【連結財務諸表注記】
1.報告企業
株式会社マキタ(以下、「当社」という。)は、日本に所在する企業で、登記されている本社の住所は、愛知県安城市住吉町三丁目11番8号であります。
当社の連結財務諸表は、2024年3月31日を連結会計年度末とし、当社及びその子会社(以下、「当社グループ」という。)により構成されております。
当社グループは、電動工具、園芸用機器等の製造販売を主な事業としております。
2.作成の基礎
(1) IFRSに準拠している旨
当社グループの連結財務諸表は、連結財務諸表規則第1条の2に掲げる「指定国際会計基準特定会社」の要件を全て満たしているため、同第93条の規定により、IFRSに準拠して作成しております。
当社グループの連結財務諸表は、2024年6月27日に取締役社長及び取締役執行役員管理本部長によって承認されております。
(2) 測定の基礎
当社グループの連結財務諸表は、注記「3.重要性がある会計方針」に記載のとおり、公正価値で測定されている特定の金融商品等を除き、取得原価を基礎として作成しております。
(3) 機能通貨及び表示通貨
当社グループの連結財務諸表は、当社の機能通貨である日本円で表示しております。日本円で表示している全ての財務情報は、百万円未満を四捨五入しております。
(4) 会計方針の変更
(国際的な税制改革-第2の柱モデルルール-IAS第12号の修正)
当社グループは、経済協力開発機構(OECD)が公表した第2の柱モデルルールを導入するために制定又は実質的に制定された税法から生じる法人所得税に係る繰延税金資産及び繰延税金負債に関して、認識及び情報開示に対する例外を適用しています。
また、当社グループは当社子会社の所在地国における第2の柱モデルルールの導入情報を集計して、実効税率が15%未満である子会社の利益に対して課税されるトップアップ税の影響を評価しておりますが、その結果、トップアップ税の対象となる可能性がある子会社は少ないと判断しております。なお、トップアップ税の対象となる可能性がある子会社の税金及び利益が当社グループへ与える影響は軽微です。
(5) 未適用の新基準書及び解釈指針
連結財務諸表の承認日までに公表されている主な基準書及び解釈指針の新設又は改訂のうち、当社グループが早期適用していない主なものは、以下の通りです。
これらの適用による影響は検討中ですが、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼすものはないと判断しております。
(6) 見積り及び判断の利用
IFRSに準拠した連結財務諸表の作成において、経営者は、会計方針の適用並びに資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす判断、見積り及び仮定の設定をすることが義務付けられております。実際の結果は、これらの見積りとは異なる場合があります。
見積り及びその基礎となる仮定は継続して見直されます。会計上の見積りの見直しによる影響は、その見積りを見直した会計期間及び将来の会計期間において認識されます。
経営者が行った連結財務諸表に重要な影響を与える会計方針の適用に際する判断に関する情報は、以下の注記に含まれております。
・収益認識 注記「3.重要性がある会計方針(15) 収益」
経営者が行った連結財務諸表の金額に重要な影響を与える見積り及び仮定は次のとおりであります。
・確定給付制度債務の測定-注記「3.重要性がある会計方針(11)従業員給付」、「15.従業員給付」
当社グループは、従業員の退職後給付制度として確定給付制度と確定拠出制度を採用しております。確定給付制度債務の現在価値及び関連する当期勤務費用等は、数理計算上の仮定に基づいて算定しております。数理計算上の仮定には、割引率等様々な変数についての見積り及び判断が求められます。数理計算上の仮定は、経営者の最善の見積りと判断により決定しておりますが、将来の不確実な経済条件の変動の結果や関連法令の改正・公布によって影響を受ける可能性があり、見直しが必要となった場合、翌連結会計年度の連結財務諸表において認識する金額に重要な影響を与える可能性があります。
・繰延税金資産の回収可能性-注記「3.重要性がある会計方針(17)法人所得税」、「24.法人所得税」
繰延税金資産は、未使用の税務上の繰越欠損金、税額控除及び将来減算一時差異のうち、将来課税所得に対 して利用できる可能性が高いものに限り認識しております。課税所得が生じる時期及び金額は、将来の不確実な経済条件の変動によって影響を受ける可能性があり、実際に生じた時期及び金額が見積りと異なった場合、翌連結会計年度の連結財務諸表において認識する金額に重要な影響を与える可能性があります。また、税制改正により実効税率が変更された場合には、繰延税金資産の残高が増減する可能性があります。
・棚卸資産の評価-注記「3.重要性がある会計方針(6)棚卸資産」、「7.棚卸資産」
棚卸資産は、取得原価と正味実現可能価額のいずれか低い金額で測定しております。正味実現可能価額で測定する場合には、取得原価との差額を原則として売上原価に認識しております。
正味実現可能価額は通常の営業過程における見積売価から販売に要する見積コストを控除した額であります。ただし、営業循環過程から外れて滞留する棚卸資産については、販売方針、将来の需要や市場動向を反映して正味実現可能価額を算定しております。
市場環境が予測より悪化して正味実現可能価額が著しく下落した場合には、翌連結会計年度の連結財務諸表において認識する金額に重要な影響を与える可能性があります。
3.重要性がある会計方針
以下に記載されている会計方針は、他の記載がない限り、本連結財務諸表(IFRS移行日の連結財政状態計算書を含む)に記載されている全ての期間において、継続的に適用されております。
(1) 連結の基礎
子会社とは、当社グループにより支配されている企業をいいます。支配とは、投資先に対するパワーを有し、投資先への関与により生じるリターンの変動に晒され、かつ投資先に対するパワーを通じてリターンに影響を与える能力を有する場合をいいます。
子会社の財務諸表は、当社グループが支配を獲得した日から支配を喪失する日まで、連結の対象に含めております。子会社に対する当社グループ持分の一部を処分した後も支配が継続する場合には、当社グループの持分の変動を資本取引として会計処理しており、非支配持分の調整額と対価の公正価値との差額は、親会社の所有者に帰属する持分として資本に直接認識されております。支配を喪失した場合には、支配の喪失から生じた利得又は損失は純損益で認識しております。
当社グループ内の債権債務残高及び取引、並びに当社グループ内取引によって発生した未実現損益は、連結財務諸表の作成に際して消去しております。
(2) 企業結合
当社グループは、取得法に基づき企業結合の会計処理をしております。取得対価は、被取得企業の支配と交換に譲渡した資産、引き受けた負債及び当社が発行する資本性金融商品の取得日の公正価値の合計として測定されます。当社グループは、非支配持分を公正価値もしくは被取得企業の識別可能純資産に対する非支配持分の比例持分で測定するかについて取引ごとに決定しております。
のれんは、移転された企業結合の対価、被取得企業の非支配持分の金額及び取得企業が以前に保有していた被取得企業の資本持分の公正価値の合計額が、取得日における識別可能資産及び負債の正味価額を上回る場合にその超過額として測定しております。
割安購入により、当該合計金額が取得した識別可能資産及び負債の正味価額を下回る場合、差額は直ちに連結損益計算書に純損益として認識されます。
企業結合に関連して発生した取得費用は、発生時に費用として処理しております。
(3) 外貨換算
① 外貨建取引
外貨建取引は、取引日の為替レートで当社グループ各社の機能通貨に換算しております。
期末日における外貨建貨幣性資産及び負債は、期末日の為替レートにより機能通貨に換算しております。
外貨建非貨幣性資産及び負債は、取得原価により測定されているものは、取引日の為替レートを使用して換算し、公正価値で測定されるものは、当該公正価値の算定日における為替レートで機能通貨に換算しております。当該換算又は決済により生じる換算差額は、純損益として認識しております。ただし、公正価値で測定しその変動をその他の包括利益として認識する資本性金融商品の換算により発生した差額はその他の包括利益として認識しております。
② 在外営業活動体
