第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針・経営戦略等

①経営理念

 大いなる志と溢れる情熱で、世界最高のイノベーションを創造し、社会に貢献します。

 

②経営方針

 独自の強みで、規模の拡大と収益の安定化を実現し、世界有数の製造ソリューションプロバイダーを目指します。

 

中期経営計画を当社Webサイト内「IRライブラリー/2024年3月期」にて、2024年5月14日より公開しております。

こちらも併せてご参照ください。

 https://www.vtec.co.jp/ja/ir/library/library3.html

 

(2)経営環境及び対処すべき課題と取り組み

 

<経営環境>

 当連結会計年度における世界経済は、ウクライナ危機に加えて、中東情勢の緊張が一層強まる中、景気の停滞が続く欧州、回復の勢いに欠ける中国、そして堅調な米国と地域によりバラつきが見られ、全般的に先行きが不透明な状況が継続しました。

 

 米国では、金融引締め局面にもかかわらず好調な個人消費を受けて、景気は堅調に推移した一方、中国では、民間やインフラ投資が伸長したものの、不動産開発投資の大幅な減少から、景気回復は低い伸びに留まりました。

わが国では、企業の設備投資やインバウンド需要が堅調に推移し、景気の回復は緩やかに推移しました。

 

<中長期的な成長に向けた取組>

 当社グループは、独自の技術開発に加え、M&Aや他社との協業により、半導体やディスプレイといった電子デバイスの製造に不可欠で付加価値の高い製品やサービスをお客様にお届けし、デバイス製造の上流から下流に至る様々な工程に向け、多角的な製品展開を進めることで事業の規模の拡大を実現しています。

 また、市況の急変に機動的に対応できる生産体制を整えることで、持続的かつ安定的な成長を図る取り組みを行うと共に、成長が期待できる電子デバイス分野とは異なる市場での新しい事業の立上げにも挑戦しています。

 

<主な取組>

①半導体分野での取組

 半導体・フォトマスク装置事業の分野では、アドバンスドパッケージ分野に注力しており、特に露光技術(Direct Imaging)や電気検査技術(O/S検査)の開発を進め、新製品を市場に投入いたしました。フォトマスクの検査・測定技術や、シリコンウェハの検査技術の開発を進め、3つの新製品について販売を開始しています。

 また、半導体用のウェットプロセス及び真空プロセス装置を幅広く手掛けるジャパンクリエイト株式会社を子会社化いたしました。今後は、グループ全体としてシナジーが発揮できる環境の整備を進め、更なる事業の拡大に努めてまいります。

 

②FPD分野での取組

 FPD装置事業の分野では、AR/VR用のOLED製造に寄与する蒸着技術や蒸着マスクの開発に加え、中小型OLEDの歩留まりや廃棄ロスを軽減するサルベージ(良品化)技術を開発、お客様へのサービスの提供を開始しております。

 

③農業分野での取組

 中国での合弁会社での事業に加え、アグリ事業本部を設立し、千葉及び御殿場農場での生産や、楽天市場等でのEC販売を進めております。また、更なる生産や販路の拡大に取組むと共に、YRPイノベーションセンターの試験農場において、農業生産の自動化や省力化技術の開発を行いました。

 

④生産及び開発拠点の新設

 研究開発拠点としてYRPイノベーションセンターを設立、半導体関係装置の生産拠点の機能だけではなく、これまで分散していた開発機器を集結し、エンジニアが直接装置に触れることで、机上では得られない貴重なノウハウ取得や発想の転換から新製品につながるイノベーションを生み出します。

 また、開発成果を自社生産へ迅速に展開すると同時に、製品設計の共通化等を進めることで製造コストの削減や短納期化、品質の向上を実現させるなど、製品競争力の向上に向けた取り組みを重ねています。

 

 

<事業ポートフォリオに関する基本的な方針>

 電子デバイス製造分野を中心に、子会社の事業を含め、多方面で事業を展開しております。当社グループは、保有する事業ポートフォリオを適時・適切に見直し、グループの安定成長に最も適した全社管理に取り組んでいます。

