当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、当社の「お客様に常に感謝の心を持ち、安心・安全かつ価値あるごま製品を提供することで、健康でより豊かな食生活の実現に貢献する」という経営理念の下に、ステークホルダーの皆様の期待に応えられる企業を目指しております。
(2)中長期的な経営戦略
かどや製油グループ長期ビジョン、中期経営計画への取組
当社グループは2021年6月に、2025年度を最終年度とする中期経営計画「ONE Kadoya2025(※)」を発表し、目標達成に向け取り組んでまいりました。
しかし、世界的な新型コロナウイルス禍発生の影響や国際情勢の変化を背景に、原料価格の高騰、円安の進行、資材・エネルギー価格の上昇等が続いております。このような大きな外部環境変化を踏まえ、今後の持続的な成長を実現すべく、2023年11月に中期経営計画を見直し、公表いたしました。
外部環境の変化に耐えうる体制を整え事業基盤の強化を図るべく、既存事業からの収益極大化に加え、ごまの可能性を広げ新しい価値を創造・提案していくために、経営資源を下記注力分野に戦略的に配分していく方針としました。
(※)「ONE」…ごま一筋、グループ・役職員一丸、仕事のやりがいNo1、グローバルでのNo1など多くの「ONE」の思いが込められています。
事業戦略
・かどやファンの着実な底上げ(マーケティング、提案型営業の強化等)
・海外事業の強化
・商品開発力強化による新たな価値の提供
・販売チャネルの拡充(通販を含むD2C事業の強化)
・カタギ食品との連携深化(営業力強化、新商品開発、業務効率化)
経営基盤の再構築
・安心・安全への不断の取組
・人事制度改革
・研究開発機能の強化
・生産体制の最適化(小豆島工場、袖ケ浦工場、カタギ食品寝屋川工場の3工場の連携強化)
持続可能な社会実現に向けた取組(SDGsを意識した経営)
・温暖化ガス削減、食品ロスへの着実な取組など
注力分野
新規事業
・アップサイクル事業:ごま一粒を使い尽くし、ごまが持つ価値を極大化させる新規素材を開発
・ヘルスケア&ウェルネス事業:ごまによるウェルビーイングを提案し健康・美容価値を届ける
・Ready to Eat 事業:ごまの美味しさを追求する、ごまを使った加工食品を展開
海外事業
・既存市場である北米における販売数量拡大を目指す
・製品のローカライズ、西洋食に合うごま油の開発等を通した市場開拓
(3)経営上の目標とする指標
当社グループは、如何なる経営環境下であっても「ごま製品の安定供給」という社会的責任を果たす観点から継続的に利益を確保できる経営体質の確立を目指しており、従来から収益力指標である「売上高経常利益率(目標10%)」を重視しております。
加えて、中期経営計画において資本効率性指標である「ROE(目標:中長期的に8%以上)」を重要指標としております。
(4)経営環境および対処すべき課題
外部環境においてはロシアによるウクライナ侵攻の長期化や中東情勢の緊迫化等があり、先行きが不透明な状況が続いております。また、日米金利差の拡大による為替相場の変動、原油を始めとするエネルギー価格、資源価格の高止まり、物流状況の逼迫等により世界的にコスト上昇圧力が高まっております。当社グループにおいても原料及び各種資材の価格上昇により業績への影響は避けられないものとなっております。また、国内の食品業界においても相次ぐ値上げが生じており、家庭用では個人消費の落ち込みが見られました。一方、業務用では、新型コロナウイルス感染症の感染症法の分類が「5類」となり、外食産業は消費マインドの上昇やインバウンド需要の復活等により、回復傾向に向かいました。
このような環境下において、当社グループは従来からの家庭用・業務用・輸出用のバランスを取った事業展開に加え、効率化によるコスト削減や製品の価格是正に着手する等、収益性の確保に取り組んでおります。しかしながら現状のマーケット環境が継続した場合、業績への下方圧力がかかることも想定しております。
当社グループはごま油のリーディングカンパニーとして既存の取組に加え、お客様、社会が求める新たなごま製品の開発・供給にも引き続き積極的に取り組んでまいります。
(1)サステナビリティ基本方針
当社グループは中期経営計画「ONE Kadoya」の中で、ESGの視点及びSDGsへの取り組みを経営の最重要課題の一つとしています。社会的課題の解決を通して事業成長を達成するためにも、当社グループとしてこれまで以上に積極的に持続可能な社会の実現に取り組むべきであると認識し、それを明確にすべく、サステナビリティ基本方針を2022年に策定し、以後継続的に取組を進めております。
<サステナビリティ基本方針>
私達、かどや製油グループは「お客様に常に感謝の心を持ち、安心・安全かつ価値あるごま製品を提供する」の経営理念の下、持続可能な社会の実現に貢献し、社会的責任を果たしていきます。
その為に私達は、地球と人間が共存し、『ごまを通して、人と地球を健康に』する取り組みを推進します。
また私達は、従業員の活躍が企業成長の大切な基盤と考え、職場環境の向上に努め、多様性を重視し、人材の育成に積極的に取り組みます。
以上を当社グループのサステナビリティ基本方針とし、ごま事業を通じて持続可能な社会の実現に取り組んでまいります。
また、サステナビリティ基本方針を前提に、原料調達リスクを背景とした「ごまの生産者支援」、「気候変動対応」及び「職場環境の向上・多様性の重視・人材の育成」を重要テーマとしております。
(2)ガバナンス体制
当社グループは、サステナビリティに関する各課題の取り組みの進捗において、経営会議及び取締役会で定期的に報告がされ、審議の結果に基づき事業活動方針が決定されています。
また、中期経営計画「ONE Kadoya」の中で各テーマに関する具体的な施策を設定し取り組んでおります。
(3)リスク管理
