第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針・経営戦略等

 当社グループは、自動車産業を主な得意先とする工作機械事業と輸送機器等の部品供給を行う輸送用機器事業を基軸に事業活動を行っており、「お客様に寄り添い、世界中で必要とされることで企業価値を発展させ、社員の幸福や社会への貢献」を目指すべき企業ビジョンとしております。

 自動車業界におきましては、EV化、カーボンニュートラル、CASE技術等により、産業構造の変化が急激に進んでおります。当社グループといたしましては、こうした変化に生き残るため、従来のビジネスモデルにとらわれることなく変革し、迅速に柔軟な対応を積極的に行うことで新たな価値を生み出すことが重要であると捉えており、そうすることでより強固な経営基盤の確立を目指しております。

 当社グループの特徴といたしましては、工作機械部門において開発した設備を社内生産に使用し、そこで得た知見を工作機械商品にフィードバックすることで両者を相互連携させながら製品をブラッシュアップしている点にあります。また、個別のニーズに細かく対応できる工作機械用機械ユニット(主要機械構成部)を標準化・商品化することにより、信頼性の向上とコスト低減を可能とし、競合他社との競争優位性を実現しています。更に実績と技術力により、お客様の計画段階の早期から「生産設備の最適化」を積極的に提案することを心がけております。

 モノづくりにおける生産設備の生産性の向上・省人化・省力化テーマは不変であり、それを得意とする当社グループに対するニーズはますます高まっていくものと考えております。

 

(2)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループが優先的に対処すべき事業上の課題として、今後さらに必要とされる省人化・省力化設備の製作や工作機械や輸送用機器にとらわれない新たな市場への進出等があります。新たな市場への進出といたしましては、当連結会計年度において、半導体業界や水処理プラント業界等へ進出しており、半導体製造装置や水処理プラント設備を受注し、製造に着手しております。今後は、さらなる販路拡大を目指しております。

 その他、新たなビジネスとして、MMSビジネス(機械の相手先ブランドによる供給等)を推進しており、新たな機械の開発と供給を目指してまいります。

 また、今後のグローバル化への対応につきましても優先的に対処すべき課題だと認識しており、ベトナム子会社を東南アジア戦略の拠点とし、輸送用機器業界以外への参入やASEANでの取引拡大を目指してまいります。

 上記、経営戦略や優先的に対処すべき事業上の課題に対応するためには、そのベースとなる財務の状態も重要な課題だと認識しております。将来の当社グループの理想的な財務状況を考え明確にし、経営戦略を進めつつ理想的な財務状態を目指してまいります。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、お客様の生産システムの最適化を基本コンセプトに掲げ、株主の視点から見た収益性の観点から「株主資本利益率(ROE)」及び「総資産利益率(ROA)」の改善を目標とする経営指標として、常に収益の改善に努め、コスト削減意識をもって企業経営に取り組んでまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループは、お客様に寄り添う姿勢で、当社グループの製品及びサービスを継続的に提供することにより、世界中で必要とされることを目指しております。それによりひいては当社グループ自身の成長と安定をもたらし、社会への貢献を可能とする好循環を実現することができると考え、それを重要な経営課題の一つとして認識しております。そして、これを実現するためには持続可能な社会であることが前提でもあります。

 当社グループでは、事業活動を通じて各種環境問題や社会問題の解決に取り組むことで、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

 当社グループでは、取締役会がサステナビリティに関する監督責任を持ち、業務執行については、経営会議が配下の関係各部と連携しております。

 取締役会及び経営会議において方針策定や目標設定を行い、経営会議にて進捗状況のモニタリング等を実施しております。今後も必要に応じてガバナンス体制の強化に努めてまいります。

 

(2)戦略

・CSRの推進

 「コンプライアンス遵守」「地域とのコミュニケーション」「ワークライフバランスの推進」「環境保全への貢献」を重要課題としてCSRを推進しております。

 

①コンプライアンス遵守

コンプライアンス関連の規程類を作成し、社員教育等を行い体制の周知徹底を図るとともに、定期的にコンプライアンスの状況を監視しております。

 

②地域とのコミュニケーション

地域の祭典に協力する等、地域とのコミュニケーションを重視した社会貢献を進めております。

 

③ワークライフバランスの推進

GWや夏季休暇の分散取得制度の採用や男性育児休業の取得向上等、ワークライフバランスの推進に努めております。

 

④環境保全への貢献

 環境保全は、私たちが直面する最も重要な課題の一つであると認識しており、当社グループにおいては、省エネ・省力・省人化製造設備の供給、リサイクルの推進、環境に配慮した技術の提供、環境に配慮した設備の導入等を行っており、今後も継続的に貢献してまいります。