 ポートフォリオの見直しに際しては、事業ごとの業績動向に加え、グループのビジョンへの適合性や、中長期の環境変化を踏まえた上で、判断いたします。

 

 <経営理念及び中長期的な成長に向けた取り組み 概要図>

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2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 

 当社では企業が社会ひいては地球と共存し、持続可能な発展ができるよう社会的責任を果たすことが重要と考えます。当社のサステナビリティを巡る取組みについて、経営理念、経営方針、企業行動指針並びに社員行動指針に基づき以下の通り基本方針を定めております。

・世界最高のイノベーションの創造を通じた社会・地球への貢献

 事業を通じた地球環境問題への対処は勿論のこと、協賛を通じて地域社会への参画と貢献も行います。各種貢献のため、当社は新しい技術及び事業におけるイノベーションへの挑戦をし続けます。

・経済活動における法令遵守

 国内外の法令等を遵守し、良識のある企業活動を行います。公正な取引を行うために、市場における自由競争を尊重し、ステークホルダーの皆様との公平かつ対等な立場の維持に努めます。

・人権や様々な価値観の尊重

 従業員及び当社関係者の個人の多様な価値観・個性・プライバシーを尊重します。またアジアを中心にグローバルに企業活動を行う当社では、個々人の価値観だけでなく国や地域毎の文化や慣習も考慮し相互理解に努めます。

 

ガバナンス

 当社が手掛けるFPD装置および半導体装置の主要な課題が省エネルギー化でもあり、顧客のニーズを踏まえた製品開発、製造・販売を推進すること自体が、サステナビリティを含めた地球環境問題への対処であるものと認識しており、専任の部署に任せることなく、全社的に取り組んでおります。

 取締役会は、社長執行役員等からの報告、提案をもとに、当該サステナビリティを含めた地球環境問題に関連するリスクを管理、機会を活用するべく監督します。また、社長執行役員は、各本部会議に出席し、各本部の責任者より、当該サステナビリティを含めた地球環境問題に関連するリスク対応機会に関する報告、提案等を受け、精査・検討し、必要に応じて、管理・指示しています。

 

リスク管理

 気候変動を危機管理基本規則に定める外部リスクの一つと認識し全社で取り組むリスクと位置づけていますそのため、事業計画及び予算の決定の際には取締役会のみならず各部署が、気候関連のリスク及び機会を考慮すべき事項として検討を行っております。今後も取締役会本部会議に報告された気候関連リスク及び機会に関する報告を元に適宜精査し管理・監督していく中で気候関連リスクを評価し、その機会を活用するよう取り組んでいます。

 

戦略

(1)人的育成方針

 サステナビリティを巡る取組みの基本方針に定めている通り、当社は従業員及び当社関係者の個人の多様な価値観・個性・プライバシーを尊重しております。またアジアを中心にグローバルに企業活動を行う当社では、個々人の価値観だけでなく国や地域毎の文化や慣習も考慮し相互理解に努めております。当社では海外現地法人含め本人の能力、識見等を公正に評価して性別、国籍、採用ルートによらず管理職に登用するという多様性確保の考え方のもと、企業活動を行っております。

 

(2)社内環境整備方針

 休日出勤時の振替休日100%取得や有給休暇の早期取得(付与より10ヶ月以内)に向けた徹底した管理、安全衛生委員会での海外現法含めたヒヤリハット事例の共有等、従業員の健康・安全を第一に考えて職場環境整備を行っています。

 

指標及び目標

(1)人的育成方針

 創業より様々な人々を受け入れ成長してきた背景(企業文化)があるため管理職に占める中途採用者は現状95%以上と非常に高く、その能力に応じて、適宜、執行役員への登用も進めてまいりました。また、女性及び外国人の管理職登用も、本人の資質・能力に応じて、積極的に進めてきました。この度、ビジネスをアジア諸外国中心に展開している現状を踏まえ、2030年代に向けて管理職に占める外国人の登用について30%程度の目標(現状25%程度)を設定いたしました。また、女性については2024年6月26日開催の第27回定時株主総会において役員を登用しましたが、管理職に値する人材は今後も積極的な登用を行う予定です。なお、中途採用者の管理職への登用は十分なため、2030年代に向けての具体的な数値は定めず現状維持としております。