在外営業活動体の資産及び負債は、期末日の為替レートで、収益及び費用は、為替レートが著しく変動している場合あるいは超インフレ経済国の通貨である場合を除き、期中平均為替レートで日本円に換算しております。この結果生じる換算差額はその他の包括利益として認識しております。また、在外営業活動体の換算差額は、在外営業活動体が処分された期間に純損益として認識しております。超インフレ経済下にある子会社の財務諸表は、超インフレ会計の適用により期末日の為替レートで当社グループの表示通貨に換算しております。
(4) 金融商品
① 非デリバティブ金融資産
(ⅰ) 当初認識及び測定
当社グループは、当初認識時において、償却原価で測定する金融資産、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しております。当社グループでは、営業債権及びその他の債権については発生日に当初認識しており、その他の金融資産については金融商品の契約の当事者となった取引日に当初認識しております。
全ての金融資産は、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産を除き、公正価値に当該金融資産に直接帰属する取引費用を加算した額で当初測定しております。ただし、重大な金融要素を含んでいない営業債権は取引価格で当初測定しております。
(a) 償却原価で測定する金融資産
次の条件がともに満たされる金融資産を償却原価で測定する金融資産に分類しております。
・契約上のキャッシュ・フローを回収するために金融資産を保有することを目的とする事業モデルに基づいて、金融資産が保有されている。
・金融資産の契約条件により、元本及び元本残高に対する利息の支払のみであるキャッシュ・フローが特定の日に生じる。
(b) その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産
償却原価で測定する金融資産に分類されずに公正価値で測定することとされた金融資産のうち、売買目的ではない資本性金融商品への投資については、当初認識時に、その公正価値の事後的な変動をその他の包括利益に表示するという取消不能な選択を行うことが認められており、当社グループでは金融商品ごとに当該指定を行っております。
(c) 純損益を通じて公正価値で測定する金融資産
償却原価で測定する金融資産又はその他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産以外の金融資産については、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しております。
(ⅱ) 事後測定
(a) 償却原価で測定する金融資産
償却原価で測定する金融資産は、当初認識後は実効金利法に基づく償却原価で測定しております。実効金利法による利息収益は純損益で認識しております。
(b) その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品は、当初認識後は公正価値で測定し、その事後的な変動をその他の包括利益として認識しております。その他の包括利益として認識した金額は、認識を中止した場合、もしくは公正価値が著しく下落した場合にその累計額を利益剰余金に振り替えております。なお、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品からの配当収益については純損益として認識しております。
(c) 純損益を通じて公正価値で測定する金融資産
純損益を通じて公正価値で測定する金融資産は、当初認識後は公正価値で測定し、公正価値の変動から生じる評価損益、配当収益及び利息収益は純損益として認識しております。
(ⅲ) 認識の中止
金融資産は、金融資産からのキャッシュ・フローに対する契約上の権利が消滅した場合、又は金融資産のキャッシュ・フローを受け取る契約上の権利を譲渡し、当該金融資産の所有に係るリスクと経済価値のほとんど全てが移転している場合に、認識を中止しております。
② 金融資産の減損
当社グループは、償却原価で測定する金融資産に係る予想信用損失に対して、貸倒引当金を認識しております。予想信用損失は、契約に基づいて受け取るべき契約上のキャッシュ・フローと受け取ると見込んでいるキャッシュ・フローとの差額の割引現在価値に基づいて測定しております。
金融資産に係る信用リスクが当初認識以降に著しく増大している場合、全期間の予想信用損失を貸倒引当金として認識しております。当初認識以降に著しく増大していない場合には、12ヵ月の予想信用損失を貸倒引当金として認識しております。なお、重大な金融要素を含んでいない営業債権については、期日経過の情報や内部信用格付に基づく相手先の信用リスク特性に応じて区分し、その区分に応じて算定した過去の信用損失の実績率に将来の経済状況等の予測を加味した引当率を乗じて、常に貸倒引当金を全期間の予想信用損失に等しい金額で測定しております。
金融資産に係る信用リスクが当初認識以降に著しく増大しているか否かは、当初認識時における債務不履行発生リスクと各期末日における債務不履行発生リスクを比較して判断しており、期日経過情報のほか、合理的かつ裏付け可能な情報を考慮しております。金融資産の全部又は一部について回収ができず、又は回収が極めて困難であると判断された場合は債務不履行が生じているとみなし、債務不履行に該当した場合は信用減損金融資産として取り扱っております。
金融資産の全体又は一部分を回収するという合理的な予想を有していない場合には、金融資産の総額での帳簿価額を直接減額しております。
金融資産に係る貸倒引当金の繰入額及び戻入額は、純損益で認識しております。
③ 非デリバティブ金融負債
(ⅰ) 当初認識及び測定
当社グループは、当初認識時において、償却原価で測定する金融負債及び純損益を通じて公正価値で測定する金融負債に分類しております。金融負債は、当社グループが当該金融負債の契約当事者になる取引日に当初認識しております。
全ての金融負債は、当初認識時に公正価値で測定しておりますが、償却原価で測定する金融負債については、公正価値から直接帰属する取引コストを控除した額で測定しております。
(ⅱ) 事後測定
(a) 償却原価で測定する金融負債
償却原価で測定する金融負債は、当初認識後は実効金利法に基づく償却原価で測定しております。
(b) 純損益を通じて公正価値で測定する金融負債
純損益を通じて公正価値で測定する金融負債は、当初認識後は公正価値で測定し、公正価値の変動から生じる評価損益は純損益として認識しております。
(ⅲ) 認識の中止
金融負債は、金融負債が消滅した時、すなわち、契約中に特定された債務が免責、取消し又は失効となった時に認識を中止しております。
④ デリバティブ
当社グループでは、為替変動リスクをヘッジするために、為替予約のデリバティブ取引を行っております。デリバティブは公正価値で当初認識し、当初認識後も公正価値で再測定しております。デリバティブの公正価値の変動は純損益として認識しております。
(5) 現金及び現金同等物
現金及び現金同等物は、手許現金、随時引き出し可能な預金及び容易に換金可能であり、かつ、価値の変動について僅少なリスクしか負わない取得日から概ね3ヵ月以内に償還期限の到来する短期投資から構成されております。
(6) 棚卸資産
棚卸資産は、取得原価と正味実現可能価額のいずれか低い価額で測定しております。取得原価には、購入原価、加工費及び棚卸資産が現在の場所及び状態に至るまでに発生したその他のコストの全てを含んでおり、取得原価の算定にあたっては、加重平均法を用いております。加工費には正常生産能力に基づく製造間接費の配賦額を含めております。正味実現可能価額は、通常の営業過程における見積売価から、販売に要する見積コストを控除した額であります。
(7) 有形固定資産
① 認識及び測定
有形固定資産については、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した額で測定しております。
取得原価には、資産の取得に直接関連する費用、資産の解体及び除去費用、原状回復費用の当初見積額、並びに資産計上の要件を満たす借入コストが含まれております。有形固定資産の構成要素の耐用年数が構成要素ごとに異なる場合は、それぞれ別個の有形固定資産項目として計上しております。
② 取得後の支出
有形固定資産の取得後に発生した支出のうち、修繕及び維持のための日常的な保守費用は発生時に費用として処理し、主要な取替及び改良に係る支出については、その支出により将来の経済的便益が当社グループに流入する可能性が高く、金額を信頼性をもって測定することができる場合に限り資産計上しております。
