断キットの提供 |
[タカラバイオグループ] 世界的に流行する感染症のウイルス検査製品に加え、世界各地の特性や需要に合わせた“グローカル”な製品開発により対象範囲を拡大する。 |
|
遺伝子治療の社会実装 |
アンメットメディカルニーズを満たす遺伝子治療関連技術の開発推進 |
[タカラバイオグループ] ・自社開発によるTBI-1301の製造販売承認申請を行い、社会実装化する。 ・再生医療等製品の開発・製造支援事業(CDMO事業)を推進する。 |
|
健康配慮型商品の提供 |
糖質ゼロ、糖質オフ製品の開発 |
[宝酒造] おいしさや飲みごたえ、調理効果はそのままに、糖質ゼロやオフの機能性をもつ商品をお客様のニーズに合わせて開発する。 |
|
料理清酒の食塩ゼロ訴求 |
[宝酒造] 料理清酒の食塩ゼロ認知率を2030年度までに35%まで向上させる。 |
|
|
オーガニック食品等の提供 |
[宝酒造インターナショナルグループ] オーガニック及びビーガン対応商品を、2025年度までに1,569アイテム(2021年3月から+300アイテム)まで拡大させる。 |
|
|
食物アレルギーに配慮した商品の開発 |
[宝酒造インターナショナルグループ] グルテンフリー等の商品を、2025年度までに1,640アイテム(2021年3月から+150アイテム)まで拡大させる。 |
|
|
マテリアリティ:酒類メーカーとしての責任 |
||
|
適正飲酒の啓発 |
ウェブサイトや冊子による啓発 |
[宝酒造] 宝酒造ウェブサイトの適正飲酒啓発(20歳未満の者の飲酒禁止、飲酒運転防止等)ページビュー数について、2022年度に対2020年度比20%増、2025年度に対2020年度比50%増を達成する。 |
|
従業員に対する啓発 |
[グループ全体] ・グループ全体の従業員に対し、適正飲酒についての啓発を行う。 ・国内グループ会社(※3)全従業員を対象とした適正飲酒に関するeラーニング等の受講率100%を継続する。 |
|
|
責任あるマーケティングの実施
|
責任ある広告の実施 |
[宝酒造] 広告・宣伝の自主基準に対する違反件数ゼロを継続する。 |
|
商品表示における配慮 |
[宝酒造] ・ホームページに主な商品の純アルコール量を開示する。2025年度までに国内で販売するすべての消費者向け商品(酒類調味料除く)に純アルコール量を表示する。RTD商品については2023年度中に完了する。 ・2025年度までに「20歳未満の者の飲酒禁止表示」に加え、「妊産婦への注意表示」、「適量飲酒の啓発表示」をすべての消費者向け商品(酒類調味料除く)に表示する。 |
|
|
グローバルガイドラインの尊重 |
WHOアルコール世界戦略の尊重 |
[宝酒造] WHOアルコール世界戦略の支持を表明し、その内容を従業員に周知徹底する。 |
|
外部イニシアチブへの参加 |
公益法人等が行う適正飲酒の普及・啓発事業等への参画 |
[宝酒造] 企画委員、実務者委員として、アルコール健康医学協会及び広告審査委員会が行う適正飲酒啓発活動へ能動的に参画する。 |
|
取り組みテーマ |
具体的施策 |
目標 |
|
マテリアリティ:環境 |
||
|
気候変動問題への対応 |
CO2排出量の削減 |
2030年度 [宝酒造・宝酒造インターナショナルグループ] ・生産拠点におけるCO2排出量を2018年度比で46%削減する。 [タカラバイオグループ] ・CO2排出原単位(売上高当たりのCO2排出量)を2018年度比で50%削減する。 [宝酒造(物流部門)] ・宝酒造製品の輸送におけるCO2排出原単位(出荷数量当たりのCO2排出量)を2018年度比で10%削減する。 2050年度 [グループ全体] ・宝グループ連結でCO2排出量を実質ゼロにする。 |
|
適正な水の使用 |
地域の特性に配慮した水の使用 |
[宝酒造] ・2025年度までに、宝酒造の用水原単位(生産数量当たりの用水使用量)を2017年度比で15%削減する。 ・水源保護、廃水保全の取り組みを継続する。 |
|
廃棄物排出の抑制 |
工場廃棄物の削減および再資源化の推進 |
[宝酒造] 宝酒造の製造工程における廃棄物の再利用率98%以上を継続する。 |
|
フードロス削減への取り組み |
[宝酒造] ・希少な国産果実をはじめとした原料の有効利用率を向上させる。 ・自社商品やそれを利用した加工食品のロングライフ化を進める。 |
|
|
環境に配慮した製品パッケージ、梱包への対応 |
環境に配慮した製品の開発 |
[宝酒造] ・量り売り製品の販売を継続する。 ・3Rに配慮した持続可能な容器包装の導入を進め、2050年度までに採用率100%を達成する。 ・紙パック製品の森林認証紙化を進め、2030年度までに採用率100%を達成する。 ・紙、樹脂ラベルへのバイオマスインク化を進め、2025年度までに使用率100%を達成する。 [宝酒造インターナショナルグループ] ・海外各国の法規制等に則り、プラスチック軽量化商品の開発と切替を継続する。 [タカラバイオグループ] ・紙パッケージの森林認証紙化を進め、2025年度までに採用率100%を達成する。 ・片面アルミパウチのアルミレスパッケージ化を進め、2025年度までに採用率100%を達成する。 ・紙パッケージへのベジタブルオイルインク化を進め、2025年度までに使用率100%を達成する。 |
|
リサイクル啓発冊子の無償配布 |
[宝酒造] 希望者への無償提供を継続する。 |
|
|
生態系・生物多様性の保全 |
生態系や生物多様性を守る活動や研究への助成 |
[宝ホールディングス] ・タカラハーモニストファンドによる助成を継続する。 [宝ホールディングス・宝酒造] ・各事業場における地域貢献活動を継続する。 |
|
取り組みテーマ |
具体的施策 |
目標 |
|
マテリアリティ:ガバナンス |
||
|
コーポレートガバナンスの推進 |
最適なコーポレートガバナンス体制の構築 ・取締役および取締役会 ・監査役および監査役会 ・独立役員の選任状況 ・役員報酬 |
[宝ホールディングス] グループの持続的成長と中長期的な企業価値の向上に向けて、適切なコーポレートガバナンス体制が整備されている状態を継続する。 |
|
最適なグループガバナンスの検討 |
||
|
コンプライアンスの推進 |
コンプライアンス推進体制の強化 |
[グループ全体] 企業理念を実現するために、役員・従業員一人ひとりが「コンプライアンス行動指針」に基づいた行動を徹底し、海外を含めたグループ全体でコンプライアンスを推進する。 ・宝グループに属する一人ひとりが遵守すべき「法・社会倫理」に関わる行動指針である「コンプライアンス行動指針」を全従業員に配布し、コンプライアンスの徹底を図る。 ・リスク・コンプライアンス委員会を定期的に開催する。(原則年間2回) ・コンプライアンスに対する役員・従業員の意識向上を図るため、職制に応じた研修を実施する。(原則年1回) ・コンプライアンスに係る重点テーマについての職場教育を実施する。(原則年4回) ・内部通報制度を適切に運用するとともに、通報内容に対して迅速かつ適切に対応することで、法令違反や不正行為の未然防止・再発防止につなげる。 |
|
コンプライアンス教育の実施 |
||
|
内部通報制度の適切な運用 |
||
|
リスク管理体制の強化 |
リスクマネジメント(平時のリスク管理)の推進 |
[グループ全体] 国内外において企業を取り巻くリスクの顕在化防止と軽減に取り組むとともに、災害等の緊急事態発生時に迅速かつ適切に対応できる体制を構築する。 ・「職場点検報告書」や「リスク・コンプライアンスチェックリスト」、従業員へのヒアリング等を通じ、各社・各事業場のリスク管理状況に対するモニタリングを行い、リスクの顕在化防止とリスクの低減につなげる。(原則年1回) ・各種防災訓練(安否確認訓練、消防訓練、AED使用訓練 等)を定期的に実施する。(原則年1回) |
|
クライシスマネジメント(有事のリスク管理)の推進 |
||
|
マテリアリティ:豊かな食生活 |
||
|
和酒・日本食を通じた世界中の人々への食の豊かさの提供
和酒・日本食を通じた世界中の人々への食の豊かさの提供 |
<和酒の魅力や新たな価値の発信・提供> ・実体験型飲食イベントの開催 ・新機軸商品による市場開発 ・WEBサイト、SNSを活用した情報発信 ・和酒の魅力・価値の海外での浸透 |
[宝酒造] <焼酎> 「レモンサワーで日本を元気に!プロジェクト」を継続推進し、「焼酎+レモン+炭酸」でつくる日本独自の飲酒文化「レモンサワー」を啓発する。 《目標》レモンサワーフェスティバルなどの実体験型飲食イベント(オンライン含む)や飲食店応援企画を継続開催する。 <清酒> 日本酒になじみのない若年層に向けて「澪」を中心としたスパークリング清酒を中心に、日本酒の魅力について情報発信する。 《目標》澪を中心にユーチューブチャンネルをはじめ各種SNSで公式ページを開設し、2025年度にフォロワー数計30万人以上を達成する。 [宝酒造インターナショナルグループ] 2025年度までに海外専用商品、海外事業会社商品20アイテムを開発する。2030年度までに和酒輸出国数を100ヶ国に拡大する。 |