 

(2)社内環境整備方針

 多様な働き方支援として、当社では最大1時間の時差出勤を認めております。また昨今では新型コロナウイルスの影響を受け、在宅勤務制度の導入を行いました(2020年7月)。社員の健康と安全を最優先事項として考え、その導入に先駆けて2020年3月より実験的に全社員在宅勤務を行う等人的資本についてもスピード感をもって対応を行っております。2030年代に向けて、有給休暇の早期取得(付与より10ヶ月以内)の完全達成を目指してまいります(2023年度実績87.5%)。

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)市場変化に関するリスク

当社グループは、主に電子デバイス製造装置の市場で事業を世界で展開しており、お客様価値を高める付加価値の高い製品を提供し持続的な収益の拡大に成功してきました。

一方で、装置市場は、需要動向、技術進化、産業政策や世界経済の変化による影響を受け易く、当社グループはこれら変化に対応できる収益構造の最適化にこれまで取り組んでまいりました。

しかしながら、予期せぬ大きな市場変化が発生した場合等、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループは、お客様のニーズを先取りした付加価値の高い装置を提供することで、お客様との取引を拡大し、事業を成長させてまいりました。その結果、お客様毎の取引額は増加してきたものの、市場変化による設備投資計画の延伸や受注キャンセル等が発生した場合には、業績に対し大きな影響が発生する可能性があります。

 

(2)生産の外部委託に関するリスク

当社グループは、市場変化リスクへの対応及び成長原資の配分最適化の為、主にFPD用の大型の設備について、生産を外部委託(ファブレス化)しています。

一方で、外部委託リスクを軽減する為に、生産委託先と協力会を組織し、当社グループの事業環境や納期や品質等の生産情報を共有しています。

さらに、部材調達の多角化をすすめ、当社製品・サービスの安定供給に努めています。また、横須賀イノベーションセンターを設立し、一部重要部材の内製化にも取り組んでいます。

しかしながら、取引先の経営状態の急変、事故による製品の生産及び部品の供給体制への支障等が生じた場合、業績等に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)知的財産権等に関するリスク

当社グループは、製品の生産を協力会社に委託しており、当該企業との間では、技術やノウハウ等の知的財産の保護を目的とした契約を締結する等、知財等の社外流出の防止に努めております。また、事業の競争優位性を持続的に維持する為、特許・実用新案の出願を積極的に行っております。

しかしながら、人員の退職や、知的財産権の保護が不十分な地域における模倣行為等が発生した場合には、損害を被る可能性があります。

一方、第三者の知的財産権については、管理体制を整備し、これを侵害しないよう努めておりますが、万が一抵触した場合には、多額の係争費用や損害賠償金などが生じる可能性があります。

 

(4)研究開発に関するリスク

当社グループは、お客様の将来の要請に先駆ける製品の早期実用化を目指し、先進的な技術の開発に継続的に取組んでいます。また、お客様と技術開発を目的とした合弁会社の設立や、協業による技術開発等、取り組みを重ねています。

しかしながら、開発中の技術に対抗する技術が想定を上回る時間軸で登場した場合や、研究開発の大幅な遅延が発生した場合等により、研究開発の成果が必ずしも収益の獲得に繋がらない場合には、当社グループの業績へ大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(5)品質に関するリスク

当社グループは、高い品質を確保する為に協力会社と仕様情報の共有化、完成品の出荷検査等の取り組みを継続的に実施しております。しかしながら、先端技術あるいは新技術を用いた製品を扱うことも多く、想定が困難な製品不具合等による検収の遅れ等が発生した場合、当社グループの業績へ大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)代金の回収に関するリスク

