当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社は、「企業を通じて社会に役立つ「人」を育てる」という企業理念に基づき、人材育成を重視しております。
また、「人道を重んじ正義を持って経営を行う」ことを経営理念として、以下の経営方針を掲げ、お客様、株主、従業員の信頼と期待に応えることを基本方針としております。
一、管理業を通じて社会に貢献する
一、創意と工夫で業界の発展と社会的地位の向上に努める
一、仕事は厳しく、人に優しく人間性豊かな企業を目指す
(2)目標とする経営指標及び中長期的な会社の経営戦略
堅実な経営基盤を将来的に維持しつつ、営業基盤の拡大を図るために管理物件戸数(自社物件戸数を含む)の増加を重視いたします。但し、管理物件戸数は一朝一夕に増加させることができるわけではありません。当社は、管理物件の入居者様の満足度の向上がオーナー様の経営の安定化に繋がると考え、入居者様向けのサービスを拡充してまいります。日々の管理業務を通じオーナー様からの信頼を得ることが新たな管理受託に繋がると考えております。
徐々にではありますが、管理物件戸数を増加させることで事業の発展、経営効率の改善及び財務体質の強化に努める所存であります。併せて新規優良物件に対する投資を継続的に推進いたします。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社の経営環境は、経済活動の正常化や2025年の大阪・関西万博開催などで賃貸マンションやマンスリーマンションの需要増が予想される反面、資材価格やエネルギー価格の高騰等により諸経費の高止まりが予想されます。さらに、日銀のマイナス金利政策の解除により今後緩やかな金利上昇が見込まれます。
このような経営環境の下、当社の対処すべき主な課題は、以下の項目と認識しております。
① 管理物件戸数及び自社物件戸数の増加
当社は、安定収入である管理収入及び家賃収入に繋がる管理物件戸数及び自社物件戸数の増加に一層注力してまいります。
既存のエリアにおいては、これまで同様、入居者満足度を高めることで高い入居率を維持し、オーナー様の満足度を向上させ、既存のオーナー様や金融機関等から新たなオーナー様をご紹介いただくことで、管理物件戸数の増加を目指します。また、新規進出エリアにおいては、自社物件の取得を進めるほか当該物件管理を足掛かりとした管理物件の獲得を目指します。当社は、これらの方法による管理物件戸数及び自社物件戸数の増加を加速させるとともに、今後は上記以外のスキームについても検討してまいります。
② 財務健全性の確保
当社は、自社物件を購入する際に原則としてその全額を借入金にて調達し購入していることから、自己資本比率は低い水準となっておりますが、以下の理由から当事業年度末における財務健全性は高いと考えております。
・流動負債(4,508百万円)を大きく上回る現金及び預金(10,104百万円)を保有している。
・長期借入金の返済が完了した土地及び建物を多数保有している(土地の帳簿価額3,727百万円、建物の帳簿価額1,424百万円)。
・賃貸等不動産の時価(53,587百万円)は、簿価(48,915百万円)を大きく上回っている。
当社は、長期借入金の殆どを変動金利によっているため、金利の動向の影響を強く受けます。そのため、金利の動向に注視し、適正な水準の価格転嫁を図ることや金利リスクをヘッジする方法を検討することで、財務健全性の確保に努めてまいります。
③ サステナビリティへの取組み
当社は、今後も持続的な企業価値の向上と持続的な成長を目指すため、事業活動を通じて環境・社会・ガバナンスの観点からサステナビリティへの取組みを行うことが重要であると考えております。詳細につきましては、「第2 サステナビリティに関する考え方及び取組」を参照ください。
当社のサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)ガバナンス
当社ではサステナビリティに関する取組みについて、取締役会で検討・審議しております。サステナビリティ全般のリスクに関する事項については、「
当社は「企業を通じて社会に役立つ「人」を育てる」という企業理念のもと、会社の持続的な成長及び中長期的な企業価値の向上を目指し、株主をはじめとするあらゆるステークホルダーから信頼されるために、コーポレート・ガバナンスの実効性を高めることが重要であると考えております。
健全性の高い企業経営を構築するために、任意の指名・報酬委員会の設置、執行役員制度の採用を行っており、経営監視機能の強化や取締役の選任及び報酬に関する妥当性及び透明性を確保するよう努めております。
今後の取組み深化に向けて、マテリアリティの特定及び、サステナビリティに関するリスクに加え機会についての検討・審議の充実を継続して進めてまいります。
(2)戦略
当社は経営理念及び企業理念に基づき、以下のとおりサステナビリティ基本方針を定めております。
長栄は事業を通じて「環境への配慮・社会への貢献・適切なガバナンスの構築」を実行することで、長期的な成長の実現を目指します。
〔環境〕
「賃貸」は不動産における究極の「リユース」であると考えています。当社が取り扱う賃貸用不動産は、不動産を長期に渡り繰り返し使用するため、事業自体が環境に配慮されています。その上で、付加価値を付けることにより、さらに長期に渡って不動産を使用できるように務めることで、環境へ配慮します。
〔社会〕
人間性豊かな企業を目指し、事業を通じて社会に貢献します。
〔ガバナンス〕
公正かつ透明性の高いガバナンスを通じてサステナビリティを実現します。
サステナビリティ基本方針に掲げる、当社の持続的な成長を実現していくためには、人材の確保と企業理念に掲げたとおり、企業を通じた育成が不可欠です。当社における、人材の多様性を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は以下のとおりであります。
