文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
当社は、株主重視の基本姿勢を堅持しつつ、わが国製袋業界のパイオニアとして、『パッケージ関連事業を軸に、お客様のニーズと変化に積極果敢に挑戦すること』、『ステークホルダーへの責任を果たし、存在感のある強い会社を目指すこと』、『明るく活発で希望のある社風をつくり、社員とその家族の幸せを追求すること』を経営理念として掲げております。
当社グループは、営業利益の拡大及び営業利益率の改善を目指しており、その達成度を測るため、売上高、営業利益、営業利益率を重視しております。また、財務体質強化及び株主の持分に対する投資収益率の向上を目指す観点から、自己資本比率とROE(自己資本利益率)を重視した経営を行ってまいります。
今後のわが国経済につきましては、賃上げの実施やインバウンド需要拡大などから、国内の消費マインドは加速するものと期待される一方で、原材料価格の高止まりや円安進行、物流2024年問題、世界情勢の緊迫化など、引き続き先行き不透明な状況が続くものと予想されます。
当社グループといたしましては、2024年5月10日に公表いたしました第2次中期経営計画『環境と共に歩む次世代パッケージ企業~創業120年の誇りを胸に~』において『成長戦略の追求と環境経営基盤の構築』を基本方針とした3ヵ年計画として取り組んでまいります。
そのために、
①紙製品事業への注力
②環境配慮製品を含めた新規事業開拓
③環境偏差値向上への取り組み
④人的資本への取り組みとガバナンス強化
⑤経営基盤戦略(社内システム高度化、サプライチェーン強化他)
を経営基本方針として定め、持続的な成長と長期利益の実現に取り組んでまいります。
(1)及び(4)に記載の、経営方針及び経営戦略を実行していく上で、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は以下のとおりであります。
①安定性、収益性を兼ね備えた事業基盤の確立
ウィズコロナにおける消費者の行動様式や生活パターンの変容に加え、レジ袋・紙袋の有料化による主力製品の販売減少は、当社グループの収益構造に大きなインパクトとなりました。このような環境変化に即したビジネスモデルで成長基盤を確立すべく、化成品事業の抜本的な見直しを行うとともに、主力事業である紙製品事業の維持発展に取り組んでまいります。
②スーパーバッグ環境宣言の制定
世界的な環境意識の高まりや低炭素・脱炭素型社会への移行により、ESG(環境・社会・ガバナンス)やSDGs(持続可能な開発目標)の中でも、特に環境保全を意識した企業活動が今まで以上に求められるようになりました。当社グループでは、環境負荷の少ないFSC認証紙の導入・運用やバイオマス配合のレジ袋の供給など、環境に配慮した事業展開をしてまいりましたが、さらなる環境対策と企業価値向上を目標とし、当社の環境対応方針を取りまとめた「スーパーバッグ環境宣言」を制定しております。
③新規事業の創出
感染症拡大・レジ袋有料化を経て、包装資材を取り巻く事業環境はこの1年で大きく変化し、消失した需要の回復には中長期的な取り組みが必要なものと見込んでおります。そこで、変容したニーズのマーケティング、製品開発と推進体制を実現すべく、専門部署を設置し、新たな主力事業の創出を目指します。
近年の異常気象に起因すると考えられる大規模な災害など、気候変動に対する課題は企業活動において喫緊の最重要要素と捉えております。
また企業にとって重要な資産である人財についても『多様化の時代』という言葉に象徴されるように、多様な考え方を生かせる体制づくりが、企業を持続させるうえで欠かせない重要な要素であると捉えております。
そのような状況下において、当社としては“ステークホルダーへの責任を果たす”“明るく活発で希望のある社風”などの経営理念の元、次に記載する内容を中心に取り組んでおります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものとなります。
近年、サステナビリティや環境への意識が高まり、当社を取り巻く環境も変化しております。そのような環境の中、外部環境の変化に左右されず、持続的・安定的な成長と企業価値の向上を実現するため、取締役会において、当社が取り組むべき重要課題の特定と解決に向けた施策の方向性を決定するとともに、計画に対する進捗状況のモニタリング、実施内容の評価を行っております。
本部・各工場においてはISO14001をベースとした管理方法を用いて、各部署にて課題認識・進捗管理を実施。月1回、各本部の主要メンバーを招集し、各本部の状況の共有と検証の会議を開催。関係会社においても月1回、リモート会議を開催し、同様の管理を行っております。会議の中で共有された進捗状況と検証結果の報告・新たな課題等については、定期及び適時、取締役会に報告を行い、必要事項について意思決定をしております。