当社グループは、与信管理を厳格に行うと同時に、検収から代金回収までを計画的に行う為に納品済み装置の状況や課題等についてお客様と共有する等の取り組みを進めています。しかしながら、お客様の財務状況の変化や、新技術を用いた製品の不具合の発生と検収作業の長期化等が発生した場合には、当社グループの代金回収に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)企業買収に関するリスク

当社グループは、新たな事業領域への進出、新技術・ビジネス基盤の獲得、既存事業の競争力強化などを目的とした企業買収を実施しています。徹底した市場調査やデューデリジェンスに基づき企業買収等を実施しておりますが、予想を超えた事業環境の変化等の結果、期待した収益を獲得できない場合、期待した成果が十分に得られなかった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)重要な訴訟等に関するリスク

当社グループは、現在においてその業績に重要な影響を与えうる訴訟等に関与しておりません。また、法務・知財部による調査や社内チェック体制の整備をしており、必要に応じて取締役会等に報告し管理する体制となっています。しかしながら、当社グループの事業活動等が今後重要な訴訟等の対象となる場合には、その結果によっては当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)法令・規制に関するリスク

当社グループは、グローバルに事業を展開する上で、各国・各地域において、輸出入規制、環境規制、移転価格税制といった各種法令、規制の制約を受けており、その遵守に努めています。しかしながら、予期せぬ法令、規制の強化、改正が生じたこと等により、適切な対応ができなかった場合には、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)その他のリスク

当社グループは、新たな高成長・高収益事業の創出、既存事業における更なる高収益の追求、市場規模縮小時においても利益を生み出すことのできる体質への改善に積極的に取組んできましたが、世界及び各地域における経済環境、異常気象や地震等の自然災害、気候関連規制、戦争、テロ、感染症、金融・株式市場、政府等による規制、仕入先の供給体制、商品・不動産市況、国内外での人材確保、標準規格化競争、重要人材の喪失等の影響を受け、業績が大きく変動する可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

a.財政状態

(資産)

 当連結会計年度末における流動資産は、前連結会計年度末に比べ44億2千3百万円増加し、670億4千5百万円となりました。これは主に、「仕掛品」が50億5千5百万円、「受取手形及び売掛金」が23億7百万円増加し、「現金及び預金」が36億3千3百万円減少したことによります。

 固定資産は、前連結会計年度末に比べ2億4百万円減少し、85億6千万円となりました。これは主に、「投資有価証券」が8億6千1百万円増加し、「関係会社株式」が5億5百万円減少したことによります。

 この結果、資産は、前連結会計年度末に比べ42億1千9百万円増加し、756億6百万円となりました。

(負債)

 当連結会計年度末における流動負債は、前連結会計年度末に比べ53億7千7百万円増加し、292億9千9百万円となりました。これは主に、「1年内返済予定の長期借入金」が40億4千8百万円、「電子記録債務」が33億8千1百万円増加し、「前受金」が37億2千4百万円減少したことによります。

 固定負債は、前連結会計年度末に比べ19億1千3百万円減少し、116億6千6百万円となりました。これは主に、「長期借入金」が21億1千2百万円減少したことによります。

 この結果、負債は、前連結会計年度末に比べ34億6千4百万円増加し、409億6千6百万円となりました。

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べ7億5千4百万円増加し、346億3千9百万円となりました。これは主に、「為替換算調整勘定」が5億6千5百万円、「利益剰余金」が1億8千8百万円増加したことによります。

 

b.経営成績

 当連結会計年度における世界経済は、ウクライナ危機に加えて、中東情勢の緊張が一層強まる中、景気の停滞が続く欧州、回復の勢いに欠ける中国、そして堅調な米国と地域によりバラつきが見られ、全般的に先行きが不透明な状況が継続しました。米国では、金融引締め局面にもかかわらず好調な個人消費を受けて、景気は堅調に推移した一方、中国では、民間やインフラ投資が伸長したものの、不動産開発投資の大幅な減少から、景気回復は低い伸びに留まりました。わが国では、企業の設備投資やインバウンド需要が堅調に推移し、景気の回復は緩やかに推移しました。