<人材育成方針>
長栄は「企業を通じて社会に役立つ「人」を育てる」という企業理念を実現すべく、人材育成に取組んでおります。
「安心」「安全」「快適」な暮らしを提供し、事業を通じて社会貢献をするために、「自ら創意工夫することができる人材」の育成に取組むとともに、性別や国籍、新卒採用や中途採用の別に関わらず多様な人材が活躍できる環境を提供することに注力いたします。
<社内環境整備方針>
社員が活躍するには働きやすい環境であることが重要です。以下の取組みや制度によって環境整備を図り、社員が働きやすい仕組みを構築するよう取組んでおります。
・コミュニケーションを促進する取組み
・社員の自己成長に向けた支援
・子育てに携わる社員へのサポート
・社員の病気予防のための施策
(3)リスク管理
当社は、サステナビリティ全般に関わるリスクについて、リスク管理・コンプライアンス推進委員会を毎四半期に開催し検討しております。リスク管理・コンプライアンス推進委員会での議論の内容については各事業本部にも共有しており、各事業本部からの意見はリスク管理・コンプライアンス推進委員会に反映し、リスク対応の強化を図っております。
加えて取締役会での議案において、経営的、財務的観点のほか、サステナビリティの観点でリスクについて審議しております。
(4)指標及び目標
当社では、上記「(2) 戦略」において記載した、人材の多様性を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。
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指標 |
実績 (前事業年度) |
実績 (当事業年度) |
目標 |
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女 |
6.8年 |
7.4年 |
2025年3月までに7.1年 |
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男 |
8.5年 |
8.3年 |
2025年3月までに8.6年 |
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計 |
7.8年 |
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不動産事業に関する国家資格保持者 |
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57人 |
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32人 |
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4人 |
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1人 |
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94人 |
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100% |
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維持 |
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4件 |
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(注)労働者の男女の賃金の差異についての実績は、「
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。当社はこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針であります。また、有価証券報告書に記載した事項は事業等に関連するリスクを全て網羅するものではありませんので、この点ご留意ください。
(1)法令・税制の変更に係るリスク及び許認可等について
[発生可能性:低 発生可能性のある時期:特定時期なし 影響度:大]
当社の事業に関しては、主として不動産・建築等に関連する各種の法令や条例による規制を受けております。当社が事業に関し取得している許認可等は以下のとおりであります。
|
許認可等の名称 |
有効期間 |
法令違反の要件及び主な許認可取消事由 |
|
許認可(登録)番号 |
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賃貸住宅管理業登録 |
2021年8月13日から |
賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律第23条 |
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国土交通大臣登録(02)第0000400号 |
2026年8月12日まで |
|
|
宅地建物取引業免許 |
2024年3月10日から |
宅地建物取引業法第66条 |
|
国土交通大臣免許(8)第5066号 |
2029年3月9日まで |
|
|
一般建設業許可(注) |
2024年5月9日から |
建設業法第29条 |
|
京都府知事許可(般-6)第30640号 |
2029年5月8日まで |
|
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一級建築士事務所登録 |
2022年6月28日から |
建築士法第9条 |
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京都府知事登録(04A)第01479号 |
2027年6月27日まで |
|