 

・省エネ・省力・省人化製造設備の供給

 当社グループを取り巻く輸送機器業界は、EV化、カーボンニュートラル、DX化といった項目での技術革新の真っ只中にあると共に、今後につきましても働き方改革の推進及び人手不足が本格化することが予想されております。

 このような背景のもと当社グループでは、組立・組付・搬送・検査・プレ加工(製品の製造工程の一部を事前に行う加工)等を自動化することで人材不足を補うと共に、生産性向上と作業環境の改善につながる省エネ・省力・省人化製造設備の提案を積極的に行っております。また、環境や労働力不足に配慮したロボットバリ取りシステムを販売し、取組を強化しております。

 

・リサイクルの推進

 現在、当社グループのクライアントにおかれましては、EV化やカーボンニュートラルへの取組等により、従来型の新規設備投資には抑制が見られるものの、ガソリン車やハイブリッド車等の生産終了時期の延期等により既存生産ラインの能力のアップや生産品質水準維持のためのメンテナンス需要は高まっております。

 このことから当社グループは、既存設備のメンテナンス需要に備え、2020年よりメンテナンス事業を本格的にスタート、合弁会社(HYテクノロジーズ株式会社)を設立し、他社製造マシンを含めた既存設備の転用改造を手掛け、製造設備のリサイクルを推進しております。今後も販路拡大を目指しリサイクルを推進してまいります。

 また、今後は中古機械市場への直接参入を目指してまいります。

 

・環境に配慮した技術の提供

 ミクロの泡を発生させる「マイクロバブル発生技術」を保有しており、製品の洗浄・浄化やクーラントオイルの腐敗防止への活用等、様々な分野への応用が期待されることから、従前のクライアントにとらわれず、幅広い視野を持って環境に配慮した技術の提供を進めてまいります。

 

・環境に配慮した設備の導入

 当社グループでは、加工後発生した切りくずを圧縮・固形化する自動切りくず圧縮機「チップイーター」を導入しており、切りくずを圧縮・固形化し、排出容積を削減することにより、脱炭素へも貢献しております。

 今後も引き続き環境に配慮した設備の導入を進めてまいります。

 

・人材戦略

 当社グループでは、人材育成及び社内環境整備に関する方針として、「人材育成の促進」、「多様な人材の活躍」及び「働きやすい環境づくり」を掲げております。人材育成の促進につきましては、各種資格取得の推奨、外部及び社内研修や社内OJT制度の充実、作業ローテーション導入による技術の伝承等を行っております。また、多様な人材の活躍につきましては、女性役職者の育成推進、外国人採用の強化等を行っております。特に外国人採用につきましては、連結子会社があり関係の深いベトナムでの採用活動に力を入れております。当連結会計年度の取組として、外国人留学生のインターンシップの実施、JOBマッチングフェア等への積極的な参加、海外技能実習生の採用等を行いました。また、多様な人材が働きやすい環境づくりを目指し、社内環境整備を行っております。

(3)リスク管理

 サステナビリティに関するリスクには、人材の流出、気候変動による生産活動の停止や自然災害による当社設備の損害等、様々なものがあります。一方でこれらは人材強化による企業の成長、災害に強い設備や生産体制を構築する機会でもあります。当社グループでは、各事業部においてリスクの特定、リスクの評価、リスクの対策を実施し、これらの活動については、経営会議において内部監査部門、監査等委員会及び取締役会に報告されております。今後も引き続きリスク管理の強化及び機会の創出に努めてまいります。

 

(4)指標及び目標

 当社の人材育成及び社内環境整備に関する方針である「多様な人材の活躍」に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績は次のとおりであります。

指標

目標

実績

従業員数に占める外国人材の割合

2027年3月まで10

6.0

(注) ベトナムの連結子会社では豊富な人材を有しているため、当指標は提出会社の実績を記載しております。

 

