文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社は、価値ある建造物とサービスで、安心して暮らせる持続可能な社会をつくることを企業理念としております。また、長期ビジョン「西松-Vision 2030:あたりまえに安心でき 活力がわく地域やコミュニティを 共に描きつくる総合力企業へ」のもと、「社会基盤整備」に加え、「社会機能の再構築」へ「価値共創活動」を拡大し、「安心・活力・つながり」を提供してまいります。
(2) 中長期的な経営戦略
当社は、コロナ禍やグローバル化の進展など社会・事業環境の絶え間ない変化と価値観の多様化を受け、自らの社会における存在価値や将来ありたい姿、提供していく価値について改めて見つめ直し、本年2月に長期ビジョンを「西松-Vision 2030」に刷新するとともに、「中期経営計画2025」を策定いたしました。
「西松-Vision 2030」では、当社が矜持をもち取り組んでいる「社会基盤整備」に加え、地域に寄り添い共に社会課題を解決する「社会機能の再構築」へ「価値共創活動」を拡大し、「安心・活力・つながり」を提供してまいります。
「中期経営計画2025」では、2022年度に収益が悪化した建築事業と国際事業(土木)の収益改善に注力いたします。中長期的取り組みとしましては、「西松-Vision 2030」実現に向け、「脱炭素」や「価値を生み出すアセット」等へ積極的な投資を実施いたします。
なお、「西松-Vision 2030」及び「中期経営計画2025」につきましては、当社ウェブサイトに掲載しておりますので、併せてご参照ください(https://www.nishimatsu.co.jp/ir/library/plan.html)。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、2023年2月に公表した「中期経営計画2025」において、連結売上高及び連結営業利益を目標とする業績指標として掲げております。また、目標とする財務指標として、ROE、自己資本比率、D/Eレシオ、連結配当性向を掲げております。特にROEは持続的成長への競争力を高めた結果として向上するものであり、当社の目指す経営方針と合致することから、目標とする財務指標として採用しております。
(4) 経営環境並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社を取り巻く環境は、コロナ禍やグローバル化の進展、価値観の多様化を受け、絶え間なく変化しています。建設業界におきましては、建設投資全体は名目値ベースで堅調に推移しておりますが、建設資材の価格高騰等の影響もあり、注視が必要な状況が続いております。今後、国内土木市場は国土強靭化・防災減災に向けた各種施策により堅調に推移することが予想されますが、国内建築市場は中長期的な人口減少等の影響から縮小が想定されるなど、不透明な状況が続くと思われます。
このような事業環境のもと、当社グループは、自らの社会における存在価値や将来ありたい姿、提供していく価値について改めて見つめ直し、本年2月に長期ビジョンを「西松-Vision 2030」に刷新するとともに、「中期経営計画2025」を策定いたしました。
「西松-Vision 2030」では、「あたりまえに安心でき 活力がわく地域やコミュニティを 共に描きつくる総合力企業へ」という長期ビジョンを掲げ、当社がこれまで取り組んできた国内外の建設事業を中心とする「社会基盤整備」に加え、エネルギー、環境保全、社会・都市機能、防災・安全、不動産開発など、地域に寄り添い共に社会課題を解決する「社会機能の再構築」に取り組んでまいります。これらの「価値共創活動」を拡大することで、当社グループの成長を目指すとともに、社会に対して「安心・活力・つながり」を提供してまいります。
また、「中期経営計画2025」では、2022年度に収益が悪化した建築事業と国際事業(土木)の収益改善に注力いたします。中長期的取り組みとしましては、「西松-Vision 2030」の実現に向けて、建設事業の体制強化のほか、「脱炭素」や「価値を生み出すアセット」等へ積極的な投資を実施いたします。
「中期経営計画2025」における主な取組み内容や業績計画、財務計画、投資計画については以下のとおりです。
「中期経営計画2025」骨子
(収益改善プラン)
・建築事業・国際事業(土木):物価変動への対応、現場管理の高度化
(中長期的取り組み:西松-Vision 2030 実現に向けて)
・土木事業:人員・組織能力の強化、新分野への挑戦
・建築事業:企画提案力の向上、社内外リレーションの活用、差別化要素の確立
・国際事業:(土木)ODA工事取組体制の強化、(建築)外資企業工事取組体制の強化
・アセットバリューアッド事業(旧 開発・不動産事業)
:自社開発事業のスピードアップ、海外開発事業の本格展開、市街地再開発事業の組成、AM機能・PBM機能の強化
・地域環境ソリューション事業(旧 環境・エネルギー事業)
:積極的な事業投資、事業の高付加価値化
(業績及び財務計画(連結))
(投資計画)
当社は、これまで時間外労働の削減に向け段階的に取り組んできており、2024年4月から適用される時間外労働上限規制につきましても、重要課題として引き続き適切に対処してまいります。また、昨今のAI技術等の進展を踏まえ、当社におけるデジタルトランスフォーメーションの推進についても積極的に取り組んでおります。
財務上の課題として、「中期経営計画2025」の3年間につきましては、事業活動により獲得した資金に加え、有利子負債を活用し、成長投資に向けた資金を確保してまいります。また、財務健全性の観点から、2025年度の自己資本比率30%程度、D/Eレシオ1.5倍程度を堅持してまいります。現在保有する自己株式の取り扱いにつきましても、重要課題として引き続き検討してまいります。
今後も、当社は全役職員一丸となって「中期経営計画2025」を達成するとともに、「西松-Vision 2030」の実現に向けて邁進してまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、サステナビリティに関する課題を検討・審議することを目的として、サステナビリティ委員会(取締役会の諮問機関として社内取締役、社外取締役及び外部有識者で構成)を設置しております。サステナビリティ委員会は、取締役会からの諮問に基づき、長期視点やマルチステークホルダーの視点に立ったマテリアリティや、マテリアリティに紐づく環境変化(リスク・機会)への対応方針等に関する事項を検討・審議し、取締役会に答申します。
取締役会は、サステナビリティ委員会の答申を踏まえ、サステナビリティ課題に関する対応方針等を決定します。また、「リスク管理責任部署-リスク・機会マネジメント委員会-社長・本部長会議-取締役会」というサステナビリティに関するリスク・機会の報告体制及び監督・指示体制を構築するとともに、サステナビリティに関するリスク・機会への取組みに係る報告を受けて、その具体的対応策、目標、進捗状況について監督します。
社長・本部長会議は、取締役会による監督のもと、最高執行レベルの意思決定機関として、サステナビリティに関するリスク・機会への取組みに関する具体的対応策及び目標を決定し、進捗状況を管理します。
リスク・機会マネジメント委員会は、「長期視点に立ったリスク・機会のマネジメント」及び「現事業活動におけるリスク・機会のマネジメント」を実施します。同委員会は、サステナビリティに関するリスク・機会の情報を集約し、組織横断的にリスク等を監視し、当社グループのリスク等を全社的リスク管理プロセス(ERM)に統合し、総合的に管理します。