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住宅宿泊管理業者登録 |
2023年6月15日から |
住宅宿泊事業法第42条 |
|
国土交通大臣登録(02)第F00072号 |
2028年6月14日まで |
(注)一般建設業許可は、建築工事業、大工工事業、屋根工事業、タイル・れんが・ブロック工事業、鋼構造物工事業、塗装工事業、内装仕上工事業であります。
当社は、法令遵守に留意した事業活動を行っており、提出日現在において、当該許認可等が取消となる事由は発生しておりませんが、今後、何らかの理由により許認可等の取消等があった場合、当社の事業活動に支障をきたすとともに、当社の経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
また、将来において当社事業に関連する各種法令等の改廃や新設があった場合や、各種税制の変更があった場合、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)不動産市況動向等に係るリスク
[発生可能性:中 発生可能性のある時期:中期的 影響度:大]
賃貸住宅需要は景気の動向やそれに伴う雇用環境等に影響を受けやすく、景気の後退やマンションの供給過剰等により、不動産市況が停滞あるいは下落した場合、賃貸住宅用不動産の入居率又は賃料水準が低下することが考えられます。
この場合、不動産管理事業においては、管理物件にかかわる管理収入が、不動産賃貸事業においては、自社物件の家賃収入が減少する等、当社の経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
(3)自然災害、人災等に係るリスク
[発生可能性:中 発生可能性のある時期:特定時期なし 影響度:大]
近年では、地球温暖化の影響と考えられる風水害等の気象災害や、震度5を超える大きな地震が全国各地で発生していることから、自然災害における被害が激甚化する傾向にあります。当社は、全国各地に管理物件及び自社物件を有していることから、風水害や地震等の自然災害による物件の毀損や滅失又は劣化が想定されます。また、事故・火災・戦争・暴動・テロその他の人災が発生した場合も、自然災害と同様に管理物件及び自社物件が毀損・滅失又は劣化することが想定されます。
管理物件及び自社物件が、毀損・滅失又は劣化することにより管理収入・家賃収入が減少し、自社物件については修復のための費用負担が発生する可能性があり、当社の経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
(4)情報セキュリティに関するリスク
[発生可能性:中 発生可能性のある時期:特定時期なし 影響度:中]
当社は、事業を行うにあたりオーナー様、入居者様等の個人情報や当社と取引関係にある企業の営業上の情報及び当社の経営に関する情報等を保持・管理しております。コンピュータウイルスの感染や当社サーバーへの不正アクセス等により、これらの情報が漏洩又は消失等した場合は、信用の失墜、損害賠償請求、業務の中断、復旧費用等の発生により、当社の経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社は、情報セキュリティの脅威に対して、基幹システムをクラウド化することでリスクを分散、EDRによる検知アラート・収集情報の全体調査及び能動対処等により不正アクセスやマルウェア感染に対する24時間監視体制を築き、発生時の被害を最小限に留める等の対策を講じております。
(5)金利上昇リスク
[発生可能性:中 発生可能性のある時期:特定時期なし 影響度:中]
当社は、不動産賃貸事業において、自社物件を購入する際にその全額を金融機関からの借入金にて調達し購入していることから、当社の有利子負債比率は一般的に適正とされる比率よりはかなり高い水準となっております。そのため、金利の急激な上昇が発生した場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社の基準に見合う利回りが確保できる物件がない場合や、資金面で当社が求める基準での調達ができない場合は、計画どおりに新規に物件を取得することが難しくなり、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(6)固定資産の減損リスク
[発生可能性:中 発生可能性のある時期:特定時期なし 影響度:中]
当社の保有資産について、固定資産における賃貸用不動産が多く占めております。不動産市況の著しい悪化により、保有資産の時価の著しい下落が認識された場合、減損会計を適用することとなり、当社の経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
(7)競合について
[発生可能性:中 発生可能性のある時期:長期的 影響度:中]
不動産管理事業においては、既存競合他社が多数存在し、競争激化による影響を受けやすい業界構造となっております。当社は、管理物件はもとより自社物件についても管理を行っているため、スケールメリットによる原価低減及びノウハウの蓄積等により不動産管理について高い競争力を有していると自負しておりますが、競合他社の動向によっては当社の経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
(8)少子高齢化リスク
[発生可能性:高 発生可能性のある時期:長期的 影響度:中]
当社が保有・管理している不動産は単身者向けの比率が高く、大多数は学生人口の多い京都府にあります。
日本国内では少子高齢化が進んでおり、今後18歳人口の減少を受けて、学生数が減少する可能性があります。そのため、単身者向け賃貸物件の供給過剰状態が加速することにより、家賃を値下げすることや空室率が上昇することで、家賃収入及び管理収入が減少する可能性があり、当社の経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