当社は、スーパーバッグ環境宣言に「環境配慮型経営」「環境マネジメントシステム」「環境コミュニケーション活動」「エコフレンドリー」それぞれの分野で環境方針を設定し、さらなる環境負荷低減を目指してまいります。CO₂排出量削減をはじめとした気候変動関連は長期間に渡り継続的に取り組むべき課題であり、常に変化していくものと捉えており、変化に合わせた対応が必要であると考えております。その中で、中期経営計画の年限にあたる2027年までを短期、CO₂ 排出量削減の目標としている節目の2030年までを中期、2031年以降を長期と設定しました。

②人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略
当社は経営理念の1つである『明るく活発で希望の有る社風をつくり、社員とその家族の幸せを追求する。』をビジョンに掲げる企業として、魅力的な職場環境整備に取り組んでおります。
第2次中期経営計画においては、人的資本への取り組みとして、「教育研修制度の充実」「福利厚生・社内制度の充実」「ダイバーシティの推進」「戦略人事の推進」「社員の健康促進」「従業員エンゲージメントの向上」を進めてまいります。
『主体的にキャリアプランを描き構築できる人財づくり』
企業価値を持続的に向上するためには、社員自ら主体的にキャリアプランを描き構築できる仕組みづくりが必要不可欠であると考えます。
社員自ら主体的にキャリアプランを描き、意欲的に経験やスキルを身につけることで様々な環境変化に柔軟に対応できる人財を育成することにつながります。また、変化を恐れず新しいことにチャレンジできる文化の醸成と最大限に実力を発揮できる仕組みも構築することで、社員が『スーパーバッグで働いていて幸せ』と思える、そして、魅力的な人財が集まる、働きがいのある企業となるための仕組みの拡充を進めております。
当社では、女性管理職の比率を高めることをビジョンに掲げ、女性活躍の推進に取り組んでおります。また、女性社員が指導的立場で活躍できる環境と就業継続しやすい環境づくりを目指しております。
当社では、「スーパーバッグ株式会社行動憲章」「ハラスメントに関する規程」「お取引先様ガイドライン」を策定しており人権の尊重について、遵守事項を示しております。
当社ではこれまで各本部ごとにリスクの把握・進捗管理を行ってまいりました。2024年度からは環境マネジメント部を新たに発足。今後はTCFD報告書に沿った気候変動リスク・機会についてシナリオ分析の更なる深耕を実施いたします。また、管理本部を中心体として情報を集約し、関連会社も含めたグループ全体での取り組みの強化を図り、より一層の情報開示に努めてまいります。
当社では、スーパーバッグ環境宣言において、2030年までにCO₂ 排出量の削減として、基準年度実績(2015年)から46%削減の目標を設け、取り組みを進めております(年平均削減目標3.06%)。
グループ会社を含め、各拠点ごとにGHG関連の排出量を月単位で把握・管理しております。これまでの進捗は以下のとおりです。
2023年は事業構造の転換から機械設備の見直しなどを図り、2015年比でマイナス33.3%となりました(2015年比66.7%・対前年6.3%)。引き続き目標達成に向け、邁進いたします。
照明のLED化率は2023年度時点では国内事業所全体の55%が切替済となります。順次切替予定進行中であり、2030年までに100%達成を図ります。
今後は機械設備や冷暖房設備などについても検証を進め、更なるCO₂排出量の削減を目指してまいります。
また、環境対応紙取扱量については2023年度末時点で45%まで導入済となっており、更なる向上をはかり、2030年には95%まで引き上げを目指してまいります。
「働きがいのある企業」を目指し、さまざまな労務管理の改善を図っております。フレックスタイムや時短勤務など柔軟な勤務体制にするため、育児短時間制度の利用を小学校卒業までに拡大したほか、社員間のコミュニケーションを円滑にするため、「Google Workspace」などICTを活用し、社員のワークライフバランスを推進するための取り組みを行っております。
また、社員とその家族を守るために、健康優良企業を目指して、会社全体で健康づくりに取り組んでおり、社員の健康に対する意識の向上を図っております。
当社は、健康経営をこれからも推進し、社員が健康で長く働ける企業を築いてまいります。
(注) 1.男性の育児休業取得率は、育児休業等と育児目的休暇の取得割合を表示しております。
2.男女間賃金格差の賃金は、対象期間の所得税法(昭和40年法律第33号)第28条に規定する給与所得を使用しております。
3.男女間賃金格差は、当社から社外への出向者を除いております。
4.男女間賃金格差の非正規社員は、定年再雇用者、契約社員、臨時社員及びパート社員を含み、派遣社員を除いております。
5.男女間賃金格差の非正規社員は、労働時間が相当程度短いパート社員を多数雇用しているため、非正規社員それぞれの賃金を時給換算し別途算出しております。
人は生まれながらにして自由・平等であることを念頭に、人権・人格・個性・プライバシーを尊重し、公平な取り扱いを心がけると共に、個人情報の保護を徹底します。
人は生まれながらに平等であり、人種、肌の色、宗教、性別、年齢、障がい、国籍、出身民族、社会的背景、性的志向、所属する政党、雇用前の健康診断の結果、などで差別を行いません。