以上のガバナンス体制により、当社グループのサステナビリティ課題に関する取り組みを推進しております。
②リスク管理
当社グループのサステナビリティに関するリスク・機会の管理を適正に行うため、社内規程を定め、損失の最小化と持続的成長を図ります。
リスク・機会マネジメント委員会は、リスク等情報の集約を行い、組織横断的にリスクを監視し、当社グループのリスクを総合的に管理します。同委員会は、個別リスクごとに責任部署を定め、当該リスクに関する「予防的リスク管理体制」と「発見的リスク管理体制」を構築します。
リスク管理の整備・運用上の有効性評価は同委員会が行い、問題がある場合には、各々の責任部署に対し是正勧告を行います。同委員会は、自ら定めた個別リスクの責任部署及び予防的リスク管理体制・発見的リスク管理体制並びに当該リスクの管理状況を社長・本部長会議及び取締役会に報告します。
社長・本部長会議はリスク・機会マネジメント委員会からの報告内容(重要リスク、具体的対応策及び目標)を審議・承認し、必要に応じリスク・機会マネジメント委員会に指示します。社長・本部長会議は承認した内容を取締役会に報告します。
取締役会は、「リスク管理責任部署-リスク・機会マネジメント委員会-社長・本部長会議-取締役会」というリスクに関する報告体制及び監督・指示体制を構築し、監査室はその運用状況を監視します。取締役会は社長・本部長会議からの報告内容を審議し、会社としての最終的な承認を行います。また必要に応じて社長・本部長会議に指示し、監督します。
(注)サステナビリティに関する考え方及び取組の詳細な情報については、2023年10月頃に当社ウェブサイト(https://www.nishimatsu.co.jp/esg/report/)において公表予定の「統合報告書2023」をご参照ください。
(2) 気候変動への対応
当社グループの気候変動への対応に係る考え方及び取組は、以下のとおりであります。
①ガバナンス
(気候関連課題に関する取締役会の監督)
当社は、気候関連リスクを回避・低減・移転し、また気候関連機会を実現するための戦略を重要な経営課題と位置づけ、企業として適切に対応することで持続的な成長につながると考えています。そのため取締役会は、気候関連課題に関する社長・本部長会議からの報告内容を審議し、気候関連リスク及び機会に係る具体的対応策、目標管理について監督します。
(気候関連課題に関する社長・本部長会議による意思決定)
社長・本部長会議は、気候関連課題に関しリスク・機会マネジメント委員会からの報告を受け、気候関連リスク及び機会に係る具体的対応策、目標管理について最高執行レベルの責任として意思決定(確認、承認)を行い、年2回の頻度で取締役会に報告します。
(気候関連リスク及び機会の特定、評価、管理プロセス)
本社各部門は、各部門における気候関連リスク及び機会を特定し“発生可能性”、“量的影響度”、“質的影響度”の3つの尺度で評価するとともに、“リスク対応策”及び“機会実現策”の策定、実施を行い、環境委員会に報告します。環境委員会は本社各部門における気候関連課題を再評価、対応策の確認を行いリスク・機会マネジメント委員会に報告します。全社リスク管理(ERM)を行うリスク・機会マネジメント委員会において気候関連リスクと機会はERMに統合され、社長・本部長会議に報告されます。
②リスク管理
気候変動への対応に係るリスク管理については、上記「①ガバナンス」に記載のとおりです。
③戦略
(戦略/シナリオ分析の前提条件)
(採用シナリオ及び分析対象、時間軸)
当社は、脱炭素社会への移行に伴い不確実性の高い将来を見据え、どのようなビジネス上の課題が顕在し得るかについて、産業革命以前と比較した気温上昇1.5℃と4℃のそれぞれの世界観においてTCFDが提言するシナリオ分析を行いました。シナリオ分析は、当社の主軸の事業である建設事業のほか、アセットバリューアッド事業、地域環境ソリューション事業を対象としており、これには協力会社や材料調達を含めたサプライチェーン全体を考慮しています。
また、気候関連リスクは長期間にわたり影響を与える可能性があるため、中期経営計画の年限にあたる2025年度までを「短期」、2026年度~2030年度までの期間を「中期」、2031年度以降を「長期」と設定しました。
(戦略/気候関連リスク及び機会)
(戦略/1.5℃シナリオに基づく事業インパクト評価)
<ウォーターフォールグラフを用いたインパクト評価>
2021年度の営業利益をインパクト評価の基点とし、2030年度及び2050年度時点における気候関連リスク及び機会の要素による影響額の増減を表しています。
(戦略/4℃シナリオに基づく事業インパクト評価)
<ウォーターフォールグラフを用いたインパクト評価>
2021年度の営業利益をインパクト評価の基点とし、2030年度及び2050年度時点における気候関連リスク及び機会の要素による影響額の増減を表しています
(戦略/事業インパクトへの対応)
当社は、気候関連の事業インパクトへの対応策を定め、
(戦略/シナリオ分析結果)
④指標及び目標
(指標と目標/ZERO30ロードマップ2023)
当社は、2019年6月に「エコ・ファーストの約束」を更新した際にも、「脱炭素」を重要な経営課題として捉えており、これまで2030年を年限としたCO2排出量削減の具体的な活動の道筋であるロードマップを定め、2021年より活動を推進してきましたが、この度これを刷新し『ZERO30ロードマップ2023』を策定しました。このロードマップは、当社のあらゆる事業活動から排出されるCO2を対象とし、スコープ3の目標を新たに加えたものです。CO2排出量削減のレベルについては、スコープ1+2、及びスコープ3も、実質的な国際基準であるSBT1.5℃認定を視野に入れたより野心的なものとしています。
また当社はCO2排出量削減に加え、脱炭素社会の形成に貢献すべく再生可能エネルギー事業による発電(創エネ)を順次行っております。当社のスコープ1+2の残余排出量を上回るグリーンエネルギーを社会に提供する計画となっており、2030年までの早い時期に『残余排出量―創エネによる削減効果』がZEROになることを目指しています。
(指標と目標/ZERO30 CO2削減計画)
(指標と目標/ZERO30(スコープ1+2、スコープ3)とSBTの比較)
(指標と目標/施策と実績)
(指標と目標/CO2排出量の推移)
(2050年カーボンニュートラルに向けた脱炭素移行計画)
当社は、2050年カーボンニュートラルの実現に向けた脱炭素移行計画を策定しております。同計画ではシナリオ分析結果に加え、TCFD、CDPなど国際イニシアティブが企業に求める移行計画の要素も取り入れており、今後はロードマップの達成を見据え、移行計画の精緻化と実行に全社で取り組んでまいります。
(注)気候変動への対応に関する詳細な情報については、当社ウェブサイトの
(https://www.nishimatsu.co.jp/esg/environment/climate.html)
人的資本に係る考え方及び取組は、以下のとおりであります。なお、以下に記載する事項は当社グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。
①ガバナンス
人的資本に係るガバナンスについては、「(1)サステナビリティ全般に関する開示 ①ガバナンス」に記載のとおりです。
②リスク管理
人的資本に係るリスク管理については、「(1)サステナビリティ全般に関する開示 ②リスク管理」に記載のとおりです。
③戦略
