独立監査人の監査報告書

 

 

 

2021年6月29日

西松建設株式会社

取 締 役 会  御 中

仰  星  監  査  法  人

 

東京事務所

 

 

指定社員

業務執行社員

 

公認会計士

中   川   隆   之

 

 

指定社員

業務執行社員

 

公認会計士

新   島   敏   也

 

 

監査意見 

当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられている西松建設株式会社の2020年4月1日から2021年3月31日までの第84期事業年度の財務諸表、すなわち、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、重要な会計方針、その他の注記及び附属明細表について監査を行った。

当監査法人は、上記の財務諸表が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、西松建設株式会社の2021年3月31日現在の財政状態及び同日をもって終了する事業年度の経営成績を全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。

 

監査意見の根拠

当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。監査の基準における当監査法人の責任は、「財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。

 

監査上の主要な検討事項

監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。

 

1.工事進行基準における会計上の見積り

監査上の主要な検討事項の

内容及び決定理由

監査上の対応

注記事項(重要な会計上の見積り)記載のとおり、会社の工事進行基準による完成工事売上高は308,615百万円であり、損益計算書における売上高合計の94.0%を占めている。

工事進行基準の適用にあたり、工事収益総額及び工事原価総額を合理的に見積もる必要がある。工事収益総額は発注者と合意済みの確定契約額に、未確定の追加・設計変更工事代金がある場合、発注者との協議状況等をもとに見積った額を加減している。また、工事原価総額には決算日までに発生している原価のほか、協力会社との外注費・材料費等の交渉状況や、個別の工事契約ごとの諸条件をふまえた仮定に基づき、決算日後に発生する工事原価の見積額が含まれる。これらの見積額は、工事契約ごとに一定の仮定をおいて算出されるため不確実性を伴う。

多くの工事では、工事の進行途上において当事者間の新たな合意によって工事契約の変更が行われる傾向にあるが、その変更金額が都度決まらない場合には、それまでの協議状況等に応じた工事収益総額の見積りを行う。さらに、工事契約の個別性が強いため、工事原価総額の見積りにあたり全ての工事に統一した判断基準を適用することは困難である。

したがって、工事収益総額及び工事原価総額は見積りの不確実性を伴い、会計上の見積りにおける一定の仮定には経営者の主観的な判断が介在する可能性があるため、当監査法人は工事進行基準における会計上の見積りを監査上の主要な検討事項に該当すると判断した。

当監査法人は工事進行基準における会計上の見積りの合理性を検討するため、主に以下の監査手続を実施した。

●工事収益総額及び工事原価総額の見積りに関する内部統制の整備及び運用状況の有効性を評価した。

●財務諸表に与える重要性が高いと判断した工事について、主に以下の監査手続を実施した。

・工事収益総額に関する契約書や発注者との打ち合わせ記録等を閲覧した。当該手続には発注者に対する確認も含まれる。また、原価比例法によって算出された工事進捗度が工程表と整合していることを確かめるとともに、工事原価総額が工事部門の責任者の承認を得た積算資料等と一致していることを確かめた。

・工事収益総額及び工事原価総額について、工事部門の責任者に対する質問を行い、必要に応じて追加・設計変更工事に関する指示書や積算資料等の見積根拠資料を閲覧した。

・工事収益総額又は工事原価総額に重要な変動がある工事について、事業本部の責任者に対する質問及び追加契約書や積算資料等の閲覧を実施した。

・現場所長に対して工事収益総額及び工事原価総額に含まれる見積項目に対する質問を実施するとともに、工程表と工事現場の進捗度の整合性を確かめるために、現場視察を実施した。

 

 

 

2.東京都所在のマンションに係る完成工事補償引当金の見積り

監査上の主要な検討事項の

内容及び決定理由

監査上の対応

注記事項(重要な会計上の見積り)記載のとおり、当事業年度の財務諸表に計上した完成工事補償引当金は9,815百万円である。これには東京都所在のマンション(以下、「本件」という。)に係る将来の補修費等の見込額9,049百万円が含まれる。

会社は、完成工事に係る瑕疵補修等の費用に充てるため、その見込額を完成工事補償引当金として計上している。当事業年度において、2019年3月に完成引渡を行った本件の内装工事等に係る施工不備が判明したことにより、補修工事費及び補修工事に伴う付帯費用が発生することが確実となった。会社はその見込額を9,049百万円と見積っている。

これらの補修工事費等を見積もるにあたり、前提条件として重要な一定の仮定を置いており、その変更は完成工事補償引当金の計上額に大きな影響を及ぼす。したがって、本件に係る完成工事補償引当金は見積りの不確実性を伴い、経営者の主観的な判断が介在する可能性があるため、当監査法人は監査上の主要な検討事項に該当すると判断した。

当監査法人は本件に係る完成工事補償引当金の見込額の合理性を検討するため、主に以下の監査手続を実施した。

●完成工事補償引当金の見積りに関する内部統制の整備及び運用状況の有効性を評価した。

●本件の概要を把握するため、補修工事の責任者等から複数回にわたり説明を受けるとともに適宜質問を行った。さらに、会社の対応状況を把握するため、経営者等と協議を行った。

●現場視察を行い現場責任者に対する質問や観察を実施することにより、補修工事や付帯費用の内容を把握した。さらに把握した内容と補修工事費等の主な内訳資料の整合性を検討した。

●引当金の計上要件を満たしていることを確かめるため、取締役会等の重要会議体の議事録や関連資料等を閲覧し、その発生可能性を含む将来会社が負担すべき費用の合理性、妥当性について検討した。

●補修工事等に重要な影響を及ぼす前提条件が、関連する証憑等と整合していることを確かめ、完成工事補償引当金の見込額が、当該前提条件をもとに算出されていることを確かめた。

●後発事象として前提条件を見直すべき状況の有無を把握するため、補修工事の責任者等から説明を受けるとともに適宜質問を行った。さらに取締役会等の重要会議体の議事録を閲覧した。

 

 

 

財務諸表に対する経営者及び監査等委員会の責任

経営者の責任は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して財務諸表を作成し適正に表示することにある。これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。

財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。

監査等委員会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。

 

財務諸表監査における監査人の責任

監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から財務諸表に対する意見を表明することにある。虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。

監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。

・ 不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。

・ 財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。

・ 経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。

・ 経営者が継続企業を前提として財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する財務諸表の注記事項が適切でない場合は、財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。

・ 財務諸表の表示及び注記事項が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた財務諸表の表示、構成及び内容、並びに財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。

監査人は、監査等委員会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。

監査人は、監査等委員会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去又は軽減するためにセーフガードを講じている場合はその内容について報告を行う。

監査人は、監査等委員会と協議した事項のうち、当事業年度の財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。

 

利害関係 

会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。

 

以  上

 

 

※1 上記は監査報告書の原本に記載された事項を電子化したものであり、その原本は当社(有価証券報告書提出会社)が別途保管しております。

2 XBRLデータは監査の対象には含まれていません。

 

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