|
<日本食の魅力や新たな価値の発信・提供> ・販売先と連携した調味料セミナー、クッキングラボ等の開催 ・外部イニシアチブへの参画 ・本みりん、料理用清酒を使用した料理レシピの発信 ・日本食文化の海外での浸透 |
[宝酒造] 「タカラ本みりんレシピコンテスト」やNPO法人日本料理アカデミーと共催する「京料理人に学ぶ日本料理教室」を継続開催し、本みりんや料理清酒を使った新たな需要開発と日本食の魅力を啓発する。 《目標》「タカラ本みりんレシピコンテスト」と「京料理人に学ぶ日本料理教室」を継続開催する。 《目標》2030年度までに料理レシピを1,000件以上ウェブで発信する。 [宝酒造インターナショナルグループ] ・日本食の海外でのさらなる浸透を図るべく、各地で開催される展示会への出店や情報発信をする。 ・ミューチャルトレーディングによる日本料理学校での寿司職人、和食職人の育成を継続する。 |
|
|
お酒を通じたコミュニケーション創出と生活への潤い付与 |
お酒の楽しさや酒文化に関する情報発信 |
[宝酒造] 2025年度までに宝酒造公式「facebook」フォロワー数計20万人以上を達成する。 |
|
マテリアリティ:人財 |
||
|
人財育成 |
次世代を担う人財育成策の実施 |
[グループ全体] 経営幹部候補育成研修、次世代リーダー育成研修等を通じてグループの次世代を担うことのできる人財を育成する。 |
|
グローバルな事業成長を実現する人財(グローバル人財)の育成 |
[グループ全体] 継続的なキャリア採用による人財獲得と若手社員の宝酒造インターナショナルグループへの配置および海外赴任を含むジョブローテーションによってグローバルな事業成長を担うことのできる人財を育成する。 |
|
|
研修施設「宝ホールディングス歴史記念館」を活用した人財育成 |
[グループ全体] グループの共通の価値観である「TaKaRa Five Values」を共有するために、グループ全社員を対象とした「歴史記念館見学研修プログラム」を継続実施する。 |
|
|
多様な人財の活躍推進 |
女性の活躍推進 |
[グループ全体] ・女性役職者数を増加させる。 国内において女性活躍推進法行動計画※に基づいた取り組みを継続するとともに、特に宝ホールディングス、宝酒造、宝酒造インターナショナルの3社については、2021年度から2030年度末までに50人以上(2021年4月1日時点の女性役職者数39人の128%以上)の新任女性管理職、新任女性課長補佐を登用(中途採用による登用含む)する。 ・定年後再雇用により70歳までの就業機会を提供する。 ・障がい者雇用率を国内の法定雇用率以上に維持する。 ・多様な人財の獲得に向けた中途採用のさらなる活用を進める。 ※ 参考:主要会社の女性活躍推進法行動計画における主な目標 [宝ホールディングス・宝酒造・宝酒造インターナショナル] ・事務系、技術系の新卒採用者に占める女性比率:40%以上 ・女性管理職比率(2025年度末までに):10%以上 [タカラバイオ] ・女性育児休職(1年)からの復職率(職場への早期復職):50% |
|
シニア人財の活躍推進 |
||
|
障がい者雇用の推進 |
||
|
快適な職場環境とワークライフバランスの実現 |
職場の安全衛生確保 |
[グループ全体] ・総労働時間数を2020年度実績比で削減する。(国内グループ会社※3) ・有休取得率(取得日数)を2020年度実績比で向上させる。(国内グループ会社※3) ・育児休職からの復職率100%を維持する。(国内グループ会社※3) ・在宅勤務制度の効果的な活用を進める。 |
|
労働関係法令の遵守 |
||
|
長時間労働の防止 |
||
|
多様な働き方の推進 |
||
|
取り組みテーマ |
具体的施策 |
目標 |
|
マテリアリティ:調達 |
||
|
調達先との協業 |
調達先へのガイドラインの遵守要請 |
[宝酒造] 2023年度までに調達ガイドラインの理解・遵守を宣言した調達先と取引を行う。 |
|
マテリアリティ:人権 |
||
|
人権の尊重 |
新入社員研修や階層別研修での人権学習の実施 |
[グループ全体] 「宝グループ人権方針」に基づき、多様性(性別、年齢、人種、性的指向、ジェンダーアイデンティティ、障がいの有無など)、人格、個性を尊重し、差別やハラスメントのない職場環境を維持する。 |
|
多文化(多国籍文化)の理解・尊重 |
||
|
差別のない採用活動 |
||
|
ハラスメント防止への取り組み |
||
|
個人情報・プライバシーの保護 |
||
|
人権デューデリジェンスの取り組み |
人権デューデリジェンス・プロセスの実施 |
[グループ全体] 組織横断のワーキングチームを中心とした人権デューデリジェンスのプロセスに基づく人権リスクの特定・評価、負の影響の防止、軽減、取り組み効果の追跡調査、情報開示の一連の取り組みを実施する。 |
|
マテリアリティ:コミュニティ |
||
|
子どもたちへの教育 |
環境教育や食育等を目的としたイベントの開催、地域の小学校等への出前授業の実施 |
[宝酒造] ・宝酒造「田んぼの学校」を継続実施する。 ・宝酒造「エコの学校」 を継続実施する。 [タカラバイオグループ] ・近隣の教育機関を対象とした“出前講義・授業”を継続実施する。 (遺伝子治療や再生医療など講演及びキャリアプラン設計のための活動体験の発表を継続的に実施する) |
|
地域社会・文化振興への貢献 |
地域の清掃活動等への参加、地域社会への支援 |
[グループ全体] 全国各地で行われている清掃活動へのボランティア参加や地域イベントへの協賛などに参加・協力を継続して実施する。 |
|
地域経済の振興 |
地域密着型商品の継続的育成 |
[宝酒造] ・地域の希少な自然の恵みを使用し、農業生産者と消費者をつなぐ「寶クラフト」や、地域の嗜好に適した地域限定商品の開発・育成を継続する。 ・地域の果樹農業応援活動(収穫応援・寄付活動等)を2030年度に年間20件にする。 |
|
未利用資源の有効活用による地域経済の振興 |
[宝酒造] ・2030年度までにアップサイクル型商品を10件開発する。 |
|
|
大規模災害への被災支援 |
被災地域への義援金拠出や給水活動、ボランティア活動 |
[グループ全体] 自治体の要請等に対し、給水活動を主とするボランティア活動など、可能な限りの迅速な支援活動を実施する。 |
※1 GMP:Good Manufacturing Practice、 GCTP:Good Gene, Cellular, and Tissue-based Products Manufacturing Practice
※2 SDS:Safety Data Sheet(化学物質等安全データシート)
※3 国内グループ会社:宝ホールディングス、宝酒造、宝酒造インターナショナル、タカラバイオ、川東商事、トータルマネジメントビジネス、タカラ物流システム、ティービー、タカラ物産、ラック・コーポレーション、東京共同貿易、タカラサプライコミュニケーションズ(旧大平印刷、旧タカラ容器)
⑤気候変動への対応(TCFDへの取り組み)
当社グループは、地球環境の保全と事業活動の調和を経営の重要課題のひとつと位置づけ、積極的に取り組みを進めています。気候変動が事業の持続性に影響を与える重要な問題であると認識し、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に賛同するとともに、TCFDコンソーシアムに入会しています。TCFDフレームワークに沿って気候変動に関するリスクと機会の評価と対応を進め、関連する情報の開示を行いステークホルダーの皆様と対話を続けていきます。
a.ガバナンス
当社グループでは、取締役会の監督のもと、宝ホールディングス代表取締役社長を委員長とした「宝グループ・サステナビリティ推進委員会」を設置し、気候変動が事業に与えるリスク・機会の評価や戦略の策定、目標などについて審議を進めています。これらの気候変動問題への取り組みは、宝グループ・サステナビリティ推進委員会が取締役会に報告します。
b.リスク管理
気候変動に関するリスクと機会の特定に向け、移行リスクや物理的リスクについて、専門家の意見や公表されているレポートなどを参考に、想定されるリスク・機会を抽出し、影響を受ける可能性や大きさを考慮し、短期・中期・長期の時間軸で影響が大きいと想定されるリスク・機会を選定しました。特定されたリスク・機会の内容とその対応策は、宝グループ・サステナビリティ推進委員会が取締役会へ報告します。
c.戦略