当社はこれまで、事業活動を支える人的資本に関しては、中長期的なガバナンス確保の観点から、長期ビジョン(西松-Vision2027)及び中期経営計画(中期経営計画2023)に則り、人財戦略を進めてまいりました。機会創出の面では、新しい価値を創出するための「人財の質と量の確保」、「個々の能力に合わせた人財の最適配置」、「有機的連携実現のための意識と仕組みづくり」、「ダイバーシティ&インクルージョン」に注力してきました。また、リスク管理面では、社員の満足度向上と健康で安心して働ける環境づくりの観点から、「社員の健康維持増進」、「長時間労働の削減」、「社員の離職防止」を重点項目として取り組んできました。
今後は、新たな機会創出のために、「社会基盤整備」から「社会機能の再構築」へと価値共創活動を拡大させるべく、西松-Vision2030、中期経営計画2025における変革プログラムである、「人財の意識行動変革」、「組織能力強化」、「新しいことに挑戦できる成長資源創出」の3つの枠組みに基づき、人財育成の方向性を定め、具体的な取り組みを進めていきます。また、リスク管理のための環境整備として、「社員の健康維持増進」、「長時間労働の削減」、「社員の離職防止」に継続的に取り組むとともに、フレックスタイム制などの柔軟な働き方を可能にする制度の利用促進を図ります。
人的資本の戦略に関する詳細な情報については、当社ウェブサイトの「
当社は、高い技術力の養成に加え、広い視野をもって社会の変化に的確に対応できる人財を育成することを目指して、2019年度に「西松社会人大学」を開校しました。今後は、変革志向、成長志向のマインドを養成すべく、西松社会人大学を中核的な教育基盤として位置づけ、社員の新分野への挑戦心や成長意識を養うための研修を開講してまいります。また、「カリキュラム選択制」といった、成長意欲のある社員が自律的に、より高みを目指し学べる仕組みを整備していきます。
(組織能力強化)
価値共創活動の拡大のためには、社内外において幅広い価値観や知識、経験をもつ人財が集まり、全ての人財が同じ目的に向かって協働する力を発揮することが必要です。そのために、必要な人財のポートフォリオの作成、「タレントマネジメントシステム」の導入による社員の能力やスキルの可視化をすることで、人財ギャップを明確にします。そして人財ギャップを解消していくために、多様性を重視した人財の採用、専門力、一般教養を含めた多様な能力獲得の機会整備や、マネジメント能力、リーダーシップ能力開発を目的とした研修カリキュラムの充実を図ります。さらに価値観や視点の違いを認め合い、活かしていく「好ましい組織風土の醸成」に取り組み、組織に対するエンゲージメント状態を見える化し定期的にモニタリングを行っていきます。
(新しいことに挑戦できる成長資源創出)
新しいことに挑戦していくためには、「意識行動変革」、「組織能力強化」だけではなく、「成長資源(人財と時間、心の余裕)」を作っていくことが必要です。そのため、技術変革による「スマート現場」や「DXによる業務効率化」といったハード面の取り組みによる従来業務に要する労働時間の削減、対話を通じた、心理的安全性の確保や日常的なチャレンジ精神の醸成、仕事に対するエンゲージメント向上等のソフト面への取り組みに注力していきます。
<社内環境整備方針>
当社は、多様な人財が能力を最大限発揮できるように、「フレックスタイム制の導入」や「仕事と育児を両立するための両立支援制度の拡充」、「総労働時間の削減」など、柔軟な働き方ができる環境づくりと、社員の健康管理や増進を図る取り組みを進めてきました。今後は、導入された各種制度の利用促進を図っていくとともに、デジタル活用による柔軟な働き方支援策の導入、社員の健康維持増進の取り組みを引き続き実施します。取り組みの成果については定期的にモニタリングを行い、それをフィードバックする形での社員一人ひとりが組織貢献意欲をもって働ける環境づくりを行っていきます。
④指標及び目標
(機会の創出)
(リスクの低減)
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
景気悪化等による建設需要の減少や不動産市場の縮小等、当社事業に係る著しい環境変化が生じた場合には、建設工事受注高の減少や不動産販売事業・賃貸事業の低迷など、当社グループの業績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
上記のリスクに対応するため、当社グループは、長期ビジョン「西松-Vision2030」や「中期経営計画2025」を策定し、事業活動に取り組んでおります。また、計画時の想定を上回る事業環境の変化が生じた場合には、適宜計画の見直しを行い、業績等に与える影響の低減に取り組んでおります。
長期にわたる工事を受注する時点で将来の資材等調達価格を適切に予測することが困難な場合があるため、工期中に資材価格や調達の状況が大きく変わることがあります。これにより建設コストが大幅に増加することがありますが、当該建設コスト増加分を工事請負金額に反映させることができない場合には、受注時に計画していた工事損益が変動し、当社グループの業績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
上記のリスクに対応するため、工事請負契約の締結にあたり、適正な価格、適正な工期で工事を実施できるよう、発注者に対して協議の申し入れを行っております。また、施工条件や資材価格動向の精査による物価変動リスクの定量評価、主要資材の早期調達等により、工事損益の確保に努めております。
工事目的物の品質管理には万全を期しておりますが、重大な欠陥が発生した場合には、顧客からの信頼を損なうことに加え、契約不適合責任に基づく損害賠償金の支払等により、当社グループの業績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
上記のリスクに対応するため、各種の社内基準書に準拠した施工、品質パトロールの実施、社内組織を活用した施工管理検討の実施、契約不適合事例や不具合事例の全社水平展開、各種研修の実施等により、工事目的物の品質管理に努めております。
当社グループは、事業活動に関連する法令・規制の遵守の徹底に加え、従業員等によるコンプライアンス遵守を推進しておりますが、個人的な不正行為等を含め、重大な法令違反等を引き起こした場合には、顧客その他ステークホルダーからの信頼を損なうとともに、当社グループの業績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
上記のリスクに対応するため、各部署に対するコンプライアンス監査によりコンプライアンスに係るリスク管理状況を確認し、問題があれば積極的に解決するとともに、企業風土の改善に取り組んでおります。また、危機意識の風化防止などを目的としてコンプライアンス研修を実施しております。その他、内部通報窓口を設置するなど、コンプライアンス違反事由が発生した際に適切かつ迅速に対応できる体制を整備しております。
当社グループの事業活動において、情報システムの利用とその重要性は増大しております。コンピュータウイルスその他の要因によって、かかる情報システムの機能に支障が生じた場合、当社グループの事業活動や業績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは、設計・施工をはじめとする事業活動を通じて構造物やお客様に関する情報、取引先の個人情報あるいは機密情報その他様々な情報を取り扱っております。これらの情報が外部からのサイバー攻撃や従業員の過失等によって漏洩又は紛失した場合、損害賠償、復旧費用等の発生により、当社グループの業績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