③ 減価償却
土地及び建設仮勘定以外の有形固定資産は、取得原価から残存価額を控除した償却可能価額について、使用可能となった時点から見積耐用年数にわたり、定額法で減価償却を行っております。主要な有形固定資産の見積耐用年数は次のとおりであります。
・建物及び構築物 :3年から60年
・機械装置及び備品:2年から15年
なお、減価償却方法、残存価額及び見積耐用年数は毎年見直し、必要に応じて改定しております。
(8) のれん及び無形資産
① のれん
のれんは償却を行わず、事業を行う地域及び事業の種類に基づいて識別された資金生成単位又は資金生成単位グループに配分し、毎年及び減損の兆候が存在する場合はその都度、減損テストを実施しております。のれんの減損損失は連結損益計算書において認識され、その後の戻入れは行っておりません。
当初認識後、のれんは取得原価から減損損失累計額を控除した価額で表示しております。
② 無形資産
無形資産については、取得原価から償却累計額及び減損損失累計額を控除した価額で計上しております。
個別に取得した無形資産は当初認識時に取得原価で測定しており、企業結合により取得した無形資産の取得原価は取得日の公正価値で測定しております。
開発活動による支出については、信頼性をもって測定可能で、技術的かつ商業的に実現可能であり、将来的に経済的便益を得られる可能性が高く、当社グループが開発を完成させ、当該資産を使用又は販売する意図及びそのための十分な資質を有している場合にのみ、上記の認識条件の全てを初めて満たした日から開発完了までに発生した費用の合計額を無形資産として資産計上しております。
内部利用を目的としたソフトウェアの取得及び開発費用は、将来の経済的便益の流入が期待される場合には無形資産に計上しております。
耐用年数を確定できる無形資産はそれぞれの見積耐用年数にわたり、定額法で償却しております。主要な無形資産の見積耐用年数は次のとおりであります。
・開発費 :5年
・ソフトウェア:2~10年
・工業所有権 :10~17年
無形資産の償却方法、残存価額及び見積耐用年数は毎年見直し、必要に応じて改定しております。
(9) リース
当社グループは、契約がリースであるかどうか、又は契約にリースが含まれているかどうかについては、法的にはリースの形態をとらないものであっても、契約の実質に基づき判断しております。
当社グループは、リース契約の開始時に使用権資産とリース負債を認識しております。使用権資産は、取得原価で当初測定しております。この取得原価は、リース負債の当初測定金額、リース開始日以前に支払ったリース料、リース契約に基づき要求される資産の解体及び除去費用、原状回復費用の当初見積額、並びに資産計上の要件を満たす借入コストが含まれております。当初認識後、原資産の所有権がリース期間の終了時までに移転される場合、又は購入オプションを行使することが合理的に確実である場合には、原資産の耐用年数で、それ以外の場合には、見積耐用年数又はリース期間のいずれか短い方の期間にわたって定額法で減価償却を行っております。使用権資産は取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除して、リース負債の再測定額を加減して測定しており、連結財政状態計算書上は有形固定資産に含めて表示しております。
リース期間は、リースの解約不能期間に、行使することが合理的に確実な延長オプション又は行使しないことが合理的に確実な解約オプションの期間を加えて決定しております。
リース負債はリース開始日における残存リース料総額を同日現在の借手の追加借入利子率を用いて割り引いて現在価値を測定しております。当初認識後、リース負債に係る金利、支払われたリース料及び再測定を加減して測定しております。リース料は、リース負債残高に対して一定の利子率となるように、金融費用とリース負債残高の返済部分とに配分しております。リースの開始日後において、リースの条件変更等に伴い、必要に応じてリース負債を再測定しております。リース負債は連結財政状態計算書上はその他の金融負債に含めて表示しております。利息費用は連結損益計算書上、使用権資産に係る減価償却費と区分して金融費用として表示しております。
なお、当社グループは、リース期間が12ヵ月以内の短期リース及び少額リースについて、IFRS第16号の免除規定を適用し、使用権資産及びリース負債を認識しないことを選択しております。当社グループは、これらのリースに係るリース料をリース期間に渡り定額法により費用として認識しております。
(10) 非金融資産の減損
棚卸資産及び繰延税金資産を除く当社グループの非金融資産は、報告期間の期末日ごとに減損の兆候の有無を判断しております。
減損の兆候が存在する場合には減損テストを実施し、当該資産の回収可能価額を見積っております。なお、のれん及び耐用年数を確定できない、又は未だ使用可能ではない無形資産については償却を行わず、毎年及び減損の兆候が存在する場合はその都度、減損テストを実施しております。
当社グループの全社資産は、独立したキャッシュ・インフローを生成しないため、全社資産に減損の兆候がある場合、全社資産が帰属する資金生成単位の回収可能価額を見積っております。
回収可能価額は、処分コスト控除後の公正価値と使用価値のいずれか高い方の金額としております。使用価値の算定において、見積将来キャッシュ・フローは、貨幣の時間的価値及び当該資産に固有のリスクを反映した税引前の割引率を用いて現在価値に割り引いております。
個別の資産又は資金生成単位の帳簿価額が回収可能価額を上回る場合には純損益にて減損損失を認識し、当該資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額しております。資金生成単位又は資金生成単位グループに関連して認識した減損損失は、まずその単位に配分されたのれんの帳簿価額を減額するように配分し、次に資金生成単位内のその他の資産の帳簿価額を比例的に減額しております。
のれんに係る減損損失は、戻入れを行っておりません。のれん以外の非金融資産に係る減損損失は、減損損失がもはや存在しないか又は減少している可能性を示す兆候が存在する場合に当該資産の回収可能価額を見積っており、回収可能価額が減損処理後の帳簿価額を上回った場合には減損損失の戻入れを行っております。なお、減損損失の戻入れは過去の期間において当該資産に認識した減損損失がなかった場合の帳簿価額を超えない範囲内で純損益にて認識しております。
(11) 従業員給付
① 退職後給付
当社グループは、従業員の退職後給付制度として確定給付制度と確定拠出制度を採用しております。
(i) 確定給付制度
確定給付制度債務の現在価値及び関連する当期勤務費用並びに過去勤務費用は、予測単位積増方式を用いて算定しております。
割引率は、将来の毎年度の給付支払見込日までの期間を基に割引期間を設定し、割引期間に対応した期末日時点の優良社債の市場利回りに基づき算定しております。
確定給付制度に係る資産又は負債は、確定給付制度債務の現在価値から制度資産の公正価値を控除して算定しております。当期勤務費用及び確定給付負債の純額に係る利息純額は、純損益として認識しております。過去勤務費用は発生した期の費用として認識しております。
確定給付制度に係る資産又は負債の純額の再測定額は、発生した期においてその他の包括利益に一括認識し、直ちに利益剰余金に振り替えております。
(ii) 確定拠出制度
確定拠出制度については、確定拠出制度に支払うべき拠出額を、従業員が関連するサービスを提供した期間に費用として認識しております。
② 短期従業員給付
短期従業員給付については、割引計算を行わず、従業員が関連するサービスを提供した期間に費用として認識しております。
賞与及び有給休暇については、当社グループが従業員から過去に提供されたサービスの結果として支払うべき現在の法的及び推定的債務を負っており、かつその金額を信頼性をもって見積ることができる場合に、支払われると見積られる額を負債として認識しています。
(12) 株式に基づく報酬
当社グループは、当社の取締役(社外取締役を除く)及び従業員に対する報酬制度として、以下の持分決済型の株式報酬制度を採用しています。
譲渡制限付株式報酬制度
譲渡制限付株式報酬は、付与する当社株式の公正価値を参照して測定しており、算定された報酬は費用として純損益に認識し、同額を資本の増加として認識しております。
(13) 引当金
引当金は、過去の事象の結果として、当社グループが現在の法的債務又は推定的債務を有し、その債務を決済するために経済的便益を有する資源の流出が生じる可能性が高く、かつ当該債務の金額について信頼できる見積りができる場合に認識しております。