 今後は、「人材育成の促進」及び「働きやすい環境づくり」についても適切な指標及び指標を用いた目標等を検討し、より一層の改善に取り組んでまいります。

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)同業他社との競争によるリスク

 製造業の海外移転等による同業他社との競争の激化が最大のリスクと考えております。輸送用機器事業においては、自動二輪車生産動向の影響を受け、工作機械事業においては、自動車産業界の設備投資動向の影響を受けます。当社グループは、同業他社との優位性を保つため、高品質・高付加価値製品の提供を目指しておりますが、同業他社の一部は、多大な開発、製造、販売資源を有しております。価格面での圧力や競業先との競争の激化による顧客離れは、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、開発部門を強化し、600種類以上ある工作機械を構成する標準ユニットを今後も増加させるとともに、属人的な技術の見える化を行っております。また、今後も進む技術革新に対応するため、デザインレビューの繰り返し実施、独自技術の向上や外部技術の取り込み等による当社製品のブラッシュアップを図るとともに、新たな事業の創出を目指します。これらを行うことでお客様のニーズに対応することが可能となり、提供価格を抑えることも可能となります。今後も継続的に有効な施策を実施し、同業他社との優位性を保つ所存であります。

 

(2)地震、気象災害等及び自然災害によるリスク(災害リスク)

 地震や気象災害等の自然災害が発生した場合には、当社グループはもとより、取引先を含め様々な被害を受ける可能性があります。これらの状況により、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、地震対策の整備・見直し・避難訓練等を行っておりますが、まだまだ完全ではありません。地震や気象災害等の自然災害が発生した場合には、当社グループはもとより、取引先を含め様々な被害を受ける可能性があるため、継続的な災害・BCP対策の強化を図ってまいります。

 

(3)新型コロナウイルス感染症等の異常事態によるリスク(災害リスク)

 当社グループは、新型コロナウイルス感染症等が想定を超える規模で発生した場合、事業運営が困難になることにより当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、従業員の行動基準を策定し、出勤時の体温測定や出勤する際の注意事項、お客様が来社される場合の対応、お客様へ訪問する際の対応等、具体的な方針を示し、全従業員へ周知徹底を行ってまいりました。

 また、有事の際にはテレワーク等勤務体制の変更等、感染拡大防止のため、あらゆる施策を推進いたします。

 サプライチェーンにつきましても、当社グループでの取り組み状況を公開し、常に情報共有を図る等、臨機応変に対応しております。

 

 

(4)人材の不足におけるリスク

 当社グループが同業他社との優位性を保つためには、有能な人材を確保し、育成することが重要であると認識しております。人材の確保及び育成ができない場合には、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、長期化する人材不足に対応するため、可視化による技能伝承及び人材育成の強化等による作業の効率化や高精度設備の導入による機械化を進めるとともに、知名度UPを目指しSNS等ソーシャルメディアの積極的な利用やオンラインによる採用活動の強化を進めてまいります。

 

(5)為替レートの変動によるリスク(市場リスク)

 当社グループの在外子会社においては、個別財務諸表を現地通貨ベースで作成し、連結財務諸表作成時に円換算しております。このことから為替レートの変動により、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)原材料価格の高騰及び半導体不足によるリスク(市場リスク)

 当社グループの製品につきましては、鋼材及び半導体を使用しているため、原材料価格の高騰及び半導体不足により、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)固定資産の減損によるリスク

 当社グループの保有する固定資産において、資産価値の下落等により減損処理が必要となった場合には、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)検収遅延等による業績の変動について

 工作機械事業においては、個別受注型の業務が中心となります。顧客企業の設備投資は年度予算化され、多くの顧客企業では決算が3月であるため、顧客企業の予算執行のタイミングとの兼ね合いから、当社グループの売上も第4四半期、特に3月に売上が集中する傾向にあります。

 このため、顧客企業の発注及び検収の遅延等により、売上計上が決算期末を超えた場合には、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)継続事業の前提に関する重要事象等

 当社グループでは、工作機械事業における個別受注型の業務において新型コロナウイルスの世界的感染拡大等を端緒としたサプライチェーンの混乱等を背景に、顧客の操業及び投資スケジュールの変更といった外部要因により営業赤字となっております。また、輸送用機器事業においては、販売先による生産調整の影響により売上が減少し、当連結会計年度においては、前連結会計年度の営業黒字から営業赤字となりました。

 この結果、4期連続の営業損失及び経常損失並びに親会社株主に帰属する当期純損失を計上し、本格的な業績回復に至っていないことから、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。

 当社グループでは、当該事象又は状況の解消に向けて、原材料や仕入価格の上昇に伴う一部販売製品への価格転嫁による増収、役員報酬及び管理職の賞与等の減額並びに人員の適正化や再配置による固定費の圧縮、原価管理の精度向上による受注損失の減少等により、収益性が大きく改善しその結果、当連結会計年度の第4四半期は営業利益の黒字化を達成いたしました。これにより通期でも前連結会計年度の営業損失2億2千8百万円に対して、当連結会計年度は営業損失9千7百万円まで回復しております。