当社グループは、主要原料であるごま種子について、そのほぼ全量を海外から調達しております。このため、原料の調達においては、生産国の天候、作付状況や経済情勢といった市場環境の変化や戦争の勃発、政情不安といった地政学リスクの影響を受けます。また、気候変動がもたらすネガティブな影響として、ごま原料の生産国における収穫量の減少やそれに伴う原料相場の高騰等が想定されます。このことから、当社グループは持続的な原材料の調達についてリスクを認識しております。
当社グループのリスク管理については、海外事業本部が商社等を通じて継続的に原料調達に関する情報収集を行っており、重要な環境の変化に関する事象について、経営会議及び取締役会等で都度報告を行っております。
(4)サステナビリティ課題への取組
当社グループは、南米(パラグアイ)やアフリカ(タンザニア、ナイジェリア)等のごまの生産農家に対し、現地のサプライヤー等と協力し、栽培指導等を行っており、収穫量の増加や品質の向上に伴う収益性の改善等を通じたごま生産者の持続的な支援に取り組んでいます。また、当社グループは、ごまの高付加価値化がごま生産者の持続性や安定化に繋がるものと考え、プレミアム製品の開発や新規事業を通したごま一粒の価値の向上を、中期経営計画「ONE Kadoya」において注力分野としております。
また、ごま原料の安定調達という側面においては、ごま原料の購入産地の多角化にも取り組んでおります。
気候変動に対しては、自然災害の発生を意識した設備投資計画を実施する等しております。2020年には袖ケ浦工場が完成し、子会社の寝屋川工場を含めた3工場体制としております。また袖ケ浦工場は、海からの災害を回避すべく高台を用地に選定した他、小豆島工場においても水害に備えて排水処理設備を完備する等しております。また、CO2の排出削減に関しては、小豆島工場及び袖ケ浦工場において、発熱量の少ないLED照明への切替や化石燃料からの転換としてLNG燃料の利用等を行う他、袖ケ浦工場においては太陽光発電設備を導入しております。
(5)人的資本に関する戦略及び指標・目標
人的資本に関する戦略及び指標・目標については、次のとおりであります。
なお、連結グループにおける記載が困難であるため、原則として提出会社単体の記載を行っております。
1.人的資本に対する基本的な考え方 ~“人”の面からのサステナビリティ~
当社は経営理念の下に「長期ビジョン」「企業行動憲章」「サステナビリティ基本方針」を制定し、従業員の個性や多様性等を尊重するとともに従業員一人ひとりが主体的に行動し、そして、成長してくれることが、当社グループの持続可能(サステナブル)な企業価値の向上に繋がるものと考えております。
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人的資本に対する基本的考え方 |
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長期ビジョン |
長期ビジョン(『変革と挑戦!健康と笑顔を届けるNo1を目指す!』)には『一人ひとりが“自ら考え、動き、発信する”企業風土を創り上げたい』との強い思いを包含 |
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企業行動憲章 |
『6.個性と能力を活かせる職場の形成に努めます。 私たちは、従業員一人ひとりの人権を尊重するとともに従業員一人ひとりが個性と意欲と能力を最大限に発揮できる職場を目指します。 6—1 従業員の人格・人権を尊重し、公正で公平な人事処遇制度の構築、職場環境の整備に取り組みます。 6—2 従業員の個性を尊重し、個々の能力を十分に発揮できるよう、従業員のキャリア形成や能力開発を支援します。』 |
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サステナビリティ 基本方針 |
『また私達は、従業員の活躍が企業成長の大切な基盤と考え、職場環境の向上に努め、多様性を重視し、人材の育成に積極的に取り組みます。』 |
2.人材育成に向けた取組
上記の基本的な考え方のもと当社は人材育成、人的資本の強化に向け具体的な取組(下記に記載)を実施しております。しかしながら、当社グループを取り巻く社会環境の変化は速く、今後も従業員がより働きがいを感じることができる制度や環境への改善に継続的に取り組んでまいります。
(1)人事制度の改定
・長期ビジョンや中期経営計画の実現に向け、2021年夏にメリハリを利かせた処遇体系の見直し、専門性を活かせる働き方の整備等を含んだ制度改定を行い、社員全員が自身にあったフィールドで活躍し、将来を担える人材へと成長することを後押ししております。引続き、従業員のモチベーションアップ、キャリア自律支援に繋がるような制度の改定に取り組んでいく予定です。
(2)研修計画の策定・実行
・2022年度より個々の等級レベルに応じて期待される人物像・求められる能力等を踏まえた「階層別研修」ならびに社内外の環境変化や課題等を踏まえた「テーマ別研修」の年度計画を策定し、優先度を踏まえつつ実施しております。
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〈階層別〉 マネジメント、各種コミュニケーション、ロジカル/クリティカルシンキング 4シップ、OJT指導等 |
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〈テーマ別〉 労務管理、情報セキュリティ、ライフプラン、ストレス/メンタルヘルス(ラインケア・セルフケア)、コンプライアンス等 |
・上記に加え、各本部(国内/海外事業本部、生産本部など)においても専門性向上等を目的とした独自の研修を実施する等全社ベースで「人材育成」に取り組んでおります。
(3)キャリアアップ・キャリア自律への支援
・2023年春に「自己啓発支援制度」の一部見直しを行い、従業員自らが幅広い分野で能力開発やキャリアアップを目指すこと(各種資格の取得も含め)について、当社としても積極的に支援する枠組みを整備しております。