上記のリスクに対応するため、当社グループで情報セキュリティポリシーを定め、外部からの不正アクセス防止、コンピュータウイルス対策、従業員の教育等、情報セキュリティ対策の継続的な強化に努めております。
当社事業で必要とされる専門性を持つ人財や、リーダーの確保と育成が推進できない場合には、経営計画の遂行に影響を及ぼす可能性があります。また、生産年齢人口の減少や建設技能者の高齢化等により、建設業従事者が将来的に減少した場合にも、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
上記のリスクに対応するため、専門力や一般教養を含めた多様な能力獲得の機会整備、マネジメント能力・リーダーシップ能力の開発を目的とした社員研修カリキュラムの充実を図るとともに、建設キャリアップシステムの活用を促進し、協力会社への技術教育・指導を継続的に実施しております。また、新卒採用及び中途キャリア採用を積極的に実施し、多様性を重視した人財の採用を実施しております。加えて、現場における生産性向上に向けて、デジタル技術活用による「スマート現場」の実現をはじめとして、デジタルトランスフォーメーションの推進を積極的に進めております。
当社グループは東南アジアを中心に海外事業を展開しているため、進出国におけるテロの発生や政治経済情勢の変動、法制度の変更等があった場合には、当社グループの業績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
上記のリスクに対応するため、外務省海外安全ホームページによる危険度レベルの定期的な確認や、「カントリーリスク判定表」による定期的な評価、「海外危機管理マニュアル」の周知等により、事業継続や工事への悪影響を最小限に抑えるよう努めております。
また、海外事業においては、進出国における外資企業の活動制限、日系企業からの発注量の伸び悩み等により受注量が変動し、当社グループの業績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
上記のリスクに対応するため、海外子会社の価格競争力を高め、これまでの日系工場案件中心の取り組みから、外資・現地企業案件にも取り組むことで入札機会を増やし、受注確保に努めております。
為替相場の大幅な変動等が生じた場合には、当社グループの業績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
上記のリスクに対応するため、為替レート毎の為替差損益の試算、取下金管理の徹底、外貨残高の適正な管理、為替予約等によるリスクヘッジの検討等により為替変動の影響を弱め、業績への影響を低減させるよう努めております。
不動産市況の悪化により出口戦略が予定どおり遂行されない場合には、事業計画の変更等に伴う採算の悪化など、当社グループの業績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
上記のリスクに対応するため、事業管理体制の確立、プロジェクトリスク評価の実施、事業計画の適時見直し、代替出口戦略の確保等により、業績への影響を低減させるよう努めております。
施工中に予期せぬ重大事故や労働災害が発生した場合には、顧客その他ステークホルダーからの信頼を損なうとともに当社グループの業績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
上記のリスクに対応するため、過去事例の全社水平展開や定期的な現場パトロールのほか、当社職員や協力会社の職長・作業員に対する安全教育の継続的な実施により、労働災害を未然に防止するよう努めております。
大規模な地震や台風・洪水等の自然災害は、施工中案件の被災、工程遅延、自社所有建物等への被害等、当社グループの業績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
上記のリスクに対応するため、施工中案件においてはリスクに応じて建設工事保険を、自社所有建物等においては損害保険等を付保し損害低減策を講じております。また、事業継続力の向上を目指し、事業継続計画(BCP)を策定し定期的にBCP訓練を実施しており、建設会社の社会的責任としてインフラ復旧工事に積極的に協力し、被災地の復旧・支援やお客様の事業の早期再開に貢献できるよう努めております。
①気候変動に伴う物理的リスク
気候変動により自然災害が激甚化した場合、施工中案件の被災、工程遅延、自社所有建物等への被害等、当社グループの業績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
②気候変動に伴う移行リスク
脱炭素社会への移行に向けて、工事施工に係る各種法規制の強化や市場・社会の変化による建設コストの増加、施工量の制限等、当社グループの業績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
上記のリスクに対応するため、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」が示す推奨に基づき、各々のリスクを抽出・評価して事業戦略に落とし込み、事業活動の持続性や強靭性を高めております。なお、当社グループは気候変動に関するリスクの観点から地球温暖化防止に資する取組みとして、“2030年までに事業活動から排出されるCO2をネットゼロにする(=ZERO30)”ためのロードマップを作成し、2021年より事業戦略に取り入れ活動を行っております。
新型コロナウイルスその他感染症の世界的流行(パンデミック)が発生し、その影響が国内及び海外の建設投資に及んだ場合、当社の建設工事受注額が減少するなど、当社グループの業績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。また、感染の拡大により、当社事業所において当社役職員又は協力会社社員に感染症患者が多数発生した場合には、当社の施工する工事を一時中断するなど感染拡大防止措置を講ずる必要があります。工事の中断期間が長期にわたる場合や中断する工事数が増加した場合には、工事損益が変動するなど、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
上記のリスクに対応するため、当社役職員や協力会社社員の安全と健康を最優先に考え、当社事業所内における感染拡大防止に努めるとともに、在宅勤務の実施により事業継続に努めるなど、業績への影響を低減させるよう努めております。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、全般的に持ち直しの傾向が続きました。先行きについては、世界的な金融引き締め等が続く中、海外景気の下振れがリスクとなっております。また、物価上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要があります。
建設業界におきましては、政府建設投資、民間建設投資ともに名目値ベースで前年と同水準で推移しておりますが、建設資材の価格高騰等の影響もあり、注視が必要な状況が続いております。
このような状況の中、当社グループの連結業績は以下のとおりとなりました。
建設事業受注高は、国内建築工事が減少しましたが、海外工事及び国内土木工事が増加したことにより、前期比6,418百万円増加(1.9%増)の340,392百万円となりました。