 セグメント別では、工作機械事業においては、従来からの専用工作機械については引き続き原価管理に注力し、原価率の改善に取り組んでまいります。また、新たに取り組んでいる半導体製造装置については受注が順調に推移しており、来期以降の収益拡大につながる見込みです。輸送用機器事業においては、従来の二輪車量産部品に加えて、自動車量産部品の受注増加により、収益規模を拡大するとともに、価格転嫁の効果とあいまって原価率もさらなる改善に取り組んでまいります。これらの効果により、来期は各セグメントおよび当社グループ全体として営業利益の黒字化を達成できる見込みです。

 なお、当連結会計年度末において現金及び預金10億2千2百万円を保有しており、主要取引銀行との間での特段の財務制限条項等はなく当座貸越契約による追加の資金調達余力もあることから、事業運営に必要な資金については十分に確保しており、資金繰りに重要な懸念はありません。

 以上のことから、現時点で当社グループにおいて、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しております。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、経済活動の正常化が進み緩やかな回復基調が続いたものの、原材料価格やエネルギー価格の高騰等による物価の上昇や為替変動による影響等、先行きの不透明な状況が続いております。

 このような状況のもと、当社グループにおきましては、工作機械の販売は増加したものの、国内及びベトナムの子会社において、販売先の生産調整の影響により輸送用機器の販売が減少したことから、当連結会計年度における売上高は24億9千6百万円(前年同期比6.0%減)となりました。

 利益面につきましては、工作機械事業においては固定費の圧縮等の効果により前連結会計年度に比べ損失幅を縮小したものの、輸送用機器事業における販売の減少等により、営業損失は9千7百万円(前年同期は営業損失2億2千8百万円)、経常損失は8千6百万円(前年同期は経常損失2億1千3百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失は3千3百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失1億1千1百万円)となりました。

 セグメントの状況は次のとおりであります。(各セグメントの売上高は、セグメント間の内部売上高または振替高を含んでおります。)

 輸送用機器事業につきましては、国内及びベトナムの子会社YAMAZAKI TECHNICAL VIETNAM CO.,LTD.の販売は減少し、売上高は13億2千3百万円(前年同期比11.7%減)となり、営業損失は2千6百万円(前年同期比142.5%減)となりました。

 工作機械事業につきましては、専用工作機械の販売が増加し、売上高は12億2千4百万円(前年同期比3.5%増)、依然として業界全体の価格競争が厳しく営業損失は7千7百万円(前年同期は営業損失2億9千8百万円)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

 当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フロー(収入)は、1千6百万円(前年同期は1億4千6百万円の収入)となりました。これは主に、減価償却費1億5千4百万円等が投資有価証券売却益6千3百万円等を上回ったことによるものです。

 当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フロー(収入)は、3千8百万円(前年同期は3千3百万円の収入)となりました。これは主に、定期預金の払戻による収入2億9千3百万円等が定期預金の預入による支出2億1百万円等を上回ったことによるものです。

 当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フロー(支出)は、3億7千6百万円(前年同期は3億1千万円の収入)となりました。これは主に、短期借入金の純増減額3億円等が長期借入れによる収入2億円を上回ったことによるものです。

 以上の結果、当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、5億2千7百万円となりました。

 当社の資金調達の方法及び状況につきましては、各金融機関との間で長期間に亘って築き上げてきた良好な関係に基づき必要資金を調達しております。また、ベトナムの子会社YAMAZAKI TECHNICAL VIETNAM CO.,LTD.につきましては、金融機関からの資金調達は行っておりません。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(千円)

前年同期比(%)

輸送用機器事業

1,325,721

△11.3

工作機械事業

1,171,573

1.4

合計

2,497,294

△5.8

(注) セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

b.受注実績

 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

輸送用機器事業

1,333,978

△10.1

61,918

20.1

工作機械事業

1,352,613

△0.0

1,099,947

19.6

合計

2,686,592

△5.3

1,161,866

19.6

(注) セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

輸送用機器事業

1,323,622

△11.7

工作機械事業

1,172,433

1.4

合計

2,496,055

△6.0

(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先名

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

ヤマハ発動機㈱

1,096,034

41.3

903,202

36.2

㈱シーケービー

98,494

3.7

393,243

15.8

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

経営成績の分析

(経営指標)

 当社グループは、具体的な目標値は設定していないものの、「株主資本利益率(ROE)」及び「総資産利益率(ROA)」の改善を目標としております。当連結会計年度におけるROEは、△2.4%(前連結会計年度は△7.4%)、ROAは、△0.8%(前連結会計年度は△2.7%)であり、前連結会計年度に比べ改善しているものの、親会社株主に帰属する当期純損失を計上したことによるものであります。今後も継続して経営の収益性及び効率性の向上に努めてまいります。

