文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループは、「経営理念」、「事業ビジョン」及び「コーポレートメッセージ」を次のとおり定めており、これを経営の基本方針として「持続的な成長」と中長期的な「企業価値の向上」を図ってまいります。
①経営理念
②事業ビジョン
③コーポレートメッセージ
わが国の経済の先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待されております。ただし、世界的な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっており、物価上昇、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要があります。
建設業界を取り巻く環境は、民間住宅建設投資は前年度を上回ると予測されるものの、政府建設投資、非住宅建設投資ともに前年並みと予測され、建設投資全体としても前年並みとなることが予測されております。
また、中長期的には安全・安心、利便性を求める社会的ニーズの高まりによって、安全対策、防災・減災、交通インフラの長寿命化などの当社グループの特徴を活かせる経営環境が続くものと思われます。さらに、鉄道関連においても、大規模地震に備えた耐震補強対策、激甚化する自然災害への対応として降雨防災対策、ホームドア等のバリアフリー設備の整備促進、新幹線大規模改修工事等、安全・安定輸送確保のニーズの拡大が見込まれております。
一方、技能労働者不足や働き方改革への対応が喫緊の課題となるなかで、当社グループ及び協力会社の人材確保のための賃上げや従業員のスキルアップに繋げる研修等、人的資本への積極的な投資を推進しつつ、施工体制を維持・強化していくとともに、サプライチェーンからの価格転嫁要請にも誠実に対応してまいります。
このような経営環境のなか、当社グループにおきましては、2023年5月に来る創業100周年に向けた長期ビジョン『TOTETSU VISION 100』を策定いたしました。2043年に目指す姿を「交通インフラメンテナンスのリーディングカンパニー」と定め、その実現のために5つの戦略「安全戦略」「受注戦略」「生産性向上戦略」「人材戦略」「ESG戦略」を軸とした取組みを推進しております。それらを基として、2024年度からは新たな中期経営計画『アクションプラン2029』を策定し、中長期的な企業価値の向上を目指すとともに、すべてのステークホルダーと共に「持続的成長」を実現してまいります。
①長期ビジョン
社会経済の変化のスパンが短期化し、価値観の多様化が進むこの時代に、当社グループは創業80周年を迎え、来る「創業100周年」を展望し、当社グループが結束して事業をより力強く推進するために「長期ビジョン」を策定いたしました。2043年に目指す姿を「交通インフラメンテナンスのリーディングカンパニー」と定め、その実現のために5つの戦略を軸とした取組みを推進してまいります。
「事業ビジョン」にも定めている通り「安全・安心で地球環境に配慮した持続可能な社会の実現に貢献」することは当社グループの社会的使命であると認識しております。建設業界全体を取り巻く課題の深刻化など、外部環境の大きな変化はあるものの、すでに始まっているプロジェクトもあり、長期的な見通しは明るいと認識しております。時代の転換期を迎えた中で、「専門プロ集団」としての意識を今一度高めるよう従業員に対して「ギアチェンジ」を促すと共に、「鉄道工事で磨いた高付加価値な施工力」と、人材育成・技術開発への積極的な投資を通じて「強靭でレジリエントな組織力」を向上させてまいります。今こそ創業時の精神に立ち返り「経営基盤の徹底強化を通じて、安全と安心(安定)を守り抜く」ことで、すべてのステークホルダーと共に「持続的成長」を目指し「創業100周年に向けたJump」へ臨みます。
②アクションプラン2029
このたび、創業100周年の目指す姿に向け、今後5年間で実施する具体的な重点施策として、長期ビジョンで定めた5つの戦略を軸とした『アクションプラン2029』を策定いたしました。東鉄工業グループ社員とその家族、協力会社の満足度向上により、顧客のニーズに応えるとともに、インフラを利用するお客様の幸せを通じて、地域社会の活性化に貢献してまいります。
その上で、資本コストや株価を意識した経営を推進し、中長期的な企業価値の向上を目指すとともに、すべてのステークホルダーと共に「持続的成長」を実現してまいります。
[成長に向けたストーリー]
(a)社会課題に寄与する事業拡大
鉄道工事は、これまで以上に「安全」「高品質」「低コスト」を実現させ「ナンバーワン」をゆるぎないものといたします。東日本全体の鉄道インフラのライフサイクルの担い手として、更なる事業拡大を目指してまいります。一般建設工事は、鉄道工事で磨いた高付加価値な施工力を活かし、交通インフラの長寿命化、災害時の緊急対応など、社会インフラ全体の課題解決に寄与する会社として「オンリーワン」の存在感を発揮し、成長につなげてまいります。
(b) 経営基盤の徹底強化