貨幣の時間的価値の影響が重要な場合には、当該引当金は負債の決済に必要と予想される支出額の現在価値で測定しております。現在価値は、貨幣の時間的価値とその負債に特有なリスクを反映した税引前割引率を用いて計算しております。時の経過に伴う割引額の割戻しは、金融費用として認識しております。
製品保証引当金は、製品のアフターサービスに対する費用支出に備えるため、過去の実績額に基づき、現行の製品不良率、過去に実績のない特定製品の不具合、不良製品の修理において被る材料費や発送費用の発生等による影響を考慮して計上しております。製品保証引当金は、収益認識がなされた時点で引当金及び売上原価として計上されております。
(14) 株主資本
① 普通株式
当社が発行した資本性金融商品は、発行価額を資本金及び資本剰余金に計上し、直接発行費用(税効果考慮後)は資本剰余金から控除しております。
② 自己株式
自己株式は取得原価で評価し、資本から控除しており、自己株式の購入、売却又は消却において利得又は損失は認識しておりません。なお、帳簿価額と処分時の対価との差額は資本剰余金として認識しております。
(15) 収益
当社グループは、下記の5ステップアプローチに基づき、収益を認識しております。
ステップ1:顧客との契約を識別する
ステップ2:契約における履行義務を識別する
ステップ3:取引価格を算定する
ステップ4:取引価格を契約における履行義務に配分する
ステップ5:企業が履行義務の充足時に収益を認識する
当社グループは電動工具、園芸用機器等の製造・販売を主な事業としております。これらの製品販売については、製品の引渡時点において顧客が当該製品に対する支配を獲得することから、履行義務が充足されると判断しており、当該製品の引渡時点で収益を認識しております。また、収益は、顧客との契約において約束された対価から、値引き、リベート及び返品等を控除した金額で測定しております。
(16) 金融収益及び金融費用
金融収益は、受取利息、受取配当金、為替差益、デリバティブ利益等から構成されております。受取利息は、実効金利法を用いて発生時に認識しております。受取配当金は、当社グループの受領権が確定した時点で認識しております。
金融費用は、支払利息、為替差損、デリバティブ損失等から構成されております。支払利息は、実効金利法を用いて発生時に認識しております。
(17) 法人所得税
法人所得税費用は、当期税金費用と繰延税金費用から構成されています。これらは、直接資本の部又はその他の包括利益で認識される項目を除き、純損益として認識しております。
当期税金は、期末日において制定され又は実質的に制定されている税率を用いて、税務当局に対する納付又は税務当局からの還付が予想される金額で測定しております。
繰延税金資産及び負債は、資産及び負債の会計上の帳簿価額と税務基準額の差額である一時差異並びに繰越欠損金に基づいて算定しております。繰延税金資産は、未使用の税務上の繰越欠損金、税額控除及び将来減算一時差異のうち、将来課税所得に対して利用できる可能性が高いものに限り認識しております。一方、繰延税金負債は、将来加算一時差異に対して認識しております。
なお、以下の一時差異に対しては、繰延税金資産又は負債を計上しておりません。
・のれんの当初認識において生じる将来加算一時差異
・子会社に対する投資に係る将来減算一時差異に関しては、予測可能な将来に当該一時差異が解消しない可能性が高い場合、又は当該一時差異の使用対象となる課税所得が稼得される可能性が低い場合
・子会社に対する投資に係る将来加算一時差異のうち、一時差異の解消時期をコントロールでき、かつ予測可能な期間内に一時差異が解消しない可能性が高い場合
繰延税金資産及び負債は、期末日までに制定又は実質的に制定されている税率に基づいて、資産が実現する期間又は負債が決済される期間に適用されると予想される税率を使用して測定しております。
繰延税金資産及び繰延税金負債は、当期税金資産と当期税金負債を相殺する法律上強制力のある権利を有し、かつ同一の税務当局によって同一の納税主体に課されている場合に相殺しております。
当社グループは、経済協力開発機構(OECD)が公表した第2の柱モデルルールを導入するために制定又は実質的に制定された税法から生じる法人所得税に係る繰延税金資産及び繰延税金負債に関して、認識及び情報開示に対する例外を適用しています。
(18) 1株当たり利益
基本的1株当たり利益は、親会社の所有者に帰属する利益を、その期間の自己株式を調整した発行済普通株式の加重平均株式数で除して算定しております。
希薄化後1株当たり利益は、希薄化効果を有する全ての潜在的普通株式による影響を調整して算定しております。
(19) 政府補助金
政府補助金は、補助金交付のための付帯条件を満たし、かつ補助金を受領することに合理的な保証が得られた場合に公正価値で認識しております。
収益に関する政府補助金は、補助金で補償することを意図している関連コストを費用として認識する期間にわたって、規則的に収益として認識しております。
また、資産に関する政府補助金は、繰延収益として認識し、当該資産の見積耐用年数にわたって規則的に収益として認識しております。
4.セグメント情報
(1) 報告セグメントの概要
当社グループの報告セグメントは、当社グループの構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、経営者が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものであります。
当社グループは、主に電動工具・園芸用機器等を製造・販売する単一事業分野において事業活動を行っており、日本、欧州、北米、アジア及びその他の地域の各現地法人が地域ごと連携しながら包括的な戦略を立案し、事業活動を展開しております。
従って、当社グループの報告セグメントは「日本」、「欧州」、「北米」、「アジア」の地域より構成されております。報告セグメントの主な国は次のとおりであります。
(2) 報告セグメントに関する情報
報告セグメントの会計処理の方法は、注記「3.重要性がある会計方針」で記載している当社グループの会計方針と同一であります。
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
(単位:百万円)
(注) 1.セグメント間の内部売上収益又は振替高は、市場実勢を勘案し協議の上で決定した販売価格に基づいて
います。
2.「その他」は主にオーストラリア、ブラジル、アラブ首長国連邦の地域より構成されております。
3.調整額は以下のとおりであります。
① 営業利益の調整額△13,157百万円には、セグメント間取引消去金額が含まれております。
② 減価償却費及び償却費の調整額△226百万円は、セグメント間の連結調整の影響額であります。
③ セグメント資産の調整額△447,523百万円には、セグメント間取引消去金額が含まれております。
④ 資本的支出の調整額△871百万円は、セグメント間の連結調整の影響額であります。
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
(単位:百万円)
(注) 1.セグメント間の内部売上収益又は振替高は、市場実勢を勘案し協議の上で決定した販売価格に基づいて
います。
2.「その他」は主にオーストラリア、ブラジル、アラブ首長国連邦の地域より構成されております。
3.調整額は以下のとおりであります。
① 営業利益の調整額6,733百万円には、セグメント間取引消去金額が含まれております。
② 減価償却費及び償却費の調整額△253百万円は、セグメント間の連結調整の影響額であります。
③ セグメント資産の調整額△422,130百万円には、セグメント間取引消去金額が含まれております。
④ 資本的支出の調整額△508百万円は、セグメント間の連結調整の影響額であります。
(3) 製品及びサービスに関する情報
製品及びサービスごとの外部顧客への売上収益は次のとおりであります。
(単位:百万円)
(4) 地域に関する情報
売上収益及び非流動資産の地域別内訳は次のとおりであります。
① 外部顧客への売上収益
(単位:百万円)
(注) 売上収益は顧客の所在地を基礎とし、国又は地域に分類しております。
② 非流動資産
(単位:百万円)
(注)金融商品、繰延税金資産、退職給付に係る資産を除いております。
(5) 主要な顧客に関する情報