(売上高)

 当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度に比べ1億5千8百万円減少し、24億9千6百万円(前年同期比6.0%減)となりました。これは主に、輸送用機器事業における自動二輪車部品の販売の減少によるものであります。各セグメントごとの連結売上高に対する割合は、工作機械事業が47.0%、輸送用機器事業が53.0%となりました。

(営業損失)

 当連結会計年度における営業損失は、9千7百万円(前年同期は営業損失2億2千8百万円)となり、前連結会計年度に比べ改善したものの、営業損失となりました。

(経常損失)

 当連結会計年度における経常損失は、8千6百万円(前年同期は経常損失2億1千3百万円)となりました。これは主に、営業損失の計上によるものです。

(親会社株主に帰属する当期純損失)

 当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純損失は、3千3百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失1億1千1百万円)となりました。これは主に、営業損失及び経常損失の計上等によるものであります。

 

財政状態の分析

(資産)

 流動資産は、前連結会計年度末に比べて15.6%減少し、20億9千8百万円となりました。

 これは、主に売掛金が2億2千7百万円増加したものの、現金及び預金が3億9千4百万円、電子記録債権が1億9千7百万円減少したことによるものです。

 固定資産は、前連結会計年度末に比べて3.9%減少し、16億3千5百万円となりました。

 これは、主に投資その他の資産が1億1千2百万円減少したことによるものです。

 この結果、総資産は、前連結会計年度末に比べて10.8%減少し、37億3千3百万円となりました。

(負債)

 流動負債は、前連結会計年度末に比べて10.0%減少し、19億9千2百万円となりました。

 これは、主に1年内返済予定の長期借入金が1億2千1百万円増加したものの、短期借入金が3億円減少したことによるものです。

 固定負債は、前連結会計年度末に比べて27.8%減少し、3億9千2百万円となりました。

 これは、主に長期借入金が1億5千3百万円減少したことによるものです。

 この結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べて13.5%減少し、23億8千4百万円となりました。

(純資産)

  純資産合計は、前連結会計年度末に比べて5.6%減少し、13億4千8百万円となりました。

 これは、主に資本剰余金が4千4百万円、利益剰余金が3千3百万円減少したことによるものです。

 1株当たり純資産は、前連結会計年度末に比べて17円97銭減少し、304円01銭となりました。

 また、自己資本比率は、前連結会計年度末の34.1%から36.1%となりました。

 

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

 セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当社グループのキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況 」に記載のとおりであります。

 

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料の仕入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。

 短期運転資金につきましては、自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、長期運転資金又は設備投資の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度における財務状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。当社グループは、過去の実績等を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」の(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)に記載しておりますが、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に影響を及ぼすと考えております。

 なお、現時点で新型コロナウイルス感染症の収束時期などを想定することは困難であるものの、当社収益における翌期以降への影響は限定的であると仮定して当連結会計年度(2024年3月期)の会計上の見積りを行っております。

 

(固定資産の減損)

 固定資産については、「固定資産の減損に係る会計基準」及び「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」に基づき、減損処理の要否を検討しております。現時点では、当社グループの工場の土地、建物、機械等について、重要な含み損等を抱える資産はありませんが、今後、保有する固定資産等の使用状況、事業環境の悪化や生産コストの増加、資産価値の下落等で当初想定した投資回収が見込めなくなり、減損の必要性を認識した場合には、固定資産の減損処理を実施する可能性があります。

 なお、詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」の(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

 

5【経営上の重要な契約等】

 当連結会計年度において、経営上の重要な契約等は行われておりません。

 

6【研究開発活動】

 当連結会計年度における研究開発活動は、加工設備の高速化及び高精度化の実用化を主眼に推進してまいりました。開発主体を開発本部として、スタッフを含めた2名で活動しており、研究開発費の総額は13百万円であります。

 研究開発活動を各セグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

(1) 輸送用機器事業

 特記すべき事項はありません。

(2) 工作機械事業

「FA-NET事業」として、ハード・ソフト技術とIT技術を複合した生産・保全システムの信頼性の向上や充実を目指すと共に、最新技術への対応を行っております。

 標準スピンドルヘッドの高速化及び高剛性化を目指し、研究を進めております。

 標準ユニットの信頼性の向上及び商品価値向上を目的とし、研究を進めております。

 ロボットバリ取りシステムの高精度化を目的とし、研究を進めるとともに販売を行っております。

(3) その他

特記すべき事項はありません。