当社グループでは、2021年度に分析した宝酒造株式会社、2022年度に分析した宝酒造インターナショナル株式会社の海外酒類事業に加え、2023年度は宝酒造インターナショナル株式会社の海外日本食材卸事業に対象を広げ、気候変動リスク・機会による事業への影響の把握、対応策の検討のためのシナリオ分析を実施しました。
なお、この分析にあたり、物理的リスクではIPCC(気候変動に関する政府間パネル)のAR5によるRCP2.6(2℃未満シナリオ)およびRCP8.5(4℃シナリオ)、移行リスクではIEA(国際エネルギー機関)のWEOによるAPSシナリオ(2℃未満シナリオ)、SDSシナリオ(2℃未満シナリオ)、NZE2050シナリオ(1.5℃シナリオ)を参照し、気候変動による影響を分析・検討しました。
・移行リスク
気温上昇が2℃未満に抑えられ、カーボンニュートラル達成に向け厳しい環境規制が導入されるなかで、炭素税の導入による、製造コストや運営コスト、保管コスト、容器・包装材価格の増加により事業が影響を受けます。
・物理的リスク
気温上昇が4℃程度となり、海面上昇による高潮や洪水の被害は操業に大きな影響を与えます。さらに、気温上昇により、原材料である農作物の収量が大きな影響を受けることがわかりました。
・機会
省エネ設備の導入等省エネ推進によって操業コストが低減することや、エシカル消費需要やエコ商品需要の高まりは、当社にとって機会になると考えています。
今後は、継続的にリスク・機会の見直しや対策の具体化を進め、中長期の経営戦略に反映させることで戦略のレジリエンス向上に努めます。
d.指標と目標
当社グループは、「宝グループ・サステナビリティ・ビジョン」においてCO2排出量の削減目標を設定しており、宝酒造、宝酒造インターナショナルグループにおいては生産拠点におけるScope1、Scope2の合計CO2排出量の目標を設定しています。
⑥人権尊重の取り組み
当社グループでは、「宝グループ人権方針」を掲げ、事業活動を通じて従業員のみならず、取引先、お客様、地域社会など、さまざまなステークホルダーの人権に影響を及ぼすことを認識し、サステナビリティ推進委員会のもと、組織横断のワーキングチームを中心に人権デューデリジェンス・プロセスに基づく取り組みを実施しています。
具体的には、各種研修を通じた人権方針の周知をはじめ、人権リスクの特定・評価の取り組みとして、職場ごとのリスク把握の実施や、サプライヤーのモニタリングと人権リスク評価の実施、従業員を対象とした人権意識調査の実施、人権への理解を深めるプログラムの実施、多文化(多国籍文化)の理解・尊重、差別のない採用活動、ハラスメント防止、個人情報やプライバシーの保護等に取り組んでいます。
(2) 人的資本
①戦略
人財方針
当社グループでは、人材は経営上の重要な資本であり「財産」であるとの視点に立ち、「人財」と表現します。企業は社員一人ひとりが集まって成り立つ組織であり、人財の総合力が企業の持続的な成長と発展の源泉であるとの考えから、さらなる企業価値の向上とグループの成長を実現するためには、人財への投資により個人や組織の能力を最大限に引き出すことが欠かせないと考えています。
仕事のやりがいや働きがいのある職場、人を育む風土づくりを進めるとともに、グループの次世代を担う人財やグローバルな事業成長を実現する人財の育成、並びに多様な人財の活躍を実現してまいります。
具体的な取り組み
<人財育成>
・次世代を担う人財育成策の実施
経営幹部候補育成研修、次世代リーダー育成研修、マネジメント力強化研修等を通じてグループの次世代を担うことのできる人財を育成します。
・グローバルな事業成長を実現する人財の育成
継続的なキャリア採用による人財獲得と若手社員の宝酒造インターナショナルグループへの配置および海外赴任を含むジョブローテーションによってグローバルな事業成長を担うことのできる人財を育成します。
・階層別研修ならびにキャリア形成支援研修の実施
新入社員研修、新任管理職研修、新任考課者研修等を通じて、それぞれの階層の社員に必要な知識やスキルの習得および意識向上を図ります。また、中堅層やシニア層など年代に応じたキャリア形成支援研修を実施します。
・スキル・資格の見える化と持続的な成長に向けた学習機会の創出
通信教育や資格・免許取得表彰による社員のスキルアップ支援に加え、社員の保有スキルと部署ごとの必要スキル・資格の見える化を進めるとともに、社員の主体的な学びに対する新たな学習支援施策を実施します。
<多様な人財の活躍推進>
・女性の活躍推進
「宝グループ・サステナビリティ・ビジョン」で掲げた2030年までの長期的な目標や女性活躍推進法の行動計画に沿って、計画的かつ継続的な女性管理職、課長補佐登用を進めるとともに、女性のキャリア形成支援を目的とした研修を継続します。
・シニア人財の活躍推進
60歳から70歳までの継続雇用制度等を導入しておりますが、今後も引き続きシニア社員が活躍できる環境整備を進めてまいります。
・障がい者雇用の推進
障がい者が健常者とともに職業生活に参加できるよう継続雇用と計画的採用で「障がい者法定雇用率」以上の水準を維持し、社会的責任を果たします。
<快適な職場環境とワークライフバランスの実現>
・多様な働き方の推進
年次有給休暇の確実な取得促進、男女ともに仕事と家庭を両立するための在宅勤務の効果的な活用および育児休職の取得促進に向けた環境整備と理解促進等により多様な働き方を推進します。
<職場・風土づくり>
・従業員エンゲージメントの向上
従業員エンゲージメント向上などの「やりがい」の醸成が、生産性の向上やイノベーションの創出には欠かせない要素であることから、エンゲージメントの状態を把握することを目的とした調査を実施しています。調査の分析結果および調査から見えた課題については、役員を含めた全従業員で共有を図った上で、全社で進めている風土革新のプロジェクトによる取り組みや、キャリア開発支援の強化を通じて従業員エンゲージメントのさらなる向上を目指します。
②指標及び目標
(女性の活躍推進)
a.女性管理職・女性課長補佐登用(宝ホールディングス・宝酒造・宝酒造インターナショナル)
目標:2021年度から2030年度末までにのべ50人以上を登用する。
実績:2021年度から2024年4月1日時点でのべ35名登用
b.女性管理職比率(宝ホールディングス・宝酒造・宝酒造インターナショナル)
目標:2025年度末までに女性管理職比率を10%以上とする。
実績:2024年4月1日時点 8.6%
c.事務系・技術系の新卒採用者に占める女性比率(宝ホールディングス・宝酒造・宝酒造インターナショナル)
目標:事務系・技術系の新卒採用者に占める女性比率を40%以上とする。
実績:2024年4月1日時点 46.9%
(障がい者雇用の推進)
d.障がい者雇用率
目標:国内の法定雇用率以上を維持する。
実績:2024年4月1日時点 宝ホールディングス 3.12%、宝酒造 2.92%、タカラバイオ 2.56%
(多様な働き方の推進)
e.育児休職からの復職率(宝ホールディングス・宝酒造・宝酒造インターナショナル・タカラバイオ)
目標:育児休職からの復職率100%を維持する。
実績:2023年度 100%
なお、①戦略における具体的な取り組み、②指標及び目標は、連結グループに属する全ての会社を対象としていないため、当社および連結グループの主要な事業を営む国内連結子会社について記載しております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避および発生した場合の対応に努める所存であります。
なお、記載中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。また、以下の記載事項は投資判断に関連するリスクすべてを網羅するものではありませんのでご留意下さい。
(1) 消費者の嗜好及び需要動向の変化について
宝酒造の売上高の大部分は、日本国内のものであり、その市場は、消費者の嗜好の変化の影響を受けやすく、コロナ禍によって変化した消費スタイルの影響をも受けております。同社は、消費者の嗜好の変化を捉えた商品の開発や、他社商品と差異化を図った独創的な商品の開発に注力しておりますが、消費者の嗜好の多様化が進み、消費動向の変化が加速しております。そのため、今後同社が消費者の嗜好や市場の変化を捉えた魅力的な商品を提供できない場合は、将来の成長性や収益性を低下させる可能性があります。また日本国内の高齢化・人口減少や若年層の飲酒離れは酒類の需要の減少を招き、経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。同社では、SDGsを意識した商品など消費者ニーズを捉えた高付加価値商品の開発・育成に取り組んでおります。
(2) 競合について
①宝酒造