「鉄道の安全・安定輸送」を支えるスペシャリストとして、IT、AIなど新技術を積極的に取り入れながら、DXによる「安全確保」「生産性向上」に挑みます。また過去最大規模の人的投資を実施し、担い手不足の環境下において業界を牽引する人材の育成を目指すことと併せて、社員の「働き方満足度」の向上を目指してまいります。「強靭でレジリエントな組織力」を高めることで、経営基盤の徹底強化につなげてまいります。
ユニークなビジネスモデルと強靭な経営基盤で建設業界にゆるぎないポジションを確立し、交通インフラメンテナンスのリーディングカンパニーを目指してまいります。鉄道工事と一般建設工事のシナジー効果を最大限発揮することで「当社グループおよび社会の持続的成長と価値向上」を実現し、それがステークホルダーへの還元に帰結すると認識しております。「長期ビジョン」の実現に向け、会社一丸となって「アクションプラン2029」で定めた取組みを推進してまいります。
[5つの戦略]
[数値目標]
(a)連結売上高・ROE・DOE・株主還元方針
積極的な人的投資と施工キャパシティの維持向上に努め、最終年度である2029年3月期には、過去最高の売上高に挑戦してまいります。資本効率はROE8%以上、株主還元はDOE3%以上、累進配当を基本方針とすることで、積極的かつ安定的な株主還元を図ってまいります。
(b)投資計画
長期ビジョン「TOTETSU VISION 100」達成に向けた当社独自の強固な収益基盤を確立するべく、成長のための投資を5年間で700億円を計画しております。
①人的投資(体制強化・教育研究費・賃金水準向上)
②技術開発・機械化投資(DX・GX投資、機械・システム開発、維持更新費用)
(c)非財務KPI(ESG/SDGsへの取組み)
事業における「安全・品質力」を向上させるとともに、ESGの観点から、企業価値の向上を図り、「TOTETSU VISION 100」におけるSDGsの達成を目指してまいります。
当社グループは、「安全で快適な交通ネットワークと社会基盤の創造に貢献する」という経営理念に基づく環境・社会・ガバナンスへの取組みが、当社グループの企業価値向上と、持続可能な社会の実現に資するとの認識のもと、「東鉄工業グループサステナビリティ基本方針」を定めました。
基本方針に基づき、社会的課題をベースに経営上の重要課題(マテリアリティ)を策定し、事業活動を通じたサステナビリティへの取組みを実践してまいります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。
当社グループでは、サステナビリティをめぐる課題解決に向けた取組みや活動の推進、浸透、定着といった目的を達成するための「サステナビリティ委員会(委員長:社長)」を設置しております。東鉄工業グループサステナビリティ基本方針および推進活動の基本計画、リスクと機会の把握や、その影響分析および対応策の検討など重要事項については、委員会の審議を経て、取締役会で決定し、事業戦略等に反映しております。
本委員会は、代表取締役社長を委員長とし、本社各本部長、常勤監査役によって構成されており、広く社外の知見や意見を委員会での検討に反映させる観点から、社外取締役、社外監査役も出席しております。
ガバナンス体制の詳細については、
(a)気候変動へのシナリオ分析
当社グループは、気候変動への対処を重要課題であると認識し、地球環境の保全に関する取組みを推進しております。また2022年2月、気候変動関連の情報開示がESG経営の実践に必要不可欠との認識の下、TCFD提言への賛同を表明すると共にTCFDコンソーシアムに加入しました。今般、気候変動が事業に与える中長期的なインパクトを把握するため、そのリスクと機会を特定・評価し、シナリオ分析を実施しました。今後もシナリオ分析の精度を高め、その結果を2024年度より5年間で実施する中期経営計画(以下、「アクションプラン2029」という。)の「ESG/SDGsへの取組み」に掲げる目標値の見直しや達成に向けた各種取組みの推進に役立ててまいります。
「リスクと機会」に関する詳細な情報については、当社ウェブサイト(URL
(b)人材の多様性の確保を含む、人材育成方針・社内環境整備方針
当社グループは、会社の持続的な成長を支える従業員一人ひとりが、健康でいきいきと業務に取組むことができるよう、健康増進に資する取組みへの積極投資や、従業員の価値観やライフプランに合わせた働き方を選択できるような制度設計を進めております。そして、従業員の多様性や個性を尊重し、お互いが協働して能力を発揮することのできる各種制度の充実と、働きやすい職場環境を整備することで、企業価値のさらなる向上に努めております。また、ステークホルダーから信頼される誠実な経営を推進するため、東鉄総合研修センターを活用した安全、品質、技術向上、コンプライアンス等を目的とした教育を計画的に実施し、組織的に人材育成を行っております。