売上高は、主に不動産事業等が増加したことにより、前期比16,003百万円増加(4.9%増)の339,757百万円となりました。営業利益は、不動産事業等総利益が増加しましたが、国内建築工事及び海外工事の完成工事総利益が減少したこと等により、前期比10,924百万円減少(46.4%減)の12,615百万円となりました。経常利益は、前期比10,320百万円減少(43.9%減)の13,176百万円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は、前期比5,455百万円減少(36.1%減)の9,648百万円となりました。
報告セグメント等の業績は以下のとおりであります。(セグメントの業績は、セグメント間の内部売上高又は振替高を含めて記載しております。)
イ 土木事業
当セグメントの売上高は、前期比1.8%減の119,810百万円となり、セグメント利益は、主に海外工事及び国内民間工事の完成工事総利益率が低下したことにより、前期比37.5%減の7,722百万円となりました。
当社単体の土木工事の受注高は、国内官公庁工事及び海外工事が減少しましたが、国内民間工事が増加したことにより、前期比3,771百万円増加(2.6%増)の148,385百万円となりました。
ロ 建築事業
当セグメントの売上高は、前期比2.3%増の188,431百万円となり、主に国内工事の完成工事総利益率が低下したことにより、セグメント損失は5,426百万円(前期は6,404百万円のセグメント利益)となりました。
当社単体の建築工事の受注高は、海外工事が増加しましたが、国内工事が減少したことにより、前期比4,463百万円減少(2.4%減)の179,015百万円となりました。
ハ 開発・不動産事業等
当セグメントは、主にグループ保有不動産の販売及び賃貸収入により構成されております。当セグメントの売上高は、主に販売事業の売上が増加したことにより、前期比84.4%増の32,712百万円となり、セグメント利益は、売上高の増加に伴い、前期比116.4%増の10,343百万円となりました。
当社グループの財政状態は以下のとおりであります。
当連結会計年度末の資産は、受取手形・完成工事未収入金等や販売用不動産、現金預金が増加したこと等から、前連結会計年度末と比較して36,010百万円増加(7.5%増)の513,623百万円となりました。
負債は、預り金や支払手形・工事未払金等、有利子負債が増加したこと等から、前連結会計年度末と比較して37,577百万円増加(11.7%増)の357,475百万円となりました。
純資産は、その他有価証券評価差額金が減少したこと等から、前連結会計年度末と比較して1,567百万円減少(1.0%減)の156,148百万円となりました。この結果、自己資本比率は、前連結会計年度末と比較して2.7ポイント減少し、29.0%となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末と比較して6,604百万円増加(14.0%増)の53,726百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益が13,595百万円となり、法人税等の支払や売上債権の増加等により資金が減少しましたが、預り金や仕入債務の増加等により資金が増加し、34,747百万円の収入超過(前連結会計年度は41,243百万円の収入超過)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得等により資金が減少し、27,450百万円の支出超過(前連結会計年度は22,532百万円の支出超過)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の増加や社債の発行により資金が増加しましたが、コマーシャル・ペーパーの償還や配当金の支払により資金が減少し、2,365百万円の支出超過(前連結会計年度は16,074百万円の支出超過)となりました。
③ 生産、受注及び販売の状況
当社グループが営んでいる事業の大部分を占める建設事業及び不動産事業等では、生産実績を定義することが困難であり、建設事業においては、請負形態をとっているため販売実績という定義は実態に即しておりません。
また、当社グループにおいては、建設事業以外では受注生産形態をとっておりません。
よって、受注及び販売の状況については、可能な限り「① 財政状態及び経営成績の状況」における各セグメントの種類に関連付けて記載しております。
なお、参考のため提出会社個別の事業の状況は次のとおりであります。
建設事業における受注工事高及び完成工事高の状況
イ 受注工事高、完成工事高、繰越工事高及び施工高
(注) 1 前期以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額に変更があったものについては、当期受注工事高にその増減額を含めて表示しております。したがって、当期完成工事高にもかかる増減額が含まれます。
2 次期繰越工事高の施工高は、支出金により手持工事高の施工高を推定したものであります。
3 当期施工高は、(当期完成工事高+次期繰越工事施工高-前期繰越工事施工高)に一致します。
4 当期受注工事高のうち海外工事の割合は、第85期 12.9%、第86期 13.7%であります。
5 受注工事のうち主なものは、次のとおりであります。
第85期 請負金額100億円以上の主なもの
第86期 請負金額100億円以上の主なもの
ロ 受注工事高の受注方法別比率
工事の受注方法は特命と競争に大別され、その比率は次のとおりであります。
(注) 百分比は請負金額比であります。
ハ 完成工事高
(注) 1 海外工事の地域別割合は、次のとおりであります。
2 完成工事のうち主なものは、次のとおりであります。
第85期 請負金額100億円以上の主なもの
第86期 請負金額100億円以上の主なもの
3 完成工事高に対する割合が100分の10以上の相手先は、次のとおりであります。
ニ 手持工事高
(2023年3月31日現在)
(注) 手持工事のうち主なものは、次のとおりであります。
請負金額100億円以上の主なもの
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
イ 経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績等の概要は、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。また「中期経営計画2023」に基づく当連結会計年度業績計画の達成状況及び前期比較の分析は次のとおりであります。
建設事業受注高は、前期比64億円増加(1.9%増)、期首計画比396億円減少(10.4%減)の3,403億円となりました。国内土木工事は鉄道や道路工事を中心に受注したことにより、前期実績を上回りました。国内建築工事は物流施設や住宅施設、工場等を中心に受注しましたが、前期実績を下回りました。海外工事はフィリピンのマニラにおいて大型の地下鉄工事を受注したこと等により前期実績を上回りました。以上の要因により上記の結果となりました。
売上高は、増収となり、前期比160億円増加(4.9%増)、期首計画比12億円増加(0.4%増)の3,397億円となりました。国内の一部大型土木工事の進捗遅れや、海外建築工事の完成工事高が減少したことにより当社単体の建設事業は減収となりましたが、開発・不動産事業等において販売事業の売上が大幅に増加したことや、海外建設子会社の完成工事高が増加したことが増収の主な要因であります。