日本国内の酒類・調味料市場では、市場全体の伸びが鈍るなか、商品開発やマーケティング戦略など、競合各社との競争が激化しております。競争の激化は売上の減少や、高騰する原材料価格の製品価格への転嫁の阻害要因となり利益率の低下を招き、経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。宝酒造では、独自の技術で差異化された商品の開発・育成や、ブランド力強化、流通業態の変化に対応した販売活動、市場の理解を得られる価格政策、そしてこれらを支える原資を得るため徹底的なコストダウンや効率化に取り組んでおります。
②宝酒造インターナショナルグループ
海外酒類事業では、ウイスキー市場においては世界中に多くの強豪メーカーが存在するほか、清酒をはじめとする和酒市場においても、海外現地生産および日本生産の輸出メーカーなど多くの競合各社との競争が激化しております。また、海外日本食材卸事業においても、海外での和酒・日本食市場の拡大が見込まれる一方で、競合の状況は激化しております。競合各社に勝る競争力を維持できない場合には、経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。宝酒造インターナショナルグループでは、M&Aを含めた拠点拡大や、宝酒造との協業により同社の技術力を生かした魅力的な商品の開発・育成やブランド力の強化に取り組んでおります。また、グループシナジーを生かした共通購買などの商品調達力強化や、強みであるレストラン向けに加えて小売店などの販売チャネルの多角化へも取り組んでおります。
③タカラバイオグループ
タカラバイオグループは、財務的な一定の基盤、アジア市場における確固としたプレゼンスおよび保有技術の幅広いラインアップを有する独自の産業的地位を占めていると考えております。
しかしながら、研究用の試薬・機器・受託サービスの製造・販売・提供には医薬品や医療機器のような許可や承認を必要としないことから、特許等による障壁がない場合には、これらの事業への参入は比較的容易であり、国内のみならず海外においても多数の競合企業が存在しております。
また、遺伝子治療分野においては、技術的進展により、安全性が高く治療成績に優れる治療薬が開発され、海外で製造販売承認が得られ始めております。当分野の市場規模の拡大を背景として、欧米のバイオベンチャーや製薬企業等、多数の企業が遺伝子治療の研究開発に取り組んでおります。
このような環境の中、同グループは、独自もしくは大学等の外部団体や企業と協力して、技術や製品を開発しておりますが、他社が類似の製品や技術分野で先行した場合、当社グループの製品開発や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。このようなリスクを踏まえ、同グループは開発した技術や製品を可能な限り知的財産権による保護にて、独占化あるいは差異化を図るとともに、コストダウンの推進および製造体制の強化により、価格競争力の維持を図ってまいります。
(3) 製造に関する依存について
①宝酒造
宝酒造の酒類製品の大部分は、伏見工場(京都市伏見区)および松戸工場(千葉県松戸市)で製造しております。これらの地域において大規模な地震やその他の操業を中断する事象が発生した場合、同社の製品の生産、供給能力が著しく低下し、経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。同社では全社及び拠点毎の事業継続計画(BCP)を整備し、安定した生産・供給に努めております。また楠工場(三重県四日市市)も含めた相互応援体制による、フレキシブルな生産体制を構築しております。
②タカラバイオグループ
タカラバイオグループの主力製品である試薬は、その大半を中国の子会社である宝生物工程(大連)有限公司で製造しており、当該子会社の収益動向の変化や、何らかの理由による事業活動の停止等により、同グループの事業戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。このようなリスクを踏まえ、効率性向上とリスク低減のバランスを考慮しつつ、グローバルで多極的な製造・研究開発体制の整備を進めております。
(4) 原材料価格の変動について
宝酒造の原材料の調達については、調達先の国又は地域の天候や経済状況の影響を間接的に受ける可能性があります。焼酎等の原料である粗留アルコールは主に南米・北米やアジア地域の、また清酒等の原料米は主に日本の天候、原料相場の影響を受けます。さらに地政学的要因を背景としたグローバルなサプライチェーンへの影響は原材料・燃料の調達価格の高騰ひいては製造コストの上昇に繋がり、経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。宝酒造では原材料の調達先の多様化により安定的かつ有利な条件での調達を図り、一方で技術革新による原価の低減に取り組んでおります。
(5) 特有の法的規制について
①宝酒造
宝酒造は、日本国内において酒税の賦課徴収、酒類の製造免許および販売業免許等について定める酒税法の規制を受けております。同社は酒税法に基づき、販売業免許のほか、種類別、製造場ごとに所轄税務署長の製造免許を取得しております。今後の事業展開においても酒税法の規制を受けるほか、酒税の税率の変更によって酒類の販売価格、販売動向等に影響を受ける可能性があります。同社は酒税法などの法令遵守はもとより、酒税法の改正等に機動的に対応し、必要に応じて商品戦略の見直しを図るなどの対策を実行いたします。
②宝酒造インターナショナルグループ
宝酒造インターナショナルグループでは、事業を展開する各国において、事業・投資の許可、国家安全保障又はその他の理由による輸出制限、関税をはじめとするその他の輸出入規制等、様々な政府規制の適用を受けております。また、通商、独占禁止、特許、消費者、租税、為替管制、運輸、人権、環境・リサイクル関連の法規制の適用も受けております。これらの規制を遵守できなかった場合、同グループの活動が制限される可能性があり、また遵守することによるコストの増加につながる可能性があります。同グループでは法令遵守のもと、これらの影響を軽減する対策を実施いたします。
③タカラバイオグループ
タカラバイオグループの研究開発を進めるにあたっては、放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律や遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律(カルタヘナ法)等の関連法規の規制を受けており、同グループは当該法規制を遵守していく方針であります。
また、同グループが開発・販売中の体外診断用医薬品や開発中の遺伝子治療薬は、医薬品医療機器等法をはじめとする関連法規の規制を受けており、商業活動のためには所轄官公庁の承認または許可が必要になります。同グループが研究開発を進めている個々のプロジェクトについて、かかる許認可が得られなかった場合には、同グループの事業戦略に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 飲酒に対する社会的規制について
酒類は人々の生活に豊かさと潤いを与えるものである一方で、不適切な飲酒はアルコール健康障害の原因となり、アルコール健康障害は、本人の健康の問題であるのみならず、その家族への深刻な影響や重大な社会問題を生じさせる危険性が高いことが指摘されております。これらのアルコールに関連する諸問題が社会的に一層深刻となった場合には、酒類の製造、販売に何らかの影響、規制が及ぶ可能性があり、経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。宝酒造および宝酒造インターナショナルグループでは、これらの指摘を認識したうえで、酒類の製造、販売を行う企業として、人々の健康を維持増進し、社会的責任を果たす観点から、当社グループが定めた「責任ある飲酒に関する基本方針」に基づき、適正飲酒の啓発をはじめ、ホームページでの主要商品の純アルコール量の開示などの取り組みを行うとともに、WHO(世界保健機関)が採択した「アルコールの有害な使用を低減するための世界戦略」を支持し、その達成に向けた取り組みを実施しております。
(7) 研究開発活動について
バイオテクノロジーに関連する産業は、再生・細胞医療・遺伝子治療等分野、基礎研究や創薬等を目的とした大学、公的研究機関や企業、検査会社を直接のターゲットカスタマーとする研究支援分野、そのほか、環境・エネルギー・食品・情報分野まで多岐にわたります。
このような状況の中、タカラバイオグループにおいて競争優位性を維持していくためにも、広範囲にわたる研究開発活動は非常に重要であると考えております。しかしながら、研究開発活動は計画通りに進む保証はなく、特に遺伝子治療分野における臨床開発は長期間を要するため、研究開発活動の遅延により、同グループの事業戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、バイオテクノロジー業界を取り巻く経営環境の変化は激しく、同グループの事業環境は新たな技術革新や新規参入者等により大きな影響を受ける可能性があることから、現在推進している研究開発活動から必ずしも期待した効果を得られる保証はなく、計画する収益を獲得できない可能性があります。