いかなるハラスメントも行わず、健康に配慮し安全かつ、快適で働きやすい職場環境の実現に取り組みます。
お取引先様にも遵守いただいている内容となります。
従事する者、お客様、お取引先様のプライバシーを侵害しない等、基本的人権を尊重し、ハラスメントなど、いかなる非人道的な扱いも行いません。
従事する者のプライバシーを侵害しないこと。個人情報の保護を徹底します。
人は生まれながらに平等であり、人種、肌の色、宗教、性別、年齢、障がい、国籍、出身民族、社会的背景、性的志向、所属する政党、雇用前の健康診断の結果、などで差別を行いません。
当社では、2022年4月「狭山丘陵の自然環境保全団体」様ご協力のもと、当社、所沢工場近隣の環境保全活動を実施しております。
本活動を通じて、環境問題について学び、環境コミュニケーションを幅広く展開していくことで地球環境に対する企業責任を果たし、森の豊かさを守っていきます。また社員一人一人の環境意識向上にも役立て、サステナビリティ経営に取り組んでまいります。
活動実績 2022年4月~2024年5月 計21回
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
化成品事業におけるレジ袋の主な原材料であるポリエチレンなどの石油化学製品は、原料市況並びに需給バランス等の要因から製品ごとに固有の市況を形成しており、原油価格の騰落に関連して石油化学メーカーからの仕入価格の変動が継続しております。また、主力の紙製品事業において、製紙メーカーによる紙製品原材料価格の変動についても、原油価格の騰落が遠因となっており、今後、更なる仕入価格の変動が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。このため、海外品仕入価格や国内販売価格の改定交渉を継続的に行っております。
当社グループの外貨建て輸出入取引は、主力の紙製品部門のみにとどまらず、化成品部門におけるレジ袋等の輸入取引や、先述の原材料購入価格にも少なからず影響を与えるため、為替相場の円安方向への変動は仕入価格上昇に影響し、収益圧迫の要因となります。このため、海外品仕入価格や国内販売価格の改定交渉を継続的に行うとともに、為替相場の変動によるリスクをヘッジする目的で、為替予約を行っておりますが、これにより当該リスクをすべて排除することは不可能であり、為替レートの変動は当社グループの業績及び財務状況に少なからず影響を及ぼす可能性があります。なお、化成品事業におけるレジ袋の輸入比率は、2022年3月期86.0%、2023年3月期85.1%、2024年3月期92.1%となっております。
当社グループは、顧客の支払不能時に発生する損失の見積額について、顧客の財政状態が悪化し、支払不能又は支払能力が低下した場合に、貸倒引当金の追加計上が必要となる可能性があります。このため、日頃の営業活動や信用調査機関及び業界からの情報収集に基づき取引先の与信管理を徹底し、当該事象が具現化した際の貸倒損失の最小化に努めております。
④投資の減損処理
当社グループは、長期的な取引関係を維持するために、特定の顧客や金融機関の株式を保有しており、将来の市況悪化又は投資先の業績不振等により、損失又は簿価の回収不能が生じた場合に、評価損の計上が必要となる可能性があります。このため、個別銘柄の保有の適否について、取締役会において便益や減損を含めたリスクなどを踏まえ検討しております。なお、保有銘柄及び保有の適否の判断の方法等の詳細につきましては、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (5) 株式の保有状況」をご参照ください。
当社グループは製造設備を主に、事業用資産として工場建物や土地、機械設備などの固定資産を保有しております。当社グループは、固定資産の連結貸借対照表計上額について、当該資産から得られる将来のキャッシュ・フローによって資産の残存価額を回収できるかどうかを定期的に検討しておりますが、事業の収益性が低下した場合や地価が著しく下落した場合などに、減損損失が発生し、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの従業員退職給付費用及び債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の時価及び期待収益率に基づいて算出されております。実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合には、その影響は累積され、さらに将来にわたって認識されることになり、将来期間における費用及び債務に影響を及ぼします。また、年金制度の変更により未認識の過去勤務費用が発生したり、金利環境の変動に伴う一層の割引率の低下や運用利回りの悪化は、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、日本国内及びアジアに製造拠点があり、国内における流通業を主要な販売先として事業を営んでおります。