営業利益は、前期比109億円減少(46.4%減)、期首計画比113億円減少(47.4%減)の126億円となり、営業利益率は前期の7.3%から3.7%へ大幅に低下しました。営業利益の減少につきましては、建設資材価格の高騰等により採算が大幅に悪化し、工事損失引当金繰入額を計上したことにより、建築工事の売上総利益率が前期比7.1ポイント減少の2.1%となったことや、海外の大型トンネル工事において施工上の問題が生じ、追加費用が発生したことにより、土木工事の売上総利益率が前期比3.0ポイント減少の13.3%となったことが主な要因であります(売上総利益はいずれも当社単体の数値であります。)。
ロ 財政状態の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度末の財政状態の概要は、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
当連結会計年度末の総資産は、前期末比360億円増加(7.5%増)の5,136億円となりました。受取手形・完成工事未収入金等の売上債権が70億円増加したことや、現預金が66億円増加したこと等が主な増加の要因であります。なお、有形固定資産につきましては、開発・不動産事業等における「循環型再投資モデル」の推進のため一部を販売用不動産へ振り替えましたが、収益物件、開発種地の取得や自社開発事業により、12億円増加(0.8%増)の1,633億円となりました。
負債は、前期末比375億円増加(11.7%増)の3,574億円となりました。これは、預り金が185億円増加したことや、支払手形・工事未払金等が132億円増加したことが主な要因であります。また、有利子負債残高(有利子負債は短期債務及び長期債務の合計よりリース債務を除外して算出しております。「(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」において以下同様です。)は前期末比83億円増加(5.2%増)の1,683億円(D/Eレシオ1.1倍)となりました。次期につきましては、アセットバリューアッド事業(旧 開発・不動産事業)等を中心に413億円の設備投資及び出資を行う計画としております。この設備投資及び出資が計画どおり進んだ場合には、期末の有利子負債は2,072億円(D/Eレシオ1.4倍程度)となる見込みであります。
純資産は、前期末比15億円減少(1.0%減)の1,561億円となりました。また、自己資本比率は29.0%となり、前期から2.7ポイント減少しました。これは、配当(107億円)を実施したことやその他有価証券評価差額金が19億円減少したこと等が主な要因であります。
ハ セグメント情報に記載された区分ごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループは、セグメント情報に記載された区分ごとに資産及び負債を配分していないため、セグメント別の財政状態の分析・検討は記載しておりません。
セグメント情報に記載された区分ごとの経営成績等の状況の概要は、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。また「中期経営計画2023」に基づく当事業年度業績計画の達成状況は次のとおりであります。なお、当社グループの受注高、売上高及び売上総利益(完成工事総利益・不動産事業等総利益)は、その大半を当社単体で占めていることから、以下の分析・検討は、いずれも当社単体の数値を記載しております。
(土木事業)
受注高は、期首計画比で166億円減少(10.1%減)の1,483億円となりました。これは、フィリピンのマニラにおいて大型の地下鉄工事を受注したものの、国内官公庁の新規工事の受注が想定を下回ったことが主な要因であります。工事種別でみると鉄道等が前期比で増加し、道路等が前期比で減少となりました。
売上高は、期首計画比で86億円減少(6.8%減)の1,183億円となりました。これは、国内の一部大型工事の進捗が遅れたことによるものです。
完成工事総利益は、期首計画比で57億円減少(26.7%減)の157億円となりました。これは海外の大型トンネル工事において施工上の問題が生じ、追加費用が発生したことによるものや、過年度に完成した国内工事で交渉していた設計変更が認められなかったこと等によるものです。この結果、完成工事総利益率についても期首計画比3.6ポイント減少の13.3%となりました。
(建築事業)
受注高は、期首計画比で209億円減少(10.5%減)の1,790億円となりました。これは、一部の国内建築工事において、建設資材価格の高騰等により採算が大幅に悪化したことから、受注時採算を一層重視した選別受注に取り組んだことが主な要因であります。工事種別でみると住宅や物流施設などが前期比で増加し、教育施設や事務所・庁舎などが前期比で減少となりました。
売上高は、期首計画比62億円増加(3.7%増)の1,772億円となりました。これは一部の国内大型工事が想定以上に進捗したことが主な要因であります。
完成工事総利益は、期首計画比で101億円減少(72.8%減)の37億円となりました。これは、一部の国内工事において、建設資材価格の高騰等により採算が大幅に悪化し、工事損失引当金繰入額を計上したことによるものであります。この結果、完成工事総利益率は、期首計画比6.0ポイント減少の2.1%となりました。
(開発・不動産事業等)
売上高は、期首計画比で67億円増加(25.9%増)の327億円となりました。これは、当事業年度において期首計画時点で予定していなかった一部の販売用不動産を売却したこと等が主な要因であります。不動産事業等総利益は、期首計画比で42億円増加(52.6%増)の123億円となりました。これは、上記販売用不動産の売却に伴うものであります。
なお、当連結会計年度において、賃貸事業用の土地・建物の取得及び自社開発物件の建設等に連結で264億円を投資しました。賃貸事業用の土地・建物のうち主なものは、「第3 設備の状況 2 主要な設備の状況」に記載のとおりであります。
ニ 経営成績等に重要な影響を与える要因の分析
当社グループの経営成績等に重要な影響を与える主な要因は、景気動向に伴う建設市場の動向、資材価格の変動及び建設技能労働者確保の状況であります。
国内経済の今後の見通しにつきましては、ウィズコロナの下、各種政策の効果もあり持ち直しの動きが続くことが期待されますが、長引くウクライナ情勢や世界的な金融引き締め等が続く中、不確実性の高い状況が続くものと予想されます。国内建設市場の今後の見通しにつきましては、国内土木市場は国土強靭化・防災減災に向けた各種施策により堅調に推移することが予想されますが、国内建築市場は中長期的な人口減少等の影響から縮小が想定されるなど、不透明な状況が続くと思われます。
これらの要因に対処しつつ、持続的な成長を遂げるため、当社グループは、2023年2月に公表した「西松-Vision 2030」及び「中期経営計画2025」に掲げる各種施策に取り組んでおります。
ホ 目標とする経営指標の達成状況