(8) 知的財産権について
タカラバイオグループは、研究開発の成否がそのまま事業開発の成否につながるバイオテクノロジー関連産業において、競合他社を排除するため、自社の技術を特許で保護しております。また、同グループは、研究開発を進めていくにあたって、特許出願・権利化を第一に考え対応していく方針であります。しかしながら、出願した特許がすべて登録されるとは限らず、また、登録特許が無効となる、消滅する等した場合には、同グループの事業戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、同グループは、今後の事業展開の中で、必要な他者特許については取得またはライセンスを受ける方針でありますが、このために多大な費用が発生する可能性があります。また、必要な他者特許が生じ、そのライセンスが受けられなかった場合には、同グループの事業戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 固定資産の減損処理について
当社グループでは、のれんを含む多額の有形・無形固定資産を保有しておりますが、経営環境の急変等により固定資産の減損に係る会計基準に基づき減損損失を計上した場合には、経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは一定の投資に際しては取締役会等の承認を得ることとしており、投資効果の判定にはNPV法に基づくハードルレートを設定し、進捗を毎期検証しております。また、減損の兆候を早期に把握する体制を構築しております。
(10)為替レートの変動について
当社グループが事業を展開する日本国外の各地域における売上高、費用、資産を含む現地通貨建ての項目は、連結財務諸表の作成のために円換算されております。これらの項目は、換算時の為替レートにより財務諸表計上額が影響を受ける可能性があります。また、輸入による商品仕入れ、原材料の調達あるいは製品輸出を外貨建てで行う場合は為替レートの変動により経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、為替変動リスクに備えるため、通貨オプション、為替予約などのヘッジ取引を行い、為替レートの変動による影響を軽減するよう努めております。
(11)製造物責任について
当社グループが開発、製造する全ての商品について製造物責任賠償のリスクが内在しています。特に、酒類、食品、医薬品、医療機器、体外診断用医薬品、再生医療等製品、研究用製品、臨床試験に使用される治験薬などについては、製造、販売、臨床試験において製造物の欠陥が発見され、健康障害等を引き起こした場合には製造物責任を負う可能性があります。また、大規模な製品回収や製造物責任賠償は、多額のコストが発生するうえに、当社グループの評価に重大な影響を与え、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。これらのリスクに備えるため、製造物責任賠償保険に加入しておりますが、この保険が最終的に負担する賠償額を十分にカバーできるという保証はありません。当社グループでは、法令遵守に加え徹底した品質管理とリスク管理体制の構築に取り組んでおります。
(12)情報セキュリティについて
当社グループは、事業に関連して多数のITシステムを活用し、個人情報を含む膨大な情報を管理しております。これら社内情報の紛失、漏洩、改ざんあるいはランサムウェア被害などが起こった場合は業務への支障、対応コストに加えレピュテーションリスクが生じる可能性があります。また、システム不具合あるいはサイバー攻撃により、一定期間業務の遂行が不可能になった場合は事業活動の継続に影響を及ぼす可能性があります。デジタルトランスフォーメーションの進展や、在宅勤務の拡大によりこれらのリスクは拡大しております。当社グループでは「情報管理規程」「ITセキュリティポリシー」を定め、ITセキュリティに関する第三者評価を受けるなどリスクへの対応を強化しております。
(13)訴訟について
当社グループでは、事業の遂行にあたり各種法令および規制等に違反しないようコンプライアンス活動を強化するなど最善の努力をしております。しかしながら、国内外において事業活動を遂行していくうえで、当社グループおよびその従業員が法令等に対する違反の有無にかかわらず、製造物責任法や知的財産権、発明対価請求などの問題において訴訟提起される可能性を抱えています。万が一当社グループが訴訟を提起された場合、また不利な判決結果が生じた場合は、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは法令遵守を徹底するとともに、重要な契約の締結に際しては法務部門、外部専門家の助言、チェックを受ける体制を構築しております。
(14)自然災害や事故災害について
暴風、地震、落雷、洪水、渇水等の自然災害、火災等の事故災害や感染症の世界的流行(パンデミック)が発生した場合には、災害による物的・人的被害により、当社グループの営業活動に支障が生じる可能性があります。このようなリスクを踏まえ、当社グループでは、発生時の損害の拡大を最小限におさえるべく、点検・訓練の実施、連絡体制・事業継続計画(BCP)の整備に努めております。
当社では、当社社長を委員長とする「リスク・コンプライアンス委員会」が当社グループのリスク管理全体を総括し、同委員会の監督のもと、各担当部門において「法・社会倫理」「商品の安全と品質」「安全衛生」その他当社グループを取り巻くリスクを防止・軽減する活動に取り組んでおります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、米国では雇用者数の増加や実質賃金の上昇などを背景として消費が増加するなど景気は堅調に推移いたしました。欧州では、金融引締めを受けて消費者マインドが悪化したことなどから景気に弱さが見られました。日本経済は、原材料価格の上昇などの影響を受けたものの、コロナ禍による社会経済活動の制約が解消に向かうなか、景気は緩やかな回復基調が続きましたが、世界的な金融引締めや中国の不動産市場の停滞の影響が懸念されるなど、先行きは不透明な状況が続いております。
このような経済状況のもと、当社グループは、会社創立100周年となる2025年に向けた長期経営構想「TaKaRa Group Challenge for the 100th」において、「Smiles in Life~笑顔は人生の宝~」をVisionとして掲げ、おいしさを追求する技術と革新的なバイオ技術によって、和酒・日本食とライフサイエンスにおける多様な価値を安全・安心に提供する企業グループとして、世界中の暮らしを、命を、人生を、笑顔で満たすために挑戦し続けております。
また、「TaKaRa Group Challenge for the 100th」の総仕上げに向けて「宝グループ中期経営計画2025」をスタートし、「成長・強化領域への投資を加速させ、企業価値を高める3年間」を経営方針として、社会課題の解決に資するバリューチェーンを強化しながら商品・サービスを通じた社会課題の解決と、長期的かつ持続的に成長原資を生み出す「稼ぐ力」の向上を統合した経営を推進いたしました。
この結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高339,372百万円(前期比3.2%減)、売上総利益113,933百万円(同5.0%減)、販売費及び一般管理費91,691百万円(同11.8%増)、営業利益22,242百万円(同41.4%減)、経常利益23,336百万円(同39.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益16,176百万円(同23.7%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
〔宝酒造〕
宝酒造は、食品メーカーとして安全・安心な商品の安定的な供給に最優先に取り組むとともに、消費者の潜在的なニーズを掘り起こし、これまでにない新たな酒質や付加価値を提供する新商品の開発や重点ブランドと位置づけている商品の育成に注力いたしました。また、原材料価格やエネルギー価格の高騰に対しては、全社一体となったコストダウンや効率化に取り組むとともに、商品価格の改定による利益率の改善に取り組みました。
当セグメントのカテゴリー別の売上状況などは次のとおりであります。
焼酎では、甲類焼酎の大容量商品などが減少しましたので、減収となりました。清酒では、“松竹梅「豪快」”や“松竹梅「昴」”は増加しましたが、“松竹梅「天」”などが減少しましたので、減収となりました。ソフトアルコール飲料では、重点ブランドと位置づけている“タカラ「焼酎ハイボール」”が引き続き増加し、“タカラ「辛口ゼロボール」”も増加しましたので、増収となりました。調味料では、本みりんなどの酒類調味料が増加し、食品調味料も増加しましたので、増収となりました。原料用アルコール等も増収となりました。