外部顧客への売上収益のうち、連結損益計算書の売上収益の10%以上を占める相手先がないため、記載を省略しております。
5.現金及び現金同等物
現金及び現金同等物の内訳は、次のとおりであります。なお、前連結会計年度及び当連結会計年度の連結財政状態計算書上における「現金及び現金同等物」の残高と連結キャッシュ・フロー計算書上における「現金及び現金同等物」の残高は一致しております。
(注)現金及び現金同等物は、償却原価で測定する金融資産に分類しております。
6.営業債権及びその他の債権
営業債権及びその他の債権の内訳は次のとおりであります。
(注) 営業債権及びその他の債権は、償却原価で測定する金融資産に分類しております。
7.棚卸資産
棚卸資産の内訳は、次のとおりであります。
(注) 1.前連結会計年度及び当連結会計年度において費用として認識され、売上原価に含まれている棚卸資産の金額は570,968百万円及び511,758百万円であります。
2.前連結会計年度及び当連結会計年度において費用として認識され、売上原価に含まれている棚卸資産の評価減の金額は16,326百万円及び8,276百万円であります。
3.前連結会計年度及び当連結会計年度の連結財政状態計算書に計上した棚卸資産の金額は453,752百万円及び 345,491百万円であり、正味実現可能価額の下落による簿価切下額44,523百万円及び52,870百万円を差し引いて計上しています。
4.負債の担保に供されている棚卸資産はありません。
5.前連結会計年度及び当連結会計年度において、重要な評価減の戻入れはありません。
8.その他の資産
その他の資産の内訳は、次のとおりであります。
9.有形固定資産
(1)増減表
有形固定資産の取得原価、減価償却累計額及び減損損失累計額の増減、並びに帳簿価額は、次のとおりであります。
① 取得原価
② 減価償却累計額及び減損損失累計額
③ 帳簿価額
(注) 1.有形固定資産の減価償却費は、連結損益計算書の「売上原価」及び「販売費及び一般管理費等」に含めております。
2.建設中の有形固定資産に関する金額は建設仮勘定として表示しております。
3.有形固定資産の取得原価に含めた借入費用はありません。
4.所有権に対する制限がある有形固定資産及び負債の担保として抵当権が設定された有形固定資産はありません。
5.前連結会計年度及び当連結会計年度において有形固定資産取得に関する重要なコミットメントの金額は18,367百万円及び5,500百万円であります。
(2)使用権資産
使用権資産の帳簿価額の内訳は、以下の通りであります。
10.のれん及び無形資産
(1)増減表
のれん及び無形資産の取得原価、償却累計額及び減損損失累計額の増減並びに帳簿価額は、次のとおりであります。
① 取得原価
② 償却累計額及び減損損失累計額
③ 帳簿価額
(注) 1.無形資産の償却費は、連結損益計算書の「売上原価」及び「販売費及び一般管理費等」に含めております。
2.所有権に対する制限がある無形資産及び負債の担保として抵当権が設定された無形資産はありません。
3.無形資産取得に関する重要なコミットメントはありません。
4.耐用年数が確定できない重要な無形資産はありません。
(2)減損損失
前連結会計年度及び当連結会計年度において、減損損失の計上はありません。
(3) 費用認識した研究開発支出
研究費及び資産認識基準を満たさない開発費は、発生時に費用として認識しております。当社グループの前連結会計年度及び当連結会計年度における期中に費用として認識された研究開発支出は13,590百万円及び12,879百万円であり、連結損益計算書の「販売費及び一般管理費等」に含まれております。
11.リース取引
当社グループは、借手として土地、建物及び構築物、機械設備及び備品を賃借しております。
リース契約の一部については、更新オプションや購入選択権が付されておりますが、リース期間に含まれていないオプション・リース料はリース料に対して重要性はありません。また、サブリース契約、変動リース料及びエスカレーション条項(リース契約金額の引き上げを定めた条項)並びにリース契約によって課された制限(配当、追加借入及び追加リースに関する制限等)に重要なものはありません。
(1) リース取引に係る損益
連結損益計算書上のリースに係る純損益は以下の通りであります。
(単位:百万円)
(2)リース取引に係るキャッシュ・フロー
リース取引に係るキャッシュ・フローの金額は、以下のとおりであります。少額リース及び短期リースが含まれております。
(単位:百万円)
使用権資産の増加額及び使用権資産の帳簿価額の内訳については、「9.有形固定資産」に記載しております。また、リース負債の満期分析については、「27.金融商品」に記載しております。
12.営業債務及びその他の債務
営業債務及びその他の債務の内訳は、次のとおりであります。
(注) 営業債務及びその他の債務は、償却原価で測定する金融負債に分類しております。
13.借入金
(単位:百万円)
(注) 1.借入金は、償却原価で測定する金融負債に分類しております。
2.借入金は、全て1年以内に返済する短期借入金であります。
3.前連結会計年度及び当連結会計年度の借入金の平均利率は、1.42%及び 4.98%であり、平均利率は借入金の前連結会計年度末及び当連結会計年度末残高に対する加重平均利率を記載しております。
14.その他の負債
その他の負債の内訳は、次のとおりであります。
15.従業員給付
(1) 退職後給付
① 退職給付制度の概要
当社及び一部の連結子会社は、従業員の退職給付に備え、確定給付企業年金制度及び確定拠出年金制度等の退職給付制度を採用しております。それらの制度の下、従業員は退職時に一時払い、或いは年金として支払を受ける権利を有しております。当社の国内における退職給付制度は、当社の従業員全員を対象としております。
当社グループにおける確定給付制度への拠出は、従業員の給与水準や勤続年数、制度資産の積立状態、数理計算等様々な要因により決定されます。また、確定給付企業年金法の規定により、マキタ企業年金基金では、将来にわたって財政の均衡を保つことができるよう、5年ごとに報告期間の期末日を基準日として掛金の額の再計算を行っています。
確定給付企業年金制度は、主に母体企業とは別の法人格をもった基金を設立した上で、基金において年金資金を管理・運用し、年金給付を行う基金型の企業年金です。給付額が退職時点における役職、格付年数及び勤続年数に基づいて毎月付与される累積ポイントに基づき決定されます。
確定給付企業年金の場合、事業主・基金理事・運用機関の責任が確定給付企業年金法で規定されています。基金の理事に対しては、法令、法令に基づいてする厚生労働大臣の処分、規約及び代議員会の決議を遵守し、基金のため忠実に積立金の管理及び運用に関する業務を遂行しなければなりません。加えて、理事に対しては第三者の利益を図ることを目的とした資産管理契約の締結の禁止が規定されるとともに、利益相反行為の禁止などの行為準則が明確化されております。
当社グループにおける制度資産の運用は退職年金及び退職一時金の支払を確実に行うために、長期的に必要とされる収益を確保することを目的として行っています。この運用目的を達成するために、将来に渡る最適な組み合わせであるアセットミックスを3-5年の中長期的観点から策定しております。運用の安定化と急激な下ぶれリスクを抑制するため、株式等の高リスク資産の比率を抑えつつ、必要に応じてアセットミックスの見直しを行うものとします。また市場時価の変動などにより一時的に資産構成割合がアセットミックスの許容レンジから乖離した場合は、市場環境等を考慮した上で調整を行います。
資本性金融商品と負債性金融商品の割合は、期待運用収益率を考慮して決定しております。当社及び一部の連結子会社は、制度資産の基本ポートフォリオを修正する必要があるかどうかを判断するため、制度資産の期待運用収益と実際の運用収益との乖離幅を毎年検証しております。当社及び一部の連結子会社は制度資産の期待運用収益率を達成するために基本ポートフォリオの見直しが必要だと考えられる場合は、基本ポートフォリオを見直します。
② 確定給付制度
(a) 確定給付制度から生じた連結財務諸表上の金額
確定給付制度に関する連結財政状態計算書の計上額は次のとおりであります。
(b) 確定給付制度債務
確定給付制度債務の現在価値の変動は次のとおりであります。
(注) 確定給付制度債務の加重平均デュレーションは、前連結会計年度末は13.6年、当連結会計年度末は14.4年 であります。
(c) 制度資産
制度資産の公正価値の変動は次のとおりであります。