これらの地域で大規模な地震や風水害等の自然災害が発生した場合や、新型コロナウイルス感染症もしくは新たな未知の感染症の発生に伴う、各国政府による緊急事態宣言の発出、それらの地域のロックダウン等を想定し、製品の供給体制やビジネスにおける人の往来等について、当社グループは国内外に製造拠点を有しているほか、海外協力工場を東南アジアの複数の国に持つなどリスクの分散を図り、影響の最小化に努めております。また、販売先については、後述(5)に記載のとおり、特定の取引先に対する依存度は低いものと考えております。
しかしながら、当該事象が発生した場合は、各国政府による緊急事態宣言発出などに伴う、製品供給体制の圧迫リスクや製品需要の縮小リスクをすべて排除することは不可能であり、当社グループの業績及び財務状況に少なからず影響を及ぼす可能性があります。
当社グループ収入の殆どは既存の素材・仕様・規格を基に製造した製品の売上に拠っております。当社グループでは、顧客のニーズにお応えするよう新製品の開発に取り組んでおりますが、顧客からの支持を獲得できる新製品又は新技術を正確に予測することはできず、またこれらの製品の販売が成功する保証はなく、当社グループが業界と市場の変化を十分に予測できず、魅力ある新製品を開発できない場合には、将来の成長と収益性を低下させ、業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
また、品質管理につきましては、国際的に認知されている品質管理基準に従って製造を行っておりますが、予想を超える重大な品質トラブルが発生した場合には、当社グループの製品全体の評価に重大な影響を与え、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの事業は、環境規制や知的財産等の法規制の適用を受けており、訴訟等が発生し、当社グループに不利な判断がなされた場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループ製品の主要な販売先は国内流通業であり、国内景気の後退及びそれに伴う需要の縮小やデフレによる小売価格の低下は、当社グループの業績及び財務状況に少なからず影響を及ぼす可能性があります。なお、主要販売先が小売業、量販店、飲食チェーンなど多様な業務形態にわたることを考慮すると、特定の取引先に対する依存度は低いと考えております。
また、当社グループの事業は、競合他社が海外生産を行い低廉な人件費を基に当社グループと同種の製品をより低価格で販売した場合、価格競争が熾烈化し、その結果、当社グループの売上が影響を受ける可能性があります。
当社グループは、環境負荷の低減、再生資源素材の使用、海洋生分解性プラスチックを使用したレジ袋の開発など、地球環境に配慮した事業活動を通じ、社会の発展と繁栄に貢献しております。一方、プラスチックの海洋環境への影響が世界的な社会問題として取り上げられ、廃プラスチックに関する規制強化の議論が活発化していることなどを背景に、わが国では『プラスチック資源循環戦略』が策定され、2020年7月よりプラスチック製レジ袋の有料化が開始し、レジ袋の販売が大きく落ち込みました。今後、同戦略による廃プラスチック規制の強化が進められた場合に、化成品事業における需要は更に減少し、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行し、行動制限が緩和されたことから、国内の経済活動は緩やかな回復基調で推移いたしました。一方、世界的な金融引締め政策による景気減速懸念、ウクライナ・中東地域をめぐる情勢の悪化、円安による原材料価格の高騰や物価上昇など、依然として先行き不透明な状況が続いております。
当社グループを取り巻く経営環境につきましては、原材料・物流コストの高騰や円安進行といった外部要因の影響は継続しているものの、環境意識の高まりと人流の活発化・インバウンド需要の拡大により紙製品事業は好調に推移いたしました。また、コロナ禍でのオンライン消費活動の定着と段ボール製宅配資材の紙袋化の流れを受け、紙製宅配資材の販売は堅調に推移しており、その市場規模は今後も拡大していくものと見込んでおります。
このような環境のもと、当社グループは2021年6月30日に公表した中期経営計画『次世代パッケージ企業への転換』の最終年度にあたり、『環境対応と成長基盤確立のための3ヵ年~本気の変革~』を基本方針とし、事業構造改革の完遂に向けて、「事業構造の転換」、「新規事業の発掘」、「コスト削減」、「業務運営の効率化」、「組織・人員の見直し」などの取り組みを加速し、環境戦略の強化、構造改革の徹底に注力してまいりました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は26,837百万円(前年同期比6.3%増)、営業利益1,034百万円(前年同期比129.5%増)、経常利益1,076百万円(前年同期比127.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益866百万円(前年同期比82.8%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