以上の結果、宝酒造の売上高は123,786百万円(前期比0.7%増)となりました。売上原価は92,057百万円(同1.7%減)となり、売上総利益は31,728百万円(同8.4%増)となりました。販売費及び一般管理費は、戦略的に使用した広告宣伝費などが増加し26,225百万円(同7.5%増)となりましたので、営業利益は5,503百万円(同12.5%増)となりました。
〔宝酒造インターナショナルグループ〕
宝酒造インターナショナルグループは、日本からの酒類の輸出や海外各地で酒類の製造・販売を行う海外酒類事業と海外の日本食レストランや小売店などに日本食材などを販売する海外日本食材卸事業を展開しております。
当セグメントの売上状況などは次のとおりであります。
海外酒類事業では、宝酒造との協業を推進し、現地ニーズをとらえた米国限定の缶チューハイ“TaKaRa CHU-HI”や、スパークリング日本酒“松竹梅白壁蔵「澪」<NIGORI>・<CRISP>”を海外専用商品として新発売するなど輸出の拡大に取り組みました。ウイスキーはプレミアムバーボン“Blanton’s”が引き続き好調に推移いたしました。また、清酒など和酒の売上も増加しましたので、海外酒類事業は増収となりました。海外日本食材卸事業では、米国での拠点の拡大に注力するとともに、販売チャネルの多角化の推進や取扱商品の拡充などに取り組みました。新たにグループに迎え入れた企業の業績の上乗せがあったことや、供給体制の整備にも取り組んだことなどにより、海外日本食材卸事業も増収となりました。
以上の結果、宝酒造インターナショナルグループの売上高は160,427百万円(前期比16.7%増)となりました。売上原価は108,711百万円(同14.3%増)となり、売上総利益は51,715百万円(同22.0%増)となりました。販売費及び一般管理費は、人件費や倉庫の賃借料などが増加し39,423百万円(同24.9%増)となりましたので、営業利益は12,291百万円(同13.6%増)となりました。
〔タカラバイオグループ〕
タカラバイオグループは、バイオテクノロジーを利用する研究開発活動がますます広がりを見せる中、こうした研究開発活動を支援する試薬・機器を開発し、世界中のバイオ研究者に提供する事業を展開しております。また、近年、製薬企業などで開発が盛んな再生・細胞医療・遺伝子治療の開発・製造を支援するCDMO事業を展開しております。CDMOとは医薬品の製法開発から製造までの工程を受託する事業を指し、タカラバイオグループでは、遺伝子治療薬等の分野に注力しております。その他、遺伝子医療事業では、遺伝子治療製品製造補助剤の製造・販売、新規モダリティ(治療法)の創出、臨床開発プロジェクトを進め、独自のバイオ創薬基盤技術の価値の最大化に取り組んでおります。
当セグメントの売上状況は、新型コロナウイルス感染症の法令上の位置づけの変更による検査関連製品の販売減少、ライフサイエンス研究市場の低迷等により、減少いたしました。
以上の結果、タカラバイオグループの売上高は43,505百万円(前期比44.3%減)となりました。売上原価は16,597百万円(同50.3%減)となり、売上総利益は26,908百万円(同39.9%減)となりました。販売費及び一般管理費は、研究開発費などが減少し23,905百万円(同1.3%減)となりましたので、営業利益は3,003百万円(同85.4%減)となりました。
〔その他〕
その他のセグメントは、貨物運送事業、ワイン輸入販売、不動産賃貸事業などであります。当セグメントの売上高は、ワイン輸入販売は増加しましたが、貨物運送事業などが減少しましたので30,271百万円(前期比2.2%減)となりました。売上原価は26,011百万円(同2.8%減)となり、売上総利益は4,260百万円(同1.9%増)となりました。販売費及び一般管理費は1,897百万円(同0.6%増)となりましたので、営業利益は2,363百万円(同3.0%増)となりました。
② 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は245,213百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,700百万円増加いたしました。これは主に電子記録債権が1,175百万円、商品及び製品が4,022百万円、流動資産のその他が1,003百万円それぞれ増加し、現金及び預金が1,734百万円減少したことによるものであります。
固定資産は192,254百万円となり、前連結会計年度末に比べ34,593百万円増加いたしました。これは主に有形固定資産が建設仮勘定の増加などにより15,991百万円、無形固定資産が2,404百万円、投資その他の資産が投資有価証券の時価評価の増加などにより16,197百万円それぞれ増加したことによるものであります。
以上の結果、総資産は437,468百万円となり、前連結会計年度末に比べ38,293百万円増加いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は80,657百万円となり、前連結会計年度末に比べ13,202百万円増加いたしました。これは主に短期借入金が5,089百万円、1年内償還予定の社債が5,000百万円、未払酒税が2,358百万円、未払費用が2,457百万円それぞれ増加し、流動負債のその他が2,713百万円減少したことによるものであります。
固定負債は76,345百万円となり、前連結会計年度末に比べ55百万円減少いたしました。これは主に社債が5,000百万円、長期借入金が4,763百万円それぞれ減少し、リース債務が2,917百万円、繰延税金負債が3,950百万円、固定負債のその他が3,030百万円それぞれ増加したことによるものであります。
以上の結果、負債合計は157,003百万円となり、前連結会計年度末に比べ13,146百万円増加いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は280,465百万円となり、前連結会計年度末に比べ25,146百万円増加いたしました。これは主に利益剰余金が6,084百万円、その他有価証券評価差額金が9,537百万円、為替換算調整勘定が8,702百万円それぞれ増加したことによるものであります。
以上の結果、自己資本比率は52.3%(前連結会計年度末は51.1%)となりました。
③キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益26,238百万円、減価償却費9,999百万円、投資有価証券売却益3,971百万円、未払酒税の増加2,358百万円、未払消費税等の減少3,031百万円、その他の流動負債の増加2,264百万円、法人税等の支払額8,459百万円などで29,178百万円の収入と前期に比べ16,299百万円の収入減少となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、定期預金の預入による支出4,592百万円、定期預金の払戻による収入5,530百万円、有形及び無形固定資産の取得による支出19,210百万円、投資有価証券の売却による収入4,874百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出5,441百万円などにより19,993百万円の支出と前期に比べ9,518百万円の支出増加となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得による支出2,999百万円、配当金の支払額7,503百万円、非支配株主への配当金の支払額2,004百万円などにより13,448百万円の支出と前期に比べ8,766百万円の支出減少となりました。
以上の結果、現金及び現金同等物に係る換算差額を含めた当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末より1,601百万円減少し、90,184百万円となりました。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度(2023年4月1日~2024年3月31日)の生産実績をセグメントごとおよび品種別に示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前期増減率(%) |
|
|
|
品種 |
||
|
宝酒造 |
|
|
|
|
|
焼酎 |
34,030 |
△7.4 |
|
|
清酒 |
11,513 |
△3.7 |
|
|
ソフトアルコール飲料 |
42,847 |