(注) 当社グループは、翌連結会計年度(2025年3月期)に1,241百万円の掛金を拠出する予定であります。
制度資産の公正価値の内訳は次のとおりであります。
資本性金融商品への投資は原則として各証券取引所において公開されている株式としております。また、投資対象企業の経営内容、成長性などについて十分調査分析を行った上で銘柄を選択するとともに、業種などについても適切な分散化を図っております。
負債性金融商品は、主に国内外の国債及び地方債で構成されております。負債性金融商品への投資は、債券の格付、クーポン、償還日などの発行条件、発行者等について十分調査分析を行った上で銘柄を選択するとともに、残存期間、発行者などについても適切な分散化を図っております。
資本性金融商品及び負債性金融商品に含まれる外国株式及び債券への投資は、投資対象市場の政治・経済の安定性、決済システム及び税制等の市場特性を十分調査した上で、投資対象国及び通貨を選定しております。
オルタナティブ投資は、私募-REIT、CATボンド、ヘッジファンド(日本株マーケットニュートラル及び債券レラティブバリュー等)及び海外不動産等に投資しております。
(d) 重要な数理計算上の仮定
確定給付制度債務の現在価値の算定に用いた重要な数理計算上の仮定は、次のとおりであります。
(e) 確定給付制度債務の感応度分析
他の仮定に変更がないとして、以下に示された割合で割引率が変動した場合、確定給付制度債務は次のとおり変動します。感応度分析はその他の仮定に変更がないことを前提としておりますが、実際には他の仮定の変化が感応度分析に影響する可能性があります。
③ 確定拠出制度
確定拠出制度に関して費用として認識した金額は、前連結会計年度及び当連結会計年度において、740百万円及び888百万円であります。
(2) 従業員給付費用
費用として認識している従業員給付費用の合計額は、前連結会計年度及び当連結会計年度においてそれぞれ103,443百万円及び105,625百万円であります。退職給付費用は「売上原価」及び「販売費及び一般管理費等」に計上しております。
16.株式報酬
当社は、当社の取締役(社外取締役を除く。以下、「対象取締役」という。)及び従業員が株価変動のメリットとリスクを株主の皆様とより一層共有し、株価上昇及び企業価値向上への貢献意欲を従来以上に高めることを目的として、対象取締役に対し、譲渡制限付株式を割り当てる株式報酬制度を導入しております。当該制度に基づいて持分決済型の株式制度の会計処理を適用しております。
(1)譲渡制限付株式報酬制度
①制度の概要
当社と対象取締役との間において譲渡制限付株式割当契約を締結しており、その内容として、譲渡制限期間は50年間としております。この期間において、当該対象取締役に対して割り当てられた譲渡制限付株式につき、第三者に対して譲渡、質権の設定、譲渡担保権の設定、生前贈与、遺贈その他一切の処分行為をすることができません。譲渡制限は、譲渡制限付株式の割当てを受けた対象取締役が、譲渡制限期間の開始日以降、最初に到来する当社の定時株主総会の開催日まで継続して、当社の取締役の地位にあったことを条件として、本割当株式の全部につき、譲渡制限期間が満了した時点をもって解除されます。他方で、譲渡制限期間が満了した時点において、譲渡制限が解除されていない株式がある場合には、当社が無償で取得する仕組みとしております。
また、所定の要件を満たす当社及び当社子会社の管理職従業員に対して当社普通株式を付与することを決議いたしました。なお、中長期的かつ継続的な勤務を促す観点から、本割当株式には当社及び当社子会社を退職するときまでの期間について譲渡制限を設けることといたしました。
②公正価値の算定方法は、当社株式の観察可能な市場価格を基礎として測定しております。
取締役譲渡分
従業員譲渡分
(2)株式報酬費用
連結損益計算書の販売費及び一般管理費等に計上した株式を基礎とした報酬費用は次のとおりであります。
(単位:百万円)
17.引当金
引当金の内訳及び増減は以下のとおりであります。
当社グループが計上している引当金の概要及び経済的便益の流出が予測される時期は次のとおりであります。
製品保証引当金
製品保証引当金は、製品のアフターサービスに対する費用支出に備えるため、過去の実績額に基づき、現行の製品不良率、過去に実績のない特定製品の不具合、不良製品の修理において被る材料費や発送費用の発生等による影響を考慮して計上しております。製品保証引当金は、収益認識がなされた時点で引当金及び売上原価として計上しております。主に1年以内に支払われることが見込まれております。
18.偶発債務
当社グループは通常の事業活動から生じる、種々の法的な申し立て及び訴訟にさらされておりますが、これらの事象の最終的な帰結が、当社の連結上の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに重大な影響を与えることはないと考えております。
19.資本及びその他の資本項目
(1) 資本金及び自己株式
授権株式数、発行済株式数及び自己株式数は次のとおりであります。
(注) 1.発行済株式は全額払込済となっております。
2.自己株式数の期中増減は、取締役会の決議に基づく自己株式の取得及び単元未満株式の買取り又は譲渡制限付株式の割当によるものです。
(2) 資本剰余金
資本剰余金は、資本取引から生じた金額のうち資本金に含まれない金額で構成され、主な内訳は資本準備金であります。日本における会社法(以下、「会社法」)では、株式の発行に対しての払込み又は給付に係る額の2分の1以上を資本金に組み入れ、残りは資本準備金に組み入れることが規定されております。また、資本準備金は株主総会の決議により、資本金に組み入れることができます。
(3) 利益剰余金
利益剰余金は、利益準備金及びその他利益剰余金から構成されております。
会社法では、剰余金の配当により減少する剰余金の額の10分の1を、資本準備金及び利益準備金の合計額が資本金の4分の1に達するまで、資本準備金又は利益準備金として積み立てることが規定されております。積み立てられた利益準備金は、欠損填補に充当できます。また、株主総会の決議をもって、利益準備金を取り崩すことができます。
(4) その他の資本の構成要素
① その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品の公正価値の評価差額であります。その他の包括利益として認識した金額は、認識を中止した場合、もしくは公正価値が著しく下落した場合にその累計額を利益剰余金に振り替えております。
② 確定給付制度の再測定
確定給付制度の再測定は、数理計算上の差異、制度資産に係る収益(利息収益に含まれる金額を除く)の変動額であります。数理計算上の差異は、期首時点の数理計算上の仮定と実際の結果との差異による影響額及び数理計算上の仮定の変更による影響額であります。これらについては、発生時にその他の包括利益で認識し、その他の資本の構成要素から利益剰余金に直ちに振り替えております。
③ 在外営業活動体の換算差額
在外営業活動体の財務諸表の換算から生じる為替換算差額であります。
その他の資本の構成要素の内訳別増減は次のとおりであります。
20.配当金
(1) 配当金支払額
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
(2) 基準日が当連結会計年度に属する配当のうち、配当の効力発生日が翌連結会計年度となるもの
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
21.売上収益
(1) 顧客との契約
① 売上収益の分解
当社グループは、主に電動工具・園芸用機器等を製造・販売する単一事業分野において事業活動を行っており、売上収益の内訳は注記「4.セグメント情報」に記載しております。なお、当社グループの売上収益は全て顧客との契約から生じたものであります。
② 契約残高
顧客との契約から生じた債権及び契約負債の残高は次のとおりであります。
(単位:百万円)
連結財政状態計算書において、顧客との契約から生じた債権は、営業債権及びその他の債権に含まれており、契約負債は、その他の流動負債に含まれております。
前連結会計年度及び当連結会計年度に認識した収益のうち、期首時点の契約負債の金額に重要性はありません。
(2) 履行義務
履行義務を充足した後の通常の支払期限は、請求月から概ね2ヶ月以内であります。また、顧客との契約には重大な金融要素が含まれておりません。