・加えて、2023年度にはキャリア申告制度を導入し、一人ひとりの従業員のキャリア自律についても支援する枠組みを導入しております。
3.働きがいのある・働きやすい職場作りに向けた取組(働き方改革)
(1)在宅勤務・時差出勤等の整備ならびに育児休暇の取得推進等
・ここ数年、ビジネス環境や仕事/働き方に対する考え方が大きく変化する中、当社は「在宅勤務」「サテライトオフィス利用」「時差出勤」など従業員のニーズに即した多様な働き方(勤務体系)を整備するとともに積極的な活用を促進しております。
・2022年4月には「育児介護休業等相談窓口(人事部内)」を設置し、育休(特に男性)の積極的な取得を促進しております。
(2)オフィス環境・IT環境の刷新による社内コミュニケーション活性化と業務効率化
・当社は2023年2月に本社・東京支店を移転し、複数フロアを1フロアに集約しております。従業員同士・組織間のコミュニケーションをより良くすることで活発なディスカッション、新たなアイデアの創出、情報共有や意思決定の迅速化などを通じ、従業員が働きやすい職場作りに積極的に取り組んでおります。同時にIT環境/PC環境を刷新し、ペーパーレス化や業務効率化にも積極的に取り組んでおります。
・工場においても業務効率化を推進すべく2023年度よりIT環境/PC環境の整備に着手しております。
・また、2023年4月からはドレスコードフリー(除く、工場)を開始しております。従業員一人ひとりの多様性や主体性等を尊重すると同時に社内コミュニケーションの良化や個々のパフォーマンス向上に繋がることを目指しております。
(3)ダイバーシティ&インクルージョン
・社会環境や顧客ニーズが大きく変化する中、当社として長期ビジョンや中期経営計画の実現に向け、性別、年齢、障がいの有無等は問わず、各分野で専門性の秀でた能力を有した人材の中途採用(女性管理職を含む)を進めるなど人材の多様性を意識した運営を実施しております。
・女性管理職比率につきましては企業規模なども勘案し、明確な目標設定はしておりませんが、女性部長職も誕生するなど当社における女性活躍度は着実に増しております。
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2021年3月末 |
2022年3月末 |
2023年3月末 |
2024年3月末 |
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9.7% |
10.5% |
10.8% |
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(4)エンゲージメント
・自らの仕事へのやりがいや会社/組織との繋がり等のエンゲージメントを高めていくことは持続的な人的資本強化ひいては企業価値向上に繋がるとの観点から2023年度よりエンゲージメント・サーベイを実施しております。
当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性のあるリスクは、主に以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2024年6月27日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1)原料調達に関するリスク
当社グループの主要原材料であるごま種子は、そのほぼ全量を海外から調達しており、仕入価格が世界のごま種子市場の需給バランスの変化や、生産国の経済情勢、地政学的要因、天候、作付状況、農薬等の規制によって変動する上、為替相場の影響を受けます。これらの要因から、仕入コストが高騰した場合には、コスト上昇分を販売価格へ転嫁する方針でありますが、市場環境の要因等により販売価格への転嫁が不十分となった場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
そのため、当社グループは新規の産地及び供給サプライヤーの探索や、継続的な購買活動を通しての現地有力サプライヤーとの強固な関係構築等の対策をしております。また、為替相場や仕入価格の変動に備え、業績への感応度を認識するための試算等を実施しております。
なお、リスクが顕在化する時期及び可能性の程度については、ごま原料価格及び為替相場の変動要因が多岐に亘るため、予測は困難であると認識しております。また、当社グループの業績及び財政状態に与える影響の程度につきましては、仕入コスト上昇によるコスト増を販売価格へ転嫁する際の将来の市場環境が不透明であることから、見積りは困難であると認識しております。
(2)品質と安全に関するリスク
当社グループは、提供する製品やサービスの品質維持・向上のため、社長直轄部署である内部監査部門や品質保証部による自己点検、第三者機関による外部監査を活用しております。製品の安全確保に関しては、小豆島工場、袖ケ浦工場及び連結子会社のカタギ食品寝屋川工場で食品安全マネジメントシステムの国際規格FSSC22000を取得、運用を通じて安全衛生管理を推進しております。また、リスク発生予防のため、リスクの洗い出しや社外コンサルタントを起用した管理体制の見直し、従業員教育等にも取り組んでおります。更に、中期経営計画の見直しで掲げた「新規事業への注力」に伴い、新たに外部へ委託する事も想定され、品質、安全リスクの増加が懸念されますが、品質保証部によりグループ内と同レベルで自己点検を行います。一方で、万が一問題が発生した場合の対応マニュアル整備、生産物賠償責任保険・生産物回収費用保険の付保を行っております。
しかしながら、予見不可能な要因により、当社グループが提供する製品やサービスについて、品質・安全にかかわる問題が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。その程度につきましては発生事案の問題の性質により異なることから、見積りは困難であると認識しております。
(3)国内における自然災害に関するリスク