人材の多様性の確保の取組みについて、女性従業員の積極登用の推進では、技術系女性社員の採用活動の強化、働きやすい職場環境の整備、女性活躍に関する研修の実施など、女性の雇用拡大と活躍推進に向けた取組みを積極的に進めており、女性の活躍推進への取組が優良な企業として「えるぼし認定」を受けています。経験者採用社員の積極登用の推進では、即戦力として期待を寄せている専門的な知識・経験を有する人材を積極的に採用しております。2024年3月現在、経験者採用社員は全体の約3割を占め、経験者採用社員の約6割が中核人材として管理職に登用され活躍しております。外国人については、管理職登用は現時点ではありませんが、優秀な留学生の新卒採用に取組んでおります。
今後も引き続き、人材育成の更なる充実、働きやすい職場環境の整備や制度の改善に取組み、多様な人材の活躍を推進してまいります。
経営リスクの統合的な管理については「リスク管理委員会(委員長:社長)」にて、想定されるリスクを抽出し、重要度の高いリスクについて必要な対策を検討しています。経営リスクの管理体制の詳細につきましては
サステナビリティ関連のリスクについては、サステナビリティ委員会で必要な対策について審議すると共に、対策の進捗状況を含め、取締役会に報告しております。
(a)気候変動に関する事項
当社グループでは上記「(2)戦略」において記載した、気候変動へのシナリオ分析をもとに、2050年度のCO₂排出量実質ゼロを長期目標とし、「アクションプラン2029」における重点施策の実施などを通じて、事業活動におけるCO₂排出削減の取組みを推進しております。
Scope1+2
Scope3
(注)1 2023年度より国際的な温室効果ガス排出量の算出・報告の基準である「GHGプロトコル」に準拠した排出量算定方法を取り入れております。
2 Scope1+2並びにScope3の2023年度実績値につきましては本報告書提出日現在においては算定中です。
(b)人材の多様性の確保を含む、人材育成方針・社内環境整備方針に関する事項
当社グループでは、上記「(2)戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針および社内環境整備に関する方針について、2022年4月から3年を計画期間とする「女性活躍推進に関する行動計画」にて、次の指標・目標を用いております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等に与える影響につきましては、合理的に予見することが困難であるため記載しておりません。
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2024年3月31日)現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの事業活動は主として東日本地域を中心に行っており、この地域における景気の後退、回復遅延等景気変動に大きく影響を受けます。また、競合する他社との受注競争の激化、人件費の高騰等により、低採算化、収益力の低下等、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、鋼材等原材料の市場価格動向の情報収集・分析と集中購買の導入により、影響の軽減化に努めておりますが、急激な価格高騰により、請負代金に反映させることが困難な場合には、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、今後想定される震災等の大規模災害への備えとして、事業継続計画(BCP)の整備、役職員の安否確認システムの導入、防災訓練の実施等の各種対策を講じております。しかしながら、地震・洪水・台風等の自然災害により、事業活動の一時的な停止や施工中物件の復旧に多額の費用と時間を要した場合には、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、経営の最重要事項に掲げている「安全はすべてに優先する」という経営理念のもと、工事施工にあたっては、事前に安全施工審査や事故予防措置等を講じ、また、施工時には安全パトロール等による実態の把握、点検・指導等を行い事故防止に努めております。しかしながら、当社グループの施工する工事において事故が発生した場合、その原因によっては、指名停止等による行政処分、損害賠償等、当社グループの信頼と信用を著しく失墜させる恐れがあり、業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。特に鉄道関連工事において、列車の脱線をはじめ重大事故を発生させた場合、当社グループの事業活動全般に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、施工品質の向上に努め、品質管理には万全を期しておりますが、万一、重大な契約不適合が発生し、その修復に多大な費用負担が生じた場合には、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、中期経営計画「アクションプラン2029」に基づいて、鉄道部門関連業務からより幅広い顧客層への事業展開を図っております。
売上高に占める鉄道部門のウェイトが高い状況となっており、この分野における売上高は、公共交通機関等、当社グループが管理できない要因等に大きく影響を受ける可能性があります。