顧客との契約における対価に変動対価が含まれている場合には、変動対価に関する不確実性がその後に解消される際に、認識した収益の累計額の重大な戻入れが生じない可能性が非常に高い範囲でのみ、取引価格に含めております。
(3)残存履行義務に配分した取引価格
当社グループにおいて、個別の予想契約期間が1年を超える取引がないため、実務上の便法を適用し、残存履行義務に関する情報の記載を省略しております。
(4) 顧客との契約の獲得又は履行のためのコストから認識した資産
当社グループにおいて、顧客との契約の獲得又は履行のためのコストから認識した資産はありません。
22.売上原価、販売費及び一般管理費等
売上原価、販売費及び一般管理費等の性質別内訳は次のとおりであります。
(単位:百万円)
23.金融収益及び金融費用
(1) 金融収益
金融収益の内訳は次のとおりであります。
(2) 金融費用
金融費用の内訳は次のとおりであります。
24.法人所得税
(1) 繰延税金資産及び繰延税金負債
繰延税金の発生の主な原因別の内訳及び増減は次のとおりであります。
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
(注) 純損益を通じて認識された額の合計と繰延税金費用計との差額は、為替の変動によるものです。
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
(注) 純損益を通じて認識された額の合計と繰延税金費用計との差額は、為替の変動によるものです。
連結財政状態計算書における繰延税金資産及び繰延税金負債
(単位:百万円)
繰延税金資産を認識していない将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金は次のとおりであります。
繰延税金資産を認識していない税務上の繰越欠損金の繰越期限は次のとおりであります。
繰延税金負債を認識していない子会社等に対する投資に係る将来加算一時差異の合計額は、前連結会計年度及び当連結会計年度において、それぞれ115,386百万円及び92,986百万円であります。これらは当社グループが一時差異を解消する時期をコントロールでき、かつ予測可能な期間内に当該一時差異が解消しない可能性が高いことから、繰延税金負債を認識しておりません。
(2) 法人所得税費用
① 法人所得税費用の内訳
法人所得税費用の内訳は次のとおりであります。
(注)当期税金費用には、従前は未認識であった税務上の繰越欠損金の利用が含まれております。これに伴う当期税
金費用の減少額は、前連結会計年度0百万円、当連結会計年度435百万円であります。
② 法定実効税率の調整
法定実効税率と実際負担税率との調整は次のとおりであります。実際負担率は税引前利益に対する法人所得
税の負担割合を表示しております。
(注) 当社は、主に法人税、住民税及び事業税を課されており、これらを基礎として計算した前連結会計年度及び
当連結会計年度の法定実効税率は30.2%であります。
25.1株当たり当期利益
親会社の所有者に帰属する基本的1株当たり当期利益の算定基礎は次のとおりであります。
(注)希薄化後1株当たり当期利益については、希薄化効果を有している潜在株式が存在しないため、記載しておりません。
26.その他の包括利益
その他の包括利益の各項目の内訳とそれらに係る税効果額は次のとおりであります。
27.金融商品
(1) その他の金融資産及びその他の金融負債の分類
その他の金融資産の分類ごとの帳簿価額は、次のとおりであります。
その他の金融負債の分類ごとの帳簿価額は、次のとおりであります。
(2) その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産
当社グループは、取引関係の維持・強化を目的として保有する資本性金融商品に対する投資について、その保有目的に鑑み、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品に指定しております。
① その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品の内訳
(単位:百万円)
(注)1.市場性のあるその他の包括利益を通じて公正価値で測定する銘柄
各連結会計年度における、市場性のある主なその他の包括利益を通じて公正価値で測定する銘柄は次のとおりであります。
前連結会計年度(2023年3月31日)
(単位:百万円)
当連結会計年度(2024年3月31日)
(単位:百万円)
(注)2. 市場性のないその他の包括利益を通じて公正価値で測定する銘柄
市場性のない銘柄は主に取引関係がある会社の銘柄であります。
② 受取配当金
③ 期中に認識を中止したその他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産
保有資産の効率化及び有効活用を図るため、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産の売却を行っております。期中に認識を中止したその他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産の売却日における公正価値及び売却に係る累積利得は次のとおりであります。
④ 利益剰余金への振替
当社グループでは、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品の公正価値の事後的な変動をその他の包括利益として認識しております。その他の包括利益として認識した金額は、認識を中止した場合、もしくは公正価値が著しく低下した場合にその累計額を利益剰余金に振り替えております。利益剰余金へ直接振り替えたその他の包括利益の累積利得又は損失(税引後)は、前連結会計年度において1,434百万円、当連結会計年度において77百万円であります。
(3) 金融商品に係るリスク管理
① 資本管理
当社グループの資本管理は、機動的な資本政策の遂行と資本効率の向上を通じた株主利益の増加を図るため、いかなる経営環境の変化に耐えられる財務体質を維持しながら、グローバルに事業を展開する上での戦略的投資に充当する資金を確保できる堅固な財務体質維持と効率的な資本構成の両立を方針としております。
当社が資本管理において用いる主な指標には、次のものがあります。
(注) 「自己資本比率」は「親会社の所有者に帰属する持分合計」を「負債及び資本合計」で除して計算しております。
② 財務上のリスク管理
当社グループは、経営活動を行う過程において、財務上のリスク(為替リスク・株価リスク・金利リスク・信用リスク・流動性リスク)に晒されており、当該財務上のリスクを軽減するために、リスク管理を行っております。
I.市場リスク
(ⅰ)為替リスク管理
(a) 為替リスクの内容及び管理方針
当社グループは、グローバルに事業活動を展開しており、外貨建による売買取引において、為替相場の変動によるリスクに晒されております。外貨建取引については、外貨預金口座を通じての決済、為替予約のデリバティブ取引により為替変動リスクをヘッジすることで、この為替リスクによる影響を軽減しております。なお、当該デリバティブ取引について、ヘッジ会計は適用しておりませんが、この取引が為替変動による影響を有効に相殺しているものと判断しております。
(b) 為替リスクのエクスポージャー
当社グループの為替リスクに対するエクスポージャー(純額)は次のとおりであります。なお、為替予約等により、実質的に円貨が固定された部分を除いております。
(注)上記の△は負債を意味しております。
(c) 為替リスクの感応度分析
当社グループが前連結会計年度末及び当連結会計年度末において保有する外貨建金融商品について、日本円に対し米ドル及びユーロがそれぞれ1%円高になった場合の税引前利益及び資本に与える影響額は次のとおりであります。また、日本円に対し米ドル及びユーロがそれぞれ1%円安になった場合の税引前利益及び資本に与える影響額は、以下の表と同額で反対の影響があります。なお、当該分析は他の全ての変数が一定であると仮定しております。
(ii)株価リスク管理
(a) 株価リスクの内容及び管理方針
当社グループは、上場株式を保有しており、市場価格の変動リスクに晒されております。当該リスクに対しては、市場価格や発行体の財務状況等を定期的に把握し、保有状況を適宜見直しております。
(b) 株価リスクの感応度分析
当社グループが前連結会計年度末及び当連結会計年度末において保有する上場株式について、市場価格が1%下落した場合のその他の包括利益(税効果調整後)に与える影響額は次のとおりであります。なお、当該分析は他の全ての変数が一定であると仮定しております。