当社グループは、地震や大型台風等の大規模な自然災害が起きた場合に、生産設備の毀損あるいは事業中断により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは2020年2月より千葉県袖ケ浦工場が新たに稼働しており、香川県小豆島工場、大阪府寝屋川工場の複数の生産拠点を保有し、大規模災害に備えております。また、損失の発生に備え、小豆島工場、袖ケ浦工場及び寝屋川工場の地震災害や原料の水災害等を付保範囲に含む保険に加入しております。なお、当該リスクについて、コントロールすることが不可能な性質であることから、リスクの顕在化する時期及び可能性の予測は困難であると認識しております。また、当社グループの業績及び財政状態に与える影響の程度につきましては、当該リスク発生の規模により異なることから、見積りは困難であると認識しております。
(4)国内景気、人口減少に関するリスク
当社グループの事業の大部分は、日本国内において展開しており、国内景気等による消費動向が事業に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、日本は少子・高齢化が進んでおり、このまま人口の減少が続きますと、市場の縮小に伴い製品販売数量が減少する可能性や、当社グループが企業成長の大切な基盤と考える人材の確保が困難となる可能性があります。
当社グループでは、このような影響を踏まえて、新たな高付加価値製品の開発、新規事業の開拓や海外市場展開の推進等の対策を講じておりますが、景気動向の悪化や当社グループ製品への需要低下等により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、人材の確保においては、多様性を意識した人材の採用や、働きやすい就業環境の整備や人材育成、キャリアアップ支援等による人材の定着に取り組んでおりますが、十分な人材を確保できなかった場合は、事業計画推進の支障となる等、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、国内景気等については、政府の施策や国外の経済状況等の様々な要因から影響を受けるため、当該リスクの顕在化する時期、可能性及び業績及び財政状態に与える影響の予測は困難であると認識しております。また、人口減少の影響におきましては、当社グループの業績及び財政状態に与える影響について、特段の施策を講じなかった場合には、人口減少の程度と概ね比例し、影響が顕在化するものと認識しております。
(5)法律等の諸規制・コンプライアンスに関するリスク
当社グループは、「食品衛生法」、「食品表示法」、「JAS法」、「製造物責任法」、「容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律」、「労働安全衛生法」及び「省エネ法」等による法的規制の適用を受けております。また、「食品衛生法」において、厚生労働省より食用油脂製造業に関する営業許可を受けており、同法の定める施設基準に適合する生産拠点の体制を維持しております。
当社グループは、上記の法律の他、国内外の法律を遵守しておりますが、今後において法的規制の変更、強化、新たな規制の導入がなされた場合や、「食品衛生法」に基づく営業許可において、予期せぬ同法違反となる食品事故発生による取消や定期更新時の施設基準の不適合による更新停止等が生じた場合には、事業活動が制限され、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループはこれらの法律等の諸規制によるリスクが顕在化する時期、可能性及び経営成績に与える影響を事前に見積もることは困難であると認識しております。
なお、当社はごま油の販売に関し、独占禁止法違反(不当な取引制限の禁止)の疑いがあるとして、2024年3月に公正取引委員会の立ち入り検査を受けております。当社では、引き続き、公正取引委員会の調査に対し全面的に協力してまいります。なお、調査継続中の為、現時点での影響の程度は不明ですが、今後の調査結果によっては、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(6)サイバーセキュリティに関するリスク
当社グループは、サイバーセキュリティの対策として、次の取組を推進しています。
1.「関連規程と対応策の継続的改善」
社内外のセキュリティインシデントの動向を踏まえ、情報資産管理や情報システム利用に関する規程を継続的に改善
2.「セキュリティ教育の徹底」
規程の見直しに合わせた社内周知と従業員のセキュリティ教育・対策訓練を定期的に実施
3.「セキュリティの仕組み強化」
ネットワークの防御・認証基盤・ウイルス検知隔離対策等のセキュリティ基本機能を導入の上、セキュリティ監視体制を継続的に強化
しかしながら、予期できない水準の事件・事故・障害が起きた場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がありますが、当該リスクの補完的対策として、サイバーセキュリティ保険に加入し、リスク移転を図っております。なお、リスクが顕在化する時期及び可能性の予測は困難であると認識しております。また、当社グループの業績及び財政状態に与える影響の程度については、当該リスク発生の規模により異なることから、見積りは困難であると認識しております。
(7)関連当事者との取引に係る独立性に関するリスク
当社において、三菱商事株式会社、三井物産株式会社、株式会社MCアグリアライアンス、小澤物産株式会社及び小澤商事株式会社は、関連当事者に該当しております。
当社と各社の間には主に以下の取引関係があります。
・三菱商事株式会社 : 主要販売代理店
・三井物産株式会社 : 主要販売代理店及び主要仕入先
・株式会社MCアグリアライアンス : 主要仕入先
・小澤物産株式会社 : 資材等の仕入先
・小澤商事株式会社 : 製品の保管荷役及び運送委託
なお、各社との取引条件については、第三者と比較検討を実施した結果において、公正な取引条件で実施しており、独立性は担保しております。