なお、各セグメントのセグメント損益(営業損益)は、「セグメント情報等」に記載のとおり、各セグメントに配分していない全社費用607百万円を配分する前の金額であります。
紙製品事業につきましては、国内における個人消費の回復やインバウンド需要拡大もあり、主力の手提袋、宅配袋、紙器の販売が引き続き堅調に推移し、売上高は前年同期に比べ1,443百万円増加して14,689百万円となりました。セグメント利益(営業利益)は原材料費が増加したものの、調達先の見直し、紙製品事業へのリソース集中・生産体制の効率化に伴う利益率の向上により、前年同期に比べ422百万円増加して1,318百万円となりました。
化成品事業につきましては、事業の選別を進めた結果、売上高は前年同期に比べ146百万円減少して5,535百万円となりました。セグメント利益(営業利益)は、価格改定による粗利益率の向上のほか、数年来取り組んだ固定費の削減、不採算事業の整理により、収益性の大幅改善・黒字化を達成し、前年同期に比べ151百万円増加して130百万円となりました。
その他事業につきましては、S・V・S(スーパーバッグ・ベンダー・システム)を主たる事業として展開しております。売上高は前年同期に比べ287百万円増加して6,612百万円となりました。品目ごとの販売構成では、清掃用品が減少し、レジ用品が増加しております。セグメント利益(営業利益)は粗利益額が増加したことから、前年同期に比べ24百万円増加して193百万円となりました。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は販売価格により算出しております。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
総資産は、前連結会計年度末に比べ1,472百万円増加して15,597百万円となりました。流動資産は、受取手形が90百万円減少、棚卸資産が115百万円減少した一方、現金及び預金が389百万円増加、売掛金が547百万円増加、電子記録債権が136百万円増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ865百万円増加の10,686百万円となりました。固定資産は、減価償却で245百万円減少、繰延税金資産が88百万円減少した一方、設備投資等により427百万円増加、投資有価証券の時価評価額が435百万円増加、退職給付に係る資産が118百万円増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ607百万円増加の4,911百万円となりました。
負債合計は、前連結会計年度末に比べ304百万円増加して11,444百万円となりました。これは、支払手形及び買掛金が393百万円減少、短期借入金及び長期借入金が161百万円減少した一方、電子記録債務及び設備関係電子記録債務が469百万円増加、未払金及び設備関係未払金が84百万円増加、未払法人税等が72百万円増加、未払消費税等が89百万円増加、繰延税金負債が102百万円増加したことなどによるものであります。
純資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,167百万円増加して4,153百万円となりました。これは、自己株式の取得で113百万円減少した一方、利益剰余金が親会社株主に帰属する当期純利益計上により866百万円増加、その他有価証券評価差額金が303百万円増加、退職給付に係る調整累計額が70百万円増加したことなどによるものであります。この結果、1株当たり純資産額は、前連結会計年度末に比べ849.52円増加し2,794.25円に、自己資本比率は、前連結会計年度末の21.0%から26.5%になりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は2,533百万円となり、前連結会計年度末に比べ384百万円増加しております。その内訳は次のとおりであります。
当連結会計年度における営業活動による資金の増加は、1,042百万円(前年同期は60百万円の増加)となりました。
これは、売上債権の増加593百万円、法人税等の支払額114百万円等資金が減少したものの、税金等調整前当期純利益1,088百万円、減価償却費245百万円、棚卸資産の減少115百万円、利息及び配当金の受取額109百万円等資金が増加したことなどによるものであります。
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は、327百万円(前年同期は30百万円の増加)となりました。
これは、投資有価証券の売却による収入48百万円等資金が増加したものの、投資有価証券及び固定資産の取得による支出372百万円等資金が減少したことなどによるものであります。
当連結会計年度における財務活動による資金の減少は、357百万円(前年同期は255百万円の減少)となりました。