(9)不動産の欠陥・瑕疵について
[発生可能性:低 発生可能性のある時期:特定時期なし 影響度:中]
不動産賃貸事業において、当社が不動産の取得を行うにあたっては不動産の権利、構造、環境等に関する欠陥や瑕疵等により予期せぬ損害を被る可能性がないよう、当該不動産の綿密な調査を行い、慎重な対応に注力しておりますが、取得した不動産に欠陥や瑕疵等があった場合には、瑕疵の修復などの追加費用等が生じる場合があります。
一方で、当社の保有する不動産を売却する場合において、当該不動産の欠陥や瑕疵等について当社の責任が問われた場合には、買主より契約解除や損害賠償請求を受け、また、瑕疵の修復などの追加費用等が生じることにより当社の経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
(10)地域偏在に係るリスク
[発生可能性:低 発生可能性のある時期:特定時期なし 影響度:中]
当社が保有・管理している不動産は、近畿、中部、関東、九州に所在しておりますが、その大多数が京都府にあります。そのため、この地域の条例の規制(例えば京都市の景観条例による建築物、屋外広告物等の規制)がより厳しくなった場合、対応するための費用が発生する可能性があり、当社の業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
また、当該地域における地震その他の災害、地域経済の悪化等により、管理収入、家賃収入が減少する等、当社の経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
(11)代表取締役への依存について
[発生可能性:高 発生可能性のある時期:特定時期なし 影響度:中]
当社の代表取締役である長田修は、当社の創業者であり、創業以来、経営者として経営方針や経営戦略を決定すると共に、新規事業の事業化に至るまでの重要な役割を担っております。
当社では、役員及び幹部社員の情報共有や経営組織の強化を図り、長田修に過度に依存しない経営体制の整備を進めておりますが、何らかの理由により長田修の業務執行が困難になった場合には、当社の経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
(12)人材の確保及び育成について
[発生可能性:低 発生可能性のある時期:特定時期なし 影響度:中]
当社の将来の成長は人的資源に大きく依存するため、専門性の高い不動産管理の知識と豊富な経験を有する人材の確保と育成が不可欠であります。したがいまして、今後も中途採用並びに新卒採用、人事制度の充実等により、優秀な人材の確保と育成に積極的に取り組んでいく方針でありますが、当社の求める人材の確保・育成が充分にできない場合や、当社の役職員が大量に社外に流出した場合には、当社の経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
(13)外国人留学生について
[発生可能性:中 発生可能性のある時期:短期的 影響度:小]
当社の事業は、留学生などの外国人顧客の動向により少なからず影響を受けております。
外国人顧客は、日本の留学生受入政策、経済状況、為替相場、外交政策による対日感情、自然災害、事故、疫病等の影響を受ける可能性があり、これらの状況の変化により外国人顧客が減少した場合、当社の経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
(14)レピュテーションリスク
[発生可能性:中 発生可能性のある時期:特定時期なし 影響度:小]
当社は、法令遵守、当社事業におけるサービスの品質・安全性の確保に努めております。しかしながら、報道やSNSを含むインターネット等により当社の風評が拡散された場合、または、当社が属する業界において重大な問題が発生した場合、当社のイメージや社会的信用が低下し、当社の経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
(15)外注業務について
[発生可能性:低 発生可能性のある時期:特定時期なし 影響度:小]
当社は管理物件及び自社物件の大修繕工事、原状回復工事等について、外注比率が高いため、当社の選定基準に合致する外注先を十分に確保できない場合や、外注先の経営不振や繁忙期等により工期が遅延する場合、あるいは、労働者の不足に伴い外注価格が上昇する場合等には、当社の経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
(16)業務運営に係るリスク
[発生可能性:低 発生可能性のある時期:特定時期なし 影響度:小]
当社の事業の事務処理は煩雑で件数も膨大であり、業務運営上の事務処理リスク、また管理業務上の事務リスクや不正リスクなどのオペレーショナルリスクが存在します。
当社では、これらのリスクの軽減を図るため、システム管理等の業務基盤の整備を進めるとともに、業務管理体制の強化を図っておりますが、事務処理における事故・不正等が発生することにより、当社の経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
(17)訴訟の可能性について
[発生可能性:低 発生可能性のある時期:特定時期なし 影響度:小]
当社は当事業年度末現在において、重大な訴訟を提起されている事実はありませんが、事業活動の遂行過程において、取引先及び従業員等により提起される訴訟その他の法的手続の当事者となるリスクを有しております。これらの手続は結果の予測が困難であり、多額の費用が必要となることや、当社の責任を問うような判断がなされた場合には、当社の経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(18)労務管理について
[発生可能性:低 発生可能性のある時期:特定時期なし 影響度:小]