また、主要販売代理店及び主要仕入先として、三菱商事株式会社、三井物産株式会社及び株式会社MCアグリアライアンスの取引高の金額が大きいため、取引関係が解消した場合等には、ただちに代わりの企業を探すことが困難となることが予想されますが、その可能性は小さいものと判断しております。一方で、当社の監査体制の強化を目的として三菱商事株式会社より1名、三井物産株式会社より1名、小澤物産株式会社と小澤商事株式会社の役員を兼務する者1名を当社社外監査役としておりますが、同様に当社の独立性に影響を及ぼすリスクはないと考えております。
以上により、上記各社との関係性が業績及び財政状態に影響を与える可能性は極めて僅少であると認識しております。
(8)感染症に関するリスク
当社グループは、感染症のまん延が生じた場合には、顧客、取引先及び従業員等の安全を最優先とした上で、全社的な感染症対策のもと、安定的な製品の供給体制の確保に注力しますが、従業員の感染や物流機能の不安定化等に伴う事業活動の制限や、経済活動の停滞に伴う景気悪化等も予想され、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、リスクが顕在化する時期及び経営成績に与える影響を事前に見積もることは困難であると認識しております。
重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性から、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に、重要な会計上の見積りは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
業績等の概要
(1)業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、昨年度から継続する光熱費や生活必需品の値上がり等の家計を圧迫する要因等があったものの、新型コロナウイルス感染症の感染症法の分類が「5類」となり、インバウンド需要を含め人流が回復する等、経済活動が正常化に向かいました。世界経済においては、各国での物価上昇の動向と中央銀行の利上げ判断の睨み合い、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化や中東情勢の緊迫化等があり、先行きが不透明な状況が続いております。
食品業界におきましては、原材料価格の高騰や為替レートの円安基調等を背景として、値上げの傾向が継続しており、このことから消費者の節約志向等が生じております。一方で、外食産業は、外食への消費マインドの上昇やインバウンド需要の復活等により、回復傾向にありました。
このような状況下、当社グループは、厳格な生産管理体制の維持・管理を行いながら、高騰する原材料コスト等に対しては、効率化によるコスト削減や製品の販売価格是正に着手する等、収益性の確保等に取り組みました。
ごま油事業におきましては、家庭用は、外食の回復による内食需要の減少や2023年3月(一部、中容量品を対象)及び10月に実施した製品の販売価格是正の影響等により、販売数量は前期比で減少しております。業務用は、外食産業の回復といった追い風となる外部環境の変化等があったものの、2023年10月に実施した製品の販売価格是正の影響等により、販売数量は前期比で減少しております。輸出用は、新型コロナウイルス関連の影響が解消し、積極的な販促活動を実施した結果、販売数量は前期比で増加しました。
以上により、ごま油事業全体の販売数量は前期比96.6%となりましたが、製品の販売価格の是正や輸出における為替レートの円安基調の影響等により、販売金額は前期比106.6%となりました。
食品ごま事業におきましては、グループ内の業務効率化を目的として、2023年10月より家庭用食品ごま及び家庭用ねりごまについて、家庭用に強みを持つ子会社のカタギ食品のブランドに統合し、販売を一本化しております。販売数量については、2022年10月及び2023年4月と10月に実施した製品の販売価格是正の影響等により、家庭用及び業務用のいずれも前期比で減少しております。
以上により、食品ごま事業全体の販売数量は、前期比92.5%となりましたが、製品の販売価格是正の影響等により、販売金額は前期比103.5%となりました。
一方、コスト面におきまして、売上原価は、製造経費の減少等があったものの、原料相場の上昇及び為替レートの円安基調等に伴う原料代の大幅な増加等により、前期比108.0%となりました。また、販売費及び一般管理費は、広告宣伝費や旅費交通費の使用増等あったものの、販売数量減等に伴う支払運賃及び保管料の減少等により、前期比で減少しました。
この結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高35,680百万円(前期比1,990百万円増)、経常利益は3,409百万円(前期比179百万円増)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,255百万円(前期比36百万円増)となりました。
なお、当社グループは外部環境の変化等を背景に2023年11月に中期経営計画「ONE Kadoya」の見直しを行っております。見直し後の計画においては、新規事業、通販を含むD2C事業、研究開発及び海外販売を注力分野としており、それぞれの施策を通じて、持続的な成長の実現に向けて取り組んでまいります。当連結会計年度においては、新規事業として、化粧品事業に参入し、2023年7月に保湿効果が高いセサミオイルを配合した「SESALISモイスチャージェルクリーム」を販売開始しました。また、2023年11月には種皮をむいたごまから搾った新しい風味のプレミアムごま油「ごまの実オイル」及び餡子菓子専門店の協力のもとで開発した「goma to(ゴマト)ようかん」の販売を開始しております。