当社グループは、2021年度を初年度とする「中期経営計画2023」において、「連結売上高4,000億円」「連結営業利益320億円」「ROE12%以上」「自己資本比率40%程度」「D/Eレシオ0.8倍」を目標とする経営指標として掲げ、この達成に向けて各種施策に取り組んでまいりましたが、2年目である当連結会計年度の業績は、連結売上高3,397億円、連結営業利益126億円、ROE6.4%、自己資本比率29.0%、D/Eレシオ1.1倍となりました。また、「中期経営計画2023」の最終年度である2023年度においても、国内建築工事の採算が当初想定した水準まで回復しない見通しとなり、「中期経営計画2023」の目標達成が困難な状況となったことから、1年前倒しで見直しを行い、2023年2月に「中期経営計画2025」を公表いたしました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの資金需要は、主として、土木事業及び建築事業に係る材料費、労務費、外注費、経費及び営業費用としての一般管理費等の運転資金と、アセットバリューアッド事業(旧 開発・不動産事業)等に係る固定資産の購入、改修費用、再生可能エネルギー事業、人財開発やDX等の投資資金であります。
当社グループは「西松-Vision 2030」において、2030年度とその先に向けた成長投資として1,500億円を投資いたします。これにより、建設業中心の「社会基盤整備」から、アセットバリューアッド事業と地域環境ソリューション事業の成長により、グループの価値共創活動の領域を「社会機能の再構築」へと拡大させ、成長を目指してまいります。
これらの資金需要については、営業活動によるキャッシュ・フロー及び自己資金のほか、金融機関からの借入金、コマーシャル・ペーパー及び社債による調達で対応していくこととしております。
手許の運転資金については、子会社も含めたグループ全体としての余剰資金の管理に努め、資本効率の向上を図っております。また、機動的な資金調達を目的として主要取引銀行とコミットメントライン契約を締結しており、流動性リスクに備えております。
キャッシュ・フローの状況の概要は、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。次期につきましては、引き続き工事の立替資金の回収を図り、営業活動によるキャッシュ・フローの改善に努めてまいります。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
この連結財務諸表作成にあたっては、経営者により、一定の会計基準の範囲内で見積り及び判断が行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。これらの見積り及び判断については、継続して評価し、事象の変化等により必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は、これらとは異なることがあります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。
当社は、2021年12月15日開催の取締役会において、伊藤忠商事株式会社(以下「伊藤忠商事」といいます。)との間で、資本業務提携契約(以下「本資本業務提携契約」といい、当該契約に基づく資本業務提携を以下「本資本業務提携」といいます。)を締結することを決議し、同日付で本資本業務提携契約を締結しております。
(1) 本資本業務提携契約の目的
当社は、伊藤忠商事の構築する国内トップクラスの資機材調達バリューチェーンの活用による資機材共同調達の実現や、住宅や物流特化型J-REITのスポンサーである伊藤忠商事グループの不動産運用ノウハウを取り入れた当社の開発・不動産事業における循環型不動産ビジネスの確立や資産効率の改善等、これまでにはない新しい建設業の在り方の可能性を確認し、異業種との協業によるシナジーの発現を実現する経営モデルの確立が当社の企業価値向上に資するものと判断しました。このように、異業種である両社がそれぞれ有する経営資源やノウハウを結集することで、これまでになかった全く新しいシナジーを創出し、双方の企業価値を最大化することを目的として、本資本業務提携契約を締結しております。
(2) 本資本業務提携契約の内容
① 業務提携の内容
ⅰ 建設アライアンス構築
現場課題を解決する技術や工法を持つ建設業界の優良企業群と建設アライアンスを構築することにより、建設業界の省人化・効率化・DX化を共同推進する。
ⅱ 安心安全、脱炭素社会の実現
脱炭素社会の実現や国土強靭化といった社会課題を成長分野と捉え、公共施設・インフラPPPへの共同事業参画や再生可能エネルギー事業の共同取組等により事業領域を拡大する。
ⅲ 循環型不動産事業モデルでの協業
不動産開発・収益不動産への投資・運用を通じた循環型不動産事業を両社で推進することで、当社の安定成長基盤を確立するとともに、伊藤忠商事の不動産開発事業のモノづくり力向上による安心安全を強化する。
ⅳ 顧客基盤拡充・競争力向上
国内外のグループ会社・取引先等のネットワークや資機材調達機能、エンジニアリング機能等、両社の持つ顧客基盤や機能を融合することで、両社の事業収益力・競争力や安定性を強化する。
② 資本提携の内容
伊藤忠商事は、2023年3月31日現在、当社普通株式4,022,800株(議決権所有割合10.18%)を保有しております。
(3) 本資本業務提携の相手先の概要
当社は技術研究所を中心として、社会や顧客からの要求・要望、社内の各事業部門からの課題解決の要請などに応えるべく、基礎研究から実践的な技術開発まで幅広く研究開発活動を行っております。
(土木事業・建築事業)
当社では、省力化・生産性向上・高品質化に寄与する技術をはじめ、社会インフラのリニューアル技術、国土強靭化に資する防災・減災に関する技術、省エネ・脱炭素社会に貢献する各種の環境関連技術に関する研究開発を行っております。また、戸田建設株式会社との共同研究をはじめとして、大学などの研究機関や異業種・同業種企業、公共機関との共同研究も積極的に進めており、多くの分野において効率的な研究開発を推進しております。
当連結会計年度における研究開発活動に要した費用総額は
①トンネル坑内における油圧ショベルの無線遠隔操作システム「Tunnel RemOS-Excavator」を開発
~山岳トンネル無人化施工システム「Tunnel RemOS」の全要素技術の現場実証を開始~
ジオマシンエンジニアリング株式会社と共同で、山岳トンネル施工に用いる油圧ショベルの一連の作業を無人化する「Tunnel RemOS-Excavator(トンネルリモスエクスカベータ)」の開発や実証確認を行いました。当社では、かねてより山岳トンネルの切羽作業の無人化に向けて、主要施工重機の遠隔操作技術・自動化技術を組み合わせた山岳トンネル無人化施工システム「Tunnel RemOS(トンネルリモス)」の開発を進めております。今回はその中の油圧ショベルに対する遠隔操作システムを開発し、現場にて油圧ブレーカの切羽への移動や切羽作業といった一連の作業の遠隔操作を実証確認しました。今後は油圧バックホウやホイールローダとの共同作業を遠隔・自動化させたトンネル掘削作業の完全無人化への取り組みを続け、更なる生産性及び安全性向上、省人化を目指してまいります。
②AIモデルを活用したシールドマシンの掘進方向制御の支援システムを開発
~熟練オペレータの技量を学習し掘進方向を推測、制御の自動化を目指す~
シールドマシンの掘進方向制御をAIモデルで支援するシステムを開発し、国内のシールド工事現場への導入を始めました。本システムの導入により、施工の効率化(生産性向上)、掘削精度の向上(品質向上)を図るだけでなく、個人差があった熟練オペレータの操作技術を数値化し、AIモデルの学習を通じ踏襲することで、熟練者から細かい技術を学ばなくても操作が可能になります。
③杭基礎の合理化・省コン化を実現する「杭頭部に後打ち部を有するパイルキャップ構法」を開発
~パイルキャップの約30%の工期短縮とコンクリート使用量約15%削減を可能に~