また、建築部門においては、住宅需要の変化等による顧客企業の業績不振、予期しない契約の打ち切り、顧客の要求に応じるための請負代金の見直し等が発生する恐れがあります。
当該リスクに対しては、適宜、情報収集・与信管理に努め、債権管理・保全を図っておりますが、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、多くの協力会社と連携して事業を遂行しております。新卒及び社会人採用活動を積極的に行うとともに、「アクションプラン2029」に基づき、東鉄総合研修センターを活用した実践的教育の実施、働きがいのある職場づくり、組織力・グループ力の強化を目的とした協力会社の労働環境改善や人材育成への支援を行うこと等により、当社グループ及び協力会社の人材確保に努めております。しかしながら、当社グループ及び協力会社の人材を十分に確保できなかった場合、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
建設業においては、建設業法、建築基準法、労働安全衛生法及び独占禁止法等により法的な規制を受けております。当社グループでは、コンプライアンスマニュアルを策定するとともに、コンプライアンス委員会及びリスク管理委員会を開催し、コンプライアンス体制の確立、浸透、定着や法的リスクの未然防止を図っております。しかしながら、これらの法律の改廃、法的規制の新設、運用基準の変更等が行われた場合、また、法的処分等を受けた場合は当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、各種社内システムの情報セキュリティ対策を実施するとともに、「情報システムに関する規定」「情報セキュリティ10か条」の制定及び周知徹底、定期的な情報システム監査の実施、標的型攻撃メール訓練の実施等により役職員の情報セキュリティ意識の向上を図っております。しかしながら、当社グループのシステムが不正アクセス等のサイバー攻撃の被害にあった場合、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、新型コロナウイルス感染症に対し、お客様はもとより、「社員を守る」「その家族を守る」「周りの人や会社を守る」「協力会社を守る」の基本方針のもと感染防止対策を徹底してまいりました。現在、感染症法上の5類に移行しましたが、再度感染が拡大し、再び景気悪化に転じて、建設投資額が大幅に減少する等した場合、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、「アクションプラン2029」の主な取り組みにESG経営を掲げ、経営理念・事業ビジョン・東鉄工業グループサステナビリティ基本方針に基づき、持続可能な開発目標(SDGs)の達成をはじめ、持続可能な社会の実現に向けてさまざまな取り組みを推進しております。また、2022年3月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言への賛同を表明し、「TCFDコンソーシアム」に加入しました。TCFD提言に基づき、気候変動が事業に与えるリスク・機会の両面に関して、戦略・リスク管理・ガバナンス等の観点から分析を進め、情報開示を拡充するとともに、持続可能な社会の実現と企業価値の向上を目指しております。しかしながら、脱炭素社会への移行リスクとして、温室効果ガス排出量の上限規制による施工量の制限や炭素税の導入等が行われた場合、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、気候変動の物理的リスクとして、平均気温の上昇や自然災害の激甚化等により当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当期におけるわが国の経済は、個人消費や輸出の持ち直しに足踏みが見られるものの、設備投資の持ち直しや雇用情勢の改善等、緩やかに回復の動きが見られました。
建設業界においては、政府建設投資は前年度を上回り、民間住宅建設投資は建設コストの上昇や住宅の高付加価値化による影響を受け前年度比微増、非住宅建設投資は前年度比微増となり、建設投資全体としては前年度を上回る見通しとなりました。
このような状況のなかで、当社グループの得意とする鉄道分野につきましては、輸送量は緩やかに回復しており、設備投資の抑制や先送りなども緩和されつつあります。当社グループの社会的使命である「鉄道の安全・安定輸送の確保」のため、大規模地震に備えた耐震補強対策、激甚化する自然災害への対応等、社会インフラの維持に必要な工事を継続してまいりました。
また、当社グループ中期経営計画(2021~2024)『東鉄 3D Power Up Advance 2024』は最終年度を迎え、「3D戦略」のさらなる強化により、『当社特性のPower Upと成長戦略のスパイラルを回す』という基本戦略のもと、X・Y軸を伸ばす「成長戦略」(顧客と業域の拡大)における諸施策の推進、Z軸を伸ばす「Power Up Project Ⅱ」(企業体力の強化)の施策である「安全・品質第一の徹底」、「働きがいのある職場づくり」、「生産性の向上、コスト削減」、「ESG経営の実践」、「組織力・グループ力の強化」の推進に積極的に取り組んでまいりました。