その他、当社製品を使用したメニューにより、ごまの魅力や用途多様性を訴求するカフェ「goma to(ゴマト)」や、ごまに関する情報交換が可能な双方向性のあるファンコミュニティサイト「ごまラボ」の運営等の消費者と直接的な接点を持つ施策を行う等、当社グループは、ごまの可能性や魅力を通じて「かどやファン」を獲得するための積極的な取り組みを実施しています。
なお、当連結会計年度より、「重要なヘッジ会計の方法」の変更に関する会計方針の変更を行っており、遡及処理後の数値で比較分析を行っております。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりであります。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
①ごま油事業
ごま油事業におきましては、家庭用は、「かどやの純正ごま油」が発売55周年となるため、「愛されて55周年 かどやから皆様へ 感謝の純正ごま油キャンペーン」を展開しました。「かどやの純正ごま油」に関連したエピソードを募集し、人気作品をアニメーション化する企画や応募者に当社の創業の地である香川県小豆島のホテル宿泊券等の賞品を抽選でプレゼントする等、需要の喚起及び「かどやファン」の創出を図る施策を行っております。しかしながら、外食の回復による内食需要の減少や2023年3月(一部、中容量品を対象)及び2023年10月に実施した製品の販売価格是正の影響等により、販売数量は前期に比べ減少しております。
業務用は、外食産業の回復等の追い風となる外部環境の変化等があったものの、外食向けへの出荷に一服感があった他、2023年10月に実施した製品の販売価格是正等の影響により、販売数量は前期に比べ減少しております。
また、輸出用は、新型コロナウイルス関連の影響が解消する中、アジア食材への需要等に対し、積極的な販促活動を実施した結果、販売数量は前期比で増加しました。
一方、コスト面では、売上原価は、修繕費の減少や袖ケ浦工場の償却進行に伴う減価償却費の減少等があったものの、原料相場の上昇及び為替レートの円安基調等に伴う原料代の大幅な増加や資材価格の上昇等により、前期に比べ増加しました。また、販売費及び一般管理費は、CM作成・放映費用や「かどやの純正ごま油」の発売55周年施策等の広告宣伝費の使用等の増加要因があったものの、販売数量減に伴う支払運賃及び保管料の減少等により、前期に比べ減少しました。
以上の結果、売上高は27,648百万円(前期比1,723百万円増)、セグメント利益は2,785百万円(前期比73百万円増)となりました。
②食品ごま事業
食品ごま事業におきましては、2022年10月及び2023年4月と10月に製品の販売価格是正を行っており、全体として販売数量の減少要因となっております。また、家庭用では食品各種の値上げ局面下で販促回数が減少したこと、業務用ではねりごまの総菜向け需要が落ち込んだこと等により、販売数量はそれぞれ前期比で減少しました。以上により、食品ごま事業全体の販売数量は前期比で減少しましたが、製品の販売価格是正の影響等で販売金額は前期比で増加しました。
一方、コスト面では、売上原価は、製造経費の減少等があったものの、原料相場の上昇及び為替レートの円安基調等に伴う原料代の大幅な増加等により、前期に比べ増加しております。また、販売費及び一般管理費は、販売数量減に伴う支払運賃及び保管料の減少等により、前期に比べ減少しました。
以上の結果、売上高は7,896百万円(前期比268百万円増)、セグメント利益は260百万円(前期比132百万円増)となりました。
(2)経営上の目標の達成状況
当社グループは収益力の指標である売上高経常利益率を重視しており、同指標10%以上を経営上の目標としております。また、中期経営計画において、企業価値の向上のため資本効率性指標であるROE8%以上の維持・継続という中長期的な目標を定めております。同計画による新たな事業戦略及び経営基盤の再構築等のもと、経営課題及び財務目標の達成に取り組んでまいります。
なお、当連結会計年度の売上高経常利益率は9.6%、ROEは6.7%となりました。
生産、受注及び販売の実績
(1)生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
前期比(%) |
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ごま油(トン) |
51,111 |
96.5 |
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内訳 |
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(ごま油(トン)) |
(27,447) |
97.4 |
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(脱脂ごま(トン)) |
(23,663) |
95.5 |
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食品ごま(トン) |
11,890 |
93.7 |
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合計(トン) |
63,002 |
96.0 |
(注)1.ごま油生産数量には、輸入原料油、脱脂ごまを含みます。
2.ごま油生産数量は、生産内容が異なるため内訳を記載しております。
(2)商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績は次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
前期比(%) |
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その他(百万円) |
78 |
103.4 |
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合計(百万円) |