6.5 |
|
|
その他酒類 |
3,596 |
△11.9 |
|
|
本みりん |
9,486 |
△0.8 |
|
|
その他調味料 |
9,292 |
4.2 |
|
|
計 |
110,766 |
△0.7 |
|
宝酒造インターナショナルグループ |
13,834 |
13.4 |
|
|
タカラバイオグループ |
|
|
|
|
|
試薬 |
14,623 |
△40.4 |
|
|
機器 |
79 |
△33.1 |
|
|
受託 |
8,377 |
△1.4 |
|
|
遺伝子医療 |
1,686 |
13.6 |
|
|
計 |
24,766 |
△28.5 |
|
報告セグメント計 |
149,367 |
△5.7 |
|
|
その他 |
1,585 |
△7.3 |
|
|
合計 |
150,952 |
△5.7 |
|
(注)1.金額は酒税込みの販売価格によっております。
2.宝酒造の原料用アルコール等は、大部分が酒類等の原料として使用されていること、また、販売実績に対応する生産実績を正確に把握することが困難であることから記載を省略しております。
b.商品仕入実績
当連結会計年度(2023年4月1日~2024年3月31日)の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前期増減率(%) |
|
宝酒造 |
937 |
19.9 |
|
宝酒造インターナショナルグループ |
99,346 |
7.6 |
|
タカラバイオグループ |
4,788 |
△24.2 |
|
報告セグメント計 |
105,072 |
5.6 |
|
その他 |
10,754 |
8.0 |
|
合計 |
115,827 |
5.9 |
(注)金額は仕入価格によっております。
c.受注実績
タカラバイオグループにおいて、一部受注生産を行っておりますが、ほとんどの場合において、生産に要する期間が短く、受注残高が僅少であることから記載を省略しております。
d.販売実績
当連結会計年度(2023年4月1日~2024年3月31日)の販売実績をセグメントごとおよび品種別に示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前期増減率(%) |
|
|
|
品種 |
||
|
宝酒造 |
|
|
|
|
|
焼酎 |
34,324 |
△6.2 |
|
|
清酒 |
11,548 |
△4.9 |
|
|
ソフトアルコール飲料 |
42,290 |
5.5 |
|
|
その他酒類 |
5,434 |
2.0 |
|
|
本みりん |
9,562 |
0.9 |
|
|
その他調味料 |
9,223 |
5.0 |
|
|
原料用アルコール等 |
11,402 |
8.4 |
|
|
計 |
123,786 |
0.7 |
|
宝酒造インターナショナルグループ |
|
|
|
|
|
海外酒類 |
20,926 |
14.6 |
|
|
海外日本食材卸 |
141,816 |
16.9 |
|
|
その他 |
249 |
△91.3 |
|
|
グループ内連結消去 |
△2,564 |
- |
|
|
計 |
160,427 |
16.7 |
|
タカラバイオグループ |
|
|
|
|
|
試薬 |
31,961 |
△51.5 |
|
|
機器 |
892 |
△35.1 |
|
|
受託 |
7,997 |
△2.5 |
|
|
遺伝子医療 |
2,653 |
0.5 |
|
|
計 |
43,505 |
△44.3 |
|
報告セグメント計 |
327,720 |
△3.2 |
|
|
その他 |
30,271 |
△2.2 |
|
|
セグメント計 |
357,991 |
△3.1 |
|
|
事業セグメントに配分していない収益及びセグメント間取引消去 |
△18,619 |
- |
|
|
合計 |
339,372 |
△3.2 |
|
(注)1.販売金額には酒税を含んでおります。
2.販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10を超える販売先はありません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積もりに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりまして、見積りが必要となる事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。
詳細につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」および「同(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度のセグメント別経営成績については「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載のとおりであります。
宝酒造の売上高は、焼酎や清酒が減少しましたが、ソフトアルコール飲料や、原料用アルコール等が増加し、増収となりました。原材料や燃料のコストアップ及び為替の影響を、コストダウンや当連結会計年度に実施した価格改定で補い、営業利益も増益となりました。
宝酒造インターナショナルグループの売上高は、ウイスキーが引き続き好調に推移し、新たにグループに迎え入れた企業の業績の上乗せがあったことや、供給体制の整備にも取り組んだことなどにより、海外酒類事業、海外日本食材卸事業ともに増収となりました。売上高が増加したことにより売上総利益が増加しましたので、販売費及び一般管理費の増加による影響を吸収し、営業利益も増益となりました。
タカラバイオグループの売上高は、新型コロナウイルス感染症の法令上の位置づけの変更による検査関連製品の販売減少、ライフサイエンス研究市場の低迷等により、減収となりました。売上高の減少等により売上総利益は減少しました。販売費及び一般管理費は研究開発費などが減少したものの、営業利益は減益となりました。
これらの報告セグメントにその他のセグメントを加えた当社グループの売上高は339,372百万円(前期比3.2%減)、売上総利益は113,933百万円(同5.0%減)、営業利益22,242百万円(同41.4%減)、経常利益23,336百万円(同39.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は16,176百万円(同23.7%減)となりました。
以上の結果、ROEは7.5%(前期比3.5ポイント低下)、海外売上高比率は55.3%(前期比7.0ポイント上昇)となりました。
イ.経営成績に重要な影響を与える要因
宝酒造では、高齢化・人口減少や若年層の飲酒離れにより酒類市場の長期的な縮小が見込まれ、国内酒類業界はメーカー間の競争が激化し、厳しい経営環境にあります。加えて原材料価格やエネルギー価格の高騰、物流費等のコストアップによる製造コストの上昇をいかに市場に受け入れられる形で価格転嫁するかが問われています。またサステナビリティ経営の観点から、環境問題や過剰飲酒問題は喫緊の課題であり、環境問題への対応については技術面・コスト面の課題を解決する必要があります。
宝酒造インターナショナルグループでは、海外での和酒・日本食の潜在需要は根強く、今後も安定した市場拡大が見込まれます。一方で競合各社との競争のさらなる激化も見込まれ、拠点の拡大、グループシナジーの強化、競争力のある商品の開発、経営基盤の整備などが求められます。
タカラバイオグループでは、中長期的には市場の拡大が予想されておりますが、同グループが積極的に取り組んでいる遺伝子治療分野では、多様なモダリティの開発、実用化が進み、バイオベンチャーや製薬企業等、企業規模は関係なく、世界的に競争が激化しております。このような環境下、人財の確保、研究開発費の供給、知的財産権の保護など経営成績に影響を与える多くの要因が存在します。
なお、当社グループの経営成績に影響を与える要因に関しては「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」もご参照ください。
ロ.資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、営業活動から得られるキャッシュ・フローを、各事業セグメントの成長・強化領域へ積極的に投資するとともに、利益水準に応じた適切な株主還元を行い、一方で、多様な資金調達手段を確保し金融負債を利用することにより、適切な資本、負債のバランスを維持し、財務の安全性と資本の効率性の両立を図ります。
また、当社グループの手許流動性は十分に確保されており、各セグメントの事業活動、予定している投資活動に支障はありません。さらにコミットメントラインなどのバックアップラインも適切に設定されております。