これは、借入金が純額で161百万円減少、自己株式の取得による支出113百万円、リース債務の返済による支出82百万円等資金が減少したことなどによるものであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性について、当社グループは、事業活動のための適切な資金確保、流動性の維持、並びに健全な財政状態を常にめざし、安定的な営業キャッシュ・フローの創出や資金調達手段の確保に努めております。設備投資などの長期資金需要につきましては、自己資金及び主に金融機関からの長期借入など、金利コストの最小化を図れるような調達方法を検討し対応しております。また運転資金需要につきましては、自己資金、営業活動から得られるキャッシュ・フローに加え、金融機関からの当座貸越枠を利用した短期借入金により対応しております。
当社グループは、2021年度からの3カ年を『環境対応と成長基盤確立のための3ヵ年~本気の変革~』と位置づけて策定した中期経営計画のなかで、売上高、営業利益、営業利益率などについて目標値を設け業績の回復に努めてまいりました。中期経営計画の最終年度にあたる当連結会計年度は、売上高26,837百万円、営業利益1,034百万円、営業利益率3.9%となりました。また、収益性指標につきましては、自己資本比率とROE(自己資本利益率)を重要指標と位置付け、財務体質強化及び株主の持分に対する投資収益率の向上に努め、自己資本比率は26.5%、ROEについては24.4%となっており、昨年度を上回る結果となりました。
2024年度は第2次中期経営計画の初年度にあたり、当社グループは上記を踏まえ、更なる収益構造改革の推進、財務体質強化及び株主の持分に対する投資収益率の向上を目指し、企業体質の変革に引き続き取り組むことを目標としております。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債や収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上し、回収が不確実と判断した部分に対して評価性引当額を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ、見積り額が減少した場合には、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。固定資産の回収可能価額について、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件に基づき算出しているため、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ、見積り額が減少した場合には、減損処理が必要となる可能性があります。
該当事項はありません。
当社グループ(当社及び連結子会社)は、お客様のニーズに的確にお応えするために、新素材の開発から製品の開発、さらには生産技術の開発に至るまで、積極的な研究開発活動を行っております。
現在、研究開発は、当社のマーケティング事業部開発室を中心に製造・調達部門と連携し進めております。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は
有限な資源の活用と環境保護に向け再生紙、森林認証紙、非木材紙の利用促進、リサイクル素材の活用及び拡大に向け製品開発を行っております。また、自社製品の製造段階で発生するCO₂の削減、省エネ化、節電、廃棄物削減など環境負荷低減の取り組みも継続的に進めております。
②環境配慮型原紙の開発
様々なリサイクル素材を配合した原紙や板紙を製紙メーカーと共同開発をし、廃棄物の削減やバージンパルプの使用量の削減に貢献しております。
また、使用済みの紙資源を分別・回収し、再生原紙として再利用する資源循環の仕組みの構築に取り組んでおります。
③主要な研究課題
脱プラスチックの流れに伴い、プラスチック包材の紙化、環境配慮素材への切替えに向け研究開発を進めております。環境負荷の少ない水性フレキソ印刷をベースに、高機能性を備えた紙製軟包装、環境配慮型の資材を用いた紙袋、利便性を高めた通販包装等の研究開発に取り組んでおります。
当事業に係わる研究開発費は、
持続可能な開発目標(SDGs)、海洋プラスチック憲章等の世界的な環境問題の取り組みの一環として日本においても2020年7月1日よりレジ袋の有料化が実施されました。
当社グループでは上記の変化と環境問題に対応するため以下の研究開発を行っております。
当社はプラスチックにサトウキビ由来のバイオマス原料をはじめとしたリサイクル樹脂や海洋生分解性プラスチックなど様々な素材を使用したレジ袋を開発しており、一部はすでに商品化されております。
また、使用されたプラスチック資源を回収しリサイクルした循環型製品の開発を行っております。
国内自社工場では操業当初から紙用水性フレキソインキを使用しており、現在ではほぼ全てのインキを水性化しております。
環境負荷軽減において水性フレキソインキの優位性は明白なため、紙製品事業で培ったフレキソ印刷の技術を更に高め、フィルムへの水性フレキソ印刷の研究開発を行っております。
当事業に係わる研究開発費は、
用度品の一括納入システムS・V・S(スーパーバッグ・ベンダー・システム)を中心とした事業部門であり、当事業に係わる研究開発費については、該当事項はありません。