78 |
103.4 |
(3)受注実績
当社は受注生産は行っておりません。
(4)販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
前期比(%) |
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ごま油(百万円) |
27,648 |
106.6 |
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食品ごま(百万円) |
7,896 |
103.5 |
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報告セグメント計(百万円) |
35,545 |
105.9 |
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その他(百万円) |
135 |
99.2 |
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合計(百万円) |
35,680 |
105.9 |
財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
(1)財政状態の分析
(流動資産)
当連結会計年度末の流動資産におきましては、前連結会計年度末に比べ2,114百万円増加し、28,206百万円となりました。
これは棚卸資産が346百万円減少するなどの減少要因があったものの、現金及び預金が1,809百万円、売掛金が603百万円増加したこと等によるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度末の固定資産におきましては、前連結会計年度末に比べ934百万円減少し、14,465百万円となりました。
これは投資有価証券が321百万円増加するなどの増加要因があったものの、繰延税金資産が114百万円、袖ケ浦工場の減価償却等により有形固定資産が1,013百万円減少したこと等によるものであります。
以上の結果、当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,180百万円増加し、42,671百万円となりました。
(流動負債)
当連結会計年度末の流動負債におきましては、前連結会計年度末に比べ531百万円減少し、6,071百万円となりました。
これは賞与引当金が65百万円増加するなどの増加要因があったものの、支払手形及び買掛金が552百万円減少したこと等によるものであります。
(固定負債)
当連結会計年度末の固定負債におきましては、前連結会計年度末に比べ88百万円増加し、2,244百万円となりました。
これは長期未払金が21百万円減少するなどの減少要因があったものの、繰延税金負債が62百万円、退職給付に係る負債が46百万円増加したこと等によるものであります。
以上の結果、当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ442百万円減少し、8,316百万円となりました。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産におきましては、前連結会計年度末に比べ1,623百万円増加し、34,354百万円となりました。
これは親会社株主に帰属する当期純利益2,255百万円の計上と配当金の支払い921百万円の加減算により利益剰余金が1,334百万円増加したこと等によるものであります。
(セグメントごとの分析)
当連結会計年度末のごま油セグメントの資産は、前連結会計年度末に比べ770百万円減少し、21,411百万円となりました。これは袖ケ浦工場の減価償却の進行等によるものであります。
また、食品ごまセグメントの資産は前連結会計年度末に比べ273百万円増加し、8,285百万円となりました。
(2)経営成績の分析
(売上高)
売上高は、前連結会計年度に比べ5.9%増加し、35,680百万円となりました。
主な内訳はごま油27,648百万円、食品ごま7,896百万円、その他135百万円であります。
(売上原価)
売上原価は、前連結会計年度に比べ8.0%増加し、25,899百万円となりました。
(売上総利益)
売上総利益におきましては、前連結会計年度に比べ68百万円増加し9,781百万円となり、売上高総利益率は前連結会計年度に比べ1.4ポイント減少し、27.4%となりました。
(販売費及び一般管理費)
販売費及び一般管理費におきましては、前連結会計年度に比べ134百万円減少し6,664百万円となりました。
主な内訳は、運送費及び保管料1,521百万円、給料及び手当1,336百万円、広告宣伝費714百万円、賞与引当金繰入額464百万円、販売手数料301百万円であります。
(営業利益)
売上総利益から販売費及び一般管理費を控除した営業利益におきましては、前連結会計年度に比べ202百万円増加し3,117百万円となり、売上高営業利益率は前連結会計年度とほぼ差がなく、8.7%となりました。
(営業外収益・費用)
営業外損益は、営業外収益306百万円から営業外費用13百万円差し引いた純額が、前連結会計年度に比べ23百万円減少し、292百万円の利益となりました。
(経常利益)
営業利益に営業外収益・費用を加減算した経常利益におきましては、前連結会計年度に比べ179百万円増加し3,409百万円となり、売上高経常利益率は前連結会計年度とほぼ差がなく、9.6%となりました。
(特別利益・損失)
特別損益におきましては、固定資産除売却損を3百万円計上したこと等により、特別利益から特別損失を差し引いた純額は、前連結会計年度に比べ5百万円増加し、3百万円の損失となりました。
(税金等調整前当期純利益)