 当連結会計年度の当社グループの連結業績につきましては、売上高は373億3千5百万円(前年同期売上高431億4千6百万円)、営業利益は8億4千6百万円(前年同期営業利益9億8千6百万円)、経常利益は11億1千2百万円(前年同期経常利益17億円)、親会社株主に帰属する当期純利益は7億7千8百万円(前年同期親会社株主に帰属する当期純利益2億6千万円)となりました。

 当連結会計年度の当社グループの受注金額は、377億8千8百万円(前年同期370億7千2百万円)となりました。この結果、当連結会計年度末の受注残高は371億円(前年同期366億4千7百万円)となりました。

 

 セグメントの業績は、次のとおりです。

(FPD装置事業)

 フラットパネルディスプレイ(FPD)装置事業においては、パネル市況の悪化により、設備投資が停滞しました。当連結会計年度の当社グループのFPD装置事業の受注金額は202億5千3百万円(前年同期206億5千4百万円)、受注残高は198億9千9百万円(前年同期219億4百万円)となりました。また、当連結会計年度の当社グループのFPD装置事業の連結業績につきましては、売上高は222億5千8百万円(前年同期329億2千7百万円)、営業損失は2千5百万円(前年同期営業利益9億8千万円)となりました。

(半導体・フォトマスク装置事業)

 半導体・フォトマスク装置事業においては、当社事業に関連する設備投資は概ね計画通りに推移しました。当連結会計年度の当社グループの半導体・フォトマスク装置事業の受注金額は165億1千万円(前年同期154億6千1百万円)、受注残高は172億円(前年同期147億4千2百万円)となりました。また、当連結会計年度の当社グループの半導体・フォトマスク装置事業の連結業績につきましては、売上高は140億5千2百万円(前年同期92億6千2百万円)、営業利益は12億3千4百万円(前年同期2億5千4百万円)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ、34億2百万

円減少し、228億9千3百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果使用した資金は、47億6千4百万円となりました。資金の取得は、主に、税金等調整前当期純利益11

億8千1百万円、仕入債務の増加48億1千6百万円によります。資金の使用は、棚卸資産の増加53億9千7百万円、前受金

の減少37億4千6百万円、売上債権の増加22億7千8百万円によります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は4億4千万円となりました。資金の取得は、主に、定期預金の払戻による収入3億6千

4百万円、資金の使用は、主に、有形固定資産の取得による支出5億1千2百万円、定期預金の預入による支出1億6千5

百万円によります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果取得した資金は、15億2千6百万円となりました。資金の取得は、主に、長期借入れによる収入76億

5千万円、資金の使用は、主に、長期借入金の返済による支出57億1千4百万円によります。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

前年同期比(%)

FPD装置事業(百万円)

20,958

△1.3

半導体・フォトマスク装置事業(百万円)

16,039

258.1

その他事業(百万円)

合計(百万円)

36,997

43.9

(注)金額は販売価格によっております。

 

b.受注実績

 当連結会計年度の受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高 (百万円)

前年同期比(%)

受注残高 (百万円)

前年同期比(%)

FPD装置事業

20,253

△1.9

19,899

△9.2

半導体・フォトマスク装置事業

16,510

6.8

17,200

16.7

その他事業

1,024

7.1

合計

37,788

1.9

37,100

1.2

(注)その他事業の受注残高の前年同期比は、受注残高が存在しないため記載しておりません。

 

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

前年同期比(%)

FPD装置事業(百万円)

22,258

△32.4

半導体・フォトマスク装置事業(百万円)

14,052

51.7

その他事業(百万円)

1,024

7.1

合計(百万円)

37,335

△13.5

(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

Guangzhou China Star Optoelectronics Semiconductor Display Technology Co., Ltd.

8,216

19.00

Xiamen Tianma Optoelectronics Co., Ltd.

7,975

21.36

株式会社エイチ・ティー・エル

4,132

11.07

SDP GLOBAL (CHINA) CO., LTD.