当社は、法令に基づく適正な労務管理などにより、労務関連リスクの低減に取り組んでおりますが、労務関連のコンプライアンス違反(雇用問題、ハラスメント、人権侵害等)が発生した場合、争訟の発生、会社イメージの低下等により、当社の経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
① 財政状態の状況
(資産)
当事業年度末における流動資産は10,633,259千円となり、前事業年度末に比べ2,666,871千円増加いたしました。これは主に自社物件を2棟売却したことで、現金及び預金が2,667,877千円増加したことによるものであります。
固定資産は50,017,745千円となり、前事業年度末に比べ1,132,292千円増加いたしました。これは物件売却があった一方、主に自社物件を12棟取得したことにより、有形固定資産が1,037,042千円増加したことによるものであります。
以上の結果、当事業年度末における資産合計は60,651,005千円となり、前事業年度末に比べ3,799,164千円増加いたしました。
(負債)
当事業年度末における流動負債は4,508,569千円となり、前事業年度末に比べ1,059,666千円増加いたしました。これは主に1年内償還予定の社債が260,000千円減少した一方、未払消費税等が500,212千円、未払法人税等が375,887千円及び1年内返済予定の長期借入金が178,856千円それぞれ増加したことによるものであります。
固定負債は45,882,861千円となり、前事業年度末に比べ1,962,357千円増加いたしました。これは主に長期借入金が2,114,967千円増加したことによるものであります。
以上の結果、当事業年度末における負債合計は50,391,431千円となり、前事業年度末に比べ3,022,024千円増加いたしました。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は10,259,573千円となり、前事業年度末に比べ777,140千円増加いたしました。これは主に配当金の支払437,150千円により純資産が減少した一方、当期純利益1,256,294千円を計上したことによるものであります。
② 経営成績の状況
当事業年度におけるわが国の経済は、社会活動が正常化したことによる経済活動の回復が一服して足踏みがみられたものの、雇用・所得環境が改善する中、緩やかな回復が継続しております。一方で、海外経済の回復ペース鈍化の影響によるわが国の経済への下押し圧力や、物価や賃金の上昇、金融政策の動向等については、引き続き注視が必要な状況です。
このような環境の中、当社は自社物件の取得を積極的に進めました。また、管理獲得のための営業活動を推進し需要が回復したマンスリーマンション業務などに注力しました。
これらの取組みの結果、当事業年度の経営成績は、売上高9,368,596千円(前期比2.3%増)となりましたが、前事業年度の収益に大きく貢献した不動産売買仲介案件の利益剥落の影響や過年度消費税の修正等で租税公課が増加したことにより、営業利益1,824,146千円(同21.7%減)、経常利益1,504,114千円(同24.9%減)、当期純利益1,256,294千円(同8.3%減)となりました。なお、当事業年度中に、自社物件2棟を売却しております。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
(不動産管理事業)
当社の不動産管理事業は、不動産オーナー様の安定した賃貸経営に資するべく、入居者管理に加えビルメンテナンス並びにリフォーム工事・賃貸仲介など、賃貸経営に必要なサービスを提供しております。入居者様に長期にわたり住み続けていただくことが、不動産オーナー様の収益の最大化に繋がるとの観点から、入居者満足度向上のための様々な施策を行っております。
当事業年度の不動産管理事業においては、管理収入が堅調に推移したことに加えて、マンスリーマンションの需要が回復したことからマンスリー売上が増加した他、工事売上等も増加しましたが、前期に計上した大型不動産売買案件の仲介収入の影響などから減収減益となりました。これらの結果、売上高は3,797,210千円(前期比3.0%減)、営業利益は465,843千円(同45.0%減)となりました。
(不動産賃貸事業)
当社の不動産賃貸事業は、物件の購入にあたって、資産効率が高い比較的築年数が経過している優良な物件を中心に、立地その他の条件や、概ね高い入居率が維持できるか等を総合的に勘案したうえで取得しております。物件取得後は、不動産管理事業で得たノウハウを活かした物件のリニューアル、地域に密着した店舗展開及び入居者サービス等で資産価値をさらに高めて、効率的な資産運用を行えるよう取り組んでおります。
当事業年度の不動産賃貸事業においては、自社物件を12棟(愛知県4棟、福岡県2棟、京都府2棟、熊本県1棟、大阪府1棟、兵庫県1棟、千葉県1棟)取得したこと及び前事業年度に取得した物件が通年稼働したことにより増収となりましたが、租税公課増加の影響により減益となりました。その結果、売上高は5,571,385千円(前期比6.2%増)、営業利益は1,358,302千円(同8.4%減)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」とする)は、前事業年度末に比べ2,663,067千円増加し、9,802,653千円(前期比37.3%増)となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果増加した資金は3,218,611千円(前事業年度は2,015,688千円の増加)となりました。これは、税引前当期純利益1,876,067千円、減価償却費1,413,498千円などを計上したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果減少した資金は2,016,124千円(前事業年度は5,657,977千円の減少)となりました。