Ⅱ.金利リスク
当社グループの有利子負債は借入金及びリース負債であり、一部の借入金は変動金利で調達しておりますが、全て短期のため、市場金利の変動が当社グループの損益に与える影響は軽微と考えられます。従って、当社グループにとって金利リスクは重要ではないと判断しております。
前連結会計年度末における変動金利有利子負債の残高は138,000百万円であります。当連結会計年度末における変動金利有利子負債はありません。
Ⅲ. 信用リスク
(ⅰ).信用リスク管理
当社グループは、保有する金融資産の相手が債務を履行できなくなることにより、財務上の損失を被る信用リスクに晒されております。
営業債権である売掛金及び受取手形については、顧客の信用リスクに晒されております。当社グループは、与信管理規程に従い、取引先に対して与信限度枠を設定し、営業管理部署が主要な取引先の状況を定期的にモニタリングし、取引相手ごとに期日及び残高を管理するとともに、財務状況の悪化等による回収懸念の早期把握に努め、信用リスクの軽減を図っております。なお、当社グループは、単独の取引先又はその取引先が所属するグループについて、過度に集中した信用リスクを有しておりません。
当社グループの資金運用は、預入先や債券の発行体の信用リスクに晒されております。当社グループは資金運用ガイドラインに従い、現金及び現金同等物、その他の金融資産について、格付けの高い金融機関の商品のみを保有しており、信用リスクは低いと考えております。
(ⅱ).信用リスク・エクスポージャー
営業債権及びその他の債権に係る信用リスク・エクスポージャーは期日経過別に記載しており、次のとおりであります。
連結財政状態計算書に表示されている金融資産の減損後の帳簿価額は、当社グループの金融資産の信用リスクに対する最大エクスポージャーであります。なお、担保として保有する物件及びその他の信用補完をするものはありません。
(ⅲ).貸倒引当金の増減
貸倒引当金の増減は、以下のとおりであります。当社グループは、予想信用損失に対してIFRS第9号に規定される単純化したアプローチに基づき、全ての営業債権及びその他の債権について、全期間の予想信用損失と同額で測定しております。
Ⅳ. 流動性リスク
流動性リスクとは、当社グループが現金又はその他の金融資産により決済する金融負債に関連する債務を履行するにあたり、支払期日にその支払を実行できなくなるリスクであります。
営業債務及びその他の債務、借入金及びその他の金融負債は流動性リスクに晒されておりますが、当社グループでは、適時資金計画を作成・更新するとともに、金融機関からの借入枠を維持することなどにより、当該リスクを管理しております。
金融負債の期日別残高は次のとおりであります。
(4) 公正価値
① 公正価値のヒエラルキー
金融商品の公正価値のヒエラルキーは、次のとおり分類しております。
レベル1:活発な市場における相場価格により測定された公正価値
レベル2:レベル1に含まれる相場価格以外で、直接又は間接的に観察可能なインプットを使用して測定され
た公正価値
レベル3:観察可能でないインプットを含む評価技法を用いて測定された公正価値
② 公正価値の測定方法
金融資産及び金融負債の公正価値は、次のとおり決定しております。
(現金及び現金同等物、営業債権及びその他の債権、営業債務及びその他の債務)
短期間で決済されるため、帳簿価額が公正価値の合理的な近似値となっております。
(借入金)
全て一年以内に返済されるものであり、帳簿価額が公正価値の合理的な近似値となっております。
(その他の金融資産、その他の金融負債)
その他の金融資産のうち、3ヵ月超の定期預金については、短期間で決済されるため、帳簿価額が公正価値の合理的な近似値となっております。上場株式はその他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産として、取引所の市場価格によっております。負債性証券は、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産として取引所の価格又は取引金融機関から提示された価格により算定しております。
デリバティブは純損益を通じて公正価値で測定する金融資産又は金融負債として、為替レート等の市場で観察可能な基礎条件に基づいて算定しております。
③ 償却原価で測定する金融商品
償却原価で測定する金融商品の帳簿価額及び公正価値は次のとおりであります。
前連結会計年度(2023年3月31日)
(注) 1.帳簿価額が公正価値の合理的な近似値となっている金融商品は上表には含めておりません。
2.償却原価で測定する金融資産の負債性証券は、連結財政状態計算書の「その他の金融資産」に含まれております。
当連結会計年度(2024年3月31日)
(注) 1.帳簿価額が公正価値の合理的な近似値となっている金融商品は上表には含めておりません。
2.償却原価で測定する金融資産の負債性証券は、連結財政状態計算書の「その他の金融資産」に含まれております。
レベル1の負債性証券の公正価値は十分な取引量と頻繁な取引がある活発な市場における市場価格によってお
ります。
④ 経常的に公正価値で測定する金融資産及び金融負債の公正価値
公正価値ヒエラルキーのレベルごとに分類した、経常的に公正価値で測定する金融資産及び金融負債の内訳は、次のとおりであります。
なお、公正価値ヒエラルキーのレベル間の振替は、振替を生じさせた事象又は状況の変化が生じた日に認識しております。
前連結会計年度(2023年3月31日)
(注) 1.前連結会計年度において、レベル1とレベル2の間の振替はありません。
2.その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産及び純損益を通じて公正価値で測定する金融資産は、連結財政状態計算書の「その他の金融資産」に含まれております。また、純損益を通じて公正価値で測定する金融負債は、連結財政状態計算書の「その他の金融負債」に含まれております。
当連結会計年度(2024年3月31日)
(注) 1.当連結会計年度において、レベル1とレベル2の間の振替はありません。
2.その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産及び純損益を通じて公正価値で測定する金融資産は、連結財政状態計算書の「その他の金融資産」に含まれております。また、純損益を通じて公正価値で測定する金融負債は、連結財政状態計算書の「その他の金融負債」に含まれております。
レベル1に分類されている金融資産は主に市場性のある上場株式であります。上場株式は十分な取引量と頻繁な取引がある活発な市場における市場価格によっております。
レベル2に分類されている金融資産及び金融負債はデリバティブであります。デリバティブは為替予約であり、為替レート等の市場で観察可能な基礎条件に基づいて算定しております。
レベル3に分類されている金融資産は、主に非上場株式であります。当社グループの会計方針等に従って、入手可能な直前の数値を用いて算定しております。なお、レベル3に分類されている金融資産は、前連結会計年度及び当連結会計年度において重要な変動はありません。
28.関連当事者
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
(注) 1.株式会社マルワは、当社取締役会長 後藤昌彦、取締役社長 後藤宗利及びその近親者が議決権の100%を所有しております。
2.株式会社トーアは、当社取締役会長 後藤昌彦、取締役社長 後藤宗利及びその近親者が議決権の68.1%を所有しております。
3.取引条件及び取引条件の決定方針等
関連当事者との取引は、市場実勢価格を勘案して、交渉のうえ、価格を決定しております。
主要な経営幹部に対する報酬は次のとおりであります。
(注) 主要な経営幹部は、各連結会計年度における当社の取締役であります。
29.キャッシュ・フロー情報
財務活動に係る負債の変動は次のとおりであります。
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
30.主要な子会社
当社の主要な子会社は「第1 企業の概況 4 関係会社の状況」に記載のとおりであります。
なお、当連結会計年度末の議決権所有割合について、前連結会計年度末からの重要な変動はありません。また、前連結会計年度及び当連結会計年度において、個々に重要性のある非支配持分を有する子会社は該当ありません。
31.後発事象
該当事項はありません。