「成長戦略」の顧客拡大につきましては、最大最重要顧客である東日本旅客鉄道(株)からの受注工事の安全遂行に経営資源を継続的に重点投下してまいりました。なかでも安全対策としての重要施策である大規模地震対策工事、ホームドア整備に伴うホーム改良工事、駅設備の改良工事などの安全施工に取り組むほか、利便性を高める駅の橋上化工事や駅に隣接するホテル建設などの大型工事にも取り組んでまいりました。
多方面にわたる民間一般部門のお客様におきましては、軌道工事は東急電鉄(株)、相模鉄道(株)、小湊鐵道(株)、上信電鉄(株)、伊豆急行(株)等、高架橋、橋梁、駅改良等の土木工事は、東武鉄道(株)、しなの鉄道(株)、相模鉄道(株)等、工場、倉庫、事務所等の建築工事では、(株)ヤマデン、(株)丸山製作所、(株)ライフコーポレーション等、マンションでは小田急不動産(株)、ナイス(株)、相鉄不動産(株)、JR西日本不動産開発(株)等の幅広いお客様からの受注・施工を進めてまいりました。また、官公庁部門におきましても、軌道工事は東京都交通局、横浜市交通局、鉄道・運輸機構等、橋梁、河川改修、道路、水道等の公共土木工事は鉄道・運輸機構、東日本高速道路(株)、岩手県、青森県、福島県等、様々な受注・施工実績をあげることができました。
「成長戦略」の業域拡大につきましては、当社グループの強みである鉄道関連工事、防災・耐震・メンテナンス関連工事などの業務分野を徹底的に継続強化したうえで、お客様や社会環境の変化、時代の要請に応じた業域の深掘りによる拡大強化を図り、新しい成長機会に挑戦してまいりました。
当社グループが得意とする鉄道関連工事においては、羽田アクセス線新設に伴う軌道工事、北陸新幹線の軌道敷設工事、東急電鉄の軌道補修工事、ホームドア設置に伴うホーム改良工事、新幹線電柱耐震補強工事、こ線道路橋架設工事、新幹線旅客上家改修工事、橋上駅舎新築工事、ホテル新築工事など幅広い工事の受注・施工に取り組んでまいりました。
当社グループが強みとする耐震やメンテナンス、リニューアルの技術を活かした施工においては、東京都陸橋長寿命化工事、国土交通省道路橋梁補修工事、東日本高速道路(株)道路橋梁床版取替工事、ホテル改装工事などを受注し、鉄道関連の災害復旧では、台風13号によるJR外房線及びいすみ鉄道不通区間の早期復旧などにも取り組み、様々な業域での受注・施工実績をあげることができました。
環境事業につきましては、緑化事業では民間マンションの屋上緑化及び壁面緑化の受注・施工、全国都市緑化仙台フェアのメイン会場である仙臺緑彩館の壁面緑化、工事現場の仮囲い壁面緑化の施工に取り組み、地域住民・社員のストレス軽減・癒し効果と生産性向上を図ってまいりました。また、廃棄される胡蝶蘭を販売するフラワーロス削減にも取り組むとともに、千葉大学と壁面緑化のCO₂削減効果について共同研究を進めてまいりました。暑熱対策では、当社の暑熱緩和対策施設である「木陰のトンネル」を東鉄総合研修センターに設置し更なる改良を試みるなど、当社の環境技術が様々な広がりをみせております。
「成長戦略」を支える企業力を強化し、Z軸を伸ばす「Power Up Project Ⅱ」につきましては、成長を可能とする企業体力の源泉である「人材力」と「技術力」をさらに高めるとともに、5つの重点実施事項に取り組んでまいりました。
「人材力」と「技術力」においては、実効性のある具体的な教育・訓練の強化による技術力向上、人材育成の取組みを進めてまいりました。2022年4月より本格稼働した東鉄総合研修センター(茨城県つくばみらい市)は、約4万㎡の敷地に研修棟、実習棟、実習線、大型保線機械等の各実習設備を兼ね備えており、2年間で延べ2万人以上の当社グループ・協力会社の社員がより実践に近い形での研修や訓練を行うなど、人的資本のさらなる拡充を進めてまいりました。
「安全・品質第一の徹底」においては、「安全はすべてに優先する」という経営理念のもと、お客様・地域社会・協力会社・従業員の「究極の安全と安心」を追求し、安全・安心で、高品質・高効率・低コストの技術・サービス・商品の提供によりお客様の満足と信頼を確保することを目指し、様々な施策を実施してまいりました。
「働きがいのある職場づくり」においては、当社グループがこれまで取り組んできた「人を大切にする風土づくり」をさらに推進し、4週8休の実現や労働時間削減に向けた「働き方改革」による働きやすい快適な職場づくりや業務の改善をはじめ、多様な働き方を支援するための制度や子育て世代を支援するための制度を拡充してまいりました。女性活躍の推進においては、職場環境整備の取組みが評価され、2023年10月には「えるぼし認定」において2つ星を取得しました。また、人材確保と従業員満足度向上のため、初任給の引き上げやベースアップを含む賃金水準向上に取り組みました。健康経営の取組みの一環として、食生活改善アプリの導入、ウォーキングイベントなどを実施いたしました。今後も人的資本への投資を積極的に推進してまいります。