4,038

10.82

2.前連結会計年度のXiamen Tianma Optoelectronics Co., Ltd.、株式会社エイチ・ティー・エル、SDP GLOBAL (CHINA) CO., LTD.及び当連結会計年度のGuangzhou China Star Optoelectronics Semiconductor Display Technology Co., Ltd.につきましては、当該割合が100分の10未満のため記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づき作成しております。

 当社グループの連結財務諸表の作成にあたっては、必要と思われる見積りは合理的な基準に基づいて実施しております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 4.会計方針に関する事項」に記載のとおりであります。

 

 

②経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、次のとおりであります。

a. 経営成績等の状況

 当連結会計年度において、FPD装置事業では、フラットパネルディスプレイ(FPD)の市況悪化に伴い、設備投資が停滞し、厳しい状況が継続いたしました。そのような状況の中、成長が見込まれる分野への投資、製品の現地生産化等、外部環境変化に柔軟に対応できる体制の構築を推進いたしました。半導体・フォトマスク装置事業においては、新製品投入の効果もあり、受注、売上ともに堅調に推移し、当社グループの主力事業として成長いたしました。また、今後のさらなる事業拡大に向け、アドバンスドパッケージ市場向け製品の開発、受注に注力いたしました。

 その結果、当連結会計年度の当社グループの売上高は373億3千5百万円(前年同期売上高431億4千6百万円)となりました。また、営業利益については、上記理由に伴う売上の減少、プロダクトミックス(製品構成)の変化、のれん償却費等の販売費及び一般管理費の増加等に伴い、8億4千6百万円(前年同期営業利益9億8千6百万円)となりました。

 

〈営業利益の主な増減要因(前年同期比)〉

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b. 当社グループの資本の財源及び資金の流動性に係る情報

(キャッシュ・フロー)

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・ フロー」に記載のとおりです。

(契約債務)

2024年3月31日現在の契約債務の概要は以下のとおりです。

 

年度別要支払額(百万円)

合計

1年以内

1年超

2年以内

2年超

3年以内

3年超

4年以内

4年超

5年以内

5年超

短期借入金

866

866

長期借入金

19,559

9,009

3,598

3,147

3,032

764

7

連結貸借対照表の1年内返済予定の長期借入金は、上記の表において、長期借入金に含めております。

 

(財務政策)

 当社グループは、事業維持及び拡大に必要な資金について、安定的に低コストで確保することを基本方針としており、年度経営計画に照らして、必要な資金を調達するようにしております。また、資金の流動性確保のため、金融機関と108億円(うち5億5千万円使用)の当座貸越契約を締結しております。

 当社グループの主な資金需要は、運転資金及び投資資金であります。運転資金の主なものは、製品製造のための原材料等の購入費、外注費、製造経費の他、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。また、投資資金の主なものは、固定資産等の設備投資、事業拡大を図るためのM&A等の投資であります。

 これらの運転資金及び投資資金につきましては、営業活動から得た資金や内部留保資金の他、金融機関からの借入により調達しております。

 

c. 経営成績に重要な影響を与える要因について

 「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 当社グループ(当社及び連結子会社)はFPD、半導体にかかわる検査・修正・製造、及び関連する部材・プロセス技術の基幹要素技術及び次世代技術開発の研究開発活動を進めており、電子回路設計、光学設計、制御システム設計、真空技術開発、材料開発、プロセス技術開発をベースに、業界をリードする技術を目指しております。

 当社グループの研究開発は主に当社にて実施しており、技術部門とも綿密に連携しながら研究開発効率の向上に努めております。また、新規テーマ探索等のために大学研究機関との積極的な交流も継続して進めております。

 当連結会計年度における研究開発費は、新製品及び新機能の開発、既存製品の性能・信頼性向上、コスト低減のための要素技術開発を目的に2,415百万円となっております。また、研究開発活動の状況は、次のとおりであります。

 FPDパネル製造に関連する主な開発要素技術としては、FPD向け大型フォトマスクの修正用イオンビーム技術やパターンニング用直描技術、液晶/有機ELパネルの修正用レーザ発振技術や製造用蒸着技術、半導体向け小型フォトマスクの高精度パターン検査技術や超高精度位置計測技術の開発等を行っております。