これは、有形固定資産の売却による収入3,097,886千円などがあった一方、有形固定資産の取得による支出5,128,033千円などにより資金が減少したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果増加した資金は1,460,580千円(前事業年度は2,658,382千円の増加)となりました。これは長期借入金の返済による支出3,932,075千円、配当金の支払額437,150千円及び社債の償還による支出260,000千円などにより資金が減少した一方、長期借入れによる収入6,225,900千円などにより資金が増加したことによるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社が行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
b.受注実績
当社が行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
c.販売実績
当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(単位:千円)
|
セグメントの名称 |
当事業年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
前期比(%) |
|
不動産管理事業 |
3,797,210 |
97.0 |
|
不動産賃貸事業 |
5,571,385 |
106.2 |
|
合計 |
9,368,596 |
102.3 |
(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この財務諸表の作成にあたって、損益又は資産の状況に影響を与える見積り、判断は、過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社の財務諸表は固定資産の比率が高いことから、当社の財務諸表で採用する重要な会計上の見積りのうち特に影響が大きいものは、固定資産の減損会計であります。詳細については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」をご参照ください。
② 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当事業年度の経営成績等の状況については、前述の「(1)経営成績等の状況の概要」をご参照ください。
当社は、家賃収入の範囲内で余裕をもって返済が可能な収益性の高い物件を原則として全額借入金により取得することを不動産賃貸事業の成長戦略の柱としておりますので、物件取得が進むに従い自己資本比率は低下しますが、前述の「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 ② 財務健全性の確保」に記載のとおり、当社の財務健全性は高いと考えております。
③ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当事業年度のキャッシュ・フローの状況については、前述の「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
長期借入れによる収入6,225,900千円が、有形固定資産の取得による支出5,128,033千円を大幅に上回っているのは、前事業年度末に取得した賃貸物件(契約金額700,000千円)の借入実行(780,000千円)が当事業年度となったことによるものであります。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社の報告セグメントは、不動産管理事業セグメント及び不動産賃貸事業セグメントから構成されます。
不動産管理事業セグメントの主な収益は、管理受託契約に基づく管理収入、管理業務に附随する業務(リフォーム工事、不動産の売買仲介・賃貸仲介)などから得られる収益であり、経営成績に影響を与える要因は管理物件戸数及び管理物件の入居率であります。
また、不動産賃貸事業セグメントの主な収益は、家賃収入から得られる収益であり、経営成績に影響を与える要因は自社物件戸数及び自社物件の入居率であります。なお、自社物件の採算が悪化した場合、固定資産の減損会計が当社の経営成績に重要な影響を与える要因となる可能性があります。その他、経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであると認識しておりますが、各種対応策を実施することでリスク要因の低減を図ってまいります。
⑤ 経営者の問題意識と今後の方針について
当社は、収益拡大及び原価低減を図るため管理物件戸数及び自社物件戸数の増加を重視する方針です。また、当社は入居者様の満足度を向上させ長期に渡って住み続けていただくことでオーナー様の収益の最大化を図ることを目標としており、具体的な指標として入居率の上昇を目指しております。
⑥ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標について
当社の不動産管理事業における管理物件戸数と入居率及び不動産賃貸事業における自社物件戸数と入居率の推移は、次のとおりであります。
|
セグメント |
|
2023年3月末 |
2024年3月末 |
増減 |
|
不動産管理事業 |
管理物件戸数(戸) |
20,863 |
21,147 |
284 |
|
入居率(%) |
96.2 |
97.1 |
0.9 |
|
|
不動産賃貸事業 |
自社物件戸数(戸) |
5,141 |
5,553 |
412 |
|
入居率(%) |
98.0 |
98.3 |
0.3 |
該当事項はありません。
該当事項はありません。