上部構造物の荷重を杭によって地盤に伝えるために設けるパイルキャップの施工の合理化、及び既製コンクリート杭の地震時の損傷を軽減できる「杭頭部に後打ち部を有するパイルキャップ構法」を開発しました。本構法により、パイルキャップの施工において安全性や生産性の向上が期待できるとともに、約30%の工期短縮とパイルキャップのコンクリート使用量を約15%削減することが可能になります。さらに杭頭部に作用する地震時曲げモーメントを低減し地震による損傷を軽減できます。
①準天頂衛星システム「みちびき」測位技術のダム工事への適用性を実証
~ケーブルクレーン自動運転制御での利活用に向けた測位精度、受信安定性を検証~
準天頂衛星システム「みちびき」の高精度測位情報をダム工事に活用する実証実験を行いました。実証実験は、当社JVが熊本県で施工中の立野ダム(国土交通省九州地方整備局発注)で行い、「みちびき」から送信される高精度測位情報を用いて、高い安定性を保持しながら精度10cm以内(水平:約4cm、垂直:約9cm)で測位出来ることが検証できました。この実証実験の結果から、高精度測位情報をダム工事におけるケーブルクレーンの自動運転システムに適用できることを確認しました。
②鍵管理システムの開発による現場作業の効率化を推進
~現場における鍵の開閉情報の可視化、解錠・施錠操作を省力化~
株式会社ファイバーゲートと共同で、鍵管理システムを開発しました。共同住宅の工事現場では、内装工事中、侵入者により室内の仕上げ等が損傷されることのないよう管理する必要があるため、現場技術者は毎日、膨大な戸数の玄関扉の鍵の解錠・施錠を行っています。本システムでは、各住戸の玄関扉にスマートロックを取り付けることにより、専用アプリケーションで鍵の開閉情報を可視化し、鍵の解錠・施錠の遠隔操作を行うことが可能になります。現場技術者が携帯端末から各住戸の鍵の開閉情報を確認、遠隔操作できるため、管理業務の省力化を実現できます。
①近赤外LED・カメラによる土の含水比測定装置の開発
~一般土工事における品質管理の省力化~
西華デジタルイメージ株式会社と共同で、一般土工事などに使用される土砂の含水比測定方法について、近赤外線LEDと近赤外線カメラを用いて現場で迅速かつ簡易に測定できる含水比測定装置を開発しました。本装置の開発により、土工事に使用する土砂の含水比を迅速かつ簡易に高精度で計測でき、一般土工事の品質管理業務の精度向上や省力化を図ることが可能になります。
②生コンクリートの材料分離抵抗性を簡便に定量評価する手法を考案
~材料分離によるトラブル発生を抑制し、コンクリートの品質向上に貢献~
国立大学法人東海国立大学機構 岐阜大学との共同研究により、施工前に生コンクリートの材料分離抵抗性を簡便な方法で定量的に評価する手法を考案しました。現場に持ち込んで扱える小型の評価試験器を製作し、容器内に詰めたコンクリートに振動エネルギーを加えた時の電気伝導率の経時変化で材料分離抵抗性を評価します。現在、現場への実装に向けて、データの採取、判定精度等、生コンクリートの評価の妥当性の検証を行っております。
③「中大規模木造建築物の実現」への取り組み強化
~中高層木造建築構法で日本建築センターの個別評定を取得~
「中大規模木造建築物の実現」へ向けた取り組みとして、10階建て共同住宅のモデルプランで一般財団法人日本建築センターの評定を2022年10月14日に取得しました。本評定は、株式会社市浦ハウジング&プランニングを代表とする「P&UA構法共同技術開発グループ」との共同研究開発により取得しました。認定された本構法は、一方向ラーメン構造と耐力壁を木造で架構するもので、新たに開発した接合技術である「GIUA」と「シアリングコッター耐力壁」を用いることで、高耐力・高剛性・高靭性を有する中高層木造構造物を実現できます。
①CO2削減に貢献する新素材コンクリート製品の試験製造に成功
~アルカリ活性材料を用いた意匠性を有する低炭素型プレキャストコンクリート製品~
JFEスチール株式会社、国立大学法人東北大学、学校法人日本大学及び共和コンクリート工業株式会社と共同で、通常のコンクリートに比べて、製造時のCO2排出量を約75%削減可能なアルカリ活性材料コンクリートを用いた、意匠性を有するコンクリート二次製品の試験製造に成功しました。本成果により、さまざまな形状の製品に利用展開が進むことで、コンクリート分野でのCO2排出量の削減が可能となります。試作したコンクリート二次製品は、自然条件が過酷な寒冷環境において試験を行い、早期実用化に向け耐久性の検証を行う予定です。
②ZEB設計技術の検証・向上のための実証スペースを開設
適用事例が少ない先進的な省エネ技術を用いた設計において、所期性能を担保するには実証や検証が必要となります。そのため、当社意匠設計部ZEB推進室の設計により技術研究所(神奈川県愛川町)の一部を改修し、ZEB設計技術の実証スペースを開設しました。ZEBは省エネ性能と同時に、施設利用者の知的生産性向上にも寄与することが求められております。この実証スペースでは、使い方が異なるいくつかのオフィス空間を設定し、それぞれの空間に適した先進的な省エネ技術を組み合わせることで、省エネ設計技術の試行と知的生産性向上を目指した空間としました。今後は、技術研究所のオフィスとして使用しながら、性能検証及び性能向上を図っていく予定です。
③LPWAの省エネルギー遠隔監視環境モニタリング技術を開発
~水域の環境保全をIoT化へ、DOバイオセンサーでモニタリング実証確認~
国立大学法人和歌山大学及び国立大学法人群馬大学との共同研究で、貧酸素化しやすいダムや湖沼等の連続計測値観測のために、免許不要で省電力であるLPWA無線装置と一体化した、外部電源不要なMFC式のDOバイオセンサーを開発しました。これにより、連続計測値を遠隔監視することが可能になり、閉鎖性水域での計測、メンテナンス作業の効率化及び省人化によるコストダウンが見込まれます。今後はシステム全体の自立電源化を進め、実際の運用においては規定の数値になったらPCやスマートフォンにアラートを送信するなどアプリケーションの改良を行なってまいります。
ジオポリマーによる実建物の建設に向けた研究会の発足
~二酸化炭素排出削減と産業廃棄物の有効利用に貢献~
公立大学法人北九州市立大学と共同で、ジオポリマーによる実建物建設に向けて研究会を発足しました。新しい建設材料であるジオポリマーを、建築物に構造材料として用いる場合には、品質や性能などの技術的課題を解決するとともに、建築基準にも適合する必要があります。そこで、福岡県リサイクル総合研究事業化センターの支援により「浮遊選鉱法によって改質した燃焼灰を使用したジオポリマーコンクリートによる実建物の実証研究会」を2022年5月に発足し、活動を開始しました。ジオポリマーを建築物へ適用するための法律上の課題を整理するとともに、その材料特性、製造・施工方法、費用などの検討を行い、2025年度の実建物建設に向けて活動を進める予定です。
(開発・不動産事業等)
人工光型植物工場の環境下におけるホウレンソウの促成栽培方法を確立
玉川大学との共同研究で、LED等の人工光源を使用した人工光型植物工場(以下「植物工場」といいます。)でホウレンソウの促成栽培方法を確立しました。これまでも植物工場でのホウレンソウの栽培は可能でしたが、収穫量を増加させるために日長を12時間以上に延長すると商品価値が失われる抽苔(花芽を形成し茎が急速に伸びる現象)が発生する課題がありました。今回、栽培時の栄養濃度、光の強さ、植え方等の環境条件について検討を重ね、促成栽培条件である20時間の日長及び20~25℃の栽培温度でも抽苔を発生させずに栽培できることを確認しました。将来的に生産性と高品質化を両立させた植物栽培の技術開発を目指してまいります。