「生産性の向上、コスト削減」においては、ホームドア工事に使用される覆工板の改良(特許取得済み・出願中)、新幹線をはじめとする耐震補強対策では電化柱耐震補強工法の開発(特許取得済み・出願中)、線路上空に建設された歩道橋の修繕作業に特化した移動式架設昇降吊り足場(特許取得済み)、駅舎の改修工事では柱杭スポッと工法(特許取得済み)やスマートウィクシス工法(特許取得済み)等の更なる進化に取り組み、安全性、生産性の向上を図り、工事の技術力を強化してまいりました。さらに、国内の人口減少や建設業を取り巻く環境が厳しさを増すなか、施工力確保のためDXを戦略的に推進し、建設現場におけるデジタル化を強力に推し進めるため、社長直轄の「DX推進室」を設置いたしました。
「ESG経営の実践」においては、ステークホルダーから信頼される「誠実な経営」を推進し、「SDGs(持続可能な開発目標)」と「ESG」を事業活動に関連付け、事業活動を通じて当社グループの「社会的使命」を果たすことを方針としております。このプロセスを通じ、TCFD提言に沿ったCO₂削減への取組みについて、2050年度に実質ネットゼロとする目標を設定いたしました。CO₂削減の取組みをより一層推進するべく、環境戦略委員会を設置するとともに、環境問題に対する意識向上のため、eco検定の取得に多くの社員が取り組んでおります。また、政策保有株については、経営戦略上の重要性や取引先との良好かつ円滑な関係構築・維持・強化等の必要性を総合的に勘案しながら、売却を進めております。これらの取組みを推進することで、当社グループの「持続的な成長」と「企業価値の向上」、そしてステークホルダーとの「共通価値の創造」に取り組んでまいりました。
「組織力・グループ力の強化」においては、協力会社とのパートナーシップ強化により強固な施工体制の維持向上を図ることを目指し、人権デューデリジェンスを実施し、サプライチェーンの管理・モニタリングを実施いたしました。また、今後の施工力を安定的に確保するべく、協力会社との連携をより一層強化しており、採用活動支援や東鉄総合研修センターを活用した社員育成など、経営支援にも取り組み東鉄工業グループの総合力の向上を図ってまいりました。
以上の結果、当期の業績につきましては、受注高は154,237百万円(前期比30,082百万円増加)、売上高は141,845百万円(前期比17,184百万円増加)となりました。
利益につきましては、売上総利益は20,158百万円(前期比2,765百万円増加)、営業利益は11,751百万円(前期比2,680百万円増加)、経常利益は12,106百万円(前期比2,618百万円増加)、親会社株主に帰属する当期純利益は8,296百万円(前期比390百万円増加)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりです。なお、セグメントの売上高につきましては、外部顧客への売上高を記載しております。
(土木事業)
受注高は111,586百万円(前期比27.3%増)、売上高は88,212百万円(前期比7.4%増)となり、次期繰越高は83,415百万円となりました。
セグメント利益は5,972百万円(前期比6.6%増)となりました。
(建築事業)
受注高は42,651百万円(前期比16.8%増)、売上高は45,247百万円(前期比26.4%増)となり、次期繰越高は34,252百万円となりました。
セグメント利益は4,368百万円(前期比57.1%増)となりました。
(その他)
売上高は8,385百万円(前期比24.3%増)で、その主なものは鉄道関連製品の製造及び販売収入であります。
セグメント利益は1,389百万円(前期比109.0%増)となりました。
当期末の資産合計は前期比18,417百万円増加し168,117百万円となりました。これは、売上高増加に伴う受取手形・完成工事未収入金等の増加等によるものであります。
負債合計は、前期比10,423百万円増加し56,634百万円となりました。これは、短期借入金の増加等によるものであります。
その結果、純資産合計は前期比7,993百万円増加し111,483百万円となりました。また、自己資本比率は、前期末の68.4%から65.7%となりました。
当期末における現金及び現金同等物は、前期比2,766百万円増加し16,379百万円となりました。当期における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
売上債権の回収額の増加等により、営業活動におけるキャッシュ・フローは前期比13,796百万円収入増加の4,839百万円の収入となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
関係会社株式の取得による支出の減少等により、投資活動におけるキャッシュ・フローは前期比1,284百万円支出減少の3,680百万円の支出となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
配当金の支払額の増加等により、財務活動におけるキャッシュ・フローは前期比142百万円収入減少の1,607百万円の収入となりました。