経常利益から特別利益・損失を加減算した税金等調整前当期純利益におきましては、前連結会計年度末に比べ184百万円増加し、3,406百万円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額の合計が1,150百万円となった結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ36百万円増加し2,255百万円となり、売上高当期純利益率は前連結会計年度に比べ0.3ポイント減少し6.3%となりました。
なお、1株当たりの当期純利益は245円13銭、ROE(自己資本当期純利益率)は6.7%、総資産経常利益率は8.1%となりました。
(3)キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ1,809百万円増加し、8,681百万円となりました。
なお、当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、2,972百万円の収入(前期比511百万円収入増)となりました。これは法人税等の支払額1,064百万円、売上債権の増加額603百万円など減少要因があったものの、税金等調整前当期純利益3,406百万円、減価償却費1,301百万円などの増加要因があったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、239百万円の支出(前期比480百万円支出減)となりました。これは小豆島工場の設備投資等に関する有形固定資産の取得による支出が243百万円あったこと等によるものであります。なお、いずれの支出も原資は自己資金によります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、922百万円の支出(前期比80百万円支出減)となりました。これは配当金の支払いが922百万円あったこと等によるものであります。
(資本の財源及び資金の流動性)
資金需要
当社グループの事業活動における資金需要の主なものは、生産活動(原材料の購入や労務費、設備の修繕費等)及び販売活動(人件費や販売促進費の支払等)等による運転資金需要や、設備投資に関する設備資金需要になります。なお、設備投資については、生産活動維持のための設備更新のほか、市場拡大に備えた生産能力増強等について、市場環境や販売動向を注視した上で行う方針です。
資金調達
当社グループの資金需要に対しては、原則として、営業活動によるキャッシュ・フローにおいて獲得した自己資金により充当する方針にあります。但し、原料価格の上昇や大規模設備投資等による一時的な資金不足が生じた場合には、金融機関からの短期借入による調達を行います。
なお、当社では資金の流動性担保のため、取引銀行3行と当座貸越契約及びコミットメントライン契約を締結しております。これらの契約に基づく当連結会計年度末における当座貸越極度額は9,000百万円、コミットメントライン契約における借入未実行残高は5,000百万円になります。
株主還元
当社グループは、株主への利益還元を経営の重点政策の一つと位置付けており、期末配当の年1回の剰余金の配当を行うことを基本方針とし、連結の親会社株主に帰属する当期純利益の40%を目処として業績に連動させた配当を採用しております。また、業績に関わらず1株当たり20円以上の配当を継続して行えるよう努力してまいります。
該当事項はありません。
当社グループは多くの消費者に自然の恵みを活かした、健康的で豊かな食生活に貢献できる魅力のある製品を開発、提供することを研究開発活動の基本方針としております。
当社グループの研究開発の取組みとしては、製品に対する顧客要望、マーケット情報などをもとに新製品等の開発や企画・立案を行っております。顧客ニーズを踏まえ、ごま関連商品の市場調査や競合他社製品の分析、既存の工程条件の見直し、ごまやごま油を原料とした加工品の検討、新しいごま製品の加工技術の検討などを実施し、新製品の開発や既存製品の改良、リニューアルを行っております。また、ごま及びごま油の栄養成分や機能性成分に関する基礎研究や副産物の利用などの応用研究にも取り組んでおります。
「価値あるごま製品を提供することで、健康でより豊かな食生活に貢献する」という当社の経営理念に基づき、ごまのおいしさや健康、新たな価値を創造するための試験や分析、研究を行い、当社グループ独自の研究開発活動を推進します。
なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は
当社グループはセグメント共有の研究開発を行っているため、研究開発費の総額、研究開発活動は特定のセグメントに区分しておりません。
最近における研究開発活動の主なテーマと開発目標は次のとおりであります。
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主要テーマ |
開発目標 |
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顧客要望に基づくごま製品の開発 ごま・ごま油を原料とした製品の開発 |
製品開発・用途開発によるマーケットの拡大 |
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ごま関連の加工技術、独自製法の探索 |
付加価値製品創出による競争力のある製品開発 |
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おいしさを追求する研究・開発 |
味・香り・食感・安定性・嗜好性・加工特性など様々な視点からのごま・ごま油の利用価値を見出す |
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健康を訴求する研究・開発 |
ごま・ごま油に含まれる栄養成分や機能性成分の利用価値を見出す おいしさ+αの製品開発 |
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製造工程から出る副産物の利活用 |
ごま製品の製造副産物に由来する素材の探索と利用検討 |