なお、上場企業であるタカラバイオ株式会社は、タカラバイオグループの資金の調達、流動性の確保を独自に行っており、宝酒造、宝酒造インターナショナルグループは宝ホールディングス株式会社と緊密な連携を行い、効率的な資金調達、資金管理を行っております。
a キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、タカラバイオグループの業績の落ち込みによって税金等調整前当期純利益が減少したことなどにより、前連結会計年度に比べ16,299百万円の収入減少の29,178百万円の収入となりました。また、投資活動によるキャッシュ・フローは、有形及び無形固定資産の取得による支出などにより19,993百万円の支出となり、財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払額や自己株式の取得による支出などにより13,448百万円の支出となりました。以上の結果、現金及び現金同等物は前連結会計年度末に比べ1,601百万円減少しておりますが、現時点でキャッシュ・フローの状況に特段の問題はないと認識しております。
b 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの資本の財源は、営業活動から得られるキャッシュ・フローのほか、主として社債および金融機関からの借入金であります。当社では安定的な資金調達のため20,000百万円の普通社債の発行登録を行うとともに、格付機関である株式会社格付投資情報センター(R&I)から長期債格付Aを、株式会社日本格付研究所(JCR)から長期債格付A+をそれぞれ取得しておりますが、当連結会計年度中は発行しておりません。
また、短期資金の調達のため、当社は同じく株式会社格付投資情報センター(R&I)および株式会社日本格付研究所(JCR)から10,000百万円の発行枠を設定しているコマーシャル・ペーパーの格付(a-1、J-1)をそれぞれ取得しておりますが、当連結会計年度中は発行しておりません。
さらに、機動的な資金調達および流動性の補完を目的として、継続して融資枠10,000百万円のコミットメントラインを設定しておりますが、当連結会計年度中は借入を行っておりません。
当社グループは成長・強化領域へ積極的な経営資源の配分と投下を行うことを方針としており、当連結会計年度は、タカラバイオグループではワクチン関連およびCDMO事業等のデュアルユース製造設備建設や細胞加工施設関連への設備投資を、宝酒造インターナショナルグループでは海外日本食材卸事業に係る製品倉庫等への設備投資を実施いたしました。当連結会計年度の有形及び無形固定資産の取得による支出は19,210百万円となり、減価償却費を大きく上回る水準となっております。
当社は、当社の信用力を生かして外部資金を一括して調達し、タカラバイオグループを除く主要な連結子会社に必要資金を貸し付けるとともに、一部の国内連結子会社とはCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入するなど、各社の余剰資金を当社へ集中し一元管理することにより、資金効率の向上と金融費用の極小化を図っております。
当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は前連結会計年度末に比べ1,601百万円減少の90,184百万円となり、現時点で十分な手許流動性を維持しております。
ハ.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 経営戦略、経営環境、優先的に対処すべき事業上・財務上の課題および経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおりであります。
工事等請負契約
|
契約会社名 |
相手方の名称 |
契約締結日 |
契約内容 |
完成予定 |
|
タカラバイオ株式会社 (連結子会社) |
日揮株式会社 |
2023年8月3日 |
遺伝子・細胞プロセッシングセンター3号棟の新設工事 |
2027年 |
当社グループは蓄積された発酵技術を基礎に、バイオテクノロジーの技術を応用し、主に宝酒造、タカラバイオグループの各部門で幅広い研究活動を展開しております。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は
(宝酒造)
当セグメントにおいては、宝酒造株式会社の商品開発育成・研究部門を中心に、消費者ニーズに沿った商品、消費者に新しい価値を提案する商品の開発を目的に、機能や成分による差異化技術、微生物の育種、原料・素材の探索・開発ならびに生産技術の研究開発を行っております。
焼酎では、全量芋焼酎「一刻者」のために6年かけて三好アグリテック株式会社と共同開発した新品種の芋を用いた“全量芋焼酎「一刻者」<新品種使用>甕オーナー”を発売しました。紫芋と橙芋を掛け合わせた新品種で、レーズンやオレンジピールを思わせる、まるで洋菓子のような贅沢で濃厚な甘い香りが特長です。本研究内容については、令和5年度「日本醸造学会大会」にて発表しました。
清酒では、日本酒を飲む“よろこび”“おいしさ”を国内外に広げ、おいしさで選ばれ、品質でリスペクトされるブランドを目指す「松竹梅プロジェクト」を2020年より進めており、その一環として、米の旨みを感じる食中酒であり、松竹梅の象徴となる、“松竹梅白壁蔵「然土」”を新発売しました。また本プロジェクトに連動して、使用する原料米の栽培において、温室効果ガス発生抑制に向けた取り組みも進めております。
ソフトアルコール飲料では、地域限定のクラフトチューハイ“「寶CRAFT」<京檸檬>”を新発売しました。本来未利用部位である果皮や種から香り成分を抽出した京檸檬スピリッツと、すりつぶした京檸檬ペーストを使用しており、酸味が控えめで瑞々しい甘い香りと上品な苦みが特徴の「京檸檬」の風味を活かした酒質に仕立てました。同社は『一般社団法人京檸檬プロジェクト協議会』の活動に2018年の発足当時から参画しており、苗木の植樹や果実の収穫といった活動にも参加してきましたが、5年の歳月を経て、「京檸檬」を使ったクラフトチューハイの発売に至りました。
調味料では、国産米100%の安心感に、2種類の米麹を使用することで「コク・うまみ」を強化した“タカラ本みりん「贅沢米麹」<国産米100%>”を発売しました。また、加工・業務用市場向けには、昆布風味を強化できる新規加工技術を開発し、昆布の素材感やコクに富む昆布調味料を特定ユーザー向けに発売しました。
なお、当セグメントに係る研究開発費は
(タカラバイオグループ)
当セグメントにおいては、日本のタカラバイオ株式会社、米国のTakara Bio USA, Inc.、中国の宝生物工程(大連)有限公司を中心に研究開発活動を展開しております。
試薬・機器事業では、遺伝子工学および細胞工学研究用試薬や機器等の開発を進めております。また、試薬と機器のシステム化により利便性を向上させる開発等も進めております。当連結会計年度においては、「感染症の原因となる病原遺伝子検出用PCR試薬シリーズ」、「核酸精製が不要なダイレクト検出用リアルタイムPCR試薬Easy Directシリーズ」、「等温核酸増幅法による遺伝子の迅速検出が可能な試薬」、「アデノ随伴ウイルスベクター大量製造用完全合成培地」、「シングルセル解析装置の新機種」等の開発を行いました。
受託事業では、再生・細胞医療・遺伝子治療の開発・製造支援事業であるCDMO受託に関する研究開発に注力しております。当連結会計年度においては、「がん細胞への殺傷効果の高いCAR-T細胞を短期間で製造する方法(Spo-TTM法)」、「シングルセル/サブセルラーレベルの高感度空間マルチオミックス解析」など細胞加工やウイルスベクターの生産効率性向上や大量製造に関する研究開発、新規遺伝子解析/検査受託に関するメニュー開発を進めました。
遺伝子医療事業では、高効率遺伝子導入技術レトロネクチンⓇ法、siTCRⓇ技術等の応用開発に加え、創薬基盤技術の開発・事業化に取り組んでおります。当連結会計年度においては、脳指向性アデノ随伴ウイルスベクター(CereAAVTM)および内耳指向性アデノ随伴ウイルスベクター(SonuAAVTM)に関する開発、次世代CAR遺伝子治療法であるCD19・JAK/STAT・CAR遺伝子治療(開発コード:TBI-2001)のカナダでの臨床試験を進めるほか、NY-ESO-1・siTCRⓇ遺伝子治療(開発コード:TBI-1301)の製造販売承認申請に向けた準備を進めました。また、mRNAワクチンの開発・製造に必要となる製造補助剤等の開発に取り組みました。
このほか、上記の事業別に分類しきれない事業横断的な研究開発も推進しております。当社グループとしては、各研究開発プロジェクトの相互作用・フィードバック効果を利用して、戦略的な研究開発の推進を目指しております。
なお、当セグメントに係る研究開発費は