当社グループの資金の源泉は、主として営業活動からのキャッシュ・フロー及び金融機関からの借入等からなります。資金の主要な使途は、材料費・外注費、設備投資等であります。
流動性については、事業活動を行う上で十分な運転資金を確保していきますが、万一の緊急時における資金調達に備えるため、金融機関より随時利用可能な借入枠を確保しております。
(注) 1 セグメント間の受注・取引については相殺消去しております。
2 当社グループでは生産実績を定義することが困難であるため「生産の状況」は記載しておりません。
3 売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の売上高及びその割合は次のとおりであります。
なお、参考のため提出会社個別の事業の状況は次のとおりであります。
建設事業における受注工事高及び完成工事高の状況
(注) 1 前期以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注工事高にその増減額が含まれております。したがいまして、当期完成工事高にもかかる増減額が含まれております。
2 次期繰越工事高は(前期繰越工事高+当期受注工事高-当期完成工事高)であります。
工事受注方法は、特命と競争に大別しております。
(注) 百分比は請負金額比であります。
(注) 1 完成工事のうち主なものは、次のとおりであります。
前事業年度
当事業年度
2 完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高及びその割合は、次のとおりであります。
④ 次期繰越工事高(2024年3月31日現在)
(注) 次期繰越工事のうち主なものは、次のとおりであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。
この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
一定の期間にわたり履行義務が充足される工事契約については、工期がごく短い工事を除き、履行義務の充足に係る進捗度を見積り、当該進捗度に基づき収益を一定の期間にわたり認識しております。進捗度の見積りは、契約ごとに、期末日までに発生した原価の累計額が、工事原価総額に占める割合(インプット法)に基づいて算定しております。
工事収益総額のうち、契約前に発注者の工事指示書等に基づき作業を行った場合、未契約金額については発注者からの工事指示書等の内容から、見積りによって工事収益総額を算定しております。
また、工事原価総額の見積りは、工事ごとに将来の気象条件や作成時点で入手可能な情報に基づいた施工条件や資機材価格について仮定を設定し、作業効率等を勘案して工種ごとに詳細に積み上げることによって見積っております。
工事収益総額及び工事原価総額の見積りは、新たな合意による工事契約の変更や工種並びに工法の見直し、新たな事象の発生等の状況変化により変動する可能性があります。その結果、工事収益総額及び工事原価総額は見積金額と異なる場合があり、翌年度の連結財務諸表の一定の期間にわたり履行義務が充足される工事契約に係る完成工事高に影響を与える可能性があります。
受注工事に係る将来の損失に備えるため、当連結会計年度末における手持工事のうち損失の発生が見込まれ、かつ、その金額を合理的に見積ることができる工事について、損失見込額を計上しております。損失見込額の算定に際しては現在入手可能な情報(発注者との条件、気象条件、施工条件、資機材価格、作業効率等)から過去の実績を基礎として、作業所、支店、関係本部において精査することにより算定しております。また引当金額の変更については発注者との変更契約の締結、協力会社との外注契約の締結等による原価変動が見込まれる場合に行っております。このようにさまざまな仮定要素があり、それらについて適時・適切に見積りを行っておりますが、将来の損益は見積金額と異なる可能性があります。
特記事項はありません。
「Z-2 生産性向上/技術開発」においては、技術開発により安全性、生産性の向上を図り、工事量増大に対応す
るための施工力を強化するとともに、協力会社との強固なパートナーシップのもと、施工体制の維持・強化を図ることを目的に数多くの技術開発を実施してまいりました。鉄道工事等を中心とした土木事業では線路保守作業用アタッチメント改良、駅改良工事やホームドア基礎工事に伴う鋼製覆工の開発施工、電化柱耐震補強に関する施工冶具、移動式架設昇降吊り足場(シャトルX)、建築事業では柱杭スポッと工法、スマートウィクシス工法、スマートボクシス工法、ハーネスと一体型アシストスーツの開発、環境事業では壁面緑化(トスラシステム)、木陰のトンネル、屋上緑化(トモス緑化システム)、仮設緑化ユニット及び仮設壁(仮囲い壁面緑化)などの製品と工法の技術開発を行ない、社会貢献出来るように事業を進めています。
当期において、当社グループが支出した研究開発費の総額は
なお、セグメントごとの主な研究開発活動は次のとおりであります。
当期における研究開発費の金額は
① 小型突き固め機械(軌陸4頭TT一体型線路こう上装置)
閑散線区や地方公民鉄で突き固め作業の機械化ニーズが高まる中、汎用性の高い突き固め機械の開発が望まれています。そこで、2021年度から線路こう上装置と既存の軌陸4頭タイタンパを一体化し、軌陸4頭タイタンパのオペレータが線路こう上作業の操作をすることで突き固め作業の省力化となる小型突き固め機械の開発を進めてきました。今後は更なる施工品質の向上を目指して機能向上を進め、突き固め作業の効率化を図っていきます。(特許取得済)
② 駅改良工事とホームドア基礎工事に伴う鋼製覆工板開発施工
ホーム関連工事において日々の撤去、復旧に時間を要していた木製覆工から、施工が容易な鋼製覆工板(点字タイル付き)の開発をしました。このことにより駅改良工事やホームドア基礎工事に対する本作業の施工時間が確保され、生産性が向上しました。更に点字タイル付きとしたことで安全性と環境への配慮をしながら、工事を進めることが可能となりました。(特許出願中)
③ 電化柱耐震補強に関する施工冶具
2021年2月に発生した福島県沖地震により、東北新幹線高架橋上に建植されたPC電化柱が折損・傾斜の被害を受けたことからPC電化柱耐震化の更なるスピードアップが求められております。当社においても2022年度よりPC電化柱の耐震補強工事を受注し、施工を進める中で開発した各種施工冶具は、PC電化柱と壁高欄との空間が狭隘な個所で、鋼管ユニットを吊り上げ回転させながら所定の位置に据え付ける等の施工の効率化を図るもので、施工性と生産性の向上が可能となりました。(特許取得済)
④ 移動式架設昇降吊り足場(シャトルX)
鉄道上空に建設された歩道橋の修繕作業に特化した移動式架設昇降吊り足場(シャトルX)を開発しました。足場が施工箇所に移動した後で作業床が上下する機能を有しているため、作業毎に組立・解体する必要がなく安全かつ効率的な施工が可能です。また、軌陸高所作業車による施工と比べてCO2削減効果が向上することから環境に優しい工法となっています。(特許取得済)
当期における研究開発費の金額は
① 柱杭スポッと工法
二重鋼管接合により基礎を小型化、コスト・工期の低減を可能とし、ホーム上家の新築・建替え工事を改善する環境に優しい工法にて工事を進めています。(特許取得済)
② スマートウィクシス工法・スマートボクシス工法
従来のホーム上家の耐震補強工事に於いて、鉄骨部材を溶接により接合させていましたが、終初電間合いでの短時間での溶接工法では時間が掛かる、火花養生、支障移転等により工期やコスト、安全面に含め多くの課題があった為、溶接では無い、ボルト接合工事にて部材を補強させる工法にて、工期短縮、コスト削減、火災等の安全リスクを無くす工法を開発しました。補強工法はホーム上家柱に補強部材をボルト接合のみで補強する工法です。(特許出願中)
③ フルハーネスと一体化出来るアシストスーツ
労働人口の減少、女性活躍、高齢者の就労促進と言った、時代背景の中で現場作業での身体の負担軽減の為、アシストスーツと墜落制止用器具(フルハーネス)が一体化出来るスーツを開発しました。フルハーネスと一体化出来るアシストスーツはフルハーネスと脱着可能で洗濯が可能なこととアシストスーツのみでの使用出来る構造となっており、アシスト力にて身体の負担低減を図っています。(特許出願中・意匠取得済)
当期における研究開発費の金額は
① トスラシステム(壁面緑化)
自動灌水装置を備え、耐候性・耐久性優れた基盤と植栽バックに覆われたオリジナル培養土を用いて、壁面を自由なデザインで緑化します。植栽バッグの採用で表面は不織布に覆われ、通行する方々への配慮を図っています。本工法はビル・駅関連施設等に採用され、放熱抑制効果を発揮しています。またトスラシステムのCO₂削減効果について定量的に分析するため、産学連携で研究を進めています。(意匠取得済)
② 木陰のトンネル(暑熱緩和対策)
暑熱緩和対策として開発した「木陰のトンネル」が、2022年ウッドデザイン賞を受賞しました。木質系循環資材を使ったアーチ状のフレームとネットにより創り出された3次曲線で、動きのある愉しい木陰を表現しています。ネットに誘引した植物による木陰は、体感温度が2℃~3℃低下し涼しさを提供します。(意匠取得済)
③ トモス緑化システム(屋上緑化)
これまで施工していた苔緑化マットは、経年による排水性能の低下により排水保護マットが保水し苔に悪影響を与える、または雑草が発芽することがあります。排水性能低下を防ぐため、見切りレンガの重量を負担しつつ安定した排水経路を確保する金具をステンレスで製作しレンガの目地部に設置することで、排水性能向上を図りました。(特許取得済)
④ 仮囲い壁面緑化(仮設緑化ユニット及び仮設壁)
フラットパネルにオリジナル木製ユニットを組み合わせ、建設現場の仮囲い壁面に自動灌水装置付き壁面緑化を設置し、建設現場周辺の街並みや景観の調和を図りながらヒートアイランド現象の抑制に貢献します。(特許取得済)
⑤ 鉄道関連製品の試験及び開発
鉄道関連製品の製造・販売をしていますが、鉄道会社に向けた鉄道関連製品の試験及び開発を行っています。
当社では、土木事業、建築事業の各種開発と環境に優しい環境工法開発を通じ、もともとの技術と新技術を融合し、社会インフラの推進に貢献出来るよう事業展開を進めていきます。